JP3894791B2 - 燃料噴射弁の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気筒内直接噴射式内燃機関のシリンダヘッドに装着される燃料噴射弁の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような燃料噴射弁の取付構造として、特開平10−318093号公報や特開2000−9000号公報に開示されたものがある。
【0003】
図5は従来の気筒内直接噴射式内燃機関のシリンダヘッドに装着される燃料噴射弁の取付構造の一例を示す縦断面図である。この図において、01はシリンダヘッド、02は燃焼室であり、03は上記シリンダヘッド01に穿設された噴射弁装着孔、04はその噴射弁装着孔03に装着された燃料噴射弁である。
【0004】
上記燃料噴射弁04は大径の本体ボディ部05と小径の先端ノズル部06を有し、その先端ノズル部06には燃料噴射孔が設けられている。また噴射弁装着孔03の方も、上記燃料噴射弁04に対応して大径部03aと小径部03bより成るが、小径部03bの径は先端ノズル部06の径よりも大きい。
【0005】
上記燃料噴射弁04は、噴射弁装着孔03の小径部03bに先端ノズル部06がシリンダヘッド01と隙間をへだてて挿入され、本体ボディ部05の下面を噴射弁装着孔03の大径部03aと小径部03bとの段差部に当接して固定される。その際、燃料噴射弁04の先端ノズル部06の最先端付近の外周に円周溝06bを設けて樹脂製のシールリング09を嵌装し、シリンダヘッド01の噴射弁装着孔小径部03bに所定の締め代をもって取付けることにより、燃焼ガスが燃焼室02から漏出するのをシールする。
【0006】
【解決しようとする課題】
図5に示された従来の燃料噴射弁04取付構造では、燃料噴射弁04の先端ノズル部06が燃焼ガスに曝される面積を最小限にして、燃料噴射孔部の温度を低く抑えることはできるが、シリンダヘッド01の噴射弁装着孔小径部03bの内面の面粗度等を厳しく管理する必要があるので、コスト高となる。また、市場におけるメンテナンスの際、燃料噴射弁04着脱時にシール面に異物が混入して傷が生じ、樹脂製シールリング09のシール保証が困難であるという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段および効果】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、気筒内直接噴射式内燃機関のシリンダヘッドにガスケットを介して装着される燃料噴射弁の取付構造であって、小径筒状の先端部が上記燃料噴射弁の先端ノズル部を間隔をへだてて囲繞するとともに、大径筒状の基端部が上記燃料噴射弁の本体ボディ部の外周に固着された噴射弁取付部材と、上記燃料噴射弁の先端ノズル部最先端近傍の外周に形成された円周溝の内部に嵌装されて、上記噴射弁取付部材の小径筒状の先端部内周との間に嵌装された第1のシール部材とを備え、上記噴射弁取付部材と上記第1のシール部材との間に形成される空気層内に第2のシール部材を備え、上記シリンダヘッドに設けられた噴射弁装着孔に、上記噴射弁取付部材の小径筒状の先端部の外側に形成したおねじ部が螺着されるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明は上記のとおり構成され、燃料噴射弁の本体ボディ部に基端部が固着された噴射弁取付部材の先端部が、シリンダヘッドに設けられた噴射弁装着孔に螺着されるので、燃料噴射弁がシリンダヘッドに強固に固定されるばかりでなく、シリンダヘッドと噴射弁取付部材との間の気密性もこの螺旋部により確保される。また、燃料噴射弁の先端ノズル部外周と噴射弁取付部材の先端部内周との間の空気層内に第1のシール部材が嵌装されるので、燃料噴射弁と噴射弁取付部材との間の気密性も確保される。
【0009】
さらに本発明では、上記第1のシール部材が燃料噴射弁の先端ノズル部最先端近傍と噴射弁取付部材の先端部との間に嵌装されるので、燃料噴射弁の先端ノズル部が高温の燃焼ガスに曝される面積が最小限に抑えられ、かつ噴射弁取付部材および噴射弁取付部材と第1のシール部材との間に形成される空気層によって、シリンダヘッドから燃料噴射弁の先端ノズル部への熱伝達を低減させることができ、燃料噴射弁の先端ノズル部の温度上昇が抑制されて、燃料噴射孔のカーボン付着やそれによる流量低下が防止される。
【0010】
また、燃料噴射弁の本体ボディ部に固着された噴射弁取付部材の先端部が燃料噴射弁の先端ノズル部を間隔をへだてて囲繞し、その間に第1のシール部材が嵌装されるので、燃料噴射弁の保管、運搬、あるいはシリンダヘッドへの着脱に際して、燃料噴射弁の先端ノズル部は常に噴射弁取付部材によって保護されており、締付け等による外力や万一の衝撃力が加わっても、それらの力はシール部材によって吸収され、極めて高い精度が要求される先端ノズル部の燃料噴射孔近傍に直接作用する恐れはなく、したがって歪発生による燃料噴射の悪化を招くこともない。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、気筒内直接噴射式内燃機関のシリンダヘッドに装着される燃料噴射弁の取付構造の一例を示す縦断面図である。この図において、1はシリンダヘッド、2は燃焼室であり、3は上記シリンダヘッド1に穿設された噴射弁装着孔、4はその噴射弁装着孔3に装着された燃料噴射弁である。
【0012】
燃料噴射弁4は大径の本体ボディ部5と小径の先端ノズル部6を有し、その先端ノズル部6には燃料噴射孔6aが設けられている。そして本体ボディ部5にフランジ7が形成されている。また噴射弁装着孔3の方も、上記燃料噴射弁4に対応して、大径部3aと小径部3bより成る。
【0013】
燃料噴射弁4とシリンダヘッド1との間に噴射弁取付部材8が介装される。この噴射弁取付部材8は大径の基端部8aの上端が上記燃料噴射弁4の本体ボディ部5に全周溶接(符号11)されるとともに、小径筒状の先端部8bが上記先端ノズル部6を間隔をへだてて囲繞している。そして先端ノズル部6の最先端近傍の外周に円周溝6bが設けられ、この円周溝6bに樹脂製のシール部材9が嵌装されて、上記噴射弁取付部材8の先端部8b内周との間を密封している。
【0014】
上記噴射弁取付部材8の筒状先端部8bの外側面にはおねじ8cが形成されており、噴射弁装着孔3の小径部3b内面に形成されためねじ3cに、ガスケット10を介装して、ねじ込まれている。こうして燃料噴射弁4がシリンダヘッド1に装着・固定される。
【0015】
このように、燃料噴射弁4の本体ボディ部5に溶接により固着された噴射弁取付部材8の先端部8bがシリンダヘッド1の噴射弁装着孔3小径部3bに螺着されるので、燃料噴射弁4がシリンダヘッド1に強固に固定されるばかりでなく、シリンダヘッド1と噴射弁取付部材8との間の気密性もこの螺旋部により確保される。またその際ガスケット10を介装するので、この気密性は更に高められる。
【0016】
また、燃料噴射弁4の先端ノズル部6と噴射弁取付部材8の先端部8bとの間にシール部材9が嵌装されるので、燃料噴射弁4と噴射弁取付部材8との間の気密性も確保される。そして燃料噴射弁4の本体ボディ部5に噴射弁取付部材8の基端部8aが全周溶接されているので、燃料噴射弁4と噴射弁取付部材8との気密性は更に確実になり、万一シール部材9がシール性を失っても、燃焼ガスが外部に漏れることはない。
【0017】
更に、上記シール部材9が燃料噴射弁4の先端ノズル部6の最先端近傍に配されているので、燃料噴射弁4の先端ノズル部6が燃焼室2内の高温の燃焼ガスに曝される面積が格段に狭くなり、かつ噴射弁取付部材8および噴射弁取付部材8と断熱性の高い樹脂製のシール部材9との間に形成される空気層によって、シリンダヘッド1から燃料噴射弁4の先端ノズル部6への熱伝達を低減させることができ、燃料噴射弁4の先端ノズル部6の温度上昇が抑制されて、燃料噴射孔6aのカーボン付着やそれによる流量低下が防止される。
【0018】
燃料噴射弁4の本体ボディ部5に固着されてシリンダヘッド1に螺着される噴射弁取付部材8が燃料噴射弁4の先端ノズル部6を空間をへだてて囲繞しており、その間に樹脂製のシール部材9が嵌装されるが、このシール部材9は燃料噴射弁4の製造時に組付けられており、市場で燃料噴射弁4を保管、運搬、あるいはシリンダヘッド1へ着脱するに際して、燃料噴射弁4の先端ノズル部6は常に噴射弁取付部材8によって保護されており、締付け等による外力や万一の衝撃が加わっても、それらの力はシール部材9により吸収され、極めて高い精度が要求される先端ノズル部6の燃料噴射孔6a近傍に直接影響を及ぼす恐れはなく、したがって歪発生による燃料噴射の悪化を招くことはない。また、燃料噴射弁4着脱時でもシール部材9が着脱されることはないので、異物の噛込みやシール面の損傷等により、気密性が悪化することもない。
【0019】
以上に説明した気筒内直接噴射式内燃機関の構造を前提とする本発明の実施形態を図2について説明する。この実施例では、噴射弁取付部材8の基端部8aを燃料噴射弁4の本体ボディ部5に固着するのに、図1の場合と異なり、燃料噴射弁4の本体ボディ部5の下端に形成されたおねじ5aと噴射弁取付部材8の基端部8a上端に形成されためねじ8dにより、噴射弁取付部材8の基端部8aが燃料噴射弁4の本体ボディ部5に螺着される。そして、燃料噴射弁4の大径の本体ボディ部5と小径の先端ノズル部6との段差部および噴射弁取付部材8の大径の基端部8aと小径の先端部8bとの段差部の間に第2のシール部材14が嵌装される
【0020】
次に図3は、噴射弁取付部材8の基端部8aを燃料噴射弁4の本体ボディ部5に固着する方法の他の例を示す図である。この実施例は、前記実施例(図2)のように噴射弁取付部材8の基端部8aを燃料噴射弁4の本体ボディ部5に螺着する代りに、噴射弁取付部材8の基端部8a上端を燃料噴射弁4のフランジ7上縁にかしめる(符号12)ことによって、噴射弁取付部材8を燃料噴射弁4に固着するものである。第2のシール部材 14 の設置位 置は図2の場合と同じである。
【0021】
次に図4は、噴射弁取付部材8の基端部8aを燃料噴射弁4の本体ボディ部5に固着する方法の他の例を示す図である。この実施例は、前記実施例(図2)と同様に、噴射弁取付部材8の基端部8aを燃料噴射弁4の本体ボディ部5に螺着するものであるが、前記第2のシール部材14に相当するシール部材15の位置は、燃料噴射弁4と噴射弁取付部材8の両段差部の間ではなく、燃料噴射弁4の先端ノズル部6外周と噴射弁取付部材8の先端部8bとの間の前記シール部材9の上方に設けられる。このようにシール部材9,15を併設することにより、シール部材9の効果が補強される。
【0022】
図4では、噴射弁取付部材8の基端部8aが燃料噴射弁4の本体ボディ部5に螺着されているが、前記図1に示されたように、噴射弁取付部材8の基端部8aを燃料噴射弁4の本体ボディ部5に全周溶接してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の前提をなす気筒内直接噴射式内燃機関のシリンダヘッドに装着される燃料噴射弁の取付構造の一例を示す縦断面図である。
【図2】 図2は噴射弁取付部材の基端部を燃料噴射弁の本体ボディ部に固着する構造の本発明の実施例を示す図である。
【図3】 図3は噴射弁取付部材の基端部を燃料噴射弁の本体ボディ部に固着する構造の本発明の他の実施例を示す図である。
【図4】 図4は噴射弁取付部材の基端部を燃料噴射弁の本体ボディ部に固着する構造の本発明のさらに他の実施例を示す図である。
【図5】 図5は従来の気筒内直接噴射式内燃機関のシリンダヘッドに装着される燃料噴射弁の取付構造の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…シリンダヘッド、2…燃焼室、3…噴射弁装着孔、3a…大径部、3b…小径部、3c…めねじ、4…燃料噴射弁、5…本体ボディ部、5a…おねじ、6…先端ノズル部、6a…燃料噴射孔、6b…円周溝、7…フランジ、8…噴射弁取付部材、8a…基端部、8b…先端部、8c…おねじ、8d…めねじ、9…シール部材、10…ガスケット、11…溶接部、12…かしめ部、13,14,15…シール部材。
Claims (1)
- 気筒内直接噴射式内燃機関のシリンダヘッドにガスケットを介して装着される燃料噴射弁の取付構造であって、
小径筒状の先端部が上記燃料噴射弁の先端ノズル部を間隔をへだてて囲繞するとともに、大径筒状の基端部が上記燃料噴射弁の本体ボディ部の外周に固着された噴射弁取付部材と、上記燃料噴射弁の先端ノズル部最先端近傍の外周に形成された円周溝の内部に嵌装されて、上記噴射弁取付部材の小径筒状の先端部内周との間に嵌装された第1のシール部材とを備え、
上記噴射弁取付部材と上記第1のシール部材との間に形成される空気層内に第2のシール部材を備え、
上記シリンダヘッドに設けられた噴射弁装着孔に、上記噴射弁取付部材の小径筒状の先端部の外側に形成したおねじ部が螺着されるようにしたことを特徴とする燃料噴射弁の取付構造。
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