JP3893260B2 - 超音波洗浄装置およびそれを用いた洗濯機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は超音波洗浄装置およびそれを用いた洗濯機に関し、特に、洗濯物に超音波振動を与えることにより部分的な洗浄を行う超音波洗浄装置と、それを用いた洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気洗濯機は、通常、洗濯槽の中に洗濯物を投入し、洗剤を溶かした水と一緒にして洗濯槽の中で渦巻きを形成させるか、あるいは攪拌するか、洗濯槽を回転させるかして洗濯を行う。これにより、洗濯槽に投入された洗濯物を一斉に洗い、洗濯物の各部に均一な洗い効果を及ぼす。
【0003】
ところが、洗濯物の中でも汚れのひどい箇所、たとえば襟や袖口といった箇所や、しみができた箇所などは上記のような一斉洗いでは汚れが十分には落ちないことがあり、そのような場合には該当箇所だけ手洗いする必要があった。
【0004】
そこで、部分洗いを超音波振動を用いて行う方法が特開2000−24362号公報において提案されている。また、超音波振動子による振動回路構成は特公平5-80361号公報に開示されている。この方法では、超音波振動子の振動を振動検出回路で検出し、その結果を電気信号に変え、その電気信号の位相と出力電圧の位相を90°に保ち、最適共振周波数で駆動することにより、自動追尾している。その際、電源電圧制御回路にて電流検出回路の電流検出値に基づいて電流が一定になるように電圧を制御する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の超音波制御においては、超音波振動子の振動を最大で最適に維持できるように考慮されていない。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、超音波振動子の振動を常に最適、最大に維持できる超音波洗浄装置およびそれを用いた洗濯機を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る超音波洗浄装置は、超音波振動により汚れを洗浄する超音波洗浄装置であって、制御信号に応じた周波数の駆動周波数信号を発生する信号発生手段と、駆動周波数信号に応じて超音波振動する超音波振動手段と、超音波振動手段の振を検出する振動検出手段と、振動検出手段によって検出された超音波振動手段の振幅が最大になるように、信号発生手段に制御信号を与えて駆動周波数信号の周波数を制御する制御手段とを備え、超音波振動手段は、第1の周波数と第2の周波数の間の最適周波数で振幅が最大になり、第1の周波数から最適周波数まで振幅が増加し、最適周波数から第2の周波数まで振幅が減少する特性を有し、制御手段は、駆動周波数信号の周波数を第1の周波数から第2の周波数に向けて設定周波数幅ずつ変化させ、超音波振動手段の振幅が増加傾向から減少傾向に変化したらその周波数から第1の周波数に向けて駆動周波数信号の周波数を設定周波数幅ずつ変化させ、超音波振動手段の振幅が増加傾向から減少傾向に変化したらその周波数から第2の周波数に向けて駆動周波数信号の周波数を設定周波数幅ずつ変化させる処理を繰り返し、制御手段は、駆動周波数信号の周波数を設定周波数幅だけ変化させる毎に超音波振動手段の振幅の変化量を求め、求めた変化量に応じて設定周波数幅を変化させることを特徴とする。
【0008】
これにより、超音波振動子の振動を常に最適、最大に維持することができる。
好ましくは、制御手段は、超音波振動手段の振幅の変化量が予め定められた変化量よりも大きい場合は設定周波数幅を第1の周波数幅に設定し、超音波振動手段の振幅の変化量が予め定められた変化量よりも小さい場合は設定周波数幅を第1の周波数幅よりも大きな第2の周波数幅に設定する。
【0009】
さらに、超音波振動手段の振幅が最大になったときの駆動周波数信号の周波数を記憶する記憶手段を含み、制御手段は、超音波振動手段の振幅が予め定められた振幅よりも低下した場合は、記憶手段に記憶されている周波数を設定周波数幅よりも大きな周波数幅だけ変化させた周波数に、駆動周波数信号の周波数を一旦変化させる。
【0010】
また、この発明に係る洗濯機は、上記超音波洗浄装置を備えたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一実施形態の超音波洗浄装置のブロック図である。図1において、超音波振動子Xはセラミック振動子からなり、駆動信号を加えると、振動して超音波信号を発生し、汚れなどを洗浄する。この超音波振動子Xは温度や負荷に応じて駆動信号を制御する必要がある。このために振動検出手段としての振動検出回路1が設けられている。振動検出回路1は超音波振動子Xの振幅に応じた直流電圧を出力するものであり、超音波振動子Xにブリッジ接続されたコンデンサC1,C2,C3と、振幅電圧を検知するための検知用トランスT1と、検知された振幅電圧を整流するための整流用ダイオードDと、整流された振幅電圧を平滑して直流電圧を振動検出信号として出力するための平滑用の抵抗R2とコンデンサC5とを含む。
【0017】
振動検出回路1の振動検出信号は、A/D変換回路2に与えられてデジタル信号に変換されて制御手段としてのマイクロコンピュータ(以下、マイコンと称する)3に与えられる。マイコン3に関連してE2ROMからなる記憶手段としてのメモリ4と、表示器5と、報知手段としての警報器6とが設けられている。マイコン3はデジタル信号に変換された振動検出信号に基づいて、超音波振動子Xの振幅が最大となるような周波数を演算し、そのような周波数を得るための複数ビットからなる電圧信号を複数のポートから出力してバッファ7に与える。バッファ7はマイコン3から出力された各出力ポートの電圧ドロップによるばらつきをなくすために設けられている。
【0018】
バッファ7の出力には抵抗素子を組み合わせたD/A変換回路8が接続されていて、このD/A変換回路8によって8ビットの電圧信号がアナログ電圧に変換される。たとえば、D/A変換回路8は8ビット出力の00000000〜11111111を0〜5Vの範囲の電圧に変換する。たとえば、マイコン3の8ビット出力が00000111であれば、0.137V(5×7/255)の電圧が出力される。このアナログ電圧はVCO(電圧制御発振器)9に与えられる。
【0019】
VCO9は上限周波数(34.5kHz)〜下限周波数(33.0kHz)の間で、D/A変換回路8からの0〜5Vの範囲に応じた周波数の矩形波信号を出力して波形変換回路10に与える。この上限周波数と下限周波数はVCO9に接続された図示しない2本の外部抵抗とコンデンサとによって決定される。
【0020】
波形変換回路10は出力に応じたパルス幅となるように矩形波信号を波形変換する。変換された矩形波信号はドライバ11に与えられ、このドライバ11よってトランジスタ(FET)TR1,TR2がオン、オフするように駆動される。なお、マイコン3はドライバ11の動作可否を制御するために、制御信号をドライバ11に与える。
【0021】
トランジスタTR1,TR2は直列接続され、その一端側には電源電圧+Vが与えられ、他端側は抵抗R1を介して接地されている。トランジスタTR1とTR2の接続点にはコンデンサC4を介して駆動トランスT2の1次側が接続され、2次側はコイルL1を介してブリッジ回路に接続されている。抵抗R1は過電流を検出するために接続されており、抵抗R1の両端電圧が過電流検出回路12によって検出され、その過電流検出信号はマイコン3に与えられる。
【0022】
図2は図1の超音波振動子駆動回路の動作を説明するためのタイミング図であり、図3はこの発明の一実施形態の動作を説明するためのフローチャートであり、図4は超音波振動子を最大振幅で振動していることを検出する動作を説明するための波形図である。
【0023】
次に、図1〜図4を参照してこの発明の一実施形態の動作について説明する。図1に示す超音波振動子Xに駆動信号が与えられると、超音波振動が生じ、振動検出回路1では、超音波振動子XとコンデンサC1〜C3を接続したブリッジ回路の図2(g)に示す振動電圧を検知用トランスT1が検出し、図2(h)に示すトランス出力の交流電圧を整流用ダイオードDが整流し、コンデンサC5が平滑して図2(i)に示す位相成分を含まない直流電圧をA/D変換回路2に与える。A/D変換回路2はその直流電圧をデジタル信号に変換してマイコン3に与える。
【0024】
マイコン3は図3に示すステップSP(図示ではSPと略称する)1において、内蔵しているレジスタに、n=256,V1=0,V2=0を設定する。ここで、nはVCO9に設定する電圧値であり、n=256に設定すると、VCO9への設定電圧がたとえば5Vに設定され、そのときの周波数は図4のa1となる。ステップSP2においてマイコン3はV1にV2を代入してV1=V2とし、ステップSP3においてnを8ビットで出力する。このnビットはD/A変換器8によってアナログ電圧に変換されてVCO9に与えられる。
【0025】
VCO9はそのアナログ電圧に応じて発振動作し、図2(a)に示す出力波形の発振信号を波形変換回路10に与える。波形変換回路10はVCO9の出力波形をドライバ11によってトランジスタTR1,TR2を駆動するために、図2(b),(c)に示す上下対称な矩形波に変換する。ここで、フルパワー時には図2(b),(c)に示すようにパルス幅がたとえばデューティ50%に設定されるが、50%パワー時には図2(d),(e)に示すようにパルス幅が狭くされる。ドライバ11は波形変換回路10の出力信号に基づいてトランジスタTR1,TR2を駆動する。このとき、トランジスタTR1,TR2の駆動波形は図2(f)に示すようになる。
【0026】
マイコン3はA/D変換回路2の出力に基づいて振動検出回路1の検出電圧Vを測定し、その検出電圧VをV2に代入する(V2=V)。ステップSP4において、V2≧V1であるか否かを判別し、V2がV1よりも大であると判別すると、ステップSP2に戻りV2をV1に代入(V1=V2)した後、n=n−1にして周波数を下げて振動検出回路1の検出電圧を測定し、その検出電圧VをV2に代入して、V2≧V1になったか否かを判別する。この動作を繰り返し、VCO9で発振される周波数を設定するための電圧V1を設定する。このようにnの値を下げていくと図4に示すように出力波形が下り坂で周波数がa1,a2…an−1,anのように下がり、出力波形が上り坂になって周波数がbnになると、ステップSP4においてV2<V1になったことを判別し、ステップSP5において再びV1にV2を代入し、今度はステップSP6においてn=n+1に設定して周波数を上げて振動検出回路1の検出電圧を測定し、その検出電圧VをV2に代入する。ステップSP7においてV2≧V1になったか否かを判別し、V2がV1よりも大であると判別すると、ステップSP5に戻りV1=V2に設定した後、n=n+1にして周波数を上げて振動検出回路1の検出電圧を測定し、その検出電圧VをV2に代入して、V2≧V1になったか否かを判別する。この動作を繰り返し、VCO9で発振される周波数を設定するための電圧V1を設定する。そして、V2<V1になると、ステップSP2に戻って、V1にV2を代入る。このようにして、超音波振動子Xの振動が最大になる周波数を発振させるための電圧を設定できる。
【0027】
図5および図6はこの発明の他の実施形態の動作を説明するためのフローチャートであり、図7は振動検出回路の検出出力のレベルの傾斜を説明するための図である。
【0028】
図5において、この実施形態は、振動検出回路1の最大値を記憶するとともに、超音波振動子Xの最適駆動周波数を検出するときに、振動検出回路1の検出信号が一定レベルを越えない場合にエラー報知するか、あるいは再度最適駆動周波数の検出を行い、それでも振動検出回路1の検出信号が一定レベルを越えない場合にエラー報知し、振動検出回路1の検出出力の振幅の最大値が温度特性などにより最適周波数から逸脱するとき、駆動周波数を所定周波数だけ+側あるいは−側にシフトするようにしたものである。
【0029】
図5に示すステップSP11において、マイコン3は内蔵しているレジスタにn=256,V1=0,V2=0,Ef=0,Vmax=0,F1=0を設定する。ステップSP12において、V1=V2に設定し、ステップSP13においてV2≧204であるか否かを判別する。ここで、「204」の値はメモリ4に記憶されている予め定める検出レベルであり、振動検出回路1の検出出力がこの予め定める検出レベル以下であれば、再度振動検出回路1のレベルを判別し、エラーとする。
【0030】
振動検出回路1の検出出力V2が「204」よりも大きくなければステップSP14において、n=n−2を8ビットで出力し、振動検出回路1の電圧Vを測定する。測定した電圧VをV2に代入し、ステップSP15においてn=0であるか否かを判別し、n=0でなければステップSP12に戻り、ステップSP12〜ステップSP15の処理を繰り返す。すなわち、n=256〜0に設定し、図4に示す山形の波形の最大レベルが「204」のレベル以下であるか否かを判別する。そして、n=0になると、再びn=256に設定するとともに、エラーフラグEfを1(Ef=Ef+1)に設定する。ステップSP17においてEf≧2であるか否かを判別し、Ef≧2になればエラーを警報器6から発する。
【0031】
なお、上述の説明では、振動検出回路1の検出出力が予め定めるレベル以下であることを2回判別したとき、エラーを報知するようにしたが、これに限ることなく1回判別すればエラーにしてもよい。
【0032】
上記ステップSP13において、振動検出回路1の検出出力が予め定めるレベル「204」を越えていれば、図7に示すように振動検出回路1の出力の変化、すなわち傾斜が緩やかであれば、nの変化する度合を大きくし(nを2づつ変化させ、上り坂であればn+2とし、下り坂であればn−2とする)、変化が急峻であればnの変化する度合を小さくし(nを1づつ変化させ、上り坂であればn+1とし、下り坂であればn−1とする)、レベルの最大値の検出を速くする。
【0033】
このために、ステップSP18において、|V2−V1|≦4であるか否かを判別し、|V2−V1|≦4であればステップSP19においてnを−2し、|V2−V1|≦4でなければnを−1する。|V2−V1|≦4は傾斜が急峻であるかあるいは緩やかであるかを判別するための値であり、この値に制限されるものではない。ステップSP21において、V1=V2に設定し、ステップSP22において振動検出回路1の検出電圧Vを測定する。そして、測定した電圧VをV2に代入する。ステップSP23において、V2≧Vmaxであるか否かを判別し、V2≧VmaxであればステップSP24においてVmaxをV2として代入し(Vmax=V2)、N=nを設定する。ここで、Vmaxは予め定められた振動検出回路1の出力の最大値である。
【0034】
ステップSP25において、フラグF1がセット(F1≧1)されているか否かを判別し、セットされていなければステップSP26において、V2≧250であるか否かを判別しする。このV2≧250の値は、Vmaxの近辺の予め定められた値である。V2≧250であればVmaxに近い値であることを特定するためにステップSP27においてフラグF1をセットし、V2≧250でなければフラグF1をセットすることなくステップSP28において、V2≧V1であるか否かを判別する。V2≧V1であればステップSP18に戻る。そして、ステップSP18〜ステップSP25を処理し、ステップSP25においてフラグF1のセットされていることを判別すると、ステップSP29においてV2≧200であるか否かを判別する。V2≧200でなければステップSP42に進み、n=N+10,F1=0に設定する。
【0035】
これは振動検出回路1の検出出力の振幅の最大値が温度特性などにより最適周波数から逸脱するとき、駆動周波数を所定周波数だけ+側あるいは−側にシフトして、最適駆動周波数を検知するものである。上述のステップSP18〜ステップSP29は、波形が下り坂である場合の振動検出回路1の検出動作を示しており、波形が上り坂である場合には、ステップSP30〜ステップSP41の処理が行なわれる。
【0036】
すなわち、ステップSP28において、V2≧V1でなければステップSP30において、|V2−V1|≦4であるか否かを判別し、|V2−V1|≦4でなければステップSP31においてn=n+1し、|V2−V1|≦4であれば、ステップSP32においてn=n+2を設定し、波形が上り坂で傾斜が緩やかであるかあるいは急峻であるかを判別する。ステップSP33において、V1をV2として代入し、ステップSP34においてnを8ビットとして出力し、振動検出回路1の検出電圧を検出し、その検出電圧VをV2に代入する。ステップSP35において、V2≧Vmaxであるかを判別し、V2≧VmaxであればステップSP36においてVmaxをV2として代入し(Vmax=V2)、N=nを設定する。
【0037】
ステップSP35において、V2≧VmaxでないときあるいはステップSP36の処理後に、ステップSP37においてF1≧1であるか否かを判別し、フラグF1がセットされていなければ、ステップSP38においてV2≧250であるか否かを判別し、V2≧250であればステップSP39においてフラグF1をセットする。この処理も前述の下り坂の処理と同様にして、温度特性などにより、振動検出回路1の検出出力の振幅の最大値が最適周波数から逸脱するとき、駆動周波数を所定周波数だけ+側あるいは−側にシフトして、最適駆動周波数を検知するものである。
【0038】
ステップSP38においてV2≧250であることを判別したとき、あるいはフラグF1をセットした後、ステップSP40においてV2≧V1であるかを判別し、V2≧V1でなければステップSP18に戻る。ステップSP37においてフラグF1がセットされていれば、ステップSP41においてV2≧200であるか否かを判別し、V2≧200であればステップSP40に進み、V2≧200でなければステップSP42において、n=N+10,F1=0にセットして周波数をシフトし、ステップSP18に戻る。
【0039】
したがって、この実施形態によれば、振動検出回路1の検出電圧の最大値を記憶することができるとともに、超音波振動子Xの最適駆動周波数を設定するときに、振動検出回路1の検出信号が一定レベルを越えない場合にエラー報知するか、あるいは再度最適駆動周波数の設定を行い、それでも振動検出回路1の検出信号が一定レベルを越えない場合にエラー報知することができる。
【0040】
また、振動検出回路1の検出出力の振幅の最大値が温度特性などにより最適周波数から逸脱するとき、駆動周波数を所定周波数だけ+側あるいは−側にシフトして、最適駆動周波数を検知することができる。
【0041】
図8はこの発明の超音波洗浄装置が部分洗い装置として装着された洗濯機の縦断面図であり、図9は部分洗い装置およびそのベースの垂直断面図であり、図10は図1に示した超音波振動子を含む超音波振動デバイスを示す図である。
【0042】
この図8に示した洗濯機は部分洗い装置100以外の構成は従来の洗濯機と同じであるため、概略の構成について説明する。
【0043】
外箱50は直方体形状であり、金属または合成樹脂により形成され、その内部には水槽52と洗濯槽53が配置されている。水槽52と洗濯槽53は上面が開口された円筒形のカップの形状を呈しており、各々軸線を垂直にし、水槽52を外側、洗濯槽53を内側とする形で同心的に配置されている。サスペンション54は水槽52の外側下部と外箱50の内面コーナー部とを連結し、水槽52を水平面内で揺動可能に支持する。洗濯槽53の上部開口部の縁には洗濯物を脱水するために洗濯槽53を高速回転させたときに振動を抑制する働きをする環状のバランサ55が装着され、洗濯槽53の内部底面には洗濯液あるいはすすぎ水の流動を生じさせるためのパルセータ56が配置されている。
【0044】
水槽52の下部には駆動ユニット60が装着されている。駆動ユニット60はモータ61と、クラッチ機構62と、ブレーキ機構63とを含み、その中心部から脱水軸64とパルセータ軸65が上向きに突出している。脱水軸64は外側に配置され、パルセータ軸65は内側に配置された二重軸構造となっており、水槽52の中に入りこんだ後、脱水軸64は洗濯層53の中に入りこみ、パルセータ56に連結してこれを支える。クラッチ機構62はモータ61の動力を脱水軸64とパルセータ軸65に選択的に伝達する。
【0045】
排水弁71は電磁的に開閉し、洗濯槽53内の水を排水ホース72に排水する。導圧パイプ73はエアートラップ74から上方に延び出しており、その先端に水位センサ75が設けられている。
【0046】
図9に示すように、バックパネル42の下部には電磁的に開閉する給水弁43が配置されており、給水弁43はバックパネル42を貫通して上方に突き出す接続管44を有し、この接続管44に水道水などの上水を供給する給水ホース(図示せず)が接続される。
【0047】
部分洗い装置100は、洗濯を行ったにもかかわらず汚れの落ちていない場合、あるいは通常の洗濯コースではきれいにならないと予めわかっているようなひどい汚れがある場合に、その箇所だけを洗浄する。
【0048】
部分洗い装置100は図9に示すように、ベース140と組合せた上でユニット150としてバックパネル42の上面に取付けられている。超音波振動デバイス20は図10に示すように、図1に示した超音波振動子Xを含む加振部21と、この加振部21に取り付けられたT字型の振動ホーン22とから構成されている。振動ホーン22は加振部21に固定されたシャンク部23と、シャンク部23の先端に連結したヘッド部24からなる。シャンク部23はT字型の縦棒をなし、ヘッド部24がT字型の横棒をなしている。ヘッド部24の両側面からは突起25が対称的に突出している。突起25は振動伝達の分岐点である無振動域にあたる箇所に設けられている。
【0049】
超音波振動デバイス20はT字型の振動ホーン22を横倒しにした形で、図9に示すように部分洗い装置100のケース101の中に支持される。このために、加振部21の外側に環状の緩衝部材26が嵌合される。緩衝部材26は軟質のゴムまたは合成樹脂により形成され、外周部には環状の溝26aを有している。
【0050】
突起25にもキャップ状の緩衝部材27が被せられている。これらの緩衝部材26,27はシェル28,29の内面に一体形成したリブ28a,29aで挟まれる。加振部21においてはシェル28側のリブ28aとシェル29側のリブ29aがそれぞれリブ先端を溝26aに係合させるように緩衝部材26を挟み,これにより加振部21が支持される。振動ホーン22の側においてはシェル28側のリブ28aとシェル29側のリブ29aが緩衝部材27を挟み、これにより振動ホーン22が支持される。
【0051】
シェル29には開口部30が形成され、振動ホーン22のヘッド部24の下部がここからケース101の外に突き出される。この突き出した部分の先端が洗濯物に接触する。この部分はクロームメッキ部24aとなっている。クロームメッキを施すのは、汚れが付着しにくくするためと、表面を滑らかにして洗濯物がひっかからないようにするためである。
【0052】
ホーンカバー32は合成樹脂製であり、開口部30に装着される。ホーンカバー32はその上面が開口された直方体形状をしており、このホーンカバー32の底面には振動ホーン22を露出させるスリット33が形成されている。
【0053】
上述のごとく構成された部分洗い装置付き洗濯機は、洗濯槽53を用いて行う動作は従来例と同じであるので省略する。洗濯槽53を用いて洗濯を行ったにもかかわらず汚れの落ちていない場合、あるいは通常の洗濯コースではきれいにならないと予めわかっているようなひどい汚れがある場合に、部分洗い装置100用いられる。
【0054】
まず、給水弁43の弁部43aが開かれ、浄水液チューブ48に所定水量の水、たとえば50〜300cc/分の水が供給される。水は注水部から振動ホーン22の両側に注がれ、スリット33および洗浄液滴下孔からトレイ151の上に滴り落ちる。
【0055】
続いて、超音波デバイス20が超音波振動を始める。そして、振動ホーン22と受台部152との隙間に洗濯物を挿入し、ゆっくりと往復させる。洗濯物には超音波が集中し、汚れ成分が剥離する。汚れ箇所に液体洗剤を塗っておくと一層洗浄効果が高まる。剥離した汚れ成分は水とともに排水口153から流出し、樋154に受けられ、樋154の排水口155を通って水槽52と洗濯槽53との間の隙間に落下し、排水ホース72より本体の外に排出される。
【0056】
このようにして部分洗いを終えると、洗濯物を洗濯槽53に投入し、改めて洗濯を開始するか、あるいは洗濯を省いてすすぎと脱水を行う。このように、部分洗いを超音波振動を用いて行うことにより、洗濯物を傷めることなく、落ち難い汚れにも対処でき、汚れ箇所だけを洗浄することができる。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、超音波振動手段による超音波振動を超音波振動ホーンにより増幅し、その超音波振動の振動を検出し、検出された超音波振動が最大になるように駆動周波数を制御するようにしたので、超音波振動子の振動を常に最適、最大に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態の超音波洗浄装置のブロック図である。
【図2】 図1の超音波振動子駆動回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図3】 この発明の一実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】 超音波振動子を最大振幅で振動していることを検出する動作を説明するための波形図である。
【図5】 この発明の他の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】 この発明の他の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】 振動検出回路の検出出力のレベルの傾斜を説明するための図である。
【図8】 この発明の超音波洗浄装置が部分洗い装置として装着された洗濯機の縦断面図である。
【図9】 部分洗い装置およびそのベースの垂直断面図である。
【図10】 図1に示した超音波振動子を含む超音波振動デバイスを示す図である。
【符号の説明】
1 振動検出回路、2 A/D変換回路、3 マイコン、4 メモリ、5 表示器、6 警報器、7 バッファ、8 D/A変換回路、9 VCO、10 波形変換回路、11 ドライバ、12 過電流検出回路、20 超音波デバイス、21 加振部、22 振動ホーン、23 シャンク部、24 ヘッド部、25 突起、26,27 緩衝部材、28,29 シエル、30 開口部、32 ホーンカバー、33 スリット、50 外箱、52 水槽、53 洗濯槽、55 バランサ、56 パルセータ、60 駆動ユニット、61 モータ、62 クラッチ機構、63 ブレーキ機構、64 脱水軸、65 パルセータ軸、100 部分洗い装置、101 ケース、140 ベース、150 ユニット。

Claims (4)

  1. 超音波振動により汚れを洗浄する超音波洗浄装置であって、
    制御信号に応じた周波数の駆動周波数信号を発生する信号発生手段と、
    前記駆動周波数信号に応じて超音波振動する超音波振動手段と、
    前記超音波振動手段の振を検出する振動検出手段と、
    前記振動検出手段によって検出された超音波振動手段の振幅が最大になるように、前記信号発生手段に前記制御信号を与えて前記駆動周波数信号の周波数を制御する制御手段とを備え
    前記超音波振動手段は、第1の周波数と第2の周波数の間の最適周波数で振幅が最大になり、前記第1の周波数から前記最適周波数まで振幅が増加し、前記最適周波数から前記第2の周波数まで振幅が減少する特性を有し、
    前記制御手段は、前記駆動周波数信号の周波数を前記第1の周波数から前記第2の周波数に向けて設定周波数幅ずつ変化させ、前記超音波振動手段の振幅が増加傾向から減少傾向に変化したらその周波数から前記第1の周波数に向けて前記駆動周波数信号の周波数を前記設定周波数ずつ変化させ、前記超音波振動手段の振幅が増加傾向から減少傾向に変化したらその周波数から前記第2の周波数に向けて前記駆動周波数信号の周波数を前記設定周波数幅ずつ変化させる処理を繰り返し、
    前記制御手段は、前記駆動周波数信号の周波数を前記設定周波数幅だけ変化させる毎に前記超音波振動手段の振幅の変化量を求め、求めた変化量に応じて前記設定周波数幅を変化させることを特徴とする、超音波洗浄装置。
  2. 前記制御手段は、前記超音波振動手段の振幅の変化量が予め定められた変化量よりも大きい場合は前記設定周波数幅を第1の周波数幅に設定し、前記超音波振動手段の振幅の変化量が前記予め定められた変化量よりも小さい場合は前記設定周波数幅を前記第1の周波数幅よりも大きな第2の周波数幅に設定することを特徴とする、請求項1に記載の超音波洗浄装置。
  3. さらに、前記超音波振動手段の振幅が最大になったときの前記駆動周波数信号の周波数を記憶する記憶手段を含み、
    前記制御手段は、前記超音波振動手段の振幅が予め定められた振幅よりも低下した場合は、前記記憶手段に記憶されている周波数を前記設定周波数幅よりも大きな周波数幅だけ変化させた周波数に、前記駆動周波数信号の周波数を一旦変化させることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の超音波洗浄装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の超音波洗浄装置を備えたことを特徴とする、洗濯機
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