JP3892761B2 - ランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−297226号公報(以下、先行技術1という。)、W099/19158号公報(以下、先行技術2という。)、W099/64260号公報(以下、先行技術3という。)、及び特開平2001−163020号公報(以下、先行技術4という。)には、ランフラットタイヤに用いられる金属製中子が記載されている。
【0003】
先行技術1乃至先行技術4に記載されている金属製中子を構成する金属部には、一般的に50kgf/mm2以上の引張強さを有する高張力鋼が使用されている。
【0004】
しかしながら、高張力鋼は、他の金属よりも高い強度を有するため、先行技術1乃至先行技術4に記載されている形状に精度良く成形することが困難であった。
【0005】
ここで、従来より、先行技術1乃至先行技術4が示す形状に高張力鋼を成形する際には、ヘラ絞り加工(スピニング加工)、ハイドロフォーム加工、ロールフォーミング等の方法が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヘラ絞り加工では、成形後の寸法精度及び製品としての強度特性は十分であるが、その反面、1つ1つが手作りであるため、ヘラ絞りを行う作業者によって、寸法精度及び強度特性にばらつきが生じてしまう。すなわち、ヘラ絞り加工は、量産安定性に問題があり、量産するには不向きである。
【0007】
また、ハイドロフォーム加工では、金属製中子を成形した後、非常に高い寸法精度を得ることが可能であるが、寸法精度は金属製中子の製造時のバルジ圧に大きく依存しており、成形する高張力鋼に対するバルジ圧のコントロールが困難であるという問題がある。また、パンチング加工を施した金属(パンチングメタル)を成形することは、製造上不可能であるという問題がある。
【0008】
また、ロールフォーミングは、コストパフォーマンスの良い金属製中子の製法であり、かつパンチングメタルを成形することにも適しているが、目的とする製品形状に成形するためには、高張力鋼をリング状に成形する曲げ工程が必要であり、金属製中子の製造精度(寸法精度)を確保することが困難であった。このため、金属製中子の所望の性能が十分には得られないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、所定の寸法精度を確保できる、ランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、長尺状の金属プレートの幅方向中央部を板厚方向へ湾曲させプレート長に沿って延びる第1湾曲部を形成する第1工程と、プレートの幅方向両端部を第1湾曲部と同一方向へ湾曲させプレート長に沿って延びる第2湾曲部を形成すると共に第1湾曲部と第2湾曲部との間に第1湾曲部と第2湾曲部と反対方向へ湾曲しプレート長に沿って延びる一対の第3湾曲部を形成する第2工程と、湾曲した金属プレートの全体の幅を設定寸法より狭める第3工程と、湾曲した金属プレートの全体の幅を設定寸法にする第4工程と、金属プレートをプレート長の方向へ曲げ加工してリング状とする第5工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、まず金属プレート(以下、単に「プレート」という。)の全体の幅を設定寸法にし、次にプレート長の方向へ曲げ加工する。なお、「プレート」には、平板とパンチングメタルとが含まれる。ここで、第1乃至第4工程では、プレートの全体の幅を設定寸法にするために一度に湾曲させずに、プレートの全体の幅を、設定寸法となるように次第に湾曲させることで、前記プレートをプレート長の方向へ曲げ加工した後、プレートの側面部にしわ等が発生することを防ぐ。ここで、「側面部」とは、山形状の断面を有するプレートをプレート長の方向へ曲げ加工する際、前記プレートにおいて径の大きくなる山の頂部に対して径の小さくなる部分であって、プレート長に沿って延びるように形成された部分をいう。また、曲げ加工の対象となるプレートは幅方向に湾曲しているため、いわゆるバネの如く弾性を有する。このため、プレートの全体の幅が設定寸法となるように一遍に成形した場合では、成形後のプレートの全体の幅が設定寸法よりも大きくなってしまい、寸法に狂いが発生してしまう。そこで、本発明では、第3工程で、一旦プレートの全体の幅を設定寸法より狭くし、第4工程で、プレートの全体の幅を設定寸法に合わせるようにしている。これにより、プレートの全体の幅が設定寸法よりも大きくなることが無くなり、寸法に狂いが発生することを防ぐ。上述した如く、第1乃至第5工程を経て金属製中子を作成することで、しわ等によって寸法の狂いが発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。なお、所定の湾曲部(第1乃至第3湾曲部のうち何れか)を形成する際には、プレートを段階的に湾曲させるようにしてもよい。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、第1乃至第4工程のうち少なくとも1つの工程において、少なくとも一対の成形ロールで前記金属プレートを挟持して湾曲させることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、第1乃至第4工程のうち少なくとも1つの工程において、少なくとも一対の成形ロールを用いてプレートの幅方向に湾曲部を形成した後、前記プレートをプレート長の方向へ曲げ加工してリングを作ることで、プレートの側面部にしわ等が発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は前記請求項2に記載の発明において、第5工程において、リング状に成形するための少なくとも一対の曲げロールを用いることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、第5工程において、リング状に成形するための少なくとも一対の曲げロールを用いることによって、曲げ加工を連続的に行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、第4工程において、湾曲した金属プレートの全体の幅を設定寸法にすると共に第3湾曲部の前記幅方向外側にプレート長に沿って延びるフランジ部を形成するランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法において、t1、t2、A、Bの関係が、
t1×{(B−A)/A}×0.2≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×5
を満たすことを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、
t1×{(B−A)/A}×0.2≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×5
で示される関係式を満たすようにクリアランスを設けることで、プレートをプレート長の方向へ曲げ加工した後、フランジ部等の側面部にしわが発生することを防ぐ。これにより、しわ等によって寸法の狂いが発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記請求項3又は前記請求項4に記載の発明において、t1、t2、A、Bの関係が、
t1×{(B−A)/A}×0.4≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×3
を満たすことを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、
t1×{(B−A)/A}×0.4≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×3
で示される関係式を満たすようにクリアランスを設けることがより好ましい。前記関係式を満たすようにクリアランスを設けることで、プレートをプレート長の方向へ曲げ加工した後、フランジ部等の側面部にしわが発生することを一層良好に防ぐことができる。これにより、所定の寸法精度を確保できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
図1には、本実施の形態に係る、ランフラットタイヤに用いられる金属性中子の製造装置(以下、「中子製造装置」という。)10を構成する湾曲装置11の概略構成が示されている。ここで、中子製造装置10は、湾曲装置11と曲げロール26(後述)とから構成されている。
【0022】
湾曲装置11は、プレートの幅方向中央部等を板厚方向に湾曲させプレート長に沿って延びる湾曲部を設けるものである。以下、平板12をプレートとして扱うものとして説明する。
【0023】
湾曲装置11には、前記平板12の搬送方向上流側から下流側に向かってロール14〜24が順に設けられている。
【0024】
ロール14は、上ロール14Aと下ロール14Bとから構成されている。
【0025】
図2(A)に示される如く、上ロール14Aの周面の回転軸方向中央部には、第1凸部50Aが形成されている。
【0026】
一方、下ロール14Bの周面の回転軸方向中央部には、第1凹部50Bが形成されている。
【0027】
すなわち、この下ロール14Bの第1凹部50Bに上ロール14Aの第1凸部50Aが進入するように上ロール14Aと下ロール14Bとが対向配置されることによって、上ロール14Aと下ロール14Bとの間にギャップ200が形成されているロール14が構成されているものである。
【0028】
また、これら上ロール14A及び下ロール14Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0029】
ロール14は、上ロール14Aと下ロール14Bとでギャップ200に進入した平板12を挟持しながら搬送することで、平板12の幅方向中央部を板厚方向へ湾曲させるものである。これにより、平板12には、プレート長に沿って延びる浅めの第1湾曲部80が形成されるようになっている(図3(A)を参照)。
【0030】
図1に示される如く、ロール16は、上ロール16Aと下ロール16Bとから構成されている。
【0031】
図2(B)に示される如く、上ロール16Aの周面の回転軸方向中央部には、上ロール14Aに形成された第1凸部50Aよりも起伏の大きい第2凸部52Aが形成されている。
【0032】
一方、下ロール16Bの周面の回転軸方向中央部には、下ロール14Bに形成された第1凹部50Bよりも起伏の大きい第2凹部52Bが形成されている。
【0033】
すなわち、この下ロール16Bの第2凹部52Bに上ロール16Aの第2凸部52Aが進入するように上ロール16Aと下ロール16Bとが対向配置されることによって、上ロール16Aと下ロール16Bとの間にギャップ202が形成されているロール16が構成されているものである。
【0034】
また、これら上ロール16A及び下ロール16Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0035】
ロール16は、上ロール16Aと下ロール16Bとでギャップ202に進入した平板12を挟持しながら搬送することで、平板12の幅方向中央部を板厚方向へ湾曲させるものである。これにより、平板12には、プレート長に沿って延びる深めの第1湾曲部82が形成されるようになっている(図3(B)を参照)。
【0036】
すなわち、ロール14とロール16とが平板12を挟持しながら搬送することで、平板12の幅方向中央部を板厚方向へ段階的に湾曲させプレート長に沿って延びる第1湾曲部82を形成するようになっている。
【0037】
図1に示される如く、ロール18は、上ロール18Aと下ロール18Bとから構成されている。
【0038】
図2(C)に示される如く、上ロール18Aの周面の回転軸方向中央部には、第2凸部52Aが形成されている。上ロール18Aの周面の回転軸方向両端部には、第3凸部54Aが第2凸部52Aの起伏方向と同一方向に形成されている。上ロール18Aの周面の回転軸方向において、第2凸部52Aと第3凸部54Aとの間には、第2凸部52A及び第3凸部54Aの起伏方向と反対方向に一対の第4凹部56Aが形成されている。
【0039】
一方、下ロール18Bの周面の回転軸方向中央部には、第2凹部52Bが形成されている。下ロール18Bの周面の回転軸方向両端部には、第3凹部54Bが第2凹部52Bの起伏方向と同一方向に形成されている。下ロール18Bの周面の回転軸方向において、第2凹部52Bと第3凹部54Bとの間には、第2凹部52B及び第3凹部54Bの起伏方向と反対方向に一対の第4凸部56Bが形成されている。
【0040】
すなわち、この下ロール18Bの第2凹部52B、第3凹部54B、又は第4凸部56Bに上ロール18Aの第2凸部52A、第3凸部54A、又は第4凹部56Aが進入するように上ロール18Aと下ロール18Bとが対向配置されることによって、上ロール18Aと下ロール18Bとの間にギャップ204が形成されているロール18が構成されているものである。
【0041】
また、これら上ロール18A及び下ロール18Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0042】
ロール18は、上ロール18Aと下ロール18Bとでギャップ204に進入し平板12を挟持しながら搬送することで、第1湾曲部82を除く平板12の幅方向両端部を第1湾曲部82と同一方向へ湾曲させ、平板12には、プレート長に沿って延びる浅めの第2湾曲部84が形成されると共に第1湾曲部82と第2湾曲部84との間に第1湾曲部82と第2湾曲部84と反対方向へ湾曲しプレート長に沿って延びる一対の浅めの第3湾曲部86が形成されるものである(図3(C)を参照)。
【0043】
図1に示される如く、ロール20は、上ロール20Aと下ロール20Bとから構成されている。
【0044】
図2(D)に示される如く、上ロール20Aの周面の回転軸方向中央部には、第2凸部52Aが形成されている。上ロール20Aの周面の回転軸方向両端部には、第3凸部54Aよりも起伏の大きい第5凸部58Aが第3凸部54Aの起伏方向と同一方向に形成されている。上ロール20Aの周面の回転軸方向において、第2凸部52Aと第5凸部58Aとの間には、第2凸部52A及び第5凸部58Aの起伏方向と反対方向に一対の第6凹部60Aが形成されている。
【0045】
一方、下ロール20Bの周面の回転軸方向中央部には、第2凹部52Bが形成されている。下ロール20Bの周面の回転軸方向両端部には、第3凹部54Bよりも起伏の大きい第5凹部58Bが第3凹部54Bの起伏方向と同一方向に形成されている。下ロール20Bの周面の回転軸方向において、第2凹部52Bと第5凹部58Bとの間には、第2凹部52B及び第5凹部58Bの起伏方向と反対方向に一対の第6凸部60Bが形成されている。
【0046】
すなわち、この下ロール20Bの第2凹部52B、第5凹部58B、又は第6凸部60Bに上ロール20Aの第2凸部52A、第5凸部58A、又は第6凹部60Aが進入するように上ロール20Aと下ロール20Bとが対向配置されることによって、上ロール20Aと下ロール20Bとの間にギャップ206が形成されているロール20が構成されているものである。
【0047】
また、これら上ロール20A及び下ロール20Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0048】
ロール20は、上ロール20Aと下ロール20Bとでギャップ206に進入した平板12を挟持しながら搬送することで、第1湾曲部82を除く平板12の幅方向両端部を第1湾曲部82と同一方向へ湾曲させ、平板12には、プレート長に沿って延びる深めの第2湾曲部88が形成されると共に第1湾曲部82と第2湾曲部88との間に第1湾曲部82と第2湾曲部88と反対方向へ湾曲する一対の深めの第3湾曲部90が形成されるものである(図3(D)を参照)。
【0049】
すなわち、ロール18とロール20とが平板12を挟持しながら搬送することで、平板12の幅方向両端部を第1湾曲部82と同一方向へ段階的に湾曲させプレート長に沿って延びる第2湾曲部88を形成すると共に第1湾曲部82と第2湾曲部88との間に第1湾曲部82と第2湾曲部88と反対方向へ湾曲しプレート長に沿って延びる一対の第3湾曲部90を形成するようになっている。
【0050】
図1に示される如く、ロール22は、上ロール22Aと下ロール22Bとから構成されている。
【0051】
図2(E)に示される如く、上ロール22Aの周面の回転軸方向中央部には、第7凸部62Aが形成されている。上ロール22Aの周面の回転軸方向両端部には、第8凸部64Aが形成されている。上ロール22Aの周面の回転軸方向において、第7凸部62Aと第8凸部64Aとの間には、第7凸部62A及び第8凸部64Aの起伏方向と反対方向に一対の第9凹部66Aが形成されている。
【0052】
一方、下ロール22Bの周面の回転軸方向中央部には、第7凹部62Bが形成されている。下ロール22Bの周面の回転軸方向両端部には、第8凹部64Bが形成されている。下ロール22Bの周面の回転軸方向において、第7凹部62Bと第8凹部64Bとの間には、第7凹部62B及び第8凹部64Bの起伏方向と反対方向に一対の第9凸部66Bが形成されている。
【0053】
すなわち、この下ロール22Bの第7凹部62B、第8凹部64B、又は第9凸部66Bに上ロール22Aの第7凸部62A、第8凸部64A、又は第9凹部66Aが進入するように上ロール22Aと下ロール22Bとが対向配置されることによって、上ロール22Aと下ロール22Bとの間にギャップ208が形成されているロール22が構成されているものである。
【0054】
また、これら上ロール22A及び下ロール22Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0055】
ロール22は、上ロール22Aと下ロール22Bとでギャップ208に進入した平板12を挟持しながら搬送することで、湾曲した平板12の全体の幅を設定寸法よりも狭めるものである。より詳細には、平板12の幅方向中央部には、第1湾曲部82と同一方向に湾曲しプレート長に沿って延びる第1湾曲部92が形成されるようになっている。平板12の幅方向両端部には、第1湾曲部92と同一方向に湾曲しプレート長に沿って延びる第2湾曲部94が形成されるようになっている。第2湾曲部94の前記幅方向エッジ側は、プレート長に沿って延びる略平坦な第1フランジ部94Aとなっている。平板12には、第1湾曲部92と第2湾曲部94との間に第1湾曲部92及び第2湾曲部94と反対方向へ湾曲しプレート長に沿って延びる一対の第3湾曲部96が形成されるようになっている(図3(E)を参照)。
【0056】
図1に示される如く、ロール24は、上ロール24Aと下ロール24Bとから構成されている。
【0057】
図2(F)に示される如く、上ロール24Aの周面の回転軸方向中央部には、第2凸部52Aが形成されている。上ロール24Aの周面の回転軸方向両端部には、第10凸部68Aが形成されている。上ロール24Aの周面の回転軸方向において、第2凸部52Aと第10凸部68Aとの間には、第2凸部52A及び第10凸部68Aの起伏方向と反対方向に一対の第11凹部70Aが形成されている。
【0058】
一方、下ロール24Bの周面の回転軸方向中央部には、第2凹部52Bが形成されている。下ロール24Bの周面の回転軸方向両端部には、第10凹部68Bが形成されている。下ロール24Bの周面の回転軸方向において、第2凹部52Bと第10凹部68Bとの間には、第2凹部52B及び第10凹部68Bの起伏方向と反対方向に一対の第11凸部70Bが形成されている。
【0059】
すなわち、この下ロール24Bの第2凹部52B、第10凹部68B、又は第11凸部70Bに上ロール24Aの第2凸部52A、第10凸部68A、又は第11凹部70Aが進入するように上ロール24Aと下ロール24Bとが対向配置されることによって、上ロール24Aと下ロール24Bとの間にギャップ210が形成されているロール24が構成されているものである。
【0060】
また、これら上ロール24A及び下ロール24Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0061】
ロール24は、上ロール24Aと下ロール24Bとでギャップ210に進入し平板12を挟持しながら搬送することで、平板12の全体の幅を設定寸法に合わせるように湾曲させることができるものである。より詳細には、平板12の幅方向中央部には、第1湾曲部82が再び形成されるようになっている。平板12の幅方向両端部には、第1湾曲部82と同一方向に湾曲しプレート長に沿って延びる第2湾曲部98が形成されるようになっている。第2湾曲部98の前記幅方向エッジ側は、プレート長に沿って延びる略平坦な第2フランジ部98Aとなっている。平板12には、第1湾曲82と第2湾曲部98との間に第1湾曲部82及び第2湾曲部98と反対方向へ湾曲しプレート長に沿って延びる一対の第3湾曲部100が形成されるようになっている(図3(F)を参照)。
【0062】
すなわち、曲げ加工の対処となる平板12は幅方向に湾曲しているため、いわゆるバネの如く弾性を有する。このため、平板12の全体の幅が設定寸法となるように一遍に成形した場合では、成形後の平板12の全体の幅が設定寸法よりも大きくなってしまい、寸法に狂いが発生してしまう。そこで、本実施の形態では、ロール22により一旦平板12の全体の幅を設定寸法より狭くし、ロール24により平板12の全体の幅を設定寸法に合わせるようにしている。
【0063】
図4には、平板12の幅方向中央部に第1湾曲部82が、また、第1湾曲部82の両側に第1湾曲部82と反対側へ湾曲する第3湾曲部100が、さらに、第3湾曲部100の外側に第2フランジ部98Aを含む第2湾曲部98が形成された湾曲プレート12Aの斜視図が示されている。
【0064】
湾曲プレート12Aをプレート長方向へ曲げ加工してリング状とすることで、金属製中子12Bが製造される(図5を参照)。
【0065】
図5には、湾曲プレート12Aをプレート長方向へ曲げ加工する曲げロール226の斜視図が示されている。
【0066】
曲げロール26は、内側ロール26Aと、外側ロール26Bと、外側ロール26Cと、から構成されている。
【0067】
図6に示される如く、内側ロール26Aの周面の回転軸方向中央部には、第2凹部52Bが形成されている。内側ロール26Aの周面の回転軸方向両端部には、第12凹部102Aが形成されている。内側ロール26Aの周面の回転軸方向において、第2凹部52Bと第12凹部102Aとの間には、第2凹部52B及び第12凹部102Aの起伏方向と反対方向に一対の第11凸部70Bが形成されている。
【0068】
一方、外側ロール26B(外側ロール26C)の周面の回転軸方向中央部には、第2凸部52Aが形成されている。外側ロール26Bの周面の回転軸方向両端部には、第12凸部102Bが形成されている。外側ロール26Bの周面の回転軸方向において、第2凸部52Aと第12凸部102Bとの間には、第2凸部52A及び第12凸部102Bの起伏方向と反対方向に一対の第11凹部70Aが形成されている。
【0069】
すなわち、この内側ロール26Aの第2凹部52B、第11凸部70B、又は第12凹部102Aに外側ロール26B(又は外側ロール26C)の第2凸部52A、第11凹部70A、又は第12凸部102Bが進入するように内側ロール26Aと外側ロール26B(外側ロール26C)とが対向配置されることによって、内側ロール26Aと外側ロール26B(外側ロール26C)との間にギャップ212が形成されている曲げロール26が構成されているものである。
【0070】
曲げロール26は、内側ロール26Aと外側ロール26B(外側ロール26C)とでギャップ212に進入した平板12を挟持しながら搬送することで、湾曲プレート12Bの全体の幅を設定寸法に保ったままプレート長の方向へ曲げ加工するものである。
【0071】
また、これら内側ロール26A及び外側ロール26B(又は外側ロール26C)は、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。ここで、内側ロール26Aの回転周速と外側ロール26Bの回転周速とが異なる。互いに回転周速の異なる2つのロールによって挟持し搬送されることで、湾曲プレート12Aがプレート長の方向に曲げ加工される。
【0072】
また、リング状に成形するための曲げロール26を用いることによって、湾曲プレート12Aの曲げ加工を連続的に行うことができる。
【0073】
ここで、内側ロール26Aと、外側ロール26B(又は外側ロール26C)と、から構成される一対の曲げロールのニップ面に形成される、第1湾曲部82、第3湾曲部100、及び第2フランジ部98Aがはまるクリアランスのうち、金属製中子12Bの第2フランジ部98Aがはまるクリアランスのプレート板厚方向の大きさがt2、第3湾曲部100がはまるクリアランスのプレート板厚方向の大きさがt1となっている。
【0074】
一方、図7に示される如く、湾曲プレート12Aをリング状に曲げ加工することで得られる金属製中子12Bの第3湾曲部100の頂部から回転中心(図7における想像線を参照)までの距離をB、金属製中子12Bの第2フランジ部98Aから回転中心までの距離をAとするとき、t1、t2、A、Bの関係が、以下の関係式(式▲1▼)を満たしている。
【0075】
t1×{(B−A)/A}×0.2≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×5…▲1▼
ここで、t1、t2、A、Bの関係が、以下の関係式(式▲2▼)を満たしていることがより好ましい。
【0076】
t1×{(B−A)/A}×0.4≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×3…▲2▼
上述の式▲1▼又は式▲2▼を満たすように、クリアランスを設けることで、湾曲プレート12Aをプレート長の方向へ曲げ加工した後、金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部にしわが発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。なお、この側面部には、第2湾曲部98のうち第2フランジ部以外の領域も含まれる。
【0077】
上述の式▲1▼又は式▲2▼を満たすようにクリアランスが設けられた内側ロール26Aと外側ロール26Bと外側ロール26Cとが、湾曲プレート12Aを挟持しながら搬送することで、湾曲プレート12Aを曲げ加工することができるようになっている。これにより、図8に示される如く、第2フランジ部98A等の側面部にしわ等が発生しない、所定の寸法の金属製中子12Bを得ることができる。
【0078】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0079】
平板12が中子製造装置10に搬送されると、ロール14が、平板12の幅方向中央部にプレート長に沿って浅めの第1湾曲部80を形成する。
【0080】
ロール14によって浅めの第1湾曲部80が形成されると、ロール16が、平板12の幅方向中央部にプレート長に沿って形成された浅めの第1湾曲部80を深めの第1湾曲部82にする。
【0081】
ロール16によって深めの第1湾曲部82が形成されると、ロール18が、平板12の幅方向両端部にプレート長に沿って浅めの第2湾曲部84を形成すると共に第1湾曲部82と第2湾曲部84との間に一対の浅めの第3湾曲部86を形成する。
【0082】
ロール18によって浅めの第2湾曲部84と一対の浅めの第3湾曲部86とが形成されると、ロール20が、平板12の幅方向両端部にプレート長に沿って形成された浅めの第2湾曲部84を深めの第2湾曲部88にすると共に一対の浅めの第3湾曲部を深めの第3湾曲部90にする。
【0083】
ロール20によって深めの第2湾曲部88と深めの第3湾曲部90とが形成されると、ロール22が、平板12の全体の幅を設定寸法より狭める。
【0084】
ロール22によって平板12の全体の幅が設定寸法より狭められると、ロール24が、平板12の全体の幅を設定寸法にする。
【0085】
平板12の幅方向中央部に第1湾曲部82が、また、第1湾曲部の両側に第1湾曲部82と反対側へ湾曲する第3湾曲部100が、さらに、第3湾曲部100の外側に第2フランジ部98Aを含む第2湾曲部98が形成された湾曲プレート12Aが製造される。
【0086】
湾曲プレート12Aをプレート長方向へ曲げ加工してリング状とすることで、金属製中子12Bが曲げロール26によって製造される。
【0087】
ここで、上述したt1、t2、A、Bの関係が、式▲1▼、より好ましくは式▲2▼を満たしている。式▲1▼又は式▲2▼を満たすようにクリアランスを設けていることで、平板12をプレート長へ曲げ加工した後、金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部にしわが発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保する。
【0088】
上述した如く、平板12の全体の幅を設定寸法となるように一度に湾曲させずに、ロール14〜24を順に用いて平板12の全体の幅を設定寸法となるように次第に湾曲させることで、前記平板12をプレート長の方向へ曲げ加工した後、金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部にしわ等が発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。
(金属製中子を製造する工程の順序の比較)
次に、金属製中子12Bを製造する工程の順序について比較する。
【0089】
成形前の平板12(プレート)を用いて金属性中子12Bを製造する工程には、次の3つが考えられる。
【0090】
▲1▼平板12の幅方向断面を湾曲させる工程を行った後、プレート長の方向へ曲げ加工してリングを作る工程を行う。
【0091】
▲2▼プレート長の方向へ曲げ加工してリングを作る工程を行った後、平板12の幅方向断面を湾曲させる工程を行う。
【0092】
▲3▼プレート長の方向へ曲げ加工してリングを作る工程と、平板12の幅方向断面を湾曲させる工程と、を1つの工程で行う。
【0093】
▲1▼は、本実施の形態で用いた工程である。
【0094】
▲2▼は、平板12の幅方向断面を湾曲させる工程でいわゆる曲げRが大きく変化してしまう。このため、設計通りの寸法に平板12を成形することができない。
【0095】
▲3▼は、▲2▼に比して平板12を成形することが難しく、平板12を設計通りの寸法に成形することができない。
【0096】
以上の事実から、ロールフォーミングで平板12(プレート)を精度良く成形するには、本実施の形態で用いた▲1▼の工程が最良かつ最適である。なお、▲1▼では、平板12の幅方向断面を湾曲させる工程を行った後に、プレート長の方向へ曲げ加工してリングを作る工程を連続して行うライン作業も可能である。
(プレートの幅方向断面を湾曲させる手順)
次に、平板12(プレート)の幅方向断面を湾曲させる手順について説明する。
【0097】
本実施の形態では、ロール14〜24を平板12の搬送方向上流側から下流側に沿って配置し、ロール14〜24を順に用いて平板12の幅方向断面を湾曲させている。
【0098】
ここで、仮にロール14〜24のうち少なくともいずれか1つを湾曲装置11の構成に欠いた場合、あるいは平板12の搬送方向上流側から下流側に沿ってロール14〜24を配置する順序を変更した場合、成形した後の平板12に「ねじれ」が生じてしまう。
【0099】
「ねじれ」が生じた平板12を、プレート長の方向へ曲げ加工してリングを作る工程で処理すると、金属製中子12Bにしわが発生してしまう。特に径の小さい金属製中子12Bでは第2フランジ部98A等の側面部にしわ(波打ち)が集中して現れてしまう。
【0100】
金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部にしわが発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保するには、本実施の形態で実行した、平板12の断面を湾曲させる手順が最良かつ最適である。
(曲げロールのクリアランスの設定)
次に、曲げロール26のクリアランスの設定について説明する。
【0101】
上述したt1、t2、A、Bの関係が、式▲1▼又は式▲2▼を満たすように曲げロール26のクリアランスを設定しない場合、金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部にしわが発生し、特に径の小さい金属製中子12Bでは第2フランジ部98A等の側面部にしわが集中的に発生して所定の寸法精度が得られなくなる。
【0102】
しわの発生は、山形状の断面を有する平板12(プレート)をプレート長の方向へ曲げ加工する際、径の大きくなる山の頂部に対して径の小さな金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部の材料が余ることに起因する。
【0103】
そこで、径が小さくなる部分(金属製中子12Bの第2フランジ部98A等)の材料を余らせないために、t1に対してt2を式▲1▼又は式▲2▼を満たす範囲で大きくすることが必要となる。なお、t1は、平板12の板厚寸法と同じ、あるいは前記板厚寸法以下でなくてはならない。
【0104】
また、式▲1▼及び式▲2▼は、平板12の板厚寸法が0.5mm以上である場合の平板12の成形に限ったものである。なお、前記板厚寸法が0.5mm未満である場合、曲げロール26のクリアランスに勾配を設けなくても、金属製中子12Bのフランジ部等の側面部にはしわ(波打ち)が発生しないが、前記板厚寸法が0.5mm未満の平板12を用いた場合では、ランフラットタイヤに用いられる金属製中子としては、強度不足で実用的ではない。このため、ここでは、前記板厚寸法が0.5mm未満の平板12を用いた場合を考慮の対象とはしていない。
(金属製中子の仕上がり精度の測定)
以下、金属製中子12Bの仕上がり精度(寸法精度)の測定について説明する。
【0105】
図9には、金属製中子12Bの内周部での第2フランジ部98Aの精度を測るゲージ28の上面図が示されている。
【0106】
ゲージ28は、内径ゲージ28Aと外径ゲージ28Bとから構成されている。
【0107】
内側ゲージ28Aと外径ゲージ28Bとの間には、リング状の切欠き28Cが設けられている。
【0108】
図10には、金属製中子12Bと、ゲージ28と、の斜視図が示されている。
【0109】
金属製中子12Bをゲージ28に設けられた切欠き28Cに嵌入できるか否かによって、金属製中子12Bの寸法精度を測ることができるようになっている。
すなわち、金属製中子12Bがゲージ28に設けられた切欠き28に嵌入できるか否かによって、金属製中子12Bの内周部の第2フランジ部98A(径の最も小さい箇所)のしわ(波打ち)の発生具合を評価している。
【0110】
ここでは、引張強さ80kgf/mm2であって、かつ板厚寸法が1.0mmの金属からなる平板12を使用した場合が以下の表1に示されている。
【0111】
【表1】
ここでは、金属製中子12Bの内周部の第2フランジ部98Aで形成される円の直径が、設計寸法に対して±1mmの誤差までを許容範囲とした。
【0112】
表1の「寸法精度」欄において、「◎」及び「○」は「金属製中子12Bが切欠き28Cに嵌入できる」ことを示し、「×」は「金属製中子12Bが切欠き28Cに嵌入できない」ことを示す。また、「◎」は、「○」に比して寸法精度が良いことを示す。
【0113】
「実験1」では、t1、t2、A、Bの関係が、式▲2▼を満たさないが、式▲1▼を満たしている。
【0114】
「実験2」では、t1、t2、A、Bの関係が、式▲1▼及び式▲2▼を満たしている。
【0115】
「比較1」及び「比較2」では、t1、t2、A、Bの関係が、式▲1▼及び式▲2▼の何れも満たさない。
【0116】
表1に示されるデータによれば、t1、t2、A、Bの関係が式▲1▼、より好ましくは式▲2▼を満たしている場合に、金属製中子12Bをゲージ28に設けられた切欠き28Cに嵌入することができ、設計寸法に対して仕上がり精度が良いことがわかる。換言すれば、t1、t2、A、Bの関係が式▲2▼を満たす場合の方が、式▲1▼を満たす場合に比して、設計寸法に対して仕上がり精度が良い。t1、t2、A、Bの関係が式▲2▼を満たすことが最良かつ最適であり、フランジ部98Aにしわが発生することを一層良好に防ぐことができる。
【0117】
なお、本実施の形態では、平板12をプレートとして用いた場合について説明したが、これに限らない。図11に示される如く、平板12に代えて、パンチングメタル30を用いた場合であっても、中子製造装置10によって金属製中子を製造することができる。ここで、パンチングメタル30に形成された孔の形状は、四角、六角、丸型等、如何なる形状でもよいが、丸型の孔が形成されたパンチングメタルの強度が最も強く、金属製中子の製造に適している。また、パンチングメタル30を用いることで、金属製中子の軽量化を行うことができる。
【0118】
また、プレートの材料として用いられる金属として特に制限はしていないが、一般的に使用される高張力鋼の他にSUS又は超強力鋼と呼ばれる合金などをプレートの材料として用いても良い。
【0119】
本発明の実施の形態によれば、平板12(プレート)の全体の幅を設定寸法となるように一度に湾曲させずに、ロール14〜24を順に用いて平板12の全体の幅を設定寸法となるように次第に湾曲させることで、平板12をプレート長の方向へ曲げ加工した後、第2フランジ部98A等の側面部にしわ等が発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。
【0120】
【発明の効果】
本発明によれば、金属プレートの全体の幅を設定寸法となるように一度に湾曲させずに、成形ロールを順に用いてプレートの全体の幅を設定寸法となるように次第に湾曲させることで、前記プレートをプレート長の方向へ曲げ加工した後、プレートの側面部にしわ等が発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る、金属製中子の製造装置を構成する湾曲装置の概略構成図である。
【図2】(A)は本発明の実施の形態に係る第1ロールの回転軸方向断面図、(B)は第2ロールの回転軸方向断面図、(C)は第3ロールの回転軸方向断面図、(D)は第4ロールの回転軸方向断面図、(E)は第5ロールの回転軸方向断面図、(F)は第6ロールの回転軸方向断面図である。
【図3】(A)は本発明の実施の形態に係る第1ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図、(B)は第2ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図、(C)は第3ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図、(D)は第4ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図、(E)は第5ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図、(F)は第6ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る湾曲プレートの斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る、金属製中子の製造装置を構成する曲げロールの斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る曲げロールの回転軸方向断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る金属製中子の回転軸方向断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る金属製中子の側面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るゲージの上面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る、金属製中子と、ゲージと、の斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る、パンチングメタルを加工している場合における湾曲装置の斜視図である。
【符号の説明】
10 金属製中子の製造装置
11 湾曲装置
12 平板(金属プレート)
12A 湾曲プレート
12B 金属製中子
14 ロール(成形ロール)
16 ロール(成形ロール)
18 ロール(成形ロール)
20 ロール(成形ロール)
22 ロール(成形ロール)
24 ロール(成形ロール)
26 曲げロール
30 パンチングメタル(金属プレート)
80 第1湾曲部
82 第1湾曲部
84 第2湾曲部
86 第3湾曲部
88 第2湾曲部
90 第3湾曲部
92 第1湾曲部
94 第2湾曲部
94A 第1フランジ部
96 第3湾曲部
98 第2湾曲部
98A 第2フランジ部(フランジ部)
100 第3湾曲部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−297226号公報(以下、先行技術1という。)、W099/19158号公報(以下、先行技術2という。)、W099/64260号公報(以下、先行技術3という。)、及び特開平2001−163020号公報(以下、先行技術4という。)には、ランフラットタイヤに用いられる金属製中子が記載されている。
【0003】
先行技術1乃至先行技術4に記載されている金属製中子を構成する金属部には、一般的に50kgf/mm2以上の引張強さを有する高張力鋼が使用されている。
【0004】
しかしながら、高張力鋼は、他の金属よりも高い強度を有するため、先行技術1乃至先行技術4に記載されている形状に精度良く成形することが困難であった。
【0005】
ここで、従来より、先行技術1乃至先行技術4が示す形状に高張力鋼を成形する際には、ヘラ絞り加工(スピニング加工)、ハイドロフォーム加工、ロールフォーミング等の方法が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヘラ絞り加工では、成形後の寸法精度及び製品としての強度特性は十分であるが、その反面、1つ1つが手作りであるため、ヘラ絞りを行う作業者によって、寸法精度及び強度特性にばらつきが生じてしまう。すなわち、ヘラ絞り加工は、量産安定性に問題があり、量産するには不向きである。
【0007】
また、ハイドロフォーム加工では、金属製中子を成形した後、非常に高い寸法精度を得ることが可能であるが、寸法精度は金属製中子の製造時のバルジ圧に大きく依存しており、成形する高張力鋼に対するバルジ圧のコントロールが困難であるという問題がある。また、パンチング加工を施した金属(パンチングメタル)を成形することは、製造上不可能であるという問題がある。
【0008】
また、ロールフォーミングは、コストパフォーマンスの良い金属製中子の製法であり、かつパンチングメタルを成形することにも適しているが、目的とする製品形状に成形するためには、高張力鋼をリング状に成形する曲げ工程が必要であり、金属製中子の製造精度(寸法精度)を確保することが困難であった。このため、金属製中子の所望の性能が十分には得られないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、所定の寸法精度を確保できる、ランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、長尺状の金属プレートの幅方向中央部を板厚方向へ湾曲させプレート長に沿って延びる第1湾曲部を形成する第1工程と、プレートの幅方向両端部を第1湾曲部と同一方向へ湾曲させプレート長に沿って延びる第2湾曲部を形成すると共に第1湾曲部と第2湾曲部との間に第1湾曲部と第2湾曲部と反対方向へ湾曲しプレート長に沿って延びる一対の第3湾曲部を形成する第2工程と、湾曲した金属プレートの全体の幅を設定寸法より狭める第3工程と、湾曲した金属プレートの全体の幅を設定寸法にする第4工程と、金属プレートをプレート長の方向へ曲げ加工してリング状とする第5工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、まず金属プレート(以下、単に「プレート」という。)の全体の幅を設定寸法にし、次にプレート長の方向へ曲げ加工する。なお、「プレート」には、平板とパンチングメタルとが含まれる。ここで、第1乃至第4工程では、プレートの全体の幅を設定寸法にするために一度に湾曲させずに、プレートの全体の幅を、設定寸法となるように次第に湾曲させることで、前記プレートをプレート長の方向へ曲げ加工した後、プレートの側面部にしわ等が発生することを防ぐ。ここで、「側面部」とは、山形状の断面を有するプレートをプレート長の方向へ曲げ加工する際、前記プレートにおいて径の大きくなる山の頂部に対して径の小さくなる部分であって、プレート長に沿って延びるように形成された部分をいう。また、曲げ加工の対象となるプレートは幅方向に湾曲しているため、いわゆるバネの如く弾性を有する。このため、プレートの全体の幅が設定寸法となるように一遍に成形した場合では、成形後のプレートの全体の幅が設定寸法よりも大きくなってしまい、寸法に狂いが発生してしまう。そこで、本発明では、第3工程で、一旦プレートの全体の幅を設定寸法より狭くし、第4工程で、プレートの全体の幅を設定寸法に合わせるようにしている。これにより、プレートの全体の幅が設定寸法よりも大きくなることが無くなり、寸法に狂いが発生することを防ぐ。上述した如く、第1乃至第5工程を経て金属製中子を作成することで、しわ等によって寸法の狂いが発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。なお、所定の湾曲部(第1乃至第3湾曲部のうち何れか)を形成する際には、プレートを段階的に湾曲させるようにしてもよい。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、第1乃至第4工程のうち少なくとも1つの工程において、少なくとも一対の成形ロールで前記金属プレートを挟持して湾曲させることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、第1乃至第4工程のうち少なくとも1つの工程において、少なくとも一対の成形ロールを用いてプレートの幅方向に湾曲部を形成した後、前記プレートをプレート長の方向へ曲げ加工してリングを作ることで、プレートの側面部にしわ等が発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は前記請求項2に記載の発明において、第5工程において、リング状に成形するための少なくとも一対の曲げロールを用いることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、第5工程において、リング状に成形するための少なくとも一対の曲げロールを用いることによって、曲げ加工を連続的に行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、第4工程において、湾曲した金属プレートの全体の幅を設定寸法にすると共に第3湾曲部の前記幅方向外側にプレート長に沿って延びるフランジ部を形成するランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法において、t1、t2、A、Bの関係が、
t1×{(B−A)/A}×0.2≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×5
を満たすことを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、
t1×{(B−A)/A}×0.2≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×5
で示される関係式を満たすようにクリアランスを設けることで、プレートをプレート長の方向へ曲げ加工した後、フランジ部等の側面部にしわが発生することを防ぐ。これにより、しわ等によって寸法の狂いが発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記請求項3又は前記請求項4に記載の発明において、t1、t2、A、Bの関係が、
t1×{(B−A)/A}×0.4≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×3
を満たすことを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、
t1×{(B−A)/A}×0.4≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×3
で示される関係式を満たすようにクリアランスを設けることがより好ましい。前記関係式を満たすようにクリアランスを設けることで、プレートをプレート長の方向へ曲げ加工した後、フランジ部等の側面部にしわが発生することを一層良好に防ぐことができる。これにより、所定の寸法精度を確保できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
図1には、本実施の形態に係る、ランフラットタイヤに用いられる金属性中子の製造装置(以下、「中子製造装置」という。)10を構成する湾曲装置11の概略構成が示されている。ここで、中子製造装置10は、湾曲装置11と曲げロール26(後述)とから構成されている。
【0022】
湾曲装置11は、プレートの幅方向中央部等を板厚方向に湾曲させプレート長に沿って延びる湾曲部を設けるものである。以下、平板12をプレートとして扱うものとして説明する。
【0023】
湾曲装置11には、前記平板12の搬送方向上流側から下流側に向かってロール14〜24が順に設けられている。
【0024】
ロール14は、上ロール14Aと下ロール14Bとから構成されている。
【0025】
図2(A)に示される如く、上ロール14Aの周面の回転軸方向中央部には、第1凸部50Aが形成されている。
【0026】
一方、下ロール14Bの周面の回転軸方向中央部には、第1凹部50Bが形成されている。
【0027】
すなわち、この下ロール14Bの第1凹部50Bに上ロール14Aの第1凸部50Aが進入するように上ロール14Aと下ロール14Bとが対向配置されることによって、上ロール14Aと下ロール14Bとの間にギャップ200が形成されているロール14が構成されているものである。
【0028】
また、これら上ロール14A及び下ロール14Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0029】
ロール14は、上ロール14Aと下ロール14Bとでギャップ200に進入した平板12を挟持しながら搬送することで、平板12の幅方向中央部を板厚方向へ湾曲させるものである。これにより、平板12には、プレート長に沿って延びる浅めの第1湾曲部80が形成されるようになっている(図3(A)を参照)。
【0030】
図1に示される如く、ロール16は、上ロール16Aと下ロール16Bとから構成されている。
【0031】
図2(B)に示される如く、上ロール16Aの周面の回転軸方向中央部には、上ロール14Aに形成された第1凸部50Aよりも起伏の大きい第2凸部52Aが形成されている。
【0032】
一方、下ロール16Bの周面の回転軸方向中央部には、下ロール14Bに形成された第1凹部50Bよりも起伏の大きい第2凹部52Bが形成されている。
【0033】
すなわち、この下ロール16Bの第2凹部52Bに上ロール16Aの第2凸部52Aが進入するように上ロール16Aと下ロール16Bとが対向配置されることによって、上ロール16Aと下ロール16Bとの間にギャップ202が形成されているロール16が構成されているものである。
【0034】
また、これら上ロール16A及び下ロール16Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0035】
ロール16は、上ロール16Aと下ロール16Bとでギャップ202に進入した平板12を挟持しながら搬送することで、平板12の幅方向中央部を板厚方向へ湾曲させるものである。これにより、平板12には、プレート長に沿って延びる深めの第1湾曲部82が形成されるようになっている(図3(B)を参照)。
【0036】
すなわち、ロール14とロール16とが平板12を挟持しながら搬送することで、平板12の幅方向中央部を板厚方向へ段階的に湾曲させプレート長に沿って延びる第1湾曲部82を形成するようになっている。
【0037】
図1に示される如く、ロール18は、上ロール18Aと下ロール18Bとから構成されている。
【0038】
図2(C)に示される如く、上ロール18Aの周面の回転軸方向中央部には、第2凸部52Aが形成されている。上ロール18Aの周面の回転軸方向両端部には、第3凸部54Aが第2凸部52Aの起伏方向と同一方向に形成されている。上ロール18Aの周面の回転軸方向において、第2凸部52Aと第3凸部54Aとの間には、第2凸部52A及び第3凸部54Aの起伏方向と反対方向に一対の第4凹部56Aが形成されている。
【0039】
一方、下ロール18Bの周面の回転軸方向中央部には、第2凹部52Bが形成されている。下ロール18Bの周面の回転軸方向両端部には、第3凹部54Bが第2凹部52Bの起伏方向と同一方向に形成されている。下ロール18Bの周面の回転軸方向において、第2凹部52Bと第3凹部54Bとの間には、第2凹部52B及び第3凹部54Bの起伏方向と反対方向に一対の第4凸部56Bが形成されている。
【0040】
すなわち、この下ロール18Bの第2凹部52B、第3凹部54B、又は第4凸部56Bに上ロール18Aの第2凸部52A、第3凸部54A、又は第4凹部56Aが進入するように上ロール18Aと下ロール18Bとが対向配置されることによって、上ロール18Aと下ロール18Bとの間にギャップ204が形成されているロール18が構成されているものである。
【0041】
また、これら上ロール18A及び下ロール18Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0042】
ロール18は、上ロール18Aと下ロール18Bとでギャップ204に進入し平板12を挟持しながら搬送することで、第1湾曲部82を除く平板12の幅方向両端部を第1湾曲部82と同一方向へ湾曲させ、平板12には、プレート長に沿って延びる浅めの第2湾曲部84が形成されると共に第1湾曲部82と第2湾曲部84との間に第1湾曲部82と第2湾曲部84と反対方向へ湾曲しプレート長に沿って延びる一対の浅めの第3湾曲部86が形成されるものである(図3(C)を参照)。
【0043】
図1に示される如く、ロール20は、上ロール20Aと下ロール20Bとから構成されている。
【0044】
図2(D)に示される如く、上ロール20Aの周面の回転軸方向中央部には、第2凸部52Aが形成されている。上ロール20Aの周面の回転軸方向両端部には、第3凸部54Aよりも起伏の大きい第5凸部58Aが第3凸部54Aの起伏方向と同一方向に形成されている。上ロール20Aの周面の回転軸方向において、第2凸部52Aと第5凸部58Aとの間には、第2凸部52A及び第5凸部58Aの起伏方向と反対方向に一対の第6凹部60Aが形成されている。
【0045】
一方、下ロール20Bの周面の回転軸方向中央部には、第2凹部52Bが形成されている。下ロール20Bの周面の回転軸方向両端部には、第3凹部54Bよりも起伏の大きい第5凹部58Bが第3凹部54Bの起伏方向と同一方向に形成されている。下ロール20Bの周面の回転軸方向において、第2凹部52Bと第5凹部58Bとの間には、第2凹部52B及び第5凹部58Bの起伏方向と反対方向に一対の第6凸部60Bが形成されている。
【0046】
すなわち、この下ロール20Bの第2凹部52B、第5凹部58B、又は第6凸部60Bに上ロール20Aの第2凸部52A、第5凸部58A、又は第6凹部60Aが進入するように上ロール20Aと下ロール20Bとが対向配置されることによって、上ロール20Aと下ロール20Bとの間にギャップ206が形成されているロール20が構成されているものである。
【0047】
また、これら上ロール20A及び下ロール20Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0048】
ロール20は、上ロール20Aと下ロール20Bとでギャップ206に進入した平板12を挟持しながら搬送することで、第1湾曲部82を除く平板12の幅方向両端部を第1湾曲部82と同一方向へ湾曲させ、平板12には、プレート長に沿って延びる深めの第2湾曲部88が形成されると共に第1湾曲部82と第2湾曲部88との間に第1湾曲部82と第2湾曲部88と反対方向へ湾曲する一対の深めの第3湾曲部90が形成されるものである(図3(D)を参照)。
【0049】
すなわち、ロール18とロール20とが平板12を挟持しながら搬送することで、平板12の幅方向両端部を第1湾曲部82と同一方向へ段階的に湾曲させプレート長に沿って延びる第2湾曲部88を形成すると共に第1湾曲部82と第2湾曲部88との間に第1湾曲部82と第2湾曲部88と反対方向へ湾曲しプレート長に沿って延びる一対の第3湾曲部90を形成するようになっている。
【0050】
図1に示される如く、ロール22は、上ロール22Aと下ロール22Bとから構成されている。
【0051】
図2(E)に示される如く、上ロール22Aの周面の回転軸方向中央部には、第7凸部62Aが形成されている。上ロール22Aの周面の回転軸方向両端部には、第8凸部64Aが形成されている。上ロール22Aの周面の回転軸方向において、第7凸部62Aと第8凸部64Aとの間には、第7凸部62A及び第8凸部64Aの起伏方向と反対方向に一対の第9凹部66Aが形成されている。
【0052】
一方、下ロール22Bの周面の回転軸方向中央部には、第7凹部62Bが形成されている。下ロール22Bの周面の回転軸方向両端部には、第8凹部64Bが形成されている。下ロール22Bの周面の回転軸方向において、第7凹部62Bと第8凹部64Bとの間には、第7凹部62B及び第8凹部64Bの起伏方向と反対方向に一対の第9凸部66Bが形成されている。
【0053】
すなわち、この下ロール22Bの第7凹部62B、第8凹部64B、又は第9凸部66Bに上ロール22Aの第7凸部62A、第8凸部64A、又は第9凹部66Aが進入するように上ロール22Aと下ロール22Bとが対向配置されることによって、上ロール22Aと下ロール22Bとの間にギャップ208が形成されているロール22が構成されているものである。
【0054】
また、これら上ロール22A及び下ロール22Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0055】
ロール22は、上ロール22Aと下ロール22Bとでギャップ208に進入した平板12を挟持しながら搬送することで、湾曲した平板12の全体の幅を設定寸法よりも狭めるものである。より詳細には、平板12の幅方向中央部には、第1湾曲部82と同一方向に湾曲しプレート長に沿って延びる第1湾曲部92が形成されるようになっている。平板12の幅方向両端部には、第1湾曲部92と同一方向に湾曲しプレート長に沿って延びる第2湾曲部94が形成されるようになっている。第2湾曲部94の前記幅方向エッジ側は、プレート長に沿って延びる略平坦な第1フランジ部94Aとなっている。平板12には、第1湾曲部92と第2湾曲部94との間に第1湾曲部92及び第2湾曲部94と反対方向へ湾曲しプレート長に沿って延びる一対の第3湾曲部96が形成されるようになっている(図3(E)を参照)。
【0056】
図1に示される如く、ロール24は、上ロール24Aと下ロール24Bとから構成されている。
【0057】
図2(F)に示される如く、上ロール24Aの周面の回転軸方向中央部には、第2凸部52Aが形成されている。上ロール24Aの周面の回転軸方向両端部には、第10凸部68Aが形成されている。上ロール24Aの周面の回転軸方向において、第2凸部52Aと第10凸部68Aとの間には、第2凸部52A及び第10凸部68Aの起伏方向と反対方向に一対の第11凹部70Aが形成されている。
【0058】
一方、下ロール24Bの周面の回転軸方向中央部には、第2凹部52Bが形成されている。下ロール24Bの周面の回転軸方向両端部には、第10凹部68Bが形成されている。下ロール24Bの周面の回転軸方向において、第2凹部52Bと第10凹部68Bとの間には、第2凹部52B及び第10凹部68Bの起伏方向と反対方向に一対の第11凸部70Bが形成されている。
【0059】
すなわち、この下ロール24Bの第2凹部52B、第10凹部68B、又は第11凸部70Bに上ロール24Aの第2凸部52A、第10凸部68A、又は第11凹部70Aが進入するように上ロール24Aと下ロール24Bとが対向配置されることによって、上ロール24Aと下ロール24Bとの間にギャップ210が形成されているロール24が構成されているものである。
【0060】
また、これら上ロール24A及び下ロール24Bは、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0061】
ロール24は、上ロール24Aと下ロール24Bとでギャップ210に進入し平板12を挟持しながら搬送することで、平板12の全体の幅を設定寸法に合わせるように湾曲させることができるものである。より詳細には、平板12の幅方向中央部には、第1湾曲部82が再び形成されるようになっている。平板12の幅方向両端部には、第1湾曲部82と同一方向に湾曲しプレート長に沿って延びる第2湾曲部98が形成されるようになっている。第2湾曲部98の前記幅方向エッジ側は、プレート長に沿って延びる略平坦な第2フランジ部98Aとなっている。平板12には、第1湾曲82と第2湾曲部98との間に第1湾曲部82及び第2湾曲部98と反対方向へ湾曲しプレート長に沿って延びる一対の第3湾曲部100が形成されるようになっている(図3(F)を参照)。
【0062】
すなわち、曲げ加工の対処となる平板12は幅方向に湾曲しているため、いわゆるバネの如く弾性を有する。このため、平板12の全体の幅が設定寸法となるように一遍に成形した場合では、成形後の平板12の全体の幅が設定寸法よりも大きくなってしまい、寸法に狂いが発生してしまう。そこで、本実施の形態では、ロール22により一旦平板12の全体の幅を設定寸法より狭くし、ロール24により平板12の全体の幅を設定寸法に合わせるようにしている。
【0063】
図4には、平板12の幅方向中央部に第1湾曲部82が、また、第1湾曲部82の両側に第1湾曲部82と反対側へ湾曲する第3湾曲部100が、さらに、第3湾曲部100の外側に第2フランジ部98Aを含む第2湾曲部98が形成された湾曲プレート12Aの斜視図が示されている。
【0064】
湾曲プレート12Aをプレート長方向へ曲げ加工してリング状とすることで、金属製中子12Bが製造される(図5を参照)。
【0065】
図5には、湾曲プレート12Aをプレート長方向へ曲げ加工する曲げロール226の斜視図が示されている。
【0066】
曲げロール26は、内側ロール26Aと、外側ロール26Bと、外側ロール26Cと、から構成されている。
【0067】
図6に示される如く、内側ロール26Aの周面の回転軸方向中央部には、第2凹部52Bが形成されている。内側ロール26Aの周面の回転軸方向両端部には、第12凹部102Aが形成されている。内側ロール26Aの周面の回転軸方向において、第2凹部52Bと第12凹部102Aとの間には、第2凹部52B及び第12凹部102Aの起伏方向と反対方向に一対の第11凸部70Bが形成されている。
【0068】
一方、外側ロール26B(外側ロール26C)の周面の回転軸方向中央部には、第2凸部52Aが形成されている。外側ロール26Bの周面の回転軸方向両端部には、第12凸部102Bが形成されている。外側ロール26Bの周面の回転軸方向において、第2凸部52Aと第12凸部102Bとの間には、第2凸部52A及び第12凸部102Bの起伏方向と反対方向に一対の第11凹部70Aが形成されている。
【0069】
すなわち、この内側ロール26Aの第2凹部52B、第11凸部70B、又は第12凹部102Aに外側ロール26B(又は外側ロール26C)の第2凸部52A、第11凹部70A、又は第12凸部102Bが進入するように内側ロール26Aと外側ロール26B(外側ロール26C)とが対向配置されることによって、内側ロール26Aと外側ロール26B(外側ロール26C)との間にギャップ212が形成されている曲げロール26が構成されているものである。
【0070】
曲げロール26は、内側ロール26Aと外側ロール26B(外側ロール26C)とでギャップ212に進入した平板12を挟持しながら搬送することで、湾曲プレート12Bの全体の幅を設定寸法に保ったままプレート長の方向へ曲げ加工するものである。
【0071】
また、これら内側ロール26A及び外側ロール26B(又は外側ロール26C)は、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。ここで、内側ロール26Aの回転周速と外側ロール26Bの回転周速とが異なる。互いに回転周速の異なる2つのロールによって挟持し搬送されることで、湾曲プレート12Aがプレート長の方向に曲げ加工される。
【0072】
また、リング状に成形するための曲げロール26を用いることによって、湾曲プレート12Aの曲げ加工を連続的に行うことができる。
【0073】
ここで、内側ロール26Aと、外側ロール26B(又は外側ロール26C)と、から構成される一対の曲げロールのニップ面に形成される、第1湾曲部82、第3湾曲部100、及び第2フランジ部98Aがはまるクリアランスのうち、金属製中子12Bの第2フランジ部98Aがはまるクリアランスのプレート板厚方向の大きさがt2、第3湾曲部100がはまるクリアランスのプレート板厚方向の大きさがt1となっている。
【0074】
一方、図7に示される如く、湾曲プレート12Aをリング状に曲げ加工することで得られる金属製中子12Bの第3湾曲部100の頂部から回転中心(図7における想像線を参照)までの距離をB、金属製中子12Bの第2フランジ部98Aから回転中心までの距離をAとするとき、t1、t2、A、Bの関係が、以下の関係式(式▲1▼)を満たしている。
【0075】
t1×{(B−A)/A}×0.2≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×5…▲1▼
ここで、t1、t2、A、Bの関係が、以下の関係式(式▲2▼)を満たしていることがより好ましい。
【0076】
t1×{(B−A)/A}×0.4≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×3…▲2▼
上述の式▲1▼又は式▲2▼を満たすように、クリアランスを設けることで、湾曲プレート12Aをプレート長の方向へ曲げ加工した後、金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部にしわが発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。なお、この側面部には、第2湾曲部98のうち第2フランジ部以外の領域も含まれる。
【0077】
上述の式▲1▼又は式▲2▼を満たすようにクリアランスが設けられた内側ロール26Aと外側ロール26Bと外側ロール26Cとが、湾曲プレート12Aを挟持しながら搬送することで、湾曲プレート12Aを曲げ加工することができるようになっている。これにより、図8に示される如く、第2フランジ部98A等の側面部にしわ等が発生しない、所定の寸法の金属製中子12Bを得ることができる。
【0078】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0079】
平板12が中子製造装置10に搬送されると、ロール14が、平板12の幅方向中央部にプレート長に沿って浅めの第1湾曲部80を形成する。
【0080】
ロール14によって浅めの第1湾曲部80が形成されると、ロール16が、平板12の幅方向中央部にプレート長に沿って形成された浅めの第1湾曲部80を深めの第1湾曲部82にする。
【0081】
ロール16によって深めの第1湾曲部82が形成されると、ロール18が、平板12の幅方向両端部にプレート長に沿って浅めの第2湾曲部84を形成すると共に第1湾曲部82と第2湾曲部84との間に一対の浅めの第3湾曲部86を形成する。
【0082】
ロール18によって浅めの第2湾曲部84と一対の浅めの第3湾曲部86とが形成されると、ロール20が、平板12の幅方向両端部にプレート長に沿って形成された浅めの第2湾曲部84を深めの第2湾曲部88にすると共に一対の浅めの第3湾曲部を深めの第3湾曲部90にする。
【0083】
ロール20によって深めの第2湾曲部88と深めの第3湾曲部90とが形成されると、ロール22が、平板12の全体の幅を設定寸法より狭める。
【0084】
ロール22によって平板12の全体の幅が設定寸法より狭められると、ロール24が、平板12の全体の幅を設定寸法にする。
【0085】
平板12の幅方向中央部に第1湾曲部82が、また、第1湾曲部の両側に第1湾曲部82と反対側へ湾曲する第3湾曲部100が、さらに、第3湾曲部100の外側に第2フランジ部98Aを含む第2湾曲部98が形成された湾曲プレート12Aが製造される。
【0086】
湾曲プレート12Aをプレート長方向へ曲げ加工してリング状とすることで、金属製中子12Bが曲げロール26によって製造される。
【0087】
ここで、上述したt1、t2、A、Bの関係が、式▲1▼、より好ましくは式▲2▼を満たしている。式▲1▼又は式▲2▼を満たすようにクリアランスを設けていることで、平板12をプレート長へ曲げ加工した後、金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部にしわが発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保する。
【0088】
上述した如く、平板12の全体の幅を設定寸法となるように一度に湾曲させずに、ロール14〜24を順に用いて平板12の全体の幅を設定寸法となるように次第に湾曲させることで、前記平板12をプレート長の方向へ曲げ加工した後、金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部にしわ等が発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。
(金属製中子を製造する工程の順序の比較)
次に、金属製中子12Bを製造する工程の順序について比較する。
【0089】
成形前の平板12(プレート)を用いて金属性中子12Bを製造する工程には、次の3つが考えられる。
【0090】
▲1▼平板12の幅方向断面を湾曲させる工程を行った後、プレート長の方向へ曲げ加工してリングを作る工程を行う。
【0091】
▲2▼プレート長の方向へ曲げ加工してリングを作る工程を行った後、平板12の幅方向断面を湾曲させる工程を行う。
【0092】
▲3▼プレート長の方向へ曲げ加工してリングを作る工程と、平板12の幅方向断面を湾曲させる工程と、を1つの工程で行う。
【0093】
▲1▼は、本実施の形態で用いた工程である。
【0094】
▲2▼は、平板12の幅方向断面を湾曲させる工程でいわゆる曲げRが大きく変化してしまう。このため、設計通りの寸法に平板12を成形することができない。
【0095】
▲3▼は、▲2▼に比して平板12を成形することが難しく、平板12を設計通りの寸法に成形することができない。
【0096】
以上の事実から、ロールフォーミングで平板12(プレート)を精度良く成形するには、本実施の形態で用いた▲1▼の工程が最良かつ最適である。なお、▲1▼では、平板12の幅方向断面を湾曲させる工程を行った後に、プレート長の方向へ曲げ加工してリングを作る工程を連続して行うライン作業も可能である。
(プレートの幅方向断面を湾曲させる手順)
次に、平板12(プレート)の幅方向断面を湾曲させる手順について説明する。
【0097】
本実施の形態では、ロール14〜24を平板12の搬送方向上流側から下流側に沿って配置し、ロール14〜24を順に用いて平板12の幅方向断面を湾曲させている。
【0098】
ここで、仮にロール14〜24のうち少なくともいずれか1つを湾曲装置11の構成に欠いた場合、あるいは平板12の搬送方向上流側から下流側に沿ってロール14〜24を配置する順序を変更した場合、成形した後の平板12に「ねじれ」が生じてしまう。
【0099】
「ねじれ」が生じた平板12を、プレート長の方向へ曲げ加工してリングを作る工程で処理すると、金属製中子12Bにしわが発生してしまう。特に径の小さい金属製中子12Bでは第2フランジ部98A等の側面部にしわ(波打ち)が集中して現れてしまう。
【0100】
金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部にしわが発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保するには、本実施の形態で実行した、平板12の断面を湾曲させる手順が最良かつ最適である。
(曲げロールのクリアランスの設定)
次に、曲げロール26のクリアランスの設定について説明する。
【0101】
上述したt1、t2、A、Bの関係が、式▲1▼又は式▲2▼を満たすように曲げロール26のクリアランスを設定しない場合、金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部にしわが発生し、特に径の小さい金属製中子12Bでは第2フランジ部98A等の側面部にしわが集中的に発生して所定の寸法精度が得られなくなる。
【0102】
しわの発生は、山形状の断面を有する平板12(プレート)をプレート長の方向へ曲げ加工する際、径の大きくなる山の頂部に対して径の小さな金属製中子12Bの第2フランジ部98A等の側面部の材料が余ることに起因する。
【0103】
そこで、径が小さくなる部分(金属製中子12Bの第2フランジ部98A等)の材料を余らせないために、t1に対してt2を式▲1▼又は式▲2▼を満たす範囲で大きくすることが必要となる。なお、t1は、平板12の板厚寸法と同じ、あるいは前記板厚寸法以下でなくてはならない。
【0104】
また、式▲1▼及び式▲2▼は、平板12の板厚寸法が0.5mm以上である場合の平板12の成形に限ったものである。なお、前記板厚寸法が0.5mm未満である場合、曲げロール26のクリアランスに勾配を設けなくても、金属製中子12Bのフランジ部等の側面部にはしわ(波打ち)が発生しないが、前記板厚寸法が0.5mm未満の平板12を用いた場合では、ランフラットタイヤに用いられる金属製中子としては、強度不足で実用的ではない。このため、ここでは、前記板厚寸法が0.5mm未満の平板12を用いた場合を考慮の対象とはしていない。
(金属製中子の仕上がり精度の測定)
以下、金属製中子12Bの仕上がり精度(寸法精度)の測定について説明する。
【0105】
図9には、金属製中子12Bの内周部での第2フランジ部98Aの精度を測るゲージ28の上面図が示されている。
【0106】
ゲージ28は、内径ゲージ28Aと外径ゲージ28Bとから構成されている。
【0107】
内側ゲージ28Aと外径ゲージ28Bとの間には、リング状の切欠き28Cが設けられている。
【0108】
図10には、金属製中子12Bと、ゲージ28と、の斜視図が示されている。
【0109】
金属製中子12Bをゲージ28に設けられた切欠き28Cに嵌入できるか否かによって、金属製中子12Bの寸法精度を測ることができるようになっている。
すなわち、金属製中子12Bがゲージ28に設けられた切欠き28に嵌入できるか否かによって、金属製中子12Bの内周部の第2フランジ部98A(径の最も小さい箇所)のしわ(波打ち)の発生具合を評価している。
【0110】
ここでは、引張強さ80kgf/mm2であって、かつ板厚寸法が1.0mmの金属からなる平板12を使用した場合が以下の表1に示されている。
【0111】
【表1】
ここでは、金属製中子12Bの内周部の第2フランジ部98Aで形成される円の直径が、設計寸法に対して±1mmの誤差までを許容範囲とした。
【0112】
表1の「寸法精度」欄において、「◎」及び「○」は「金属製中子12Bが切欠き28Cに嵌入できる」ことを示し、「×」は「金属製中子12Bが切欠き28Cに嵌入できない」ことを示す。また、「◎」は、「○」に比して寸法精度が良いことを示す。
【0113】
「実験1」では、t1、t2、A、Bの関係が、式▲2▼を満たさないが、式▲1▼を満たしている。
【0114】
「実験2」では、t1、t2、A、Bの関係が、式▲1▼及び式▲2▼を満たしている。
【0115】
「比較1」及び「比較2」では、t1、t2、A、Bの関係が、式▲1▼及び式▲2▼の何れも満たさない。
【0116】
表1に示されるデータによれば、t1、t2、A、Bの関係が式▲1▼、より好ましくは式▲2▼を満たしている場合に、金属製中子12Bをゲージ28に設けられた切欠き28Cに嵌入することができ、設計寸法に対して仕上がり精度が良いことがわかる。換言すれば、t1、t2、A、Bの関係が式▲2▼を満たす場合の方が、式▲1▼を満たす場合に比して、設計寸法に対して仕上がり精度が良い。t1、t2、A、Bの関係が式▲2▼を満たすことが最良かつ最適であり、フランジ部98Aにしわが発生することを一層良好に防ぐことができる。
【0117】
なお、本実施の形態では、平板12をプレートとして用いた場合について説明したが、これに限らない。図11に示される如く、平板12に代えて、パンチングメタル30を用いた場合であっても、中子製造装置10によって金属製中子を製造することができる。ここで、パンチングメタル30に形成された孔の形状は、四角、六角、丸型等、如何なる形状でもよいが、丸型の孔が形成されたパンチングメタルの強度が最も強く、金属製中子の製造に適している。また、パンチングメタル30を用いることで、金属製中子の軽量化を行うことができる。
【0118】
また、プレートの材料として用いられる金属として特に制限はしていないが、一般的に使用される高張力鋼の他にSUS又は超強力鋼と呼ばれる合金などをプレートの材料として用いても良い。
【0119】
本発明の実施の形態によれば、平板12(プレート)の全体の幅を設定寸法となるように一度に湾曲させずに、ロール14〜24を順に用いて平板12の全体の幅を設定寸法となるように次第に湾曲させることで、平板12をプレート長の方向へ曲げ加工した後、第2フランジ部98A等の側面部にしわ等が発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。
【0120】
【発明の効果】
本発明によれば、金属プレートの全体の幅を設定寸法となるように一度に湾曲させずに、成形ロールを順に用いてプレートの全体の幅を設定寸法となるように次第に湾曲させることで、前記プレートをプレート長の方向へ曲げ加工した後、プレートの側面部にしわ等が発生することを防ぎ、所定の寸法精度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る、金属製中子の製造装置を構成する湾曲装置の概略構成図である。
【図2】(A)は本発明の実施の形態に係る第1ロールの回転軸方向断面図、(B)は第2ロールの回転軸方向断面図、(C)は第3ロールの回転軸方向断面図、(D)は第4ロールの回転軸方向断面図、(E)は第5ロールの回転軸方向断面図、(F)は第6ロールの回転軸方向断面図である。
【図3】(A)は本発明の実施の形態に係る第1ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図、(B)は第2ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図、(C)は第3ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図、(D)は第4ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図、(E)は第5ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図、(F)は第6ロールによって湾曲した平板の幅方向断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る湾曲プレートの斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る、金属製中子の製造装置を構成する曲げロールの斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る曲げロールの回転軸方向断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る金属製中子の回転軸方向断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る金属製中子の側面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るゲージの上面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る、金属製中子と、ゲージと、の斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る、パンチングメタルを加工している場合における湾曲装置の斜視図である。
【符号の説明】
10 金属製中子の製造装置
11 湾曲装置
12 平板(金属プレート)
12A 湾曲プレート
12B 金属製中子
14 ロール(成形ロール)
16 ロール(成形ロール)
18 ロール(成形ロール)
20 ロール(成形ロール)
22 ロール(成形ロール)
24 ロール(成形ロール)
26 曲げロール
30 パンチングメタル(金属プレート)
80 第1湾曲部
82 第1湾曲部
84 第2湾曲部
86 第3湾曲部
88 第2湾曲部
90 第3湾曲部
92 第1湾曲部
94 第2湾曲部
94A 第1フランジ部
96 第3湾曲部
98 第2湾曲部
98A 第2フランジ部(フランジ部)
100 第3湾曲部
Claims (5)
- 長尺状の金属プレートの幅方向中央部を板厚方向へ湾曲させプレート長に沿って延びる第1湾曲部を形成する第1工程と、
プレートの幅方向両端部を第1湾曲部と同一方向へ湾曲させプレート長に沿って延びる第2湾曲部を形成すると共に第1湾曲部と第2湾曲部との間に第1湾曲部と第2湾曲部と反対方向へ湾曲しプレート長に沿って延びる一対の第3湾曲部を形成する第2工程と、
湾曲した金属プレートの全体の幅を設定寸法より狭める第3工程と、
湾曲した金属プレートの全体の幅を設定寸法にする第4工程と、
金属プレートをプレート長の方向へ曲げ加工してリング状とする第5工程と、を有することを特徴とするランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法。 - 第1乃至第4工程のうち少なくとも1つの工程において、少なくとも一対の成形ロールで前記金属プレートを挟持して湾曲させることを特徴とする請求項1記載のランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法。
- 第5工程において、リング状に成形するための少なくとも一対の曲げロールを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法。
- 第4工程において、湾曲した金属プレートの全体の幅を設定寸法にすると共に第3湾曲部の前記幅方向外側にプレート長に沿って延びるフランジ部を形成するランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法において、
前記湾曲した金属プレートを挟持して曲げ加工する一対の曲げロールのニップ面に形成され前記第1湾曲部、前記第3湾曲部、及び前記フランジ部がはまるクリアランスのうち、前記フランジ部がはまるクリアランスのプレート板厚方向の大きさをt2、前記第3湾曲部がはまるクリアランスのプレート板厚方向の大きさをt1、リング状とされた金属製中子の第3湾曲部の頂部から回転中心までの距離をB、リング状とされた金属製中子のフランジ部から回転中心までの距離をAとしたとき、
t1、t2、A、Bの関係が、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項3記載のランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法。
t1×{(B−A)/A}×0.2≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×5 - t1、t2、A、Bの関係が以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項3又は請求項4記載のランフラットタイヤに用いられる金属製中子の製造方法。
t1×{(B−A)/A}×0.4≦t2−t1≦t1×{(B−A)/A}×3
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