JP3891598B2 - 植木鉢 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、植木鉢(プランタ)に関するものであり、特に、インテリアとして室内に配置され、植込まれた植物と共に鑑賞の対象となる場合に適した植木鉢に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
植物の植込み容器である植木鉢は、これに観葉植物等の鑑賞用植物を植込む場合、その植物と共に鑑賞されるため、それ自体の外観性も重要になる。そのため、植木鉢としては素焼きの鉢が一般的であるが、そのような場合には、陶磁器材料、或いは、硬質プラスチック材料等から形成された外観性のよいものが使用されている。
【0003】
そして、従来よりこのような植木鉢は、平坦面上に載置可能な略筒状の側壁部と、この側壁部の下端部に一体に設けられ、植物を植込むための容器状の空間である植栽部空間を画成する底部とから形成されている。なお、この底部は、植木鉢を載置した場合に、これが床面等の平坦面上に接触しないように、側壁部の下端縁よりも僅かに上方に設けられている。また、側壁部の外周面は、例えば、陶磁器製の場合には、釉薬による化粧仕上げを施す等によって、意匠面として美しく形成されている。
【0004】
ところで、このような植木鉢において、その底部には、過剰に与えられた水分を排水し、植え込まれた植物の根腐れ等を防止するために、適度な大きさの開口からなる排水口が形成されている。そのため、施された水分のうち、土に吸収されなかった余分な水分は、この底部の排水口から外部に排出される。しかし、このように排出される水分は、この植木鉢を庭等の屋外に配置する場合は問題ないが、インテリアとして室内に配置する場合は、その床面等を汚すことになる。
【0005】
そこで、観葉植物等を植込んだ植木鉢をインテリアとして室内に配置する場合には、底部の排水口から流出する水分や土等を受けるための受皿を使用し、これを植木鉢の下に置くことが一般的である。この受皿は植木鉢の底面を収容するため、植木鉢の底面より十分に大きい広さのものが使用されている。また、この受皿としては、一般に、プラスチック材料から簡易に、しかし、カラフルに形成された汎用の受皿が使用されている。
【0006】
なお、前述のようなものとは別に、排水用の受皿を植木鉢本体の脚部と兼用する排水受部として形成し、植木鉢本体に組付け可能としたプラスチック製の植木鉢も知られている。しかし、このような排水受部を備えた植木鉢は、その排水受部の強度を確保することが困難であるため、比較的小型のものとして作成され、自ずとその利用範囲が限定されるものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように室内に植木鉢を配置する場合、排水用の受皿を植木鉢の下に置くため、受皿が植木鉢の下方部の意匠に干渉し、その外観を損なってしまう。特に、プラスチック製の受皿は、全く異なる色調、質感である陶磁器等と外観を調和させることは難しい。したがって、陶磁器等の植木鉢にプラスチック製の受皿を組み合わせることは、インテリアとしての見栄えを損なうことが多かった。
【0008】
また、植木鉢の底部に設けられている排水口からは、水分と共に植栽部空間に充填された土等が排出され、植木鉢の下に置いた受皿にたまるため、受皿内は汚れがちである。この汚れを取り除くためには、植木鉢を持ち上げ、その下に置いてある受皿を取り出して洗浄せねばならない。しかし、植木鉢が大きく、重量が重くなるにつれて、植木鉢を動かすには大きな労力を有する。このため、受皿を常に洗浄し、美しく保つことは困難であった。そして、この受皿の汚れは外部から見えるため、その見栄えを悪くし、また場合によれば、それに設置された植木鉢や観葉植物に対する印象も悪化させた。
【0009】
そして、植木鉢の底面を収容可能な十分大きい広さの受皿を置くことから、植木鉢の配置には、植木鉢のみを配置する場合より広い床面積を必要とする。したがって、狭い床面を利用して植木鉢を配置するためにも、このように受皿を置くことは、不都合であった。
【0010】
そこで、この発明は、かかる不具合を解決するためになされたもので、排水用の受皿によって植木鉢の意匠や外観が損なわれることが防止でき、インテリアとして見栄え良く配置できる植木鉢の提供を課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかる植木鉢は、平坦面上に載置可能な略筒状の側壁部と、前記側壁部の下方向に一体に形成され、前記側壁部内を上下に区画して、上側に植物を植込むための植栽部空間を画成すると共に、下側に排水用の受皿を収容するための受皿収容部空間を画成する底部と、前記底部の略中央に下方に向けて略筒状に形成され、その下端縁は前記側壁部が載置可能な平坦面に対して平行な前記底部の下面より下方に位置し、前記植栽部空間の水分を前記受皿収容部空間に収容された受皿に排出する排水口と、前記側壁部の内部の受皿収容部空間と前記側壁部の外部とを連通する受皿内に溜まった水分を受皿収容部空間の外部へ放散させる2個以上の通気孔とを具備するものである。
【0012】
請求項2にかかる植木鉢は、前記請求項1に記載の植木鉢の底部に形成された排水口が、下方に向けて嘴状に突出形成されているものである。
【0013】
請求項3にかかる植木鉢は、前記請求項1に記載の植木鉢の2個以上からなる通気孔が、前記側壁部の半周の範囲内に形成されているものである。
【0014】
請求項4にかかる植木鉢は、前記請求項1に記載の植木鉢の2個以上からなる通気孔が、前記側壁部の四半周の範囲内に形成されているものである。
【0015】
【作用】
請求項1の植木鉢においては、底部によって、略筒状の側壁部の内部が上下に区画され、底部の下側に受皿収容部空間が画成されているので、その受皿収容部空間に受皿を収容することができると共に、底部に形成された排水口の下端縁が、側壁部が載置される平坦面に対して平行する底部の下面より低い位置にあるから、植栽部空間に充填された土等に吸収されない排水口から排出される水分は、排水口の下端縁から落下して受皿収容部空間に収容された受皿で受けられる。
【0016】
また、側壁部の内部の受皿収容部空間と側壁部の外部とを連通する2個以上の通気孔を備えているから、受皿内に受けられ気化した水分は、この通気孔から側壁部の外部へと放散され、受皿収容部空間が過湿状態になることが防止される。
【0017】
請求項2の植木鉢においては、底部に形成された排水口が、下方に向けて嘴状に突出形成され、側壁部が載置される平坦面からみて、下端縁の高さが底部の下面の高さに比べ低くなるため、植栽部空間に充填された土等に吸収されず底部に到達した水分は、排水口に沿って下方に誘導され、排水口下端の下端縁から底部の下面を伝うことなく落下し、受皿収容部空間に収容された受皿で受けられる。このとき、排水口の下端縁と受皿との距離が近いため、排出された水分が受皿内で飛び跳ね、受皿外に飛散しない。
【0018】
請求項3の植木鉢においては、側壁部に形成された2個以上の通気孔が、側壁部の半周の範囲内に形成されているから、受皿内に受けられ蒸発した水分は、これらの通気孔から側壁部の外部へと放散する。また、受皿収容部空間の通気がよくなる。また、それと共に、特定の一方向側からは、通気孔が見え難くなる。
【0019】
請求項4の植木鉢においては、側壁部に形成された2個以上の通気孔が、側壁部の四半周の範囲内に備えられているから、受皿内に受けられ蒸発した水分は、これらの通気孔から側壁部の外部へと放散する。また、それと共に、植木鉢を室内の隅に配置する場合、通気孔を備える側を隅に向けて配置することにより、通気孔は完全に見えなくなる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
【0021】
[第一実施例]
図1は本発明の第一実施例にかかる植木鉢を示す一部破断を示す斜視図であり、図2は本発明の第一実施例にかかる植木鉢を、受皿を収容した状態で示す断面図であり、図3は本発明の第一実施例にかかる植木鉢を下方から見た平面図である。
【0022】
図1及び図2のように、本実施例の植木鉢は、陶磁器材料から一体に形成されている。そして、この植木鉢は、平坦面上に安定的に載置可能な略筒状の側壁部11と、側壁部11の下方向に形成された底部12とを備え、また底部12には排水口13が形成されている。
【0023】
具体的には、本実施例では、この側壁部11は上方側に開いた、即ち、上端の径が下方の径よりも僅かに大きな逆円錐台の略筒状に形成されている。また、その高さは直径より大きいが、起立した状態で平坦面上に安定的に載置できる程度のものとなっている。そして、この側壁部11の外周面は、その上端から下端まで意匠面とされ、釉薬を施す等によって美しく仕上げられている。
【0024】
また、底部12は、側壁部11の下方向に一体に形成されているが、従来の植木鉢のように側壁部11の下端に形成されるのではなく、底部12の下側に受皿Uを収容可能な空間が生じる程度の高さに形成されている。そのため、略筒状の側壁部11内の空間は、底部12によって上下に区画され、上側に植物を植込むための植栽部空間14が画成されると共に、下側に排水口13から排出される水分を受ける受皿Uを収容するための受皿収容部空間15が画成されている。
【0025】
そして、底部12には、その略中央に、排水口13が下方に向けて嘴(くちばし)状に突出形成されている。即ち、排水口13は、底部12の略中央の開口に略筒状の誘導孔が下向きに延接された形状をしており、側壁部11が載置される平坦面に対して平行な面からみて、下端縁13aの高さH2 が底部12の上面の高さH1 に比べて低くなるように形成されている。
【0026】
更に、図1のように、側壁部11の下端には、切欠開口部として形成した通気孔16が、受皿収容部空間15に収容された受皿Uが容易に見えない形状に形成されている。通気孔16は、側壁部11の内部の受皿収容部空間15と側壁部11の外部とを連通し、受皿U内に溜まった水分を外部へと発散させる。
【0027】
上記のように構成された植木鉢は、植栽部空間14に土等を充填して植物を植込み、受皿収容部空間15に受皿Uを収容して使用する。なお、受皿Uについては、一般に市販されているプラスチック製の汎用の受皿が使用できる。
【0028】
このように、本実施例の植木鉢は、略筒状に形成された、平坦面上に載置可能な側壁部11と、その下方向に形成された底部12とを備え、側壁部11内は、底部12によって上下に区画され、底部12の上側に植栽部空間14が画成されると共に、下側に受皿収容部空間15が画成されている。そして、底部12の略中央に排水口13が下方に向けて嘴状に突出形成されており、下端縁13aの高さH2 は底部12の上面の高さH1 に比べ低い。そのため、本実施例の植木鉢においては、植栽部空間14に充填された土等に吸収されず底部12に到達した水分を、底部12に形成された排水口13に沿って下方に誘導し、下端縁13aから底部12の下面を伝うことなく落下させ、受皿収容部空間15に収容された受皿Uで受けることができる。したがって、排水口13から排出された水分が、底部12の下面を伝い、更に受皿収容部空間15の内壁を伝って受皿Uの外部に流出することを避けることができる。
【0029】
そして、この受皿Uは受皿収容部空間15に完全に収容されているため、この植木鉢は、受皿Uによってその意匠や外観が損なわれることはない。また、排水口13から排出される水分や土等によって汚れがちな受皿Uの内側も、外部からは見えず、その汚れが植木鉢の見栄えを損なうおそれもない。また、このとき、排水口13が上記のように形成されているため、下端縁13aと受皿Uとの距離が近くなる。故に、排水口13から排出された水分が受皿U内で飛び跳ね、受皿Uの外部に飛散することを防ぐことができる。そのため、排水によって床面等が汚されることをより確実に防止することができる。
【0030】
更に、従来のように植木鉢の底面より大きな径の受皿を置く必要がないため、植木鉢を配置するために必要な床面積が減少し、より狭い床面にも配置することができる。
【0031】
また、本実施例の植木鉢は、図1及び図3のように、側壁部11の下端に、2個の通気孔16を備える。これらの2個の通気孔16は、側壁部11の内部の受皿収容部空間15と側壁部11の外部とを連通する通気孔として機能する。排水口13から排出され、受皿U内に溜まった水分は、徐々に蒸発するが、これを通気孔16から受皿収容部空間15の外部へと放散させることができる。したがって、受皿Uを取り出して受皿U内に溜まった水分を捨てる必要がない。また、受皿Uが収容されている受皿収容部空間15に水蒸気がこもることがないため、過湿状態になることによるカビ等の発生を防ぐことができる。
【0032】
そして、本実施例の植木鉢は、図3のように、2個の通気孔16が、側壁部11の半周の範囲内に備えられており、更に四半周の範囲内に備えられている。したがって、本植木鉢においては、通気孔16は、特定の一方向側から見え難いだけでなく、植木鉢を室内等の隅に配置する場合は、通気孔16が備えられている側を隅に向けて配置することにより、完全に見えなくなる。
【0033】
故に、通気孔16が形成されている側を室内等の壁面等側に向けて配置することで、通気孔16により植木鉢の意匠が妨げられることなく、植木鉢を見栄え良く配置することができる。
【0034】
ところで、本実施例の植木鉢は陶磁器材料から一体に形成されているが、プラスチック材料や他の窯業材料から形成することもできる。更に、本実施例の植木鉢は構造が簡単であるため、これらの材料から一体に形成することが容易にできる。
【0035】
また、本実施例の植木鉢においては、2個の通気孔16を側壁部11の四半周の範囲内に備えるものとしたが、この通気孔の形状、寸法、数及び位置は適宜に決めることができる。ただし、その形状、寸法、数及び位置は、植木鉢の強度及び意匠を損ねない適当なものとする。例えば、円形、長方形、三角形等に形成することもできる。また、意匠的に開口部を形成することもできる。
【0036】
そして、本実施例の植木鉢においては、その側壁部11を略筒状に形成したが、側壁部11の断面の形状は、逆円錐台形以外の四角錐台形、八角錐台形等の多角錐台形や、円筒形、四角筒形、八角筒形等の多角筒形や、その他の形状とすることもでき、任意の形状、即ち、結果として、略筒状に形成することができる。また、本実施例の植木鉢は、その側壁部11の高さが直径より大きく形成されているが、側壁部11の高さを直径と等しく、或いは、より小さく形成することもできる。即ち、側壁部11は、起立した状態で平坦面上に安定的に載置可能であれば、どのような略筒状形状とすることもできる。更に、この側壁部11の外周側上縁には、従来と同様に、鉢を持ち易くし、補強するための桟を適宜に設けることができる。
【0037】
[第二実施例]
図4は本発明の第二実施例の植木鉢を、受皿を収容した状態で示す断面図である。
【0038】
図4に示すように、本第二実施例の植木鉢は、第一実施例と同様に、平坦面上に載置可能な略筒状の側壁部11と、排水口20を有する底部19とを備える。しかし、本実施例においては、底部19は、側壁部11の下端が延長するようにして形成されている。具体的には、略筒状に形成された側壁部11が、床面等と接する下端の屈曲部21において上方向に屈曲形成され、延長するように水平な底部19が形成されている。底部19は側壁部11の下端より高い位置に形成されている。そのため、底部19の上側に植物を植込むための植栽部空間14が形成されると共に、底部19と床面等との間に、排水を受ける受皿Uを収容するための受皿収容部空間15が形成されている。また、排水口20は、底部19の略中央に下方に向けて嘴状に突出形成されている。
【0039】
上記のように構成された植木鉢は、植栽部空間14に土等を充填して植物を植込み、受皿収容部空間15に受皿Uを収容して使用する。底部19には、その略中央に排水口20が下方に向けて嘴状に突出形成されており、下端縁20aの高さH4 は、底部19の上面の高さH3 に比べ低い。そのため、植栽部空間14に充填された土等に吸収されず底部19に到達した水分を、排水口20に沿って下方に誘導し、その下端縁20aから底部19の下面を伝うことなく落下させ、受皿収容部空間15に収容された受皿Uで受けることができる。したがって、排水口20から排出される水分が、底部19の下面を伝い、更に受皿収容部空間15の内壁を伝って受皿Uの外部に流出することを避けることができる。
【0040】
そして、この排水を受ける受皿Uは受皿収容部空間15に完全に収容できるため、本実施例の植木鉢においては、その意匠や外観が、受皿Uによって損なわれることはない。また、排水口20が上記のように形成されたものであるから、排水口20の下端縁20aと受皿Uとの距離が近く、そのため、排水口20から排出された水分が受皿U内で飛び跳ね、受皿Uの外部に飛散することを防ぐことができる。
【0041】
加えて、底部19の周囲には、全周に凹部溝22が形成されており、そこに水または施肥を確保することができるから、特に、植木鉢の中に水を確保しておく水辺の植物の栽培に好適である。
【0042】
更に、本実施例の植木鉢は、前述のような形状に形成されたものであるから、床面等と接する部位が二重構造になり、最も荷重を受ける植木鉢の下端部分の強度を高くすることができる。
【0043】
このように、上記実施例の植木鉢においては、底部12,19によって、略筒状の側壁部11の内部が上下に区画され、底部12,19の下側に受皿収容部空間15が画成されているので、その受皿収容部空間15に受皿Uを収容することができると共に、底部12,19に形成された排水口13,20の下端縁13a,20aが、側壁部11が載置される平坦面に平行する上面より低い位置にあるから、植栽部空間14に充填された土等に吸収されず排水口13,20から排出される水分は、排水口13,20の下端縁13a,20aから落下して受皿収容部空間15に収容された受皿Uで受けられる。その結果、植木鉢と調和し難く、また汚れがちな受皿Uを外部から見えないように設置して排水を受けることができるため、植木鉢の意匠や外観が受皿によって損なわれることなく、インテリアとして見栄えよく配置することができる。
【0044】
上記実施例の植木鉢においては、底部12,19に形成された排水口13,20が、下方に向けて嘴状に突出形成され、下端縁13a,20aの高さが側壁部11が載置される平坦面に平行する底部12,19上面の高さに比べ低くなるため、植栽部空間14に充填された土等に吸収されず底部12,19に到達した水分は、排水口13,20に沿って下方に誘導され、排水口13,20下端の下端縁から底部12,19の下面を伝うことなく落下し、受皿収容部空間15に収容された受皿Uで受けられる。このとき、排水口13,20の下端縁13a,20aと受皿Uとの距離が近いため、排出された水分が受皿U内で飛び跳ね、受皿U外に飛散することが防止される。そのため、排水によって床面等が汚されることを確実に防止することができる。
【0045】
上記実施例の植木鉢においては、側壁部11に形成された2個以上の通気孔16が、側壁部11の半周の範囲内に備えられているから、受皿内Uに受けられ蒸発した水分は、これらの通気孔16から側壁部11の外部へと放散する。また、受皿収容部空間15の通気がよくなる。また、それと共に、特定の一方向側からは、通気孔16が見え難くなる。そのため、受皿収容部空間15が過湿状態になることが確実に防止されると共に、通気孔16により植木鉢の意匠が妨げられることが防止される。
【0046】
上記実施例の植木鉢においては、側壁部11に形成された2個以上の通気孔が、側壁部11の四半周の範囲内に備えられているから、受皿U内に受けられ蒸発した水分は、これらの通気孔16から側壁部11の外部へと放散する。また、それと共に、植木鉢を室内の隅に配置する場合、通気孔16を備える側を隅に向けて配置することにより、通気孔16は完全に見えなくなる。そのため、受皿収容部空間15が過湿状態になることが防止されると共に、通気孔16により植木鉢の意匠が妨げられることが確実に防止される。
【0047】
特に、上記各実施例において、底部12,19に排水口13,20が形成された植木鉢においては、使用時に土等を充填するに際し、排水口13,20から土等がこぼれ落ちることを防ぐため、排水口13,20に土の落下を防止する部材を載せて軽く蓋をして使用することができる。
【0048】
なお、上記実施例では略筒状の側壁部11を前提に説明したが、略筒状の側壁部11は、テーパの有無に関係なく、従来の公知の植木鉢(プランタ)の外壁を形成する形態のものであればよい。
【0049】
また、底部12,19の排水口13,20は、底部12,19の略中央の開口の下端縁13a,20aが下向きに延接された形状をしており、側壁部11が載置される平坦面に対して平行な面からみて、下端縁13a,20aの高さH2 ,H4 が底部12,19の上面の高さH1 ,H3 に比べて低くなるように形成され、かつ、その底部12,19の下面より下部に形成されている。これにより、植栽部空間14に充填された土等に吸収されず底部12,19に到達した水分が、底部12,19の上面の傾斜に従って排水口13,20へと集まり、更に、排水口13,20の下端縁13a,20aから底部12,19の下面を伝うことなく落下し、受皿収容部空間15に収容された受皿Uで受けられる。そのため、施された過剰な水分は、底部12,19に留まることなく排水口13,20から排出されると共に、排出された水分が底部12,19の下面を伝い、更に、受皿収容部空間15の内壁を伝って受皿U外部に流出し、床面等が汚されることを確実に防止することができる。しかし、他の底部12,19の下面に上面からの水滴の流れに影響しない下方への突出部が存在していてもよい。
【0050】
そして、通気孔16は、側壁部11の下端に形成してもよいし、下端から若干上に位置する個所に形成してもよい。
【0051】
更に、受皿Uは側壁部11の内部の受皿収容部空間15内に収容するものであるが、本発明を実施する場合、受皿収容部空間15内に係合でき、移動によって容易に離脱しない構造とすることもできる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1にかかる植木鉢は、平坦面上に載置可能な略筒状の側壁部と、前記側壁部の下方向に一体に形成され、前記側壁部内を上下に区画して、上側に植物を植込むための植栽部空間を画成すると共に、下側に受皿を収容するための受皿収容部空間を画成する底部とを備えるので、底部下側の受皿収容部空間に受皿を収容することができる。それと共に、底部に形成された排水口の下端縁が、側壁部が載置される平坦面からみて、底部の下面より低い位置にあるから、植栽部空間に充填された土等に吸収されず排水口から排出される水分を、底部の下面を伝って受皿外部に流出させることなく、排水口の下端縁から落下させて受皿収容部空間に収容された受皿で確実に受けることができる。したがって、植木鉢と調和し難く、また汚れがちな受皿を受皿収容部空間に外部から見えないように設置して排水を受けることができるため、植木鉢の意匠や外観が受皿によって損なわれることなく、インテリアとして見栄えよく配置することができる。そして、請求項1の発明は、側壁部の内部の受皿収容部空間と前記側壁部の外部とを連通する受皿内に溜まった水分を受皿収容部空間の外部へ放散させる2個以上の通気孔を備えるものであるから、受皿収容部空間に収容された受皿内にたまり、徐々に蒸発していく水分を、この通気孔から側壁部の外部へと放散させることができる。そのため、受皿を取出して受皿内にたまった水分を捨てる必要がない。また、受皿収容部空間内が通気できることにより、過湿によるカビ等の発生を防ぐことができる。
【0053】
請求項2にかかる植木鉢は、排水口が、下方に向けて嘴状に突出形成されたものである。そのため、排水口の下端縁は、底部の下面に比べ低く、したがって、この植木鉢によれば、植栽部空間に充填された土等に吸収されず底部に到達した水分を、排水口に沿って下方に誘導し、その下端縁から底部の下面を伝うことなく落下させ、受皿収容部空間に収容された受皿で受けることができる。そのため、排水が、底部の下面を伝い、更に受皿収容部空間の内壁を伝って、受皿の外部に流出することを防ぐことができる。またこのとき、排水口の下端縁と受皿との距離が近いため、排水口から排出された水分が受皿内で飛び跳ね、受皿の外部に飛散することを防止することができる。そのため、排水が床面等を汚すことをより確実に防ぐことができる。
【0054】
請求項3にかかる植木鉢は、2個以上の通気孔が、側壁部の半周の範囲内に備えられているものである。したがって、受皿収容部空間に収容された受皿内にたまり、徐々に蒸発していく水分を、これらの通気孔から、容易に側壁部の外部へと放散させることができる。そのため、受皿を取り出して受皿内にたまった水分を捨てる必要がない。また、受皿収容部空間内がよく通気できることにより、過湿によるカビ等の発生を確実に防ぐことができる。それと共に、特定の一方向側からみたとき、通気孔を見え難くすることができる。そのため、植木鉢を通気孔が備えられている側を室内等の壁面側に向けて配置することによって、室内から通気孔を見え難くすることができ、通気孔が植木鉢の意匠を妨げることを防ぐことができる。
【0055】
請求項4にかかる植木鉢は、2個以上の通気孔が、側壁部の四半周の範囲内に備えられているものである。したがって、受皿収容部空間に収容された受皿内にたまり、徐々に蒸発していく水分を、これらの通気孔から、側壁部の外部へと放散させることができる。そのため、受皿を取り出して受皿内にたまった水分を捨てる必要がない。また、受皿収容部空間内が通気できることにより、過湿によるカビ等の発生を防ぐことができる。それと共に、植木鉢を通気孔が備えられている側を室内等の壁面側に向けて配置することによって、室内から通気孔を見え難くすることができ、更に室内等の隅に配置する場合は、通気孔が備えられている側を室内等の隅に向けて配置することによって、室内から通気孔を完全に見えなくすることができる。したがって、通気孔が植木鉢の意匠を妨げることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の第一実施例の植木鉢を示す一部破断斜視図である。
【図2】 図2は本発明の第一実施例の植木鉢を受皿を収容した状態で示す断面図である。
【図3】 図3は本発明の第一実施例の植木鉢を下方から見た平面図である。
【図4】 図4は本発明の第二実施例の植木鉢を受皿を収容した状態で示す断面図である。
【符号の説明】
11 側壁部
12,19 底部
H1,H3 側壁部が載置される平坦面からみた底部上面の高さ
13,20 排水口
13a,20a 下端縁
H2,H4 側壁部が載置される平坦面からみた下端縁の高さ
14 植栽部空間
15 受皿収容部空間
16 通気孔
21 屈曲部
U 受皿
Claims (4)
- 平坦面上に載置可能な略筒状の側壁部と、
前記側壁部の下方向に一体に形成され、前記側壁部内を上下に区画して、上側に植物を植込むための植栽部空間を画成すると共に、下側に排水用の受皿を収容するための受皿収容部空間を画成する底部と、
前記底部の略中央に下方に向けて略筒状に形成され、その下端縁は前記側壁部が載置可能な平坦面に対して平行な前記底部の下面より下方に位置し、前記植栽部空間の水分を前記受皿収容部空間に収容された受皿に排出する排水口と、
前記側壁部の内部の受皿収容部空間と前記側壁部の外部とを連通する受皿内に溜まった水分を受皿収容部空間の外部へ放散させる2個以上の通気孔と
を具備することを特徴とする植木鉢。 - 前記排水口は、下方に向けて嘴状に突出形成されていることを特徴とする請求項1に記載の植木鉢。
- 前記2個以上の通気孔は、前記側壁部の半周の範囲内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の植木鉢。
- 前記2個以上の通気孔は、前記側壁部の四半周の範囲内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の植木鉢。
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JP11416295A JP3891598B2 (ja) | 1995-05-12 | 1995-05-12 | 植木鉢 |
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