JP3891105B2 - 紡績機の糸ムラ情報解析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のローラ対により構成され、スライバーをドラフトして、紡績部に送出するドラフト装置を備える紡績機の糸ムラ情報解析装置に関し、特に前記ローラ対を構成するローラの良否を精度よく判定することができるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
紡績機は、多数の紡績ユニットから構成されている。この紡績ユニットは、バックローラ、エプロンが巻き掛けられたセカンドローラ、フロントローラを備えるドラフト装置によってスライバーをドラフトし、空気紡績ノズル内の旋回流により紡績糸を生成するものである。生成された糸は、糸送ローラを経てパッケージに巻き取られる。そして、糸送ローラの下流側に発光ダイオードとフォトトランジスタからなるスラブキャッチャーと呼ばれる糸ムラ検出器を設け、糸ムラを検出している。
【0003】
従来、スラブキャッチャーによる糸ムラの検出は、フォトトランジスタからの信号をA/D変換処理し、デジタル化された信号をフーリエ変換器でスペクトル分析し、その演算結果を周波数成分毎に積分し、前記ドラフト装置を構成するローラの一回転数に対応する周波数帯域でのパワースペクトルが予め設定された所定の閾値を超えると、前記ローラ(例えば、フロントローラ)の不良と判断していた(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−29771号公報(請求項1参照)
【特許文献2】
特開平8−188931号公報(段落0003−0005参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の糸ムラ検出によるドラフト装置のローラ不良は、当該ローラの一回転に対応する基本周波数の帯域でのパワースペクトルがある一定のレベルを超えた場合だけの検出であり、この基本周波数帯域を超えた周波数領域で、パワースペクトルがある一定レベルを超えて現れると、ローラの不良として特定されないという問題点があった。
【0006】
というのも、本発明者らは、種々の実験の結果、前記ドラフト装置のローラの不良として、基本周波数帯域ではなく、基本周波数帯域を超えたところから一定のレベルを超えるパワースペクトルが現れる場合があったという知見を得て、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の目的は、上記課題を解決し、糸ムラを正確に評価し、ローラの不良を精度良く特定できる紡績機の糸ムラ情報解析装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の紡績機の糸ムラ情報解析装置は、複数のローラ対により構成され、スライバーをドラフトして、紡績部に送出するドラフト装置を備える紡績機の糸ムラ解析装置において、前記ドラフト装置、紡績部を経て生成される糸の糸ムラ信号を検出する糸ムラ検出器と、前記糸ムラ信号を処理してスペクトル分析するとともに、周波数成分毎のパワースペクトルを出力する周波数分析手段と、前記ローラ対を構成するローラの一回転に相当する基本波周波数、及び、当該基本周波数の2以上の自然数倍の1つ又は複数の高調波周波数を算出するローラ回転周波数算出手段と、前記周波数分析手段で得られる周波数成分毎のパワースペクトルから、前記基本周波数、及び、前記1つ又は複数の高調波周波数に対応する各周波数帯域のパワースペクトルを検出するローラ回転周波数成分検出手段と、前記ローラ回転周波数成分検出手段で検出したパワースペクトルに基づいて、前記ローラの良否を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1によると、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトル、及び、1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルに基づいて、ローラの良否を判断する。従って、基本波周波数に対応する周波数帯域、又は、1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域において発生する周期斑に基づいて、精度良くローラの不良を検出することができる。
【0009】
請求項2の紡績機の糸ムラ情報解析装置は、請求項1に記載の紡績機の糸ムラ情報解析装置であって、前記判断手段は、前記基本波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルを予め設定した第1閾値と比較する第1比較手段と、前記1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルを、当該1つ又は複数の周波数帯域に対応する予め設定した閾値と比較する第2比較手段と、を含み、前記第1比較手段、前記第2比較手段の各比較結果から、前記ローラの良否を判定することを特徴とする。
【0010】
請求項2によると、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルの比較と、1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルの比較とを別々に行っている。従って、基本波周波数、又は、1つ又は複数の高調波周波数において発生する周期斑をその傾向に応じて正確に判断することができ、精度良くローラの不良を検出することができる。
【0011】
請求項3の紡績機の糸ムラ情報解析装置は、請求項1に記載の紡績機の糸ムラ情報解析装置であって、前記判断手段は、前記基本波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルと、前記1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルと、を合算して、合算したパワースペクトル総和値と予め設定された閾値と比較する総和値比較手段を含み、前記総和値比較手段の比較結果から、前記ローラの良否を判定することを特徴とする。
【0012】
請求項3によると、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルと1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルを合計した総和値に対して比較を行っている。従って、基本波周波数、及び、1つ又は複数の高調波周波数において発生する周期斑を合わせて判断することにより、簡便に、しかもより精度良くローラの不良を検出することができる。
【0013】
請求項4の紡績機の糸ムラ情報解析装置は、請求項1に記載の紡績機の糸ムラ情報解析装置であって、前記判断手段は、前記基本波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルを予め設定した第1閾値と比較する第1比較手段と、前記1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルを、当該1つ又は複数の周波数帯域に対応する予め設定した閾値と比較する第2比較手段と、前記基本波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルと、前記1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルと、を合算して、合算したパワースペクトル総和値と予め設定された閾値と比較する総和値比較手段を含み、前記第1比較手段、前記第2比較手段、前記総和値比較手段の各比較結果から、前記ローラの良否を判定することを特徴とする。
【0014】
請求項4によると、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルの比較と、1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルの比較と、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルと1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルを合計した総和値に対する比較と、を別々に行っている。従って、基本波周波数、又は、1つ又は複数の高調波周波数において発生する周期斑をその傾向に応じて正確に判断するとともに、基本波周波数、及び、1つ又は複数の高調波周波数において発生する周期斑を合わせて判断することにより、更に精度良くローラの不良を検出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0016】
まず、本実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置を取り付ける紡績機の一例について、図1に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置を取り付けた空気式紡績機のドラフト装置及び紡績部の一例を示す概略図である。尚、本実施形態では、紡績機として空気紡績機を用いる。但し、紡績機は、これに限らず、リング精紡機、オープンエンド紡績機等の回転体等に適用しても良い。
【0017】
図1に示すように、空気紡績機1は、多数の紡績ユニット(錘)からなり、各錘は、紡績部2と、糸送ローラ3と、ドラフト装置10と、を備えている。また、ドラフト装置10は、バックローラ11と、エプロン12´を巻き掛けたセカンドローラ12と、フロントローラ13と、を備えている。尚、フロントローラ13は、一対のフロントトップローラ13a及びフロントボトムローラ13bとで構成されており、フロントトップローラ13aはゴムで形成され、フロントボトムローラ13bはスチールで形成されている。
スライバー14は、バックローラ11、セカンドローラ12及びフロントローラ13の順に送出されることによりドラフトされ、紡績部2においてエアジェットで紡績される。紡績部2を通過して生成された糸4は、糸送ローラ3を経て図示しない巻取りパッケージにより巻き取られるように構成されている。
そして、この空気紡績機1の糸送ローラ3の下流側には、後述する糸ムラ情報解析装置100のスラブキャッチャー(糸ムラ検出器)101が設けられている。
【0018】
[第一の実施形態]
次に、第一の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置について、図2〜図4に基づいて説明する。図2は、第一の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置を示したブロック図であり、(a)は第一の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置の概略を示したブロック図であり、(b)は第2比較部を示したブロック図である。図3は、スラブキャッチャー(糸ムラ検出器)の一例を示した概略図である。図4は、基本波周波数に対応する周波数帯域及び高調波周波数に対応する周波数帯域の一例を示すグラフである。
【0019】
図2(a)に示すように、糸ムラ情報解析装置100は、スラブキャッチャー(糸ムラ検出器)101と、ローパスフィルタ102と、増幅器103と、A/D変換器(A/D)104と、発幅器(OSC)105と、計算器110と、D/A変換器(D/A)106と、ディスプレイ(Display)107と、警報回路108と、から構成されている。尚、ローパスフィルタ102と、増幅器103と、A/D変換器104と、発幅器(OSC)105と、計算器110に備えられる後述するウィンドウ(Window)111、フーリエ変換器112、ベクトル合成部(Power Spectrum)113とで周波数分析部(周波数分析手段)150を構成する。
【0020】
スラブキャッチャー(糸ムラ検出器)101は、図3に示すように、発光ダイオード101aとフォトトランジスタ101bとから構成されている。スラブキャッチャー101は、発光ダイオード101aから送光される光量をフォトトランジスタ101bにより検出し、その検出した光量を端子間の電気変位(糸ムラ信号)として出力する方式の検出器であり、高感度で応答性が高いのが特徴である。また、このスラブキャッチャー101からの糸ムラ信号Sは、ローパスフィルタ102に入力される。
尚、糸ムラ検出器101として、この光電式のスラブキャッチャーに代わり、静電容量式のスラブキャッチャーを用いることもできる。
【0021】
図2(a)に戻り、糸ムラ信号Sは、エリアジング防止のため、まずローパスフィルタ102を通り、増幅器103に入力され、A/D変換処理するのに最も適した電圧レベルに増幅された後、A/D変換器104に入力された後、アナログ信号をデジタル信号に変換処理する。このA/D変換器104は、解析する周波数帯域幅に応じて決められたデータサンプリング時間を作る正確な発幅器105で入力信号をサンプリングしてデジタル信号に変換する。糸ムラ信号Sは、デジタル信号に変換され、計算器110に入力される。
【0022】
計算器110は、ウィンドウ111と、フーリエ変換器112と、ベクトル合成部113と、ローラ回転周波数算出部(ローラ回転周波数算出手段)130と、アウトプット(Output)処理部140と、から構成されている。
【0023】
計算器110に入力された糸ムラ信号Sは、まずウィンドウ111で重みをかけられてから、フーリエ変換器112に送られて演算され、演算された結果は、ベクトル合成部113において周波数成分ごとのパワースペクトルにベクトル合成されて、各周波数成分のパワースペクトルとして出力され、後述するアウトプット処理部140の基本波周波数成分検出部141a及び高調波周波数成分検出部141bにより構成されるローラ回転周波数成分検出部141に入力される。
【0024】
ローラ回転周波数算出部130は、基本波周波数算出部131及び高調波周波数算出部132を備えている。ローラ回転周波数算出部130では、キーボード等の入力部120からユーザにより入力された、例えばフロントトップローラ13a及びフロントボトムローラ13bのローラ径や糸速(巻取速度)等に基づいて、まず、基本波周波数算出部131において、フロントトップローラ13a及びフロントボトムローラ13bのそれぞれの周長(一回転)に相当する周波数である基本波周波数が算出される。そして、高調波周波数算出部132において、フロントトップローラ13a及びフロントボトムローラ13bのそれぞれの周長の1/2、1/3、・・・、1/n(1/2、1/3、・・・、1/n回転)に相当する周波数である高調波周波数、即ち、フロントトップローラ13a及びフロントボトムローラ13bのそれぞれの基本波周波数を2以上の自然数倍した周波数である各高調波周波数が算出される。
例えば、高調波周波数として、2倍、3倍周波数成分を検出する場合、入力部120により入力された値が、フロントトップローラ13aの径(Ft)=30mm、フロントボトムローラ13bの径(Fb)=32mm、巻取速度=350m/minの場合、フロントトップローラ13aの基本波周波数は(350×100÷60)÷(3.0×π)=62.00Hzとなり、フロントボトムローラ13bの基本波周波数は(350×100÷60)÷(3.2×π)=58.00Hzとなる。そして、フロントトップローラ13aの高調波周波数は、例えば、基本波周波数の2倍の場合123.75Hz、基本波周波数の3倍の場合185.75Hzとなり、フロントボトムローラ13bの高調波周波数は、例えば、基本波周波数の2倍の場合116.00Hz、基本波周波数の3倍の場合174.00Hzとなる。
そして、基本波周波数算出部131及び高調波周波数算出部132で計算された基本波周波数及び高調波周波数は、それぞれ、後述するアウトプット処理部140の基本波周波数成分検出部141及び高調波周波数成分検出部142に入力される。
【0025】
アウトプット処理部140は、ローラ回転周波数成分検出部(ローラ回転周波数成分検出手段)141と、判断部(判断手段)143と、から構成される。ここで、ローラ回転周波数成分検出部141は、基本波周波数成分検出部141aと、高調波周波数成分検出部141bと、を備えている。
【0026】
基本波周波数成分検出部141aでは、後述する判断部143での解析に適するように、ベクトル合成部113から入力された各周波数成分のパワースペクトルの信号を、基本波周波数算出部131から入力された基本波周波数に対応する周波数帯域で分割する。ここで、基本波周波数に対応する周波数帯域は、ローラ径とそのバラツキ及びスリップのし易さ等を考慮して決定する。即ち、ローラ径のバラツキとスリップのし易さ等により、算出された周波数よりもずれたところに分析結果が出力されることを考慮して、成分検出する対象となる周波数に幅を持たせるようにしている。ここで、ローラ径のバラツキとは後述するバッフィングによるものが挙げられる。
例えば、入力部120により入力された値が、フロントトップローラ13aの径(Ft)=30mm、フロントボトムローラ13bの径(Fb)=32mm、巻取速度=350m/minの場合、図4に示すように、フロントトップローラ13aの基本波周波数に対応する周波数帯域を、基本波周波数62.00Hzの−2.5Hz〜+2Hz(59.50Hz〜64.00Hz:図4に示す基本波周波数62.00Hzの▲1▼の部分)とし、フロントボトムローラ13bの基本波周波数に対応する周波数帯域を、基本波周波数58.00Hzの−2Hz〜+1Hz(56.00Hz〜59.00Hz:図4に示す基本波周波数58.00Hzの▲2▼の部分)とする。
【0027】
また、高調波周波数成分検出部141bでは、後述する判断部142での解析に適するように、ベクトル合成部120から入力された各周波数成分のパワースペクトルの信号を、高調波周波数算出部132から入力された1つ又は複数の高調波周波数(本実施形態の場合、2倍、3倍の2つ)に対応する周波数帯域で分割する。ここで、高調波周波数に対応する周波数帯域も、上述の基本波周波数に対応する周波数帯域と同様に、ローラ径及びスリップ等を考慮して決定する。
例えば、入力部120により入力された値が、フロントトップローラ13aの径(Ft)=30mm、フロントボトムローラ13bの径(Fb)=32mm、巻取速度=350m/minの場合、図4に示すように、フロントトップローラ13aの高調波周波数に対応する周波数帯域を、例えば、高調波周波数(2倍)123.75Hzの−2.5Hz〜+2Hz(121.25Hz〜125.75Hz:図4に示す高調波周波数(2倍)123.75Hzの▲1▼の部分)、高調波周波数(3倍)185.75Hzの−2.5Hz〜+2Hz(183.25Hz〜187.75Hz:図4に示す高調波周波数(3倍)185.75Hzの▲1▼の部分)とし、フロントボトムローラ13bの高調波周波数に対応する周波数帯域を、高調波周波数(2倍)116.00Hzの−2Hz〜+1Hz(114.00Hz〜117.00Hz:図4に示す高調波周波数(2倍)116.00Hzの▲2▼の部分)、高調波周波数(3倍)174.00Hzの−2Hz〜+1Hz(172.00Hz〜175.00Hz:図4に示す高調波周波数(3倍)174.00Hzの▲2▼の部分)とする。
【0028】
尚、基本波周波数成分検出部141a及び高調波周波数成分検出部141bで処理された信号は、計算器110を出て、D/A変換器106に入力され、アナログ値に変換された上、ディスプレイ107にスペクトルグラフとして表示される。そして、ユーザは、ディスプレイ107に表示されたスペクトルグラフに基づいて、糸ムラを判読することができる。
【0029】
判断部142は、第1比較部(第1比較手段)143と、第2比較部(第2比較手段)144と、から構成される。
【0030】
第1比較部143は、キーボード等の入力部120からユーザにより入力された所定の第1閾値と、基本波周波数成分検出部141aで検出した基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルと、を比較し、ローラ(フロントトップローラ13a及びフロントボトムローラ13b)の良否を判断する。即ち、フロントトップローラ13aの基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルが所定の第1閾値よりも大きい場合は、フロントトップローラ13aに偏心や傷等の欠陥があるものと判断される。一方、フロントボトムローラ13bの基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルが所定の第1閾値よりも大きい場合は、フロントボトムローラ13bに偏心や傷等の欠陥があるものと判断される。尚、第1閾値は、ユーザにより適宜設定することができる。
【0031】
第2比較部144は、図2(b)に示すように、2倍周波数比較部144aと、3倍周波数比較部144bと、を備えている。第2比較部144は、キーボード等の入力部120からユーザにより入力された1つ又は複数の所定の閾値(本実施形態の場合、2倍周波数比較部144aにおける閾値、3倍周波数比較部144bにおける閾値の2つ)と、高調波周波数成分検出部142で検出した1つ又は複数の高調波周波数(本実施形態の場合、2倍、3倍)に対応する周波数帯域のパワースペクトルと、を各々比較し、ローラ(フロントトップローラ13a及びフロントボトムローラ13b)の良否を判断する。即ち、本実施形態の場合、フロントトップローラ13aの高調波周波数(2倍)に対応する周波数帯域のパワースペクトルが2倍周波数比較部144aに設定された所定の高調波周波数(2倍)における閾値よりも大きいか、又は、フロントトップローラ13aの高調波周波数(3倍)に対応する周波数帯域のパワースペクトルが3倍周波数比較部144bに設定された所定の高調波周波数(3倍)における閾値よりも大きい場合は、それぞれ、2倍周波数比較部144a、3倍周波数比較部144bにおいて、フロントトップローラ13aに偏心や傷等の欠陥があるものと判断される。一方、フロントボトムローラ13b(2倍)の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルが2倍周波数比較部144aに設定された所定の高調波周波数(2倍)における閾値よりも大きいか、又は、フロントボトムローラ13bの高調波周波数(3倍)に対応する周波数帯域のパワースペクトルが3倍周波数比較部144bに設定された所定の高調波周波数(3倍)における閾値よりも大きい場合は、それぞれ、2倍周波数比較部144a、3倍周波数比較部144bにおいて、フロントボトムローラ13bに偏心や傷等の欠陥があるものと判断される。尚、第2閾値は、ユーザにより適宜設定することができる。
【0032】
そして、図2(a)に戻り、判断部142(第1比較部143、第2比較部144)において、フロントトップローラ13a又はフロントボトムローラ13bに欠陥があるものと判断された場合、ORゲート144を通過して、警告回路108に対して信号を発するなどの処理がなされた後、ディスプレイ107にデジタル値としてそのまま表示される。尚、図2(a)に示すとおり、第1比較部143及び第2比較部144からの出力はORゲート142aを通過しており、また、図2(b)に示すとおり、2倍周波数比較部144a及び3倍周波数比較部144bからの出力はORゲート142bを通過しているため、第1比較部143の比較結果、第2比較部144の2倍周波数比較部144a、3倍周波数比較部144bの比較結果のいずれかにおいてフロントトップローラ13a又はフロントボトムローラ13bに欠陥があるものと判断された場合、即ち、基本周波数、高調波周波数(2倍)、高調波周波数(3倍)のいずれかで、パワースペクトルがそれぞれに対応する閾値よりも大きい場合、警告回路108に対して信号を発するなどの処理がなされた後、ディスプレイ107にデジタル値としてそのまま表示される。
尚、欠陥があるものと判断されたフロントトップローラ13a又はフロントボトムローラ13bは取り替えられ、又は、ゴムで構成されたローラ(本実施形態ではフロントトップローラ13a)についてはバッフィングにより表面を削って再使用される。
【0033】
尚、上述の第1比較部143の第1閾値、及び、第2比較部144の2倍周波数比較部144a、3倍周波数比較部144bの2つの閾値は、それぞれ、2つのレベル(アラームレベルとストップレベル)を設けるのが望ましい(但し、ストップレベルがアラームレベルよりも大きくなるように設定する。)。即ち、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルがアラームレベルの第1閾値を超えた場合又は高調波周波数(2倍、3倍)に対応する周波数帯域のパワースペクトルがアラームレベルの各閾値を超えた場合は、上述の通り処理する。一方、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルがアラームレベル以上の値であるストップレベルの第1閾値を超えた場合又は高調波周波数(2倍、3倍)に対応する周波数帯域のパワースペクトルがアラームレベル以上の値であるストップレベルの各閾値を超えた場合は、例えば、その錘の作動を停止させるように構成する。これにより、ユーザはフロントローラ13の欠陥の度合いに応じた対応を取ることができる。
【0034】
また、判断部142には、第1比較部143及び第2比較部144の他に、基本波周波数に対応する周波数帯域及び高調波周波数に対応する周波数帯域以外の周波数帯域(例えば、図4において、0.5Hz〜200Hzの範囲で、▲1▼及び▲2▼の部分を除いた範囲)のパワースペクトルについて、別途設定された閾値と比較する比較部を設けるのが望ましい。即ち、▲1▼、▲2▼を除いた周波数帯域のための比較部により、フロントローラ13以外の周期斑を判別するように構成する。これにより、高調波周波数に対応する周波数帯域に発生するパワースペクトルの異常を、フロントローラ13の不良以外の糸ムラ異常として誤検出することなく、フロントローラ13の不良による周期斑として正しく判別することができ、糸ムラを正確に評価することができる。
【0035】
このように、第一の実施形態の紡績機1の糸ムラ情報解析装置100によれば、基本波周波数に対応する周波数帯域の周波数成分の比較と、2倍及び3倍の高調波周波数に対応する周波数帯域の周波数成分の比較とを、それぞれ、第1比較部143での比較及び第2比較部144での2つの比較において、別々に行っている。従って、第1比較部143及び第2比較部144の2倍周波数比較部144a、3倍周波数比較部144bにおいて、それぞれ別々に、第1閾値及び高調波周波数(2倍)、高調波周波数(3倍)の閾値を設定することができるため、基本波周波数、又は、2倍及び3倍の高調波周波数において発生する周期斑をその傾向に応じて正確に判断することができ、精度良くローラの不良を検出することができる。
【0036】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置について、図5に基づいて説明する。図5は、第二の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置を示したブロック図である。尚、第一の実施形態と同一の部材については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
図5に示すように、糸ムラ情報解析装置200は、計算器210が有するアウトプット処理部240に判断部(判断手段)242を備えている。判断部242は、総和値比較部(総和値比較手段)245を備えている。
【0038】
総和値比較部245は、キーボード等の入力部120からユーザにより入力された所定の閾値と、基本波周波数成分検出部141aで検出した基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルと、高調波周波数成分検出部141bで検出した高調波周波数(2倍)に対応する周波数帯域のパワースペクトルと、高調波周波数成分検出部141bで検出した高調波周波数(3倍)に対応する周波数帯域のパワースペクトルと、を合算したパワースペクトル総和値と、を比較し、ローラ(フロントトップローラ13a及びフロントボトムローラ13b)の良否を判断する。即ち、フロントトップローラ13aの基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルと高調波周波数(2倍、3倍)に対応する2つの周波数帯域のパワースペクトルとを合算した値が所定の閾値よりも大きい場合は、フロントトップローラ13aに偏心や傷等の欠陥があるものと判断される。一方、フロントボトムローラ13bの基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルと高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルとを合算した値が所定の閾値よりも大きい場合は、フロントボトムローラ13bに偏心や傷等の欠陥があるものと判断される。尚、所定の閾値は、ユーザにより適宜設定することができる。
【0039】
そして、判断部242(総和値比較部245)において、フロントトップローラ13a又はフロントボトムローラ13bに欠陥があるものと判断された場合、警告回路108に対して信号を発するなどの処理がなされた後、ディスプレイ107にデジタル値としてそのまま表示される。
尚、欠陥があるものと判断されたフロントトップローラ13a又はフロントボトムローラ13bは取り替えられ、又は、ゴムで構成されたローラ(本実施形態ではフロントトップローラ13a)についてはバッフィングにより表面を削って再使用される。
【0040】
尚、第一の実施形態と同様に、上述の総和値比較部245の閾値は、それぞれ、2つのレベル(アラームレベルとストップレベル)を設けるのが望ましい(但し、ストップレベルがアラームレベルよりも大きくなるように設定する。)。即ち、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルと高調波周波数(2倍、3倍)に対応する2つの周波数帯域のパワースペクトルとを合算した値がアラームレベルの閾値を超えた場合は、上述の通り処理する。一方、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルと高調波周波数(2倍、3倍)に対応する2つの周波数帯域のパワースペクトルとを合算した値がアラームレベル以上の値であるストップレベルの閾値を超えた場合は、例えば、その錘の作動を停止させるように構成する。これにより、ユーザはフロントローラ13の欠陥の度合いに応じた対応を取ることができる。
【0041】
また、第一の実施形態と同様に、判断部242には、総和値比較部245の他に、基本波周波数に対応する周波数帯域及び高調波周波数に対応する周波数帯域以外の周波数帯域(例えば、図4において、0.5Hz〜200Hzの範囲で、▲1▼及び▲2▼の部分を除いた範囲)のパワースペクトルについて、別途設定された閾値と比較する比較部を設けるのが望ましい。即ち、▲1▼、▲2▼を除いた周波数帯域のための比較部により、フロントローラ13以外の周期斑を判別するように構成する。これにより、高調波周波数に対応する周波数帯域に発生するパワースペクトルの異常を、フロントローラ13の不良以外の糸ムラ異常として誤検出することなく、フロントローラ13の不良による周期斑としてより精度良く判別することができ、糸ムラを正確に評価することができる。即ち、第一の実施形態では、いずれも閾値を超えていないとしても、これらの周波数の中で閾値に近いパワースペクトルを示すものがあれば、合算によって検出可能となる場合もある。
【0042】
このように、第二の実施形態の紡績機1の糸ムラ情報解析装置200によれば、基本波周波数に対応する周波数帯域の周波数成分と2倍及び3倍の高調波周波数に対応する周波数帯域の周波数成分の合計値に対して、総和値比較部245での比較において、比較を行っている。従って、総和値比較部245において、一つの閾値のみを設定するため、基本波周波数、及び、2倍及び3倍の高調波周波数において発生する周期斑を合わせて判断することにより、簡便に、しかもより精度良くローラの不良を検出することができる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな形態が可能なものである。
【0044】
上述の第一の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置100及び第二の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置200以外の実施形態であってもよい。ここで、一例として、図6に基づいて別の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置300について説明する。図6は、別の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置を示したブロック図であり、(a)は別の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置の概略を示したブロック図であり、(b)は第2比較部を示したブロック図である。
【0045】
図6(a)に示すように、糸ムラ情報解析装置300の計算器310が備えるアウトプット処理部340が、上述の糸ムラ情報解析装置100の第1比較部143(図6(a)の第1比較部(第1比較手段)343に相当)及び第2比較部144(図6(a)の第2比較部(第2比較手段)344に相当)と、上述の糸ムラ情報解析装置200の総和値比較部245(図6(a)の総和値比較部(総和値比較手段)345に相当)と、を備える判断部(判断手段)342を有するものであっても良い。また、第2比較部344は、上述の糸ムラ情報解析装置100の2倍周波数比較部144a(図6(b)の2倍周波数比較部344aに相当)、3倍周波数比較部144b(図6(b)の3倍周波数比較部344bに相当)を備える。
この場合、図6(a)に示すとおり、第1比較部343と第2比較部344と総和値比較部345の出力がORゲート342aを通過しており、また、図6(b)に示すとおり、2倍周波数比較部344a及び3倍周波数比較部344bからの出力はORゲート342bを通過しているため、第1比較部343、第2比較部344(2倍周波数比較部344a、3倍周波数比較部344b)、総和値比較部345のいずれかにおいて、フロントトップローラ13a又はフロントボトムローラ13bに欠陥があるものと判断された場合に、警告回路108に対して信号を発するなどの処理がなされた後、ディスプレイ107にデジタル値としてそのまま表示される。
【0046】
このように、紡績機1の糸ムラ情報解析装置300によれば、第1比較部343、第2比較部344(2倍周波数比較部344a、3倍周波数比較部344b)、総和値比較部345において、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルの比較と、2倍及び3倍の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルの比較と、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルと2倍及び3倍の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルを合計した総和値に対する比較と、を別々に行っている。従って、第1比較部343、第2比較部344(2倍周波数比較部344a、3倍周波数比較部344b)において、基本波周波数、又は、2倍及び3倍の高調波周波数において発生する周期斑をその傾向に応じて正確に判断するとともに、総和値比較部345において、基本波周波数、及び、2倍及び3倍の高調波周波数において発生する周期斑を合わせて判断することにより、更に精度良くローラの不良を検出することができる。
【0047】
尚、第一の実施形態及び第二の実施形態と同様に、判断部342には、第1比較部343、第2比較部344及び総和値比較部345の他に、基本波周波数に対応する周波数帯域及び高調波周波数に対応する周波数帯域以外の周波数帯域(例えば、図4において、0.5Hz〜200Hzの範囲で、▲1▼及び▲2▼の部分を除いた範囲)のパワースペクトルについて、別途設定された閾値と比較する比較部を設けるのが望ましい。即ち、▲1▼、▲2▼を除いた周波数帯域のための比較部により、フロントローラ13以外の周期斑を判別するように構成する。これにより、高調波周波数に対応する周波数帯域に発生するパワースペクトルの異常を、フロントローラ13の不良以外の糸ムラ異常として誤検出することなく、フロントローラ13の不良による周期斑として正しく判別することができ、糸ムラを正確に評価することができる。
【0048】
また、上述の紡績機の糸ムラ情報解析装置100、200、300では、1つの錘について糸ムラ情報を解析しているがそれに限らない。即ち、糸ムラ情報の解析が極めて短時間でできるので、複数の錘について糸ムラ情報を解析する紡績機の糸ムラ情報解析装置であってもよい。例えば、上述の第一の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置100の変形例として、図7に示すような紡績機の糸ムラ情報解析装置400を用いれば、1台の計算器110をもって非常に多数の錘について順番に糸ムラ情報の解析を行うことができる。
【0049】
図7に示した紡績機の糸ムラ情報解析装置400は、例えば、60錘の紡績機1のそれぞれの錘に取り付けたスラブキャッチャー(糸ムラ検出器)101と1台の計算器110とを公知のマルチプレクサ160で連結したものである。このマルチプレクサ160は、紡績機1と計算器110とを、1錘ずつ順に設定された時間間隔だけ電気的に連絡するようになっており、例えば、1錘について1回の計測時間が60秒だとすると、ある1錘については1時間に1回、糸ムラ情報の解析が回ってくるようになる。尚、図8に示すように、マルチプレクサ160は、糸ムラ信号用線161及びコントローラ信号用線162を有しており、糸ムラ信号用線161及びコントローラ信号用線162は、60錘の紡績機1のそれぞれの錘に取り付けたスラブキャッチャー(糸ムラ検出器)101に接続される。
【0050】
更に、上記各実施形態においては、高調波周波数算出部132において、高調波周波数として、2倍、3倍周波数を算出し、高調波周波数成分検出部141bにて2倍、3倍周波数成分を検出してローラの不良の判断を行っているが、それに限らない。例えば、場合によっては、2倍のみとしたり、2倍〜4倍としたりする等、対象とする高調波周波数成分を適宜選択すれば良い。
例えば、上述の第一の実施形態を例に説明すると、高調波周波数成分検出部141bにおいて、高調波周波数算出部132で選択した1つ又は複数の高調波周波数成分に対応する周波数帯域でパワースペクトルが分割される。また、第2比較部144には、高調波周波数算出部132で選択した1つ又は複数の高調波周波数成分に対応する閾値が設定された1つ又は複数の比較部が備えられ、当該1つ又は複数の比較部において、それぞれに設定された閾値よりも大きいか否かが判断される。
【0051】
また、上記各実施形態においては、ローラ回転周波数算出部130において、フロントトップローラ13a及びフロントボトムローラ13bの基本波周波数及び高調波周波数を算出しているが、それに限らない。ドラフト装置10に備えられるローラ対を構成するローラであれば、バックローラ11、セカンドローラ12であっても良い。
【0052】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の請求項1に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置によると、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトル、及び、1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルに基づいて、ローラの良否を判断する。従って、基本波周波数に対応する周波数帯域、又は、1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域において発生する周期斑に基づいて、精度良くローラの不良を検出することができる。
【0053】
請求項2に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置によると、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルの比較と、1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルの比較とを別々に行っている。従って、基本波周波数、又は、1つ又は複数の高調波周波数において発生する周期斑をその傾向に応じて正確に判断することができ、精度良くローラの不良を検出することができる。
【0054】
請求項3に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置によると、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルと1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルを合計した総和値に対して比較を行っている。従って、基本波周波数、及び、1つ又は複数の高調波周波数において発生する周期斑を合わせて判断することにより、簡便に、しかもより精度良くローラの不良を検出することができる。
【0055】
請求項4に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置によると、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルの比較と、1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルの比較と、基本波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルと1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域のパワースペクトルを合計した総和値に対する比較と、を別々に行っている。従って、基本波周波数、又は、1つ又は複数の高調波周波数において発生する周期斑をその傾向に応じて正確に判断するとともに、基本波周波数、及び、1つ又は複数の高調波周波数において発生する周期斑を合わせて判断することにより、更に精度良くローラの不良を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置を取り付けた空気式紡績機のドラフト装置及び紡績部の一例を示す概略図である。
【図2】第一の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置を示したブロック図であり、(a)は第一の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置の概略を示したブロック図であり、(b)は第2比較部を示したブロック図である。
【図3】スラブキャッチャー(糸ムラ検出器)の一例を示した概略図である。
【図4】基本波周波数に対応する周波数帯域及び高調波周波数に対応する周波数帯域の一例を示すグラフである。
【図5】第二の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置を示したブロック図である。
【図6】別の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置を示したブロック図であり、(a)は別の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置の概略を示したブロック図であり、(b)は第2比較部を示したブロック図である。
【図7】第一の実施形態に係る紡績機の糸ムラ情報解析装置の変形例を示した概略図である。
【図8】図7の紡績機の糸ムラ情報解析装置の一部分の詳細を示した略回路図である。
【符号の説明】
1 紡績機
2 紡績部
4 糸
10 ドラフト装置
11 バックローラ
12 セカンドローラ
13 フロントローラ
13a フロントトップローラ
13b フロントボトムローラ
14 スライバー
100 糸ムラ情報解析装置
101 スラブキャッチャー(糸ムラ検出器)
130 ローラ回転周波数算出部(ローラ回転周波数算出手段)
141 ローラ回転周波数成分検出部(ローラ回転周波数成分検出手段)
142 判断部(判断手段)
143 第1比較部(第1比較手段)
144 第2比較部(第2比較手段)
150 周波数分析部(周波数分析手段)
200 糸ムラ情報解析装置
242 判断部(判断手段)
245 総和値比較部(総和値比較手段)
300 糸ムラ情報解析装置
342 判断部(判断手段)
343 第1比較部(第1比較手段)
344 第2比較部(第2比較手段)
345 総和値比較部(総和値比較手段)
Claims (4)
- 複数のローラ対により構成され、スライバーをドラフトして、紡績部に送出するドラフト装置を備える紡績機の糸ムラ解析装置において、
前記ドラフト装置、紡績部を経て生成される糸の糸ムラ信号を検出する糸ムラ検出器と、
前記糸ムラ信号を処理してスペクトル分析するとともに、周波数成分毎のパワースペクトルを出力する周波数分析手段と、
前記ローラ対を構成するローラの一回転に相当する基本波周波数、及び、当該基本周波数の2以上の自然数倍の1つ又は複数の高調波周波数を算出するローラ回転周波数算出手段と、
前記周波数分析手段で得られる周波数成分毎のパワースペクトルから、前記基本周波数、及び、前記1つ又は複数の高調波周波数に対応する各周波数帯域のパワースペクトルを検出するローラ回転周波数成分検出手段と、
前記ローラ回転周波数成分検出手段で検出したパワースペクトルに基づいて、前記ローラの良否を判断する判断手段と、を備える紡績機の糸ムラ情報解析装置。 - 前記判断手段は、
前記基本波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルを予め設定した第1閾値と比較する第1比較手段と、
前記1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルを、当該1つ又は複数の周波数帯域に対応する予め設定した閾値と比較する第2比較手段と、を含み、
前記第1比較手段、前記第2比較手段の各比較結果から、前記ローラの良否を判定する請求項1に記載の紡績機の糸ムラ情報解析装置。 - 前記判断手段は、
前記基本波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルと、前記1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルと、を合算して、合算したパワースペクトル総和値と予め設定された閾値と比較する総和値比較手段を含み、
前記総和値比較手段の比較結果から、前記ローラの良否を判定する請求項1に記載の紡績機の糸ムラ情報解析装置。 - 前記判断手段は、
前記基本波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルを予め設定した第1閾値と比較する第1比較手段と、
前記1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルを、当該1つ又は複数の周波数帯域に対応する予め設定した閾値と比較する第2比較手段と、
前記基本波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルと、前記1つ又は複数の高調波周波数に対応する周波数帯域で検出したパワースペクトルと、を合算して、合算したパワースペクトル総和値と予め設定された閾値と比較する総和値比較手段を含み、
前記第1比較手段、前記第2比較手段、前記総和値比較手段の各比較結果から、前記ローラの良否を判定する請求項1に記載の紡績機の糸ムラ情報解析装置。
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