JP3890402B2 - イネ師部における新規タンパク質およびその遺伝子 - Google Patents
イネ師部における新規タンパク質およびその遺伝子 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Ca2+/リン脂質結合ドメインを有し、そして好ましくはカボチャCmPP16タンパク質と少なくとも約50%のアミノ酸相同性を有する、イネ師部タンパク質、およびそれをコードするDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】
植物は、長距離輸送のための維管束において、2つの相補的な導管:木部および師部を使用している。例えば、イネの維管束は、並立維管束であり、そして師部および木部からなる。また、カボチャの場合、維管束は、両立維管束であり、そして内部および外部師部、形成層、および木部から構成されている。維管束の構造および生理学的位置は、植物種によってかなり異なっており、葉の師部への溶質輸送の経路およびメカニズムが、構造によって異なることが示唆されている(OparkaおよびTurgeon, Plant Cell, 11, 739-750 (1999))。被子植物において、師部は、主として2つの細胞タイプである師部要素(SE)およびその関連の伴細胞(CC)から構成され、タンパク質、mRNA、アミノ酸、および巨大分子を、組織および器官に送達するための進化した長距離輸送システムとして機能する(Jorgensenら, Science, 279, 1486-1487 (1998))。CCには多くのミトコンドリアおよび遊離のリボソームが存在し、これらはCCの細胞質が異常に高い密度である原因であり、これによってCCと師部の他の細胞とが区別される。逆に、SEは、同化転座について非常に特殊化されており、核、液胞、リボソーム、およびゴルジ体のようなほとんどの細胞内構造およびオルガネラは、師部要素発達中に分解されている(Sjolund, Plant Cell, 9, 1137-1146 (1997))。
【0003】
SEおよびCCは、多くの分枝した原形質連絡によって連結される。約200の可溶性タンパク質のうちのいくつかが師部で同定されており、これらのタンパク質は、連結する原形質連絡によってSEに入ると考えられている(Xoconostle-Cazaresら, Science, 283, 94-98 (1999))。さらに、原形質連絡は、タンパク質ならびに内因性RNA分子のような他の微小および巨大分子の長距離転座流への送達を媒介する。マイクロインジェクション実験によって、多くの師部タンパク質が、原形質連絡によるそれ自体の輸送を媒介する能力を有するという直接的な証拠が提供されている。このようなタンパク質の共通の特徴は、1kDaから20kDaを超える値までの原形質連絡のサイズ排除を増加させる能力を有することである。しかし、SEにおける師部タンパク質の機能または役割および巨大分子往来のメカニズムは、全く理解されていない。
【0004】
また、近年、ウイルス移動タンパク質に類似するタンパク質CmPP16の遺伝子がXoconostle-Cazaresら(Xoconostle-Cazaresら, (1999), 前出)によってカボチャ中で同定されている。CmPP16メッセンジャーRNAは、茎の師部組織に存在するが、タンパク質はSE中に限定される。また、CmPP16が細胞間を移動しそしてRNA輸送を媒介することが明らかになっている。これは、RNA分子が師部を介して植物全体を循環し、そのためRNAに基づく情報のスーパーハイウェイがあることを示唆している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
高等植物において、師部は、進化した長距離輸送システムに役割を果たすが、どの種類のタンパク質が、師部組織においてタンパク質およびポリヌクレオチドのような巨大分子の移行に関与するかは、ほとんど明らかにされていない。そのため、上記のような種々の植物種で発現されるウイルスMPに関連する師部タンパク質の機能または役割の解明が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、組織構造において双子葉性のカボチャとは異なる単子葉性のイネを材料として使用し、ウイルスMPに関連する師部タンパク質について鋭意検討を行った。その結果、ウイルスMPと相同性のある新規な師部タンパク質遺伝子、さらにカボチャCmPP16遺伝子と相同性のある新規な師部タンパク質遺伝子を単離し、発現させることに成功した。
【0007】
すなわち、本発明は、Ca2+/リン脂質結合ドメインを有する、イネ師部タンパク質を提供する。
【0008】
好ましい実施態様では、CmPP16タンパク質と少なくとも約50%のアミノ酸相同性を有する、イネ師部タンパク質を提供する。このイネ師部タンパク質は、より好ましくは、カボチャCmPP16タンパク質と少なくとも約56%、さらに好ましくは少なくとも約58%のアミノ酸相同性を有する。
【0009】
好ましい実施態様では、上記イネ師部タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を有する。
【0010】
好ましい実施態様では、上記のイネ師部タンパク質において少なくとも1つのアミノ酸の置換、挿入、または欠失を有する。
【0011】
好ましい実施態様では、上記イネ師部タンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列を有する。
【0012】
好ましい実施態様では、上記のイネ師部タンパク質において少なくとも1つのアミノ酸の置換、挿入、または欠失を有する。
【0013】
本発明はまた、上記のいずれかに記載のイネ師部タンパク質をコードする、DNAを提供する。
【0014】
好ましい実施態様では、上記DNAは、配列番号1の塩基配列を含む。
【0015】
好ましい実施態様では、上記DNAは、配列番号3の塩基配列を含む。
【0016】
好ましい実施態様では、上記DNAは、配列番号5の塩基配列を含む。
【0017】
本発明はまた、配列番号7の塩基配列を含む、プロモーターを提供する。
【0018】
本発明はさらに、配列番号8の塩基配列を含む、プロモーターを提供する。
【0019】
なお、本発明のプロモーターは、遺伝子発現に関する機能に変更を生じさせない限り、塩基配列の置換、挿入、または欠失を有するプロモーターも含む。
【0020】
本発明は、上記のいずれかのイネ師部タンパク質を、師部特異的に発現するように形質転換された、トランスジェニック植物を提供する。
【0021】
好ましい実施態様では、上記トランスジェニック植物は、イネ、サトウキビ、トウモロコシ、およびメロンからなる群より選択される。
【0022】
本発明はまた、上記トランスジェニック植物を用いて、上記のいずれかのイネ師部タンパク質を製造する方法を提供する。
【0023】
本発明は、異種タンパク質を師部特異的に生産するトランスジェニック植物であって、師部特異的発現に関与するプロモーター、および該プロモーターに発現可能に結合された該異種タンパク質をコードするDNAを含むベクターを得る工程;および得られたベクターを植物に導入する工程、を含む方法によって得られる、トランスジェニック植物を提供する。
【0024】
好ましい実施態様では、上記ベクターは、さらに、上記のいずれかのイネ師部タンパク質をコードするDNAの全部または一部を含む。
【0025】
さらに好ましい実施態様では、上記のいずれかのイネ師部タンパク質をコードするDNAの全部または一部は、上記異種タンパク質をコードするDNAと、融合タンパク質を発現するように結合されている。
【0026】
好ましい実施態様では、上記師部特異的発現に関与するプロモーターは、配列番号7または8の塩基配列を含むプロモーターである。
【0027】
好ましい実施態様では、上記植物は、イネ、サトウキビ、トウモロコシ、およびメロンからなる群より選択される。
【0028】
好ましい実施態様では、上記異種タンパク質は、師部から師管へ分泌される。
【0029】
本発明の別の局面では、異種タンパク質を植物の師部に特異的に生産させる方法であって、
師部特異的発現に関与するプロモーター、および該プロモーターに発現可能に結合された該タンパク質をコードするDNAを含むベクターを得る工程;および
得られたベクターを該植物に導入してトランスジェニック植物を得る工程
を含む、方法を提供する。
【0030】
好ましい実施態様では、上記ベクターは、さらに、上記のいずれかのイネ師部タンパク質をコードするDNAの全部または一部を含む。
【0031】
さらに好ましい実施態様では、上記のいずれかのイネ師部タンパク質をコードするDNAの全部または一部は、上記異種タンパク質をコードするDNAと、融合タンパク質を発現するように結合されている。
【0032】
好ましい実施態様では、上記師部特異的発現に関与するプロモーターは、配列番号7または8の塩基配列を含むプロモーターである。
【0033】
好ましい実施態様では、上記植物は、イネ、サトウキビ、トウモロコシ、およびメロンからなる群より選択される。
【0034】
好ましい実施態様では、上記異種タンパク質は、師部から師管へ分泌される。
【0035】
【発明の実施の形態】
本明細書において、「CmPP16」とは、レッドクローバー壊死モザイクウイルス(RCNMV)に対する抗血清と交差反応し、カボチャ師部汁液から最初に同定され、RCNMVのウイルス移動タンパク質(MP)とある程度の配列類似性を有し、そしてCa2+/リン脂質結合ドメインを含むタンパク質をいう(Xoconostle-Cazaresら, (1999), 前出)。CmPP16のmRNAは、カボチャの茎の師部組織に存在するが、生産されたタンパク質はSE中に限定される。また、CmPP16は、細胞間を移動しそしてRNA輸送を媒介するという役割を果たすと考えられている。ここで、「ウイルス移動タンパク質(MP)」とは、植物ウイルスが発現するタンパク質であって、原形質連絡と相互作用して、MPとウイルスの核酸との複合体の細胞間輸送を媒介する能力を有するタンパク質をいう。
【0036】
本明細書において、「Ca2+/リン脂質結合ドメイン」とは、プロテインキナーゼCファミリーに存在するCa2+/リン脂質結合性(依存性)のC2ドメインをいう(Kopkaら, Plant Mol. Biol., 36, 627-637 (1998))。
【0037】
本明細書において、「イネ師部タンパク質」とは、イネの師部に特異的に発現するタンパク質をいう。特に、「本発明のイネ師部タンパク質」という場合は、「RPP16タンパク質」または「RPP17タンパク質」およびそれらの誘導体をいう。なお、「誘導体」とは、タンパク質の機能に影響を及ぼさなければ、このアミノ酸配列において少なくとも1つのアミノ酸の置換、挿入、または欠失を有しているタンパク質をいう。本明細書では、単に「RPP16タンパク質」または「RPP17タンパク質」という場合、それらの誘導体が含まれ得る。
【0038】
本明細書において、「RPP16タンパク質」とは、Ca2+/リン脂質結合ドメインを有し、そして好ましくはカボチャCmPP16タンパク質と少なくとも約50%のアミノ酸相同性を有する、約16kDaの推定分子量を有するイネ師部タンパク質をいう。代表的には、CmPP16タンパク質と56%の相同性を有し、そして配列番号2のアミノ酸配列を有する、推定分子量15.9kDaのタンパク質が挙げられる(RPP16−1と命名)。RPP16−1の推定等電点(pI)は4.06であり、酸性タンパク質である。タンパク質の機能に影響を及ぼさなければ、このアミノ酸配列において少なくとも1つのアミノ酸の置換、挿入、または欠失を有していてもよい。また、RPP16タンパク質は、「Rpp16−1遺伝子」と命名される塩基配列から発現され、この遺伝子は、例えば、配列番号1の塩基配列であり得る。
【0039】
本明細書において、「RPP17タンパク質」とは、Ca2+/リン脂質結合ドメインを有し、そして好ましくはカボチャCmPP16タンパク質と少なくとも約50%のアミノ酸相同性を有する、約17kDaの推定分子量を有するイネ師部タンパク質をいう。代表的には、配列番号4のアミノ酸配列を有するRPP17−1(推定分子量17.7kDa)および配列番号6のアミノ酸配列を有するRPP17−2(推定分子量17.4kDa)が挙げられ、これらはCmPP16タンパク質と58%の相同性を有する。RPP17−1およびRPP17−2の推定pIは、それぞれ6.05および6.26であり、これらのタンパク質は中性タンパク質である。タンパク質の機能に影響を及ぼさなければ、これらのアミノ酸配列において少なくとも1つのアミノ酸の置換、挿入、または欠失を有していてもよい。なお、RPP17−2は、RPP17−1から3アミノ酸が欠失したタンパク質である。また、RPP17−1およびRPP17−2は、それぞれ「Rpp17−1遺伝子」および「Rpp17−2遺伝子」と命名される遺伝子から発現され、これらの遺伝子は、例えば、それぞれ配列番号3および配列番号5の塩基配列であり得る。
【0040】
本明細書において、「RPP16プロモーター」および「RPP17プロモーター」とは、それぞれ、単離したRPP16タンパク質およびRPP17タンパク質の上流にある、プロモーター領域をいう。代表的には、それぞれ、配列番号7および配列番号8で示される塩基配列を有する。「RPP16プロモーター」は、RPP16タンパク質を、根では枝根に、茎では伴細胞(CC)および師部柔細胞に、および葉では伴細胞に特異的に発現するように、厳密に調節する。一方、「RPP17プロモーター」は、RPP17タンパク質を、根では枝根に、茎では伴細胞(CC)および師部柔細胞に、および葉では伴細胞、師部柔組織、および葉肉細胞に特異的に発現するように調節する。なお、本発明のプロモーターは、遺伝子発現に関する機能に変更を生じさせない限り、塩基配列の置換、挿入、または欠失を有するプロモーターも含む。また、本発明のプロモーターは、RPP16タンパク質およびRPP17タンパク質のみを師部特異的に発現させるだけでなく、その制御下に発現可能に結合された異種物質をコードするDNAについても師部特異的に発現させ得る。
【0041】
本発明においては、ウイルスMPに関連する師部タンパク質CmPP16と相同なタンパク質が存在しそして種々の植物種において発現されることを検討するために、両立維管束を有するカボチャとは異なって、並立維管束を有するイネを材料として使用した。また、分子生物学的実験手法(DNAの電気泳動、電気泳動したDNAをゲルから回収する方法、制限酵素消化、PCR、DNAの放射標識、ハイブリダイゼーション、塩基配列決定など)が用いられるが、これらの手法としては、例えば、Sambrookら, A Laboratory Manual,第2版, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (1989)に記載されているような、当業者が通常用いる手法が採用される。種々の生化学、免疫学、植物組織学などの手法も、特に記載がないかぎり、当業者が通常用いる手法が用いられる。
【0042】
CmPP16遺伝子に対する類似性検索は、適切なデータベースを用いて行われ得、例えば、本発明の場合は、イネで発現した配列タグ(EST)データベースにおいてBLASTサーチを使用して行い得る。また、得られる推定アミノ酸配列を有するRPP16タンパク質およびRPP17タンパク質に対するコンピュータサーチも、現在利用可能な種々の配列データベースを用いて行われ得る。さらに、系統発生分析を、現在利用可能な種々の方法に従って系統樹を作成して行ってもよい。
【0043】
タンパク質構造については、例えば、フリーソフト swiss protを使用して分析し得る。これによって得られるCmPP16−1、CmPP16−2、RPP17−1、およびRPP17−2の推定等電点(pI)から、これらのタンパク質が推定の中性タンパク質であり、一方、RPP16−1の推定pIから、これが推定の酸性タンパク質であることがわかる。タンパク質特性とともに系統発生分析の結果から、RPP16−1タンパク質は新規のタンパク質であり、RPP17タンパク質(RPP17−1およびRPP17−2)はカボチャCmPP16タンパク質の進化対応物と考えられる。
【0044】
RPP16タンパク質およびRPP17タンパク質は、種々の細胞で発現させることができる。適切な細胞としては、細菌、酵母、昆虫、植物、動物などの細胞が挙げられる。特に、大腸菌、酵母、イネ・タバコなどの植物が好ましい。
【0045】
Rpp16遺伝子およびRpp17遺伝子をこれらの細胞で発現させる際、当業者が通常用いる種々の方法で検出可能なタンパク質との融合タンパク質として発現させることもできる。検出可能なタンパク質としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、グリーンフルオレセントプロテイン(GFP)などが挙げられる。特に、植物においてインサイチュでRpp16遺伝子およびRpp17遺伝子を発現させる場合は、植物に内在活性の見られないリポーター遺伝子を使用してもよい。植物への遺伝子導入のリポーター遺伝子としては、例えば、β−グルクロニダーゼ(GUS)をコードするgusA遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子などが挙げられる。
【0046】
また、RPP16タンパク質およびRPP17タンパク質と融合され得るタンパク質は、上記のような検出可能なタンパク質に限定されず、師部特異的に発現させることを目的とする任意の異種タンパク質であってもよい。
【0047】
トランスジェニック植物の作成は、例えば、RPP16タンパク質またはRPP17タンパク質を発現させるイネの場合、以下のように行われる。まず、RPP16タンパク質またはRPP17タンパク質の推定プロモーター領域を含むゲノム配列を、プラークハイブリダイゼーションによってスクリーニングする。RPP16またはRPP17のオープンリーディングフレーム(ORF)の上流領域は、プローブとしてそれぞれのcDNAクローンを用いて、イネゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得られ得る。それぞれのフランキング配列の推定プロモーター領域を、例えば、それぞれpBI121のベクターにサブクローニングする。各構築物を、例えば、エレクトロポレーション法またはAgrobacterium tumefaciensのT−DNA由来ベクターを使用してイネに導入して、RPP16タンパク質またはRPP17タンパク質を発現するトランスジェニックイネ植物が得られ得る。得られたトランスジェニックイネ植物は、例えば、ハイグロマイシン含有培地で選択され、そしてイネゲノムへの遺伝子の導入は、gusA遺伝子を指標としてPCR法またはサザン法によって確認できる。RPP16および/またはRPP17タンパク質を発現するトランスジェニック植物は、イネ以外に、種々の植物で作成可能であり、例えば、サトウキビ、トウモロコシ、およびメロンが好ましい。
【0048】
また、RPP16プロモーターまたはRPP17プロモーターの制御下に発現可能に結合された異種タンパク質をコードするDNAを利用して、師部特異的に異種タンパク質を発現するトランスジェニック植物を作成することもできる。この異種タンパク質は、単独で、あるいはRPP16またはRPP17タンパク質全体または一部との融合タンパク質として発現され得る。あるいは、RPP16またはRPP17タンパク質と別に発現されるが、発現後にこれらのタンパク質と相互作用するように発現されてもよい。
【0049】
本発明により得られるRPP16タンパク質およびRPP17タンパク質は、MPに類似の構造を有し、師部特異的に発現し、その発現はそれぞれのプロモーターによって厳密に調節されている。そのため、これらのタンパク質の遺伝子および/またはその制御領域を利用して、トランスジェニック植物を作成し、その師部で異種物質を生産させ、その物質を師管へ輸送するという技術を開発することが可能である。例えば、師部において、産業価値のある物質を生産させることに加え、植物に耐病性または耐虫性を与える物質を生産させ、この物質を師管という長距離輸送経路を使用して植物全体に行き渡らせることが可能である。また、環境に負の影響を与える物質(重金属、環境ホルモンなど)の結合タンパク質を生産させ、環境浄化植物を育成できる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、これらは本発明を限定することを意図するものではない。
【0051】
(実施例1:イネからの新しいウイルスMP様遺伝子の同定)
イネ植物(Oryza sativa L.cvs Nipponbare)を、温室で28℃にて生育した。イネ若葉から、イネcDNAを、Kadowakiら(Kadowakiら, EMBO J., 15, 6652-6661 (1996))に記載の手順によって抽出した。
【0052】
cDNAのスクリーニングために、CmPP16cDNAに対する類似性検索を、イネで発現した配列タグ(EST)データベースにおいてBLASTサーチを使用して行い、そして2つのクラスの部分配列をピックアップした。2つのイネESTクローンR0374およびE61187(それぞれDDBJ登録番号AU031663およびC74955)のインサートDNA全長を、プローブとして使用した。これらのハイブリダイゼーションプローブを、増強された化学発光直接核酸標識システム(Amersham Pharmacia)を使用して標識し、続いてハイブリダイゼーション分析を行った。
【0053】
その結果、3種のクローンを、cDNAライブラリーから得た。得られたクローンのDNA配列を、蛍光染料プライマー(PE Biosystems)を使用してジデオキシチェーンターミネーション法によって決定した。これらのうちの1つは、配列番号1に示すヌクレオチド配列であり、15.9kDaの推定分子量を有する144アミノ酸残基をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいた。これを、16kDaイネ師部タンパク質(RPP16−1)と命名した(配列番号2)。他の2つのクローン(それぞれ配列番号3および配列番号5)は非常に類似しており、配列番号3に対して配列番号5は、ORF配列内でわずかに9個のヌクレオチド欠失があったにすぎなかった。2つのクローンに含まれるORFは、17.7kDaの推定分子量を有する159アミノ酸残基、および17.4kDaの推定分子量を有する156アミノ酸残基をコードし、それぞれRPP17−1およびRPP17−2(それぞれ、配列番号4および配列番号6)と命名した。
【0054】
次に、遺伝子コピー数を検討するために、サザンブロット分析を、以下のように行った。イネゲノムDNA(5μg)を、BamHI、EcoRI、EcoRV、およびHindIIIで切断し、そして0.8%アガロースゲルによる電気泳動に供した。これらをアルカリ変性後にナイロンメンブランにトランスファーした。ハイブリダイゼーションプローブは、それぞれRpp16−1cDNAおよびRpp17−1または2のcDNAについての、cDNAの全体領域に対応するDIG標識したPCRフラグメントであった。ハイブリダイゼーションおよび洗浄を、Ausubelら(Ausubelら, (1987) Current Protocols in Molecular Biology, New York: Wiley)に記載のように行った。フィルターをX線フィルム(富士フィルム)に曝露した。ハイブリダイズしたバンドを、製造業者の指示書に記載のように化学発光反応によって可視化した。その結果、単一バンドを観察し、これは、Rpp16遺伝子およびRpp17遺伝子がイネゲノムにおいて単一コピー遺伝子であることを強く示唆した(データは示さず)。この結果はまた、Rpp17−1遺伝子およびRpp17−2遺伝子の間の9個の塩基配列の差が、オルタナティブスプライシング事象に由来することを示唆する。
【0055】
(実施例2:タンパク質RPP16−1、RPP17−1、およびRPP17−2の特徴づけ)
カボチャCmPP16−1およびCmPP16−2の推定アミノ酸配列(これらはcDNA(Xoconostle-Cazaresら, (1999), 前出)から推定)、レッドクローバー壊死モザイクウイルスの移動タンパク質(RCNMVのMP)の推定アミノ酸配列(これはcDNA(DDJB登録番号P10838)から推定)と、イネRPP16、RPP17−1、ならびにRPP17−2の推定アミノ酸配列(これらはRpp16−1、Rpp17−1、およびRpp17−2のcDNAからそれぞれ推定)とのアラインメントを図1に示す。同一アミノ酸を反転によって示し、そして類似のアミノ酸に影をつけた。プロテインキナーゼC様Ca2+/リン脂質結合(C2)ドメインを、濃い線で示し、C2ドメインの3つのサブドメイン(A、B、C)を、白の長方形で示した。配列の右の数字は、各タンパク質のアミノ酸位置を示す。
【0056】
RPP16タンパク質およびRPP17タンパク質の推定アミノ酸配列は、互いに57%の類似性を共有し、そして両方のタンパク質ともRCNMVのMPに局所的な相同性を有していた。Rpp16遺伝子およびRpp17遺伝子からの推定アミノ酸配列は、カボチャCmPP16に対してそれぞれ56%および58%の類似性を示した。図1から明らかなように、モチーフサーチによれば、これらのタンパク質の保存的領域は、単一のCa2+/リン脂質結合(C2)ドメイン(Kopkaら, (1998), 前出)を含んでいる。
【0057】
次いで、タンパク質RPP16−1、RPP17−1、およびRPP17−2についてのコンピュータサーチを、登録された配列データに対して行った。類似性のある配列として、Arabidopsis Thaliana(シロイヌナズナ)[DDJB登録番号CAB75905、AAF34860]、chickpea(ヒヨコマメ)[DDJB登録番号AJ012692]、およびZea mays(トウモロコシ)[DDJB登録番号U64437、AF152601]からの配列を、データベースからピックアップできた。しかし、これらの機能は知られていない。
【0058】
さらに、RPP16タンパク質およびRPP17タンパク質についての系統樹を、PAUP*4.0b4a(Swofford, (1998) PAUP: Phylogenetic analysis using parsimony (and other methods), version 4. Sunderland, MA: Sinauer Associates)を使用するNeighbor-Joining Methodクラスタリング方法(SaitouおよびNei, Mol. Biol. Evol., 4, 406-425 (1987))に従って作成し、ブートストラップ値を、10,000反復試験区について得た。得られるタンパク質系統発生図を図2に示す。枝の数字は、枝を支持するパーセンテージである。イネタンパク質の名称を四角で囲んで示した。結果は、RPP17タンパク質が、配列アラインメントにおいて、RPP16タンパク質よりもカボチャCmPP16タンパク質とより密接に関連することを示唆する。
【0059】
RPP16−1、RPP17−1、およびRPP17−2のタンパク質の構造を、swiss protを使用して分析した。CmPP16−1、CmPP16−2、RPP17−1、およびRPP17−2の推定等電点(pI)は、それぞれ6.17、5.66、6.05、および6.26であり、これは、これらのタンパク質が推定の中性タンパク質であることを示す。一方、RPP16−1の推定pIは4.06であり、RPP16−1が推定の酸性タンパク質であることを示す。タンパク質特性だけでなく系統発生分析の結果も、カボチャCmPP16タンパク質の進化的対応物がRPP17タンパク質であることを示した。
【0060】
(実施例3:タンパク質発現の免疫学的検討)
RPP16およびRPP17タンパク質の発現を、免疫学的検出によって検討した。
【0061】
まず、イネRPP16およびRPP17タンパク質に対する抗血清を、以下のように調製した。RPP16−1およびRPP17−1の一部(それぞれ、アミノ酸位置;配列番号2の39位〜144位およびアミノ酸位置;配列番号4の43位〜159位)に対応するcDNAを、PCRによって増幅し、GST遺伝子を含むpGEX4T−3ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)にライゲートし、そしてそれぞれE.coliJM109に形質転換した。GST/RPP16およびGST/RPP17の各融合タンパク質を、1mM IPTGの添加によって誘導した。各精製した融合タンパク質を、2週間隔で6回ウサギに注射した。抗血清を、CNBr活性化セファロース4Bカラムを使用するアフィニティー精製によって精製した。抗RPP16抗血清および抗RPP17抗血清を用いて、RPP16−1タンパク質およびRPP17−1タンパク質の発現をウエスタンブロット分析によって検出した。結果を、それぞれ図3の(a)および(b)に示す。
【0062】
図3において、矢印は、それぞれ(a)抗RPP16抗血清と反応した30kDペプチドおよび(b)抗RPP17抗血清と反応した17kDペプチドを示す。約30kDaの分子量を有するペプチドを、抗RPP16抗血清を使用してイネ総タンパク質の可溶性画分で検出した(図3(a))。また、RPP17−1に対する免疫学的検出は、不溶性抽出物中に17kDaのタンパク質の存在を示した(図3(b))。また、これらのタンパク質は、以下に示すように、別の植物にも普遍的に存在することが示された(図3(c)および(d))。
【0063】
次に、イネ、サトウキビ、オオムギ、アズキ、アラビドプシス、メロン、およびタバコの各植物の葉を、5容量の抽出緩衝液(100mM Tris−HCl(pH7.5);2mM EDTA;5mM 2−メルカプトエタノール;10%グリセロール)中で微細粉末に粉砕し、15,000rpmで30分間4℃にて遠心分離し、そして上清を収集した(S1画分)。ペレット画分を、等容量の緩衝液(50mM Tris−HCl(pH7.5);2mM EDTA;5mM 2−メルカプトエタノール;10%グリセロール;50mM KCl;0.2%tritonX−100)に再懸濁した。続いて、チューブを4℃にて30分間回転し、そして15,000rpmで30分間4℃にて遠心分離し、そして上清を収集した(S2画分)。ペレット画分もまた、SDS−PAGEランニング緩衝液に懸濁した(不溶性画分)。各タンパク質を、12%SDS−PAGEによって分離し、そしてImmobillon PVDFメンブラン(Millipore,日本)にトランスファーした。水溶性可溶性画分(S1)、tritonX−100可溶性画分(S2)、および不溶性画分(M)からの葉タンパク質を調製した。さらにイネ(レーン1);オオムギ(レーン2);サトウキビ(レーン3);アラビドプシス(レーン4);メロン(レーン5);アズキ(レーン6);およびタバコ(レーン7)のそれぞれについても、SDS−PAGEによって分離し、(a)および(c)については抗RPP16抗血清、ならびに(b)および(d)については抗RPP17抗血清を用いてウエスタンブロット分析を行った。
【0064】
その結果、各植物の葉の可溶性画分(S1またはS2)において、イネのRPP16と類似の構造を有するタンパク質を、サトウキビ、オオムギ、アズキ、メロン、およびアラビドプシスで検出した(図3(c))。しかし、免疫学的分析で検出した可溶性の30kDaペプチドは、RPP16−1のcDNA配列から推定した15.9kDaの質量よりも14kDa大きかった。さらに、E.coliのRPP16−1産物(アミノ酸位置:配列番号2の39位〜144位;Asp:9.52%;Glu:12.38%)も、11.5kDaタンパク質として示され、推定されたよりも5.5kDa大きかった(データは示さず)。SDS−PAGEにおいて、酸性アミノ酸含量の高いタンパク質は、実際の分子量よりも遅く移動し、そのため、SDS−PAGEによる見かけの分子量が顕著に大きくなることが報告されている(Takanoら, Biochemistry, 27, 1964-1972 (1988))。したがって、多くの酸性アミノ酸残基を有するRPP16−1タンパク質(Asp:8.33%;Glu:11.11%)は、SDS−PAGEにおいて実際の分子サイズよりも大きいタンパク質として検出されていると考えられる。これらの結果は、タンパク質ブロットによって検出されるバンドが、Rpp16−1遺伝子の翻訳産物であることを強く示唆する。
【0065】
RPP17タンパク質と類似の分子量を有するタンパク質もまた、サトウキビ、オオムギ、タバコ、メロン、およびアラビドプシスの葉の不溶性画分で検出した(図3(d))。この結果は、RPP17タンパク質が、膜結合タンパク質であることを示唆する。
【0066】
これらの結果は、RPP16タンパク質およびRPP17タンパク質またはそのホモログが、高等植物全体を通して保存されることを示す。さらに、RPP16タンパク質およびRPP17タンパク質は、タンパク質ゲル分析において全く異なるタンパク質特性を示すので、細胞内局在化の点で大きく異なるタンパク質である。
【0067】
(実施例4:Rpp16−gusAおよびRpp17−gusAを発現するトランスジェニック植物の生産およびインサイチュGUS染色)
RPP16−1タンパク質およびRPP17−1タンパク質のそれぞれの推定プロモーター領域を含むゲノム配列を、プラークハイブリダイゼーションによってスクリーニングした。RPP16−1タンパク質およびRPP17−1タンパク質のORFの上流領域は、2×105プラークのイネゲノムライブラリーを、プローブとしてそれぞれのcDNAクローンでスクリーニングすることによって得た。1.4kbのRPP16プロモーター領域(配列番号7)および2kbのRPP17プロモーター領域(配列番号8:RPP17−1およびRPP17−2に共通の配列)を、それぞれpCAMBIA1301のgusA遺伝子の上流にインフレームでサブクローニングした。これらを、PCRによって増幅し、そしてpCAMVIA1301プラスミド中のgusA遺伝子の上流にライゲートした。得られたプラスミドは、Agrobacterium tumefaciensのT−DNA由来ベクターであり、これをAgrobacterium tumefaciens EHA105株(ZENECA MOGEN)に導入した。トランスジェニックイネ植物(Oryza sativa cvs Nipponbare)を、Toki(Toki, Plant Mol. Biol. Rep., 15, 16-21 (1997))に記載のようにアグロバクテリウム媒介形質転換によって作成した。トランスジェニックイネ植物を、ハイグロマイシン含有培地で選択し、そしてイネゲノムへのgusA遺伝子の導入を、PCRによって確認した。40以上の独立したトランスジェニック系統を、各構築物について得た。
【0068】
GUS遺伝子発現の分析は、GUS活性の蛍光分析(Jefferson, Plant Mol. Biol. Rep., 5, 387-405 (1987))によって行った。トランスジェニックRpp16−gusAおよびRpp17−gusA植物の根、茎、および葉では、いずれもGUS活性が認められ、GUSが発現していることを確認した。なお、GUS活性は、イネ植物の非形質転換体では検出されなかった。
【0069】
GUS遺伝子発現の組織化学的分析については、GUS染色によって以下のように行った。まず、葉、茎、および根のセグメントを、マイクロスライサーによって30μmの薄横断面の切片にし、次いで0.5mM X−Gluc(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロン酸)および5%メタノールを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中で2〜24時間37℃にてインキュベートした。インキュベーション後、試料をエタノールで澄明にした。
【0070】
結果の写真を図4に示す。(a)、(b)、(c)、および(d)の写真は、それぞれRpp16−gusA発現植物の葉の横断面、その拡大写真、茎の横断面、および根の横断面である。(e)、(f)、および(g)の写真は、それぞれRpp17−gusA発現植物の葉、茎、および根の横断面である。略号は、BR:枝根;CR:冠根;Ph:師部組織;およびTVB:横走維管束を示す。
【0071】
根では、Rpp16−gusAおよびRpp17−gusA植物においては、根でGUS染色が認められたが、冠根よりも枝根においてGUS染色が著しかった。発現パターンを詳細に観察するために、マイクロスライサーによって根の組織切片を調製した。Rpp16−gusAおよびRpp17−gusAの両方とも、GUS染色が枝根の維管束組織で観察された。一方、Rpp16−gusAおよびRpp17−gusA植物からの皮層、表皮、および外皮層においては、GUS染色は観察されなかった。
【0072】
茎では、Rpp16−gusAおよびRpp17−gusAの発現は、小および大維管束、特に師部および木部柔組織においてのみ検出された。
【0073】
Rpp16−gusA植物の葉身および葉鞘におけるGUS染色を検討した。葉組織切片を、マイクロスライサーによって葉身および葉鞘から調製し、GUS染色を、縦走維管束および横走維管束で観察した。GUS染色は、大維管束のCCでおよび小維管束でのみ観察され、染色から8時間目までは他の細胞タイプでは観察されなかった。GUS染色は、24時間後には、CCにおいてならびに維管束鞘に続く柔組織および葉肉細胞において検出された。この結果は、GUS酵素はCCで発現されるが、徐々にそれに続くアポプラスト、柔組織、および葉肉細胞に放出されるようにみえること、すなわち、柔組織および葉肉細胞で観察されるGUS染色が、GUS反応産物の拡散の結果であることを示す。この結果はまた、CC特異的発現が、RPP16プロモーター領域によって厳密に調節されることも示す。
【0074】
Rpp17−gusA植物の葉身および葉鞘では、GUS染色は、2〜24時間後に、CC、柔組織、および葉肉細胞で検出されるが、GUS染色は、特にCCおよび葉肉細胞で優先的に検出された。
【0075】
以上の結果から、gusA発現を制御するRPP16プロモーターおよびRP17プロモーターが、根および茎において類似の発現パターンを示すことがわかった。また、Rpp16遺伝子およびRpp17遺伝子の発現パターンが、根および茎では同じであるが、葉身および葉鞘では異なることが示唆された。
【0076】
【発明の効果】
本発明により、ウイルス移動タンパク質(MP)に類似の構造を有する2種のタンパク質がイネに存在し;一方はカボチャCmPP16タンパク質と少なくとも約50%の相同性を有するRPP17タンパク質であり、そして他方はウイルスMP様のカボチャCmPP16タンパク質と少なくとも約50%の相同性を有する新規なタンパク質であるRPP16タンパク質であることが明らかになった。これらのタンパク質は、MPに類似の構造を有し、師部特異的に発現し、その発現はそれぞれのプロモーターによって厳密に調節されている。そのため、これらのタンパク質の遺伝子およびその制御領域を利用して、師部で物質を生産させ、師管へ輸送するという技術を開発することが可能である。例えば、師部において、有用タンパク質を生産させたり、あるいは植物に耐病性または耐虫性を与える物質を生産させ、この物質を師管という長距離輸送経路を使用して植物全体に行き渡らせることが可能である。また、環境に負の影響を与える物質(重金属、環境ホルモンなど)の結合タンパク質を生産させ、環境浄化植物を育成できる。
【0077】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】カボチャCmPP16およびレッドクローバー壊死モザイクウイルスの移動タンパク質とイネRPP16−1タンパク質、RPP17−1タンパク質、およびRPP17−2タンパク質とのアラインメントを示す図である。
【図2】イネRPP16−1タンパク質、RPP17−1タンパク質、RPP17−2タンパク質、および関連配列の系統発生分析の結果を示す図である。
【図3】RPP16タンパク質およびRPP17タンパク質の電気泳動によるタンパク質ブロット分析の結果を示す写真である。
【図4】Rpp16−gusAおよびRpp17−gusA植物のGUS組織化学的検出の結果を示す写真である。
Claims (6)
- 配列番号7の塩基配列からなる、師部特異的発現に関与するプロモーター。
- 配列番号8の塩基配列からなる、師部特異的発現に関与するプロモーター。
- 異種タンパク質を師部特異的に生産するトランスジェニック植物であって、配列番号7または8の塩基配列からなるプロモーター、および該プロモーターに発現可能に結合された該異種タンパク質をコードするDNAを含むベクターを得る工程;および得られたベクターを植物に導入する工程、を含む方法によって得られる、トランスジェニック植物。
- 前記植物が、イネである、請求項3に記載のトランスジェニック植物。
- 異種タンパク質を植物の師部に特異的に生産させる方法であって、
配列番号7または8の塩基配列からなるプロモーター、および該プロモーターに発現可能に結合された該異種タンパク質をコードするDNAを含むベクターを得る工程;および
得られたベクターを該植物に導入してトランスジェニック植物を得る工程
を含む、方法。 - 前記植物が、イネである、請求項5に記載の方法。
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