JP3890314B2 - 無線基地局制御装置、そのハンドオーバ制御方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は移動体端末と無線通信を行なう無線基地局を制御する無線基地局制御装置に関し、特にそのハンドオーバ(以下、H/Oと記す)制御方法、及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信におけるデータ通信量は、ますます大容量化の方向に向かっている。この大容量化に対応するため、セル構成もマクロセルからマイクロセルに移行していく傾向にある。
【0003】
現在の移動体通信の一例として高速移動に対応するセルがマクロセル、低速移動に対応するセルがマイクロセルというオーバーレイ方式をあげると、オーバレイ方式のマクロセルでは扱うデータ量が大きくなると、マクロセル1つで扱うことができる最大データ容量をオーバーしてしまい、その後に新しくデータ通信を行いたい移動体端末がある時に、データ通信ができない可能性が高いので、セル構成を大容量データ通信に対応できるマイクロセル構成化していく傾向がある。
【0004】
セル構成がマイクロセル構成になると、それまでマクロセルで行っていた高速移動時のH/O制御をマイクロセルで行う必要性がでてくることとなる。従って、無線基地局のデータ通信カバレジ範囲が狭くなり、高速移動時にセルを突き抜けてしまいH/O処理が間に合わなくデータ通信が強制終了される問題が生じる可能性がある。
【0005】
また、ソフトH/O制御では複数の無線基地局の電波を確保して通信を維持するが、ソフトH/O制御で確保する無線基地局の電波は送信電力の低いもの、すなわち移動体端末から近距離か通信状態が良い状態の無線基地局の電波を確保する。したがって、ソフトH/O制御で確保するセルは移動元セルの周辺セルに存在していることが多いため、高速移動時の指向性を持ったH/O処理には対応できない場合がある。従って、ソフトH/O制御システムでも呼切断してしまう可能性が考えられる。
【0006】
現在、無線通信の移動体端末で多く使用されている音声通話やショートメールでは高速移動時に呼切断は少なかったのに対して、今後、送信データの大容量化、データ通信速度の向上や使用環境の更なる変動(マイクロセル構造化や移動体端末の速度向上など)により、高速移動時のデータ通信時に呼切断が増加する問題が予想される。
【0007】
移動体端末の高速移動時のハンドオーバに関する技術が以下に示す特許文献1〜3に開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−217138号公報
【特許文献2】
特開2001−218244号公報
【特許文献3】
特開平5−130671号公報
【0009】
特許文献1としての特開2000−217138号公報に開示された発明は、以下に示す技術を開示している。
位置データ抽出部と電界強度データ抽出部にて移動体端末の位置を特定し、特定した位置を各地図データと照らし合わせて、ダイバーシティハンドオーバでパスを張っている複数の基地局の中から、次に移動する可能性の高いセルのパスを張り、移動する可能性の低いセルに関してはパスを張らない。
【0010】
また、特許文献2としての特開2001−218244号公報に開示された発明は、以下に示す技術を開示している。
移動体無線端末に複数の無線基地局の相対位置座標を登録したFROMと電界強度の変化率を測定する装置を搭載している。この電界強度と相対位置座標から移動体無線端末の現在位置と、移動方向及び移動速度を推定する。現在通信中の無線基地局からの電界強度がハンドオーバ移行レベル以下となった時点で移動方向上の複数の無線基地局をROMから選出して、使用可能な一の無線基地局を選択しハンドオーバする。
【0011】
また、特許文献3としての特開平5−130671号公報に開示された発明は、以下に示す技術を開示している。
移動局に移動速度を検出する手段と、それを判定する手段を設けこの情報を基地局に送信する。基地局は移動局から送信された情報を元に、移動局の移動速度に応じて基地局の送信出力を可変設定し、かつ周辺の基地局に複合セルを形成する指示を与えることにより、移動局が同一時間帯に通信に使用できるセルの大きさを可変設定するようにする。すなわち、高速移動している移動局はマクロセル化した複合マイクロセル群を移動することで、高速移動時でもハンドオーバが確実に行なえるとしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特許文献1、2に開示された発明であっても、移動体端末が高速に移動し、ダイバーシティハンドオーバでパスを張っている基地局群での処理が終了しないうちにパスを張っていないセルに移動してしまい、通信が切断されるという問題を解決することができない。
【0013】
すなわち、特許文献1、及び2に開示された発明では、現在移動体端末が位置しているセルから次に移動するであろう移動先のセルを確保する技術を開示しているにすぎない。
【0014】
また、特許文献3に開示された発明は、データ量の大容量化に対応するために、セル構成をマクロセルからマイクロセルに移行させるという現在の技術からは逆行した技術を開示している。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、マイクロセルにて移動体端末が高速移動する際の呼切断を低減させることができる無線基地局制御装置、そのハンドオーバ制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため本発明は以下の特徴を有する。
本発明にかかる無線基地局制御装置は、制御対象である複数の無線基地局の地理的な配置情報を登録した基地局配置情報テーブルを有し、マイクロセルの無線通信カバーエリアを形成する無線基地局を制御する無線基地局制御装置であって、無線基地局を介して移動体端末から受信したデータを基に、ハンドオーバ処理が必要であると判断した場合には、受信データを基にデータ通信速度を判定し、該データ通信速度と所定の閾値とを比較して該データ通信速度の方が小さい場合には移動体端末が高速移動中であり、該データ通信速度の方が大きい場合には移動体端末が高速移動中でないと判定する移動速度判定手段と、移動体端末が高速移動している場合に、無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御する第1のハンドオーバ処理手段と、移動体端末が高速移動をしていない場合に、無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御する第2のハンドオーバ処理手段と、移動速度判定手段により、移動体端末が高速移動していると判定された場合に、基地局配置情報テーブルを参照し、移動体端末の移動元及び移動先のセルの配置情報を基に、移動先のセルに隣接し、移動元のセルと反対側に位置する3つのセルを検出し、移動先のセル、及び、3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、移動先のセル、及び、3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、第1のハンドオーバ処理手段を制御し、また、移動速度判定手段により、移動体端末が高速移動をしていないと判定された場合に、移動先のセルでの無線通信が可能となるように、移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、第2のハンドオーバ処理手段を制御するハンドオーバ制御手段と、を有し、第1のハンドオーバ処理手段は、ハンドオーバ制御手段による制御により、移動先のセル、及び、3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、移動先のセル、及び、3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保し、移動元のセルと、移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、移動元のセルとの無線通信帯域を解放し、更に、3つのセルの中で、移動先のセルの次に移動先のセルとなる1つのセル以外の残りの2つのセルとの無線通信帯域を解放する処理を行い、第2のハンドオーバ処理手段は、ハンドオーバ制御手段による制御により、移動先のセルにおいて無線通信が可能となるように、移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御し、移動元のセルと、移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、移動元のセルとの無線通信帯域を解放する処理を行うことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明にかかるハンドオーバ制御方法は、制御対象である複数の無線基地局の地理的な配置情報を登録した基地局配置情報テーブルと、移動体端末が高速移動している場合に無線基地局と接続し無線通信帯域を確保するように制御する第1のハンドオーバ処理手段と、移動体端末が高速移動をしていない場合に無線基地局と接続し無線通信帯域を確保するように制御する第2のハンドオーバ処理手段と、移動速度判定手段と、ハンドオーバ制御手段と、を有し、マイクロセルの無線通信カバーエリアを形成する無線基地局を制御する無線基地局制御装置のハンドオーバ制御方法であって、無線基地局を介して移動体端末から受信したデータを基に、ハンドオーバ処理が必要であると判断した場合には、移動速度判定手段は、受信データを基にデータ通信速度を判定し、該データ通信速度と所定の閾値とを比較して該データ通信速度の方が小さい場合には移動体端末が高速移動中であり、該データ通信速度の方が大きい場合には移動体端末が高速移動中でないと判定する移動速度判定ステップと、移動速度判定ステップにより、移動体端末が高速移動していると判定された場合に、ハンドオーバ制御手段は、基地局配置情報テーブルを参照し、移動体端末の移動元及び移動先のセルの配置情報を基に、移動先のセルに隣接し、移動元のセルと反対側に位置する3つのセルを検出し、移動先のセル、及び、3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、移動先のセル、及び、3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、第1のハンドオーバ処理手段を制御する第1のハンドオーバ制御ステップと、移動速度判定ステップにより、移動体端末が高速移動をしていないと判定された場合に、ハンドオーバ制御手段は、移動先のセルでの無線通信が可能となるように、移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、第2のハンドオーバ処理手段を制御する第2のハンドオーバ制御ステップと、第1のハンドオーバ制御ステップによる制御により、第1のハンドオーバ処理手段は、移動先のセル、及び、3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、移動先のセル、及び、3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御し、移動元のセルと、移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、移動元のセルとの無線通信帯域を開放し、更に、3つのセルの中で、移動先のセルの次に移動先のセルとなる1つのセル以外の残りの2つのセルとの無線通信帯域を開放する処理を行う第1のハンドオーバ処理ステップと、第2のハンドオーバ制御ステップによる制御により、第2のハンドオーバ処理手段は、移動先のセルにおいて無線通信が可能となるように、移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御し、移動元のセルと、移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、移動元のセルとの無線通信帯域を開放する処理を行う第2のハンドオーバ処理ステップと、を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかるハンドオーバ制御プログラムは、制御対象である複数の無線基地局の地理的な配置情報を登録した基地局配置情報テーブルと、移動体端末が高速移動している場合に無線基地局と接続し無線通信帯域を確保するように制御する第1のハンドオーバ処理手段と、移動体端末が高速移動をしていない場合に無線基地局と接続し無線通信帯域を確保するように制御する第2のハンドオーバ処理手段と、移動速度判定手段と、ハンドオーバ制御手段と、を有し、マイクロセルの無線通信カバーエリアを形成する無線基地局を制御する無線基地局制御装置において実行させるハンドオーバ制御プログラムであって、無線基地局を介して移動体端末から受信したデータを基に、ハンドオーバ処理が必要であると判断した場合には、移動速度判定手段は、受信データを基にデータ通信速度を判定し、該データ通信速度と所定の閾値とを比較して該データ通信速度の方が小さい場合には移動体端末が高速移動中であり、該データ通信速度の方が大きい場合には移動体端末が高速移動中でないと判定する移動速度判定ステップと、移動速度判定ステップにより、移動体端末が高速移動していると判定された場合に、ハンドオーバ制御手段は、基地局配置情報テーブルを参照し、移動体端末の移動元及び移動先のセルの配置情報を基に、移動先のセルに隣接し、移動元のセルと反対側に位置する3つのセルを検出し、移動先のセル、及び、3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、移動先のセル、及び、3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、第1のハンドオーバ処理手段を制御する第1のハンドオーバ制御ステップと、移動速度判定ステップにより、移動体端末が高速移動をしていないと判定された場合に、ハンドオーバ制御手段は、移動先のセルでの無線通信が可能となるように、移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、第2のハンドオーバ処理手段を制御する第2のハンドオーバ制御ステップと、第1のハンドオーバ制御ステップによる制御により、第1のハンドオーバ処理手段は、移動先のセル、及び、3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、移動先のセル、及び、3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御し、移動元のセルと、移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、移動元のセルとの無線通信帯域を開放し、更に、3つのセルの中で、移動先のセルの次に移動先のセルとなる1つのセル以外の残りの2つのセルとの無線通信帯域を開放する処理を行う第1のハンドオーバ処理ステップと、第2のハンドオーバ制御ステップによる制御により、第2のハンドオーバ処理手段は、移動先のセルにおいて無線通信が可能となるように、移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御し、移動元のセルと、移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、移動元のセルとの無線通信帯域を開放する処理を行う第2のハンドオーバ処理ステップと、を、無線基地局制御装置に実行させることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照しながら本発明の無線基地局制御装置、そのハンドオーバ制御方法、及びプログラムに係る実施の形態を詳細に説明する。図1〜図3を参照すると本発明の無線基地局制御装置、そのハンドオーバ制御方法、及びプログラムに係る実施の形態が示されている。
【0032】
まず、図1を参照しながら本実施形態の構成を説明する。本実施形態の無線基地局制御装置1は、無線基地局9、10、11などの情報から特定の移動体端末のH/O制御を行う機能を有しており、主制御装置2と、H/O処理装置(低速移動時)3と、速度判定装置4と、H/O制御装置5と、基地局配置情報テーブル装置6と、H/O処理装置(高速移動時)7と、H/O処理接続装置8とを有している。
【0033】
主制御装置2は、無線基地局を介して移動体端末と制御信号やデータのやり取りを行ない、移動体端末がハンドオーバ処理が必要な端末であるか否かを判定する。また、移動体端末から送信されるデータの通信速度を測定し、測定結果を速度判定装置4に送信する。また、主制御装置2はH/O制御装置5の情報からH/O処理装置(低速移動時)3とH/O処理装置(高速移動時)7のどちらにデータ送信するか選択する。
【0034】
速度判定装置4は、送られてきたデータ通信速度から移動速度が高速か低速かを判定する機能を有し、その判定結果をH/O制御装置5に送信する。
【0035】
H/O制御装置5は、基地局配置情報テーブル装置6から基地局の配置情報を入手し、主制御装置2と、H/O処理装置(低速移動時)3と、H/O処理装置(高速移動時)7と、H/O処理接続装置8とに対してH/O制御を行う。
【0036】
基地局配置情報テーブル装置6は、無線基地局制御装置1で制御している複数の無線基地局と、制御の対象外の外郭セルの隣接セルの地理的な配置情報を有する。
【0037】
H/O処理装置(低速移動時)3は、従来通りのH/O処理を行う。
【0038】
H/O処理装置(高速移動時)7は、高速移動に対応するため、基地局配置情報テーブル装置6から得た、移動体端末の現在のセル(移動元セル)の無線基地局とH/O処理で移動するセル(移動先セル)の無線基地局の地理的な配置情報を元に、移動先セルの次に移動するセルを予測し、予めリソースの確保を行うH/O処理を追加する。
【0039】
H/O処理接続装置8は、無線基地局9、10、11などと送受信する制御信号とデータをH/O処理装置(低速移動時)3とH/O処理装置(高速移動時)7とのどちらとデータ通信を行うかをH/O制御装置5からの信号を基に選択する。H/O処理接続装置8の他の機能としては、H/O処理装置と複数の無線基地局の接続作業を行う。
【0040】
上記構成を具備する本実施形態は、マイクロセル構成の無線通信でH/O制御が必要となった場合に、移動体端末が高速移動しているか低速移動しているかをデータ通信速度から判定し、移動体端末が高速移動しているならば、移動先セルのリソースを確保するとともに、図2に示されるように移動先セルの次に移動すると予測できる3つのセルのリソースを確保するH/O制御に切り換えることを特徴としている。それにより移動体端末がマイクロセルで高速移動している時のH/O処理の完了迄の時間が従来のH/O処理の完了迄の時間と比べて短縮できるので、従来のH/O処理では呼切断が発生してしまう時にも接続を維持できる可能性が高くなり、呼切断を低減することができる。
【0041】
図1において、主制御装置2からデータ通信速度を速度判定装置4に入力し、移動体端末が高速移動しているかどうかをデータ通信速度から判定する。高速移動していると判定された場合に、H/O制御装置5は基地局配置情報テーブル装置6から各無線基地局の地理的な配置情報を取り出し、従来のH/O処理を行っていたH/O処理装置(低速移動時)3から移動体端末が高速移動する時に使用するH/O処理装置(高速移動時)7に切り換える指示を出す。H/O処理装置(高速移動時)7は、基地局配置情報テーブル装置6から得られた各基地局の地理的な配置情報を基に移動先セルの次に移動すると予測できるセルのリソースの確保とH/O処理を行うことで、マイクロセルで高速移動している時のH/O処理によって、呼切断が低減される。
【0042】
また、移動速度が低速移動していると判定された場合に、H/O制御装置5は基地局配置情報テーブル装置6を使用せずに、今までどおりのH/O処理を行うH/O処理装置(低速移動時)3に切り換える、あるいはそのままH/O処理する制御を行う。
【0043】
次に本実施形態の動作について説明する。
図1を参照すると、移動体端末がデータ通信を行っている場合に、無線基地局制御装置1はその移動体端末がH/O制御が必要かどうかチェックし、主制御装置2にてデータ通信速度の取り出しを行う。データ通信速度はある閾値で場合分けし、移動体端末が高速移動または低速移動している判定を行う。
【0044】
W−CDMAの場合を例にすると、データ通信速度は移動体端末を使用する環境によって変化し、定点データ通信ならば1.5Mbpsまで、低速移動データ通信ならば348kbpsまで、高速移動データ通信ならば144kbpsまでのデータ通信速度が可能となる。データ通信速度が移動速度にダイナミックに対応するサービスと仮定すると348kbps以上のデータ通信速度で通信している移動体端末は低速移動、144kbps以下のデータ通信速度で通信している移動体端末は高速移動していると見なすことができる。仮に閾値を144kbpsとすることで、データ通信速度を主制御装置3から速度判定装置4に送信し、144kbps以上か未満かで移動体端末が低速移動か高速移動かを判定することが可能となる。
【0045】
H/O制御が必要となった時に、移動速度判定結果を送信されたH/O制御装置5は、移動体端末が低速移動している場合では基地局配置情報テーブル装置6と高速移動時に使用するH/O処理装置(高速移動時)7は使用せず、主制御装置2と低速移動時に使用するH/O処理装置(低速移動時)3とH/O処理接続装置8を使用する。従来のH/O制御を主制御装置2とH/O処理装置(低速移動時)3で行い、H/O処理接続装置8はH/O処理装置(低速移動時)3と無線基地局9、10、11を接続する。
【0046】
移動体端末が高速移動している場合では基地局配置情報テーブル装置6に移動先セルの無線基地局と現在移動体端末が存在する無線基地局の配置情報から、その次に移動すると予測できる3つの移動先セルの無線基地局を確定して高速移動時に使用するH/O処理装置(高速移動時)7に送信する。予測方法は移動体端末が高速移動しているため、高速移動している物体の移動特性によりマイクロセルレベルのカバレジ範囲で直進性が保たれ、移動先セルを中心に移動元セルとは地理的に反対となるセルの無線基地局を3つ確定する(図2に示されたBセル)。従来のH/O処理で行う移動先セルのリソース確保を行うと共に、そこで確定した3つのセルのリソースを同時に確保する処理を高速移動時に追加する。移動体端末が高速移動する時、主制御装置2で取り扱う制御信号やデータはH/O処理装置(高速移動時)7に送信し、低速移動時に使用するH/O処理装置(低速移動時)3は使用しない。高速移動時に使用するH/O処理装置(高速移動時)7では、従来のH/O処理の他に、基地局配置情報テーブル装置6の情報を元に、H/O制御装置5が取り出した移動先セルの次に移動すると予測した3つの移動先セルの無線基地局に対して前もってリソースの確保を行う。H/O処理接続装置8はH/O処理装置(高速移動時)7と多数存在する無線基地局9、10、11などと接続し、移動先セルの無線基地局と、その次に移動すると予測した3つの移動先セルの無線基地局に対して高速移動時のH/O制御を行う。
【0047】
仮に無線基地局9を移動元セルの無線基地局、無線基地局10を移動先セルの無線基地局、無線基地局11を無線基地局10を中心とした時に地理的に無線基地局9と反対側に存在する無線基地局とすると、移動体端末が低速移動する場合には、無線基地局制御装置1は無線基地局11のリソース確保を行うことなく従来通りのH/O処理を無線基地局9と無線基地局10の間で行う。移動体端末が高速移動する場合には、無線基地局制御装置1は現在移動体端末が存在する無線基地局9とH/O先の基地局10の情報を元に基地局配置情報テーブル装置6から、地理的に無線基地局10を中心とした時の無線基地局9と反対側に存在する無線基地局11とその他の無線基地局を2つ、計3つの無線基地局を割り出しリソース確保を行うとともに無線基地局9と無線基地局10の間でH/O処理を行う。
【0048】
次に図3に示されたフローチャートを参照しながら本実施形態の動作手順を説明する。
移動体端末からデータ通信の要求がある場合に、無線基地局9、10、11を通じて無線基地局制御装置1に対して通信に必要なリソースを確保し、通信接続動作を行う(図3のステップA1およびA2)。データ通信接続が完了した後、移動体端末がデータ通信を行いH/O処理の必要無くデータ通信を終える場合には、移動体端末からデータ通信切断の要求が上がり無線基地局9、10、11と無線基地局制御装置1で切断処理を行いリソースを解放してデータ通信を終える(ステップA3、A4およびA5)。
【0049】
移動体端末が移動しながらデータ通信を行っている場合には、基地カバレジのオーバリーチ範囲にてH/O処理が必要となってくる(ステップA6)。この時点で主制御装置2から取り出せるデータ通信速度を速度判定装置4に送り、移動体端末の移動速度が低速移動か高速移動かを判定する(ステップA7)。低速移動時には上述したように従来のH/O処理を行ってデータ通信の接続を維持するとともに、移動元セルのリソースを解放する(ステップA9、A10およびA11)。
【0050】
速度判定装置4で移動体端末が高速移動していると判定された場合、H/O制御装置5によってH/O処理を変更する(ステップA8)。主制御装置2で制御信号とデータの流れを変更し、H/O処理接続装置8にて、H/O処理装置3or7のどちらか選択された処理装置と無線基地局9、10、11を接続する。高速移動時に使用するH/O処理装置(高速移動時)7は、移動先セルのリソースを確保する(ステップA12)。さらに、基地局配置情報テーブル装置6から移動先の無線基地局の次に移動すると予測した3つの無線基地局の情報を取り出し、H/O処理装置(高速移動時)7はその3つの無線基地局のリソースを確保する(ステップA13)。その状態でH/O処理を行いデータ通信の接続を維持するとともに、移動元セルのリソースを解放し、さらに予測した3つの無線基地局の中の使用していない2つの無線基地局のリソースを解放する(ステップA14およびA15)。
【0051】
このように本実施形態は、移動体端末が低速移動している時には従来のH/O処理を行い、高速移動している時には物体が高速移動する時の移動特性から直進性を有すると仮定して移動先セルの次に移動すると予測できる3つのセルのリソースを確保する処理を無線基地局制御装置のH/O制御システムに追加することで、マイクロセルにて移動体端末が高速移動する際の呼切断を低減することができる。
【0052】
なお、上述した実施の形態は本発明の好適な実施の形態である。但し、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。また、本発明のハンドオーバ制御プログラムに係る実施の形態は、図3に示すフローに従って図1に示す各部を制御するプログラムを格納し、各部がこのプログラムに従って動作することで実現できる。
【0053】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように本発明は、移動体端末が低速移動している時には従来のハンドオーバ処理を行い、高速移動している時には物体が高速移動する時の移動特性から直進性を有すると仮定して移動先セルの次に移動すると予測できる3つのセルのリソースを確保する処理を無線基地局制御装置が実行する。従って、マイクロセルにて移動体端末が高速移動する際の呼切断を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】高速移動時に選択されるセルを説明するための図である。
【図3】動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 無線基地局制御装置
2 主制御装置
3 H/O処理装置(低速移動時)
4 速度判定装置
5 H/O制御装置
6 基地局配置情報テーブル装置
7 H/O処理装置(高速移動時)
8 H/O処理接続装置
9、10、11 無線基地局
Claims (3)
- 制御対象である複数の無線基地局の地理的な配置情報を登録した基地局配置情報テーブルを有し、マイクロセルの無線通信カバーエリアを形成する無線基地局を制御する無線基地局制御装置であって、
前記無線基地局を介して移動体端末から受信したデータを基に、ハンドオーバ処理が必要であると判断した場合には、前記受信データを基にデータ通信速度を判定し、該データ通信速度と所定の閾値とを比較して該データ通信速度の方が小さい場合には前記移動体端末が高速移動中であり、該データ通信速度の方が大きい場合には前記移動体端末が高速移動中でないと判定する移動速度判定手段と、
前記移動体端末が高速移動している場合に、無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御する第1のハンドオーバ処理手段と、
前記移動体端末が高速移動をしていない場合に、無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御する第2のハンドオーバ処理手段と、
前記移動速度判定手段により、前記移動体端末が高速移動していると判定された場合に、前記基地局配置情報テーブルを参照し、前記移動体端末の移動元及び移動先のセルの配置情報を基に、前記移動先のセルに隣接し、前記移動元のセルと反対側に位置する3つのセルを検出し、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、前記第1のハンドオーバ処理手段を制御し、また、前記移動速度判定手段により、前記移動体端末が高速移動をしていないと判定された場合に、前記移動先のセルでの無線通信が可能となるように、前記移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、前記第2のハンドオーバ処理手段を制御するハンドオーバ制御手段と、を有し、
前記第1のハンドオーバ処理手段は、前記ハンドオーバ制御手段による制御により、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保し、前記移動元のセルと、前記移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、前記移動元のセルとの無線通信帯域を解放し、更に、前記3つのセルの中で、前記移動先のセルの次に移動先のセルとなる1つのセル以外の残りの2つのセルとの無線通信帯域を解放する処理を行い、
前記第2のハンドオーバ処理手段は、前記ハンドオーバ制御手段による制御により、前記移動先のセルにおいて無線通信が可能となるように、前記移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御し、前記移動元のセルと、前記移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、前記移動元のセルとの無線通信帯域を解放する処理を行うことを特徴とする無線基地局制御装置。 - 制御対象である複数の無線基地局の地理的な配置情報を登録した基地局配置情報テーブルと、移動体端末が高速移動している場合に無線基地局と接続し無線通信帯域を確保するように制御する第1のハンドオーバ処理手段と、移動体端末が高速移動をしていない場合に無線基地局と接続し無線通信帯域を確保するように制御する第2のハンドオーバ処理手段と、移動速度判定手段と、ハンドオーバ制御手段と、を有し、マイクロセルの無線通信カバーエリアを形成する無線基地局を制御する無線基地局制御装置のハンドオーバ制御方法であって、
前記無線基地局を介して移動体端末から受信したデータを基に、ハンドオーバ処理が必要であると判断した場合には、前記移動速度判定手段は、前記受信データを基にデータ通信速度を判定し、該データ通信速度と所定の閾値とを比較して該データ通信速度の方が小さい場合には前記移動体端末が高速移動中であり、該データ通信速度の方が大きい場合には前記移動体端末が高速移動中でないと判定する移動速度判定ステップと、
前記移動速度判定ステップにより、前記移動体端末が高速移動していると判定された場合に、前記ハンドオーバ制御手段は、前記基地局配置情報テーブルを参照し、前記移動体端末の移動元及び移動先のセルの配置情報を基に、前記移動先のセルに隣接し、前記移動元のセルと反対側に位置する3つのセルを検出し、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、前記第1のハンドオーバ処理手段を制御する第1のハンドオーバ制御ステップと、
前記移動速度判定ステップにより、前記移動体端末が高速移動をしていないと判定された場合に、前記ハンドオーバ制御手段は、前記移動先のセルでの無線通信が可能となるように、前記移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、前記第2のハンドオーバ処理手段を制御する第2のハンドオーバ制御ステップと、
前記第1のハンドオーバ制御ステップによる制御により、前記第1のハンドオーバ処理手段は、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御し、前記移動元のセルと、前記移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、前記移動元のセルとの無線通信帯域を開放し、更に、前記3つのセルの中で、前記移動先のセルの次に移動先のセルとなる1つのセル以外の残りの2つのセルとの無線通信帯域を開放する処理を行う第1のハンドオーバ処理ステップと、
前記第2のハンドオーバ制御ステップによる制御により、前記第2のハンドオーバ処理手段は、前記移動先のセルにおいて無線通信が可能となるように、前記移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御し、前記移動元のセルと、前記移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、前記移動元のセルとの無線通信帯域を開放する処理を行う第2のハンドオーバ処理ステップと、
を有することを特徴とするハンドオーバ制御方法。 - 制御対象である複数の無線基地局の地理的な配置情報を登録した基地局配置情報テーブルと、移動体端末が高速移動している場合に無線基地局と接続し無線通信帯域を確保するように制御する第1のハンドオーバ処理手段と、移動体端末が高速移動をしていない場合に無線基地局と接続し無線通信帯域を確保するように制御する第2のハンドオーバ処理手段と、移動速度判定手段と、ハンドオーバ制御手段と、を有し、マイクロセルの無線通信カバーエリアを形成する無線基地局を制御する無線基地局制御装置において実行させるハンドオーバ制御プログラムであって、
前記無線基地局を介して移動体端末から受信したデータを基に、ハンドオーバ処理が必要であると判断した場合には、前記移動速度判定手段は、前記受信データを基にデータ通信速度を判定し、該データ通信速度と所定の閾値とを比較して該データ通信速度の方が小さい場合には前記移動体端末が高速移動中であり、該データ通信速度の方が大きい場合には前記移動体端末が高速移動中でないと判定する移動速度判定ステップと、
前記移動速度判定ステップにより、前記移動体端末が高速移動していると判定された場合に、前記ハンドオーバ制御手段は、前記基地局配置情報テーブルを参照し、前記移動体端末の移動元及び移動先のセルの配置情報を基に、前記移動先のセルに隣接し、前記移動元のセルと反対側に位置する3つのセルを検出し、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、前記第1のハンドオーバ処理手段を制御する第1のハンドオーバ制御ステップと、
前記移動速度判定ステップにより、前記移動体端末が高速移動をしていないと判定された場合に、前記ハンドオーバ制御手段は、前記移動先のセルでの無線通信が可能となるように、前記移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように、前記第2のハンドオーバ処理手段を制御する第2のハンドオーバ制御ステップと、
前記第1のハンドオーバ制御ステップによる制御により、前記第1のハンドオーバ処理手段は、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルにおいて無線通信が可能となるように、前記移動先のセル、及び、前記3つのセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御し、前記移動元のセルと、前記移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、前記移動元のセルとの無線通信帯域を開放し、更に、前記3つのセルの中で、前記移動先のセルの次に移動先のセルとなる1つのセル以外の残りの 2つのセルとの無線通信帯域を開放する処理を行う第1のハンドオーバ処理ステップと、
前記第2のハンドオーバ制御ステップによる制御により、前記第2のハンドオーバ処理手段は、前記移動先のセルにおいて無線通信が可能となるように、前記移動先のセルを管理する無線基地局と接続し、無線通信帯域を確保するように制御し、前記移動元のセルと、前記移動先のセルと、の間でのデータ通信の接続を維持すると共に、前記移動元のセルとの無線通信帯域を開放する処理を行う第2のハンドオーバ処理ステップと、
を、前記無線基地局制御装置に実行させることを特徴とするハンドオーバ制御プログラム。
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