JP3890110B2 - 電子源および画像形成装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は硝子基板上にマトリクス状に構成されたXY印刷配線と、XY配線間の層間絶縁層及び、該XY印刷配線の交差部に形成され、対向する2つの電極と導電性薄膜および電子放出部とで構成された複数の表面伝導型電子放出素子とからなる電子源において該層間絶縁層を該硝子基板より表面エネルギーが小さな材料とし、該表面伝導型電子源を構成する電極に接する部分近傍の配線上は該絶縁層で覆った構成として、液滴付与法で該電子源を製造することで大面積に高スループットで電子源を形成可能な製造方法及び電子放出量分布の少ない電子源そして、上記電子源と蛍光体およびメタルバックからなるアノード板とで構成することで輝度分布の均一性が向上した画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子放出素子として熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類が知られている。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下FE型と略す)。金属/絶縁層/金属型(以下MIM型と略す)や表面伝導型電子放出素子等がある。FE型の例としてはW.P.Dyke& W.W.Dolan、“Field emission”、Advance in Electron Physics、8、89(1956)あるいはC.A.Spindt,“PHYSICAL Properties of thin−film field emission cathodes with molbdeniumcones”、J.Appl.phys.,47,52488(1976)等が知られている。
【0003】
MIM型の例としてはC.A.Mead、”The tunnel−emission amplifier、J.Appl.Phys.、32、646(1961)等が知られている。
【0004】
表面伝導型電子放出素子の例としては、M.I.Elinson、Radio
Eng.Electron Pys.、10、(1965)等がある。
【0005】
表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等によるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[G.Dittmer:“Thin Solid Films”、9、317(1972)]、In2 O3 /SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and C.G.Fonstad:” IEEE Trans.ED Conf.”、519(1975)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久:真空、第26巻、第1号、22頁(1983)]等が報告されている。これらの表面伝導型電子放出素子の典型的な素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を従来図13に示す。同図において1301は基板である。1304は導電性薄膜で、H型形状のパターンに、スパッタで形成された金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部1303が形成される。尚、図中の素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、Wは、0.1mmで設定されている。尚、電子放出部1303の位置及び形状については、不明であるので模式図として表した。
【0006】
従来、これらの表面伝導型電子放出素子においては、電子放出を行う前に導電性薄膜1304を予め通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すことによって電子放出部1303を形成するのが一般的であった。通電フォーミングとは前記導電性薄膜1304の両端に直流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧例えば1V/分程度を印加して通電し、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部1303を形成することである。尚、電子放出部1303は導電性薄膜1304の一部に発生した亀裂付近から電子放出を行うものである。前記通電フォーミング処理をした表面伝導型電子放出素子は、導電性薄膜1304に電圧を印加し、素子に電流を流すことにより、電子放出部1303より電子を放出せしめるものである。
【0007】
上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が単純で製造も容易であることから、大面積のわたり多数素子を配列形成できる利点がある。そこで、この特徴を生かせるようないろいろな応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、表示装置等があげられる。多数の表面伝導型電子放出素子を配列形成した例としては、梯型配置と呼ぶ並列に表面伝導型電子放出素子を配列し、個々の素子の両端を配線(共通配線とも呼ぶ)でそれぞれ結線した行を多数行配列した電子源があげられる(例えば、特開昭64−031332号公報、特開平1−283749号公報、1−257552号公報等)。また、特に表示装置等の画像形成装置においては、近年、液晶を用いた平板型表示装置が、CRTに替わって普及してきたが、自発光型でないため、バックライトを持たなければならない等の問題点があり、自発光型の表示装置の開発が望まれてきた。自発光型表示装置としては、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源と、電子源より放出された電子によって可視光を発光せしめる蛍光体とを組み合わせた表示装置である画像形成装置があげられる。(例えばUSP5066883号明細書)。
【0008】
ここで、表面伝導型電子放出素子を用い画像形成装置として大面積化するためには、製造装置の開発や製造コスト上、通常のフォトリソグラフィー、エッチング技術を用いた電極や配線パターン形成よりは厚膜印刷技術を用い安価で工程数が少なく配線部分を形成する方が有利である。このような例は例えば本出願人による特開平8−34110号公報に示されている。
【0009】
更に表面伝導型電子放出素子を構成する導電性薄膜の形成は、所望の位置に所望の厚さで形成可能な、インクジェット法による液滴付与の方法により行うことができる。
【0010】
電子源として複数の表面伝導型電子放出素子を基板上に形成したものを用い、その電子ビームを加速し蛍光体に照射して発光させ画像を表示させる薄型の画像表示装置の一部の斜視図およびそのA−A´線断面図を図12に示す。図12において、1201は電子源を構成した青板ガラスからなるバックプレート、1202と1203は一定の間隔を隔てて設置された電極、1204は電子放出部を含む薄膜、1208は蛍光体1210を形成した青板ガラスからなるフェ−スプレートである。これらと、これらを内部に設けた不図示の真空容器により画像形成装置が構成される。電子放出部の形成は、例えば、ロータリーポンプやターボポンプをポンプ系とする様な通常の真空装置を用い、10のマイナス6乗トール以上の高真空度の真空中で、不図示の真空容器外端子を介して電子放出部に電圧を印加し、上述のフォーミングを行うことにより行うことができる。電子放出部から放出される電子はアノードに引っ張られ、アノードに設けられた蛍光体1210を光らせて画像を形成する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の様な従来の電子源およびそれを用いた画像形成装置には、次のような問題点がある。
【0012】
液滴付与装置や電極形成装置の誤差により、導電性薄膜と電極の位置が相対的にズレて、電子放出部の長さが変動してしまい、電子放出量が不均一になる場合がある。更に液滴が印刷配線(一緒に形成される絶縁層も含む)に接続した場合、印刷配線がポーラスであるため液が印刷配線に浸み込み、残った液滴の量が減少して導電性薄膜の膜厚を減少させ、抵抗が上昇する。表面伝導型電子放出素子は前述したように導電性薄膜に通電して電子放出部を形成するが、導電性薄膜の抵抗が変化すると前述したフォーミング条件が変わり、形成される電子放出部の形態が変化するため、電子放出量が変わり、結果として電子源の電子放出量分布を大きくしてしまうという問題がある。この電子源を画像形成装置として使用した場合、輝度分布が大きくなり、高品位な画像形成が困難になる。
【0013】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、電子源、画像形成装置、およびそれらの製造方法において、液滴が印刷・配線に浸み込んで吸収されることにより生じる不都合を解消することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明では、基板上に、一対の電極と、前記一対の電極の間に形成された、電子放出部を有する導電性薄膜とを有する複数の電子放出素子と、前記複数の電子放出素子をマトリクス状に配線した、複数の上配線および複数の下配線と、前記上配線と前記下配線との間を絶縁する、前記基板より表面エネルギーが小さい絶縁層とを備える電子源の製造方法であって、前記電子放出部を有する導電性薄膜の形成は、前記絶縁層にて、前記一対の電極上と、基板上の当該一対の電極の間の領域とを残した全てを覆った後、インクジェット装置により液滴を前記一対の電極間に付与する工程を含むことを特徴とする。
【0016】
これによれば、液滴を付与する際に、液滴が配線に吸収されるのが、表面エネルギーの低い絶縁層によって防止され、かつ絶縁層に液滴が接触しても、その表面エネルギーが基板より小さいため、液滴が不必要に広がるのが防止される。
【0018】
また、前記導電性薄膜および前記絶縁層は、前記導電性薄膜の形成に用いた前記液滴を前記絶縁層に接触させた場合、その接触角は、90°より大きいような材料で形成されることが好ましい。これにより、前記絶縁層にわずかに存在する孔に液滴が浸み込むのが防止される。
【0019】
また、前記絶縁層を構成する材料としては、酸化鉛、酸化ホウ素、および、酸化バナジウムを混合したものを用いることができる。
【0021】
また、本発明の画像形成装置は、このような電子源と、その電子源から放出される電子の照射によって画像を形成する画像形成部材を、真空容器に内包してなることを特徴とする。
また、前記液滴は、水、金属化合物および有機溶媒を含むものであることを特徴とする。この場合、さらに前記液滴は、前記絶縁層に接触させた場合の接触角が90°より大きくなるように、その有機溶媒の組成比を調整したものであることを特徴とする。
また、前記配線は、印刷により形成することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好ましい実施態様を示す。
図1(a)は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一部を示す斜視図であり、同図(b)はそのA−A´線断面図である。同図に示すように、この画像形成装置は、表面伝導型電子放出素子を複数並べ、マトリクス状の配線で各々接続した(ここではその内の3つの電子放出素子のみ図示)電子源基板101と、蛍光体110を形成したアノード108とを有する。
放出素子は一対の対向する電極102,103と電子放出部を有する導電性薄膜104,電極102,103と外囲器外部の電気的取り出し部とを結ぶX,Y配線106,107及び該X−Y配線間を絶縁する絶縁層109とで構成されている。絶縁層108が電極103と接する部分の近傍の配線106を被覆し、基板101を構成するガラスより表面エネルギーが小さな材料で構成される。
【0023】
導電性薄膜104は液滴付与法により形成するが、図2に示したように、付与された液滴201が被付着面202と接触する角度をθとするとγs=γsL+γLcosθという式で表される平衡関係が保たれる。ここで、γsは被付着面202の表面張力、γLは液滴201の表面張力、γsLは液滴201と被付着面202との間の界面張力である。
【0024】
通常の液体、ガラス等の等方性物質では、この表面張力と表面エネルギーが一致することが知られており、接触角θ=0°で液滴は濡れ広がり、θ<90°では被付着面の孔に液が浸み込み、θ<180°で液滴が滴として被付着面に付着する。すなわち被付着面202の界面張力が一定であれば表面エネルギーγsが液滴の表面エネルギーγLに比べて高いほどθが小さくなり、濡れやすくなる。よって液滴が配線に接触して付与された時、配線の表面エネルギーが高いと液滴は配線の方に広がりやすくなる。
【0025】
液体の表面エネルギー100erg/cm2 以下であるのに対して、配線に用いられる金属(通常、金、銀、アルミニウム等)の表面エネルギーは500〜5000erg/cm2 であるため、液滴は濡れやすいだけでなく、接触角θ<20°となり、印刷配線に数多く発生した微小な孔に液が染み込み、残された液滴量が減少してしまい、前述した不都合が発生するわけである。そこで、本発明に従い、電極103近傍の配線を絶縁層108で被覆し、かつ絶縁層108の表面エネルギーを基板101のそれより小さくし、液滴が基板から絶縁層側に濡れ広がることを抑制している。
【0026】
更に好ましくは液滴の組成と絶縁層材料で決まる接触角θが90°以上となる様に構成することで印刷絶縁層に少ないながらも存在する孔に浸漬することもなくなり液滴量の減少が更に少なくなる。このことは、後述のように液滴に含まれる有機溶媒の組成比を所望の値にして液滴を付与する製造方法により実現している。
【0027】
更に、電極と導電性薄膜の相対的位置ズレによる電子放出特性のバラツキという前述した課題に対しては、電子放出部となる電極と電極ギャップ部分の領域を窓として残し、他をすべて覆う構成とした。これにより、付与された液滴は、窓内部に存在した方がエネルギーが低くなるため、窓内部に大部分が落ち込み、外側にはみ出ることが少なくなる。よって絶縁層の窓の幅で電子放出素子を構成する導電性薄膜の幅が規定可能となり、前記フォーミングにより形成する亀裂長のばらつきを小さくし、電子放出量の均一性の向上を可能にしている。
【0028】
以下、図面を参照しながら、図1の装置の構成および製造手順を説明する。図3(a)〜(f)は、この製造手順を示す上面図である。図3(a)〜(f)では不図示の基板上に対して電子源を3×3個の計9個形成し、これらを行列状にマトリクス配線した例を示す。図中、302,303は一対の素子電極、306は第1の配線、308は第1の配線306と第2の配線307との間の層間絶縁膜、307は第2の配線、304は電子放出部形成用の膜、309は第2の配線307と電極302とを接続するため、絶縁層308に形成された窓である。
【0029】
先ず、予め洗浄された基板に、素子電極の印刷、焼成を行い、一対の素子電極302,303を形成する(図3(a))。素子電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法等の真空系を用いる方法や、触媒に金属成分及びガラス成分を混合した厚膜ペーストを印刷、焼成することにより、形成する厚膜印刷法がある。
【0030】
次に第1の配線306を形成する(図3(b))。第1の配線306(X方向配線)は素子電極303に接続するように形成される。尚、配線は、膜厚が厚い方が電気抵抗を低減することができ有利である。そこで、単層で比較的厚い膜が得られる、厚膜ペーストを用いた厚膜印刷法を用いるのが適当である。
【0031】
次に、層間絶縁膜308を形成する(図3(c))。この層間絶縁膜308は第一の配線と第二の配線の交差する部分にも形成する。また、第二の配線と素子電極302の接続のための窓309を設ける。この層間絶縁膜308の構成材料としては、通常絶縁性を保てるものであれば良く、例えば、SiO2 薄膜や金属成分を含まないPbOを主成分とした厚膜ペーストによる膜等を用いることができる。本発明では厚膜ペーストとして、PbO以外に、酸化ホウ素、酸化バナジウムを成分として含有させ、焼成後、表面エネルギーが該基板を構成するガラスより低くなるようにしている。
【0032】
次に、第2の配線307を形成する(図3(d))。第2の配線307(Y方向配線)は素子電極302に各々接続形成される。形成方法は第1の配線層306と同様の方法が適用可能である。このように第2の配線307の形成によりX方向配線とY方向配線が互いに絶縁されたマトリクス配線が完成する。
【0033】
最後に電子放出部形成用の膜304を形成して、単純マトリクス構成の電子源用の表面伝導型電子源(3個×3個、計9個)が完成する(図3(e))。電子放出部形成用の膜304(表面伝導型電子源) の形成には、以下に説明する液滴付与方法を用いる。
【0034】
液滴を液滴付与装置により素子電極上に付与するわけであるが、液滴の基になる溶液は水、金属化合物および有機溶媒からなり、液滴を生じさせる粘度のものが用いられる。金属化合物の金属成分としてはPd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等が用いられ、焼成後、前記金属の膜あるいはその酸化物膜からなる導電性薄膜が形成される。
【0035】
該導電性薄膜は前記金属あるいはその酸化物の微粒子膜であり、膜厚が、好ましくは数Å〜数千Å、より好ましくは、10Å〜500Åとなるよう吐出液滴量を調整し、シート抵抗は、103 〜107 Ω/□としている。
【0036】
有機溶媒としてはイソプロピルアルコール、グリセリン等が用いられ、この量により液滴付着時の被付着面との接触角を制御している。前述したように液滴の表面エネルギーが高い程接触角が大きくなり、表面エネルギーは該有機溶媒の組成比を上げるほど低くなる。よって本発明では該有機溶媒の量を可能な限り減らした溶液を付与している。
【0037】
液滴付与装置の具体例を挙げるならば、任意の液滴を形成できる装置であればどのような装置を用いても構わないが、特に、十数ngから数十ng程度の範囲で制御が可能でかつ液滴が容易に形成できるインクジェット方式のものが好ましい。インクジェット方式の装置としては、圧電素子等を用いたインクジェット噴射装置、熱エネルギーによって液体内に気泡を形成させて液滴を吐出させる方式(以下、バブルジェット方式と称する)を用いたインクジェット噴射装置等が挙げられる。
【0038】
図3では、9素子部分のみを図示したが、これを多数個、同時に形成する事で単純マトリクス方式による電子源基板の構成が完成する。
【0039】
次に、通電し、導電性薄膜304の部位に、構造の変化した電子放出部305を形成する(図3(f))。この通電フォーミングにより導電性薄膜304を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造の変化した部位が形成される。該部位が電子放出部305を構成する。通電フォーミングの電圧波形の例を図4に示す。
【0040】
図4(a)、(b)におけるT1及びT2は、電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1μsec.〜10msec.、T2を10μsec.〜100msec.とし、三角波の波高値(通電フォーミングパルスのピーク電圧)は、図4(a)のように一定の値で印加を続ける場合、あるいは例えば0.1Vステップ程度づつ増加させる場合のいずれも適用でき、適当な真空雰囲気下で印加する。
【0041】
通常、通電フォーミング処理の終了は、三角波の最大電圧印加時の電流値が、ピークパルス間隔T2中に、導電性薄膜304を局所的に破壊、変形しない程度の電圧、例えば0.1V程度の電圧で、素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えば1MΩ以上の抵抗を示した時、通電フォーミングを終了とする。
【0042】
そして次に真空中における加熱処理、還元ガス雰囲気処理等により還元処理を行う場合もある。
【0043】
なお、フォーミングを終えた素子には活性化工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程とは、この工程により、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化する工程である。活性化工程は、例えば、有機物質のガスを含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パルスの印加を繰り返すことで行うことができる。この雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する有機ガスを利用して形成することができる他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質のガスを導入することによっても得られる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため、場合に応じ適宜設定される。適当な有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール,カルボン,スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCnH2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCnH2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン,トルエン,メタノール,エタノール,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アセトン,メチルエチルケトン,メチルアミン,エチルアミン,フェノール,蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。この処理により、雰囲気中に存在する有機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積し、素子電流If、放出電流Ieが著しく変化するようになる。
【0044】
活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと放出電流Ieを判定しながら、適宜行う。なおパルス幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0045】
炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファイト(いわゆるHOPG、PG、GC)を包含する(HOPGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは結晶粒が200Å程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶粒が20Å程度になり結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指す。)非晶質カーボン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を指す)であり、その膜厚は、500Å以下の範囲とするのが好ましく、300Å以下の範囲とすることがより好ましい。
【0046】
このような工程を経て得られた電子源に対しては、安定化工程を行うことが好ましい。この工程は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることが出来る。
【0047】
前記活性化の工程で、排気装置として油拡散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生するオイル成分に由来する有機ガスを用いた場合は、この成分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の有機成分の分圧は、上記の炭素及び炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧であって、1×10-8Torr以下が好ましく、さらには1×10-10 Torr以下が特に好ましい。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や電子源に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。このときの加熱条件は、80〜250℃、好ましくは150℃以上でできるだけ長時間行うのが望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子源の構成などの諸条件により適宜選ばれる条件により行う。真空容器内の圧力は極力低くすることが必要で1〜3×10-7Torr以下が好ましく、さらに1〜10-8Torr以下が特に好ましい。
【0048】
安定化工程を行なった後の、駆動時の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な特性を維持することができる。このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、結果として素子電流If,放出電流Ieが、安定する。
【0049】
上述した工程を経て得られた、電子放出素子の基本特性について図5、図6を参照しながら説明する。図5は、真空処理装置の一例を示す模式図であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能をも兼ね備えている。図5において、511は真空容器であり、512は排気ポンプである。真空容器511内には上記電子源が配されている。なお、図では簡単のため電子放出素子一つのみを模式的に示した。即ち、501は上記電子源を構成する基体であり、502および503は素子電極、504は導電性薄膜、505は電子放出部である。506は、電子源に素子電圧Vfを印加するための電源、507は素子電極502、503間の導電性薄膜504を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、508は素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極である。509はアノード電極508に電圧を印加するための高圧電源、510は素子の電子放出部505より放出される放出電流Ieを測定するための電流計である。一例として、アノード電極の電圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード電極と電子源との距離Hを2mm〜8mmの範囲として測定を行うことができる。
【0050】
真空容器511内には、不図示の真空計等の真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになっている。排気ポンプ512は、ターボポンプ、ロータリーポンプからなる通常の高真空装置系と、イオンポンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されている。ここに示した電子源基板を配した真空処理装置の全体は、不図示のヒーターにより加熱できる。従って、この真空処理装置を用いると、前述の通電フォーミング以降の工程も行なうことができる。
【0051】
図6は、図5に示した真空処理装置を用いて測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係を模式的に示した図である。図6においては、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位で示している。なお、縦、横軸ともリニアスケールである。
図6からも明らかなように、本発明に従った表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関して3つの特徴的性質を有する。
【0052】
即ち、(i)本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ;図6中のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。つまり、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子である。
(ii)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
(iii)アノード電極508に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つまり、アノード電極508に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0053】
以上の説明より理解されるように、本発明に用いた表面伝導型電子放出素子は、入力信号に応じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。この性質を利用すると、複数の電子源を配して構成した電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能となる。
【0054】
図6においては、素子電流Ifが素子電圧Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」という。)例を実線で示した。素子電流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特性」という。)を示す場合もある(不図示)。これら特性は、前述の工程を制御することで制御できる。
【0055】
次に、図7を用いて駆動方法について説明する。X方向配線72には、X方向に配列した表面伝導型放出素子74の行を選択するための走査信号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方向配線73には、Y方向に配列した表面伝導型放出素子74の各列を入力信号に応じて変調するための不図示の変調信号発生手段が接続される。各電子源に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給される。すなわち、単純なマトリクス配線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とすることができる。
【0056】
このような単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した画像形成装置について、図8と図9および図10を用いて説明する。図8は、画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図であり、図9は、図8の画像形成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図10は、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行なうための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0057】
図8において、71は電子放出素子を複数配した電子源基板、81は電子源基板71を固定したリアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85等が形成されたフェースプレートである。82は支持枠であり、支持枠82に、リアプレート81、フェースプレート86をフリットガラス等を用い、例えば大気中あるいは窒素中で400〜500度の温度範囲で10分以上焼成して封着することにより、外囲器88を構成している。
【0058】
74は、図3における電子放出部305に相当する。72、73は、表面伝導型電子源の一対の素子電極と接続されたX方向配線およびY方向配線である。
【0059】
外囲器88は、上述の如く、フェースプレート86、支持枠82、リアプレート81で構成される。リアプレート81は主に基板71の強度を補強する目的で設けられるため、基板71自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート81は不要とすることができる。すなわち、基板71に直接支持枠82を封着し、フェースプレート86、支持枠82および基板71で外囲器88を構成しても良い。一方、フェースプレート86、リアプレート81間に、スペーサーとよばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度をもつ外囲器88を構成することもできる。
【0060】
図9は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成することができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電材91と蛍光体92とから構成することができる。ブラックストライプ、ブラックマトリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜84における外光反射によるコントラストの低下を抑制することにある。ブラックストライプの材料としては、通常用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、導電性があり、光の透過および反射が少ない材料を用いることができる。
【0061】
ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート86側へ鏡面反射させることにより輝度を向上させること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージから蛍光体を保護すること等である。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製できる。
【0062】
フェースプレート86には、更に蛍光膜84の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電極(不図示)を設けてもよい。
前述の封着を行う際には、カラーの場合は各色蛍光体と電子源とを対応させる必要があり、十分な位置合わせが不可欠となる。
【0063】
図8に示した画像形成装置は、例えば以下のようにして製造される。
外囲器88は、前述の安定化工程と同様に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポンプなどのオイルを使用しない排気装置により不図示の排気管を通じて排気し、10-7Torr程度の真空度の有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封止が成される。外囲器88の封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行なうこともできる。これは、外囲器88の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱により、外囲器88内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1×10-5ないしは1×10-7Torrの真空度を維持するものである。ここで、表面伝導型電子源のフォーミング処理以降の工程は、適宜設定できる。
【0064】
次に、単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示を行なうための駆動回路の構成例について、図10を用いて説明する。図10において、1001は画像表示表示パネル、1002は走査回路、1003は制御回路、1004はシストレジスタである。1005はラインメモリ、1006は同期信号分離回路、1007は変調信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源である。
【0065】
表示パネル1001は、端子Dox1乃至Doxm、端子Doy1乃至Doyn、および高圧端子Hvを介して外部の電気回路と接続している。端子Dox1乃至Doxmには、表示パネル内に設けられている電子源、すなわち、M行N列の行列状にマトリクス配線された表面伝導型電子源群を一行(N素子)ずつ順次駆動するための走査信号が印加される。
【0066】
端子Doy1乃至Doynには、前記走査信号により選択された一行の表面伝導型電子源の各素子の出力電子ビームを制御するための変調信号が印加される。高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば10K[V]の直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型電子源から放出される電子ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与するための加速電圧である。
【0067】
走査回路1002について説明する。同回路は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図中、S1ないしSmで模式的に示している)ある。各スイッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0[V](グランドベル)のいずれか一方を選択し、表示パネル1001の端子Dox1乃至Doxmと電気的に接続される。S1乃至Smの各スイッチング素子は、制御回路1003が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するものであり、例えばFETのようなスイッチング素子を組み合わせることにより構成することができる。
【0068】
直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう設定されている。
【0069】
制御回路1003は、外部より入力する画像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動作を整合させる機能を有する。制御回路1003は、同期信号分離回路1006より送られる同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscanおよびTsftおよびTmryの各制御信号を発生する。
【0070】
同期信号分離回路1006は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波数分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号分離回路1006により分離された同期信号は、垂直同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表した。該DATA信号はシフトレジスタ1004に入力される。
【0071】
シフトレジスタ1004は、時系列的にシリアルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、制御回路1003より送られる制御信号Tsftに基づいて動作する(すなわち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ1004のシフトクロックであるということもできる。)。シルアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子源N素子分の駆動データに相当)のデータは、Id1乃至IdnのN個の並列信号として前記シフトレジスタ1004より出力される。
【0072】
ラインメモリ1005は、画像1ライン分のデータを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であり、制御回路1003より送られる制御信号Tmryに従って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶された内容は、I′dl乃至I′dnとして出力され、変調信号発生器1007に入力される。
【0073】
変調信号発生器1007は、画像データI′dl乃至I′dnの各々に応じて表面伝導型電子源の各々を適切に駆動変調するための信号源で、その出力信号は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示パネル1001内の表面伝導型電子源に印加される。
【0074】
前述したように、本発明を適用可能な電子源は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有している。すなわち、電子放出には明確なしきい値電圧Vthがあり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。このことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、例えば電子放出閾値以下の電圧を印加しても電子放出は生じないが、電子放出閾値以上の電圧を印加する場合には電子ビームが出力される。その際、パルスの波高値Vmを変化させることにより出力電子ビームの強度を制御することが可能である。また、パルスの幅Pwを変化させることにより出力される電子ビームの電荷の総量を制御することが可能である。
したがって、入力信号に応じて、電子源を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際しては、変調信号発生器1007として、一定長さの電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いることができる。
【0075】
パルス幅変調方式を実施するに際しては、変調信号発生器1007として、一定の波高値の電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いることができる。
【0076】
シフトレジスタ1004やラインメモリ1005は、デジタル信号式のものもアナログ信号式のものをも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0077】
デジタル信号式を用いる場合には、同期信号分離回路1006の出力信号DATAをデジタル信号化する必要があるが、これには同期信号分離回路1006の出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ1005の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号発生器1007に用いられる回路が若干異なったものとなる。すなわち、デジタル信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器1007には、例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器1007には、例えば高速の発振器および発振器の出力する波数を計数する計数器(カウンタ)および計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合わせた回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0078】
アナログ信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器1007には、例えばオペアンプなどを用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を採用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0079】
このような構成をとり得る本発明に従った画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Dox1乃至Doxm、Doy1乃至Doynを介して電圧を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子Hvを介してメタルバック85、あるいは透明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速された電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形成される。
【0080】
ここで述べた画像形成装置の構成は、本発明を適用可能な画像形成装置のうちの一例であり、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号については、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限られるものではなく、PAL、SECAM方式などの他、これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式をはじめとする商品位TV)方式をも採用できる。
以下に、実施例をあげて、本発明をさらに詳述する。
【0081】
【実施例1】
本実施例は、多数の表面伝導型電子放出素子を単純マトリクス配置したマルチ電子源および、これを用いた画像形成装置の例である。
【0082】
以下、上述の図3を利用して本実施例の構成、製造手順を説明する。
【0083】
図3(a)〜(f)は本実施例の製造工程を表わす。図3(a)〜(f)では不図示の基板上に対して電子源を3×3個、計9個を行列状にマトリクス配線した例を示す。図中、302、303は一対の素子電極、306は第1の配線、308は第1の配線と第2の配線との層間絶縁膜、307は第2の配線、304は電子放出部形成用の膜である。
【0084】
先ず、予め洗浄された基板(ここでは、ソーダライムガラス基板を使用)上に、印刷、焼成により、一対の素子電極302、303を形成した(図3(a))。本実施例では、膜の成膜方法として厚膜印刷法を使用した。ここで使用した厚膜ペースト材料は、MODペーストであり、金属成分はAuであった。印刷の方法はスクリーン印刷法を用いた。つまり、所望のパターンに印刷の後、70℃で10分乾燥し、次に焼成を実施した。焼成温度は550℃で、ピーク保持時間は約8分であった。印刷、焼成後のパターンは片側の素子電極303の寸法が350×200μm、他の片側の素子電極302が500×150μmと左右非等長のパターンとし、膜厚は〜0.3μm、素子電極302,303の間隔は20μmとした。
【0085】
次に第1の配線を形成した(図3(b))。第1の配線306(X方向配線)は素子電極303に接続形成した。第1の配線306の形成方法として厚膜スクリーン印刷法を用いた。ペースト材料としては酸化鉛を主成分とするガラスバインダーに導電性材料の微粒粉を混合したものを用いた。本実施例では、導電性材料がAgのペーストを使用した。すなわち、所望のパターンでスクリーン印刷を行い、110℃で20分の乾燥を行い、その後、550℃、ピーク保持時間15分の焼成を行って幅100μm、厚み12μmの第1の配線306(X方向配線)を形成した。
【0086】
次に、本発明の特徴である層間絶縁膜308を形成した(図3(c))。層間絶縁膜308はX方向配線とY方向配線の交差する部分にも形成し、素子電極302との交差部に100μm角の窓309を開けた。層間絶縁膜308の構成材料としては、金属成分を含まないPbOを主成分とした厚膜ペーストを用いた。厚膜ペーストとしては、PbOとB2 O3 が重量比で2:3となるよう混合し、V2 O5 を重量比で0.2%添加し、焼成後、表面エネルギーが該基板を構成するガラスより低く、70erg/cm2 以下となるようにしたものを用いた。
絶縁層308の形成方法としては厚膜スクリーン印刷法を用いた。つまり、所望のパターンでスクリーン印刷を行い、110℃で20分の乾燥を行い、その後、550℃、ピーク保持時間15分の焼成を行って500×500μm、厚み〜30μmの層間絶縁膜308を得た。
【0087】
次に、第2の配線307を形成した(図3(d))。第2の配線層307(Y方向配線)は素子電極302に各々接続形成した。形成方法としては第1の配線306と同様の厚膜スクリーン印刷法を用いた。使用した厚膜ペースト材料は、第1の配線層306と同じくAgペーストであり、金属成分はAgであった。つまり、所望のパターンでスクリーン印刷し、110℃で20分の乾燥を行い、その後、550℃でピーク保持時間15分の焼成を行って、第1の配線306上に幅100μm、厚み12μmの第2の配線307(Y方向配線)を形成した。この第2の配線の形成によりX方向配線とY方向配線が互いに絶縁された複数(2層)の層からなるマトリクス配線が完成した。
以上で、マトリクス配線の部分が完成したわけであるが、ペースト材料、印刷方法等はここに記したものに限るものではない。
【0088】
最後に電子放出部形成用の導電性薄膜304を形成した(図3(e))。電子放出部形成用の膜304の形成方法は、以下に説明する液滴付与方法を用いた。つまり、液滴を液滴付与装置により素子電極上に付与するわけであるが、液滴の基になる溶液としては水、金属化合物および有機溶媒からなり液滴を生じさせる粘度のものを用いた。本実施例では金属化合物の金属成分としてはPdを用い、有機溶媒としてはイソプロピルアルコールを重量比25%のものを用いた。
【0089】
液滴付与装置としてはインクジェット装置、本実施例ではバブルジェット方式の装置を用いた。焼成は300℃で10分間行い、膜厚が150Åとなるように吐出液滴量を調整し、シート抵抗が4×104 となるように微粒子膜を形成した。
【0090】
図3では、9素子部分のみを図示したが、これをX方向、Y方向に多数同時に形成し、単純マトリクス方式による電子源基板の構成が完成した。
【0091】
次に、以上のようにして作成した表面伝導型電子放出素子を有する電子源基板を用いて画像形成装置を構成した例を、図7、図8、および図9を用いて説明する。
上述のようにしてマトリクス配線に多数の表面伝導型電子放出素子を接続した電子源基板71をリアプレート81上に固定し、その後、電子源基板71の5mm上方に、フェースプレート86(ガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85が構成される)を支持枠82を介して配置し、フェースプレート86、支持枠82、リアプレート81の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で400℃ないし500℃で10分以上焼成することで封着した(図8参照)。また、リアプレート81への電子源基板71の固定もフリットガラスで行った。図8において、74は表面伝導型電子放出素子、72、73はそれぞれX方向配線、Y方向配線である。
【0092】
蛍光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成るが、本実施例では蛍光体はストライプ形状(図9(a))を採用し、先にブラックストライプを形成し、その間隙部に各蛍光体92を塗布し、蛍光膜84を作製した。ブラックストライプの材料は、通常、良く用いられている黒鉛を主成分とする材料を用いた。ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法はスラリー法を用いた。また、蛍光膜84の内面側には通常、メタルバック85が設けられるが、メタルバックは、蛍光膜84作製後、蛍光膜84の内面側表面の平滑化処理(通常、フィルミングと呼ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸着することで作製した。
【0093】
フェースプレート86には更に蛍光膜84の導電性を高めるために、蛍光膜84の外面側に透明電極が設けられる場合もあるが、本実施例では、メタルバック85のみで十分な導電性が得られたので省略した。
【0094】
前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体と表面伝導型電子放出素子74とを対応させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行った。以上のようにして完成したガラス容器内の雰囲気を排気管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気し、十分な真空度に達した後、容器外端子Dox1〜Dox120とDoy1〜Doy80を通じ、表面伝導型電子放出素子74の素子電極間に電圧を印加し、電子放出部形成用薄膜304を通電処理(フォーミング処理)することにより、電子放出部305を作成した。
【0095】
フォーミング処理の電圧波形を図4に示す。図4中、T1およびT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1を1msec.、T2を10msec.とし、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は14Vとし、フォーミング処理は1×10のマイナス6乗[Torr]の真空雰囲気下で60秒間行った。
【0096】
次に、10のマイナス6乗[Torr]程度の真空度で、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着し、外囲器の封止を行った。
【0097】
最後に封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行った。これは封止を行う直前、あるいは封止後に抵抗加熱、あるいは高周波加熱等の加熱法により、画像形成装置内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10のマイナス5乗ないし1×10のマイナス7乗[Torr]の真空度を維持するものである。
【0098】
以上のようにして完成した画像形成装置において、各表面伝導型電子源74には、容器外端子Dox1〜Dox120、Doy1〜Doy80を通じて、走査信号および変調信号を不図示の信号発生手段を用いてそれぞれ、印加することにより、電子放出させ、高圧端子Hvを通じて、メタルバック85に数KV以上の高圧を印加し、電子ビームを加速して、蛍光膜84に衝突させ、励起、発光させることで画像を表示した。このようにして画像形成装置の全素子を駆動し、輝度の分布を測定したところ、明らかに暗くなる欠陥は見られなかった。
【0099】
比較のため、従来のように、ガラスペースト印刷絶縁層をX、Y配線交差部だけに設け、他の工程は上述と同じにして製造した場合、輝度が半分以下になる欠陥画素が発生する場合があった。そこでその画像形成装置を分解し、観察したところ、印刷された配線の位置や幅がずれて、液滴付与位置と印刷配線が設計より近づき、液滴付与された導電性薄膜部が該配線と接触し、他と比較して薄くなっていることが判明した。実施例の装置を観察すると、同程度の配線のズレの生じている部分が見い出されるが、その部分の導電性膜が特に薄くなっていることはなかった。
【0100】
本実施例の絶縁層による電子源によれば、多数層から成るマトリクス配線で接続した電子放出素子を製造する際に、従来に比べて、簡便な液滴付与方法での製造歩止まりが向上し、画像形成装置としては輝度が極端に落ちる画素の欠陥をなくすことができた。また、本実施例の構成によれば、容易にX、Yマトリクス状に多数の表面伝導型電子源74を配置することができ、欠陥のない大画面の画像形成装置が実現できた。
【0101】
【実施例2】
実施例1では電子源の導電性薄膜部を液滴付与により形成し、液滴の基になる溶液の有機溶媒としてはイソプロピルアルコールを重量比25%のものを用いたが、本実施例では有機溶媒であるイソプロピルアルコールの重量比を5%とした。そして、液滴付与以外は実施例1と同じ製造方法で電子源基板を製造した。
【0102】
すなわち、図3(e)の電子放出部形成用の膜304の形成には、以下に説明する液滴付与方法を用いた。つまり、液滴付与装置により素子電極上に付与する液滴の基になる溶液は水、金属化合物および有機溶媒からなり液滴を生じさせる粘度のものが用いられるが、本実施例では金属化合物の金属成分としてPdを用い、有機溶媒としてはイソプロピルアルコールを重量比5%で用いた。
【0103】
液滴付与装置としてはインクジェット装置、本実施例ではバブルジェット方式の装置を用いた。液滴を本実施例の組成にしたことで液滴の表面エネルギーは70erg/cm2 となり、実施例1と同様の材料、方法で形成した絶縁層に付与した場合の接触角は90°以上となった。これにより、該絶縁層に存在する孔に液滴が浸漬することがなくなり、素子電極間に存在する液滴量の変動はさらに少なくなったわけである。
【0104】
焼成は300℃で10分間行い、膜厚が150Åとなるように吐出液滴量を調整し、シート抵抗が、4×104 となるように微粒子膜を形成した。
このようにして電子放出素子をX方向、Y方向同時に多数形成することで単純マトリクス方式による電子源基板が完成した。
さらに、実施例1と同様にして画像形成装置を製造し、全素子駆動し、輝度の分布を測定したところ明らかに暗くなる欠陥は見られず、個別画素の輝度の平均に対する分散の割合は20%になった。
【0105】
比較のため、実施例1の液滴組成で液滴付与して電子源の導電性薄膜を形成し、残りの工程は同じにして製造した場合、輝度が半分以下になる欠陥画素はなくなったものの、個別画素の輝度の平均に対する分散の割合は25%と大きく、分解後の観察で印刷された配線の位置や幅が変動し、液滴付与位置と印刷絶縁層が設計より近づき、液滴付与された導電性薄膜部が該絶縁層と接触し、他と比較してわずかに薄くなっていることが判明した。
【0106】
本実施例の絶縁層による電子源によれば、多数層から成るマトリクス配線で接続した電子源を製造する際に、従来に比べて、簡便な液滴付与方法での製造歩止まりが向上し、画像形成装置としては画素ごとの輝度ばらつきを少なくすることができた。また、本実施例の製造方法によれば、容易にX、Yマトリクス状に多数の表面伝導型電子源74を配置することができ、大画面の画像形成装置の作成に適していることがわかった。
【0107】
【実施例3】
実施例1、2では印刷配線間絶縁層をX,Y方向配線交差部と素子電極と配線の接触部に形成したのに対し、本実施例では電極と電極間ギャップ部の領域を窓として残し、他をすべて覆うように形成した。つまり、図11に示すように、層間絶縁膜1108を電極と電極間ギャップ部領域を窓として残し、他をすべて覆うように形成した。層間絶縁膜1108の構成材料としては、金属成分を含まないPbOを主成分とした厚膜ペーストを用いた。本実施例では厚膜ペーストとしてPbOとB2 O3 が重量比で2:3となるよう混合し、V2 O5 を重量比で0.2%添加し、焼成後、表面エネルギーが基板を構成するガラスより低く、70erg/cm2 以下となるようにした。
【0108】
絶縁層1108の形成には厚膜スクリーン印刷法を用いた。つまり、電極と電極間ギャップ部領域である100μm角の正方形窓を形成するパターンでスクリーン印刷を行い、110℃で20分の乾燥を行い、その後、550℃、ピーク保持時間15分の焼成を行って500×500μm、厚みが30μmの層間絶縁膜1108を得た。
【0109】
第2の配線を実施例1、2と同様に形成し、その後、実施例2と同じ組成の液を用いた液滴付与法により電子源の導電性薄膜を形成した。
【0110】
その際、上記構成で電極および電極間ギャップ部に開いた絶縁層の窓から少しずれて付与されたとしても液は窓内部に存在した方がエネルギーが低くなるため窓内部にすべて落ち込み、外側にはみ出ることがなかった。すなわち導電性薄膜の長さが該絶縁層の窓の長さでほぼ規定可能になったわけである。これにより実施例1で示したフォーミング工程で形成される亀裂長の素子間ばらつきが少なくなるため、電子放出量のばらつきも減少した。
【0111】
このようにして電子放出素子をX方向、Y方向同時に多数形成することで単純マトリクス方式による電子源基板が完成した。
【0112】
実施例1、2と同様にして画像形成装置を製造し、全素子駆動し、輝度の分布を測定したところ明らかに暗くなる欠陥は見られず、個別画素の輝度の平均に対する分散の割合は16%になった。
【0113】
よって本実施例の絶縁層による電子源によれば、マトリクス配線で接続した電子源を製造する際、従来と比べて、簡便な液滴付与方法での製造歩止まりが向上し、画像形成装置における画素ごとの輝度ばらつきが更に少なくなった。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、基板上に複数の上配線と複数の下配線をマトリクス状に配線する際に上配線と下配線の間を絶縁する絶縁層を、前記基板より表面エネルギーが小さい材料で構成する。また、電子放出部を有する導電性薄膜の形成は、前記絶縁層にて、前記一対の電極上と、基板上の当該一対の電極の間の領域とを残した全てを覆った後、インクジェット装置により液滴を前記一対の電極間に付与する。このように前記上配線および下配線を、基板より表面エネルギーが小さい絶縁層で覆うようにしたため、液滴を付与する際に、液滴が配線に付着することによる不都合、すなわち液滴の配線への浸漬等を解消することができ、かつ絶縁層に液滴が付着しても、その表面エネルギーが基板より小さいため、液滴が不必要に広がったり、吸引されたりするのを防止することができる。
【0115】
また、導電性薄膜および絶縁層を、導電性薄膜の材料である液滴を絶縁層に接触させた場合、その接触角が90°より大きいような材料で形成するようにしたため、該絶縁層にわずかに存在する孔に液滴が浸み込むのを防止することができる。
【0116】
これにより、電子源における導電性薄膜の不均一な膜厚分布を減少させ、電子源を用いた画像形成装置の画素欠陥数を激減させることができる。
【0117】
また、電子源における電子放出部の長さのばらつきを減少することができ、したがって電子源を用いた画像形成装置において、輝度のばらつきの少ない高品位の画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電子源の部分的な基本構成図である。
【図2】 液滴とその付着面における平行関係を示す断面図である。
【図3】 本発明に係る電子源の基本的な製法図である。
【図4】 本発明で用いることができる、電子源の通電処理の電圧波形を示す図である。
【図5】 本発明で用いることができる、電子源の基本的な測定評価装置を示す図である。
【図6】 本発明に係る電子源の基本特性を示す図である。
【図7】 本発明に係る電子源の基本構成図である。
【図8】 本発明に係る画像形成装置を示す斜視図である。
【図9】 図8の装置に適用できる蛍光膜の説明図である。
【図10】 本発明で用いることができる画像表示回路のブロック図である。
【図11】 本発明の実施例3に係る電子源の一部の上面図である。
【図12】 従来の電子源の基本構成図である。
【図13】 従来の表面伝導電子源の平面図である。
【符号の説明】
71,101,501,1201,1301:ガラス基板、75,1202,1203,1302:電極、102,103,302,303,502,503,104,304,504,1204,1304:導電性薄膜、106,107:X−Y配線、109:絶縁層、201:液滴、202:液滴付着面、306:第1の配線層、307:第2の配線層、309:窓、305,505,1303:電子放出部、5,505,1303:電子放出部、308,1108,1208:層間絶縁膜、309:層間絶縁層の窓、86,108:フェースプレート、508:アノード、84,92,110:蛍光体、506,509:電源、507,510:電流計、511:真空容器、512:真空排気装置、74:電子源、82:支持枠、85:メタルバック、88:外囲器、91:黒色導電材、1001:画像表示パネル、1002:走査回路、1003:制御回路、1004:シフトレジスタ、1005:ラインメモリ、1006:同期信号分離回路、1007:変調信号発生器。
Claims (5)
- 基板上に、
一対の電極と、
前記一対の電極の間に形成された、電子放出部を有する導電性薄膜とを有する複数の電子放出素子と、
前記複数の電子放出素子をマトリクス状に配線した、複数の上配線および複数の下配線と、
前記上配線と前記下配線との間を絶縁する、前記基板より表面エネルギーが小さい絶縁層と
を備える電子源の製造方法であって、
前記電子放出部を有する導電性薄膜の形成は、前記絶縁層にて、前記一対の電極上と、基板上の当該一対の電極の間の領域とを残した全てを覆った後、インクジェット装置により液滴を前記一対の電極間に付与する工程を含むことを特徴とする電子源の製造方法。 - 前記導電性薄膜および前記絶縁層は、前記導電性薄膜の形成に用いた前記液滴を前記絶縁層に接触させた場合、その接触角は、90°より大きいような材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子源の製造方法。
- 前記絶縁層を構成する材料は、酸化鉛、酸化ホウ素、および、酸化バナジウムを混合したものであることを特徴とする請求項1または2記載の電子源の製造方法。
- 前記配線は、印刷により形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子源の製造方法。
- 電子源と、その電子源から放出される電子によって照射されることにより画像を形成する画像形成部材とを真空容器に内包して構成された画像形成装置の製造方法であって、
前記電子源を請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法により形成することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
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