JP3887359B2 - ジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の製造方法 - Google Patents

ジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、これまでよりも相対的に多いアルミナ含有量の下で、優れた耐摩耗性および硬度と共に高い強度と靭性を兼ね備えたジルコニア−アルミナ複合セラミック材料製造方法に関するものである。
金属材料やプラスチック材料と比較して、セラミック材料は、硬度、耐摩耗性、耐熱性、耐蝕性等の優れた性能を有するが、厳しい条件下で使用される自動車、航空機、宇宙船等の機械部品、ドリルや医療メスを含む刃物、医療用具、人工関節や人工歯のような生体材料部品等の広い分野への実用化にあっては、高いレベルで強度と靭性の良好なバランスを兼ね備えたセラミック材料の開発が望まれる。そのようなセラミック材料の有力候補の一つとして、ジルコニア−アルミナ系複合セラミック材料が注目されている。
例えば、5〜30モル%のセリアを含有する正方晶ジルコニア粒子でなるマトリックス相と、ジルコニア粒子の粒界およびジルコニア粒子内に分散される、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素および炭化硼素から選択される少なくとも1種の微粒子でなる分散相とで構成されるジルコニア系複合セラミック材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この分散相の存在によりマトリックス相の粒成長が抑制されるので、マトリックス相の微細組織が得られるとともに、正方晶ジルコニアの安定化が促され、結果的に破壊源の寸法減少を達成している。
また、セリア(CeO2)を8〜12モル%及びチタニア(TiO2)を0.05〜4モル%含有する平均粒子径5μm以下の部分安定化ジルコニア(ZrO2)粒子でなる第1相と、平均粒子径2μm以下のアルミナ(Al2)粒子でなる第2相とを含む高強度/高靱性ジルコニア系複合セラミック材料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。アルミナの含有量は、このジルコニア系複合セラミック材料全量に対して、0. 5〜50容量%である。また、アルミナ粒子は、複合セラミック材料中に分散される全アルミナ粒子の数に対するジルコニア粒子内に分散されるアルミナ粒子の数の比として定義される分散率が2%もしくはそれ以上となるようにジルコニア粒子内に分散される。
また、この複合セラミック材料は、上記した範囲のセリアとチタニアを含有する部分安定化ジルコニアを生成するための第1成分と、第2相であるアルミナを生成するための第2成分との混合物を調製し、得られた混合物を所望の形状に成形して圧粉体を作製し、この圧粉体を大気中、常圧で焼結することによって得られる。この複合セラミック材料においては、ジルコニアの安定化剤としてのセリアと、チタニアを併用することにより、ジルコニアの粒成長を適度に促進し、アルミナ粒子の一部をジルコニア粒子内に有効に分散させるとともに、正方晶から単斜晶への応力誘起変態の臨界応力を増大させている。
特開平5−246760号公報(要約) 特開平8−268775号公報(要約)
しかしながら、セラミック材料中のアルミナの含有量が増加するにつれて、ジルコニアの粒成長が抑制されるので、ジルコニア粒子内に分散されるアルミナ粒子の数、すなわち上記した分散率が減少する傾向がある。分散率の減少は、セラミック材料の機械的強度と靭性のバランスを悪化させる恐れがある。一方、アルミナの含有量が増加すれば、複合セラミック材料の硬度や耐摩耗性のさらなる改善が期待される。したがって、靭性と強度の良好なバランスを維持しながらも、アルミナ含有量の増大によってもたらされる優れた耐摩耗性と硬度を備えた、従来に比してアルミナ含有量が相対的に多いジルコニア−アルミナ複合セラミック材料を提供できれば、上記した広範な用途におけるセラミック材料の実用化がさらに加速されるだろう。
したがって、本発明の目的は、これまでより高いアルミナ含有量の下で、これまでと同等もしくはそれ以上の強度と靱性を兼ね備えるとともに、優れた耐摩耗性と硬度を有するジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明にかかるジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の製造方法は、安定化剤として10〜12モル%のセリアを含み、90体積%もしくはそれ以上の正方晶ジルコニアで構成され、平均粒径が0.1〜1μmであるジルコニア粒子でなる第1相と、平均粒径が0.1〜0.5μmのアルミナ粒子でなる第2相とを含み、前記アルミナ粒子は、前記複合セラミック材料中に分散される全アルミナ粒子の数に対するジルコニア粒子内に分散されるアルミナ粒子の数の比として定義される第1分散率が2%もしくはそれ以上となるようにジルコニア粒子内に分散され、前記ジルコニア粒子は、前記複合セラミック材料中に分散される全ジルコニア粒子の数に対するアルミナ粒子内に分散されるジルコニア粒子の数の比として定義される第2分散率が1%もしくはそれ以上となるようにアルミナ粒子内に分散されるジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の製造方法であって、前記第1相を提供するための第1粉末と、前記第2相を提供するための第2粉末として、比表面積が10〜100m −1 未満の球形状のγ−アルミナ粉末を含むアルミナ粉末を調製する工程と、前記第1粉末と第2粉末とを前記複合セラミック材料中の第2相の含有量が20〜60体積%になるように混合する工程と、得られた混合粉末を所望の形状に成形して圧粉体を作製する工程と、前記圧粉体を酸素含有雰囲気下、所定の焼結温度で焼結する工程を含むことを特徴とする。
上記第2粉末は、平均粒径0.3μm以下のα−アルミナ粉末と、比表面積が10〜100m −1 未満の球形状のγ−アルミナ粉末との混合物であることが好ましい。
また、本発明の好ましい実施形態において、上記混合物は、上記α−アルミナ粉末と上記γ−アルミナ粉末とを50:50〜10:90の体積混合比になるように混合して得られる
また、上記混合粉末を800℃以上且つ前記焼成温度未満の温度で仮焼し、これを粉砕して仮焼粉末を調製し、この仮焼粉末の圧粉体を酸素含有雰囲気下で焼結することが好ましい。
本発明の製造方法によれば、複合セラミック材料が比較的多くの(例えば、40〜60体積%)第2相を含有するにもかかわらず、ジルコニア粒子内に分散されるアルミナ粒子の数に関する第1分散率がこれまでと同等もしくはそれ以上であることに加えて、アルミナ粒子が1%もしくはそれ以上の第2分散率でジルコニア粒子内に分散されるジルコニア−アルミナ複合セラミック材料を製造することができる。尚、本願明細書では、第1相の非常に微細なジルコニア粒子が第2相のアルミナ粒子内に分散されるとともに、第2相の非常に微細なアルミナ粒子が第1相のジルコニア粒子内に分散されている構造を”相互ナノコンポジット構造”と呼んでいる。したがって、この相互ナノコンポジット構造の形成は、複合セラミック材料の組織をさらに微細化し、第2相(もしくは第1相)の結晶粒内に分散された第1相(もしくは第2相)の粒子によって、例えば、結晶粒内に形成されたサブグレインバンダリーにより結晶粒内が仮想的にさらに細分化されるとともに、結晶粒内に形成された残留応力場により、正方晶ジルコニアから単斜晶ジルコニアへの応力誘起相変態の臨界応力を高めるという効果をもたらす。結果として、これまでに達成できなかった高いレベルで硬度、耐摩耗性、強度および靭性を備えたセラミック材料を提供することができる。
本発明のこれらの、およびさらなる目的および効果が以下の発明の詳細な説明および実施例からより明確に理解されるだろう。
本発明のジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の製造方法、および同製造方法によって得られるジルコニア−アルミナ複合セラミック材料について以下に詳細に説明する。
この複合セラミック材料は、ジルコニアからなる第1相とアルミナからなる第2相とで構成される。すなわち、第1相は正方晶ジルコニアの安定化剤としてセリアを含有する。第1相中でのセリアの含有量は、第1相全量に対して10〜12モル%の範囲内であり、それにより第1相は90体積%もしくはそれ以上の正方晶ジルコニアで構成される。例えば、第1相は90体積%もしくはそれ以上の正方晶ジルコニアと残りが単斜晶ジルコニアで構成されることが好ましい。セリアの含有量が10モル%未満であると、単斜晶ジルコニアの量が相対的に増加し、複合セラミック材料中にクラックが発生する恐れがある。また、セリアの含有量が12モル%を超えると、高温安定相である立方晶ジルコニアが出現し始め、正方晶ジルコニアから単斜晶ジルコニアへの応力誘起相変態による強度および靱性の改善が十分に達成できない。
さらに、第1相のジルコニア粒子は、0.1〜1μmの平均粒径を有する。平均粒径が1μm以上であると、複合セラミック材料の強度及び耐摩耗性の低下を招く恐れがある。一方、平均粒径が0.1μm以下であると、常圧焼結によって十分な密度を有する複合セラミック材料得ることが困難になる。
第1相は、セリアの他に、マグネシア、カルシア、チタニアおよび/あるいはイットリアのような他の安定化剤を含有してもよい。さらに複合セラミック材料の機械的性質を改善するために、第1相の全量に関して10〜12モル%のセリアと0.02〜1モル%のチタニアを使用することが特に好ましい。この場合は、第1相の粒成長を適度に促進させて、第1相であるジルコニア粒子内に第2相の微細なアルミナ粒子を分散させやすくなる。また、応力誘起相転移を起こす臨界応力を高めることができる。チタニアの添加量が0.02モル%未満であると、第1相の粒成長を促進する効果が十分でない恐れがある。一方、チタニアの添加量が1モル%を超えると、第1相の異常粒成長が起こりやすく、その結果、複合セラミック材料の強度および耐摩耗性が低下するおそれがある。尚、第1相は微量の不純物を含んでもよい。そのような場合、不純物の含有量を第1相の全量に対して0.5モル%以下とすることが望ましい。
本発明において、第2相のアルミナ粒子は0.1〜0.5μmの平均粒径を有する。平均粒径が0.5μmを超えると、アルミナ粒子を後述する4%以上の第1分散率で第1相であるジルコニア粒内に分散させることができない。一方、平均粒径が0.1μmに満たないと、常圧焼結により十分な密度を有する複合セラミック材料を得ることが困難になる。
本発明の複合セラミック材料は、20〜60体積%の第2相を含有する。第2相の含有量が20体積%に満たないと、複合セラミック材料の機械的強度および耐摩耗性が十分に改善されない。一方、第2相の含有量が60体積%を超えると、著しい強度・靱性の低下が生じる恐れがある。特に、複合セラミック材料が30〜40体積%の第2相を含有する場合は、より高いレベルで強度と靭性のバランスのとれた複合セラミック材料を提供することができる。
ところで、本発明は、第2相の含有量が20〜60体積%、好ましくは30〜40体積%であるという条件下で、数十ナノメートルサイズの微細なアルミナ粒子が2%もしくはそれ以上、好ましくは4%もしくはそれ以上の第1分散率(すなわち、複合セラミック材料中に分散される全アルミナ粒子の数に対するジルコニア粒子内に分散されるアルミナ粒子の数の比)でジルコニア粒子内に分散されるとともに、数十ナノメートルサイズの微細なジルコニア粒子が1%もしくはそれ以上の第2分散率(すなわち、複合セラミック材料中に分散される全ジルコニア粒子の数に対するアルミナ粒子内に分散されるジルコニア粒子の数の比)でアルミナ粒子内に分散されるように形成される相互ナノコンポジット構造を有する点にある。
この相互ナノコンポジット構造の形成により、複合セラミック材料の微粒化組織を得ることができる。すなわち、アルミナ粒子(もしくはジルコニア粒子)内に分散された微細ジルコニア(もしくはアルミナ)粒子によって、例えば、結晶粒内に転位がパイルアップされたサブグレインバンダリーが形成されるので、複合セラミック材料の強度および耐摩耗性を顕著に改善することができる。特に、第2相の含有量が30〜40体積%の範囲内である場合は、第2相のアルミナ粒子内に第1相の微細な正方晶ジルコニア粒子が均一に分散されてなるZTA(zirconia toughened alumina)構造の形成により、第2相を顕著に強化することができる。
数ミクロンからなる平均粒径を有するジルコニア粒子とアルミナ粒子が均一に混合されてなる組織を有する従来の複合セラミック材料の場合、アルミナの含有量が30体積%を超えると、正方晶ジルコニアから単斜晶ジルコニアへの応力誘起相転移はもはや複合セラミック材料の靭性改善の重要なメカニズムではなく、強度および靭性が徐々に減少する。そして、アルミナの含有量が50体積%を超えると、それは複合セラミック材料のマトリックス相がアルミナによって構成されることを意味するので、複合セラミック材料の機械的性質の著しい劣化を生じる恐れがある。
これに対して、前記した相互ナノコンポジット構造を有する本発明の複合セラミック材料の場合は、たとえ、アルミナ含有量が50体積%を越えても、微粒化組織の形成と、アルミナ粒子(もしくはジルコニア粒子)内に分散された極めて微細なジルコニア粒子(もしくはアルミナ粒子)による結晶粒子の効果的な強化とによって強度と靭性を高いレベルに維持することができる。
すなわち、本発明の複合セラミック材料の機械的特性は以下のメカニズムにより改善されると考えられる。第1相の正方晶ジルコニア粒子内に第2相の微細アルミナ粒子の一部が分散すると共に、第2相のアルミナ粒子内に第1相の微細正方晶ジルコニア粒子の一部が分散すると、アルミナとジルコニアとの間の熱膨張係数差のため、焼結後の冷却過程で、結晶粒子内に分散した各微細粒子の周囲には局所的に残留応力場が生成される。この残留応力場の影響により、それぞれの結晶粒子内には、転位が発生しやすくなる。転移は互いにパイルアップされ、最終的に結晶粒子、すなわちジルコニア粒子およびアルミナ粒子内にはサブグレインバインダリーが形成される。サブグレインバインダリーは微粒化組織をもたらし、正方晶ジルコニアから単斜晶ジルコニアへの応力誘起相変態の臨界応力を高める働きを有する。結果として、本発明の複合セラミック材料は、優れた耐摩耗性と硬度と同様に高い強度と靭性を発揮する。
第1分散率および第2分散率がそれぞれ2%および1%未満である場合は、サブグレインバインダリーの形成などによる組織の微粒化が不十分であるので、30〜40体積%という高いアルミナ含有量の範囲において強度低下を防ぐことが困難になる。特に、第1分散率が4%以上であれば、より高いレベルでバランスのとれた強度および靭性を達成することができる。尚、第1分散率および第2分散率の上限は特に限定されない。理論的には、第1分散率および第2分散率が増加するにつれて、複合セラミック材料の機械的特性のさらなる改善が期待される。
本発明のジルコニア−アルミナ複合セラミック材料は、従来のジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の強度および靭性を維持しながら、アルミナ含有量を増加させることによって期待される優れた耐摩耗性を要求する用途に好適である。例えば、本発明の複合セラミック材料を国際公開第02/11780号パンフレットに開示されている人工関節に使用することが好ましい。即ち、人工関節の関節部がポリエチレンと複合セラミック材料との間の摺動接触によって提供される場合、ポリエチレンの摩耗量を減らすことができる。また、人工関節の関節部が複合セラミック材料同士の摺動接触によって提供される場合は、優れた耐摩耗性を達成できる。このように、本発明の複合セラミック材料の使用により。過酷な条件下で長期間にわたりスムーズな関節運動を安定して提供できる人工関節を得ることができる。
次に、本発明のジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の製造方法について詳細に説明する。すなわち、この製造方法は、ジルコニア粒子でなる第1相を提供するための第1粉末と、アルミナ粒子でなる第2相を提供するための第2粉末を調製する工程と、第1粉末と第ニ粉末とを、前記複合セラミック材料中の第2相の含有量が20〜60体積%になるように混合する工程と、得られた混合粉末を所望の形状に成形する工程と、得られた圧粉体を酸素含有雰囲気下、所定の焼結温度で焼結する工程とを含む。
第1粉末は、得られた複合セラミック材料の第1相中のセリア含有量が10〜12モル%であり、第1相が90体積%もしくはそれ以上の正方晶ジルコニアで構成されるように調製される。また、第1粉末として、所定量のセリアとチタニアをジルコニアに固溶させて得られる正方晶ジルコニア粉末を用いることが好ましい。第1粉末を作製する方法は特に制限されないが、例えば、以下の方法が推奨される。
即ち、セリウム塩等のセリウム含有化合物をジルコニウム塩の水溶液に添加する。必要に応じて、チタニウム塩の水溶液やチタンアルコキシドの有機溶液等のチタン含有化合物を添加してもよい。次いで、得られた混合溶液にアンモニア水等のアルカリ性水溶液を加えて加水分解し、沈殿物を得る。この沈殿物を乾燥し、大気中で仮焼し、湿式ボールミル等により粉砕して、所望の粒度分布を有する正方晶ジルコニア粉末を得ることができる。
上記した正方晶ジルコニア粉末を用いる場合、そのジルコニア粉末は10〜20m−1の比表面積を有することが好ましい。この場合は、十分な密度を有する圧粉体が得られる。そのような圧粉体は、常圧焼結により焼結しやすい。比表面積が10m−1未満となると、焼結後に1μmもしくはそれ以下の平均粒径を有する第1相を得ることが困難になる。一方、比表面積が20m−1を超えると、かさ密度が顕著に低下し、第1粉末の取扱いが困難になる。結果として、常圧焼結により十分な密度を有する焼結体を得ることが困難である。
第2粉末は、第2粉末の焼結後にアルミナが生成されるように作製されるべきである。例えば、アルミナ粉末を用いればよい。特に、比表面積10〜100m−1の球形状のγ−アルミナ粉末を用いることが好ましい。比表面積100m−1以上のかさ高い針状γ−アルミナを用いる場合と比較して、成形性が向上し、得られた複合セラミック材料の第2相の平均粒径を0.1μm〜0.5μmの範囲内に容易に制御できるという利点がある。さらに、第1分散率および第2分散率を高めた相互ナノコンポジット構造を得ることができる。一方、比表面積が10m−1未満となると、焼結後に0.5μmもしくはそれ以下の平均粒径を有する第2相を得ることが困難になる。
第2粉末を調製する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、レーザアブレーション法、プラズマ気相法などの乾式法を用いればよい。或いは、アルミニウム塩の水溶液にアンモニア等のアルカリ性水溶液を加えて加水分解して沈殿物を得た後、この沈殿物を乾燥し、大気中で仮焼し、湿式ボールミル等により粉砕して所望の粒度分布を有する第2粉末を得ることができる。
また、第2粉末として、比表面積10〜100m−1の球形状のγ−アルミナ粉末と、平均粒径0.3μm以下のα−アルミナ粉末との混合物を使用することが好ましい。第2粉末として前記γ−アルミナ粉末のみを用いる場合と比較して、複合セラミック材料の相互ナノコンポジット構造を高い第1分散率および第2分散率で形成し易いという長所がある。
第2粉末中のγ−アルミナ粉末とα−アルミナ粉末の混合比は特に制限されさない。しかしながら、第1分散率および第2分散率の高い相互ナノコンポジット構造を得るために、第2粉末の全量に対して、α−アルミナ粉末の添加量を50体積%以下とすることが好ましい。α−アルミナ粉末の含有量が50体積%を超えるにつれて、第1分散率は徐々に低下する傾向がある。また、焼結工程に先立って仮焼工程を実施する場合、α−アルミナ粉末の含有量は0であってもよい。しかしながら、仮焼工程を採用しない場合は、複合セラミック材料の強度を向上するためにα−アルミナ粉末の含有量を30体積%以上とすることが好ましい。α−アルミナ粉末としては、通常市販されているα−アルミナ粉末を使用することができる。α−アルミナ粉末の平均粒径の下限は特に制限されないが、成形性および取扱い性の観点から、0.1μmもしくはそれ以上の平均粒径を有するα−アルミナ粉末を用いることが好ましい。
上記製造方法において、第1粉末と第2粉末の混合物を、酸素含有雰囲気下で、800℃以上で、且つ焼結温度よりも低い温度で仮焼した後、例えば、湿式ボールミルの手法で粉砕し、得られた仮焼粉末の圧粉体を酸素含有雰囲気下で焼結することが好ましい。仮焼工程を採用することにより、十分な密度を有する成形体を得ることができ、高い強度と靭性を有する複合セラミック材料を安定して供給することができる。
焼結工程後、酸素含有雰囲気下で熱間静水圧加圧(HIP)処理を実施してもよい。HIP処理の効果を最大限に得るため、焼結工程後の複合セラミック材料の焼結体は95%以上の相対密度を有することが好ましい。焼結工程における酸素雰囲気中の酸素濃度は特に制限されない。アルゴン等の不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いてもよい。この場合、酸素濃度は、混合ガス全量に対しておよそ5体積%以上であることが好ましい。
本発明の好ましい実施例を以下に説明するが、言うまでもなく、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(実施例1〜5および比較例1〜3)
実施例1〜5および比較例1〜3の各々のジルコニア−アルミナ複合セラミック材料を以下の方法により製造した。複合セラミック材料の第1相であるジルコニア粒子を提供する第1成分としては、安定化剤としての11モル%のセリアと、0.04モル%のチタニアを含有する、比表面積15m−1の正方晶ジルコニア粉末を用いた。一方、複合セラミック材料の第2相であるアルミナ粒子を提供する第2成分としては、気相法(レーザーアブレーション法)により作製され、比表面積が50m−1で平均粒径が33nmの真球状のγ−アルミナ粉末と、平均粒径が0.2μmのα−アルミナ粉末とでなる混合物を用いた。γ−アルミナ粉末とα−アルミナ粉末の混合比は、体積比で70:30である。
第1成分と第2成分とを表1に示す混合比で混合した。尚、比較例1では、第2成分を使用しなかった。得られた混合物をエタノール溶媒中で24時間湿式ボールミル粉砕し、次いで乾燥することにより第1混合粉末を得た。第1混合粉末を、大気中で1000℃で3時間仮焼した後、得られた仮焼粉末をエタノール溶媒中で24時間湿式ボールミル粉砕し、乾燥して第2混合粉末を得た。
第2混合粉末を10MPaの圧力で一軸加圧成形してφ68mmの円盤状の成形体を得た。さらに147MPaの圧力で成形体をCIP(冷間静水圧加圧)処理した。その後、大気中、焼結温度1440℃で3時間の条件下で成形体を常圧焼結により焼結し、焼結体を得た。
実施例1〜5および比較例1〜3の各々に関して得られた焼結体は、相対密度99%以上であり、X線回折により、それぞれの焼結体の第1相は、90体積%もしくはそれ以上の正方晶ジルコニアと、残りが単斜晶ジルコニアでなることが確認された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)による焼結体の観察から、実施例1〜5および比較例2および3の焼結体は、第2相の微細アルミナ粒子が表2に示される第1分散率(複合セラミック材料中に分散される全アルミナ粒子の数に対するジルコニア粒子内に分散されるアルミナ粒子の数の比)で第1相のジルコニア粒子内に分散されるとともに、第1相の微細ジルコニア粒子が表2に示される第2分散率(複合セラミック材料中に分散される全ジルコニア粒子の数に対するアルミナ粒子内に分散されるジルコニア粒子の数の比)で第2相のアルミナ粒子内に分散されるように形成される相互ナノコンポジット構造を有することを確認した。
尚、第1および第2分散率(W1、W2)は、焼結体のTEM観察、あるいは焼結体を研磨/熱処理して得られる試料のSEM観察を実施して、視野内に存在する第2相の総粒子数(S)、同視野内に存在する第1相の総粒子数(S)、同視野内の第1相の粒子内に存在する第2相の粒子数(n)、同視野内の第2相の粒子内に存在する第1相の粒子数(n)を数え、これらの値を下記の式に代入して求めた。
〔%〕=(n/S)×100
〔%〕=(n/S)×100
さらに、実施例1〜5および比較例1〜3の各々に関して、焼結体の第1相および第2相の平均粒子径を測定した。さらに、焼結体の機械的性質を評価するため、4mmx3mmx40mmの形状を有する試験片を焼結体から作製し、3点曲げ強度および破壊靱性を測定した。破壊靭性はIF法に基づいて求めた。結果を表1および表2に示す。
Figure 0003887359
Figure 0003887359
さらに、この複合セラミック材料の耐摩耗性を評価するため、潤滑液として蒸留水を用いたピンオンディスク試験を行った。ピンとディスクは複合セラミック材料により作製した。ピンは、直径5mm、長さ15mmの円柱の先端に頂角30゜の円錐状のコーンを設け、その先端部に直径1.5mmの鏡面平滑部を設け摺動面を形成した。この摺動面の表面粗さは、0.005μmRa以下である。
一方、ディスクは直径50mm、厚さ8mmであり、ピンとの摺動面は表面粗さが、0.005μmRa以下になるように鏡面研磨してある。ピンオンディスク試験は、ピンをディスク中心から22mmの距離の円周上に配置し、60mm/secのディスク回転速度で行った。摺動距離は一定(25km)であり、ピンへの付加荷重は、60Nとした。ピンの先端径が1.5mmであるので、ピン先端にかかる初期の摩擦圧力は33MPaである。試験回数は、上記の試験条件で3回行い、それらの試験の平均値をデータとして採用した。
比摩耗量Wf(wear factor)は、ピンの質量減少を測定して、下記に示す式により算出した。
W = (W1-W2)/P・L・ρ
ここに、
Wf ;比摩耗量(mm3/Nm)
W1 ;試験前の乾燥質量(g)
W2 ;試験後の乾燥質量(g)
P ;荷重(N)
L ;摺動距離(m)
ρ ;試験片の密度(g /mm3
さらに、複合セラミック材料のビッカース硬度を測定した。硬度と耐摩耗性の測定結果を表2に示す。
表1および表2の結果から分かるように、第2相のアルミナ粒子を20〜60体積%で含有する実施例1〜5の焼結体は、4%以上の第1分散率と、1%以上の第2分散率を満足するナノコンポジット構造を有する。また、これらの焼結体は、1200MPa以上の高い曲げ強度とともに10.0MPa・m1/2もしくはそれ以上の優れた破壊靭性を提供する。
一方、比較例1の焼結体は、第2相を含まないジルコニア焼結体であるので、破壊靭性は高いが曲げ強度は著しく低い。また、比較例2の焼結体は、高い第1分散率および第2分散率を有するナノコンポジット構造を有し、優れた破壊靭性を示す。しかしながら、第1相の粒成長が第2相によって十分に抑制されていないので、第1相の平均粒径(1.8μm)は実施例1の平均粒径(0.5μm)よりも顕著に大きい。結果的に、比較例2の焼結体の強度が低く、強度と靭性の良好なバランスが得られなかった。比較例3に関しては、実施例5よりも多くのアルミナを含有する焼結体であるので、強度および靭性の両方が顕著に低い。また、第1相および第2相の平均粒径は小さいが、第2分散率が本発明の1%もしくはそれ以上という条件を満たしていない。
上記したように、本発明の目的は、これまでよりも高いアルミナ含有量の下で、強度および靭性を維持しながら、優れた耐摩耗性及び硬度を有するセラミック材料を提供することにある。表2に示される結果は、アルミナ含有量が20〜60体積%の範囲内において、高い硬度と優れた耐摩耗性の両方を達成出来ることを示している。これに対して、比較例2では、強度および靭性は比較的高いが、アルミナ含有量が少ないために耐摩耗性は顕著に乏しい。一方、比較例3では、硬度は顕著に高いが、アルミナ含有量が多すぎるため強度および靭性の低下に加え、耐摩耗性も劣化する傾向がある。
(実施例6〜20)
実施例6〜20の各々のジルコニア−アルミナ複合セラミック材料を以下の方法により製造した。複合セラミック材料の第1相であるジルコニア粒子を提供する第1成分としては、表3に示すように、10〜12モル%のセリアを安定化剤として含有する正方晶ジルコニア粉末、もしくは10〜12モル%のセリアと、0.02〜1モル%のチタニアとを含有する、比表面積15m−1の正方晶ジルコニア粉末を用いた。一方、複合セラミック材料の第2相であるアルミナ粒子を提供する第2成分としては、気相法(レーザーアブレーション法)により作製され、比表面積50m−1、平均粒径33nmの真球状のγ−アルミナ粉末を用いた。
第1成分と第2成分とを第2成分の添加量が混合物の全体積に関して30%になるように混合した。得られた混合物をエタノール溶媒中で24時間湿式ボールミル粉砕し、次いで乾燥することにより第1混合粉末を得た。この第1混合粉末を、大気中で1000℃で3時間仮焼結した後、エタノール溶媒中で24時間湿式ボールミル粉砕し、乾燥して第2混合粉末を得た。
第2混合粉末を10MPaの圧力で一軸加圧成形してφ68mmの円盤状の成形体を得た。さらに147MPaの圧力で成形体をCIP(冷間静水圧加圧)処理した。その後、大気中、焼結温度1440℃で3時間の条件下で成形体を常圧焼結により焼結し、焼結体を得た。
実施例6〜20の各々に関して、得られた焼結体は相対密度99%以上であり、X線回折により、それぞれの焼結体の第1相は、90体積%もしくはそれ以上の正方晶ジルコニアと、残りが単斜晶ジルコニアでなることが確認された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)による焼結体の観察から、実施例6〜20の各焼結体は、第2相の微細アルミナ粒子が表4に示される第1分散率で第1相のジルコニア粒子内に分散されるとともに、第1相の微細ジルコニア粒子が表4に示される第2分散率で第2相のアルミナ粒子内に分散されるように形成される相互ナノコンポジット構造を有することを確認した。
さらに、実施例6〜20の各々に関して、焼結体の第1相および第2相の平均粒子径を測定した。第1相の平均粒径は0.2〜0.6μmの範囲であり、第2相の平均粒径は0.3μm以下であった。焼結体の機械的性質を評価するため、4mmx3mmx40mmの形状を有する試験片を焼結体から作製し、3点曲げ強度および破壊靱性を測定した。破壊靭性はIF法に基づいて求めた。結果を表3および表4に示す。
Figure 0003887359
Figure 0003887359
表3および4に示される結果は、安定化剤としてのセリアに加えて微量のチタニアを使用することにより、靭性を低下させることなく、曲げ強度をさらに改善できることを示している。
(実施例21〜26)
実施例21〜26の各々のジルコニア−アルミナ複合セラミック材料を以下の方法により製造した。複合セラミック材料の第1相であるジルコニア粒子を提供する第1成分としては、安定化剤としての11モル%のセリアと、0.05モル%のチタニアを含有する、比表面積15m−1の正方晶ジルコニア粉末を用いた。一方、複合セラミック材料の第2相であるアルミナ粒子を提供する第2成分としては、気相法(レーザーアブレーション法)により作製され、比表面積50m−1、平均粒径33nmの真球状のγ−アルミナ粉末と、平均粒径0.2μmのα−アルミナ粉末との混合物を用いた。これらの実施例においては、表5に示すように、γ−アルミナ粉末とα−アルミナ粉末の種々の混合比(体積比)を採用した。
第1成分と第2成分とを第2成分の添加量が混合物の全体積に関して30%になるように混合した。得られた混合物をエタノール溶媒中で24時間湿式ボールミル粉砕し、次いで乾燥することにより第1混合粉末を得た。この第1混合粉末を、大気中で1000℃で3時間仮焼結した後、エタノール溶媒中で24時間湿式ボールミル粉砕し、乾燥して第2混合粉末を得た。
第2混合粉末を10MPaの圧力で一軸加圧成形してφ68mmの円盤状の成形体を得た。さらに147MPaの圧力で成形体をCIP(冷間静水圧加圧)処理した。その後、大気中、焼結温度1440℃で3時間の条件下で成形体を常圧焼結により焼結し、焼結体を得た。
実施例21〜26の各々に関して、得られた焼結体は相対密度99%以上であり、X線回折により、それぞれの焼結体の第1相は、90体積%もしくはそれ以上の正方晶ジルコニアと、残りが単斜晶ジルコニアでなることが確認された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)による焼結体の観察から、実施例21〜26の各焼結体は、第2相の微細アルミナ粒子が表6に示される第1分散率で第1相のジルコニア粒子内に分散されるとともに、第1相の微細ジルコニア粒子が表6に示される第2分散率で第2相のアルミナ粒子内に分散されるように形成される相互ナノコンポジット構造を有することを確認した。
さらに、実施例21〜26の各々に関して、焼結体の第1相および第2相の平均粒子径を測定した。第1相の平均粒径は0.2〜0.3μmの範囲であり、第2相の平均粒径は0.2μm以下であった。焼結体の機械的性質を評価するため、4mmx3mmx40mmの形状を有する試験片を焼結体から作製し、3点曲げ強度および破壊靱性を測定した。破壊靭性はIF法に基づいて求めた。結果を表5および表6に示す。
Figure 0003887359
Figure 0003887359
(実施例27〜32)
実施例27〜32の各々のジルコニア−アルミナ複合セラミック材料を以下の方法により製造した。複合セラミック材料の第1相であるジルコニア粒子を提供する第1成分としては、表7に示すように、安定化剤としての11モル%のセリアと、0.05モル%のチタニアを含有する、比表面積15m−1の正方晶ジルコニア粉末を用いた。一方、複合セラミック材料の第2相であるアルミナ粒子を提供する第2成分としては、気相法(レーザーアブレーション法)により作製され、比表面積が50m−1で平均粒径33nmの真球状のγ−アルミナ粉末と、平均粒径0.2μmのα−アルミナ粉末との混合物を用いた。これらの実施例においては、表7に示すように、γ−アルミナ粉末とα−アルミナ粉末の種々の混合比(体積比)を採用した。
第1成分と第2成分とを第2成分の添加量が混合物の全体積に関して30%になるように混合した。得られた混合物をエタノール溶媒中で24時間湿式ボールミル粉砕し、次いで乾燥することにより第1混合粉末を得た。
仮焼工程を実施することなく、第1混合粉末を10MPaの圧力で一軸加圧成形してφ68mmの円盤状の成形体を得た。さらに147MPaの圧力で成形体をCIP(冷間静水圧加圧)処理した。その後、大気中、焼結温度1440℃で3時間の条件下で成形体を常圧焼結により焼結し、焼結体を得た。
実施例27〜32の各々に関して、得られた焼結体は相対密度99%以上であり、X線回折により、それぞれの焼結体の第1相は、90体積%もしくはそれ以上の正方晶ジルコニアと、残りが単斜晶ジルコニアでなることが確認された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)による焼結体の観察から、実施例27〜32の各焼結体は、第2相の微細アルミナ粒子が表8に示される第1分散率で第1相のジルコニア粒子内に分散されるとともに、第1相の微細ジルコニア粒子が表8に示される第2分散率で第2相のアルミナ粒子内に分散されるように形成される相互ナノコンポジット構造を有することを確認した。
さらに、実施例27〜32の各々に関して、焼結体の第1相および第2相の平均粒子径を測定した。第1相の平均粒径は0.2〜0.3μmの範囲であり、第2相の平均粒径は全て0.2μm以下であった。焼結体の機械的性質を評価するため、4mmx3mmx40mmの形状を有する試験片を焼結体から作製し、3点曲げ強度および破壊靱性を測定した。破壊靭性はIF法に基づいて求めた。結果を表7および表8に示す。
Figure 0003887359
Figure 0003887359
実施例21〜26の結果を実施例27〜32と比較から、ZrO2-Al2O3複合セラミック材料の機械的性質におよぼす仮焼ステップの有無の影響を考察することができる。すなわち、仮焼ステップの有無にかかわらず破壊靭性に顕著な差は認められない。しかしながら、仮焼ステップを含む場合の複合セラミック材料(実施例21〜26)の曲げ強度は仮焼ステップを含まない場合の複合セラミック材料(実施例27〜32)の曲げ強度よりも明らかに高い。また、仮焼ステップの有無による曲げ強度の差は、第2成分中のγアルミナ成分の含有量が70体積%もしくはそれ以上、特に90体積%もしくはそれ以上になるにつれて大きくなる傾向がある。
上記した実施例からもわかるように、本発明の製造方法によれば、これまでよりも多いアルミナ含有量の下で、非常に微細なジルコニア粒子が2%もしくはそれ以上、好ましくは4%もしくはそれ以上の第1分散率によってアルミナ粒子内に分散されるとともに、非常に微細なアルミナ粒子が1%もしくはそれ以上の第2分散率によってジルコニア粒子内に分散されてなる相互ナノコンポジット構造を有するジルコニア−アルミナ複合セラミック材料を得ることができる。この相互ナノコンポジット構造の形成により、本発明の複合セラミック材料は、これまでに達成できなかった高いレベルで硬度、耐摩耗性とともに強度および靭性を達成することができる。
したがって、本発明の複合セラミック材料の実用化が、例えば、光コネクタ用フェルール、軸受け、ダイス等の産業機械部品;ハサミ、鋸、その他種々の刃物類等の事務・理化学用品;メカニカルシール、粉砕メディア等の化学部品;スポーツ用品;人工関節、人工骨、人工歯根、アパットメント、クラウン等の生体材料;手術用メス等の医療用具などの種々の分野で期待される。

Claims (4)

  1. 安定化剤として10〜12モル%のセリアを含み、90体積%もしくはそれ以上の正方晶ジルコニアで構成され、平均粒径が0.1〜1μmであるジルコニア粒子でなる第1相と、平均粒径が0.1〜0.5μmのアルミナ粒子でなる第2相とを含み、前記アルミナ粒子は、前記複合セラミック材料中に分散される全アルミナ粒子の数に対するジルコニア粒子内に分散されるアルミナ粒子の数の比として定義される第1分散率が2%もしくはそれ以上となるようにジルコニア粒子内に分散され、前記ジルコニア粒子は、前記複合セラミック材料中に分散される全ジルコニア粒子の数に対するアルミナ粒子内に分散されるジルコニア粒子の数の比として定義される第2分散率が1%もしくはそれ以上となるようにアルミナ粒子内に分散されるジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の製造方法であって、前記第1相を提供するための第1粉末と、前記第2相を提供するための第2粉末として、比表面積が10〜100m −1 未満の球形状のγ−アルミナ粉末を含むアルミナ粉末を調製する工程と、前記第1粉末と第2粉末とを前記複合セラミック材料中の第2相の含有量が20〜60体積%になるように混合する工程と、得られた混合粉末を所望の形状に成形して圧粉体を作製する工程と、前記圧粉体を酸素含有雰囲気下、所定の焼結温度で焼結する工程を含むことを特徴とするジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の製造方法
  2. 上記第2粉末は、平均粒径0.3μm以下のα−アルミナ粉末と、比表面積が10〜100m −1 未満の球形状のγ−アルミナ粉末との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法
  3. 上記混合物は、上記α−アルミナ粉末と上記γ−アルミナ粉末とを50:50〜10:90の体積混合比になるように混合して得られることを特徴とする請求項2に記載の製造方法
  4. 上記混合粉末を800℃以上且つ前記焼結温度未満の条件で仮焼し、粉砕して仮焼粉末を調製し、前記仮焼粉末の圧粉体を酸素含有雰囲気下で焼結することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法
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