JP3887089B2 - 電子式水道メータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子式水道メータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子式水道メータは、計量部に水の流れる量に比例して回転する羽根車があり、羽根車上面に設けられた永久磁石によって回転磁界を発生する。そして、水道の配水管に接続され羽根車を収納する鋳物のケースは、羽根車の高さを超える高さを持つ構造である。
【0003】
流量センサなどによって回転磁界を検出してLCDなどの表示媒体によって計量値を表示するためには、流量センサ、LCDおよびCPU、電池を含む電子回路部が必要不可欠である。
【0004】
また水道メータには、検定有効期間が計量法で8年と定められているため、8年間はメンテナンスができない。従って、8年以上電子回路部を動作させるに必要な容量の電池が必要であり、現在の電池技術では、約15mm直径の円筒缶を必要とする。
【0005】
また流量センサは羽根車最上部に設けられた永久磁石になるべく近く、その感磁面を配置することによって所要の回転磁界検出性能を達成する。さらに表示部は検針員が目視で検針する都合から水道メータの最上部に位置する必要がある。従って電子回路部は必然的に最下部に流量センサ、最上部にLCD、中間に電池を配置する構成となり、中間には最低でも電池の直径を収納できる空間が必要となる。
【0006】
一方電子式水道メータはその設置環境から電子回路部を保護する構造が必要で、特に水没した状態でも使用されることが想定されるので、電子回路部を収納するための密封容器が必要となる。
【0007】
図8は従来の電子式水道メータの構成を示す断面図である。
【0008】
図8では、流量センサ1および電池2は回路基板3に実装され、もう一方の回路基板4にはLCD5、信号用端子6およびその他の電子部品が実装され、下部殻体7にそれぞれ支持されている。
【0009】
下部殻体7に被さるように上部殻体8があり、その上面には気密保持用弾性体としてのOリング9を受ける溝と透視ガラス10を受けて位置を固定するための段差面を有する。このようにして組み立てられた電子回路部は有底筒体21に収納され、枠体22がその上部を覆い、有底筒体21および透視ガラス10との間にはOリング23とOリング24が装着される。
【0010】
他方、有底筒体21および枠体22の外側には、例えば合成樹脂で成形された保護枠体31、32が溶着部33で接合されることによって覆うと同時に、Oリング9、23、24に所要の圧力を加える。
【0011】
また、保護枠体32に形成された信号用端子6の周囲の空間には、保護枠体32および枠体22と親和性のある接着剤を充填することによって絶緑性を確保している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の電子式水道メータにあっては、流量センサと電池を実装する回路基板、LCD、信号用端子およびその他の電子部品を実装する回路基板の2枚の回路基板が必要となり、その間を信号線で接続し、かつ下部殻体に取り付ける構成であるから、組立に手間がかかるだけでなく、流量センサの感磁面と羽根車に取り付けられた永久磁石との距離は極力近いことが要求されるにもかかわらず、組立誤差が重なった場合には感磁面と永久磁石との距離が隔たって、所要の回転磁界検出性能を達成できないこともある。
【0013】
また、組み立てる部材が多いために材料費もかさみ、手間のかかる組立では加工費もかさむためコストダウンが難しい。さらに、Oリングによる封止箇所が3箇所と多く、かつOリング圧縮のための圧力は、合成樹脂で形成された保護枠体間の溶着によっているので、合成樹脂の吸湿および環境温度の変化による経年劣化によって圧力の低下をきたす恐れがあるなど、封止性能の信頼性改善が必要であった。
【0014】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、封止性能の信頼性改善を図ると共に、回転磁界検出性能を常に良好に確保でき、より少ない部材で簡単に組み立てられる安価な電子式水道メータを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子式水道メータは、水の使用量に比例して回転する羽根車の回転量を検出する流量センサを有し、この流量センサからの信号を受けて水の使用量を求め表示する電子回路を実装する回路基板を備えた電子式水道メータであって、
開口端部が段差面を介して広口に形成された有底筒体と、前記段差面上に O リングを介して一体的に設けられ、表裏を貫通する信号用端子を一体に有する透視ガラスと、前記有底筒体の内面に沿って形成され、その開口端部に前記回路基板が、前記透視ガラス面と対向するように一体的に設けられた支持殻体と、この支持殻体内の底面上に一体的に形成され、円筒状電池を横向きの状態に保持固定する電池の押え部と、略盆状を成し、前記支持殻体の底部外面に一体的に嵌め込まれ、その盆面には前記流量センサを前記有底筒体の底面と対向する所定位置にはめ込む支持溝が形成された蓋体とを備え、前記回路基板は前記信号用端子の端部と半田付されており、また、前記電池及び流量センサとは、合成樹脂による射出成形により形成された前記支持殻体内に埋め込まれた電極を介して導電接続することを特徴とする。
【0016】
本発明では、支持殻体の底部外面と対向する蓋体の表面には、流量センサのリード線が所定ピッチで配設されており、これに対向する支持殻体の底部外面には、上記リード線のピッチと一致するように電極の端部が露出して設置されており、流量センサは、蓋体を支持殻体の底部外面にはめ込むことにより、そのリード線が電極の端部露出部分と接触し、支持殻体内に埋め込まれた電極部分を介して回路基板と導電接続する。
【0017】
また、本発明では、電極は、支持殻体の射出成型時にその内部に一体的に埋め込まれ、回路基板との接続端は外部に露出されて接触子となり、この露出された接触子を、回路基板側の導電部に接触させることにより、回路基板と導電接続する。
【0018】
また、本発明では、支持殻体に埋め込まれた電極は、流量センサ、電池および回路基板と電気的接合を要する部分で露出し、前記流量センサおよび前記回路基板と電気的に接合する電極は、それらの露出部部分において、合成樹脂によって内面から形成される僅かなふくらみを持つ。
【0019】
さらに、本発明では、支持殻体に埋め込まれた電極の電池と接合する露出部分には、電池のリード線の直径よりやや小さいパンチ穴が開けられ、このパンチ穴に電池のリード線が差し込まれる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明の電子式水道メータの実施の形態を説明する。
【0023】
図1において、有底筒体21はその上部に広口に形成された段差面12を有し、段差面12に置かれた気密保持用弾性体を構成するOリング13を介して、透視ガラス10が気密を保持するように押圧され、有底筒体21の開口部に形成された折り爪15を折り曲げることにより固着され、その外側を例えば合成樹脂で形成された保護枠体31、32が覆うように設けられている。
【0024】
透視ガラス10には例えばダイレクトプレス方式によるインサート成形などの一体形成で植設された信号用端子6があり、ガラスの熱膨張率と同等の熱膨張率の材質とすることで、その貫通部の気密を保持できる。
【0025】
信号用端子6は流量センサ1と電池2を除く電子部品を実装する回路基板4と半田等により接合され、電気的な接合と同時に、組立を透視ガラス10と一体で行える。
【0026】
なお、回路基板4は、印刷配線パターン上に流量センサ1と電池2を除く電子回路を実装し、透視ガラス10にダイレクトプレス方式によるインサート成形によって植設された信号用端子6とが半田10aによる接合が施されている。
【0027】
また、支持殻体221には、流量センサ1のプラスチックモールド部の形状に合わせて、図2で示すように蓋体224(図1に示す蓋221dでもある)に、支持溝222を、また、電池2の円筒形状に合わせて、図4に示す支持構造223(図1の押さえ部221 b 、221 a でもある)を、それぞれ合成樹脂による射出成形で形成している。
【0028】
すなわち、支持殻体221の中には、上述した押え部221a、221b、電極支持部221cおよび蓋221dが設置され、電池2および流量センサ1を固定している。
【0029】
流量センサ1の支持溝222は、支持殻体221の底部の蓋体224にあり、蓋体224が支持殻体221にはめ込まれることで、図3に示されるように完全に固着される。
【0030】
この時、流量センサ1のプラスチックモールド部にある感磁面は、支持殻体221の底面と同一面に位置する。また、電池2の支持構造223は支持殻体221の内部の空間にあり、電池2を支持殻体221の上部の開口部からはめ込む形で固着する。
【0031】
次に、図6により、支持殻体221の蓋体224と合わされるに示された底部231の構造を説明する。ここには、流量センサ1のリート線ピッチに一致するように薄板状の電極232が埋め込んであり、流量センサ1のリード線の長さにわたって支持殻体221の合成樹脂から露出し、このリード線と導電接触する。
【0032】
この露出部では電極の裏側に合成樹脂による僅かなふくらみを持ち、蓋体224がはめ込まれたときに、合成樹脂の弾性を利用して流量センサ1のリード線を押圧することによって電気的接触の信頼性を得る。
【0033】
支持殻体221の内部の空間にある電池2の支持構造223の両側には、電池2のリード線ピッチに一致するように薄板状の電極241が埋め込んであり、リード線の周囲でそれぞれ支持殻体221の合成樹脂から露出する。
【0034】
図4および図5は電池2を設置する部分を説明しており、図6で示した電極の露出部241には、電池2のリード線の直径よりもやや小さいパンチ穴242が支持殻体221の射出成形と同時に形成され、電池2が支持溝にはめ込まれる時にリード線がパンチ穴に差し込まれる。この時、リード線は円周にわたってパネ性を持った薄板状の電極241のパンチ穴242を押し広げて接触し電気的接触の信頼性を得る。
【0035】
支持殻体221の上部の開口部には、図7に示すように、回路基板4の上に設けられた矩形のスル一ホール251があり、図5に示す接触子252がスル一ホール251にはめ込まれ、流量センサ1の電極の数だけの接触子252と電池2の電極の数だけの接触子252が備えられている。
【0036】
流量センサ1の各電極と電池2の各電極は、支持殻体221の合成樹脂内に埋め込まれて各接触子252にまで到達し、その側面で露出する。図6に示す露出部253では電極の裏側に合成樹脂による僅かなふくらみを持ち、回路基板4の矩形スルーホールがはめ込まれたときに、合成樹脂の弾性を利用してスルーホール内面を押圧することによって電気的接触の信頼性を得る。
【0037】
また、各接触子252が回路基板4のスルーホール251にはめ込まれることによって、透視ガラス10、回路基板4および支持殻体221を一体で構造的にも支持する。
【0038】
上記のように構成された透視ガラス10、回路基板4、流量センサ1と電池2を含む支持殻体221の一体構造は量産設備での扱いも容易である。
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、支持殻体を利用することで回路基板無しで流量センサと電池を実装でき、しかも取付はワンタッチとなるので、材料費、加工費とも著しく低減させることができる。
【0040】
また、支持殻体と回路基板との取付もワンタッチで行えると同時に、回路基板、流量センサへの電源供給も開始できるので、電源供給を開始しない状態での一時保存も容易になる。
【0041】
さらに、支持殻体を有底筒体に落とし込むだけの組立方式でも、有底筒体の底面に対して流量センサの感磁面を接触させることが容易な構造なので、組立誤差によって羽根車の回転磁界検出性能は低下しない。従って、より少ない部材で簡弔に組み立てられ、かつ気密性、回転検出牲能の信頼性の高い安価な電子式水道メータを提供できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、電子式水道メータの操作安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す電子式水道メータの断面図である。
【図2】流量センサの取り付けを説明する斜視図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】支持殻体の平面図である。
【図5】電池を取り付け部分の平面図である。
【図6】支持殻体の側断面図である。
【図7】回路基板部の平面図である。
【図8】従来の電子式水道メータの断面図である。
【符号の説明】
1 流量センサ
2 電池
4 回路基板
6 信号用端子
10 透視ガラス
12 段差面
13 Oリング
15 折り爪
21 有底筒体
31、32 保護枠体
221 支持殻体
Claims (5)
- 水の使用量に比例して回転する羽根車の回転量を検出する流量センサを有し、この流量センサからの信号を受けて水の使用量を求め表示する電子回路を実装する回路基板を備えた電子式水道メータであって、
開口端部が段差面を介して広口に形成された有底筒体と、
前記段差面上に O リングを介して一体的に設けられ、表裏を貫通する信号用端子を一体に有する透視ガラスと、
前記有底筒体の内面に沿って形成され、その開口端部に前記回路基板が、前記透視ガラス面と対向するように一体的に設けられた支持殻体と、
この支持殻体内の底面上に一体的に形成され、円筒状電池を横向きの状態に保持固定する電池の押え部と、
略盆状を成し、前記支持殻体の底部外面に一体的に嵌め込まれ、その盆面には前記流量センサを前記有底筒体の底面と対向する所定位置にはめ込む支持溝が形成された蓋体とを備え、
前記回路基板は前記信号用端子の端部と半田付されており、また、前記電池及び流量センサとは、合成樹脂による射出成形により形成された前記支持殻体内に埋め込まれた電極を介して導電接続する
ことを特徴とする電子式水道メータ。 - 支持殻体の底部外面と対向する蓋体の表面には、流量センサのリード線が所定ピッチで配設されており、これに対向する支持殻体の底部外面には、上記リード線のピッチと一致するように電極の端部が露出して設置されており、流量センサは、蓋体を支持殻体の底部外面にはめ込むことにより、そのリード線が電極の端部露出部分と接触し、支持殻体内に埋め込まれた電極部分を介して回路基板と導電接続することを特徴とする請求項1に記載の電子式水道メータ。
- 電極は、支持殻体の射出成型時にその内部に一体的に埋め込まれ、回路基板との接続端は外部に露出されて接触子となり、この露出された接触子を、回路基板側の導電部に接触させることにより、回路基板と導電接続することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子式水道メータ。
- 支持殻体に埋め込まれた電極は、流量センサ、電池および回路基板と電気的接合を要する部分で露出し、前記流量センサおよび前記回路基板と電気的に接合する電極は、それらの露出部部分において、合成樹脂によって内面から形成される僅かなふくらみを持つことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子式水道メータ。
- 支持殻体に埋め込まれた電極の電池と接合する露出部分には、電池のリード線の直径よりやや小さいパンチ穴が開けられ、このパンチ穴に電池のリード線が差し込まれることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子式水道メータ。
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