JP3886238B2 - リンパ球系腫瘍の治療剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リンパ球系腫瘍に発現される蛋白質に特異的に結合する抗体を有効成分として含有するリンパ球系腫瘍(骨髄腫を除く)治療剤に関する。また、本発明は、T細胞腫瘍またはB細胞腫瘍(骨髄腫を除く)治療剤に関する。さらに、本発明は、リンパ球系腫瘍に発現される蛋白質に特異的に結合し、細胞障害活性を有する抗体に関する。
【0002】
【従来の技術】
リンパ球系細胞は、生体において主に免疫を担当する細胞である。リンパ球系細胞は全て同じ血液幹細胞に由来し、骨髄中あるいはその他の器官で様々な分化誘導因子、または増殖因子の作用を受けて分化を繰り返した後、末梢血中へ放出される。この分化の違いによりリンパ球系細胞はB細胞とT細胞に大別される。B細胞は抗体産生能を、T細胞は抗原提示能、細胞障害能その他様々な能力を有していると考えられている。この分化段階で何らかの原因により腫瘍化し、骨髄中、リンパ組織中、末梢血中等で異常増殖するようになったものが、リンパ球系腫瘍である。
【0003】
近年の新しい技術導入、特に細胞表面の分化抗原に対するモノクローナル抗体を用いた技術の進歩により、リンパ球系細胞の由来や分化段階の同定が可能になった。それに伴い、リンパ球系腫瘍についてもその腫瘍細胞の由来がT細胞なのかB細胞なのかだけではなく、成熟度の同定までもが可能になった。
【0004】
リンパ球系腫瘍はその腫瘍細胞の起源あるいは成熟度によりB細胞腫瘍およびT細胞腫瘍に大別される。B細胞腫瘍は腫瘍細胞の成熟度によって、急性Bリンパ性白血病(B-ALL )、慢性Bリンパ性白血病(B-CLL )、pre-B リンパ腫、Burkitt リンパ腫、濾胞性リンパ腫、濾胞外套リンパ腫、びまん性リンパ腫等に分類される。また、T細胞腫瘍はその腫瘍細胞の成熟度によって、急性Tリンパ性白血病(T-ALL )、慢性Tリンパ性白血病(T-CLL )、成人T細胞白血病(ATL )、非ATL 末梢性Tリンパ腫(PNTL)等に分類される(図解臨床〔癌〕シリーズNo.17 白血病・リンパ腫、杉村隆ら、MEDICAL VIEW社、1987, B細胞腫瘍、高月清、西村書店、1991) 。
【0005】
近年の医療技術の進歩にも関わらず、リンパ球系腫瘍の治療に関しては未だ不十分であると言わざるを得ない。例えば、急性リンパ性白血病(ALL )の治癒率は20%以下である。また、リンパ腫の場合、Bリンパ腫は多剤併用療法の進歩により比較的治癒率は高いとはいうものの、進行期での治癒率は50%程度である。さらにTリンパ腫はより難治性であり、治癒率は約30%、成人T細胞白血病(ATL )に至っては10%にも満たないのが現状である。
【0006】
一方、Goto, T.らは、ヒト骨髄腫細胞をマウスに免疫して得られたモノクローナル抗体(抗HM1.24抗体)を報告している(Blood (1994) 84, 1922-1930)。ヒト骨髄腫細胞を移植したマウスに抗HM1.24抗体を投与すると、この抗体が腫瘍組織に特異的に集積したこと(小阪昌明ら、日本臨床(1995)53,627-635)から、抗HM1.24抗体はラジオアイソトープ標識による腫瘍局在の診断や、ラジオイムノセラピーなどのミサイル療法に応用することが可能であることが示唆されている。しかし、抗HM1.24抗体が他のリンパ球系腫瘍の治療に有用であることは知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
現在行われているリンパ球系腫瘍の治療には、種々の化学療法、X線療法、骨髄移植等が挙げられるが、上記のごとく、いずれの治療法も未だ完全ではなく、リンパ球系腫瘍を寛解に導き、患者の生存期間を延長させる画期的な治療剤あるいは治療法が待たれている。
従って、本発明の目的は、骨髄腫を除くリンパ球系腫瘍に対する新しい治療剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる治療剤を提供すべく、抗HM1.24抗体(Goto, T.ら Blood (1994) 84. 1922-1930)を用いて、FCM (フローサイトメトリー)解析、ADCC活性、CDC 活性のような細胞障害活性の測定等のイン・ビトロでの研究、イン・ビボでの抗腫瘍効果の検討、さらには抗HM1.24抗体が特異的に結合する抗原蛋白質単離の研究を重ねた結果、抗HM1.24抗体が認識する抗原タンパク質がリンパ球系腫瘍に発現していること、および抗HM1.24抗体がリンパ球系腫瘍に対し抗腫瘍効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的に結合し、かつ細胞障害活性を有する抗体を有効成分として含有する、リンパ球系腫瘍(骨髄腫を除く)治療剤を提供する。
また、本発明は配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的に結合し、かつ細胞障害活性を有する抗体を有効成分として含有する、T細胞腫瘍治療剤、またはB細胞腫瘍(骨髄腫を除く)治療剤を提供する。
また、本発明は配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的に結合し、かつ細胞障害活性を有するモノクローナル抗体を有効成分として含有する、T細胞腫瘍治療剤、またはB細胞腫瘍(骨髄腫を除く)治療剤を提供する。
【0010】
また、本発明は配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的に結合し、かつ細胞障害活性としてADCC活性またはCDC活性を有する抗体を有効成分として含有する、T細胞腫瘍治療剤、またはB細胞腫瘍(骨髄腫を除く)治療剤を提供する。
また、本発明は配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的に結合し、かつ細胞障害活性を有し、定常領域としてヒト抗体のCγを有する抗体を有効成分として含有する、T細胞腫瘍治療剤、またはB細胞腫瘍(骨髄腫を除く)治療剤を提供する。
【0011】
また、本発明は配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的に結合し、かつ細胞障害活性を有するキメラ抗体またはヒト型化抗体を有効成分として含有する、T細胞腫瘍治療剤、またはB細胞腫瘍(骨髄腫を除く)治療剤を提供する。
また、本発明は抗HM1.24抗体が認識するエピトープと特異的に結合する抗体を有効成分とする、T細胞腫瘍治療剤、またはB細胞腫瘍(骨髄腫を除く)治療剤を提供する。
また、本発明は抗HM1.24抗体を有効成分として含有するT細胞腫瘍治療剤、またはB細胞腫瘍(骨髄腫を除く)治療剤を提供する。
さらに、本発明はリンパ球系腫瘍に発現される蛋白質に特異的に結合し、細胞障害活性を有する抗体に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
1. 抗体の作製
1-1. ハイブリドーマの作製
本発明で使用される抗体を産生するハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、HM1.24抗原蛋白質やHM1.24抗原を発現する細胞を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。
【0013】
具体的には、モノクローナル抗体を作製するには次のようにすればよい。例えば、抗体取得の感作抗原であるHM1.24抗原発現細胞としては、ヒ卜多発性骨髄腫細胞株であるKPMM2 (特開平7-236475)やKPC-32(Goto, T. et al., Jpn. J. Clin. Hematol. (1991) 32, 1400 )を用いることができる。また、感作抗原として配列番号1 に示すアミノ酸配列を有する蛋白質、あるいは抗HM1.24抗体が認識するエピトープを含むペプチドまたはポリペプチドを使用することができる。
【0014】
なお、感作抗原として使用される、配列番号1 に示すアミノ酸配列を有する蛋白質のcDNAはpUC19 ベクターのXbaI切断部位の間に挿入されて、プラスミドpRS38-pUC19 として調製されている。このプラスミドpRS38-pUC19 を含む大腸菌(E.coli)は、平成5 年(1993年)10月5 日付で工業技術院生命工学工業技術研究所に、Escherichia coli DH5α(pRS38-pUC19 )として、受託番号FERM BP-4434としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている(特開平7-196694参照)。このプラスミドpRS38-pUC19 に含まれるcDNA断片を用いて遺伝子工学的手法により、抗HM1.24抗体が認識するエピトープを含むペプチドまたはポリペプチドを作製することができる。
【0015】
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター等が使用される。
感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内または、皮下に注射することにより行われる。具体的には、感作抗原をPBS (Phosphate-Buffered Saline )や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものを所望により通常のアジュバント、例えば、フロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4-21日毎に数回投与するのが好ましい。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することができる。
【0016】
このように免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞が取り出され、細胞融合に付される。細胞融合に付される好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞としての哺乳動物のミエローマ細胞は、すでに、公知の種々の細胞株、例えば、P3X63Ag8.653(J. Immnol. (1979) 123: 1548-1550),P3X63Ag8U.1 (Current Topics in Microbiology and Immunology (1978) 81: 1-7),NS-1(Kohler. G. and Milstein, C. Eur. J. Immunol. (1976) 6: 511-519),MPC-11(Margulies. D. H. et al., Cell (1976) 8: 405-415 ),SP2/0 (Shulman, M. et al., Nature (1978) 276: 269-270),FO(de St. Groth, S. F. et al., J. Immunol. Methods (1980) 35: 1-21 ),S194(Trowbridge, I. S. J. Exp. Med. (1978) 148: 313-323),R210(Galfre, G. et al., Nature (1979) 277: 131-133 )等が適宜使用される。
【0017】
前記免疫細胞とミエローマ細胞の細胞融合は基本的には公知の方法、たとえば、ミルステインらの方法(Kohler. G. and Milstein, C., Methods Enzymol. (1981) 73: 3-46 )等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は例えば、細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては例えば、ポリエチレングリコール(PEG )、センダイウィルス(HVJ )等が使用され、更に所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
【0018】
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は、例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1-10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM 培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS )等の血清補液を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め、37℃程度に加温したPEG 溶液、例えば、平均分子量1000-6000 程度のPEG 溶液を通常、30-60 %(w/v )の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)が形成される。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去できる。
【0019】
当該ハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えば、HAT 培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。当該HAT 培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、通常数日〜数週間継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングが行われる。
【0020】
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球をin vitroでHM1.24抗原またはHM1.24抗原発現細胞で感作し、感作リンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、HM1.24抗原またはHM1.24抗原発現細胞への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1-59878 参照)。さらに、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原となるHM1.24抗原またはHM1.24抗原発現細胞を投与し、前述の方法に従い所望のヒト抗体を取得してもよい(国際特許出願公開番号WO 93/12227, WO 92/03918,WO 94/02602, WO 94/25585,WO 96/34096, WO 96/33735参照)。
【0021】
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法にしたがい培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
【0022】
具体的には、抗HM1.24抗体産生ハイブリドーマの作製は、Goto, T.らの方法(Blood (1994) 84. 1922-1930)により行うことができる。工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成7 年9 月14日にFERM BP-5233としてブタペスト条約に基づき国際寄託された抗HM1.24抗体産生ハイブリドーマをBALB/cマウス(日本クレア製)の腹腔内に注入して腹水を得、この腹水から抗HM1.24抗体を精製する方法や、本ハイブリドーマを適当な培地、例えば、10%ウシ胎児血清、5 %BM-Condimed H1(Boehringer Mannheim 製)含有RPMI1640培地、ハイブリドーマSFM 培地(GIBCO-BRL 製)、PFHM-II 培地(GIBCO-BRL 製)等で培養し、その培養上清から抗HM1.24抗体を精製する方法で行うことができる。
【0023】
1-2. 組換え型抗体
本発明では、モノクローナル抗体として、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型抗体を用いることができる(例えば、Carl, A. K. Borrebaeck, James, W. Larrick, THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES, Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD, 1990 参照)。
【0024】
具体的には、目的とする抗体を産生するハイブリドーマから、抗体の可変(V )領域をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin, J. M. ら、Biochemistry (1979) 18, 5294-5299 )、AGPC法(Chomczynski, P. ら、Analytical Biochemistry, (1987) 162, 156-159)等により全RNA を調製し、mRNA Purification Kit (Pharmacia 製)等を使用してmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia 製)を用いることによりmRNAを直接調製することができる。
【0025】
得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V 領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit 等を用いて行うことができる。また、cDNAの合成および増幅を行うには5'-Ampli FINDER RACE Kit (Clontech製)およびPCR を用いた5'-RACE 法(Frohman, M. A. ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1988) 85, 8998-9002 ;Belyavsky, A. ら、Nucleic Acids Res. (1989) 17, 2919-2932 )を使用することができる。得られたPCR 産物から目的とするDNA 断片を精製し、ベクターDNA と連結する。さらに、これより組換えベクターを作成し、大腸菌等に導入してコロニーを選択して所望の組換えベクターを調製する。目的とするDNA の塩基配列を公知の方法、例えば、デオキシ法により確認する。
【0026】
目的とする抗体のV 領域をコードするDNA が得られれば、これを所望の抗体定常領域(C 領域)をコードするDNA と連結し、これを発現ベクターへ組み込む。または、抗体のV 領域をコードするDNA を、抗体C 領域のDNA を含む発現ベクターへ組み込んでもよい。
本発明で使用される抗体を製造するには、後述のように抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させることができる。
【0027】
1-3. 改変抗体
本発明では、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト型化(Humanized )抗体などを使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ抗体は、前記のようにして得た抗体V 領域をコードするDNA をヒト抗体C 領域をコードするDNA と連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 125023 、国際特許出願公開番号WO 96/02576 参照)。この既知の方法を用いて、本発明に有用なキメラ抗体を得ることができる。
【0028】
例えば、キメラ抗HM1.24抗体のL 鎖V 領域およびH 鎖V 領域をコードするDNA を含むプラスミドを有する大腸菌は、各々Escherichia coli DH5α(pUC19-1.24L-gκ)およびEscherichia coli DH5α(pUC19-1.24H-gγ1)として、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成8 年8 月29日に、各々FERM BP-5646およびFERM BP-5644としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている(特願平9-271536参照)。
ヒト型化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、たとえばマウス抗体の相補性決定領域(CDR; complementarity determining region )をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(欧州特許出願公開番号EP 125023 、国際特許出願公開番号WO 96/02576 参照)。
【0029】
具体的には、マウス抗体のCDR とヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)を連結するように設計したDNA 配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR 法により合成する。得られたDNA をヒト抗体C 領域をコードするDNA と連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 239400 、国際特許出願公開番号WO 96/02576 参照)。
CDR を介して連結されるヒト抗体のFRは、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato, K.et al., Cancer Res. (1993) 53, 851-856)。
【0030】
例えば、ヒト型化抗HM1.24抗体のL 鎖V 領域a バージョン(配列番号:2)およびH 鎖V 領域r バージョン(配列番号:3)をコードするDNA を含むプラスミドを有する大腸菌は、各々Escherichia coli DH5α(pUC19-RVLa-AHM-gκ)およびEscherichia coli DH5α(pUC19-RVHr-AHM- gγ1)として、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成8 年8 月29日に、各々FERM BP-5645およびFERM BP-5643としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている(特願平9-271536参照)。また、ヒト型化抗HM1.24抗体のH 鎖V 領域s バージョン(配列番号:4)をコードするDNA を含むプラスミドを有する大腸菌は、Escherichia coli DH5α (pUC19-RVHs-AHM- gγl)として、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成9 年(1997年)9 月29日にFERM BP-6127としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている(特願平9-271536参照)。
キメラ抗体、ヒト型化抗体には、ヒト抗体C 領域が使用され、細胞障害活性を呈するヒト抗体C 領域として、ヒトCγ例えば、Cγ1,Cγ2,Cγ3,Cγ4を使用することができる。これらのうち、特にCγ1,Cγ3を有する抗体が強力な細胞障害活性、すなわち、ADCC活性、CDC 活性を有し、本発明に好適に使用される。
【0031】
キメラ抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来のC 領域からなり、ヒト型化抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域とヒト抗体由来のフレームワーク領域(framework region; FR)およびC 領域からなり、ヒト体内における抗原性が低下しているため、本発明の治療剤の有効成分として有用である。
本発明に使用されるヒト型化抗体の好ましい具体例としては、ヒト型化抗HM1.24抗体が挙げられる(特願平9-271536参照)。ヒト型化抗HM1.24抗体のL 鎖V 領域の好ましい具体例としては、配列番号2に示される塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するものが挙げられる。また、ヒト型化抗HM1.24抗体のH 鎖V 領域の好ましい具体例としては、配列番号3又は4に示される塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するものが挙げられる。
【0032】
1-4. 発現および産生
前記のように構築した抗体遺伝子は、公知の方法により発現させ、取得することができる。哺乳類細胞の場合、常用される有用なプロモーター、発現される抗体遺伝子、その3'側下流にポリA シグナルを機能的に結合させたDNA あるいはそれを含むベクターにより発現させることができる。例えばプロモーター/エンハンサーとしては、ヒトサイトメガロウィルス前期プロモーター/エンハンサー(human cytomegalovirus immediate early promoter/enhancer )を挙げることができる。
【0033】
また、その他に本発明で使用される抗体発現に使用できるプロモーター/エンハンサーとして、レトロウィルス、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、シミアンウィルス40(SV 40 )等のウィルスプロモーター/エンハンサーやヒトエロンゲーションファクター1 α(HEF1α)などの哺乳類細胞由来のプロモーター/エンハンサーを用いればよい。
例えば、SV 40 プロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mulliganらの方法(Nature (1979) 277, 108)、また、HEF1αプロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mizushima らの方法(Nucleic Acids Res. (1990) 18, 5322)に従えば容易に実施することができる。
【0034】
大腸菌の場合、常用される有用なプロモーター、抗体分泌のためのシグナル配列、発現させる抗体遺伝子を機能的に結合させて発現させることができる。例えばプロモーターとしては、laczプロモーター、araBプロモーターを挙げることができる。laczプロモーターを使用する場合、Wardらの方法(Nature (1098) 341, 544-546;FASEB J. (1992) 6, 2422-2427)、araBプロモーターを使用する場合、Betterらの方法(Science (1988) 240, 1041-1043 )に従えばよい。
抗体分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル配列(Lei, S. P. et al J. Bacteriol. (1987) 169, 4379 )を使用すればよい。ペリプラズムに産生された抗体を分離した後、抗体の構造を適切にリフォールド(refold)して使用する(例えば、WO96/30394を参照)。
【0035】
複製起源としては、SV 40 、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、ウシパピローマウィルス(BPV )等の由来のものを用いることができ、さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは選択マーカーとして、アミノグリコシドトランスフェラーゼ(APH )遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
本発明で使用される抗体の製造のために、任意の産生系を使用することができる。抗体製造のための産生系は、in vitroおよびin vivo の産生系がある。in vitroの産生系としては、真核細胞を使用する産生系や原核細胞を使用する産生系が挙げられる。
【0036】
真核細胞を使用する場合、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を用いる産生系がある。動物細胞としては、(1) 哺乳類細胞、例えば、CHO, COS,ミエローマ、BHK (baby hamster kidney ),HeLa,Vero,(2) 両生類細胞、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、あるいは(3) 昆虫細胞、例えば、sf9, sf21, Tn5などが知られている。植物細胞としては、ニコティアナ(Nicotiana)属、例えばニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces )属、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces serevisiae)、糸状菌、例えば、アスペルギルス(Aspergillus )属、例えばアスペスギルス・ニガー(Aspergillus niger )などが知られている。
【0037】
原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E. coli )、枯草菌が知られている。
これらの細胞に、目的とする抗体遺伝子を形質転換により導入し、形質転換された細胞をin vitroで培養することにより抗体が得られる。培養は、公知の方法に従い行う。例えば、培養液として、DMEM,MEM, RPMI1640 、IMDMを使用することができ、牛胎児血清(FCS )等の血清補液を併用することもできる。また、抗体遺伝子を導入した細胞を動物の腹腔等へ移すことにより、in vivo にて抗体を産生してもよい。
一方、in vivo の産生系としては、動物を使用する産生系や植物を使用する産生系が挙げられる。動物を使用する場合、哺乳類動物、昆虫を用いる産生系がある。
【0038】
哺乳類動物としては、ヤギ、ブタ、ヒツジ、マウス、ウシなどを用いることができる(Vicki Glaser,SPECTRUM Biotechnology Application,1993)。また、昆虫としては、カイコを用いることができる。
植物を使用する場合、タバコを用いることができる。
これらの動物または植物に抗体遺伝子を導入し、動物または植物の体内で抗体を産生させ、回収する。例えば、抗体遺伝子をヤギβカゼインのような乳汁中に固有に産生される蛋白質をコードする遺伝子の途中に挿入して融合遺伝子として調製する。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA 断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ導入する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギまたはその子孫が産生する乳汁から所望の抗体を得る。トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに使用してもよい(Ebert, K.M. et al., Bio/Technology (1994) 12, 699-702 )。
【0039】
また、カイコを用いる場合、目的の抗体遺伝子を挿入したバキュロウィルスをカイコに感染させ、このカイコの体液より所望の抗体を得る(Susumu, M.et al., Nature(1985)315, 592-594) 。さらに、タバコを用いる場合、目的の抗体遺伝子を植物発現用ベクター、例えばpMON530に挿入し、このベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のようなバクテリアに導入する。このバクテリアをタバコ、例えばニコチニア・タバカム(Nicotiana tabacum)に感染させ、本タバコの葉より所望の抗体を得る(Julian, K.-C.Ma et al., Eur.J.Immunol.(1994)24, 131-138)。
【0040】
上述のようにin vitroまたはin vivo の産生系にて抗体を産生する場合、抗体重鎖(H 鎖)または軽鎖(L 鎖)をコードするDNA を別々に発現ベクターに組み込んで宿主を同時形質転換させてもよいし、あるいはH 鎖およびL 鎖をコードするDNA を単一の発現ベクターに組み込んで、宿主を形質転換させてもよい(国際特許出願公開番号WO 94-11523 参照)。
上述のように得られた抗体は、ポリエチレングリコール(PEG )等の各種分子と結合させ抗体修飾物として使用することもできる。本願特許請求の範囲でいう「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。これらの方法はこの分野においてすでに確立されている。
【0041】
2. 抗体の分離、精製
2-1. 抗体の分離、精製
前記のように産生、発現された抗体は、細胞内外、宿主から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製はアフィニティークロマトグラフィーにより行うことができる。アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えば、プロテインA カラム、プロテインG カラムが挙げられる。プロテインA カラムに用いる担体として、例えば、Hyper D, POROS,Sepharose F.F.等が挙げられる。
【0042】
その他、通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、上記アフィニティークロマトグラフィー以外のクロマトグラフィー、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせれば、本発明で使用される抗体を分離、精製することができる。クロマトグラフィーとしては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過等が挙げられる。これらのクロマトグラフィーはHPLCに適用することができる。また、逆相HPLCを用いることができる。
【0043】
2-2. 抗体の濃度測定
2-1 で得られた抗体の濃度測定は吸光度の測定またはELISA 等により行うことができる。すなわち、吸光度の測定による場合には、本発明で使用される抗体又は抗体を含むサンプルをPBS(-)で適当に希釈した後、280 nmの吸光度を測定し、1 mg/ml を1.35 OD として算出する。また、ELISA による場合は以下のように測定することができる。すなわち、0.1M重炭酸緩衝液(pH9.6 )で1 μg/mlに希釈したヤギ抗ヒトIgG (BIO SOURCE製)100 μl を96穴プレート(Nunc製)に加え、4℃で一晩インキュベーションし、抗体を固層化する。
【0044】
ブロッキングの後、適宜希釈した本発明で使用される抗体または抗体を含むサンプル、あるいは標品としてヒトIgG (CAPPEL製)100 μl を添加し、室温にて1時間インキュベーションする。洗浄後、5000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgG (BIO SOURCE製)100 μl を加え、室温にて1時間インキュベートする。洗浄後、基質溶液を加えインキュベーションの後、MICROPLATE READER Model 3550(Bio-Rad 製)を用いて405nm での吸光度を測定し、目的の抗体の濃度を算出する。
【0045】
3. FCM 解析
リンパ球系腫瘍と本発明で使用される抗体との反応性は、FCM (フローサイトメトリー)解析で行うことができる。細胞としては、樹立細胞株あるいは新鮮分離細胞を用いることができる。例えば樹立細胞株として、T細胞株であるRPMI 8402 (ATCC CRL-1994 )、急性リンパ芽球性白血病由来CCRF-CEM(ATCC CCL-119)、急性リンパ性白血病由来HPB-ALL (FCCH1018)、T リンパ腫由来HPB-MLT (FCCH1019)、急性リンパ性白血病由来JM(FCCH1023)、急性リンパ芽球性白血病由来MOLT-4(ATCC CRL-1582 )、急性リンパ性白血病由来Jurkat(FCCH1024)、急性リンパ芽球性白血病由来CCRF-HSB-2(ATCC CCL-120.1)、成人T 細胞白血病由来MT-1(FCCH1043)、レンネルトリンパ腫由来KT-3(Shimizu, S.et al., Blood(1988)71,196-203)などを、
【0046】
また、B細胞株としてEBウィルス形質転換細胞CESS(ATCC TIB-190)、EBウィルス陽性B 細胞SKW 6.4 (ATCC TIB-215)、B リンパ腫由来MC116 (ATCC CRL-1649 )、急性リンパ芽球性白血病由来CCRF-SB (ATCC CCL-120)、急性骨髄性白血病患者由来B 細胞RPMI 6410 (FCCH6047)、Burkitt リンパ腫由来Daudi (ATCC CCL-213)、Burkitt リンパ腫由来EB-3(ATCC CCL-85 )、Burkitt リンパ腫由来Jijoye(ATCC CCL-87 )、Burkitt リンパ腫由来Raji(ATCC CCL-86 )などを、さらに非T非B細胞株として急性骨髄性白血病由来HL-60 (ATCC CCL-240)、急性単球性白血病由来THP-1 (ATCC TIB-202)、組織球性リンパ腫由来U-937 (ATCC CRL-1593 )、慢性骨髄性白血病由来K-562 (ATCC CCL-243)などを用いることができる。
【0047】
上記細胞をPBS(-)で洗浄した後、 FACS 緩衝液(2 %ウシ胎児血清、0.1 %アジ化ナトリウム含有PBS(-))で25μg/mlに希釈した抗体あるいはコントロール抗体 100μl を加え、氷温化30分インキュベートする。FACS緩衝液で洗浄した後、25μg/mlのFITC標識ヤギ抗マウス抗体(GAM, Becton Dickinson 製)100 μl を加え、氷温化30分間インキュベートする。FACS緩衝液で洗浄した後、600 μl あるいは1 mlのFACS緩衝液に懸濁し、FACScan (Becton Dickinson製)で各細胞の蛍光強度を測定すればよい。
【0048】
各細胞の蛍光強度の測定値から、本発明で使用される抗体と各細胞の反応性を知ることができる。すなわち、各細胞の蛍光強度の測定値から、各細胞にHM1.24抗原が発現しているか否か(陽性か陰性か)及び発現の強度を知ることができる。リンパ球系腫瘍細胞におけるHM1.24抗原の発現の有無および発現強度については、後述の実施例2.2.FCM 解析に記載されている。
【0049】
本発明の治療対象となるリンパ球系腫瘍の腫瘍細胞は、HM1.24抗原を発現している。より詳しくは、リンパ球系腫瘍の腫瘍細胞は、HM1.24抗原陽性のパーセンテージが5%未満ではない腫瘍細胞が好ましい。より詳しくは、リンパ球系腫瘍の腫瘍細胞は、HM1.24抗原陽性のパーセンテージが20%以上である腫瘍細胞が好ましい。より詳しくは、リンパ球系腫瘍の腫瘍細胞は、HM1.24抗原陽性のパーセンテージが50%以上である腫瘍細胞が好ましい。より詳しくは、リンパ球系腫瘍の腫瘍細胞は、HM1.24抗原陽性のパーセンテージが80%以上である腫瘍細胞が好ましい。
【0050】
4. 細胞障害活性
4-1. CDC 活性の測定
本発明に使用される抗体は、細胞障害活性として、例えば、CDC活性を有する抗体である。
本発明のリンパ球系腫瘍治療剤のリンパ球系腫瘍に対するCDC 活性は、次のようにして測定することができる。まず標的細胞を適当な培地、例えば10% ウシ胎児血清(GIBCO-BRL 製)含有RPMI 1640 培地(GIBCO-BRL 製)で4 x 105 個/ml になるように調製する。標的細胞としてはCCRF-CEM(ATCC CCL-119),CCRF-HSB-2(ATCC CCL-120.1)、HPB-MLT (FCCH1019),EB-3(ATCC CCL-85 ),MC116 (ATCC CRL-1649 ),CCRF-SB (ATCC CCL-120),K-562 (ATCC CCL-243)などを用いることができる。これら細胞を96穴平底プレート(FALCON製)に50μl 加え、37℃CO2 インキュベーター中で一晩培養する。
【0051】
次いで、CDC 活性を測定する抗体を加え、60分間インキュベートした後、適当に希釈した補体、例えばBaby Rabbit Complement(CEDARLANE 製)を加え、2 時間インキュベートする。これにAlamar Bule (BIO SOURCE製)を各穴に10μl 加え、4 時間インキュベートした後、各穴の蛍光強度(励起波長530 nm、検出波長590 nm)を蛍光測定システムCytoFluor 2350(MILLIPORE 製)で測定する。細胞障害活性(%)は、(A-C )/ (B-C )x 100 で計算することができる。なお、A は抗体存在下でインキュベートしたときの蛍光強度、B は抗体を含まず培養液のみでインキュベートしたときの蛍光強度、C は細胞を含まない穴の蛍光強度である。
【0052】
4-2. ADCC活性の測定
本発明に使用される抗体は、細胞障害活性として、例えば、ADCC活性を有する抗体である。
本発明のリンパ球系腫瘍治療剤のリンパ球系腫瘍に対するADCC活性は、次のようにして測定することができる。まず、ヒトの末梢血や骨髄より比重遠心法で単核球分離し、エフェクター細胞として調製する。また、標的細胞としてはCCRF-CEM(ATCC CCL-119),CCRF-HSB-2(ATCC CCL-120.1)、HPB-MLT (FCCH1019),EB-3(ATCC CCL-85 ),MC116 (ATCC CRL-1649 ),CCRF-SB (ATCC CCL-120),K-562 (ATCC CCL-243)などを51Crにより標識して、標的細胞として調製する。次いで、標識した標的細胞にADCC活性を測定する抗体を加えインキュベートし、その後、標的細胞に対し適切な比のエフェクター細胞を加えインキュベートする。
【0053】
インキュベートした後上清を取り、ガンマカウンターで放射活性を測定する。その際、最大遊離放射能測定用に、1 %のNP-40 を用いることができる。細胞障害活性(%)は、(A-C )/ (B-C )x 100 で計算することができる。なお、A は抗体存在下において遊離された放射活性(cpm )、B はNP-40 により遊離された放射活性(cpm )、C は抗体を含まず培養液のみで遊離された放射活性(cpm )である。
【0054】
4-3. 細胞障害活性の増強
ADCC活性やCDC 活性のような細胞障害活性を発揮するには、ヒトにおいては抗体定常領域(C領域)としてCγ、特にCγ1 、Cγ3 を使用することが好ましい。さらに、抗体C領域のアミノ酸を一部付加、改変、修飾することにより、より強力なADCC活性、あるいはCDC 活性を誘導することができる。
【0055】
例えば、アミノ酸置換によるIgG のIgM 様ポリマー化(Smith, R. I. F. & Morrison, S. L. BIO/TECHNOLOGY(1994) 12, 683-688)、アミノ酸付加によるIgG のIgM 様ポリマー化(Smith, R. I. F. et al. , J. Immunology (1995) 154, 2226-2236 )、L鎖をコードする遺伝子の直列連結での発現(Shuford, W. et al., Science (1991) 252, 724-727 )、アミノ酸置換によるIgG の二量体化(Caron, P. C. et al., J. Exp. Med. (1992) 176, 1191-1195, Shopes, B., J. Immunology (1992) 148, 2918-2922)、化学修飾によるIgG の二量体化(Wolff, E. A. et al., Cancer Res. (1993) 53, 2560-2565 )、および抗体ヒンジ領域のアミノ酸改変によるエフェクター機能の導入(Norderhaug, L. et al., Eur. J. Immunol. (1991) 21, 2379-2384)が挙げられる。これらは、プライマーを利用したオリゴマー部位特異的変異導入法、制限酵素切断部位を利用した塩基配列の付加、共有結合をもたらす化学修飾剤を使用することによって達成される。
【0056】
5. 治療効果の確認
本発明のリンパ球系腫瘍治療剤の治療効果を確認するには、本発明で使用される抗体をリンパ球系腫瘍細胞を移植した動物に投与し、抗腫瘍効果を評価することにより行うことができる。
動物に移植するリンパ球形腫瘍細胞としては、樹立細胞株あるいは新鮮分離細胞を用いることができる。例えば樹立細胞株として、T細胞株であるCCRF-CEM(ATCC CCL-119),HPB-MLT (FCCH1019),MOLT-4(ATCC CRL-1582 ),CCRF-HSB-2(ATCC CCL-120.1)などを、また、B細胞株としてCESS(ATCC TIB-190),SKW 6.4 (ATCC TIB-215),CCRF-SB (ATCC CCL-120),RPMI 6410 (FCCH6047),EB-3(ATCC CCL-85 )などを用いることができる。
【0057】
また、移植される動物としては、免疫機能が低下または欠失した動物が好ましく、例えば、ヌードマウス、SCIDマウス、ベージュマウス、ヌードラットなどを用いることができる。評価する抗腫瘍効果の確認は、腫瘍体積・重量の測定や動物の生存期間などにより行うことができる。
後述の実施例に示されるように、抗HM1.24抗体の投与によりヒトリンパ球系腫瘍移植マウスにおいて、腫瘍体積の増加が抑制され、さらに腫瘍移植マウスの生存期間の延長が認められた。これらのことから、抗HM1.24抗体はリンパ球系腫瘍に対し抗腫瘍効果を有することが示された。
【0058】
6. 投与経路および製剤
本発明のリンパ球系腫瘍治療剤は、非経口的に全身あるいは局所的に投与することができる。例えば、点滴などの静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射を選択することができ、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。有効投与量は、一回につき体重1 Kgあたり0.01 mg から100 mgの範囲で選ばれる。あるいは、患者あたり1-1000 mg 、好ましくは5-50 mg の投与量を選ぶことができる。
【0059】
本発明のリンパ球系腫瘍治療剤は、投与経路次第で医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであってもよい。このような担体および添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA )、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤などが挙げられる。使用される添加物は、剤型に応じて上記の中から適宜あるいは組合せて選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
本発明の治療対象疾患としては、標的とする腫瘍細胞上に本発明で使用される抗体が結合する抗原が存在する、骨髄腫を除くリンパ球系腫瘍である。具体的には、急性Bリンパ性白血病(B-ALL )、慢性Bリンパ性白血病(B-CLL )、pre-B リンパ腫、Burkitt リンパ腫、濾胞性リンパ腫、濾胞外套リンパ腫、びまん性リンパ腫、急性Tリンパ性白血病(T-ALL )、慢性Tリンパ性白血病(T-CLL )、成人T細胞白血病(ATL )、非ATL 末梢性Tリンパ腫(PNTL)等が挙げられる。本発明の治療剤は、これらリンパ球系腫瘍の治療剤として有用である。
【0061】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例 1. 抗 HM1.24 抗体の作製
1. 抗HM1.24抗体を含むマウス腹水の調製
抗HM1.24抗体産生ハイブリドーマをGoto, T らの方法(Blood (1994) 84. 1922-1930)に従い得た。
【0062】
あらかじめ11,3 日前に2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン(和光純薬工業製)をそれぞれ500 μl ずつ腹腔内に投与したBALB/cマウス(日本クレア製)に、本ハイブリドーマ5 x 106 個を腹腔内に注入した。ハイブリドーマ注入後10日目より、マウスの腹腔内に溜った腹水を19ゲージの留置針ハッピーキャス(メディキット製)で採取した。採取した腹水は、低速遠心機RLX-131 (トミー精工製)を用いて回転数1000,3000 rpmで2 回遠心し、ハイブリドーマ、血球等の雑排物を除去した。
【0063】
2. マウス腹水からの抗HM1.24抗体の精製
上記マウス腹水からの抗HM1.24抗体の精製は以下の方法で行った。マウス腹水に等量のPBS(-)を加えた後、中空糸フィルターメディアプレップ(MILLIPORE 製)を用いてろ過した後、高速抗体精製装置ConSep LC100(MILLIPORE 製)およびHyper D Protein A カラム(カラム体積 20 ml、日本ガイシ製)を用い、付属の説明書に基づき吸着緩衝液としてPBS(-)、溶出緩衝液として0.1 M クエン酸ナトリウム緩衝液(pH 4)を用いてアフィニティー精製した。溶出画分は直ちに1 M Tris-HCl (pH 8.0) を添加してpH7.4 付近に調整した後、遠心限外濃縮器Centriprep 10 を用いて濃縮およびPBS(-)への緩衝液置換を行い、孔径0.22μm のメンブランフィルターMILLEX-GV (MILLIPORE 製)でろ過滅菌し、精製抗HM1.24抗体を得た。
【0064】
3. 抗体濃度の測定
精製抗体の濃度測定は吸光度の測定により行った。すなわち、精製抗体をPBS(-)で希釈した後、280 nmの吸光度を測定し、1 mg/ml を1.35 OD として算出した。
【0065】
実施例 2. 抗 HM1.24 抗体のリンパ球系腫瘍細胞に対する反応性の検討
1. コントロールマウスIgG2a の精製
コントロールマウスIgG2a の精製は以下の方法で行った。市販のmouse IgG2a(KAPPA)(UPC 10) ascites(CAPPEL製)を精製水およびPBS(-)で溶解した。これを孔径0.2 μm のメンブランフィルターAcrodisc(Gelman Sciences 製)を用いてろ過した後、高速抗体精製装置ConSep LC100(MILLIPORE 製)およびHyper D Protein A カラム(カラム体積 20 ml、日本ガイシ製)を用い、付属の説明書に基づき吸着緩衝液としてPBS(-)、溶出緩衝液として0.1 M クエン酸ナトリウム緩衝液(pH 4)を用いてアフィニティー精製した。
【0066】
溶出画分は直ちに1 M Tris-HCl (pH 8.0) を添加してpH7.4 付近に調整した後、遠心限外濃縮器Centriprep 10 を用いて濃縮およびPBS(-)への緩衝液置換を行い、孔径0.22μm のメンブランフィルターMILLEX-GV (MILLIPORE 製)でろ過滅菌し精製コントロールマウスIgG2a を得た。
精製コントロールマウスIgG2a の濃度測定は、上記3 の抗体濃度の測定に従った。
【0067】
2. FCM 解析
抗HM1.24抗体のリンパ球系腫瘍細胞に対する反応性の検討は、FCM (フローサイトメトリー)解析で行った。T細胞株であるRPMI 8402 (ATCC CRL-1995 )、急性リンパ芽球性白血病由来CCRF-CEM(ATCC CCL-119)、急性リンパ性白血病由来HPB-ALL (FCCH1018)、T リンパ腫由来HPB-MLT (FCCH1019)、急性リンパ性白血病由来JM(FCCH1023)、急性リンパ芽球性白血病由来MOLT-4(ATCC CRL-1582 )、急性リンパ性白血病由来Jurkat(FCCH1024)、急性リンパ芽球性白血病由来CCRF-HSB-2(ATCC CCL-120.1)、成人T 細胞白血病由来MT-1(FCCH1043)、レンネルトリンパ腫由来KT-3(Shimizu, S.et al., Blood(1988)71,196-203)を、
【0068】
また、B細胞株としてEBウィルス形質転換細胞CESS(ATCC TIB-190)、EBウィルス陽性B 細胞SKW 6.4 (ATCC TIB-215)、B リンパ腫由来MC116 (ATCC CRL-1649 )、急性リンパ芽球性白血病由来CCRF-SB (ATCC CCL-120)、急性骨髄性白血病患者由来B 細胞RPMI 6410 (FCCH6047)、Burkitt リンパ腫由来Daudi (ATCC CCL-213)、Burkitt リンパ腫由来EB-3(ATCC CCL-85 )、Burkitt リンパ腫由来Jijoye(ATCC CCL-87 )、Burkitt リンパ腫由来Raji(ATCC CCL-86 )を、さらに非T非B細胞株として急性骨髄性白血病由来HL-60 (ATCC CCL-240)、急性単球性白血病由来THP-1 (ATCC TIB-202)、組織球性リンパ腫由来U-937 (ATCC CRL-1593 )、慢性骨髄性白血病由来K-562 (ATCC CCL-243)をPBS(-)で洗浄した後、 FACS 緩衝液(2 %ウシ胎児血清、0.1 %アジ化ナトリウム含有 PBS(-) )で25μg/mlに希釈した抗HM1.24抗体あるいは精製コントロールマウスIgG2a 100 μl を加え、氷温化30分インキュベートした。
【0069】
FACS緩衝液で清浄した後、25μg/ml のFITC標識ヤギ抗マウス抗体(GAM)100 μl を加え、氷温化30分間インキュベートした。FACS緩衝液で洗浄した後、600 μl あるいは1 mlのFACS緩衝液に懸濁し、FACScan (Becton Deckinson社製)で各細胞の蛍光強度を測定した。その結果、図1 〜23に示すように、T 細胞株では全例で、またB 細胞株でDaudi, Raji の2 種類で反応しないもののその他全てで抗HM1.24抗体と反応し、HM1.24抗原を高発現していることが確認された。一方、非T 非B 細胞株では全例で抗HM1.24抗体と反応せず、抗原の発現を検出できなかった。
【0070】
また、図1〜23の各細胞のヒストグラムにおいて、コントロールマウスIgG2a を用いた染色で陰性細胞が98%、陽性細胞が2%となるようにヒストグラムマーカーを設定し、そのヒストグラムマーカーに従って抗HM1.24抗体を用いたときのHM1.24抗原陽性の細胞のパーセンテージを算出したものが表1である。HM1.24抗原陽性細胞のパーセンテージによりHM1.24抗原発現率を−、+/−、+、++、+++の5段階に区別した結果、図1〜23と同様T細胞株では全例で、またB細胞株でもDaudi 、Rajiを除く全てで++あるいは+++と非常にHM1.24抗原を高発現していることが確認された。また、非T非B細胞株では全例でHM1.24抗原陽性細胞が5%未満の−であり、抗原の発現が無いか、あるいは非常に少ないことが示された。
【0071】
【表1】
【0072】
実施例 3. CDC 活性の測定
抗HM1.24抗体の、リンパ球系腫瘍細胞に対するCDC 活性は、以下のようにして測定した。
1. 標的細胞の調製
標的細胞として急性リンパ性白血病由来CCRF-CEM(ATCC CCL-119)、急性リンパ芽球性白血病由来CCRF-HSB-2(ATCC CCL-120.1)、T リンパ腫由来HPB-MLT (FCCH1019)、Burkitt リンパ腫由来EB-3(ATCC CCL-85 )、B リンパ腫由来116 (ATCC CRL-1649 )、急性リンパ性白血病由来CCRF-SB (ATCC CCL-120)、慢性骨髄性白血病由来K562(ATCC CCL-243)を、10% ウシ胎児血清(GIBCO-BRL 製)含有RPMI 1640 培地(GIBCO-BRL 製)で4 x 105 個/ml になるように調製した。これら細胞懸濁液を96穴平底プレート(FALCON製)に50μl 加え、37℃、5 %CO2 高湿インキュベーター(TABAI 製)中で一晩培養した。
【0073】
2. 抗HM1.24抗体の調製
前記実施例1 で得られた精製抗HM1.24抗体を、10% ウシ胎児血清(GIBCO-BRL 製)含有RPMI 1640 培地(GIBCO-BRL 製)で0, 0.2, 2, 20 μg/mlに調製し、上記1 で作製した96穴平底プレートの各穴に50μl ずつ加えた。37℃、5 %CO2 高湿インキュベーター(TABAI 製)中で60分間インキュベートした後、低速遠心機05PR-22 (日立製)を用いて、1000 rpm、5 分間遠心し、上清50μl を除去した。
【0074】
3. 補体の調製
Baby Rabbit Complement(CEDARLANE 製)を1 バイアルあたり1 mlの精製水で溶解し、さらにFCS 不含RPMI 1640 培地(GIBCO-BRL 製)5 mlで希釈した。これを上記2 の96穴平底プレートの各穴に50μl 添加し、37℃、5 %CO2 高湿インキュベーター(TABAI 製)中で2 時間インキュベートした。
【0075】
4. CDC 活性の測定
インキュベート後、上記3 の96穴平底プレートの各穴にAlamar Bule (BIO SOURCE製)を10μl ずつ加え、37℃、5 %CO2 高湿インキュベーター(TABAI 製)中で4 時間インキュベートした後、各穴の蛍光強度(励起波長530 nm、検出波長590 nm)を蛍光測定システムCytoFluor 2350(MILLIPORE 製)で測定した。細胞障害活性(%)は、(A-C )/ (B-C )x 100 で計算した。なお、A は抗体存在下でインキュベートしたときの蛍光強度、B は抗体を含まず培養液のみでインキュベートしたときの蛍光強度、C は細胞を含まない穴の蛍光強度である。
【0076】
その結果、図24および25に示すように、FCM 解析で抗HM1.24抗体と反応しなかったK562は、抗HM1.24抗体を添加しても細胞障害が起きなかったのに対し、抗HM1.24抗体と反応するCCRF-CEM,CCRF-HSB-2,HPB-MLT, EB-3, MC116およびCCRF-SB では、添加した抗HM1.24抗体の濃度依存的に細胞障害が見られた。このことから、抗HM1.24抗体は、細胞表面に抗HM1.24抗体が特異的に結合する抗原蛋白質を有するリンパ球系腫瘍に対して、CDC 活性を示すことが明らかとなった。
【0077】
実施例 4. 抗 HM1.24 抗体のヒトリンパ球系腫瘍移植マウスに対する抗腫瘍効果
1. 投与抗体の調製
1-1. 抗HM1.24抗体の調製
前記実施例1 で得られた精製抗HM1.24抗体を、ろ過滅菌したPBS(-)を用いて1 mg/ml, 200μg/mlに調製し、以下の実験に用いた。
1-2. コントロールマウスIgG2a の調製
前記実施例2 で得られた精製を、ろ過滅菌したPBS(-)を用いて1 mg/ml に調製し、以下の実験に用いた。
【0078】
2. 抗HM1.24抗体のヒトリンパ球系腫瘍移植マウスに対する抗腫瘍効果
2-1. ヒトリンパ球系腫瘍移植マウスの作製
ヒトリンパ球系腫瘍移植マウスは以下のように作製した。SCIDマウス(日本クレア)を用いてin vivo 継代した急性リンパ芽球性白血病由来CCRF-HSB-2細胞(ATCC CCL 120.1)を、10% ウシ胎児血清(GIBCO-BRL 製)を含むRPMI 1640 培地で1 x 108 個/ml になるように調製した。あらかじめ前日抗アシアロGM1 (和光純薬工業製)100 μl を腹腔内投与したSCIDマウス(オス、6 週令)(日本クレア)の腹部皮下に、上記で調製した細胞懸濁液を注入した。
【0079】
2-2. 抗体投与
腫瘍移植後7 日目に上記ヒトリンパ球系腫瘍移植マウスのCCRF-HSB-2移植部位の腫瘍径をノギスを用いて測定し、腫瘍体積を算出した後、各群の腫瘍体積の平均がほぼ等しくなるように群分けを行った(各群8 匹、3 群)。同日より上記1で調製した1 mg/ml または200 μg/mlの抗HM1.24抗体、あるいは1 mg/ml のコントロールマウスIgG2a それぞれ100 μl を各群に腹腔内投与した。投与は週2 回、合計19回同様に行った。この間、週2 回ノギスを用いて腫瘍径を測定し腫瘍体積を算出した。
【0080】
2-3. 抗HM1.24抗体のヒトリンパ球系腫瘍移植マウスに対する抗腫瘍効果の評価
抗HM1.24抗体の抗腫瘍効果については、腫瘍体積の変化およびマウスの生存期間で評価した。その結果、図26に示すように抗HM1.24抗体投与群は、コントロールマウスIgG2a 抗体投与群に比べ腫瘍体積の増加が抑制された。また、図27に示すように、抗HM1.24抗体投与群は、コントロールマウスIgG2a 抗体投与群に比べマウスの生存期間の延長が見られた。これらのことから、抗HM1.24抗体はヒトリンパ球系腫瘍移植マウスに対して抗腫瘍効果を有することが示された。
【0081】
参考例 1. マウス抗 HM1.24 モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの調製
Goto, T. et al., Blood (1994) 84, 1992-1930 に記載の方法にて、マウス抗HM1.24モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製した。
ヒト多発性骨髄腫患者骨髄由来の形質細胞株KPC-32(1x107 個)(Goto, T. et al., Jpn. J. Clin. Hematol. (1991) 32, 1400 )をBALB/Cマウス(チャールスリバー製)の腹腔内に6 週間おきに2 回注射した。
このマウスを屠殺する3 日前にマウスの抗体産生価をさらに上昇させるために、1.5 x 106 個のKPC-32をマウスの脾臓内に注射した(Goto, T. et al., Tokushima J. Exp. Med. (1990) 37, 89 )。マウスを屠殺した後に脾臓を摘出し、Groth, de St. & Schreideggerの方法(Cancer Research (1981) 41, 3465 )に従い摘出した脾臓細胞とミエローマ細胞SP2/0 を細胞融合に付した。
【0082】
KPC-32を用いたCell ELISA(Posner, M. R. et al., J. Immunol. Methods (1982) 48, 23 )によりハイブリドーマ培養上清中の抗体のスクリーニングを行った。5 x 104 個のKPC-32を50 ml のPBS に懸濁し、96穴プレート(U 底型、Corning, Iwaki製)に分注し37℃で一晩風乾した。1%ウシ血清アルブミン(BSA )を含むPBS でブロックした後、ハイブリドーマ培養上清を加え4℃にて2 時間インキュベートした。次いで、4 ℃にて1 時間ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG ヤギ抗体(Zymed 製)を反応させ、洗浄後室温にて30分間o-フェニレンジアミン基質溶液(Sumitomo Bakelite 製)を反応させた。
【0083】
2N硫酸で反応を停止させ、ELISA reader(Bio-Rad 製)で492nm における吸光度を測定した。ヒト免疫グロブリンに対する抗体を産生するハイブリドーマを除去するために、陽性ハイブリドーマ培養上清をヒト血清にあらかじめ吸着させ、他の細胞株に対する反応性をELISA にてスクリーニングした。陽性のハイブリドーマを選択し、種々の細胞に対する反応性をフローサイトメトリーで調べた。最後に選択されたハイブリドーマクローンを二度クローン化し、これをプリスタン処理したBALB/Cマウスの腹腔に注射して、腹水を取得した。
【0084】
モノクローナル抗体は、硫酸アンモニウムによる沈澱とプロテインA アフィニティクロマトグラフィーキット(Ampure PA 、Amersham製)によりマウス腹水より精製した。精製抗体は、Quick Tag FITC結合キット(ベーリンガーマンハイム製)を使用することによりFITC標識した。
その結果、30のハイブリドーマクローンが産生するモノクローナル抗体がKPC-32およびRPMI 8226 と反応した。クローニングの後、これらのハイブリドーマの培養上清と他の細胞株あるいは末梢血単核球との反応性を調べた。
【0085】
このうち、3 つのクローンが形質細胞に特異的に反応するモノクローナル抗体であった。これらの3 つのクローンのうち、最もフローサイトメトリー分析に有用であり、かつRPMI 8226 に対するCDC 活性を有するハイブリドーマクローンを選択し、HM1.24と名付けた。このハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のサブクラスを、サブクラス特異的抗マウスウサギ抗体(Zymed 製)を用いたELISA にて決定した。抗HM1.24抗体は、IgG2a κのサブクラスを有していた。抗HM1.24抗体を産生するハイブリドーマHM1.24は、工業技術院生命工学工業研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成7 年9 月14日にFERM BP-5233としてブタペスト条約に基づき国際寄託された。
【0086】
参考例 2. ヒト型化抗 HM1.24 抗体の作製
ヒト型化抗HM1.24抗体を下記の方法により得た。
参考例1 で作製されたハイブリドーマHM1.24から、常法により全RNA を調製した。これよりマウス抗体V 領域をコードするcDNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR )法および5'-RACE 法により、合成、増幅した。マウスV 領域をコードする遺伝子を含むDNA 断片を得、これらのDNA 断片を各々プラスミドpUC 系クローニングベクターに連結し、大腸菌コンピテント細胞に導入して大腸菌形質転換体を得た。この形質転換体から上記プラスミドを得、プラスミド中のcDNAコード領域の塩基配列を常法に従い決定し、さらに各々のV 領域の相補性決定領域(CDR )を決定した。
【0087】
キメラ抗HM1.24抗体を発現するベクターを作製するため、それぞれマウス抗HM1.24抗体L 鎖およびH 鎖のV 領域をコードするcDNAをHEF ベクターに挿入した。また、ヒト型化抗HM1.24抗体を作製するために、CDR 移植法によりマウス抗HM1.24抗体のV 領域CDR をヒト抗体へ移植した。ヒト抗体のL 鎖としてヒト抗体REI のL 鎖を用い、ヒト抗体H 鎖としてフレームワーク領域(FR)1-3 についてはヒト抗体HG3 のFR1-3 を用いFR4 についてはヒト抗体JH6 のFR4 を用いた。CDR を移植した抗体が適切な抗原結合部位を形成するようにH 鎖V 領域のFRのアミノ酸を置換した。
【0088】
このようにして作製したヒト型化抗HM1.24抗体のL 鎖およびH 鎖の遺伝子を哺乳類細胞で発現させるために、HEF ベクターに、各々の遺伝子を別々に導入し、ヒト型化抗HM1.24抗体のL 鎖またはH 鎖を発現するベクターを作製した。
これら二つの発現ベクターをCHO 細胞に同時に導入することにより、ヒト型化抗HM1.24抗体を産生する細胞株を樹立した。この細胞株を培養して得られたヒト型化抗HM1.24抗体のヒト羊膜由来細胞株WISHへの抗原結合活性および結合阻害活性を、Cell ELISAにて調べた。その結果、ヒト型化抗HM1.24抗体は、キメラ抗体と同等の抗原結合活性を有し、さらにビオチン化マウス抗HM1.24抗体を用いた結合阻害活性についても、キメラ抗体あるいはマウス抗体と同等の活性を有した。
【0089】
なお、キメラ抗HM1.24抗体のL 鎖V 領域およびH 鎖V 領域をコードするDNA を含むプラスミドを有する大腸菌は、各々Escherichia coli DH5α(pUC19-1.24L-gκ) およびEscherichia coli DH5α(pUC19-1.24H-gγ1)として、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成8 年8 月29日に、各々FERM BP-5646およびFERM BP-5644としてブダペスト条約に基づき国際寄託された。また、ヒト型化抗HM1.24抗体のL 鎖V 領域a バージョン(配列番号:2)およびH 鎖V 領域r バージョン(配列番号:3)をコードするDNA を含むプラスミドを有する大腸菌は、各々Escherichia coli DH5α(pUC19-RVLa-AHM-gk )およびEscherichia coli DH5α(pUC19-RVHr-AHM- gγ1)として、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成8 年8 月29日に、各々FERM BP-5645およびFERM BP-5643としてブダペスト条約に基づき国際寄託された。また、ヒト型化抗HM1.24抗体のH 鎖V 領域s バージョン(配列番号:4)をコードするDNA を含むプラスミドを有する大腸菌は、Escherichis coli DH5α (pUC19-RVHs-AHM- gγ1)として、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成9 年 (1997年) 9 月29日にFERM BP-6127としてブダペスト条約に基づき国際寄託された。
【0090】
参考例 3. HM1.24 抗原蛋白質 cDNA のクローニング
抗HM1.24抗体が特異的に認識するHM1.24抗原蛋白質をコードするcDNAをクローニングした。
1. cDNA ライブラリーの作製
1 )全RNA の調製
ヒ卜多発性骨髄腫細胞株KPMM2 から、全RNA をChirgwinら(Biochemistry, 18, 5294(1979))の方法に従って調製した。すなわち、2.2 x 108 個のKPMM2 を20 ml の4 M グアニジンチオシアネー卜(ナカライテスク製)中で完全にホモジナイズさせた。
【0091】
ホモジネー卜を遠心管中の5.3 M 塩化セシウム溶液に重層し、次にこれをBeckman SW40ロー夕ー中で31,000rpm にて20℃で24時間遠心分離することによりRNA を沈殿させた。RNA 沈殿物を70 %エタノールにより洗浄し、そして1 mM EDTA 及び0.5 % SDS を含有する10 mM Tris-HCl(pH7.4 )300 μl 中に溶解し、それにPronase (Boehringer製)を0.5 mg/ml となるように添加した後、37℃にて30分間インキュべー卜した。混合物をフェノール及びクロロホルムで抽出し、RNA をエタノールで沈殿させた。次に、RNA 沈殿物を1mM EDTAを含有する10 mM Tris-HCl(pH7.4 )200 μl に溶解した。
【0092】
2 )poly(A) +RNA の調製
前記のようにして調製した全RNA の約500 μg を材料としてFast Track 2.0 mRNA Isolation Kit (Invitrogen製)を用いてキッ卜添付の処方に従って poly(A)+RNA を精製した。
【0093】
3 )cDNAライブラリーの構築
上記 poly(A)+RNA 10μg を材料としてcDNA合成キッ卜TimeSaver cDNA Synthesis Kit(Pharmacia 製)を用いてキッ卜添付の処方に従って二本鎖 cDNA を合成し、更にDirectional Cloning Toolbox (Pharmacia 製)を用いてキッ卜付属の EcoRIアダプターをキッ卜添付の処方に従って連結した。EcoRI アダプターのカイネーション及び制限酵素 NotI 処理はキッ卜添付の処方に従って行った。更に、約 500 bp 以上の大きさのアダプター付加二本鎖 cDNA を1.5 % 低融点アガロースゲル(Sigma 製)を用いて分離、精製し、アダプター付加二本鎖 cDNA 約 40 μl を得た。
【0094】
このようにして作製したアダプター付加二本鎖 cDNA を、あらかじめ制限酵素 EcoRI、NotI及びアルカリフォスファターゼ(宝酒造製)処理した pCOS1ベクター(特願平8-255196)と T4 DNA リガーゼ(GIBCO-BRL 製)を用いて連結し、cDNAライブラリーを構築した。構築した cDNA ライブラリーは、大腸菌細胞株 DH5α(GIBCO-BRL 製)に形質導入され、全体のサイズは約 2.5 x 106個の独立したクローンであると推定された。
【0095】
2. 直接発現法によるクローニング
1 )COS-7 細胞へのトランスフェクション
上記の形質導入した大腸菌約 5 x 105クローンを 50 μg/mlのアンピシリンを含む 2-YT 培地(Molecular Cloning: A Laboratory Mannua1. Sambrook ら、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))にて培養することにより cDNA の増幅を行い、アルカリ法(Molecular Cloning: A Laboratory Mannual. Sambrook ら、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))により大腸菌からプラスミド DNAを回収した。得られたプラスミド DNAはGene Pulser 装置(Bio-Rad 製)を用いてエレクトロポレーション法により COS-7細胞にトランスフェクションした。
【0096】
すなわち、精製したプラスミド DNA 10 μg を 1 x 107細胞/mlで PBS中に懸濁した COS-7細胞液 0.8 ml に加え、1500 V,25μFDの容量にてパルスを与えた。室温にて10分問の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞は、10 %牛胎児血清(GIBCO-BRL 製)を含むDMEM培養液(GIBCO-BRL 製)にて、37℃、5 %CO2の条件下で3日間培養した。
【0097】
2 )パンニングデイッシュの調製
マウス抗HM1.24抗体をコーティングしたパンニングデイッシュを、B. Seed ら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 3365-3369 (1987))の方法に従って調製した。すなわち、マウス抗HM1.24抗体を10μg/mlになるように 50 mM Tris-HCl (pH9.5 )に加えた。このようにして調製した抗体溶液3 mlを直径60 mm の細胞培養皿に加え、室温にて2 時間インキユべー卜した。0.15 M NaCl 溶液にて3 回洗浄した後、5%牛胎児血清、1 mM EDTA 、0.02 %NaN3を含むPBS を加え、ブロッキングした後、下記クローニングに用いた。
【0098】
3 )cDNAライブラリーのクローニング
前述のようにトランスフェク卜した COS-7細胞は、5 mM EDTA を含むPBS にて剥がし、5%牛胎児血清を含むPBS で一回洗浄した後、約 1 x 106細胞/mlとなるように5%牛胎児血清及び0.02% NaN3を含むPBS に懸濁し、上記のように調製したパンニングデイシユに加え、室温にて約 2時間インキュべー卜した。5 % 牛胎児血清及び0.02 %NaN3を含むPBS で3度緩やかに洗浄した後、0.6%SDS 及び10 mM EDTAを含む溶液を用いてパンニングディシュに結合した細胞からプラスミド DNAの回収を行った。
【0099】
回収したプラスミド DNAを再び大腸菌DH5αに形質導入し、前述のようにプラスミドDNA を増幅後、アルカリ法にて回収した。回収したプラスミド DNAを COS-7細胞にエレクトロポレーション法によりトランスフェク卜して前述と同様に結合した細胞よりプラスミドDNA の回収を行った。同様の操作を更に1回繰り返し、回収したプラスミドDNA を制限酵素EcoRI およびNotIで消化した結果、約 0.9 kbpのサイズのインサー卜の濃縮が確認された。さらに、回収したプラスミドDNA の一部を形質導入した大腸菌を50μg/mlのアンピシリンを含む2-YTアガープレー卜に接種し、一晩培養後、単一のコロニーよりプラスミドDNA を回収した。制限酵素EcoRI およびNotIにて消化し、インサー卜のサイズが約 0.9 kbpを示すクローンp3.19 を得た。
【0100】
本クローンについては、PRISM, Dye Terminater Cycle Sequencingキッ卜(PerkinElmer 製)を用いて、キッ卜添付の処方に従い反応を行い、ABI 373A DNA Sequencer(Perkin Elmer製)にて塩基配列の決定を行った。この塩基配列および対応するアミノ酸配列を配列番号1 に示す。
【0101】
【発明の効果】
FCM 解析の結果、抗HM1.24抗体はほとんどのヒトリンパ球系腫瘍由来の細胞と強く反応した。このことは、リンパ球系腫瘍の多くで、抗HM1.24抗体が認識するエピトープを有するポリペプチドが強く発現していることを示す。また、抗HM1.24抗体と反応するヒトリンパ球系腫瘍移植マウスにおいて、抗HM1.24抗体の投与により腫瘍体積の増加が抑制され、さらに生存期間の延長が認められた。これらのことから、抗H1.24 抗体あるいは抗HM1.24抗体が認識するエピトープを有するポリペプチドを認識する抗体は多くのリンパ球系腫瘍に対し細胞障害活性を示し、その結果リンパ球系腫瘍患者の治療に対し非常に有用であることが示唆される。
【0102】
【配列表】
【0103】
【0104】
【0105】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すB細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図2】図2は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すB細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図3】図3は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すB細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図4】図4は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すB細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図5】図5は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すB細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図6】図6は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すB細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図7】図7は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すB細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図8】図8は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すB細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図9】図9は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すB細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図10】図10は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すT細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図11】図11は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すT細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図12】図12は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すT細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図13】図13は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すT細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図14】図14は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すT細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図15】図15は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すT細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図16】図16は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すT細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図17】図17は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すT細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図18】図18は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すT細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図19】図19は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示すT細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図20】図20は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示す非T非B細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図21】図21は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示す非T非B細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図22】図22は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示す非T非B細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図23】図23は、抗HM1.24抗体およびコントロールマウスIgG2a で、間接法により図に示す非T非B細胞株をFCM 解析したときのヒストグラムを示す。
【図24】図24は、抗HM1.24抗体がT細胞腫瘍株であるCCRF-CEM,CCRF-HSB-2およびHPB-MLT に対して、濃度依存的に細胞障害を引き起こしていることを示すグラフである。
【図25】図25は、抗HM1.24抗体がB細胞腫瘍株であるEB-3,MC116 および CCRF-SBに対して、濃度依存的に細胞障害を引き起こしていることを示すグラフである。
【図26】図26は、ヒトリンパ球系腫瘍移植マウスにおいて、抗HM1.24抗体投与群は、コントロールマウスIgG2a 投与群に比べ、腫瘍体積の増加が抑制されていることを示すグラフである。
【図27】図27は、ヒトリンパ球系腫瘍移植マウスにおいて、抗HM1.24抗体投与群は、コントロールマウスIgG2a 投与群に比べ、生存期間が延長していることを示すグラフである。
Claims (13)
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的に結合し、かつ細胞障害活性を有する抗体を有効成分として含有する、リンパ球系腫瘍(骨髄腫を除く)治療剤。
- リンパ球系腫瘍がT細胞腫瘍である、請求項1に記載の治療剤。
- リンパ球系腫瘍がB細胞腫瘍(骨髄腫を除く)である、請求項1に記載の治療剤。
- 抗体がモノクローナル抗体である、請求項1に記載の治療剤。
- 細胞障害活性がADCC活性である、請求項1に記載の治療剤。
- 細胞障害活性がCDC活性である、請求項1に記載の治療剤。
- 抗体がヒト抗体定常領域Cγを有する、請求項4に記載の治療剤。
- ヒト抗体定常領域CγがCγ1またはCγ3である、請求項7に記載の治療剤。
- 抗体が抗HM1.24抗体である、請求項4に記載の治療剤。
- 抗体がキメラ抗体またはヒト型化抗体である、請求項4に記載の治療剤。
- 抗体がキメラ抗HM1.24抗体である、請求項9に記載の治療剤。
- 抗体がヒト型化抗HM1.24抗体である、請求項9に記載の治療剤。
- 抗体が抗HM1.24抗体が認識するエピトープと特異的に結合する、請求項1に記載の治療剤。
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