JP3886071B2 - 油圧緩衝器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ピストン部およびベース部にチェックバルブを有する油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な油圧緩衝器として、例えば図12に示すようなものがある。この油圧緩衝器は、シリンダ1内にピストン部2およびベース部3を有し、これらには、それぞれ3つの油圧要素が組み込まれている。
【0003】
これらの油圧要素のうち、1つ目の油圧要素としての固定オリフイス4,5は低速域の減衰力を設定し、2つ目の油圧要素としてのメインバルブ6,7は、中速域以上の減衰力を設定する。また、3つ目の油圧要素としてのチェックバルブ8,9は、一方向のみへの作動油の流れを許容し、ピストン部2では圧行程における流れを、ベース部3では伸行程における流れをそれぞれ許容している。
【0004】
なお、シリンダ1の外周側にはリザーバ10を形成するアウターシェル11が設けられ、これが下方でシリンダ1に形成された通孔12を介してベース下室13に連通している。リザーバ10の上部にはガスが充填されている。
【0005】
また、シリンダ1内には、ピストン部2によってピストン上室14およびピストン下室15に隔成されており、シリンダ1の上端開口は、アウターシェル11に装着されたベアリング16を介してシール材17およびシールケース18によって油密的に封止されている。
【0006】
なお、シール材17は、ピストン部2を下端に有するピストンロッド19を油密的にかつ摺動自在に支持している。
【0007】
また、油圧緩衝器を作動させると、上記各油圧要素を作動油が流れ、それぞれの特性に応じた圧力降下が発生する。そして、このとき発生する減衰力Fは、
F=(A1×ΔP1)+(A2×ΔP2)
となる。
【0008】
ここで、A1は、シリンダ1およびピストンロッド19間の断面積、A2は、ピストンロッド19の断面積、ΔP1は、ピストン部2の圧力降下、ΔP2は、ベース部3の圧力降下である。上記式に見るように、減衰力Fはピストン部2とベース部3で発生する圧力損失によって決まることになる。
【0009】
ところで、上記した減衰力は、伸側と圧側とで異なる。まず、伸側の減衰力Fは、上記式の第1項により決まる。その理由は、断面積がA1>A2であり、また、圧力降下がΔP1>ΔP2であることによる。
【0010】
ここで、圧力降下ΔP1はピストン部2のメインバルブ6及び固定オリフィス4で発生し、任意の値を設定でき、圧力降下ΔP2はベース部3のチェックバルブ9で発生するが、ピストン下室15への吸い込み不足を防止するため、最大でもリザーバ室10の圧力以上には設定できない。
【0011】
一方、圧側の減衰力Fは、上記式の第1項および第2項とも同程度の大きさにできる。これは断面積A1>A2であっても、圧力降下がΔP1<ΔP2となることによる。
【0012】
ここで、圧力降下ΔP1はピストン部2のチェックバルブ8で発生し、圧力降下ΔP2はベース部3のメインバルブ7及び固定オリフィス5で発生し、共に任意の値を設定することができる。
【0013】
従来は、ピストン部2の圧力降下ΔP1を略ゼロに設定することが多かったがこうすると、減衰力は上記式の第2項でしか発生させることができず、より大きな減衰力を得たり、減衰力の微調整を行うことができなかった。
【0014】
上記圧力降下ΔP2をゼロ以上の適切な値に設定すれば、減衰力の設定自由度が大幅に向上するため、これまでは広くこの方法が採用されている。但し、圧力降下をΔP1<ΔP2の条件を満足しなければ、ピストン上室14の圧力が負圧になるので、どのような条件下でもこれを守るようにする。
【0015】
図13は、ピストン部2のメインバルブ6およびチェックバルブ8付近を詳細に示す断面図である。これによれば、ピストン部2がピストンロッド19端に挿入されて、これにねじ込まれたピストンナット21により結合されている。
【0016】
ピストン部2の上面にはチェックバルブ8を構成するリーフバルブとしてのノンリタンバルブ22および切欠きリーフバルブ23が取り付けられ、下面にはメインバルブ6を構成するメインバルブ部材24およびサブリーフバルブ25が取り付けられている。
【0017】
すなわち、ノンリタンバルブ22とピストン2との間には、切欠きリーフバルブ23が挟み込まれており、これに切欠き26が設けられて、オリフィス機能を発揮して、低速域の減衰力を発生可能としている。
【0018】
さらに、ノンリタンバルブ22の上面には、圧側の減衰力を調整するカンザ27を介して、圧側の減衰力を設定するノンリタンスプリング28が組み込まれている。また、このノンリタンスプリング28は、ピストンロッド19端にリバウンドクッション29を介して取り付けられたリバウンドストッパ30とカンザ27との間に挟み込まれている。
【0019】
また、サブリーフバルブ25とピストンナット21の鍔部との間には、伸側の中速域の減衰力を設定するためのメインバルブスプリング31がメインバルブ部材24を介して装着されている。
【0020】
なお、上記の切欠き26は、図12に示す固定オリフィス4に相当し、サブリーフバルブ25,スペシャルワッシャ32,メインバルブ部材24およびメインバルブスプリング31はセットで図12に示すメインバルブ6に相当し、ノンリタンバルブ22,カンザ27およびノンリタンスプリング28はセットで図12に示すチェックバルブ8に相当する。
【0021】
上記のリバウンドストッパ30は、ピストンロッド19の肩部に組み付けられて、リバウンド荷重を受けるように機能する。ピストン部2の外周にはピストンリング33が取り付けられており、これがシリンダ1の内周に摺接して内部の作動油の洩れを防止している。
【0022】
ところで、ピストン部2の上部に設けられたノンリタンバルブ22は、基本的に圧行程で開となり、伸行程では閉となるチェックバルブ8を構成する。但し、このノンリタンバルブ22は、圧行程で単に開となれば良いという訳ではなく、バルブの開口量をコントロールして、その際に発生する圧力降下で、圧側の減衰力を積極的に発生させている。すなわち、ピストン部2側でも圧側減衰力を発生させている。
【0023】
その理由は、圧側減衰力をベース部3のみで発生させる場合には、その受圧面積は、ピストンロッド19の断面積分しかなく、伸側の受圧面積(シリンダ1およびピストンロッド19間の面積)に比べて、一般に小さい値となり、このため圧側減衰力の設定自由度が小さく、任意の減衰力を簡単に実現することが難しいことによる。
【0024】
一方、圧行程時にピストン部2で発生する圧力降下を利用すれば、伸側と同じ受圧面積を利用することができるので、減衰力の設定自由度が上がる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の油圧緩衝器にあっては、圧側の速度が高くなった場合や、温度が低下することによって作動油の粘度が高くなった場合に、ノンリタンバルブ22で発生する圧力降下が大きくなり、ピストン上室14に十分に作動油を供給されなくなる現象、すなわち、吸い込み不足が発生するという現象が発生し、この結果、ピストン上室14内の圧力が不安定となり、その後の加振によって発生する減衰力も不安定になり、好ましくないという課題があった。
【0026】
この発明はこのような課題を解決するものであり、チェックバルブに、これを構成するノンリタンバルブの開きが大きくなるに従い、剛性が低下する非線形特性を持たせることで、高速域あるいは低温域での吸い込み不足を防止し、以って低速域から高速域および作動油の低温域から高温域まで安定した減衰力を発生させることができる油圧緩衝器を得ることを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、 ピストン部又はベースバルブ部にスプリングにより閉じ方向に附勢されて一方向のみへの作動油の流れを許容するノンリタンバルブを備えた油圧緩衝器において、上記スプリングは初期荷重が異なるように設定されている複数のノンリタンスプリングを直列に配置して構成され、ノンリタンバルブに作用する圧力に応じて初期荷重が小さいノンリタスプリングから初期荷重が大きいノンリタンスプリングに亘って順次変形させて、上記スプリングのばね剛性を初期荷重が小さいノンリタンスプリングのばね剛性に初期荷重の大きいノンリタンスプリングのばね剛性を順次合成することによって変化させることを特徴とするものである。
【0028】
この場合、各ノンリタンスプリングがリング板とリング板の周辺に傾斜して一体に設けた複数の弾性片とからなり、各弾性片を上下反対方向に向けながら各リング板を背中合わせにして重ね合わせているのが好ましい。
【0029】
同じく、ノンリタンスプリングが一枚のリング板の外周にそれぞれ斜め下方に突設した第1の弾性片と、斜め上方に向けて突設した第2の弾性片と、で構成されているものであっても良い。
【0030】
同じく、ノンリタンバルブの基端側上面に段付きのカンザを設け、当該カンザの外周に挿入した二つのノンリタンスプリングの基端を上記カンザの段部に係止させているのが好ましい。
また、 二つ以上の複数のノンリタンスプリングがピストンロッドの軸方向に摺動自在に挿入した一つ又は複数のプロテクタを介して直列配置されている物であっても良い。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
本発明の油圧緩衝器は、ピストン部又はベースバルブ部にスプリングにより閉じ方向に附勢されて一方向のみへの作動油の流れを許容するノンリタンバルブを備えたものである。
そして、本発明の特徴は、上記スプリングは初期荷重が異なるように設定されている複数のノンリタンスプリングを直列に配置して構成され、ノンリタンバルブに作用する圧力に応じて初期荷重が小さいノンリタスプリングから初期荷重が大きいノンリタンスプリングに亘って順次変形させて、上記スプリングのばね剛性を初期荷重が小さいノンリタンスプリングのばね剛性に初期荷重の大きいノンリタンスプリングのばね剛性を順次合成することによって変化させるものである。
即ち、例えば、図1に示すように、スプリングを初期荷重が異なるように設定されている二つのノンリタンスプリング28A,28Bを直列に配置して構成させ、ノンリタンバルブ22に圧力が作用した時その圧力に応じて初期荷重が小さい第1のノンリタンスプリング28Aから変形させると共に当該第 1 のノンリタンスプリング28Aの変形を継続させながら更に初期荷重が大きい第2のノンリタンスプリング28Bに亘って順次変形させ、上記スプリングのばね剛性を第1のノンリタンスプリング28Aのばね剛性に第2のノンリタンスプリング28Bのばね剛性を順次合成することによって変化させるものである。
ノンリタンスプリングは二つ以上、例えば図8に示すように三つ有っても良い。
以下各実施の一例を図に基づいて説明する。
図1は、この発明の油圧緩衝器におけるピストン部付近を詳細に示す断面図であり、ピストン部2がピストンロッド19端に挿入されて、これにねじ込まれたピストンナット21により結合されている。
【0032】
ピストン部2の上面には、図12に示したチェックバルブ8を構成するリーフバルブとしてのノンリタンバルブ22および切欠きリーフバルブ23が取り付けられ、下面にはメインバルブ6を構成するメインバルブ部材24およびサブリーフバルブ25が取り付けられている。
【0033】
すなわち、ノンリタンバルブ22とピストン2との間には切欠きリーフバルブ23が挟み込まれており、これに切欠き26が設けられて、オリフィス機能を発揮して、低速域の減衰力を発生可能としている。
【0034】
さらに、ノンリタンバルブ22の上面には、カンザ27が設けられ、このカンザ27には小径部27aが形成されている。そして、この小径部27aには、図2に示すように、リング板28bの周辺に3本の弾性片28aを一体に有する2枚のスプリングとしてのノンリタンスプリング28A,28Bが、互いに背中合わせとなるように重ね合わされて、挿通されている。
【0035】
そして、下部のノンリタンスプリング28Aの図2に示すような弾性片28aは、ノンリタンバルブ22の上面に弾接しており、上部のノンリタンスプリング28Bの弾性片28aは、上記のピストンロッド19の小径基部に取り付けられたリバウンドストッパ30の下面に弾接している。
【0036】
なお、ここで各ノンリタンスプリング28A,28Bのうち、下部の第1のノンリタンスプリング28Aは、特定の荷重を受けるまでは単独で変形し、この特定の荷重を超えると、第1のノンリタンスプリング28Aのその変形を継続した状態において、上部の第2のノンリタンスプリング28Bが次第に変形していき、途中から剛性が変化するという非直線特性を有する。
【0037】
そして、これらの2つのノンリタンスプリング28A,28Bは、ピストンロッド19端にリバウンドクッション29を介して取り付けられたリバウンドストッパ30の下面を上限として、カンザ27の小径部27aに摺動自在に支持されている。
【0038】
また、サブリーフバルブ25とピストンナット21の鍔部との間には、伸側の中速域の減衰力を設定するためのメインバルブスプリング31がメインバルブ部材24を介して装着されている。
【0039】
上記のリバウンドストッパ30は、ピストンロッド19の肩部に組み付けられて、リバウンド荷重を受けるように機能する。ピストン部2の外周にはピストンリング33が取り付けられており、これがシリンダ1の内周に摺接して、内部の作動油の洩れを防止している。
【0040】
ところで、ピストン部2の上部に設けられたノンリタンバルブ22は、基本的に圧行程で開となり、伸行程では閉となるチェックバルブ8を構成する。但し、このノンリタンバルブ22は圧行程で単に開となれば良いという訳ではなく、バルブの開口量をコントロールして、その際に発生する圧力降下で、圧側の減衰力を積極的に発生させている。すなわち、ピストン部2側でも、圧側減衰力を発生させている。
【0041】
上記のように、各ノンリタンスプリング28A,28Bは、これらのばね定数K1,K2やセット寸法を任意に選定することで、これらが変形を始める初期の荷重WS1,WS2を、WS1<WS2となるように設定される。
【0042】
これは、カンザ27の段部Dに対して、第2のノンリタンスプリング28Bの基部により第1のノンリタンスプリング28Aの基部を押し当てて移動を拘束することにより容易に実現できる。
即ち、 ノンリタンバルブ22の基端側上面に段付きのカンザ27を設け、当該カンザ27の外周に挿入した第1 , 第2のノンリタンスプリング28A,28Bの基端を上記カンザ27の段部Dに係止させ、第2のノンリタンスプリング28Bが第1のノンリタンスプリング28A側に移動するのを阻止している。これにより、二つのノンリタンスプリングの初期荷重を別々に設定することが容易となる。
【0043】
かかる構成になる油圧緩衝器では、圧行程において、速度が高くなり、これに連れてノンリタンバルブ22に加わる圧力が大きくなると、図3に示すように、下部のノンリタンスプリング28Aが徐々に変形していき、その変形量がXSになると、すなわち、荷重Wが初期荷重WS2に変化すると、上部のノンリタンスプリング28Bの変形が開始され、上下部2つのノンリタンスプリング28A,28Bの変形が加わる非線形特性となる。
【0044】
なお、図3において、2つのノンリタンバルブスプリング28A,28Bの合成されたばね定数はKEとなり、このばね定数KEは、
KE=1/{(1/K1)+(1/K2)}
となる。
【0045】
また、図3において、それぞれ下部および上部の各ノンリタンスプリング28A,28B個々の荷重―変形量特性は、直線特性となっている。
【0046】
従って、ノンリタンバルブ22で発生する圧力降下も、従来のように1つのノンリタンスプリング28のみを用いた場合に比べて、相対的に低下する。この結果、より高い速度域あるいはより低い温度域まで安定した減衰力が得られる。
【0047】
図4は、従来の1個のノンリタンスプリング28を用いた油圧緩衝器の圧力降下―ピストン速度特性と、上記のように2個のノンリタンバルブ28A,28Bを用いた油圧緩衝器の圧力降下―ピストン速度特性を、低温時および常温時に分けて示したものである。
【0048】
ここで、ピストン部2のノンリタンバルブ22で発生する圧力降下は、作動油の吸い込み不良が発生しないようにするために、所定の圧力Pmax以下に設定する必要がある。この値はベース部3のメインバルブ7の仕様や封入ガス圧で決定される各油圧緩衝器固有の値となる。
【0049】
従来の油圧緩衝器では、圧力降下がPmax以下に制限されることから、ピストン速度は、曲線aのように、常温でV2,曲線bのように、低温でV1までしか使用できない。
【0050】
これに対して、この発明の油圧緩衝器のように、2つのノンリタンスプリング28A,28Bを使用した場合には、所定の初期荷重WS2を受けてノンリタンバルブ22で発生する圧力降下はPSとなり、この値を超えるピストン速度域では発生する圧力降下が、従来の場合より小さくなる。従って、より高い速度域まで、すなわち、曲線cに示すように、常温でV2’まで、曲線dに示すように低温でV1’まで使用可能となる。
【0051】
このように、2つのノンリタンスプリング28A,28Bを組み合わせて使用し、これらの初期荷重の一方を他方に対して高く設定することで、この高い方の初期荷重を受けるまでは、一方のノンリタンスプリング28Aを変形させ、その初期荷重を超えてからは、他方のノンリタンスプリング28Bを共に変形させることができ、その初期荷重を境にして、ばね定数を低下させることができる。
【0052】
この結果、ノンリタンバルブ22で発生する圧力降下を、片方のみを使う場合に比べて小さくすることができる。また、許容圧力降下は吸い込み不足を発生させないように、個々の油圧緩衝器ごとに決められる。従って、この発明の油圧緩衝器は高速域および低温域まで十分に使用可能となる。
【0053】
また、図1に示す油圧緩衝器では、ノンリタンスプリング28A,28Bとして、図2に示すように、リング板28bの周辺に下方に向けて3本の弾性片28aを有するものを、2枚互いに背中合わせにして用いた場合を示したが、図5に示すように、リング板28bの外周に、剛性の低い第1の弾性片28aを斜め下方へ向けて一体に突設するとともに、剛性の高い第2の弾性片28cを斜め上方へ向けて一体に突設した一枚のノンリタンスプリングを用いても、同様の作用,効果を簡単に得ることができる。
【0054】
この場合における各弾性片28a,28cの剛性は、これの厚み,長さ,幅あるいは材質などを選定することで、任意の大きさに設定できる。
【0055】
図6は、上部のスプリングであるノンリタンスプリングをコニカルスプリング28Cとし、これと下部のスプリングであるノンリタンスプリング28Aとの間に、ピストンロッド19に対し軸方向摺動自在に、剛性のプロテクタ41を介在したものである。
【0056】
また、図7は、上部のスプリングであるノンリタンスプリングをゴム状弾性体28Dとし、下部のスプリングであるノンリタンスプリングをコニカルスプリング28Eとして、これらの間にピストンロッド19に対し軸方向摺動自在に、上記同様のプロテクタ41を介在したものである。
【0057】
これらのコニカルスプリング28Eおよびゴム状弾性体28Dは、図1について説明した場合と同様に作動し、このとき、プロテクタ41は下部のノンリタンスプリング28Aやコニカルスプリング28Eと上部のコニカルスプリング28Cやゴム状弾性体28Dとの間で荷重の伝達を確実に行わせるとともに、各スプリングの過大な変形,変歪を防止するように機能する。
【0058】
図8は、この発明の実施の他の形態を示すが、これは、カンザ27に大小2段の小径部27b,27cを形成して、各小径部27b,27cに各一のプロテクタ42,43を軸方向摺動自在に嵌挿し、ノンリタンバルブ22およびプロテクタ42間、2つのプロテクタ42,43間、プロテクタ43およびリバウンドストッパ30間には、それぞればね定数がK1,K2,K3となるスプリングとしてのコニカルスプリング28F,28G,28Hを介装している。
【0059】
このような3個のコニカルスプリング28F,28G,28Hの組み合わせによって、これらのばね定数をK1,K2,K3とすると、これらが合成されたばね定数がKE2は、
KE2=1/{(1/K1)+(1/K2)=(1/K3)}
となり、変形量XS1,XS2にて荷重―変形量特性が、図9に示すように、3段に変化し、コニカルスプリングを2個使用する場合に比べて、さらに高速域および低温域まで使用可能となる。なお、コニカルスプリングを、さらに4個以上組み合わせて用いることも任意である。
【0060】
なお、図1では、ノンリタンバルブ22の内周部分をカンザ27およびピストン部2間に挟んで固定するものを示したが、図10に示すように、ノンリタンバルブ22の内周部分をフリーとし、外周部分をスプリングとしてのコニカルスプリング28Iおよびプロテクタ45間に挟んで保持するようにしてもよく、上記形態と同様の作用,効果を呈する。なお、そのプロテクタ45およびリバウンドストッパ30間に他のスプリングとしてのコニカルスプリング28Jが介装されている。
【0061】
図11は、この発明の実施の他の形態を示す。これはノンリタンスプリングをベース部3に設けたものである。作動油の吸い込み不足は、ベース部3でも発生する場合があり、これを防止するため、従来は、リザーバ10内にガスを封入している。
【0062】
しかし、この方法にあっては、簡便で広く利用されているものの、シールリップがガス圧によって押し付けられるためフリクションが増大してしまうほか、長期間の使用によって、次第にガス抜けが発生する場合があるという不都合があった。
【0063】
この発明では、図1に示したものと同様のスプリングとしてのノンリタンスプリング51,52をバルブストッパ53およびリーフバルブであるノンリタンバルブ54間に介装し、各ノンリタンスプリング51,52の基部をガイド55に装着されたカンザ62の小径部に、軸方向摺動自在に嵌挿する。
【0064】
こうすることで、伸側の速度が速くなった場合や、温度が低下して作動油の粘度が高くなった場合にも、作動油のベース部側における吸い込みが悪化するのを有効に回避でき、従って、加振によって発生する減衰力を安定化できる。
【0065】
なお、図11において、56は、ノンリタンバルブ54に重畳された切欠きリーフバルブ、57は切欠き、58はノンリタンバルブ54および切欠きバルブ56を支持するベースバルブケース、59はリーフバルブ、60はカンザ、61はバルブストッパである。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、各請求項の発明によれば、上記スプリングを初期荷重が異なるように設定されている複数のノンリタンスプリングを直列に配置して構成させ、ノンリタンバルブに作用する圧力に応じて初期荷重が小さいノンリタンスプリングから初期荷重が大きいノンリタンスプリングに亘って順次変形させて、上記スプリングのばね剛性を初期荷重が小さいノンリタンスプリングのばね剛性に初期荷重の大きいノンリタンスプリングのばね剛性を順次合成させるようにしたので、初期荷重が高いノンリタンスプリングの変形が始まる時点を境にして上記スプリングのばね剛性を順次低下させることが出来る。
その結果、ノンリタンバルブで発生する圧力降下を上記のノンリタンスプリングのうち、一つのみを使用する場合に比べて小さくすることができ、高速域あるいは低温域での吸い込み不足を防止し、以って、低速域から高速域および作動油の低温から高温まで安定した減衰力を発生可能とすることができるという効果が得られる。
【0067】
また、請求項 , 3の発明によれば、ノンリタンスプリングがリング板とリング板の周辺に傾斜して一体に設けた複数の弾性片からなるので、例えば一枚の金属板を打抜いて折曲加工したものを用いるだけで、極めて簡単かつローコストにノンリタンスプリングを得ることができ、結果的に油圧緩衝器の組立容易性および経済性を大幅に向上できるという効果が得られる。
更に、請求項4の発明によれば、二つのノンリタンスプリングの基端をカンザの段部に係止させているので一方のノンリタンスプリングの移動を拘束することができ、二つのノンリタンスプリングの初期荷重を別々に設定することが容易となる。
【0069】
また、請求項5の発明によれば、二つ以上の複数のノンリタンスプリングがピストンロッドの軸方向に摺動自在に挿入した一つ又は複数のプロテクタを介して直列配置されているので、プロテクタを挟んで隣接するノンリタンスプリング間の荷重伝達を確実に行えるとともに、そのノンリタンスプリングの過大な変形、変歪を防止できるという効果が得られる。
また、そのノンリタンスプリングがゴム状弾性体の場合には、これの形を大きく変歪させずに、全体で荷重が受けられるようにすることができるという利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態による油圧緩衝器の要部を拡大して示す部分断面図である。
【図2】この発明におけるノンリタンスプリングの一例を示す斜視図である。
【図3】図1におけるノンリタンスプリングの荷重―変形量特性を示す特性図である。
【図4】図1におけるノンリタンバルブにおける圧力降下―ピストン特性を示す特性図である。
【図5】この発明におけるノンリタンスプリングの他の例を示す斜視図である。
【図6】この発明におけるノンリタンバルブの他の取付構成例を示す要部の断面図である。
【図7】この発明におけるノンリタンスプリングの他の例を示す斜視図である。
【図8】この発明におけるノンリタンスプリングの他の例を示す斜視図である。
【図9】図8に示すノンリタンスプリングの荷重―変形量特性を示す特性図である。
【図10】この発明におけるノンリタンスプリングの他の例を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施の他の形態による油圧緩衝器の要部を拡大して示す断面図である。
【図12】従来の一般的な油圧緩衝器の全体を示す概念図である。
【図13】図12における油圧緩衝器のピストン部付近を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
2 ピストン部
3 ベース部
6 伸側減衰バルブ
7 圧側減衰バルブ
22 ノンリタンバルブ
28,28A乃至28J ノンリタンスプリング
28a 第1の弾性片
28c 第2の弾性片
41,42,43,45 プロテクタ

Claims (5)

  1. ピストン部又はベースバルブ部にスプリングにより閉じ方向に附勢されて一方向のみへの作動油の流れを許容するノンリタンバルブを備えた油圧緩衝器において、上記スプリングは初期荷重が異なるように設定されている複数のノンリタンスプリングを直列に配置して構成され、ノンリタンバルブに作用する圧力に応じて初期荷重が小さいノンリタンスプリングから初期荷重が大きいノンリタンスプリングに亘って順次変形させて、上記スプリングのばね剛性を初期荷重が小さいノンリタンスプリングのばね剛性に初期荷重の大きいノンリタンスプリングのばね剛性を順次合成することによって変化させることを特徴とする油圧緩衝器。
  2. 各ノンリタンスプリングがリング板とリング板の周辺に傾斜して一体に設けた複数の弾性片とからなり、各弾性片を上下反対方向に向けながら各リング板を背中合わせにして重ね合わせている請求項1の油圧緩衝器
  3. ノンリタンスプリングが一枚のリング板の外周にそれぞれ斜め下方に突設した第1の弾性片と、斜め上方に向けて突設した第2の弾性片と、で構成されている請求項1の油圧緩衝器
  4. ノンリタンバルブの基端側上面に段付きのカンザを設け、当該カンザの外周に挿入した二つのノンリタンスプリングの基端を上記カンザの段部に係止させている請求項1に記載の油圧緩衝器。
  5. 二つ以上の複数のノンリタンスプリングがピストンロッドの軸方向に摺動自在に挿入した一つ又は複数のプロテクタを介して直列配置されている請求項1に記載の油圧緩衝器。
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