JP3885868B2 - 水素生産方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水素生産方法及び装置に関し、とくにメタン発酵微生物群を利用して水素を生産する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素は、燃焼した場合にも炭素ガスを放出しないクリーンなエネルギー源であるばかりでなく、単位重量あたりの発熱エネルギーが石油の三倍もある。また、燃料電池に供給することにより電気エネルギーとすることもできる。更に水素は、エネルギーとしてだけでなく、工業原料としても汎用性が高い物質である。従来、水素はナフサの熱分解や水の電気分解等で製造されている。しかし、これらの製造方法は化石燃料を消費するため、製造過程において地球環境の汚染を招く問題点がある。また、化石燃料の使用は削減することが強く望まれている。このため、地球環境の改善に役立つ技術として微生物を利用した水素生産方法が注目され、その研究開発が進められている。
【0003】
微生物利用の水素生産には、光合成微生物を利用するものと、嫌気性微生物を利用するものの2種類が提案されている。しかし前者は、光エネルギーに依存するため反応プロセスや装置が複雑となり高価となるうえ、微生物の培養に用いるバイオリアクターとして現実的に利用可能なものは未だ開発されていない。更に、水素生産のための基質が限定される等問題点が多く、実用化には至っていない(高原義昌著「産業をひらく微生物−バイオテクノロジーの主役−」白亜書房(昭58-12-25)p.182〜185)。水素生産の基質が限定されることは、とくに様々な有機物質を含む有機性廃水、農畜産廃棄物、生ごみ等を水素生産の原料とする技術の開発を阻んでいる。
【0004】
嫌気性微生物を利用した水素生産には、純粋菌を使用するものと、消化汚泥やルーメン菌等のミクロフローラ(以下、混合微生物群ということがある。)を使用するものとがある。純粋菌を利用した水素生産は、基質が限定されるので有機性廃棄物を原料とするシステムの開発が困難であり、またプロセスを無菌プロセスとする必要がある等の問題点がある。これに対し混合微生物群を利用した水素生産は、多種類の基質に適応でき、無菌操作の必要がないため、各種の有機性廃棄物を基質とする水素生産システムへの利用が期待できる。また、嫌気性混合微生物群は、酸素供給を必要としないため、酸素供給にかかるエネルギー負担がない利点を有する。
【0005】
従来、自然の嫌気性混合微生物群を利用した有機性廃棄物の処理方法として、メタン発酵法が開発されている。メタン発酵法は、タンパク質、炭水化物、脂質などの有機性高分子化合物を最終的にメタンガスと二酸化炭素にまで分解することができ、廃棄物処理に伴いメタンというエネルギー物質を生産することができ、しかも酸素供給を必要とせず省エネルギー過程であるので、これまでに国内外で多くの実績を残している。メタン発酵は自然の複合微生物反応であり、先ず有機性高分子化合物が加水分解を受けた後、嫌気的に酸化されて有機酸、水素、二酸化炭素等にまで分解され、メタン生成菌によりメタンガスにまで変換されることが知られている。
【0006】
メタン発酵の中間代謝産物として水素が生成されることから、メタン発酵に用いられている混合微生物群(以下、メタン発酵微生物群ということがある。)を利用した水素生産方法が提案されている。例えば特開平4-346788号公報は、メタン生成細菌を保持した発酵槽に培養基質を供給し、更にメタン生成細菌のもつメチルレダクターゼ酵素系を阻害する阻害剤を添加して水素を生産する方法を開示する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開平4-346788号公報の水素生産方法は、特殊な薬剤を必要とするのでランニングコストが嵩む問題点がある。また、メタン発酵において水素を消費する微生物(以下、水素消費微生物ということがある。)はメタン生成菌に限らず、例えばホモ酢酸菌等のメタン生成菌以外の微生物にも水素が消費されるので、特定の阻害剤のみを添加するだけでは水素の消費を十分に抑えることが難しく、安定的・効率的な水素生産が難しい問題点もある。
【0008】
そこで本発明の目的は、混合微生物群を利用して長期的に安定でしかも効率的に水素を生産できる方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、メタン発酵微生物群に存在する各微生物の増殖速度の違い、とくに水素を生産する酸生成菌(以下、水素生成微生物ということがある。)の増殖速度が最も速い点に着目し、メタン発酵微生物群が投入された一過式の嫌気性バイオリアクターに連続的に流入・流出させる有機性基質の水理学的滞留時間(以下、HRTということがある。)を短くすることによって水素を安定的・効率的に生成できることを実験的に見出した。本発明はこの実験に基づく研究開発の結果、完成に至ったものである。
【0010】
図1及び図2のブロック図を参照するに、本発明の水素生産方法は、水素生成微生物を含むメタン発酵微生物群が投入された一過式の完全攪拌混合型嫌気性バイオリアクター1に有機性基質3を連続的に流入・流出させ、バイオリアクター1における有機性基質3の水理学的滞留時間(HRT)を基質単位量当たりの水素生成量が基質単位量当たりの酢酸生成量より大きくなるように調節し、その水理学的滞留時間が調節されたバイオリアクター1中で増殖する微生物群により水素を生産してなるものである。
【0011】
通常のメタン発酵処理では、有機性基質と微生物との接触時間(汚泥滞留時間。以下、SRTということがある。)をHRTに比し長くするため、微生物担体を用いた固定床型や流動床型のバイオリアクターが用いられている。これに対し本発明は、微生物群を有機性基質と共に流出させる一過式のバイオリアクターを用いることでき、微生物担体を必要としない。一過式のバイオリアクターでは、HRTとSRTとが等しくなる。好ましくはバイオリアクター1を、図2に示すように、攪拌装置8を設けた完全混合型バイオリアクター(以下、完全攪拌混合型ということがある。)とする。
【0012】
また、図2のブロック図を参照するに、本発明の水素生産装置は、水素生成微生物を含むメタン発酵微生物群が投入された一過式の完全攪拌混合型嫌気性バイオリアクター1、バイオリアクター1中に有機性基質3を連続的に流入・流出させる流入・流出ポンプ5、6、及び流入・流出ポンプ5、6の流量の制御によりバイオリアクター1における有機性基質3の水理学的滞留時間(HRT)を基質単位量当たりの水素生成量が基質単位量当たりの酢酸生成量より大きくなるように調節するコンピュータ7を備えてなるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
メタン発酵微生物群は、一般に、とくに培養し用意されたものではない。嫌気条件下における物質分解とメタン生成は、熱力学的に無理のない反応で進行するために、自然の微生物を馴養することで比較的簡単に生起できる。メタン発酵は複数の異なる微生物種による共同作業であるため、様々な有機物質を含む有機性廃水、農畜産廃棄物、生ごみなどの有機性廃棄物を基質とすることができる。しかし、メタン発酵は、混合微生物を用いた反応であるため、一部の微生物の栄養状態が変化すれば、全体のバランスをくずし成立しない。
【0014】
メタン発酵では、メタン発酵微生物群中の水素生成微生物により、先ず有機物質が嫌気的に酸化されて有機酸、水素、二酸化炭素等にまで分解されることが知られている。この反応式は、基質をグルコースとした場合には、一般的に(1)式で表すことができる。但し、この反応で生成された水素はメタン生成菌等の他の微生物によって直ちに消費される中間代謝産物であり、通常のメタン発酵では水素ガスが系外へ放出されることはない。中間代謝産物として生成された水素ガスを取り出すためには、メタン発酵微生物群による水素の消費を抑える必要がある。
【0015】
【数1】
C6H12O6+2H2O=2CH3COOH+2CO2+4H2 ………………………(1)
【0016】
本発明は、嫌気性バイオリアクター1にメタン発酵微生物群を流動可能に投入し、そのバイオリアクター1に連続的に流入・流出させる有機性基質3のHRTを短くすることにより、メタン発酵微生物群による水素の消費を抑える。例えば一般的なメタン発酵では、メタン生成菌は増殖速度が遅いために、発酵槽は比較的遅いHRTで運転されている。メタン発酵の処理効率を上げるためにHRTを短くする試みがされてきたが、メタン生成菌がバイオリアクターに固定されていない場合は、HRTを短くするとメタン生成菌が増殖する前にバイオリアクター外へ流出してしまい、リアクター内は酸生成が優先化したいわゆる酸敗状態となる。酸敗状態は廃棄物処理的見地では問題があり、メタン発酵においてはHRTの短縮には限界があった。
【0017】
HRTを短くしていわゆる酸敗状態とすると、酸生成量と共に水素の生成量も増加する。しかし、メタン発酵微生物群中にはメタン生成菌以外にもホモ酢酸菌等の水素消費微生物が存在するので、生成した水素はそれらの水素消費微生物によって消費されてしまい、回収できる水素ガスの量はまだ少ない。本発明は、更に有機性基質のHRTを短くし、メタン発酵微生物群中の水素生成微生物の増殖時間より長いが該微生物群中の水素消費微生物の増殖時間より短くすることにより、メタン発酵微生物群中の水素消費微生物をその増殖前にバイオリアクター1外へ流出させ、バイオリアクター1内に水素生成微生物のみが増殖可能な環境を作り出す。このようなHRTの短縮により、バイオリアクター1内での水素消費を最小限に抑え、水素ガスの効率的な回収が可能となる。
【0018】
[実験例1]
HRTの短縮により水素ガスの回収量が増えることを確認するため、メタン発酵が維持されている図2に示す完全攪拌混合型の嫌気性バイオリアクター(連続反応装置)1を用いて実験を行った。本実験では、メタン発酵微生物群として他のメタン発酵槽から採取したメタン発酵汚泥を用いた。また、蒸留水1リットル中にKH2P04 1.5g、Na2HP04・H20 4.2g、NH4Cl 0.5g、MgCl2・6H20 0.18g、酵母エキス 5g、及びセルロースパウダー 10gを混ぜた人工廃水を基質槽4に蓄え、有機性基質3として用いた。インキュベータ2によりバイオリアクター1を60℃に保ち、pH制御装置9によりバイオリアクター1内をメタン発酵微生物群の増殖に適するpHとした。
【0019】
【表1】
Figure 0003885868
【0020】
基質槽4の有機性基質3を流入ポンプ5によりバイオリアクター1へ連続流入させ、バイオリアクター1内の液相部1bを攪拌装置8で攪拌しながら流入量と同じ量を流出ポンプ6によりバイオリアクター1から流出させた。ポンプ5及び6の流量をコンピュータ7で制御することによりHRTを調節した。先ずHRTを5日としてメタン発酵を行ってメタンガス(CH4)の安定的な生成を確認したのち、HRTを5日から徐々に短くしていきながら、バイオリアクター1の液相部1bの組成をサンプル検出装置10により計測し、バイオリアクター1の気相部1aの組成をガス検出装置13により計測した。気相部1aにおける水素(H2)、二酸化炭素(CO2)及びメタンガスの計測結果、及び液相部1bにおける乳酸(lactate)、ギ酸(formate)、酢酸(acetate)、プロピオン酸(propionate)、酪酸(butyrate)及びエタノール(ethanol)の計測結果を表1に示す。また、表1に基づきメタンガス、有機酸(例えば酢酸)及び水素ガスの生成量の変化を図1のグラフに模式的に表す。
【0021】
表1及び図1から分かるように、HRTを0.75日程度にまで短くすると、メタンガスの生成量が減少する共に有機酸と水素の生成量が徐々に増加する。これらの生成量の増加は、バイオリアクター内からメタン生成菌が流出し、リアクター内に酸生成が優先化した状態を示す。本実験では、HRTを0.2日より短くすることにより、リアクター容積1リットルあたり約40ミリモル/日(約40mmol/l-reactor/日)の水素を連続して生産することができた。しかも、この水素生成は安定的であった。表1は、HRTを0.2日とすることにより、基質であるセルロースからの水素の生成量がヘキソース1モルあたり約0.74モルとなり、ヘキソース1モルあたり約 0.53 モルの酢酸の生成量より大きくなることを示す。
【0022】
また、実験1のバイオリアクターから回収した微生物群を他の嫌気性バイオリアクターに流動可能に投入した上で、実験1の人工廃水を0.2日以下のHRTで連続流入させたところ、当初から水素の生成を確認することができた。このことから、本発明方法により、メタン発酵微生物群のうち水素生成微生物が増殖した水素発酵微生物群を獲得できることが確認できた。
【0023】
なお、実験1ではHRTを0.2日以下として水素を生産しているが、水素生産に適するHRTは有機性基質3の組成により調節する必要がある。有機性廃棄物を有機性基質3とする場合は、嫌気性バイオリアクター毎に、水素生産に適するHRTを実験的に定めることができる。本発明者は、従来メタン発酵処理されている有機性廃棄物を有機性基質3とした場合、水理学的滞留時間を0.01〜3.0日程度とすることにより水素ガスを連続的に且つ安定的に生産できることを実験的に見出した。
【0024】
また実験1では完全攪拌混合型のバイオリアクターを用いたが、本発明はメタン発酵微生物群を流動可能に投入でき且つ有機性基質を連続的に流入・流出できる一過のリアクターであれば足り、この例に限定されない。例えば、メタン発酵が維持されている既存の嫌気性バイオリアクターに本発明を適用し、HRTの運転条件を変更することにより、安定的にしかも高効率で水素を生産することが可能である。但し、固定床型のバイオリアクターでは、メタン発酵微生物群が担体に固定化されており、HRTを短くしてもメタン生成菌等の水素消費微生物が容易に流出しないため、効率的な水素生産が難しい。
【0025】
こうして本発明の目的である「混合微生物群を利用して長期的に安定でしかも効率的に水素を生産できる方法及び装置」の提供を達成できる。
【0026】
【実施例】
本発明で用いる有機性基質としては、微生物の培養に常用される炭素源、ミネラル、ビタミンその他からなる人工基質のほか、農産物加工工場、ジュース工場、食品工場等の各種製造工場から排出される有機性廃水、下水、屎尿等有機性の各種廃水、スラリー化した生ごみ等が使用できる。これらの基質は、必要に応じて希釈、混合、粉砕したり、必要な成分を添加して、水素の生成や廃水の処理がスムーズに行われるよう適宜調製することができる。
【0027】
[実験例2]
実験例1と同様の完全攪拌混合型の嫌気性バイオリアクターを用い、pHを7.4に維持しながら、製糖工場廃水を連続的に流入させて水素を発生させた。経時的に、培地のVSS(不溶性有機物)を下水試験法、C2〜C8の低級脂肪酸をガスクロマトグラフFID法、TOC(全有機炭素)を全有機炭素計で、それぞれ測定した。生成したガスは、pH3以下の水を用いた水上置換法で定量し、組成をガスクロマトグラフTCD法で分析した。その結果、HRTを0.5日に短縮したところ、リアクター容積1リットルあたり200ミリモル/日(約200mmol/l-reactor/日)の水素を長期間にわたり連続して生産できることが確認できた。また、廃水中の炭水化物は90%以上分解され、水素への変換はグルコース1モルあたり約2.6モルとなった。
【0028】
実験例2に示すように、有機性廃水を原料として用いる場合には、本発明により水素の生成と同時に廃水処理も行うことができ、本発明は実用面においても極めて有効である。本発明においてバイオリアクターから連続的に流出する処理液は有機酸を含むが、例えばバイオリアクターの下流側にメタン生成菌が保持された嫌気性バイオリアクターを接続することにより、前記処理液を原料として更にメタンガスを回収することも考えられる。
【0029】
バイオリアクターにおいて生成した水素ガスは、例えば気相の水素ガスの吸引等により回収できる。必要に応じて、バイオリアクター内の有機性基質を攪拌しながら反応させることにより、溶存水素ガスの液中における溶解度を減少させ、溶存水素ガスを気相中に放出させることも可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の水素生産方法及び装置は、メタン発酵微生物群が投入された一過式の完全攪拌混合型嫌気性バイオリアクターに有機性基質を連続的に流入・流出させ、バイオリアクターにおける有機性基質の水理学的滞留時間を基質単位量当たりの水素生成量が基質単位量当たりの酢酸生成量より大きくなるように調節し、その水理学的滞留時間が調節されたバイオリアクター中で増殖する微生物群により水素を生産するので、次の顕著な効果を奏する。
【0031】
(イ)メタン発酵微生物群を利用して水素を発生させるので、メタン発酵微生物群が利用可能な有機性廃棄物等を原料として水素生産システムが構築できる。
(ロ)従来のメタン発酵用嫌気性バイオリアクターをそのまま利用して、簡単な運転条件の変更により水素生産装置に転用することが可能になる。
(ハ)水素のバイオリアクター内消費を最小限に抑えることができるので、メタン生成菌の阻害剤を添加する従来方法に比し、安定的・効率的な水素発生が可能である。
(ニ)リアクターでの滞留時間が短いので、多量の有機性廃棄物から高効率で水素を生産できる。
(ホ)光合成細菌を用いた場合に必要な複雑で高価な装置を必要としないので、低コストでの水素生産が可能である。
(ヘ)クリーンなエネルギー源である水素を安定的に高効率で生産できるので、地球環境を汚染しないエネルギー生産技術としての利用が期待できる。
(ト)基質として有機性廃棄物等を使用すれば、水素の生成のみならず効率的に廃棄物処理も行うことができ、公害防止技術としての利用も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、メタン発酵微生物群が流動可能に投入された嫌気性バイオリアクターにおける有機性基質の水理学的滞留時間に応じた基質単位量当たりのメタンガス、有機酸及び水素ガスの生成量の変化を示す説明図である。
【図2】は、本発明の効果を確認する実験装置の一例の説明図である。
【符号の説明】
1…バイオリアクター 1a…気相部
1b…液相部 2…インキュベータ
3…有機性基質 4…基質槽
5…流入ポンプ 6…流出ポンプ
7…コンピュータ 8…攪拌装置
9…pH制御装置 10…サンプル検出装置
11…ガスホルダー 12…水酸化ナトリウム瓶
13…ガス検出装置

Claims (9)

  1. 水素生成微生物を含むメタン発酵微生物群が投入された一過式の完全攪拌混合型嫌気性バイオリアクターに有機性基質を連続的に流入・流出させ、前記バイオリアクターにおける有機性基質の水理学的滞留時間を基質単位量当たりの水素生成量が基質単位量当たりの酢酸生成量より大きくなるように調節し、前記水理学的滞留時間が調節されたバイオリアクター中で増殖する微生物群により水素を生産してなる水素生産方法。
  2. 請求項1の水素生産方法において、前記バイオリアクター内の有機性基質を攪拌して溶存水素ガスを気相中に放出させ、前記バイオリアクターの気相の水素を回収してなる水素生産方法。
  3. 請求項1又は2の水素生産方法において、前記有機性基質を有機性廃棄物としてなる水素生産方法。
  4. 請求項1から3の何れかの水素生産方法において、前記水理学的滞留時間を0.01〜3.0日としてなる水素生産方法。
  5. 請求項1から4の何れかの水素生産方法において、前記完全攪拌混合型嫌気性バイオリアクターの下流側にメタン生成菌が保持された嫌気性バイオリアクターを接続し、前記下流側の嫌気性バイオリアクターにおいて上流側の嫌気性バイオリアクターの処理液を原料としてメタンガスを回収してなる水素生産方法。
  6. 水素生成微生物を含むメタン発酵微生物群が投入された一過式の完全攪拌混合型嫌気性バイオリアクター、前記バイオリアクターに有機性基質を連続的に流入・流出させる流入・流出ポンプ、及び前記流入・流出ポンプの流量の制御によりバイオリアクターにおける有機性基質の水理学的滞留時間を基質単位量当たりの水素生成量が基質単位量当たりの酢酸生成量より大きくなるように調節するコンピュータを備えてなる水素生産装置。
  7. 請求項6の水素生産装置において、前記水理学的滞留時間を0.01〜3.0日としてなる水素生産装置。
  8. 請求項6又は7の水素生産装置において、バイオリアクターの気相部の水素生成量を計測する検出装置、バイオリアクターの液相部の酢酸生成量を計測する検出装置、及びバイオリアクターの液相部のpHを調節するpH制御装置を設けてなる水素生産装置。
  9. 請求項6から8の何れかの水素生産装置において、前記完全攪拌混合型嫌気性バイオリアクターの下流側に、メタン生成菌を保持し且つ前記完全攪拌混合型バイオリアクターの処理液を原料としてメタンガスを回収する嫌気性バイオリアクターを接続してなる水素生産装置。
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