JP3885084B2 - 速成発酵飼料とその製造方法並びに用途 - Google Patents

速成発酵飼料とその製造方法並びに用途 Download PDF

Info

Publication number
JP3885084B2
JP3885084B2 JP2005126160A JP2005126160A JP3885084B2 JP 3885084 B2 JP3885084 B2 JP 3885084B2 JP 2005126160 A JP2005126160 A JP 2005126160A JP 2005126160 A JP2005126160 A JP 2005126160A JP 3885084 B2 JP3885084 B2 JP 3885084B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fermented
agricultural waste
feed
alkali
enterococcus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005126160A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005218458A (ja
Inventor
敏 入谷
芳範 佐藤
博人 茶圓
俊雄 三宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Original Assignee
Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK filed Critical Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Priority to JP2005126160A priority Critical patent/JP3885084B2/ja
Publication of JP2005218458A publication Critical patent/JP2005218458A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3885084B2 publication Critical patent/JP3885084B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P60/00Technologies relating to agriculture, livestock or agroalimentary industries
    • Y02P60/80Food processing, e.g. use of renewable energies or variable speed drives in handling, conveying or stacking
    • Y02P60/87Re-use of by-products of food processing for fodder production

Landscapes

  • Fodder In General (AREA)

Description

本発明は、速成発酵飼料とその製造方法並びに用途に関し、更に詳細には、アルカリ処理農産廃棄物に植物性濃厚飼料材料を含有せしめ、そのpHを10未満に低下させるとともに乳酸菌を接種して乳酸発酵させ得られる速成発酵飼料及びその製造方法並びに用途に関する。
セルロース、ヘミセルロースに富んだ農産廃棄物、例えば、バガス、ケイントップ、とうもろこし穂軸、とうもろこし幹、こうりゃん幹、もみ殻、稲わら、小麦わら、大麦わら、落花生殻、樹皮、木片、竹、笹などは、一部燃料などに利用されているものの、他に有効な用途も見いだせず、毎年、世界中で数億トン以上も排出されて、その処理に困っているのが現状である。
一方、草を餌にする家畜、すなわち、牛、羊などの反すう動物は、人、豚、家禽などの単胃動物とは違って、元来、植物由来のセルロース、ヘミセルロースなどを摂取し、エネルギーに変換することができるのであり、これら反すう動物にとっては、生理的にもそれが粗飼料として要求されている。
近年、牛肉、乳製品を中心とする畜産品の消費が拡大し、集約的牧畜業が著しく発展してきた。その結果、牛を限られた面積で飼育、換言すれば、狭い畜舎での多頭飼育が行われるようになり、これをまかなうだけの草の供給が困難になってきた。そこで草に代わるセルロース、ヘミセルロースを主成分とする粗飼料の需要が急激に高まってきた。
農産廃棄物を粗飼料に利用しようとする試みは、古くから行われてきた。しかしながら、通常、これら農産廃棄物には、セルロース、ヘミセルロースに加えて相当量のリグニンが含まれ、このリグニンとセルロースなどの繊維質とが強固に結合し、反すう動物と言えども、農産廃棄物そのままでは、消化率が低く、また嗜好性も劣り、飼料価値の極めて低いものである。
そこで、農産廃棄物の飼料価値を向上するために、リグニンを分解して組織を柔軟化し、消化率を向上させる多くの試みが提案されている。バガスを例にしてみると、まず、バガスをアルカリ処理し、次いで発酵させようとするものである。アルカリ処理については、非特許文献1に記載されているように、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ剤の使用が知られており、アルカリ処理バガスの発酵については、例えば、非特許文献2に記載されているように、水酸化ナトリウムを使用したアルカリ処理バガスをサイレージ化する方法が知られている。
しかしながら、従来、提案されているこれらの方法を詳細に検討したところ、水酸化ナトリウムを用いるアルカリ処理の場合には、アルカリ処理バガスのpH低下、すなわち、乳酸菌増殖可能pH域までのpH低下が極めて緩慢で長時間を要し、それを発酵バガス飼料に仕上げる期間に至っては、25乃至90日もの長期間を要することが判明した。また、これを避けるために急いでpHを低下させるには、アルカリ処理バガスを酸性溶液で中和処理する必要があった。加えて、水酸化ナトリウムを用いる場合には、強アルカリ性で比較的少量の使用で高pHが確保でき、リグニンをよく分解し、バガス組織を柔軟化できるものの、粗飼料として大切にしたいセルロース、ヘミセルロースまでも分解、損失しやすいなど多くの欠点をかかえていることが判明した。
また、水酸化カルシウムや炭酸ナトリウムを使用する場合には、アルカリ強度が比較的低いので、アルカリ剤の使用量がバガス固形物当たり約12乃至30w/w%(以下、本明細書では、特にことわらない限り、w/w%を%と略記する。)にも昇り、コストがかさむばかりでなく、反すう動物にとっては、過剰のアルカリ剤を摂取することになるから大量の水を欲しがり、多量の尿を排出しなければならず、生理的負担の大きい致命的欠点のあることも判明した。
他方、蛋白質、澱粉質などに富む濃厚飼料材料、とりわけ、米糠、脱脂大豆、圧扁とうもろこしなどの植物性濃厚飼料材料においては、多量のフィチンを含有していることが知られており、このフィチンの共存は、それ自体が持っているリンの利用、吸収が低いのみならず、必須ミネラル、例えばカルシウム、鉄、銅、亜鉛、コバルトなどの吸収を阻害し飼料価値を低減していることも知られている。このフィチンを加水分解して、リンの利用率を向上させ、必須ミネラルの吸収を促進させた高品質の飼料の確立が望まれている。
『バイオテクノロジー・アンド・バイオエンジニアリング(Biotechnology and Bioengineering)』、第26巻、第426乃至433頁(1984年) 『アニマル・フィード・サイエンス・アンド・テクノロジー(Animal Feed Science and Technology)』、第9巻、第1乃至17頁(1983年)
本発明は、前記欠点を解消した農産廃棄物及び植物性濃厚飼料材料を用いる高品質の速成発酵飼料とその用途を提供するものであり、また、その需要量が莫大であるだけに、大量生産方法に好適な、安価で、短期間に容易に製品化できる製造方法を提供しようとするものである。
本発明者等は、前記課題を解決するために、まず、アルカリ処理農産廃棄物を含有する比較的高pH、高濃度塩類培地でも生育しうる乳酸菌に着目し、鋭意研究してきた。その結果、アルカリ処理農産廃棄物に植物性濃厚飼料材料を含有せしめてそのpHを10未満に低下させるとともに乳酸菌を接種して乳酸発酵させることにより、アルカリ処理農産廃棄物から容易に短期間に、高品質の発酵飼料を製造しうることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、アルカリ処理農産廃棄物を発酵させるに際し、植物性濃厚飼料材料を含有せしめてそのpHを10未満に低下させるとともに、pH9.5以上又は塩化ナトリウム濃度6.5%の培地で増殖能を有する乳酸菌、望ましくは、エンテロコッカス属に属する乳酸菌を接種する発酵方法を採用する本発明は、次に述べるような特長を有している。
(1) アルカリ処理農産廃棄物に植物性濃厚飼料材料を含有させてそのpHを10未満、望ましくは9.7未満に積極的に低下させるので、pH9.5以上の高pH域での増殖能を有している乳酸菌を早期に接種し、良好な乳酸発酵を行うことができる。
(2) 乳酸菌が塩化ナトリウム6.5%の高濃度塩類溶液での増殖能を有しているので、アルカリ処理農産廃棄物を製造する際のアルカリ剤は、比較的低濃度で目的を達する水酸化ナトリウムに限定されることなく、比較的高濃度を必要とする水酸化カルシウム、炭酸ナトリウムなどを用いることも、更には、後に説明する酸化カルシウム又は酸化カルシウムとともに水酸化ナトリウムを用いることも随意である。
(3) 植物性濃厚飼料材料は、それに含まれるフィチンがよく分解されてリンの供給源となるばかりでなく、飼料中のカルシウム、鉄、銅、亜鉛、コバルトなどの必須ミネラルの吸収を促進する。
(4) 発酵が容易で、製造期間も短く、比較的安価に製造できるので、アルカリ処理農産廃棄物からの速成発酵飼料の大量生産方法に適している。
また、農産廃棄物をアルカリ処理するに際し、アルカリ剤として酸化カルシウム又は酸化カルシウムとともに水酸化ナトリウムを用いることは、アルカリ処理農産廃棄物やそれを用いる速成発酵飼料の製造に好適であることを見いだし、本発明を完成した。すなわち、アルカリ剤として、酸化カルシウム又は酸化カルシウムとともに水酸化ナトリウムの採用は、次に述べるような多くの特長を有していることが判明した。
(1) 農産廃棄物中の有効成分であるセルロース、ヘミセルロースをほとんど損失することなく、組織を柔軟化したアルカリ処理農産廃棄物が製造できる。
(2) 酸化カルシウムが活性なアルカリ剤であり、さらには、吸水して発熱し、アルカリ反応を促進するためか、アルカリ剤の使用量を比較的少なくすることができるとともに、短時間でアルカリ処理の目的が達成できる。
(3) アルカリ処理農産廃棄物のpH低下が比較的早いのに加えて、植物性濃厚飼料材料を含有せしめてpHを積極的に低下させることができることから、早期に乳酸菌を接種することができる。
(4) 操作が容易で、製造期間も短く、比較的安価に製造できるので、アルカリ処理農産廃棄物及びそれを用いる速成発酵飼料の大量生産方法に適している。
(5) 農産廃棄物に対するアルカリ剤の使用量が比較的少なく、反すう動物にとっては、アルカリ剤、とりわけナトリウム剤の過剰摂取を懸念することがないばかりか、むしろ、必須ミネラルであるカルシウムを適量強化することとなり、栄養的に好都合である。
(6) 得られる速成発酵飼料は、高品質で消化性、嗜好性に優れている。
上記したことから明らかなように、本発明によって、アルカリ処理農産廃棄物に植物性濃厚飼料材料を含有させ、そのpHを10未満、望ましくはpH9.7未満に低下させるとともに乳酸菌を接種し乳酸発酵させて、消化性が良く、嗜好性の高い高品質の速成発酵飼料が、容易に製造し得ることとなった。
本発明に利用するアルカリ処理農産廃棄物は、通常、次のようにして調製される。農産廃棄物は、農場又は加工工場において排出される水分約40乃至90%程度のものをそのまま用いればよく、必要ならば、それを乾燥し保存したものを用いてもよい。アルカリ処理に必要な湿潤条件としては、共存する水分量を、農産廃棄物とアルカリ剤とが混合して互いになじむだけの量を下限とし、アルカリ処理農産廃棄物からアルカリ性溶液が流出しないまでの量を上限とするのが望ましい。具体的には、約40乃至90%、望ましくは、約45乃至80%の範囲が好適である。
アルカリ剤として、酸化カルシウムを使用する場合には、活性度の高い、換言すれば、できるだけ吸湿していない新鮮なものが望ましく、その形状は、粒状、粉末状など適宜選択できる。酸化カルシウムの使用量は、農産廃棄物に対して、固形物当たり5%を越えない範囲、望ましくは、2乃至4%の範囲が好適である。酸化カルシウムとともに用いる水酸化ナトリウムの使用量は、共に使用する酸化カルシウム量を越えない範囲、望ましくは、3%未満の量が好適である。
農産廃棄物に湿潤条件下でアルカリ剤を含有させる方法は、農産廃棄物に所定量の水分が存在し、アルカリ剤が混合できる方法であればよく、例えば、予め、農産廃棄物に水を混合し、次いで、これにアルカリ剤を混合することも、また、この逆の順序で行うことも随意である。これらの順序は、環境温度下で行えばよく、通常、約10乃至35℃の範囲である。
このようにして、農産廃棄物に湿潤条件下でアルカリ剤を含有させたものの始発pHは、通常、pH約10.3以上、望ましくは、pH約10.5乃至12であり、そのまま、環境温度下に放置するだけで、容易にアルカリ処理の目的を達成したアルカリ処理農産廃棄物を採取することができる。
このように、アルカリ剤として酸化カルシウムを利用して得られるアルカリ処理農産廃棄物は、実質的にセルロース、ヘミセルロースの損失もなく、組織をよく柔軟化しており、とりわけ、酸化カルシウムと水酸化ナトリウムとを併用するものにおいては、酸化カルシウム単独使用のものと比較して、リグニンをよく分解し、組織を更に柔軟化するにもかかわらず、有効成分のセルロース、ヘミセルロースの損失も少なく、速成発酵飼料のための原料として好適である。
本発明の速成発酵飼料を製造するためのアルカリ処理農産廃棄物は、それに濃厚飼料材料を含有させてそのpHを10未満、望ましくは、pH9.7未満に積極的に低下させることができるので、アルカリ剤としては、以上述べた酸化カルシウムを用いる場合だけでなく、比較的pH低下の起こりにくい公知のアルカリ剤、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム及び炭酸ナトリウムなどの1種又は2種以上を用いたものであってもよい。
本発明のアルカリ処理農産廃棄物から速成発酵飼料を製造するには、pH10以上、望ましくは、pH10.5乃至12のアルカリ処理農産廃棄物に植物性濃厚飼料材料を含有させて、そのpHを10未満、望ましくは9.7未満に積極的に低下させるとともに乳酸菌を接種して乳酸発酵させて目的を達成することができる。この際、アルカリ処理した農産廃棄物に対して、予め植物性濃厚飼料材料を含有させてそのpHに低下させ、次いで乳酸菌を接種して乳酸発酵させることも、また、アルカリ処理した農産廃棄物に対して、予め植物性濃厚飼料材料と乳酸菌とを混合した配合物を含有せしめてそのpHを低下させるとともに乳酸発酵を開始することも随意である。
本発明に使用する乳酸菌は、アルカリ処理農産廃棄物とともに植物性濃厚飼料材料を含有させたpH7を越えるアルカリ性培地においてもよく乳酸発酵しうるものが適しており、望ましくは、pH9.5以上の高pH培地においても乳酸発酵能を有するものが好適であり、更に好ましくは、エンテロコッカス属に属する乳酸菌が好適である。とりわけ、本発明において、新たに分離したエンテロコッカス属に属する乳酸菌、エンテロコッカス・ファエシウム HL−5(FERM BP−4504)は、pH9.5以上の高アルカリ性においても、又は塩化ナトリウム6.5%の高濃度塩類溶液においても増殖し、乳酸を産生して、アルカリ処理農産廃棄物と植物性濃厚飼料材料との混合物のpHを低下させる能力を有し、嗜好性の高い発酵飼料が短期間に製造できるので、また、フィターゼ活性を有し、植物性濃厚飼料材料に含まれるフィチンをよく分解して、高品質の速成発酵飼料が製造できるので好都合である。
すなわち、本発明は、アルカリ処理農産廃棄物に植物性濃厚飼料材料を含有せしめ、そのpHを10未満、望ましくは、乳酸菌が活発に生育しうるpH9.7未満、更に望ましくは、pH7を越えpH9.7未満に積極的に低下させることより、乳酸菌を接種するまでの期間を短縮するとともに接種後の乳酸発酵を容易にし、発酵飼料の製造期間を約2乃至4日間に短縮できる特長を有している。前述のpH低下の比較的早い酸化カルシウムを用いるアルカリ処理農産廃棄物に接種すれば、更に、発酵飼料の製造期間を短縮できるので極めて有利である。
次に、本発明者等が、新たにとうもろこしサイレージから分離したエンテロコッカス属に属する微生物HL−5の同定試験結果を示す。なお、同定試験は、『微生物の分類と同定』(長谷川武治編、学会出版センター、1985年)に準じて行った。
〈A 細胞形態〉
(1) MRS寒天培養、37℃
通常0.9乃至1.2μmの球菌。二連及び短連鎖を形成。
運動性なし。無胞子。グラム陽性。
(2) PG寒天培養、37℃
通常0.9乃至1.2μmの球菌。二連及び短連鎖を形成。
運動性なし。無胞子。グラム陽性。
〈B 培養的性質〉
(1) MRS寒天平板培養、37℃
形状 :円形、大きさは3日間で1乃至2mm。
周縁 :全縁
隆起 :半レンズ状
光沢 :湿光
表面 :平滑
色調 :半透明、白色
(2) MRSゼラチン穿刺培養、37℃
液化しない。
(3) リトマスミルク、37℃
酸凝固
〈C 生理学的性質〉
(1) カタラーゼ :陰性
(2) オキシダーゼ :陰性
(3) ゼラチンの液化 :陰性
(4) カゼインの分解 :陰性
(5) アルギニンの分解 :陽性
(6) 40%胆汁に対する耐性 :陽性
(7) 溶血性 :陰性
(8) 馬尿酸の分解 :陽性
(9) エスクリンの分解 :陽性
(10) 10℃乃至45℃での生育 :陽性
(11) pH9.6での生育 :陽性
(12) 6.5%NaClでの生育 :陽性
(13) 酸素に対する態度 :通性嫌気性
(14) 糖からの酸の生成
アミグタリン 陽性
アラビノース 陽性
セロビオース 陽性
エスクリン 陽性
フラクトース 陽性
ガラクトース 陽性
グルコース 陽性
グルコン酸 陽性
ラクトース 陽性
マルトース 陽性
マンニトール 陽性
マンノース 陽性
メレチトース 陰性
メリビオース 陽性
ラフィノース 陽性
ラムノース 陽性
リボース 陽性
サリシン 陽性
ソルビトール 陰性
スクロース 陽性
トレハロース 陽性
キシロース 陰性
アルブチン 陽性
ソルボース 陰性
(15) 細胞壁の主要ジアミノ酸 :リジン
(16) G+C含量 :38.6%
以上の菌学的性質をもとにして、『バージーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Bergey´s Manual of Systematic Bacteriology)』、第2巻(1986年)を参考にして、公知の菌株との異同を検討した。その結果、上記のすべての菌学的性質のうち、本菌は、ソルボースからの酸の生成が陰性である性質を有している点だけが違い、その他のすべての性質がエンテロコッカス・ファエシウム(Enterococcus faecium)のそれとよく一致した。
これらの結果より、本発明者等は、本菌を新規微生物エンテロコッカス・ファエシウム HL−5と命名し、平成5年12月17日付けで、茨城県つくば市東1丁目1番3号にある、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所、特許微生物寄託センターに寄託し、受託番号 FERM BP−4504として受託された。本発明では、上記菌株のみならず、エンテロコッカス属に属し、アルカリ処理農産廃棄物を含有するpH9.5以上のアルカリ性、又は塩化ナトリウム濃度6.5%の培地で増殖能を有する他の菌株、更には変異株なども有利に用いることができる。本発明に用いるエンテロコッカス属に属する他の菌株としては、例えば、エンテロコッカス・カッセリフラブス(Enterococcus casseliflavus)IFO 3531、エンテロコッカス・ズランス(Enterococcus durans)IFO 13131、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)IFO 3791、エンテロコッカス・ファエシウム(Enterococcus faecium)IFO 3535、エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)IFO 3181Tなどがある。
これらのエンテロコッカス属に属する乳酸菌は、本発明で分離したエンテロコッカス・ファエシウム HL−5と同様に、アルカリ処理農産廃棄物のpHが低下する比較的早い段階、換言すれば、pH9以上、望ましくは、pH9.5以上の段階でもよく増殖することが判明し、接種時期を早めることができるので、発酵処理期間の短縮に好都合である。
また、エンテロコッカス属に属する乳酸菌とともにpH8付近より低いpHで高い増殖能を有するラクトバシラス属、ペディオコッカス属及びストレプトコッカス属などに属する乳酸菌から選ばれる1種又は2種以上の併用は、嗜好性の高い高品質の速成発酵飼料を製造するのにきわめて優れた方法である。
ラクトバシラス属に属する菌株としては、例えば、ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)IFO 3532、ラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)IFO 3070、ラクトバシラス・サケ(Lactobacillus sake)IFO 3541、ラクトバシラス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)IFO 13952、ラクトバシラス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)IFO 3809、ラクトバシラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO 3345などがあり、この1種又は2種以上の使用は、農産廃棄物を用いる速成発酵飼料の嗜好性を高めるのに好都合である。
また、ペディオコッカス属及びストレプトコッカス属に属する細菌、例えば、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)IFO 3076、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)IFO 12057などを用いることも有利に実施できる。
アルカリ処理農産廃棄物の発酵処理は、アルカリ処理農産廃棄物に植物性濃厚飼料材料を含有させるとともに乳酸菌を接種して乳酸発酵できればよく、通常、アルカリ処理農産廃棄物に植物性濃厚飼料材料と、必要に応じて、適量の水とを配合し、これに乳酸菌の種培養物を接種し、環境温度下で、望ましくは約15乃至50℃の範囲で、例えば、プラスチックシートをカバーするか、フレキシブルバッグに詰めるか、ラッピングするかなどして、嫌気下で、通常、約2乃至4日間発酵させて目的を達成することができる。
本発明に用いる植物性濃厚飼料材料は、蛋白質とともにフィチンを含有しているものがpH調節作用が強く好適であり、pH10以上のアルカリ処理農産廃棄物のpH低下剤として有利に利用できる。その例としては、圧扁穀類、引き割り穀類、小麦麩、末粉などの穀物破砕物、米糠、大麦糠、きび糠などの糠類、脱脂大豆、おから、コーングルテンミール、コーンジャーム粕、菜種粕、ゴマ粕、落花生粕、綿実粕、ひまわり粕などの粕類などが好適である。本発明の速成発酵飼料を製造するに際して、アルカリ処理農産廃棄物及び植物性濃厚飼料材料に加えて、必要に応じて、他の栄養源、例えば、脱脂粉乳、ミルクカゼイン、ホエーなどの乳加工業副産物、フィシュミール、血粉、フェザーミールなどの動物性濃厚飼料材料、糖蜜、砂糖、ぶどう糖、麦芽糖、乳糖などの糖質、骨粉、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、鉄塩、銅塩、亜鉛塩、コバルト塩などのミネラル、水溶性ビタミン、脂溶性ビタミンなどのビタミン類などを併用することも随意である。
本発明において、穀類破砕物、糠類及び粕類などフィチンを多量に含有する植物性濃厚飼料材料を用いて得られる速成発酵飼料は、ミネラル吸収を阻害するフィチンがよく分解され吸収、利用し易いリンの供給源となるばかりでなく、飼料中のカルシウム、鉄、銅、亜鉛、コバルトなどの必須ミネラルの吸収が良好になることから、単胃動物用飼料としても、また、反すう動物用飼料としても有利に利用できる。
また、本発明において、植物性濃厚飼料材料の使用割合は、アルカリ処理農産廃棄物を乳酸菌が生育しうるpH10未満、望ましくはpH7を越えpH9.7未満に下げるに足るだけの量を必要とし、通常、アルカリ処理農産廃棄物に対して、固形物当たり20%以上、望ましくは40%以上が好適である。また、乳酸発酵時の湿潤条件としては、乳酸菌が乳酸発酵しうる水分を下限とし、かつ、得られる速成発酵飼料から栄養物含有溶液が流出しないまでの水分量を混合すればよく、一般的には約40乃至90%、望ましくは、約45乃至80%、保存性を重視するなら約45乃至60%が好適である。また、速成発酵飼料の使用目的が、例えば、単に粗飼料としてだけであるのか、又は、バランスよく栄養源を含有させた完全飼料であるかによって、発酵時の栄養源の種類と量を適宜変更することができる。得られた速成発酵飼料は、栄養源の使用状況によっても変わってくるが、多くの場合、乳酸酸性で保存性も高く、嗜好性も高い。必要ならば、その保存性を更に高めるために、通風乾燥、加熱乾燥して水分を40%未満、望ましくは、30%未満に低減させて、保存し利用することも有利に実施できる。
このようにして得られた本発明の速成発酵飼料は、消化性も良く、嗜好性の高い高品質の飼料である。この速成発酵飼料は、主として反すう動物用飼料として用いられるが、必要に応じて、豚、家禽などの単胃動物用飼料として、とりわけ、整腸作用、感染予防作用、糞の悪臭予防などを発揮する飼料としても用いることができる。牛の場合、速成発酵飼料の種類、牛の成長段階によっても異なるが、通常、本速成発酵飼料を、1日、1頭当たり、約4乃至20kg又はそれ以上摂取し、1日当たりの体重増加量は、約2kg以上、好適時には、約2.5kg以上にも達する。
目的動物の種類、成長段階の違いなどによって、本速成発酵飼料に、更に他の栄養源を配合して利用することも有利に実施できる。
以下、アルカリ処理農産廃棄物と植物性濃厚飼料材料によるpH低下について、実験で詳細に説明する。
〈実験1:アルカリ処理に与えるアルカリ剤の影響〉
農産廃棄物の例としてバガスを用いて試験した。バガスに加水して水分70%とし、これに、アルカリ剤として、水酸化ナトリウム(NaOH)を、バガス固形物当たり、3%、5%又は7%を、酸化カルシウム(CaO)を、バガス固形物当たり、2%、3%、5%又は7%をできるだけ均一に混合して、室温下で放置し、得られるアルカリ処理バガスのpH変化、成分変化及び柔軟性を調べた。
pHは、混合直後、24時間目及び48時間目にサンプリングして測定した。その方法は、アルカリ処理バガス標品1重量部に純水2重量部を加えて混合し、10分間放置後、濾過し、濾液をpHメーターで測定した。成分は、原料バガス、24時間目及び48時間目のものについて、それぞれ8点ずつサンプリングし、それらのヘミセルロース、セルロース及びリグニン含量を測定し、平均値を求めた。
測定方法は、『食物繊維』、第38乃至46頁(1982年)、第一出版株式会社発行に記載されている「3.1 Van Soestのdetergent filter法」に準じて測定した。なお、原料バガスの成分の含量は、固形物当たり、ヘミセルロース28.7%、セルロース52.6%、リグニン11.9%であった。
バガスの柔軟性は、薄手のプラスチック製手袋をはめ、アルカリ処理バガスをにぎった際の柔軟性の良否を感触で調べた。結果は、表1にまとめた。
Figure 0003885084
表1において、ヘミセルロース、セルロース及びリグニンの項の数値は、原料バガス中のそれらの含量に対するアルカリ処理後の残存率(%)で示している。
表1の結果から明らかなように、pH変化についてみると、従来から使用されてきた水酸化ナトリウムは、酸化カルシウムと比較して、pH低下が緩慢な傾向にある。成分変化については、粗飼料として大切にしたいセルロース及びヘミセルロースが、水酸化ナトリウムを用いることにより、著しく分解、損失することが判明した。
これに対して、酸化カルシウムを用いたものは、セルロース及びヘミセルロースがほとんど損失せず、飼料原料として極めて好都合であることが判明した。バガスの柔軟性については、いずれの試験区もよく柔軟化されていた。
以上の結果から、アルカリ処理農産廃棄物を製造するためのアルカリ剤として、酸化カルシウムが極めて好適であることが判明した。
〈実験2:アルカリ処理に与える酸化カルシウムと水酸化ナトリウムとの併用〉
農産廃棄物の例としてバガスを用いて試験した。実験1の方法に準じて、バガスに加水して水分70%とし、これに酸化カルシウム(CaO)をバガス固形物当たり2%又は3%とともに水酸化ナトリウム(NaOH)をバガス固形物当たり1%、2%又は4%を混合して、得られるアルカリ処理バガスのpH変化、成分変化及び柔軟性を調べた。結果は、表2に示す。
Figure 0003885084
表2の結果から明らかなように、アルカリ剤として酸化カルシウムと水酸化ナトリウムとの併用は、実験1で行った酸化カルシウム単独使用の場合に似た傾向の長所が発揮されるという意外な事実が判明した。すなわち、いずれの試験区においても、酸化カルシウム単独使用の場合と同様にセルロース及びヘミセルロースの損失が少なく、柔軟性も充分であり、酸化カルシウムと水酸化ナトリウムの併用の好適なことが判明した。
以上の結果から、アルカリ処理農産廃棄物を製造するためのアルカリ剤として、とりわけ、水酸化ナトリウムを酸化カルシウム使用量を越えない範囲で含有させるのが、有効成分のセルロース及びヘミセルロースをよく残存し、しかもリグニンの分解も進んで、柔軟性もよい高品質の飼料用アルカリ処理農産廃棄物が得られるので好適であることが判明した。
〈実験3:アルカリ処理農産廃棄物のpH低下に与える植物性濃厚飼料材料の影響〉
実験2の方法で得た処理時間24時間目の各アルカリ処理農産廃棄物に対して、各種植物性濃厚飼料材料を混合して、それらの混合割合とpH低下の程度を測定した。すなわち、アルカリ処理農産廃棄物に対して、圧扁大麦、米糠、小麦麩及び脱脂大豆を、固形物当たり、それぞれ10%、20%、40%及び100%、更にそれぞれに等重量の水を混合した後、実験1の方法にしたがってpHを測定した。アルカリ処理農産廃棄物のpHとこれに植物性濃厚飼料材料及び水を混合した後のpHとの差を求め、更に使用した濃厚飼料材料毎に低下pHの平均値を求めた。結果を表3にまとめた。
Figure 0003885084
表3の結果から明らかなように、アルカリ処理農産廃棄物のpHを約1.0低下させる場合、例えばpH10.6のアルカリ処理農産廃棄物をエンテロコッカス属乳酸菌の生育可能域であるpH9.6付近まで低下させるには、使用する植物性濃厚飼料材料の種類によっても多少異なるが、通常、アルカリ処理農産廃棄物に対して、植物性濃厚飼料材料を、固形物当たり20%以上、望ましくは40%以上含有させるのが好適である。
このように、本発明は、そのままでは乳酸菌の生育が困難なpH10以上のアルカリ処理農産廃棄物に植物性濃厚飼料材料を含有せしめることにより、そのpHを低下して乳酸菌生育可能pH域とし、乳酸菌の接種と発酵を容易にし、発酵飼料の製造期間を大幅に短縮できるのに加えて、得られる発酵飼料の栄養価値を著しく高めることとなり、発酵飼料の製造にとって極めて有利である。
以下、本発明を具体的に説明するために、アルカリ処理農産廃棄物とともに植物性濃厚飼料材料を用いる速成発酵飼料の実施例を若干述べるが、本発明の技術的範囲は、この実施例だけに限定されるものではない。
バガスに加水して水分約70%とし、これに酸化カルシウム及び水酸化ナトリウムを、バガス固形物当たりそれぞれ4%、1%混合し、一夜放置してpH約10.5のアルカリ処理バガスを得た。このアルカリ処理バガス100重量部に、小麦麩15重量部、末粉10重量部、脱脂大豆5重量部、尿素0.2重量部、食塩0.2重量部及び水30重量部を混合してpHを9.7未満に低下させ、これにエンテロコッカス・ファエシウム HL−5(FERM BP−4504)の種培養物を接種し、これをプラスチックシートでカバーして室温下で2日間発酵させ、速成発酵飼料を得た。
本品は、消化性が良く、嗜好性の高い高品質の飼料であり、反すう動物用飼料として好適である。また、この速成発酵飼料に、他の栄養源を配合して、更に飼料価値を高めたり、豚、家禽などの単胃動物用飼料を製造することも有利に実施できる。
バガスに加水して水分約70%とし、これに水酸化ナトリウムを、バガス固形物当たり4%混合し、一夜放置してpH約10.6のアルカリ処理バガスを得た。このアルカリ処理バガス100重量部に、圧扁とうもろこし20重量部、小麦麩5重量部、末粉5重量部、尿素0.2重量部及び水30重量部を混合してpHを9.7未満に低下させ、これにエンテロコッカス・ファエシウム HL−5(FERM BP−4504)の種培養物を接種し、実施例1と同様に発酵させ、速成発酵飼料を得た。
本品は、消化性が良く、嗜好性の高い高品質の飼料であり、反すう動物用飼料として好適である。また、この速成発酵飼料に、他の栄養源を配合して、更に飼料価値を高めたり、豚、家禽などの単胃動物用飼料を製造することも有利に実施できる。
バガスに加水して水分約60%とし、これにアルカリ剤として、水酸化カルシウムと水酸化ナトリウムとを、バガス固形物当たりそれぞれ6%、2%混合し、一夜放置して、pH約10.7のアルカリ処理バガスを得た。このアルカリ処理バガス100重量部に、小麦麩20重量部、脱脂大豆10重量部、糖蜜10重量部、リン安0.2重量部及び水50重量部を混合してpHを9.7未満に低下させ、これにエンテロコッカス・カッセリフラブス IFO 3531及びラクトバシラス・プランタラム IFO 3070の種培養物をそれぞれ接種し、実施例1と同様に発酵させ、速成発酵飼料を得た。
本品は、消化性が良く、嗜好性の高い高品質の飼料であり、反すう動物用飼料として好適である。また、この速成発酵飼料に、他の栄養源を配合して、更に飼料価値を高めたり、豚、家禽などの単胃動物用飼料を製造することも有利に実施できる。
水分約47%のバガスに、アルカリ剤として酸化カルシウムと水酸化ナトリウムとを、バガス固形物当たりそれぞれ4%、2%混合し、一夜放置して、pH約10.6のアルカリ処理バガスを得た。このアルカリ処理バガス100重量部に、小麦麩10重量部、脱脂大豆10重量部、コーングルテンミール5重量部、糖蜜10重量部、硫安0.2重量部及び水60重量部を混合してpHを9.7未満に低下させ、これにエンテロコッカス・フェカリス IFO 3791及びラクトバシラス・ブレビス IFO 3345の種培養物をそれぞれ接種し、フレキシブルバッグに充填して、室温下で2日間発酵させて速成発酵飼料を得た。
本品は、消化性が良く、嗜好性の高い高品質の飼料であり、反すう動物用飼料として好適である。また、この速成発酵飼料に、他の栄養源を配合して、更に飼料価値を高めたり、豚、家禽などの単胃動物用飼料を製造することも有利に実施できる。
水分約45%のバガスに、アルカリ剤として酸化カルシウムと水酸化ナトリウムとを、バガス固形物当たりそれぞれ2.5%ずつ混合し、一夜放置して、pH約10.8のアルカリ処理バガスを得た。このアルカリ処理バガス100重量部に、小麦麩20重量部、圧扁大麦5重量部、脱脂米糠5重量部、糖蜜10重量部、ホエー5重量部及び水70重量部を混合してpHを9.7未満に低下させ、これに、エンテロコッカス・ファエシウム HL−5(FERM BP−4504)、ラクトバシラス・ラムノサス IFO 3532、ラクトバシラス・アシドフィラス IFO 13952の種培養物をそれぞれ接種し、フレキシブルバッグに充填して、室温下で3日間発酵させて、速成発酵飼料を得た。
本品は、消化性が良く、嗜好性の高い高品質の飼料であり、反すう動物用飼料として好適である。また、この速成発酵飼料に、他の栄養源を配合して、さらに飼料価値を高めたり、豚、家禽などの単胃動物用飼料を製造することも有利に実施できる。
実施例4の方法で得た速成発酵飼料を熱風乾燥して、水分約20%の乾燥速成発酵飼料を製造した。
本品は、消化性が良く、嗜好性の高い高品質の飼料で、その保存性もよく、遠方への移送にも適している。
とうもろこし穂軸に加水して水分約50%とし、これに酸化カルシウムと水酸化ナトリウムとを、とうもろこし穂軸固形物当たりそれぞれ2.5%ずつ混合し、一夜放置してpH約10.5のアルカリ処理とうもろこし穂軸を得た。このアルカリ処理とうもろこし穂軸100重量部に、圧扁大麦20重量部、菜種粕15重量部、小麦麩10重量部、末粉5重量部及び水66重量部を混合してpHを9.7未満に低下させ、これにエンテロコッカス・ファエシウム HL−5(FERM BP−4504)及びラクトバシラス・ラムノサス IFO 3532の種培養物をそれぞれ接種し、フレキシブルバッグに充填して、室温下で2日間発酵させて速成発酵飼料を得た。
本品は、消化性が良く、嗜好性の高い高品質の飼料であり、反すう動物用飼料として好適であるのみならず、豚、家禽などの単胃動物用飼料としても有利に利用できる。
こうりゃん幹に加水して水分約50%とし、これに酸化カルシウムと水酸化ナトリウムとを、こうりゃん幹固形物当たりそれぞれ3%、2%混合し、一夜放置してpH約10.6のアルカリ処理こうりゃん幹を得た。このアルカリ処理こうりゃん幹100重量部に、小麦麩15重量部、末粉5重量部、圧扁とうもろこし10重量、脱脂大豆10重量部、フェザーミール0.2重量部及び水45重量部を混合してpHを9.7未満に低下させ、これにエンテロコッカス・ファエシウム HL−5(FERM BP−4504)の種培養物を接種し、フレキシブルバッグに充填して、室温下で2日間発酵させて速成発酵飼料を得た。
本品は、消化性が良く、嗜好性の高い高品質の飼料であり、反すう動物用飼料として好適であるのみならず、豚、家禽などの単胃動物用飼料としても有利に利用できる。
小麦わらに加水して水分約50%とし、これに酸化カルシウムと水酸化ナトリウムとを、小麦わら固形物当たりそれぞれ5%、1%混合し、一夜放置してpH約10.8のアルカリ処理小麦わらを得た。このアルカリ処理小麦わら100重量部に、圧扁こうりゃん15重量部、小麦麩5重量部、脱脂大豆10重量部、糖蜜10重量部、尿素0.2重量部、骨粉0.1重量部及び水40重量部を混合してpHを9.7未満に低下させ、これにエンテロコッカス・ファエシウム HL−5(FERM BP−4504)の種培養物を接種し、これをプラスチックシートでカバーして室温下で2日間発酵させて速成発酵飼料を得た。
本品は、消化性が良く、嗜好性の高い高品質の飼料であり、反すう動物用飼料として好適である。また、この速成発酵飼料に、他の栄養源を配合して、更に飼料価値を高めたり、豚、家禽などの単胃動物用飼料を製造することも有利に実施できる。
重量部で3:1のもみ殻と大麦わらとの混合物に加水して水分約50%とし、これに酸化カルシウムと水酸化ナトリウムとを、混合物固形物当たりそれぞれ4.3%、2.2%混合し、一夜放置して、pH約11.0のアルカリ処理物を得た。このアルカリ処理物40重量部に、圧扁とうもろこし40重量部、圧扁大麦30重量部、小麦麩16重量部、脱脂米糠6重量部、糖蜜10重量部及び水90重量部を混合してpHを9.7未満に低下させ、これに、エンテロコッカス・ファエシウム HL−5(FERM BP−4504)、ラクトバシラス・ラムノサス IFO 3532、ラクトバシラス・アシドフィラス IFO 13952の種培養物をそれぞれ接種し、フレキシブルバッグに充填して、室温下で2日間発酵させて、速成発酵飼料を得た。
本品は、消化性が良く、嗜好性の高い高品質の飼料であり、反すう動物用飼料として好適である。また、この速成発酵飼料に、他の栄養源を配合して、さらに飼料価値を高めたり、豚、家禽などの単胃動物用飼料を製造することも有利に実施できる。
体重400乃至500kgの牛20頭に、実施例4の方法で得た速成発酵飼料を与えて60日間飼育した。速成発酵飼料の嗜好性は高く、1日当たりの摂取量は約20乃至25kgにもなり、その健康状態、肥育状況は良好で、1日当たりの平均体重増加量は約2.1kgであった。
本発明は、単に、廃棄物処理に困っている農業者、農産物加工業者や、粗飼料不足に悩む牧畜業者を救うにとどまらず、その影響は、飼料分野及び畜産加工分野など極めて広範に及ぶ。更に、これを大きく地球規模からながめたとき、人の食糧と全く競合せず、毎年大量に生産される未利用バイオマスである農産廃棄物から、新たに、人の食糧となる畜肉製品、乳製品を大量に提供することとなり、正に、環境破壊、人口爆発、食糧危機などの難題をかかえている地球の未来を救う新技術の確立と言っても過言ではなく、その影響の大きさは計り知れないものがある。

Claims (7)

  1. 産廃棄物に、当該農産廃棄物固形物当たり2%以上の酸化カルシウムと、当該農産廃棄物固形物当たり1%以上かつ酸化カルシウムの量を超えない量の水酸化ナトリウムを添加して、当該農業廃棄物のpHを約10.5乃至12に調節する工程、植物性濃厚飼料材料を当該農業廃棄物に添加して、pHを10未満に調節する工程、pH9.5以上又は塩化ナトリウム濃度6.5w/w%の培地で増殖能を有する乳酸菌菌種を当該農業廃棄物に含有せしめて発酵させる工程を含むことを特徴とする速成発酵飼料の製造方法。
  2. 産廃棄物が、バガス、ケイントップ、とうもろこし穂軸、とうもろこし幹、こうりゃん幹、もみ殻、麦わら、大麦わら、落花生殻、樹皮、木片、竹又は笹であることを特徴とする請求項に記載の速成発酵飼料の製造方法。
  3. 植物性濃厚飼料材料が、穀類破砕物、糠類及び粕類から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の速成発酵飼料の製造方法。
  4. 乳酸菌種菌として、エンテロコッカス属に属する乳酸菌を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の速成発酵飼料の製造方法。
  5. エンテロコッカス属に属する乳酸菌が、エンテロコッカス・ファエシウム、エンテロコッカス・カッセリフラブス、エンテロコッカス・ズランス、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・ファエシウム又はエンテロコッカス・ヒラエであることを特徴とする請求項に記載の速成発酵飼料の製造方法。
  6. さらに、ラクトバチルス属、ペディオコッカス属又はストレプトコッカス属に属する乳酸菌菌種を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の速成発酵飼料の製造方法。
  7. 農産廃棄物に、酸化カルシウムと、当該酸化カルシウムの量を超えない量の水酸化ナトリウムを添加して、当該農業廃棄物のpHを約10.3以上に調節することを特徴とする農産廃棄物のアルカリ処理方法。
JP2005126160A 1995-06-26 2005-04-25 速成発酵飼料とその製造方法並びに用途 Expired - Fee Related JP3885084B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005126160A JP3885084B2 (ja) 1995-06-26 2005-04-25 速成発酵飼料とその製造方法並びに用途

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18056095 1995-06-26
JP2005126160A JP3885084B2 (ja) 1995-06-26 2005-04-25 速成発酵飼料とその製造方法並びに用途

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8177146A Division JPH0970260A (ja) 1995-06-26 1996-06-19 速成発酵飼料とその製造方法並びに用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005218458A JP2005218458A (ja) 2005-08-18
JP3885084B2 true JP3885084B2 (ja) 2007-02-21

Family

ID=34994585

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005126160A Expired - Fee Related JP3885084B2 (ja) 1995-06-26 2005-04-25 速成発酵飼料とその製造方法並びに用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3885084B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108967705A (zh) * 2018-09-30 2018-12-11 泰兴市九鼎饲料有限公司 一种发酵猪饲料及其制备工艺

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101743663B1 (ko) * 2016-12-02 2017-06-20 농업회사법인 그린그래스 주식회사 임자박을 이용한 사료조성물 및 그 제조방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108967705A (zh) * 2018-09-30 2018-12-11 泰兴市九鼎饲料有限公司 一种发酵猪饲料及其制备工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005218458A (ja) 2005-08-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AP528A (en) Fermented Bagasse feed, and its preparation and uses.
US5545418A (en) Alkali-treated bagasse, and its preparation and uses
US6077546A (en) Quick-fermented feed and method of preparing
CN101558819B (zh) 果蔬废渣发酵生物饲料及其生产方法
CN1279835C (zh) 一种发酵法消除豆粕中抗营养因子的方法
CN104543393A (zh) 一种食药用菌菌糠综合利用的加工方法
CN105053566B (zh) 一种车梁木籽蛋白酵素饲料添加剂及其制备方法
CN113604404B (zh) 一种凝结芽孢杆菌ysf17及其用途
CN101843297A (zh) 一种提高棉粕蛋白含量并可脱毒的生物发酵法
CN110317753A (zh) 一种巨大芽孢杆菌菌剂、液体发酵工艺及其应用
KR20200087388A (ko) 농업 폐기물을 이용한 사료 첨가제 및 그의 제조 방법
CN102084929A (zh) 一种生物饲料蛋白、其生产系统及应用
GB2167639A (en) Animal food from protein-containing waste materials
CN112471332A (zh) 一种含复合酶无抗乳猪保育料及其制备方法
JP3885084B2 (ja) 速成発酵飼料とその製造方法並びに用途
JP5196094B2 (ja) γ−アミノ酪酸含有組成物を含む飼料とその製造方法
KR102370009B1 (ko) 반려견 사료용 조성물 제조방법 및 이에 의해 제조된 반려견 사료용 조성물
CN106190886A (zh) 一种固态发酵制备粪肠球菌的方法
JPH0970260A (ja) 速成発酵飼料とその製造方法並びに用途
JP3379034B2 (ja) 発酵バガス飼料とその製造方法並びに用途
CN108260708A (zh) 一种反刍动物专用的无抗发酵复配饲料及其制备方法
JP3852862B2 (ja) アルカリ処理バガスとその製造方法並びに用途
CN110384179A (zh) 利用枯草芽孢杆菌生产发酵白酒糟的方法、饲料添加剂及应用
Belewu et al. Performance characteristics of goat fed Trichoderma treated feather meal-rice husk mixture
JPH01206958A (ja) 飼料用ビール粕発酵物の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060711

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061120

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121124

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121124

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131124

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees