JP3884444B2 - 音響電気変換システム - Google Patents

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Description

本発明は、音圧によって振動する振動板の変位を、光を用いて検出する音響電気変換システムに関し、特に、振動板を変調する音響電気変換システムに関する。
マイクロフォンは、一般に、ダイナミックマイクロフォン、コンデンサマイクロフォン、光マイクロフォンの3つに分類される。ダイナミックマイクロフォンは、一般的にもっとも知られているマイクであり、人の耳の鼓膜に相当する振動板と、振動板の中央に取り付けられたボイスコイルと、そのボイスコイルを挟むように位置する磁石とから構成される。すなわち、ダイナミックマイクロフォンは、ダイナミックスピーカーと同様な構造を有し、音響信号から電気信号への変換、すなわちダイナミックスピーカーとは逆の信号変換工程により機能する。このようにダイナミックマイクロフォンは、きわめて簡単な構造であるため、気候条件に関する制約も少なく取り扱いが容易である。しかしながら、ダイナミックマイクロフォンは、振動板であるダイアフラムに重いボイスコイルを接合した構造を有するため、より小さなサイズで実現することが困難であり、また、感度が低く、周波数特性の両端で感度が極端に落ちる傾向があるという欠点を有する。
コンデンサマイクロフォンは、サイズおよび感度に関するダイナミックマイクロフォンの欠点を克服したマイクロフォンである。コンデンサマイクロフォンは、コンデンサを構成する2つの金属板の一方をダイアフラムとして置き換えた構造を有し、音圧によるダイアフラムの振動変位を静電容量の変動として検出する。コンデンサマイクロフォンは、ダイナミックマイクロフォンのようにボイスコイルが不要であり、振動板は1枚の軽くて薄い板により実現されるため、周波数特性が非常に優れている。しかしながら、湿度に非常に弱いという欠点を有しており、指向性および耐雑音性の点でも改良の余地がある。
これに対し、光マイクロフォンは、ダイナミックマイクロフォンおよびコンデンサマイクロフォンの欠点を克服する、優れたマイクロフォンとして注目されている。光マイクロフォンは、音圧によって振動する振動板と、振動板に光を照射する光源と、振動板から反射された光の強度の変化を振動板の振動変位として検出する光検出器と、から構成される。このように、光マイクロフォンは、振動板と振動変位を検出する光検出系とが完全に独立した系であるため、非常に雑音に強い。また、光検出器から出力される信号を負帰還信号として光源に入力し、これにより感度を調節することができる光マイクロフォンも提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2001−244854号公報 特開2001−119784号公報 特開2001−119785号公報
しかしながら、従来の光マイクロフォンにおいて、特定の周波数帯域の音波に対する感度を上昇させるには、光検出器によって検出された信号に対して、周波数フィルタリング処理や増幅処理を行う必要があった。そのような処理を実現するための付加的な機構(例えば、フィルタ回路、増幅回路、ソフトウェア演算処理)は、マイクロフォンを搭載する携帯電話などの電子機器において、回路規模の増大や処理負荷の増大を招いていた。
特許文献1〜3に提案されている光マイクロフォンは、指向性を向上させる観点から光源の光照射量を制御するものであり、フィルタリング機能を提供するものではない。そのため、これら提案された光マイクロフォンであっても、上記したような付加的な機構が必要となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、音信号に対するフィルタリング機能および増幅機能を簡単な回路の追加によって実現することができる音響電気変換システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる音響電気変換システムは、空洞および第1の導電層を有する基板と、第2の導電層を有し、前記空洞の上方に位置して音圧により振動する振動板と、を具備する音響電器変換素子と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に、前記振動板を能動的に振動させるための駆動電圧を印加する駆動手段と、前記振動板の上面に光を照射する光源と、前記駆動電圧による能動的な振動と音圧による受動的な振動とが重畳された前記振動板の振動に応じて前記振動板の上面を反射した光を検出し、検出した結果を検出信号として出力する光検出器と、前記検出信号から音信号を生成する信号処理手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明にかかる音響電気変換システムは、振動板と基板との間に電圧を印加することによって、振動板を能動的に振動させることができ、音信号に対するフィルタリング機能や増幅機能を提供することができる。
以下に、本発明にかかる音響電気変換素子および音響電気変換システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。但し、図面は模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは現実のものとは異なる。また、図面の相互間において同じ部分を指す場合であっても、互いの寸法や比率が異なって示されている部分もある。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる音響電気変換素子は、振動板に導電層が形成されていることを特徴とする。特に、実施の形態1では、音響電気変換素子と信号処理部とで構成される音響電気変換システムによって、振動板とそれを支持する支持基板との間に、振動板の変位に相当する音信号に応じた電圧が印加される。
図1は、実施の形態1にかかる音響電気変換素子を備えた音響電気変換システムの概略図である。図1において、音響電気変換システム100は、音響電気変換素子10と信号処理部3によって構成され、音響電気変換素子10は、音波感知素子1と光検出部2とによって構成される。音波感知部1は、支持基板11と、支持基板11上に設けられた固定部12a,12bと、音圧によって振動する振動板14と、振動板14と固定部12a,12bとをそれぞれ接続する弾性接続部13a,13bと、を備えて構成される。振動板14と支持基板11の間には、空洞16が形成されており、振動板14の下面は、支持基板11の上面と対向している。すなわち、振動板14は、弾性接続部13a,13bによって懸架されており、音波を受けることによって、振動板14の厚み方向として定義される上下方向に振動することができる。
また、振動板14には、導電層15が形成されている。導電層15は、振動板14の下面に近い位置に形成されることが好ましい。さらに、振動板14の上面には、回折格子が設けられていることが好ましい。
支持基板11は、導電性の基板であり、半導体集積回路の形成に用いられる汎用的なシリコン基板を用いることができる。固定部12a,12b、振動板14、弾性接続部13a,13b、空洞16もまた、半導体集積回路を形成する技術を用いて形成することができる。すなわち、半導体集積回路を形成する材料を用い、周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、およびエッチング工程によって、音波検知素子1を作製することが可能である。なお、導電層15および支持基板11は、それぞれに接続された配線を介して、音波感知素子1の周辺回路と電気的に接続可能である。なお、支持基板11は、その内部や表面に、導電性の層を有していれば、それ自体が導電性を示さなくてもよい。この場合、その導電性の層が周辺回路と接続される。
光検出部2は、光源20と光検出器30を備えて構成される。光源20は、高指向性の発光素子であり、好ましくは半導体レーザである。光源20は、振動板14の上面、好ましくはその上面の中央付近を斜め上方から照射することのできる位置に配置される。光源20から照射された光21は、振動板14の上面で反射される。光検出器30は、この反射光を受光できる位置に配置され、例えば、2分割フォトディテクタやイメージセンサである。
振動板14は、上述したように、音圧によって振動することにより、その上下位置が変動する。よって、その変動に応じて、振動板14の上面に達した光の位置もその上面の面内において変動する。また、反射光の光路も変動する。反射光の光路の変動は、光検出器30において光の強度分布の変化として検出され、検出信号として光検出器30から出力される。
光検出器30から出力された検出信号は、音響電気変換素子10の外部の信号処理部3に入力される。信号処理部3は、信号処理回路40を有し、信号処理回路40は、検出信号を音信号に変換する。また、信号処理部3は、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)50を有しており、信号処理回路40から出力された制御信号に基づいて、所定のバイアス電圧Vbに任意の周波数の信号を重畳した駆動電圧Vpを出力する。この駆動電圧Vpは、振動板14に形成された導電層15と支持基板11との間に印加される。この駆動電圧Vpによって、導電層15と支持基板11との間に静電気力が生じ、導電層15は支持基板11へと引っ張られる。結果的に、導電層15を有する振動板14が、駆動電圧Vpに重畳された周波数に応じて振動する。換言すれば、音圧によって受動的に振動する振動板14を、さらに、その振動周波数に応じた周波数で能動的に振動させることができる。
導電層15が振動板14の下面に形成されている場合、振動板14が支持基板11へ引っ張りつけられるしきい電圧Vthは次式で表される。
th=√(8kd3/27Aεε0 ・・・(1)
ここで、dは振動板14の下面と支持基板11の上面との間の距離を示し、kは振動板14のバネ定数を示し、Aは振動板14の下面の面積を示す。また、ε0=8.854×10-12 (N/m)、εは空気の比誘電率であり、1とする。
この際、振動板14と支持基板11との間に生じる静電気力は次式で表される。
e=Aεε02/2d2 ・・・(2)
よって、振動板14と支持基板11との間に印加するバイアス電圧Vbは、上記(1)式で表されるしきい電圧Vth以上である必要がある。図2−1〜図2−3は、音圧による受動的な振動板14の振動と、駆動電圧Vpの印加による能動的な振動板14の振動との関係を説明するための図である。図2−1は、振動板14が受ける音圧の例を示し、図2−2は、その音圧による振動板14の振動を検出した結果(すなわち検出信号)に基づいて生成される駆動電圧Vpの例を示す。図2−2に示す駆動電圧Vpは、バイアス電圧Vbに、検出信号から得られた音信号と同じ周波数成分が重畳された信号である。特に、この駆動電圧Vpを構成する周波数成分は、振幅も音信号と同様に変動している。
図2−2に示す駆動電圧Vpが導電層15と支持基盤11との間に印加されることによって、振動板14は、図2−2に示す波形のように能動的に振動する。振動板14は、この能動的な振動に加え、音圧によっても振動する。振動板14が図2−2に示すような波形によって能動的に振動している間、再度、振動板14が図2−1に示す周波数成分を有する音波を受けると、その周波数成分を有する振動が強められる。この強められた振動は、光検出器30および信号処理回路40によって、増幅された音信号として処理される。すなわち、増幅回路を設けずとも、音響電気変換素子10と信号処理部3によって、音信号の増幅機能を発現することができる。特に、図2−2では、音圧に応じて駆動信号電圧Vpの振幅も変動するため、大きな音圧はより大きな音信号として増幅される。
図2−3は、図2−1に示す音圧によって振動板14の振動を検出した結果(すなわち検出信号)に基づいて生成される駆動電圧Vpの他の例を示す。図2−3に示す駆動電圧Vpは、図2−1に示した音圧と同様な周波数成分を有するが、その振幅は一定である。よって、この駆動電圧Vpが導電層15と支持基盤11との間に印加されると、図2−1に示す周波数成分を有する音圧を一定の増幅率で増幅することができる。
上述した増幅は、振動板の振動の位相と音圧の位相が一致したときに実現する。逆に、振動板の振動の位相と音圧の位相が逆である場合には、能動的な振動板の振動と音圧とは打ち消し合い、感度が低下する。この特性を生かして、音圧の位相情報を検出することができる。音圧の位相は、音響電気変換素子10と音源との間の距離に依存するので、例えば、音響電気変換素子10の左右から音波を受ける場合と、音響電気変換素子10の上方から音波を受ける場合とでは位相差が異なる。1波長程度の位相差を上述した機能を利用し検出することで、音源の位置を特定することが可能となる。様々な音源が混在する音場において、抽出すべき音源の位置を特定することは、音声認識技術で有用な機能を果たす。
次に、音波感知素子1の具体的な構造を説明する。ここでは、特に、振動板の上面に回折格子が設けられた例を示す。図3は、その音波感知素子の断面図である。図3において、音波感知素子110は、支持基板111の上に、埋め込み絶縁層112、素子分離絶縁層113、層間絶縁層114、導電層131、およびパッシベーション層115が順次積層された多層構造を有している。支持基板111は単結晶シリコンで形成され、埋め込み絶縁層112はSOI(Silicon On Insulator)酸化膜で形成され、素子分離絶縁層113はTEOS(Tetraethoxyorthosilicate)酸化膜で形成される。また、層間絶縁層114はシリコン酸化膜で形成され、導電層131はアルミニウムで形成され、パッシベーション層115は窒化シリコン膜で形成される。
支持基板111には空洞116が形成されている。上記多層構造のうち、この空洞116の周縁であり且つ支持基板111の上面に位置する部分によって固定部104a,104bが構成される。具体的には、固定部104a,104bは、埋め込み絶縁層112、素子分離絶縁層113、層間絶縁層114、およびパッシベーション層115によって構成される。
上記多層構造のうち、空洞116の中央上方に位置する部分によって、振動板102が構成される。具体的には、固定部104a,104bは、埋め込み絶縁層112、素子分離絶縁層113、層間絶縁層114、導電層131、およびパッシベーション層115によって構成される。特に、振動板102を構成するパッシベーション層115は、回折格子130を構成している。導電層131は、この回折格子130の内部に配置される。
上記多層構造のうち、空洞116の側面上方に位置する部分によって、弾性接続部105a,105bが構成される。具体的には、弾性接続部105a,105bは、埋め込み絶縁層112、素子分離絶縁層113、および層間絶縁層114によって構成される。また、弾性接続部105a,105bを構成する素子分離絶縁層113の内部には、それぞれポリシリコン接続体121a,121bが形成されている。弾性接続部105a,105bは、振動板103を空洞116上で懸架するために、振動板102を、固定部104a,140bに接続する。
固定部104aと弾性接続部105aの間と、弾性接続部105aと振動板102の間と、弾性接続部105bと振動板102の間と、固定部104bと弾性接続部105bの間には、上面から空洞116へと貫通する孔H1、H2、H3、H4がそれぞれ形成されている。これら孔は、空洞116を形成するためのエッチャント投入路として機能する。
図4−1および図4−2は、回折格子130の例を示す図である。図4−1は、回折格子130が2次元格子として形成された例を示した鳥瞰図であり、図4−2は、回折格子130が1次元格子として形成された例を示した鳥瞰図である。図4−1に示すように、回折格子130が2次元格子である場合、導電層131もまた2次元格子状に形成される。図4−2に示すように、回折格子130が複数の1次元格子130a〜130gで形成される場合、導電層131もまた格子131aのように、複数の直線として形成される。光源20から照射された光が、振動板102上の回折格子130に入射すると、回折光となって光検出器30に自己結像する。すなわち、回折格子130を設けることによって、光検出部2において、光源20から照射された光や振動板102から反射された光を任意の方向に導くためのレンズ、光ファイバ、光ガイドなどの光学部品が不要となる。
図5は、図3に示した音波感知素子110の平面図である。図5において、X−X線に沿った断面図が図3に相当する。振動板102は、固定部104a,104bに、2本の折れ曲がり形状の弾性接続部105a,105bを介して懸架される。また、導電層131の一部は、固定部104aに設けられた接続端子140と電気的に接続されるように、弾性接続部105a上にパターニングされている。この接続端子140は、電圧制御発振器50に接続される。
以下に、図3に示した音響電気変換素子110の製造方法を説明する。特にここでは、信号処理回路40や電圧制御発振器50などの周辺回路を、音響電気変換素子110と同一の基板(すなわち支持基板111)上に形成する例を説明する。
まず、支持基板111上に、埋め込み絶縁層112および単結晶シリコン層(SOI層)119が順次積層された、SOI基板を準備する(図6−1)。 次に、単結晶シリコン層119を、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等の周知のエッチング工程によって選択的に除去する。この選択的除去によって、周辺回路形成領域のみに単結晶シリコン層119が残留する(図示せず)。次に、素子分離絶縁層113を、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法等の周知の成膜工程によって形成し、その表面を、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法等の周知の平坦化工程によって平坦化する(図6−2)。この平坦化工程によって、図示しない周辺回路形成領域が素子分離絶縁層113で囲まれる。
次に、素子分離絶縁層113のうち、ポリシリコン接続体121a,121bが形成される部分を、RIE法等の周知のエッチング工程によって選択的に除去し、溝120a,120bを形成する(図6−3)。なお、この溝120a,120bの形成工程において、周辺回路を形成するのに必要なパターニングも行なわれる。
次に、周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程によって、周辺回路に必要なポリシリコン配線パターンを形成する。ポリシリコン接続体121a,121bは、これら工程の際に、溝120a,120b内に埋め込まれる(図6−4)。
次に、素子分離絶縁層113の表面に、周知の成膜工程によって、層間絶縁層114を形成し、その表面を上記同様の平坦化工程により平坦化する(図6−5)。なお、層間絶縁層114は、上記したポリシリコン配線パターンの上にも形成される。次に、導電層131となる金属材料を、スパッタリング等の周知の成膜工程により層間絶縁層114上に形成し(図6−6)、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程によってパターニングする(図6−7)。これにより、回折格子130と同様の形状の導電層131が得られる。
次に、層間絶縁層114上と導電層131上に、CVD法等の周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、およびエッチング工程によって、パターニングされたパッシベーション層115を形成する(図6−8)。このパッシベーション層115のパターニングにより、固定部104a,104bの一部と、回折格子130が得られる。
次に、フォトリソグラフィ工程およびRIE法やECR(Electron Circular Resonator)イオンエッチング法等の周知のエッチング工程によって、層間絶縁層114、素子分離絶縁層113、および埋め込み絶縁層112を貫通する孔H1〜H4を形成する(図6−9)。換言すれば、振動板102を貫通する孔H1〜H4を形成する。
最後に、支持基板111に対して異方性エッチングを行なうために、孔H1〜H4に、TMAH(tetramethylammonium hydroxide)等のエッチャントを投入する。これにより、支持基板111に空洞部116が形成される(図6−10)。以上の工程によって、図3に示した音響電気変換素子110が得られる。
なお、図6−9に示した工程において、回折格子130の格子間に、層間絶縁層114、素子分離絶縁層113、および埋め込み絶縁層112を貫通する孔を形成し、それら孔からエッチャントを投入してもよい。図7は、この工程によって得られた音響電気変換素子の断面図である。図7に示す音響電気変換素子210において、回折格子130の格子間には孔H11〜H18が形成されている。このように、エッチャントの投入路を増やすことによって、空洞116をより短時間で形成することができる。
以上に説明したように、実施の形態1にかかる音響電気変換素子10は、振動板14に導電層15が形成されている。よって、その音響電気変換素子10を備えた音響電気変換システム100において、音響電気変換素子10の導電層15と導電性の支持基板11との間に、所定の電圧を印加することによって、振動板14を能動的に振動させることができる。特に、実施の形態1では、その所定の電圧は、光検出された振動板14の振動周期に基づいて生成される。これにより、増幅回路を用いずとも、音信号を増幅させることができ、音信号のための信号処理系への負荷を軽減することができる。
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2にかかる音響電気変換システムについて説明する。実施の形態2にかかる音響電気変換システムは、実施の形態1にかかる音響電気変換素子と、信号処理回路と、音響電気変換素子の振動板とそれを支持する支持基板との間に所定の周波数の電圧を印加する振動板駆動部と、を備えることを特徴としている。
図8は、実施の形態2にかかる音響電気変換システムの概略図である。なお、図8において、図1と共通する部分には同一の符号を付している。図8に示す音響電気変換システム300は、音波感知素子1と、光検出部2と、光検出部2から出力された検出信号を音信号に変換する信号処理回路301と、音響感知素子1の振動板14と支持基板11との間に所定の駆動電圧を印加する振動板駆動部302と、を備えて構成される。
すなわち、実施の形態2にかかる音響電気変換システム300は、音響変換電気素子10に接続される周辺回路、すなわち、信号処理回路301および振動板駆動部302が、図1に示した音響電気変換システム100と異なる。
光検出器30から出力された検出信号は、信号処理回路301に入力され、音信号に変換される。振動板駆動部302は、電圧制御発振器350と制御信号生成回路360を備えている。電圧制御発振器350は、制御信号生成回路360から出力された制御信号に基づいて、所定のバイアス電圧Vbに任意の周波数の信号を重畳した駆動電圧Vpを出力する。この駆動電圧Vpは、振動板14に形成された導電層15と支持基板11との間に印加され、振動板14を能動的に振動させる。制御信号生成回路360から出力された制御信号は、電圧制御発振器350を特定の単一周波数で発振させるための特定の電圧値である。すなわち、振動板14と支持基板11との間に印加される駆動電圧Vpは、信号処理回路301において得られた音信号とは無関係な周波数で発振する。これにより、振動板14を所望の周波数で振動させることができる。
図9−1〜図9−3は、音圧による受動的な振動板14の振動と、駆動電圧Vpの印加による能動的な振動板14の振動との関係を説明するための図である。図9−1は、電圧制御発振器350から出力される駆動電圧Vpの例であり、この駆動電圧Vpは周波数faで発振する。また、図9−2は、振動板14が受ける音圧の例を示し、図9−3は、駆動電圧Vpによって能動的に振動している振動板14が図9−2に示す音圧を受けた際に、信号処理回路301で得られる音信号の例を示す。図9−3に示す音信号では、図9−2に示す音圧のうち、周波数faを有する信号成分が強調され、他の周波数を有する信号成分は弱まっている。すなわち、フィルタ回路を設けずとも、音響電気変換素子10と信号処理回路301、振動板駆動部302によって、音信号のフィルタ機能を発現することができる。なお、電圧制御発振器350を、特定の単一周波数ではなく、特定の範囲の周波数で順次発振させることによって、バンドパスフィルタの機能を発現させることもできる。
以上に説明したように、実施の形態2にかかる音響電気変換システム300は、音響電気変換素子10の振動板14を所望の周波数で能動的に振動させることができる。これにより、フィルタ回路を設けずとも、音信号をフィルタリングすることができ、音信号のための信号処理系への負荷を軽減することができる。
また、あらかじめ収録した音声の信号で振動板を駆動させることもできる。これにより本人の音声を特徴付ける周波数成分を増大させることができ、音響電気変換システム300を音声認識のようなシステムとして活用することも可能である。
なお、実施の形態1において、振動板14上に形成される回折格子130は、単純な2次元格子または1次元格子であるが、2次元格子を構成する各凹部にマス部が付加された回折格子を用いてもよい。半導体MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術によって作製されたセンサは、微細構造を有することから、一般的に、高い周波数領域の信号を検出する素子として用いられる。可聴帯域で感度を持たせるため、ダイアフラムの共振周波数を下げる手法として、バネ定数を低くする、あるいはマスの質量を高くする処置を講じられている。機械的信頼性を考慮するとバネを柔らかくするよりも、マスの質量を大きくするのがよい。図10−1および図10−2は、回折格子が形成された振動板502において、2次元格子を構成する各凹部内に、質量を付加するための付加マス部として振動子Xi,jを形成した構造を示している。
図10−1に示す振動板502は、額縁状の固定枠51と、この固定枠51に両端部を固定され、行方向及びこの行方向に直交する列方向にそれぞれ延伸し、額縁状の固定部51が囲む空間に格子を構成するように配置された複数の固定梁52と、各凹部に配置された複数の振動子Xi,j(i=1〜3,j=1〜3)と、複数の振動子Xi,jのそれぞれと固定梁52とを接続する弾性梁hai,j,hbi,j,hci,j,hdi,j(i=1〜3,j=1〜3)とを備える。すなわち、それぞれ、一枚の主マスとなるダイアフラム状の振動子Xi,jは、4本の弾性梁hai,j,hbi,j,hci,j,hdi,jによって固定梁52と連結されている。なお、4本の弾性梁hai,j,hbi,j,hci,j,hdi,jは、それぞれ小型の副マスとして機能する。なお、固定梁52は、弾性接続部505a,505b,505c,505dによって、固定部51と連結されている。
図10−2に示すように、この振動板502には、共振周波数が異なる3つのエレメント、すなわち、固定梁52のエッジeaと、振動子Xi,jのエッジebと、弾性梁hai,j,hbi,j,hci,j,hdi,jのエッジecとが存在する。これにより、広帯域の周波数を、一枚の振動板502で構築することが可能となる。すなわち、それぞれのエッジea,eb,ecの関係する質量を考慮すると、エッジea,eb,ecの各共振周波数fa0,fb0,fc0は、fa0<fb0<fc0の関係を満たす。センサ面上では、3種類の異なる配列で並ぶ回折像が現れるが、一番変位の大きな回折像を検出に用いることで、任意の周波数に追随できる。
本発明は、上述したような特定の実施形態に限定されるものではなく、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。すなわち、本発明にかかる実施の形態は、添付の特許請求の範囲およびその均等物にかかる発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
以上のように、本発明にかかる音響電気変換システムは、音センサや光マイクロフォンを構成する素子として有用である。
実施の形態1にかかる音響電気変換素子を備えた音響電気変換システムの概略図である。 振動板が受ける音圧の例を示す図である。 音圧による振動板の振動を検出した結果に基づいて生成される駆動電圧の例を示す図である。 音圧による振動板の振動を検出した結果に基づいて生成される駆動電圧の他の例を示す図である。 実施の形態1にかかる音響電気変換素子を構成する音波感知素子の断面図である。 振動板に形成される回折格子の例を示す鳥瞰図である。 振動板に形成される回折格子の他の例を示す鳥瞰図である。 図3に示した音波感知素子の平面図である。 音波感知素子を製造する工程において準備されたSOI基板を、その断面図によって示した図である。 音波感知素子を製造する工程のうち、素子分離絶縁層を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 音波感知素子を製造する工程のうち、ポリシリコン接続体が埋め込まれる溝を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 音波感知素子を製造する工程のうち、ポリシリコン接続体を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 音波感知素子を製造する工程のうち、層間絶縁層を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 音波感知素子を製造する工程のうち、導電層となる金属材料を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 音波感知素子を製造する工程のうち、導電層を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 音波感知素子を製造する工程のうち、パッシベーション層を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 音波感知素子を製造する工程のうち、振動板を貫通する孔を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 音波感知素子を製造する工程のうち、空洞部を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる音響電気変換素子を構成する音波感知素子の他の例の断面図である。 実施の形態2にかかる音響電気変換システムの概略図である。 電圧制御発振器から出力される駆動電圧の例を示す図である。 振動板が受ける音圧の例を示す図である。 駆動電圧によって能動的に振動している振動板が図9−2に示す音圧を受けた際に、信号処理回路で得られる音信号の例を示す図である。 マス部が付加された回折格子を示す図である。 図10−1に示した回折格子の振動子を説明するための図である。
符号の説明
1,110,210 音波感知素子
2 光検出部
3 信号処理部
10 音響電気変換素子
11,111 支持基板
12a,12b,104a,104b 固定部
13a,13b,105a,105b,505a〜505d 弾性接続部
14,102,502 振動板
15,131,131a 導電層
16,116 空洞
20 光源
30 光検出器
40,301 信号処理回路
50,350 電圧制御発振器
51 固定枠
52 固定梁
100 音響電気変換システム
112 埋め込み絶縁層
113 素子分離絶縁層
114 層間絶縁層
115 パッシベーション層
119 単結晶シリコン層
121a,121b ポリシリコン接続体
130,130a〜130g 回折格子
140 接続端子
302 振動板駆動部
360 制御信号生成回路
H1〜H4,H11〜H18 孔
i,j 振動子

Claims (4)

  1. 空洞および第1の導電層を有する基板と、第2の導電層を有し、前記空洞の上方に位置して音圧により振動する振動板と、を具備する音響電器変換素子と、
    前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に、前記振動板を能動的に振動させるための駆動電圧を印加する駆動手段と、
    前記振動板の上面に光を照射する光源と、
    前記駆動電圧による能動的な振動と音圧による受動的な振動とが重畳された前記振動板の振動に応じて前記振動板の上面を反射した光を検出し、検出した結果を検出信号として出力する光検出器と、
    前記検出信号から音信号を生成する信号処理手段と、
    を備えることを特徴とする音響電気変換システム。
  2. 前記振動板は、その上面に、前記振動板の上面を反射した光の光路を前記光検出器へと向けるための回折格子を有していることを特徴とする請求項1に記載の音響電気変換システム。
  3. 前記駆動手段は、前記駆動電圧を前記検出信号に同調する電圧となるように生成することで、前記音圧の音波に対して増幅作用をもたらすことを特徴とする請求項1または2に記載の音響電気変換システム。
  4. 前記駆動手段は、前記駆動電圧を所定の周波数成分を有するように生成することで、前記音圧の音波に対してフィルタリング作用をもたらすことを特徴とする請求項1または2に記載の音響電気変換システム。
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