JP3882999B2 - 燃料電池発電装置とその運転制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、汚泥や生ごみ等からメタン発酵処理により得られる消化ガス(バイオガス)を原燃料とし、この原燃料を水蒸気改質して得られた燃料ガスと酸化剤ガスとしての空気との電気化学反応に基づいて電気を発生する燃料電池発電装置とその運転制御方法、特に、原燃料供給量および改質用水蒸気供給量の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池発電装置は,都市ガスを原燃料とするケースが多いが、通常、都市ガスはドライであり、組成も基本的に安定しているので、都市ガスを原燃料に用いた燃料電池発電装置は、燃料電池発電装置の原燃料入口部における標準状態(0℃,1気圧状態)補正を行うだけで、発電に必要な適正な原燃料供給量を算出することが可能である。
【0003】
しかしながら、原燃料にバイオガスを用いる燃料電池発電装置の場合には、発生するバイオガス中のメタン濃度が昼夜および季節によって逐次変化するため、供給されるバイオガス中のメタンガス成分の濃度を検出し、このメタン濃度に応じて、原燃料としてのバイオガス供給流量を調整する必要がある。この種の、原燃料にバイオガスを用いる燃料電池発電装置の構成は、例えば、特開平11−126629号公報や特開2000−90953号公報に開示されている。
【0004】
図3は、前記特開平11−126629号公報における図1として(図3においては、部番を一部変更)記載された燃料電池発電設備のシステム構成図である。図3の構成について、同公報の記載を概ね引用して、以下に述べる。
【0005】
即ち、図3に示す燃料電池発電設備は、下水汚泥からメタン発酵処理により得られる消化ガスを導く原燃料供給配管1と、この原燃料供給配管1を通して供給される消化ガス中に含まれる硫黄成分を除去する脱硫器2と、この脱硫器2により硫黄成分が除去された消化ガスを例えば水蒸気で触媒反応させることにより一酸化炭素と水素ガスに改質する改質器3と、この改質器3から出力される一酸化炭素および水素ガスのうち、被毒ガス成分となる一酸化炭素を二酸化炭素に変成するために、当該一酸化炭素を例えば水蒸気などで触媒反応させて二酸化炭素と水素ガスに変成する変成器4と、燃料電池本体5とが設けられている。
【0006】
この燃料電池本体5は、燃料極および空気極を有し、変成器4から出力される水素ガスH2 に大気中の酸素O2 を反応させて燃料極側から直流電力を取り出す構成を有しており、さらには当該直流電力を図示しないインバータにて交流電力に変換し出力する。
【0007】
前記原燃料供給配管1には消化ガス中のガス濃度を検出する検出器6aが設置されている。また、原燃料供給配管1の所要とする位置に燃料ガス入口遮断弁7および燃料ガス流量調整弁8が介在され、さらに前記改質器3の入力側に触媒を反応させるために例えば水蒸気を供給する水蒸気供給ライン9が設けられ、この水蒸気供給ライン9には水蒸気の流量を調整供給するための改質用蒸気流量調整弁10が設置されている。
【0008】
さらに、検出器6aの出力側には消化ガスに含まれる所要のガス濃度を評価演算するガス濃度評価演算部11aが設けられている。このガス濃度評価演算部11aは、検出器6aの出力である各種のガス濃度データを収集するガス濃度収集手段12aと、ガス濃度収集手段12aにより収集された消化ガス中のメタン系炭化水素の成分濃度から総発電量を算出し、この総発電量から必要となる燃料ガス流量を決定し、燃料ガス流量調整弁8を調整する燃料流量演算手段13aと、この燃料流量演算手段13aによって決定される燃料ガス流量から改質用蒸気流量を決定し、改質用蒸気流量調整弁10を調整する改質用蒸気流量演算手段14aと、被毒成分である一酸化炭素、硫黄、窒素、塩類、酸素等のうち少なくとも1つ以上の被毒成分濃度が許容範囲を越えたとき、燃料電池発電設備を構成する機器のうち必要な機器を停止させる設備停止手段15aとによって構成されている。
【0009】
また、図3において、16は水蒸気分離器であって、水から蒸気を分離し水蒸気供給ライン9に供給する。この蒸気を得る手段は、水蒸気分離器16である必要はなく、従来周知の種々の方法によって得ることができる。17aは燃料電池本体5を構成する空気極から出力される排気を水に熱交換する熱交換機、18aはタンク、19aはポンプである。
【0010】
以上は概ね、前記特開平11−126629号公報に記載された図3の説明であるが、燃料電池の水回収装置や純水装置など一部の系統は省略されており、また、燃料電池の冷却系統や排熱回収系統等、システムの細部構成については、種々の変形例がある。なお、前記改質用蒸気供給流量は、通常、原燃料供給量と所定のS/C(原燃料中の炭素原子に対する水蒸気のモル数比)とに基づき決定される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のように原燃料にバイオガスを用いる燃料電池発電装置においては、下記のような問題点があった。
【0012】
メタン発酵によって生じるバイオガスにおいては、発酵温度における飽和水蒸気がガス中に含まれている場合が多く、例えば55℃のバイオガスでは、15vol%程度が水蒸気濃度として含まれており、この飽和水蒸気量は、メタン濃度を希釈する組成要素として無視できない量である。バイオガスの発生方式には,発酵温度によって高温性・中温性・低温性に分けられるが、中でも前記55℃で発酵する高温性メタン発酵は、加温する必要はあるが発酵速度が速くなることから本命の方式として、特に研究開発が進められている。
【0013】
これに対して、前記公報に記載された従来の燃料電池発電装置においては、バイオガス中のメタンの成分濃度もしくは炭酸ガス成分濃度を検出器で検出し、その検出値に応じて原燃料としてのバイオガス供給流量の制御を行う方式を採用しており、バイオガス中の飽和水蒸気量は特に考慮されていない。しかしながら、一般的に検出器でガス組成を計測する場合には、検出器の性能,精度を維持するために、洗浄ビン,ガスクーラ等で、ガス中の水蒸気分を除去したドライガスを検出器に通すことから、検出される各濃度はドライガス中における濃度であり、ガスに水蒸気が含まれる場合は、実際の濃度よりも高い値を示すこととなる。
【0014】
従って、前述の高温性メタン発酵等で発生する、飽和水蒸気量が15vol%程度含まれるバイオガスを燃料電池発電装置の原燃料に用いて、従来のようなバイオガス供給流量制御を行った場合、実際よりもメタンガス濃度が高めに算出されるので、発電に必要な原燃料流量が低めに設定されてしまい、燃料電池は燃料ガス不足となって安定した運転ができない問題がある。
【0015】
なお、従来の制御方法を、飽和水蒸気量が15vol%程度含まれる高温のバイオガスに適用しつつ、正確性を期すために、原燃料であるバイオガスがガス濃度検出器に至るまでの間にバイオガス中の水蒸気成分をその影響が無視できるレベルまで除去する場合には、その除去設備、例えばガスを冷却する設備および動力が必要となり、コストの観点から実用上問題がある。
【0016】
また、バイオガス中に含まれる水蒸気濃度を把握してこれを考慮した制御を行なうことができた場合には、正確な原燃料供給流量の設定が可能となって、燃料電池発電装置の安定した運転が可能となるばかりでなく、付随的に、以下のメリットが生ずる。
【0017】
即ち、まず、バイオガス中に含まれている水蒸気分を改質用水蒸気の一部として有効に用いることが可能となる。また、その分、燃料電池発電装置本体の高温排熱を改質用水蒸気の発生目的以外の利用価値の高い高温排熱として、有効利用することができる。さらに、改質用水蒸気供給量の低減は、ひいては燃料電池冷却水系統への純水補給量の低減、即ち水処理装置通過水量の低減となり、水処理装置におけるイオン交換樹脂の寿命を向上させることが可能となる。
【0018】
この発明は、上記の諸点に鑑みてなされたもので、この発明の課題は、原燃料であるバイオガス中に含まる飽和水蒸気量を考慮して原燃料供給量を決定することにより、燃料電池の運転の安定化を図り、さらに、改質用水蒸気供給量低減、ひいては、水処理装置の寿命および高温排熱の利用効率の向上を図った燃料電池発電装置とその運転制御方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、この発明においては、汚泥や生ごみ等からメタン発酵処理により得られる消化ガス(バイオガス)を原燃料とし、この原燃料を水蒸気改質して得られた燃料ガスと酸化剤ガスとしての空気との電気化学反応に基づいて電気を発生する燃料電池発電装置の運転制御方法において、
前記バイオガスの圧力と温度とに基づきバイオガスの飽和水蒸気量を演算して求め、こ の演算結果と、バイオガスのメタンガス濃度とに基づいて、必要な原燃料供給量および改質用水蒸気供給量を決定し、前記両供給量を制御する(請求項1の発明)。
【0020】
上記請求項1の発明によれば、原燃料であるバイオガス中に含まる飽和水蒸気量を考慮して原燃料供給量を決定するので、従来の制御で生じる原燃料の流量不足が回避可能となる。
【0021】
上記バイオガスの飽和水蒸気量の演算は、以下に述べるアントワンの式に基づいて行なうことができる。一般に、蒸気圧の温度に対する表示式として、アントワンの式がよく知られている。即ち、蒸気圧をPS、温度をtとし、3つの定数をA,B,Cすると、アントワンの式は、下式のとおりである。
【0022】
Log PS=A−B/(t+C) 上記において、PSをバイオガス中の飽和水蒸気分圧と考え、バイオガス中の飽和水蒸気濃度をCW(%)、バイオガス圧力(絶対圧)を(PB)とすると、
PS=PB×CW(%)/100 となり、
ここで、バイオガスのガス温度tの単位を[℃]、ガス圧力をゲージ圧Pとし単位を[kPa]とした場合、飽和水蒸気濃度CW(%)は、前記アントワンの式と飽和水蒸気濃度の関係式の二つの式に基づいて、下式により求めることができる。
【0023】
CW(%)/100
=10^(7.07406-1657.46/(227.02+ガス温度[℃]))/(101.325+ガス圧力[kPa])上記式において、10^の^は、^以降の数値がべき乗の指数であることを示し、101.325は、ゲージ圧を絶対圧に変換するための大気圧の定数、他の小数点付の数字は、前記3つの定数A,B,Cに相当する。
【0024】
図2は、上記式に基づいて、バイオガス圧力を2.0[kPa(gage)]として計算した、ガス温度t[℃]と飽和水蒸気濃度CW(%)との関係を示す。本図からも明らかなように、例えば55℃のバイオガスの場合、前述のように、15vol%程度の飽和水蒸気濃度となる。
【0025】
上記飽和水蒸気濃度CW(%)の演算値に基づき、原燃料流量Q[m3/h(normal)]に含まれる飽和水蒸気量S[kg/h]は、次式で求めることができる。
【0026】
S[kg/h]=Q×CW[%]×18.015/22.414/100なお、上記式中の18.015は水の分子量[kg/kmol],22.414は標準状態における気体の体積[m3(normal)/kmol]である。
【0027】
また、前記請求項1の発明の実施態様としては、下記請求項2ないし4の発明が好ましい。即ち、前記請求項1に記載の運転制御方法において、前記バイオガスの圧力と温度の内、圧力は設定値とし、温度は原燃料供給配管の所定位置における計測値とする(請求項2の発明)。
【0028】
バイオガスの圧力は、通常、システムに応じた所定の値となる場合が多く、また、多少の変動があっても、上記飽和水蒸気濃度CW(%)の計算式からも明らかなように、CW(%)の値は大きく変動しない。従って、システムを簡略化する観点から、圧力はシステムに応じて予め定められた設定値とすることが好ましい。
【0029】
さらに、バイオガス発生部およびバイオガス発生部から燃料電池発電装置本体までの配管内のバイオガスが受ける周囲温度の影響等を排除し、バイオガスに含まれる水蒸気濃度の算出の一層の正確性を期すためには、下記請求項3の発明が好ましい。即ち、前記請求項2に記載の運転制御方法において、前記原燃料供給配管の温度計測の所定位置は、前記バイオガス発生部から燃料電池発電装置本体の原燃料入口部に至る原燃料供給ラインにおいて、バイオガスの温度が最も低い温度になると予測される位置の少なくとも一箇所とする(請求項3の発明)。
【0030】
例えば、原燃料供給ラインの一部が、建物の常に日陰の場所となり、あるいは、特に冷却条件のよい場所に配設される場合、その部分で、バイオガスは局所的に冷却され、一部の水が凝結して蒸気圧が低下する。その後、局所的冷却部を脱しても、ドライとなった状態のバイオガスがそのまま移動するので、後段の温暖部で温度計測した場合には、実際の含有蒸気量よりは、みかけ上、大きな数値を演算出力することとなる。例えば、図2において、20℃では、飽和水蒸気濃度CW(%)が2.3に対し、50℃では12.3であることから明らかである。
【0031】
さらにまた、請求項1ないし3のいずれかに記載の運転制御方法において、改質用水蒸気供給量は、原燃料供給量と所定のS/C(原燃料中の炭素原子に対する水蒸気のモル数比)とに基づき演算した値から、前記バイオガスの飽和水蒸気量を減算して求めた値に制御する(請求項4の発明)。
【0032】
請求項4の発明によれば、バイオガス中に含有される飽和水蒸気分を、改質用水蒸気の一部として有効に用いることで、水蒸気分離器から送出する改質用水蒸気量を低減し、水処理装置であるイオン交換樹脂の長寿命化および高温排熱の利用効率の向上を図ることが可能となる。
【0033】
また、前記運転制御方法を実施するための装置としては、下記請求項5の発明が好ましい。即ち、汚泥や生ごみ等からメタン発酵処理により得られる消化ガス(バイオガス)を原燃料とし、この原燃料を水蒸気改質して得られた燃料ガスと酸化剤ガスとしての空気との電気化学反応に基づいて電気を発生する燃料電池発電装置において、前記バイオガスの圧力および温度に基づきバイオガスの飽和水蒸気量を演算し、この演算結果とバイオガスのメタンガス濃度とに基づいて、必要な原燃料供給量および改質用水蒸気供給量を演算し、前記両供給量を制御する供給流量演算装置を備えるものとする。
【0034】
【発明の実施の形態】
図面に基づき、本発明の実施例について以下にのべる。
【0035】
図1は、この発明に関わる実施例を示すシステム系統図であり、図3に示すシステムと同じ機能を有する部材には同一の番号を付して詳細説明を省略する。また、図1においては、図3に示したシステム系統の内、燃料電池冷却水系(図3における17a,18a,19a等の系統)を一部変更して示す。
【0036】
図1と図3との基本的相違点は、図1においては、バイオガスの圧力および温度に基づきバイオガスの飽和水蒸気量を演算し、この演算結果とバイオガスのメタンガス濃度とに基づいて、必要な原燃料供給量および改質用水蒸気供給量を演算し、前記両供給量を制御する供給流量演算装置11を備える点である。
【0037】
図3のシステム構成の詳細と動作について、以下に述べる。前記供給流量演算装置11は、設定されたバイオガス温度・圧力31もしくはバイオガス温度検出器群61から得られるバイオガス温度とバイオガス圧力検出器62から得られるバイオガス圧力に基き、バイオガス中の飽和水蒸気濃度を、前述のアントワンの式に基づいて算出する飽和水蒸気濃度演算部12と、この飽和水蒸気濃度演算部12で算出されたバイオガス中の飽和水蒸気濃度、および設定もしくは検出されたバイオガス中のメタン濃度32、ならびに燃料電池発電装置本体20からの情報に基づく必要原燃料流量を算出する原燃料流量演算部13と、その原燃料流量演算部13が算出した設定原燃料流量、および飽和水蒸気濃度演算部12で算出された飽和水蒸気濃度、さらに設定もしくは検出されたバイオガスメタン濃度32から必要改質用水蒸気流量を算出する改質蒸気流量演算部14とから構成されている。
【0038】
なお、バイオガスの実際の温度,圧力を、前述のように、圧力はシステムに応じた設定値とし、温度は原燃料供給配管の所定位置における計測値とすることもできる。また、温度は、バイオガス発生部9から燃料電池発電装置本体20の原燃料入口部に至る原燃料供給ラインにおいて、バイオガスの温度が最も低い温度になると予測される位置の少なくとも一箇所とすることが望ましい。
【0039】
また、燃料電池発電装置本体20内の原燃料供給配管1には、燃料ガス入口遮断弁7および燃料ガス流量調整弁8が具備され、さらに改質器3の入口に水蒸気改質反応を生じさせる水蒸気を供給する配管および水蒸気流量を調整供給するための改質用水蒸気流量調整弁10が設置されている。
【0040】
さらに、図1において、16は水蒸気分離器であって、燃料電池冷却水である加圧水から蒸気を分離し改質用水蒸気流量調整弁10を介して前記改質器3に供給する。なお、この改質用水蒸気は、水素リッチである良好な改質ガスを得るために、原燃料の性状,流量に応じて適切な量の流量を維持供給する必要がある。また、改質用水蒸気として消費された燃料電池冷却水に相当する量の水は、電池冷却水補給ポンプ21を介してイオン交換樹脂22を通過した純水が補給される。17はポンプ、18は燃料電池本体5で生じる発熱の内、改質用水蒸気の発生等に用いた熱量を差引いた余剰の排熱をユーザーに供給する熱交換器、19はユーザーに排熱を供給する高温排熱水配管である。
【0041】
次に、上記のとおり構成された燃料電池発電装置の動作について説明する。バイオガス発生部9により得られるバイオガスが、原燃料供給配管1から供給されると、バイオガス温度・圧力31の設定値、もしくは原燃料供給配管1に設置される温度検出器61,圧力検出器62の検出値が供給流量演算装置11中の水蒸気濃度演算部12に送出され、バイオガス中に含まれる飽和水蒸気濃度が、前記アントワンの式に基づき算出される。この供給流量演算装置11においては、水蒸気濃度演算部12により算出される飽和水蒸気濃度と、設定もしくは計測されるバイオガスメタン濃度32に基づき、原燃料流量演算部13が下記により必要燃料流量を算出する。
【0042】
バイオガス中の水蒸気濃度をCW[%],バイオガス中のメタン濃度をCMD[%]とすると,水蒸気成分を考慮したメタン濃度、即ち実際のメタン濃度CMW[%]は、
CMW[%]=CMD[%]×(100-CW[%])/100 で表される。
【0043】
具体的な数値例について以下に述べる。
【0044】
バイオガス温度55[℃],バイオガス圧力2.0[kPa(gage)],検出されたバイオガス中のメタン濃度60[%]とすると,バイオガス中の飽和水蒸気濃度CW[%]は、
CW[%]/100=10^(7.07406-1657.46/(227.02+55[℃]))/(101.325+2.0[kPa])
=15.2[%]となり、
実際のメタン濃度CMW[%]は、
CMW[%]=(100-CW[%])/100×CMD[%]
=(100-15.2[%])/100×60[%]
=50.9[%]となる。
【0045】
原燃料流量演算部13では、上記の通り算出したCMW[%]に基き、発電に必要な原燃料流量Q[m3/h(normal)]を演算して出力する。
【0046】
また、改質蒸気流量演算部14では、上記の原燃料流量Qに基き、改質用水蒸気供給量を算出するが、同時に、原燃料流量Q[m3/h(normal)]に含まれる水蒸気量S[kg/h]を次式で求め、
S[kg/h]=Q×CW[%]×18.015/22.414/100
(上記式中の18.015は水の分子量[kg/kmol],22.414は標準状態における気体の体積[m3(normal)/kmol]である。)
本来のS/Cに基づく水蒸気供給流量設定値から、原燃料であるバイオガス中の水蒸気量S[kg/h]を差引いた流量を供給するように、改質用水蒸気流量調整弁10を調整する。
【0047】
例えば、原燃料流量Q=50[m3/h(normal)]であり、バイオガス中の飽和水蒸気濃度がCW=15.2[%]である場合、燃料であるバイオガスQ[m3/h(normal)]に含まれる水蒸気量S[kg/h]は、
S[kg/h]=50×15.2[%]×18.015/22.414/100
=6.11[kg/h]
となり、バイオガス中に含まれる水蒸気量を考慮しない方法に比べ、6.11[kg/h]改質用水蒸気を少なく設定しても、良好な改質状態を維持する改質用水蒸気供給量を確保することが可能である。
【0048】
上記のとおり、バイオガス中の飽和水蒸気濃度を考慮することにより、良好な改質ガスを維持しつつも、水蒸気分離器16から供給される改質用水蒸気を削減することが可能となり、燃料電池本体5の高温排熱を改質用水蒸気の発生ではなく、利用価値の高い高温排熱としてユーザーに供給することが可能になる。また、改質用水蒸気供給量の低減は、電池冷却水系統への純水補給量低減、即ち水処理装置通過水量の低減となり、水処理装置としてのイオン交換樹脂の寿命を向上させることが可能となる。
【0049】
【発明の効果】
上記のとおり、この発明によれば、汚泥や生ごみ等からメタン発酵処理により得られる消化ガス(バイオガス)を原燃料とし、この原燃料を水蒸気改質して得られた燃料ガスと酸化剤ガスとしての空気との電気化学反応に基づいて電気を発生する燃料電池発電装置において、前記バイオガスの圧力および温度に基づきバイオガスの飽和水蒸気量を演算し、この演算結果とバイオガスのメタンガス濃度とに基づいて、必要な原燃料供給量および改質用水蒸気供給量を演算し、前記両供給量を制御する供給流量演算装置を備えるものとし、前記バイオガスのメタンガス濃度と、前記バイオガスの飽和水蒸気量とに基づいて、必要な原燃料供給量および改質用水蒸気供給量を決定し、前記両供給量を制御することとしたので、 燃料電池の運転の安定化を図り、さらに、改質用水蒸気供給量低減、ひいては、水処理装置の寿命および高温排熱の利用効率の向上を図った燃料電池発電装置とその運転制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の燃料電池発電装置の実施例に関わるシステム系統図
【図2】 ガス温度t[℃]と飽和水蒸気濃度CW(%)との関係の計算例を示す図
【図3】 従来の燃料電池発電装置の一例を示すシステム系統図
【符号の説明】
1:原燃料供給配管、2:脱硫器、3:改質器、4:変成器、5:燃料電池本体、8:燃料ガス流量調整弁、9:バイオガス発生部、10:水蒸気流量調整弁、11:供給流量演算装置、12:飽和水蒸気濃度演算部、13:原燃料流量演算部、14:改質蒸気流量演算部、16:水蒸気分離器、19:高温排熱水配管、20:燃料電池発電装置本体、22:イオン交換樹脂、31:バイオガス温度・圧力、32:バイオガスメタン濃度、61:バイオガス温度検出器群、62:バイオガス圧力検出器。
Claims (5)
- 汚泥や生ごみ等からメタン発酵処理により得られる消化ガス(バイオガス)を原燃料とし、この原燃料を水蒸気改質して得られた燃料ガスと酸化剤ガスとしての空気との電気化学反応に基づいて電気を発生する燃料電池発電装置の運転制御方法において、
前記バイオガスの圧力と温度とに基づきバイオガスの飽和水蒸気量を演算して求め、この演算結果と、バイオガスのメタンガス濃度とに基づいて、必要な原燃料供給量および改質用水蒸気供給量を決定し、前記両供給量を制御することを特徴とする燃料電池発電装置の運転制御方法。 - 請求項1に記載の運転制御方法において、前記バイオガスの圧力と温度の内、圧力は設定値とし、温度は原燃料供給配管の所定位置における計測値とすることを特徴とする燃料電池発電装置の運転制御方法。
- 請求項2に記載の運転制御方法において、前記原燃料供給配管の温度計測の所定位置は、前記バイオガス発生部から燃料電池発電装置本体の原燃料入口部に至る原燃料供給ラインにおいて、バイオガスの温度が最も低い温度になると予測される位置の少なくとも一箇所とすることを特徴とする燃料電池発電装置の運転制御方法。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の運転制御方法において、改質用水蒸気供給量は、原燃料供給量と所定のS/C(原燃料中の炭素原子に対する水蒸気のモル数比)とに基づき演算した値から、前記バイオガスの飽和水蒸気量を減算して求めた値に制御することを特徴とする燃料電池発電装置の運転制御方法。
- 汚泥や生ごみ等からメタン発酵処理により得られる消化ガス(バイオガス)を原燃料とし、この原燃料を水蒸気改質して得られた燃料ガスと酸化剤ガスとしての空気との電気化学反応に基づいて電気を発生する燃料電池発電装置において、
前記バイオガスの圧力および温度に基づきバイオガスの飽和水蒸気量を演算し、この演算結果とバイオガスのメタンガス濃度とに基づいて、必要な原燃料供給量および改質用水蒸気供給量を演算し、前記両供給量を制御する供給流量演算装置を備えることを特徴とする燃料電池発電装置。
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