JP3882790B2 - 空気調和機の室内機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機の室内機に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機の室内機は、種々の構成部品を収納する本体ケーシングを備えており、この本体ケーシングは、第1ケーシングと第2ケーシングとのように別体に形成されたケーシングを組み合わせて構成されることが多い。例えば、前面グリルと底フレームとを前後から嵌合させて構成される本体ケーシングがある。従来の空気調和機の室内機では、前面グリルの天面側後端に設けられた係合爪と、底フレームの天面側前端に設けられた係合孔とが備えられ、係合爪を前後方向から係合孔に挿入して係合爪と係合孔とを係合させる。また、前面グリルの下面側に設けられた螺子孔と、底フレームの下面側に設けられた螺子孔とが備えられ、これらの螺子孔に螺子が通されることによって、前面グリルと底フレームとが固定される(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−6633号公報 第1図
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような空気調和機の室内機では、本体ケーシングには、第1ケーシングと第2ケーシングとの間に目地が表れる。しかし、上記のような空気調和機の室内機では、前後方向すなわち目地に垂直な方向から係合爪が係合孔に挿入されるため、係合爪と係合孔との間に隙間が生じ易い。すなわち、係合爪の挿入のために係合孔が係合爪よりも僅かに大きく形成されており、係合爪と係合孔との間に隙間が生じ易い。このため、第1ケーシングと第2ケーシングとの間の目地においてガタツキが生じる恐れがある。
【0005】
本発明の課題は、目地におけるガタツキの発生を抑えることができる空気調和機の室内機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の空気調和機の室内機は、第1ケーシングと第2ケーシングと固定部と被固定部とを備える。第1ケーシングは、第1端面を有する。第2ケーシングは、第1端面との間に目地を構成する第2端面を有する。固定部は、本体部と爪部とを有し、第1ケーシングに設けられる。本体部は、目地に対して略垂直であり且つ目地が表れる第1ケーシングおよび第2ケーシングの平面に平行な第1方向へと第1端面から突出する。爪部は、本体部の先端に凸設されており、前記平面に対して略垂直な第2方向へと本体部から突出するように係止面が設けられる部分である。被固定部は、第1部材を有し、第2ケーシングに設けられる。第1部材は、第1ケーシングと第2ケーシングとが固定された状態において、本体部と第2方向に並んで対向し、係止面に係止する被係止面が係止面と第1方向に並んで対向するように設けられており、前記平面に対して第2方向に隙間を隔てて設けられている。本体部は、第1端面と第2端面とが対向した状態で目地に沿ってスライドすることによって、前記隙間に挿入される。そして、係止面および被係止面の少なくとも一方は、第1端面と第2端面とが対向した状態で目地に沿ってスライドすることによって他方に対して摺動して目地が閉じる方向へと他方を押すように目地に対して傾斜している。
【0007】
この空気調和機の室内機では、第1端面と第2端面とが対向した状態で目地に沿ってスライドすると、本体部が第1部材と平面との隙間に挿入される。そして、本体部と第1部材とが第2方向に並んで対向する状態で、被係止面と係止面とが第1方向に並んで対向し、係止面および被係止面の少なくとも一方の傾斜によって、係止面および被係止面の一方が他方を目地が閉じる方向へと押す。
【0008】
このように、係止面と被係止面とが係止することによって、目地に対して略垂直であり且つ目地が表れる第1ケーシングおよび第2ケーシングの平面に平行な方向への第1ケーシングおよび第2ケーシングの移動が規制される。すなわち、目地が開く方向への係止面 と被係止面との移動が規制され、目地の開きが抑えられる。これにより、この空気調和機の室内機では、目地におけるガタツキの発生を抑えることができる。
【0009】
また、第1端面と第2端面とが対向した状態で目地に沿ってスライドすることにより、本体部が第1部材と平面との隙間に挿入されるため、固定部の第2方向への移動が平面と第1部材とによって規制される。このため、固定部と被固定部とが安定的に固定される。
【0010】
請求項2に記載の空気調和機の室内機は、請求項1に記載の空気調和機の室内機であって、被固定部は、第2部材を有する。第2部材は、第2ケーシングと第1部材とを繋ぎ、隙間の挿入方向の空間を閉じる。
【0011】
この空気調和機の室内機では、第2部材によって本体部が挿入される隙間の挿入方向の空間が閉じられる。このため、第1端面と第2端面とが対向した状態で目地に沿ってスライドすることによって隙間に挿入された本体部が第2部材によって止められる。これにより、固定部と被固定部とがより安定的に固定される。
【0012】
請求項3に記載の空気調和機の室内機は、請求項1または2に記載の空気調和機の室内機であって、目地は、第1ケーシングと第2ケーシングとが組み合わされて形成される本体ケーシングの側面に表れる。
【0013】
この空気調和機の室内機では、目地は本体ケーシングの側面に表れる。このため、この空気調和機の室内機では、側面における目地の開きが抑えられ、側面におけるガタツキの発生を抑えることができる。
【0014】
請求項4に記載の空気調和機の室内機は、請求項3に記載の空気調和機の室内機であって、固定部と被固定部とは、本体ケーシングの両側面にそれぞれ設けられる。
【0015】
この空気調和機の室内機では、固定部と被固定部とが本体ケーシングの両側面にそれぞれ設けられることによって、両側面が安定的に固定される。これにより、第1ケーシングと第2ケーシングとの間でのガタツキの発生をより抑えることができる。
【0016】
請求項5に記載の空気調和機の室内機は、請求項3または4に記載の空気調和機の室内機であって、第1ケーシングと第2ケーシングとは上下に組み合わされ、目地は、側面視において水平方向に延びる。
【0017】
この空気調和機の室内機では、第1ケーシングと第2ケーシングとは上下に組み合わされるため、側面視において水平方向に延びる目地が自重によって上下に開き、目地においてガタツキが発生し易い。しかし、この空気調和機の室内機では、固定部と被固定部とによって目地のガタツキが抑えられる。従って。この空気調和機の室内機では、目地が側面視において水平方向に延びていても目地におけるガタツキの発生を抑えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔空気調和機の全体構成〕
本発明の一実施形態が採用された空気調和機100の外観を図1に示す。
【0019】
この空気調和機100は、室内の壁面などに取り付けられる壁掛け式の室内機1と、室外に設置される室外機2とを備えている。
【0020】
室内機1内には室内熱交換器10が収納され、室外機2内には室外熱交換器20が収納されており、各熱交換器10,20が冷媒配管により接続されることにより冷媒回路を構成している。
【0021】
〔空気調和機の冷媒回路の構成概略〕
空気調和機100の冷媒回路の構成を図2に示す。この冷媒回路は、主として室内熱交換器10、アキュムレータ21、圧縮機22、四路切換弁23、室外熱交換器20および膨張弁24で構成される。
【0022】
室内機1に設けられている室内熱交換器10は、接触する空気との間で熱交換を行う。また、室内機1には、室内空気を吸い込んで室内熱交換器10に通し熱交換が行われた後の空気を室内に排出するためのクロスフローファン11が設けられている。このクロスフローファン11は、長細い円筒形状に構成され、中心軸が水平方向に平行になるように配置されている。クロスフローファン11は、室内機1内に設けられる室内ファンモータ12によって回転駆動される。これらの室内熱交換器10、クロスフローファン11、室内ファンモータ12は、室内機ケーシング3に収容されている。室内機ケーシング3については後に詳細に説明する。
【0023】
室外機2には、圧縮機22と、圧縮機22の吐出側に接続される四路切換弁23と、圧縮機22の吸入側に接続されるアキュムレータ21と、四路切換弁23に接続された室外熱交換器20と、室外熱交換器20に接続された膨張弁24とが設けられている。膨張弁24は、液閉鎖弁26を介して配管に接続されており、この配管を介して室内熱交換器10の一端と接続される。また、四路切換弁23は、ガス閉鎖弁27を介して配管に接続されており、この配管を介して室内熱交換器10の他端と接続されている。また、室外機2には、室外熱交換器20での熱交換後の空気を外部に排出するためのプロペラファン28が設けられている。このプロペラファン28は、室外ファンモータ29によって回転駆動される。
【0024】
〔室内機ケーシングの構成〕
室内機ケーシング3は、図1に示すように、正面視に置いて左右方向D2に長い外形を有している。室内機ケーシング3は、本体ケーシング4、前面パネル13、固定手段7,8,9(図5参照)を有する。本体ケーシング4は、上部ケーシング5および下部ケーシング6とが上下に組み合わされて構成されており、室内熱交換器10やクロスフローファン11等を内部に収容する。上部ケーシング5は、室内機1の上部を覆っている。下部ケーシング6は室内機1の下部を覆っている。上部ケーシング5と下部ケーシング6とは別体に形成されており(図4参照)、本体ケーシング4の側面視において上部ケーシング5と下部ケーシング6との境界近傍に目地Lが表れている。なお、本体ケーシングの左側面40および右側面41は同様の構成であり、両側面40,41において目地Lが表れる。
【0025】
以下、室内機ケーシング3の各構成について説明する。
【0026】
〈上部ケーシング〉
上部ケーシング5は、図3に示すように、本体ケーシング4の上部を構成している。上部ケーシング5は、下面側と背面側とが開口しており(図4参照)、下面側が下部ケーシング6によって閉じられ、背面側が図示しない据付板によって閉じられる。
【0027】
上部ケーシング5の前面50は格子状に形成されており開口が複数設けられている。この開口の前方は前面パネル13によって覆われ(図1参照)、前面パネル13の上部に設けられた吸込み口14から吸い込まれた空気が開口を通って本体ケーシング4内へと取り込まれる。また、上部ケーシング5の前面50の下端は、正面視において水平方向に延びる略直線的な形状となっている。
【0028】
上部ケーシング5の天面51には、複数のスリット状の開口からなる吸込み口52が設けられている。この吸込み口52は、上部ケーシング5の天面51の前側から後側にかけて複数設けられている。このため、室内機1の天面51からも十分に空気が吸い込まれる。
【0029】
上部ケーシング5の側面53,54には、左側面53と右側面54とがある。図4に示すように、左側面53の下端面は、前後方向D3に後側の端部から前側へ向けて水平に延びた後、垂直に下方へと延び、さらに前側へ向けて水平に延びた形状となっている。つまり、左側面53の下端面は、第1下端面55、第2下端面56、第3下端面57によって構成されている。第1下端面55は前後方向D3に後側から前側へと側面視において水平方向に延びており、左側面53の前後方向長さの約4分の3の長さを有する。第2下端面56は、第1下端面55の前端から垂直に下方へと延びている。第3下端面57は、前後方向D3に第2下端面56の下端から前側へ向けて側面視において水平方向に延びており、第3下端面57の前端は上部ケーシング5の前面50に達している。第3下端面57は、左側面53の前後方向長さの約4分の1の長さを有する。なお、右側面54についても同様の形状であり、左側面53と同様に第1下端面55、第2下端面56、第3下端面57によって構成されている。
【0030】
〈下部ケーシング〉
下部ケーシング6は、本体ケーシング4の下部を構成している。下部ケーシング6は、天面側と背面側とが開口しており、天面側が上部ケーシング5によって閉じられ、背面側の一部が図示しない据付板によって閉じられる。
【0031】
下部ケーシング6の前面60の上端は正面視において水平に形成されており、上部ケーシング5の前面50の下端と合致して水平方向に延びる境界線を構成する(図1参照)。また、下部ケーシング6の前面60には、正面視における左右方向D2に長い開口からなる吹出し口61が設けられている。この吹出し口61は、クロスフローファン11が収納されている空間に連通しており、クロスフローファン11によって生成された空気流が吹出し口61を通って室内へと吹き出す。
【0032】
下部ケーシング6の下面62は、本体ケーシング4の底面を構成し、平坦に形成されている。
【0033】
下部ケーシング6の側面63,64には、左側面63と右側面64とがある。左側面63の上端は、前後方向D3に後側の端部から前側へ向けて水平方向に延びた後、垂直に下方へと延び、さらに前後方向D3に前側へ向けて水平方向に延びた形状となっている。つまり、左側面63の上端は、図4に示すように、第1上端面65、第2上端面66、第3上端面67とによって構成されている。第1上端面65は前後方向D3に後側から側面視において水平方向に延びており、左側面63の前後方向長さの約4分の3の長さを有する。第2上端面66は、第1上端面65の前端から垂直に下方へと延びている。第3上端面67は、前後方向D3に第2上端面66の下端から前側へ向けて側面視に置いて水平に延びており、第3上端面67の前端は前面60に達している。第3下端面57は、左側面63の前後方向長さの約4分の1の長さを有する。なお、右側面64についても同様の形状であり、左側面63と同様に第1上端面65、第2上端面66、第3上端面67とによって構成されている。
【0034】
図5に本体ケーシング4の左側面40を示す。上部ケーシング5が下部ケーシング6に被せられて固定された状態では、上部ケーシング5の左側面53の下端と下部ケーシング6の左側面63の上端とが組み合わされて目地Lを構成する。詳細には、第1上端面65と第1下端面55とが組み合わされて第1目地L1を構成し、第2上端面66と第2下端面56とが組み合わされて第2目地L2を構成し、第3上端面67と第3下端面57とが組み合わされて第3目地L3を構成する。このため、本体ケーシング4の左側面40には、前後方向D3に平行に後側の端部から前側へ向けて水平に延びた後、垂直に下方へと延び、さらに前後方向D3に平行に前側へ向けて水平に延びて前側に達する直線状の形状を有する目地Lが表れる。なお、本体ケーシング4の右側面41についても同様の目地Lが表れ、第1目地L1、第2目地L2、第3目地L3が表れる。
【0035】
〈固定手段〉
固定手段7,8,9は、上部ケーシング5と下部ケーシング6とを固定する部分であり、第1固定手段7、第2固定手段8、第3固定手段9がある。
【0036】
[第1固定手段]
第1固定手段7は、図5に示すように、目地Lの後側の端部近傍に設けられており、左側面40および右側面41にそれぞれ設けられている(図4参照)。第1固定手段7は、目地Lの後側の端部近傍において上部ケーシング5と下部ケーシング6とを固定する。第1固定手段7は、上部ケーシング5に設けられる固定部70と、下部ケーシング6に設けられる被固定部71とを有している。以下、右側面41に設けられている第1固定手段7について説明するが、左側面40に設けられる第1固定手段7も同様の構成である。
【0037】
固定部70は、上部ケーシング5の右側面54の下端近傍であって後側近傍に設けられている。固定部70は、図6(a)に示すように、本体部72と爪部73とによって構成されている。本体部72は、上下方向D1(第1方向)へと右側面54の第1下端面55から突出する板状の小片である。本体部72の上端は右側面54の内側に固定されている。爪部73は、本体部72の先端に凸設されており、図6(b)に示すように、被固定部71に係止することによって上部ケーシング5と下部ケーシング6とを固定する。上部ケーシング5の背面側から見た固定部70の拡大図を図7(a)に示す。爪部73は、本体部72から上部ケーシング5の左右方向D2(第2方向)に上部ケーシング5の内側へ向けて突出し左側面53に対して略垂直な係止面74を有している。係止面74は、第1下端面55に対して僅かに傾斜しており、前側ほど上方へと、すなわち、第1下端面55へ近接する方向へと傾斜している。
【0038】
被固定部71は、下部ケーシング6の右側面64の上端近傍であって後側近傍に設けられている。被固定部71は、図6(a)に示すように、第1部材75と第2部材76とを有している。下部ケーシング6の背面側から見た被固定部71の拡大図を図7(b)に示す。第1部材75は、下部ケーシング6の右側面64に対して固定部70の本体部72が挿入される所定隙間を隔てて下部ケーシング6の右側面64に平行に設けられており、上部ケーシング5と下部ケーシング6とが固定された状態で、本体部72と左右方向D2(第2方向)に並んで対向する(図8参照)。第1部材75の下面は被係止面77となっている。この被係止面77は、右側面64に対して略垂直に設けられている。被係止面77は、上部ケーシング5の第1下端面55と下部ケーシング6の第1上端面65とが組み合わされて対向した状態において、爪部73の係止面74と略同じ高さに位置している。被係止面77は、上部ケーシング5と下部ケーシング6とが固定された状態で、係止面74と上下方向D1に並んで対向し、係止面74の上側において係止面74に接触する(図8参照)。第2部材76は、下部ケーシング6の右側面64から第2方向D2に平行に下部ケーシング6の内側方向へと突出している。第2部材76は第1部材75の後端から垂直に連続しており、下部ケーシング6の右側面64と第1部材75とを繋いでいる。また、第2部材76は、右側面64と第1部材75との隙間の後方を閉じており、隙間に挿入された本体部72の後方向への移動を止める(図6(b)参照)。
【0039】
図9に示すように、上部ケーシング5の右側面54の第1下端面55と下部ケーシング6の右側面64の第1上端面65とが組み合わされて対向した状態で、上部ケーシング5が第1目地L1に平行な方向すなわち前後方向D3であって後向き(以下、「固定方向」と呼ぶ。白抜き矢印A1参照)にスライドした場合に、係止面74が被係止面77の下方へと移動して係止面74が被係止面77に接触する。上部ケーシング5がさらに固定方向へスライドすると係止面74は被係止面77に対して摺動する。そして、係止面74は前側ほど上方へ向けて傾斜しているため、係止面74が固定方向へと進むほど、被係止面77が係止面74の傾斜によって係止面74に押し上げられる。被係止面77が押し上げられると、被固定部71が押し上げられることによって、下部ケーシング6の第1上端面65が押し上げられる。そして、第1上端面65は、上方に位置する上部ケーシング5の第1下端面55へ向けて押される。言い換えれば、係止面74が固定方向へ進むほど、係止面74が被係止面77に押し下げられる。係止面74が押し下げられると、固定部70が押し下げられることによって上部ケーシング5の第1下端面55が押し下げられる。そして、第1下端面55は、下方に位置する下部ケーシング6の第1上端面65へ向けて押される。このように、第1上端面65が押し上げられ第1下端面55が押し下げられることによって第1目地L1が閉じる方向へと力が加えられる。そして、固定部70が固定方向へある程度進むと、本体部72が第2部材76に当接して、固定部の固定方向への移動が止められる。上部ケーシング5と下部ケーシング6とが固定された状態では、図8に示すように、係止面74と被係止面77とが対向して接触した状態となり、係止面74と被係止面77とには第1目地L1が閉じる方向へ力が働く。従って、第1上端面65と第1下端面55とは、第1目地L1が閉じられる方向へと力がかかった状態となる。
【0040】
[第2固定手段]
第2固定手段8は、螺子止めによって上部ケーシング5と下部ケーシング6とを固定する部分であり、図3に示すように、左固定手段80、中央固定手段81、右固定手段82を有している。左固定手段80は、本体ケーシング4の前面50であって左側面40の目地Lの前側の端部近傍に設けられる。左固定手段80は、本体ケーシング4の前面50であって左側面40の第1目地L1の前側の端部近傍において上部ケーシング5と下部ケーシング6とを固定する。右固定手段82は、本体ケーシング4の前面50であって右側面41の目地Lの前側の端部近傍に設けられる。右固定手段82は、本体ケーシング4の前面50であって右側面41の目地Lの前側の端部近傍において上部ケーシング5と下部ケーシング6とを固定する。中央固定手段81は、上部ケーシング5の前面50の下端近傍および下部ケーシング6の前面60の上端近傍であって正面視における中央付近に設けられる。中央固定手段81は、本体ケーシング4の前面50に表れる上部ケーシング5と下部ケーシング6との境界線の近傍であって正面視における中央付近において上部ケーシング5と下部ケーシング6とを固定する。
【0041】
第2固定手段8は、固定部83、被固定部84および螺子85をそれぞれ有する。固定部83は、上部ケーシング5の下端近傍に設けられている。被固定部84は、図5に示すように、下部ケーシング6の上端近傍に設けられている。固定部83と被固定部84とには、螺子孔がそれぞれ設けられている。螺子孔は、上部ケーシング5と下部ケーシング6とが固定された状態で水平方向かつ前後方向に連通して螺子85と螺合する。第2固定手段8は、固定部83と被固定部84との螺子孔が合致した状態で、水平方向かつ前後方向に螺子85が螺子孔にねじ込まれることによって、上部ケーシング5と下部ケーシング6とが固定される。
【0042】
なお、第2固定手段8の一部が螺子止め以外の固定手段によって構成されていてもよく、例えば、中央固定手段81が爪部と爪部に係合する被係合部とによって構成されてもよい。
【0043】
[第3固定手段]
第3固定手段9は、左側面40および右側面41にそれぞれ設けられている。以下、左側面40に設けられる第3固定手段9について説明するが、右側面41に設けられる第3固定手段9も同様の構成である。
【0044】
第3固定手段9は、図5に示すように、左側面40の第2目地L2の近傍に設けられており、第1固定手段7と共に目地Lに沿って設けられる。第3固定手段9は、第1固定手段7と第2固定手段8との間において、上部ケーシング5と下部ケーシング6とを固定する。第3固定手段9は、図10に示すように、上部ケーシング5に設けられる固定部90と下部ケーシング6に設けられる被固定部91とを有している。第3固定手段9では、固定部90と被固定部91とが前後方向D3から係合することによって、左側面53,63の前後方向D3への動きが規制されて、上部ケーシング5と下部ケーシング6とが固定される。
【0045】
この第3固定手段9によって、樹脂性ケーシングのたわみによる目地Lの中央付近の膨らみを抑制することができる。
【0046】
〈前面パネル〉
前面パネル13は、図1に示すように、本体ケーシング4の前面に取り付けられ、室内機1の前面を覆う。前面パネル13は概ね平滑な表面に形成されており、正面視においては下部ケーシング6の前面の上方に位置する。前面パネル13の下端は水平な形状となっており、下部ケーシング6の前面の上端と組み合わされることによって室内機ケーシング3の正面視において水平方向に延びる目地を構成する。
【0047】
〔固定動作〕
この空気調和機100の室内機1では、以下のようにして上部ケーシング5と下部ケーシング6とが固定される。
【0048】
図10に示すように、まず、上部ケーシング5を下部ケーシング6に上下方向D1から近接させる。このとき、上部ケーシング5と下部ケーシング6とは合致位置から前後に僅かにずれており、上部ケーシング5が合致位置から前方へとずれている。また、第1下端面55および第1上端面65、第3下端面57や第3上端面67が組み合わされて対向した状態となる。
【0049】
次に、第1下端面55および第1上端面65が組み合わされて対向した状態で、第1目地L1に沿って、すなわち第1下端面55や第1上端面65に平行な前後方向D3に後方へ向けて上部ケーシング5をスライドさせる。上部ケーシング5がスライドすると、第1固定手段7によって、上部ケーシング5と下部ケーシング6とが目地Lの後端近傍で固定される。また、第3固定手段9によって、第2目地L2の近傍すなわち第2下端面56や第2上端面66の近傍において、上部ケーシング5と下部ケーシング6とが固定される。このとき、上部ケーシング5と下部ケーシング6とが合致した状態となる。
【0050】
そして、上部ケーシング5と下部ケーシング6とが合致した状態において、第2固定手段8において螺子85が螺子孔に螺合されて、上部ケーシング5と下部ケーシング6とが完全に固定される。
【0051】
〔特徴〕
(1)
この空気調和機100の室内機1では、第1固定手段7が目地Lの後側端部近傍を固定し、第2固定手段8が目地Lの前側端部近傍を固定し、第3固定手段9が目地Lの両端部の間を固定する。このように、この空気調和機100の室内機1では、目地Lに沿って両端およびその間が固定されているため、目地Lの開きが防止される。
また、目地Lの開きが防止されるため、目地Lの間隔を均一にすることができる。これにより、空気調和機100の室内機1の美観が向上する。
(2)
第1固定手段7においては、係止面74の傾斜によって第1目地L1が閉じる方向に第1下端面55と第1上端面65とが押される。このため、第1目地L1が閉じられ、第1下端面55と第1上端面65とにおける第1ケーシングと第2ケーシングとのガタツキが防止される。
また、目地Lを閉じる方向に第1下端面55と第1上端面65とが互いに押されるため、目地Lの開き方向への動きが規制される。このため、目地Lの間隔を均一にすることができる。これにより、空気調和機100の室内機1の美観が向上する。
【0052】
〔他の実施形態〕
(1)
上記の実施形態では、嵌め込みによる固定と螺子止めによる固定とが併用されているが、嵌め込みのみ又は螺子止めのみによって目地Lの両端が固定されてもよい。
(2)
上記の実施形態では、第1固定手段7の固定部70の係止面74が傾斜しているが、被固定部71の被係止面77が傾斜していてもよい。
また、係止面74は前側ほど上方へ向けて傾斜しているが、係止面74に上方へ向けて突出する突起が設けられてもよい。この場合も、係止面74が固定方向へ進むほど、係止面74が被係止面77に押し下げられ、上記と同様に第1目地L1が閉じる方向へと力が働く。そして、この場合、固定部70と被固定部71との挿入の際に、突起によってクリック感が得られる。また、傾斜が設けられる場合と比べて、係止面74と被係止面77との摩擦による異音が低減される。
(3)
上記の実施形態では、図7(a)に示すように、爪部73が上部ケーシング5の内側へ向けて突出しているが、図11に示すように、爪部730が上部ケーシング5の外側へと向けて突出するように形成されてもよい。この場合、下部ケーシング6の右側面64の内側に、爪部730が係止する凹溝部750が設けられ、爪部730と凹溝部750が係止することによって、固定部70と被固定部71とが固定される。
【0053】
【発明の効果】
請求項1に記載の空気調和機の室内機では、第1端面と第2端面とが対向した状態で目地に沿ってスライドすると、本体部が第1部材と平面との隙間に挿入される。そして、本体部と第1部材とが第2方向に並んで対向する状態で、被係止面と係止面とが第1方向に並んで対向し、係止面および被係止面の少なくとも一方の傾斜によって、係止面および被係止面の一方が他方を目地が閉じる方向へと押す。
【0054】
このように、係止面と被係止面とが係止することによって、目地に対して略垂直であり且つ目地が表れる第1ケーシングおよび第2ケーシングの平面に平行な方向への第1ケーシングおよび第2ケーシングの移動が規制される。すなわち、目地が開く方向への係止面と被係止面との移動が規制され、目地の開きが抑えられる。これにより、この空気調和機の室内機では、目地におけるガタツキの発生を抑えることができる。
【0055】
また、第1端面と第2端面とが対向した状態で目地に沿ってスライドすることにより、本体部が第1部材と平面との隙間に挿入されるため、固定部の第2方向への移動が平面と第1部材とによって規制される。このため、固定部と被固定部とが安定的に固定される。
【0056】
請求項2に記載の空気調和機の室内機では、第2部材によって本体部が挿入される隙間の挿入方向の空間が閉じられる。このため、第1端面と第2端面とが対向した状態で目地に沿ってスライドすることによって隙間に挿入された本体部が第2部材によって止められる。これにより、固定部と被固定部とがより安定的に固定される。
【0057】
請求項3に記載の空気調和機の室内機では、目地は本体ケーシングの側面に表れる。このため、この空気調和機の室内機では、側面における目地の開きが抑えられ、側面におけるガタツキの発生を抑えることができる。
【0058】
請求項4に記載の空気調和機の室内機では、固定部と被固定部とが本体ケーシングの両側面にそれぞれ設けられることによって、両側面が安定的に固定される。これにより、第1ケーシングと第2ケーシングとの間でのガタツキの発生をより抑えることができる。
【0059】
請求項5に記載の空気調和機の室内機では、第1ケーシングと第2ケーシングとは上下に組み合わされるため、側面視において水平方向に延びる目地が自重によって上下に開き、目地においてガタツキが発生し易い。しかし、この空気調和機の室内機では、固定部と被固定部とによって目地のガタツキが抑えられる。従って。この空気調和機の室内機では、目地が側面視において水平方向に延びていても目地におけるガタツキの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】 空気調和機の全体図。
【図2】 冷媒回路の構成図。
【図3】 本体ケーシングの外観斜視図。
【図4】 本体ケーシングの外観斜視図。
【図5】 本体ケーシングの左側面図。
【図6】 (a)第1固定手段の斜視図(固定前)。
(b)第1固定手段の斜視図(固定後)。
【図7】 (a)第1固定手段の固定部の背面視における拡大図。
(b)第1固定手段の被固定部の背面視における拡大図。
【図8】 第1固定手段の固定部および被固定部の背面視における拡大図。
【図9】 第1固定手段の固定部および被固定部による固定動作を示す図。
【図10】 第1ケーシングと第2ケーシングとの左側面図。
【図11】 他の実施形態における第1固定手段の固定部および被固定部の背面視における拡大図。
【符号の説明】
【0061】
1 室内機
4 本体ケーシング
5 上部ケーシング(第1ケーシング)
6 下部ケーシング(第2ケーシング)
40,41 側面(目地が表れる平面)
55 第1下端面(第1端面)
65 第1上端面(第2端面)
70 固定部
71 被固定部
72 本体部
73 爪部
74 係止面
75 第1部材
76 第2部材
77 被係止面
100 空気調和機
D1 上下方向(第1方向)
D2 左右方向(第2方向)
L1 第1目地(目地)

Claims (5)

  1. 第1端面(55)を有する第1ケーシング(5)と、
    前記第1端面(55)との間に目地(L1)を構成する第2端面(65)を有する第2ケーシング(6)と、
    前記目地(L1)に対して略垂直であり且つ前記目地(L1)が表れる前記第1ケーシング(5)および前記第2ケーシング(6)の平面(40,41)に平行な第1方向(D1)へと前記第1端面(55)から突出する本体部(72)と、前記本体部(72)の先端に凸設され前記平面(40,41)に対して略垂直な第2方向(D2)へと前記本体部(72)から突出するように係止面(74)が設けられる爪部(73)とを有し、前記第1ケーシング(5)に設けられる固定部(70)と、
    前記第1ケーシング(5)と前記第2ケーシング(6)とが固定された状態において前記本体部(72)と前記第2方向(D2)に並んで対向し、前記係止面(74)に係止する被係止面(77)が前記係止面(74)と前記第1方向に並んで対向するように設けられ、前記平面(40,41)に対して前記第2方向(D2)に隙間を隔てて設けられた第1部材(75)を有し、前記第2ケーシング(6)に設けられる被固定部(71)と、
    を備え、
    前記本体部(72)は、前記第1端面(55)と前記第2端面(65)とが対向した状態で前記目地(L1)に沿ってスライドすることによって、前記隙間に挿入され、
    前記係止面(74)および前記被係止面(77)の少なくとも一方は、前記第1端面(55)と前記第2端面(65)とが対向した状態で前記目地(L1)に沿ってスライドすることによって他方に対して摺動して前記目地(L1)が閉じる方向へと前記他方を押すように前記目地(L1)に対して傾斜している、
    空気調和機の室内機(1)。
  2. 前記被固定部(71)は、
    前記第2ケーシング(6)と前記第1部材(75)とを繋ぎ、前記隙間の挿入方向の空間を閉じる第2部材(76)、
    を有する、
    請求項1に記載の空気調和機の室内機(1)。
  3. 前記目地(L1)は、前記第1ケーシング(5)と前記第2ケーシング(6)とが組み合わされて形成される本体ケーシング(4)の側面(40,41)に表れる、
    請求項1または2のいずれかに記載の空気調和機の室内機(1)。
  4. 前記固定部(70)と前記被固定部(71)とは、前記本体ケーシング(4)の両側面(40,41)にそれぞれ設けられる、
    請求項3に記載の空気調和機の室内機(1)。
  5. 前記第1ケーシング(5)と第2ケーシング(6)とは上下に組み合わされ、
    前記目地(L1)は、側面視において水平方向に延びる、
    請求項3または4に記載の空気調和機の室内機(1)。
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