JP3878890B2 - 引張特性測定器具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定物の引張特性を測定するための器具に関し、詳しくは布や糸など、伸びに対する引張荷重が比較的小さな被測定物の引張特性を測定するのに好適な器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、被測定物に引張荷重を負荷し、その荷重の大きさと被測定物の伸びを測定する引張試験機が知られている。たとえば、特開平6−148047号公報には、連続性を保った状態で荷重伸び曲線が作図される引張試験機が開示され、特開平11−183346号公報には、引張初期において急激な変位が試験片に加わるのを回避した引張試験機が開示されている。また、比較的小さな荷重による引張特性を測定するものとして、布地等の引張特性を測定する風合い計測装置も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例の装置はいずれも油圧機構や電気モータ等の駆動手段を用いるものであり、比較的大型で重く、携行には不適であり、専ら試験室などに据え置いて使用するものであった。そのため、例えば発注先や品評会等において、サンプル(布などの被測定物)の引張特性を知る必要が生じても、その装置が配備されていなければその場で測定することができなかった。また、上記従来の装置は比較的複雑な装置であるため、高価なものであった。更に、従来の装置は所定の形状の試験片を測定するものであるため、測定のためにはサンプルから試験片を分離する必要があった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑み、分離した試験片を必要とせず、簡単な構造でありながら、被測定物の引張特性を容易に測定し得る小型、軽量、低価格かつ携行性に優れた引張特性測定器具を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、被測定物の引張特性を測定する器具であって、被測定物の測定範囲の、測定方向の両端を、それぞれ上挟持部と下挟持部とによって挟持する挟持部と、被測定物に対して上記上挟持部側と下挟持部側のそれぞれに、被測定物から離して設けられた1対の第1支軸と、上記1対の第1支軸のそれぞれに、所定範囲内での回動が自在となるように支持され、所定の内角を持って測定方向に伸びるアームであって、その先端部に上記上挟持部または上記下挟持部が連設された第1アームと、被測定物の測定範囲の測定方向長さを測定する長さ測定手段と、被測定物の測定範囲に負荷された引張荷重を直接または間接的に測定する荷重測定手段とを備え、上記上挟持部側の上記第1支軸と上記下挟持部側の上記第1支軸とを互いに接近させることによって、被測定物が上記上挟持部と上記下挟持部に挟持され、更に接近させることによって、上記第1アームの内角が拡大するとともに、上記挟持部の測定方向の間隔が拡大するようにしたことを特徴とする。
【0006】
この発明によると、上挟持部側の上記第1支軸と下挟持部側の上記第1支軸とを互いに接近させることによって、被測定物の保持と引張を同時に行うことができる。被測定物を挟持するまでは第1支軸の接近に伴い、上挟持部と下挟持部とが互いに接近する。そしてこれらが被測定物を挟持した後、更に第1支軸を接近させると、第1アームの長さは不変なので、第1支軸を中心とする第1アームの内角が拡大するとともに、挟持部の測定方向の間隔が拡大する。即ち、被測定物が引張りにより伸びる。
【0007】
そして、第1支軸を接近させる荷重(以下押圧力という)は、第1アームによって挟持部に斜めに伝達されるため、被測定物を挟持する荷重(以下クランプ力という)と被測定物を引張る荷重(以下引張荷重という)とに分解される。従って、押圧力を増加させれば、それに応じてクランプ力と引張荷重とが共に増加する。一般的に、引張荷重が大きい程大きなクランプ力を必要とするが、本発明によれば押圧力を増加させるだけで、引張荷重の増加に伴い、自動的にクランプ力も増加するので、引張荷重に応じたクランプ力を得やすくなっている。
【0008】
このようにして、本発明の引張特性測定器具は、被測定物を挟持するための機構と引張るための機構を共通化(第1支軸の接近)し、クランプ力と引張荷重の元になる荷重を共通化(押圧力)している。そして、このような簡単な機構で被測定物に作用する引張荷重と被測定物の伸びを測定するので、小型、軽量で携行性に優れ、低価格でありながら、容易に被測定物の引張特性を測定することができる。しかも、被測定物の測定したい部位を挟持部で挟むようにして第1支軸を接近させるだけで、分離した試験片を準備しなくても容易に測定をすることができる。
【0009】
なお、上挟持部や下挟持部等の名称に用いられる「上」、「下」の表現は、単に発明の説明のために便宜上付したものに過ぎず、実際の器具およびその使用状態における上下方向とは無関係である。例えば、被測定物を鉛直方向に配置した場合、上挟持部と下挟持部とは左右に並ぶような配置となるが、そのようなものも本発明に含まれる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の引張特性測定器具において、上記荷重測定手段は、上記第1支軸を互いに接近させる押圧力を測定するものであることを特徴とする。
【0011】
このようにすると、引張荷重を容易に測定することができる。上述のように、押圧力がクランプ力と引張荷重に分配され、それぞれの力の関係は、被測定物と第1アーム、第1支軸等の構造や寸法によって一義的に求められるので、押圧力を測定するだけで、簡単な演算式によって引張荷重を求めることができる。しかもこの押圧力は、曲げやねじりなどを伴わない圧縮力なので、汎用性の高い荷重測定器(ロードセルなど)によって、安価で容易且つ精度良く測定することができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の引張特性測定器具において、非測定時には、上記支持部の測定方向の間隔を所定の長さに戻す、支持部の戻り手段を有することを特徴とする。
【0013】
このようにすると、測定開始時の上挟持部の間隔と下挟持部の間隔とを自動的に揃えることができるので、上下の挟持部の位置ずれを容易に防止することができる。また、測定開始時の被測定物の長さが常に所定の値となるので、一定した条件での測定結果を容易に比較することができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の引張特性測定器具において、上記長さ測定手段と、上記荷重測定手段とによって得られた測定結果に基いて、引張特性を得るための所定の演算を行う演算手段を有することを特徴とする。
【0015】
このようにすると、測定データから得られる引張特性(引張荷重と伸びとの比など)を容易に得ることができる。また、上記押圧力を測定するものなど、引張荷重を直接測定しない場合には、測定結果から引張荷重を演算するようにすれば測定結果の分析を容易にすることができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の引張特性測定器具において、上記長さ測定手段および上記荷重測定手段による測定結果と、上記演算手段による演算結果との一部又は全部を表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0017】
このようにすると、測定結果や演算結果を即座に知ることができるので、それらの値に基く判断を迅速に行うことができる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の引張特性測定器具において、上記第1支軸がその一端に設けられた1対の第2アームと、上記第2アームを支持するとともに、その支持点周りの上記第2アームの所定範囲内での回動を自在にする第2支軸とを有することを特徴とする。
【0019】
このようにすると、第2アームの第1支軸とは反対側の部分を、第2支軸を支点として回動させることにより、各第1支軸間の距離を容易に変動させることができる。例えば、1対の第2アームを鋏のように成形し、鋏の刃先に相当する箇所に第1支軸を設けたような構造にすれば、鋏の柄に相当する箇所を開閉させるだけで容易に第1支軸間の距離を変動させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる引張特性測定器具1の斜視図である。図2は、引張特性測定器具1の主要機構部を示す模式図である。被測定物90の測定方向(引張方向)は、図1では左上−右下方向であり、図2では左右方向である。被測定物90の材質は特に限定されないが、布や糸など、伸びに対する引張荷重が比較的小さな材質や、布など引張方向によって伸び量の異なる材質などが好適である。被測定物引張特性測定器具1は、鋏状の1対の第2アーム80,81と第2支軸86とを有し、第2アーム80,81の一端(図1の左側)には、この第2アーム80,81を開閉させるためのグリップ88,89を備える。図1には、被測定物90を挟持する前の、第2アーム80,81が開いた状態を示すが、この状態で第2アーム80は第2支軸86から図1の右上方向に開き、第2アーム81は第2支軸86から図1の右下方向に開いている。
【0021】
第2アーム80の先端付近には、ロードセル吊持ピン82およびロードセル吊持軸84を介して荷重測定手段であるロードセル50が吊持されている。ロードセル50は、一般的に用いられている小型の歪ゲージ式圧縮荷重測定器である。ロードセル50の下側には、第1支軸受け32が固定されている。ロードセル吊持軸84と第1支軸受け32は、ロードセル50の本体および測定端子に固定されており、ロードセル50は、このロードセル吊持軸84と第1支軸受け32との間に作用する圧縮荷重を測定するようになっている。
【0022】
第1支軸受け32は、第1支軸30を支持している。そして、第1支軸30には、2本の第1アーム20が下開き(内角θ)に取り付けられている。第1アーム20の軸方向の中央付近には、スプリング支持孔22が設けられている。2本の第1アーム20の間には、戻り手段としてのスプリング25が設けられており、その両端は各スプリング支持孔22に挿通され、支持されている。第1アーム20は、第1支軸30を中心に所定範囲内で回動自在となっているが、スプリング25によって復元力が負荷されているので、外力が働かない状態では内角θは所定の初期内角θ0を維持している。
【0023】
第1アーム20の各先端には挟持部支軸24を介して上挟持部10が設けられている。上挟持部10は、後述の下挟持部13とで被測定物90を挟持する挟持部として機能する。上挟持部10は、被測定物90を直接挟持する薄板状の挟持板15と、挟持板15を支持し、荷重を挟持板15に伝達する上挟持台11とからなる。また、上挟持部10の側面には、各上挟持部10をさし渡すように薄板状のガイドプレート16が設けられている。ガイドプレート16の両端付近には、測定方向を長径とする長孔のガイドプレート孔17が設けられている。そして、各ガイドプレート孔17を挿通するガイドプレートピン18が、各上挟持台11に固定されている。ガイドプレートピン18の頭部径はガイドプレート孔17の短径よりも大きく、軸径はガイドプレート孔17の短径よりも僅かに小さい。従って、ガイドプレート16は、その板厚方向にはガイドプレートピン18によって上挟持台11の側面に沿うように固定され、かつ測定方向には、ガイドプレート孔17がガイドプレートピン18の軸周りに移動可能な範囲内で移動し得る。従って、ガイドプレート16、ガイドプレート孔17およびガイドプレートピン18は、各上挟持部10の、測定方向の動作ガイドになるとともに、ストッパとしての機能も有する。
【0024】
第2支軸86に近い側の上挟持台11には、長さ測定手段として変位センサ40が取り付けられている。変位センサ40は、一般的に用いられている鉄心とコイルを利用した作動変圧器(DFT)であり、変位センサ測定ヘッド42の位置によって変動する電圧が出力されるようになっている。図2に示すように、変位センサ測定ヘッド42は、取り付けられた上挟持台11の貫通孔12を貫通し、その先端がもう一方の上挟持台11に当接している。従って、変位センサ測定ヘッド42の変位差は、上挟持部10間距離の変位差であり、挟持板15間距離の変位差と等しい。即ち、挟持板15に挟持された被測定物90の伸びλは、変位センサ測定ヘッド42の変位差として測定される。
【0025】
第2アーム80の上側中央付近には、演算部60、表示部62、操作部64、情報出力部66および電源部70が一体となって設けられている。演算手段としての演算部60は内部にマイクロプロセッサを備え、データの記憶、入出力および演算処理を行う。演算部60には、ロードセル50からの信号がロードセルコード52を経由して入力され、変位センサ40からの信号が変位センサコード44を経由して入力される。表示手段としての表示部62では、演算部60で処理された各データの測定値や、その測定値に基く演算結果を表示する。
【0026】
操作部64には複数のボタン型スイッチが設けられている。これらのスイッチにより、測定モード(詳細は後述する)の選択、ロードセル50や変位センサ40の測定値のリセットおよび表示部62での表示画面の切換え等の入力を行う。情報出力部66は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器と接続可能な外部端子であり、演算部60内に記憶されたデータを外部機器に出力することができる。電源部70は乾電池または充電式のバッテリであり、ロードセル50、変位センサ40、演算部60および表示部62の電源となる。
【0027】
一方、第2アーム80と対をなす第2アーム81の先端には、第1支軸30と対をなす第1支軸30aが設けられている。第1支軸30aには、2本の第1アーム20aが上開き(内角θ)に取り付けられており、更にその第1アーム20aの間にはスプリング25aが設けられている。第1支軸30a、第1アーム20aおよびスプリング25aの構造は第1支軸30、まわりの第1アーム20およびスプリング25の構造と上下対称形になっており、同様の機能を有する。第1アーム20aの各先端には、挟持部支軸24を介して下挟持部13が設けられている。下挟持部13は、被測定物90を直接挟持する薄板状の挟持板15と、挟持板15を支持し、荷重を挟持板15に伝達する下挟持台14とからなる。下挟持部13の挟持板15は、上挟持部10の挟持板15と対向する位置に設けられており、被測定物90を挟持したとき、被測定物90を介して上下の挟持板15が互いに当接するようになっている。また、下挟持部13の両側には、各下挟持部13をさし渡すように薄板状のガイドプレート16がガイドプレートピン18によって取り付けられている。このガイドプレート16およびガイドプレートピン18は、上挟持部10に取り付けられたものと同様の構造、機能を有する。
【0028】
次に、引張特性測定器具1の作用について説明する。グリップ88,89を鋏のように開閉すると、第1支軸30,30aの軸間距離が変動する。図1ではその距離が大きく、上挟持部10の挟持板15と下挟持部13の挟持板15との間には充分な隙間ができている。図2では、この隙間に被測定物90を挿入した後、グリップ88,89を閉じる方向に動かし、上挟持部10の挟持板15と下挟持部13の挟持板15とで挟持した状態を示している。
【0029】
図2では、上挟持部10の挟持板15と下挟持部13の挟持板15とで被測定物90を挟持しており、その挟持点Aの間隔(以下挟持間隔という)はLとなっている。また、この状態での変位センサ測定ヘッド42の長さ(以下測定長という)はLAとなっている。挟持間隔Lと測定長LAとは、ともに挟持部の間隔の増減に伴って等しく増減するので、測定長LAの変位差は、挟持間隔Lの変位差、即ち被測定物90の伸びλと等しくなる。
【0030】
被測定物90が挟持されている状態から、更にグリップ88,89を閉じる方向に力を加えると、第1支軸30,30aには互いに接近しようとする力(押圧力W)が作用する。第1支軸30に作用する押圧力Wは、ロードセル吊持ピン82からロードセル吊持軸84、ロードセル50および第1支軸受け32を介して伝達される力であり、この伝達の過程で押圧力Wはロードセル50により測定される。第1支軸30,30aに作用する押圧力Wは第1アーム20,20aを介して上挟持部10,下挟持部13に斜めに伝達される。そして上挟持部10と下挟持部13とを互いに押さえつけて被測定物90を挟持するクランプ力と、被測定物90を引張る引張荷重Tとに分解される。従って、押圧力Wを増加させれば、その増分に応じてクランプ力と引張荷重Tとが増加する。このように、押圧力Wを増加させるだけで、引張荷重Tの増加に伴い自動的にクランプ力も増加するので、バランスの良い引張荷重Tとクランプ力が得られる。各挟持板15には、引張荷重Tの反作用として、引張荷重Tと逆向きの力T/2が作用する。
【0031】
引張荷重Tを受けた被測定物90は、その引張荷重Tの大きさに応じて伸びる。それに伴い挟持部がガイドプレート16に沿って移動し、挟持間隔Lおよび測定長LAが拡大する。そして変位センサ40は測定長LAの変位差として伸びλを測定する。
【0032】
被測定物90の伸びに伴い、挟持間隔Lが拡大するので、第1支軸30,30aを中心とする第1アーム20,20aの内角θが増大する。そのため、第1アーム20に支持されたスプリング25,25a(ばね定数k)は引き伸ばされ、復元力fを生じる。復元力fにより、測定前後の挟持間隔L(以下初期挟持間隔L0という)は自動的に所定の長さに維持される。従って、上挟持部10と下挟持部13の初期挟持間隔L0を等しくしておけば、測定開始時に上下の挟持板15が対向するので被測定物90を容易に挟持することができる。復元力fの大きさは次式(1)で求められる。
【0033】
【数1】
【0034】
式(1)において、Rは第1アーム20の有効長(第1支軸30,30aと挟持部支軸24との軸間距離)であり、Rsはスプリング支持部半径(第1支軸30,30aとスプリング支持孔22との軸間距離)である。
【0035】
測定された押圧力Wおよび測定長LAのデータは、ロードセルコード52および変位センサコード44によって演算部60に入力され、演算処理される。演算部60では、入力された電気抵抗値や電圧値を荷重や長さの値に変換したり、その結果を更に組み合わせて演算したりする。
【0036】
例えば、引張荷重Tは次式(2)により求められる。
【0037】
【数2】
【0038】
式(2)において、挟持間隔Lは、初期挟持間隔L0と伸びλとの和である(L=L0+λ)。なお、各部の作動抵抗等が無視できない程大きい場合は、必要に応じて式(2)にそれらを補正するための補正項を追加しても良い。
【0039】
図3は、式(2)による引張荷重Tと押圧力Wとの関係を示すグラフである。図3では各変数を次のように設定している。
第1アーム20の有効長R 45.5mm
スプリング支持部半径Rs 22.7mm
被測定物90の初期挟持間隔L0 45.5mm
第1アーム20,20aの初期内角θ0 30°
スプリング25のばね定数k 0.5N/mm
被測定物90の荷重/伸び比α 1N/mm
【0040】
被測定物90の荷重/伸び比α(以下荷重/伸び比αという)は、被測定物90を単位長さ伸ばすために必要な引張荷重Tの大きさを示す。図3では荷重/伸び比αを一定値としている。これは図4の荷重−伸び線図に示すような、引張荷重Tと伸びλとが比例関係にある被測定物90の計算結果であることを示す。
【0041】
図5は、引張特性測定器具1で一般的な布地の引張特性を測定したときの荷重−伸び線図である。横軸に伸びλ、縦軸に引張荷重Tを示す。この特性は、測定開始点P1から最大伸び点P2(λ=λ2,T=N2)まで徐々に引張荷重Tを増大させ、その後測定終了点P3まで徐々に引張荷重Tを減少させることにより得られる。荷重の増大過程と減少過程とで、同一伸びに対する引張荷重Tの値が異なるヒステリシスが見られる。
【0042】
演算部60、表示部62、操作部64および情報出力部66の作用について、図5を参照して説明する。測定にあたり、操作部64にてモード選択を行う。モードは、ポイント測定モード(モード1)と連続測定モード(モード2)とを選択し得る。
【0043】
モード1を選択した場合、狙いの伸びλ4に対する引張荷重Tや荷重/伸び比αを演算部60で求め、表示部62に表示する。測定方法は、まず操作部64から狙いの伸びλ4を入力する。次に上挟持部10と下挟持部13とで被測定物90を挟持し、操作部64のリセットボタンにより、伸びλと引張荷重Tをゼロとする(測定開始点P1)。なお、被測定物90が糸や布など、たるみを持つような場合は、挟持後わずかに引張荷重Tを負荷してたるみを除去してからリセットするのが望ましい。そして徐々に引張荷重Tを増大させ、伸びλが、λ2(λ2>λ4)となる最大伸び点P2に達した後、測定終了点P3まで徐々に引張荷重Tを減少させる。表示部62では伸びλ4に対する荷重増大過程の引張荷重N4および荷重減少過程の引張荷重N5の値を表示する。更に詳細データとして、最大伸び点P2における伸びλ2および引張荷重N2と、残留伸びλ3の値を表示する。また、狙いの伸びλ4における荷重/伸び比α(グラフ上の点P4,P5の接線の傾き)や、荷重/伸び比αの平均値(N4/λ4およびN5/λ4)も表示する。
【0044】
モード2を選択した場合、伸びλに対する引張荷重Tや荷重/伸び比αを演算部60で連続的に求め、表示部62に表示する。測定方法は、まず操作部64から伸びλのサンプリング間隔を入力する。次のリセットはモード1と同様である。次に、測定開始点P1から徐々に引張荷重Tを増大させ、最大伸び点P2に達した後は測定終了点P3まで徐々に引張荷重Tを減少させる。この間、演算部60では伸びλのサンプリング間隔ごとに引張荷重Tや荷重/伸び比αの測定結果および演算結果を記憶する。そして、測定終了後、所望の伸び(たとえばλ4)を操作部64から入力すれば、表示部62にはモード1で表示されるものと同様の結果を表示する。
【0045】
モード1、モード2のいずれも、測定値および演算結果は演算部60内の所定のメモリに記憶されており、情報出力部66からPC等の外部機器に出力できる。従って、たとえばモード2での測定結果をPCに出力し、図5に示すような荷重−伸び線図を作図させることもできる。
【0046】
以上のように、引張特性測定器具1は、小型、軽量で携行性に優れた簡単な機構でありながら、グリップ88,89を鋏のように開閉操作するだけで容易に引張特性の測定をすることができる。また、上挟持部10と下挟持部13とで挟持した範囲がそのまま測定範囲となるので、そのように挟持できる状態にあれば必ずしも分離した試験片を必要としない。このため、引張試験機の配備されていない発注先や品評会会場など、試験室の外部へ引張特性測定器具1を携行し、試験片を分離することなくその場で容易に引張特性を測定することができる。
【0047】
本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能である。その一例を以下に記す。
【0048】
引張特性として、上記のように荷重−伸び線図に基く引張荷重Tと伸びλとの関係(以下荷重−伸び系という)で表記する他に、応力−ひずみ線図に基く引張応力σとひずみεとの関係(以下応力−ひずみ系という)で表記してもよい。一般的に知られているように、引張応力σは引張荷重Tを初期の横断面積で除したもの、ひずみεは、伸びλを初期挟持間隔L0で除した無次元数である。縦軸を応力σ、横軸をひずみεにとった応力−ひずみ線図は、縦横の尺度を調節すれば荷重−伸び線図と同一形状になる。
【0049】
荷重−伸び系には、初期の横断面積が不明、あるいは求め難い(布など)場合にも容易に対応できる利点がある一方、測定結果を比較、参照する際には必ずサンプルサイズ(被測定物90の初期形状)を付記する必要がある(布であれば長さ×幅)。それに対し、応力−ひずみ系は、サンプルサイズに依らない表記であるため、より一般化された測定結果が得られる一方、予め被測定物90の初期の横断面積を求めておく必要がある。いずれの系を用いても良く、被測定物90の材質、形状に応じて使用する系をモード選択できるようにしても良い。
【0050】
第1支軸30,30aや第2アーム80,81は、2対以上設けても良い。第2アーム80,81の後端は、グリップ88,89のような、鋏状のグリップ形状でなくても良い。また、第2アーム80,81を設けず、第1支軸30(またはロードセル吊持ピン82)および第1支軸30aを支持し、その軸間距離を変動し得る別の機構としても良い。
【0051】
荷重測定手段は、ひずみゲージ式のロードセル50に限定するものではなく、他の荷重測定機器を用いても良い。また必ずしも電気的な測定器でなくても良い。その取り付け位置も限定するものではなく、引張荷重Tを直接或いは間接的に測定し得る箇所であれば良い。たとえば、第1アーム20,20aに直接ひずみゲージを貼付したような機構であっても良い。
【0052】
長さ測定手段は、DFTによる変位センサに限定するものではなく、他の変位測定機器を用いても良い。また必ずしも電気的な測定器でなくても良い。その取り付け位置も限定するものではなく、被測定物90の伸びλを直接或いは間接的に測定し得る箇所であれば良い。たとえば、目盛りを配した定規状の目盛り板の上に、挟持板15の動作に連動する指針を設け、その指針が指す目盛りを目視読み取りするような機構であっても良い。
【0053】
支持部の戻り手段は、スプリング25,25aに限定するものではなく、他の弾性体あるいは戻り機構であっても良い。その取り付け位置も限定するものではなく、たとえば第1支軸30,30aの軸周りにねじりスプリングを設けたようなものでも良い。
【0054】
挟持板15は、被測定物90を確実に挟持することができるものであれば、薄板状のものでなくても良い。たとえば、先端を櫛歯状に成形したものや、固定ローラ状のものであっても良い。
【0055】
演算部60、表示部62、操作部64および電源部70の形状、取り付け位置は上記実施形態に限定するものではない。また、必ずしもこれらを一体化する必要もなく、たとえばこれらのそれぞれを、第2アーム80,81の好適な箇所に埋め込むように配置しても良い。また、荷重測定手段および長さ測定手段に電気的な演算処理を必要としない場合は、演算部60は設けなくても良い。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明の引張特性測定器具は、被測定物の測定範囲の、測定方向の両端を、それぞれ上挟持部と下挟持部とによって挟持する挟持部と、被測定物に対して上記上挟持部側と下挟持部側のそれぞれに、被測定物から離して設けられた1対の第1支軸と、上記1対の第1支軸のそれぞれに、所定範囲内での回動が自在となるように支持され、所定の内角を持って測定方向に伸びるアームであって、その先端部に上記上挟持部または上記下挟持部が連設された第1アームと、被測定物の測定範囲の測定方向長さを測定する長さ測定手段と、被測定物の測定範囲に負荷された引張荷重を直接または間接的に測定する荷重測定手段とを備え、上記上挟持部側の上記第1支軸と上記下挟持部側の上記第1支軸とを互いに接近させることによって、被測定物が上記上挟持部と上記下挟持部に挟持され、更に接近させることによって、上記第1アームの内角が拡大するとともに、上記挟持部の測定方向の間隔が拡大するようにしたことを特徴とするので、簡単な機構で引張特性の測定をすることができる。そのため、小型、軽量で携行性に優れ、低価格な器具とすることができる。しかも、被測定物の測定したい部位を挟持部で挟むようにして第1支軸を接近させるだけで、分離した試験片を準備しなくても容易に測定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる器具の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の主要機構部を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる器具の押圧力と被測定物に作用する引張荷重との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態にかかる器具の荷重−伸び線図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる器具の荷重−伸び線図である。
【符号の説明】
1 引張特性測定器具
10 上挟持部
13 下挟持部
15 挟持板
16 ガイドプレート
20,20a 第1アーム
25,25a スプリング
30,30a 第1支軸
40 変位センサ
50 ロードセル
60 演算部
62 表示部
64 操作部
66 情報出力部
70 電源部
80,81 第2アーム
88,89 グリップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定物の引張特性を測定するための器具に関し、詳しくは布や糸など、伸びに対する引張荷重が比較的小さな被測定物の引張特性を測定するのに好適な器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、被測定物に引張荷重を負荷し、その荷重の大きさと被測定物の伸びを測定する引張試験機が知られている。たとえば、特開平6−148047号公報には、連続性を保った状態で荷重伸び曲線が作図される引張試験機が開示され、特開平11−183346号公報には、引張初期において急激な変位が試験片に加わるのを回避した引張試験機が開示されている。また、比較的小さな荷重による引張特性を測定するものとして、布地等の引張特性を測定する風合い計測装置も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例の装置はいずれも油圧機構や電気モータ等の駆動手段を用いるものであり、比較的大型で重く、携行には不適であり、専ら試験室などに据え置いて使用するものであった。そのため、例えば発注先や品評会等において、サンプル(布などの被測定物)の引張特性を知る必要が生じても、その装置が配備されていなければその場で測定することができなかった。また、上記従来の装置は比較的複雑な装置であるため、高価なものであった。更に、従来の装置は所定の形状の試験片を測定するものであるため、測定のためにはサンプルから試験片を分離する必要があった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑み、分離した試験片を必要とせず、簡単な構造でありながら、被測定物の引張特性を容易に測定し得る小型、軽量、低価格かつ携行性に優れた引張特性測定器具を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、被測定物の引張特性を測定する器具であって、被測定物の測定範囲の、測定方向の両端を、それぞれ上挟持部と下挟持部とによって挟持する挟持部と、被測定物に対して上記上挟持部側と下挟持部側のそれぞれに、被測定物から離して設けられた1対の第1支軸と、上記1対の第1支軸のそれぞれに、所定範囲内での回動が自在となるように支持され、所定の内角を持って測定方向に伸びるアームであって、その先端部に上記上挟持部または上記下挟持部が連設された第1アームと、被測定物の測定範囲の測定方向長さを測定する長さ測定手段と、被測定物の測定範囲に負荷された引張荷重を直接または間接的に測定する荷重測定手段とを備え、上記上挟持部側の上記第1支軸と上記下挟持部側の上記第1支軸とを互いに接近させることによって、被測定物が上記上挟持部と上記下挟持部に挟持され、更に接近させることによって、上記第1アームの内角が拡大するとともに、上記挟持部の測定方向の間隔が拡大するようにしたことを特徴とする。
【0006】
この発明によると、上挟持部側の上記第1支軸と下挟持部側の上記第1支軸とを互いに接近させることによって、被測定物の保持と引張を同時に行うことができる。被測定物を挟持するまでは第1支軸の接近に伴い、上挟持部と下挟持部とが互いに接近する。そしてこれらが被測定物を挟持した後、更に第1支軸を接近させると、第1アームの長さは不変なので、第1支軸を中心とする第1アームの内角が拡大するとともに、挟持部の測定方向の間隔が拡大する。即ち、被測定物が引張りにより伸びる。
【0007】
そして、第1支軸を接近させる荷重(以下押圧力という)は、第1アームによって挟持部に斜めに伝達されるため、被測定物を挟持する荷重(以下クランプ力という)と被測定物を引張る荷重(以下引張荷重という)とに分解される。従って、押圧力を増加させれば、それに応じてクランプ力と引張荷重とが共に増加する。一般的に、引張荷重が大きい程大きなクランプ力を必要とするが、本発明によれば押圧力を増加させるだけで、引張荷重の増加に伴い、自動的にクランプ力も増加するので、引張荷重に応じたクランプ力を得やすくなっている。
【0008】
このようにして、本発明の引張特性測定器具は、被測定物を挟持するための機構と引張るための機構を共通化(第1支軸の接近)し、クランプ力と引張荷重の元になる荷重を共通化(押圧力)している。そして、このような簡単な機構で被測定物に作用する引張荷重と被測定物の伸びを測定するので、小型、軽量で携行性に優れ、低価格でありながら、容易に被測定物の引張特性を測定することができる。しかも、被測定物の測定したい部位を挟持部で挟むようにして第1支軸を接近させるだけで、分離した試験片を準備しなくても容易に測定をすることができる。
【0009】
なお、上挟持部や下挟持部等の名称に用いられる「上」、「下」の表現は、単に発明の説明のために便宜上付したものに過ぎず、実際の器具およびその使用状態における上下方向とは無関係である。例えば、被測定物を鉛直方向に配置した場合、上挟持部と下挟持部とは左右に並ぶような配置となるが、そのようなものも本発明に含まれる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の引張特性測定器具において、上記荷重測定手段は、上記第1支軸を互いに接近させる押圧力を測定するものであることを特徴とする。
【0011】
このようにすると、引張荷重を容易に測定することができる。上述のように、押圧力がクランプ力と引張荷重に分配され、それぞれの力の関係は、被測定物と第1アーム、第1支軸等の構造や寸法によって一義的に求められるので、押圧力を測定するだけで、簡単な演算式によって引張荷重を求めることができる。しかもこの押圧力は、曲げやねじりなどを伴わない圧縮力なので、汎用性の高い荷重測定器(ロードセルなど)によって、安価で容易且つ精度良く測定することができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の引張特性測定器具において、非測定時には、上記支持部の測定方向の間隔を所定の長さに戻す、支持部の戻り手段を有することを特徴とする。
【0013】
このようにすると、測定開始時の上挟持部の間隔と下挟持部の間隔とを自動的に揃えることができるので、上下の挟持部の位置ずれを容易に防止することができる。また、測定開始時の被測定物の長さが常に所定の値となるので、一定した条件での測定結果を容易に比較することができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の引張特性測定器具において、上記長さ測定手段と、上記荷重測定手段とによって得られた測定結果に基いて、引張特性を得るための所定の演算を行う演算手段を有することを特徴とする。
【0015】
このようにすると、測定データから得られる引張特性(引張荷重と伸びとの比など)を容易に得ることができる。また、上記押圧力を測定するものなど、引張荷重を直接測定しない場合には、測定結果から引張荷重を演算するようにすれば測定結果の分析を容易にすることができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の引張特性測定器具において、上記長さ測定手段および上記荷重測定手段による測定結果と、上記演算手段による演算結果との一部又は全部を表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0017】
このようにすると、測定結果や演算結果を即座に知ることができるので、それらの値に基く判断を迅速に行うことができる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の引張特性測定器具において、上記第1支軸がその一端に設けられた1対の第2アームと、上記第2アームを支持するとともに、その支持点周りの上記第2アームの所定範囲内での回動を自在にする第2支軸とを有することを特徴とする。
【0019】
このようにすると、第2アームの第1支軸とは反対側の部分を、第2支軸を支点として回動させることにより、各第1支軸間の距離を容易に変動させることができる。例えば、1対の第2アームを鋏のように成形し、鋏の刃先に相当する箇所に第1支軸を設けたような構造にすれば、鋏の柄に相当する箇所を開閉させるだけで容易に第1支軸間の距離を変動させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる引張特性測定器具1の斜視図である。図2は、引張特性測定器具1の主要機構部を示す模式図である。被測定物90の測定方向(引張方向)は、図1では左上−右下方向であり、図2では左右方向である。被測定物90の材質は特に限定されないが、布や糸など、伸びに対する引張荷重が比較的小さな材質や、布など引張方向によって伸び量の異なる材質などが好適である。被測定物引張特性測定器具1は、鋏状の1対の第2アーム80,81と第2支軸86とを有し、第2アーム80,81の一端(図1の左側)には、この第2アーム80,81を開閉させるためのグリップ88,89を備える。図1には、被測定物90を挟持する前の、第2アーム80,81が開いた状態を示すが、この状態で第2アーム80は第2支軸86から図1の右上方向に開き、第2アーム81は第2支軸86から図1の右下方向に開いている。
【0021】
第2アーム80の先端付近には、ロードセル吊持ピン82およびロードセル吊持軸84を介して荷重測定手段であるロードセル50が吊持されている。ロードセル50は、一般的に用いられている小型の歪ゲージ式圧縮荷重測定器である。ロードセル50の下側には、第1支軸受け32が固定されている。ロードセル吊持軸84と第1支軸受け32は、ロードセル50の本体および測定端子に固定されており、ロードセル50は、このロードセル吊持軸84と第1支軸受け32との間に作用する圧縮荷重を測定するようになっている。
【0022】
第1支軸受け32は、第1支軸30を支持している。そして、第1支軸30には、2本の第1アーム20が下開き(内角θ)に取り付けられている。第1アーム20の軸方向の中央付近には、スプリング支持孔22が設けられている。2本の第1アーム20の間には、戻り手段としてのスプリング25が設けられており、その両端は各スプリング支持孔22に挿通され、支持されている。第1アーム20は、第1支軸30を中心に所定範囲内で回動自在となっているが、スプリング25によって復元力が負荷されているので、外力が働かない状態では内角θは所定の初期内角θ0を維持している。
【0023】
第1アーム20の各先端には挟持部支軸24を介して上挟持部10が設けられている。上挟持部10は、後述の下挟持部13とで被測定物90を挟持する挟持部として機能する。上挟持部10は、被測定物90を直接挟持する薄板状の挟持板15と、挟持板15を支持し、荷重を挟持板15に伝達する上挟持台11とからなる。また、上挟持部10の側面には、各上挟持部10をさし渡すように薄板状のガイドプレート16が設けられている。ガイドプレート16の両端付近には、測定方向を長径とする長孔のガイドプレート孔17が設けられている。そして、各ガイドプレート孔17を挿通するガイドプレートピン18が、各上挟持台11に固定されている。ガイドプレートピン18の頭部径はガイドプレート孔17の短径よりも大きく、軸径はガイドプレート孔17の短径よりも僅かに小さい。従って、ガイドプレート16は、その板厚方向にはガイドプレートピン18によって上挟持台11の側面に沿うように固定され、かつ測定方向には、ガイドプレート孔17がガイドプレートピン18の軸周りに移動可能な範囲内で移動し得る。従って、ガイドプレート16、ガイドプレート孔17およびガイドプレートピン18は、各上挟持部10の、測定方向の動作ガイドになるとともに、ストッパとしての機能も有する。
【0024】
第2支軸86に近い側の上挟持台11には、長さ測定手段として変位センサ40が取り付けられている。変位センサ40は、一般的に用いられている鉄心とコイルを利用した作動変圧器(DFT)であり、変位センサ測定ヘッド42の位置によって変動する電圧が出力されるようになっている。図2に示すように、変位センサ測定ヘッド42は、取り付けられた上挟持台11の貫通孔12を貫通し、その先端がもう一方の上挟持台11に当接している。従って、変位センサ測定ヘッド42の変位差は、上挟持部10間距離の変位差であり、挟持板15間距離の変位差と等しい。即ち、挟持板15に挟持された被測定物90の伸びλは、変位センサ測定ヘッド42の変位差として測定される。
【0025】
第2アーム80の上側中央付近には、演算部60、表示部62、操作部64、情報出力部66および電源部70が一体となって設けられている。演算手段としての演算部60は内部にマイクロプロセッサを備え、データの記憶、入出力および演算処理を行う。演算部60には、ロードセル50からの信号がロードセルコード52を経由して入力され、変位センサ40からの信号が変位センサコード44を経由して入力される。表示手段としての表示部62では、演算部60で処理された各データの測定値や、その測定値に基く演算結果を表示する。
【0026】
操作部64には複数のボタン型スイッチが設けられている。これらのスイッチにより、測定モード(詳細は後述する)の選択、ロードセル50や変位センサ40の測定値のリセットおよび表示部62での表示画面の切換え等の入力を行う。情報出力部66は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器と接続可能な外部端子であり、演算部60内に記憶されたデータを外部機器に出力することができる。電源部70は乾電池または充電式のバッテリであり、ロードセル50、変位センサ40、演算部60および表示部62の電源となる。
【0027】
一方、第2アーム80と対をなす第2アーム81の先端には、第1支軸30と対をなす第1支軸30aが設けられている。第1支軸30aには、2本の第1アーム20aが上開き(内角θ)に取り付けられており、更にその第1アーム20aの間にはスプリング25aが設けられている。第1支軸30a、第1アーム20aおよびスプリング25aの構造は第1支軸30、まわりの第1アーム20およびスプリング25の構造と上下対称形になっており、同様の機能を有する。第1アーム20aの各先端には、挟持部支軸24を介して下挟持部13が設けられている。下挟持部13は、被測定物90を直接挟持する薄板状の挟持板15と、挟持板15を支持し、荷重を挟持板15に伝達する下挟持台14とからなる。下挟持部13の挟持板15は、上挟持部10の挟持板15と対向する位置に設けられており、被測定物90を挟持したとき、被測定物90を介して上下の挟持板15が互いに当接するようになっている。また、下挟持部13の両側には、各下挟持部13をさし渡すように薄板状のガイドプレート16がガイドプレートピン18によって取り付けられている。このガイドプレート16およびガイドプレートピン18は、上挟持部10に取り付けられたものと同様の構造、機能を有する。
【0028】
次に、引張特性測定器具1の作用について説明する。グリップ88,89を鋏のように開閉すると、第1支軸30,30aの軸間距離が変動する。図1ではその距離が大きく、上挟持部10の挟持板15と下挟持部13の挟持板15との間には充分な隙間ができている。図2では、この隙間に被測定物90を挿入した後、グリップ88,89を閉じる方向に動かし、上挟持部10の挟持板15と下挟持部13の挟持板15とで挟持した状態を示している。
【0029】
図2では、上挟持部10の挟持板15と下挟持部13の挟持板15とで被測定物90を挟持しており、その挟持点Aの間隔(以下挟持間隔という)はLとなっている。また、この状態での変位センサ測定ヘッド42の長さ(以下測定長という)はLAとなっている。挟持間隔Lと測定長LAとは、ともに挟持部の間隔の増減に伴って等しく増減するので、測定長LAの変位差は、挟持間隔Lの変位差、即ち被測定物90の伸びλと等しくなる。
【0030】
被測定物90が挟持されている状態から、更にグリップ88,89を閉じる方向に力を加えると、第1支軸30,30aには互いに接近しようとする力(押圧力W)が作用する。第1支軸30に作用する押圧力Wは、ロードセル吊持ピン82からロードセル吊持軸84、ロードセル50および第1支軸受け32を介して伝達される力であり、この伝達の過程で押圧力Wはロードセル50により測定される。第1支軸30,30aに作用する押圧力Wは第1アーム20,20aを介して上挟持部10,下挟持部13に斜めに伝達される。そして上挟持部10と下挟持部13とを互いに押さえつけて被測定物90を挟持するクランプ力と、被測定物90を引張る引張荷重Tとに分解される。従って、押圧力Wを増加させれば、その増分に応じてクランプ力と引張荷重Tとが増加する。このように、押圧力Wを増加させるだけで、引張荷重Tの増加に伴い自動的にクランプ力も増加するので、バランスの良い引張荷重Tとクランプ力が得られる。各挟持板15には、引張荷重Tの反作用として、引張荷重Tと逆向きの力T/2が作用する。
【0031】
引張荷重Tを受けた被測定物90は、その引張荷重Tの大きさに応じて伸びる。それに伴い挟持部がガイドプレート16に沿って移動し、挟持間隔Lおよび測定長LAが拡大する。そして変位センサ40は測定長LAの変位差として伸びλを測定する。
【0032】
被測定物90の伸びに伴い、挟持間隔Lが拡大するので、第1支軸30,30aを中心とする第1アーム20,20aの内角θが増大する。そのため、第1アーム20に支持されたスプリング25,25a(ばね定数k)は引き伸ばされ、復元力fを生じる。復元力fにより、測定前後の挟持間隔L(以下初期挟持間隔L0という)は自動的に所定の長さに維持される。従って、上挟持部10と下挟持部13の初期挟持間隔L0を等しくしておけば、測定開始時に上下の挟持板15が対向するので被測定物90を容易に挟持することができる。復元力fの大きさは次式(1)で求められる。
【0033】
【数1】
【0034】
式(1)において、Rは第1アーム20の有効長(第1支軸30,30aと挟持部支軸24との軸間距離)であり、Rsはスプリング支持部半径(第1支軸30,30aとスプリング支持孔22との軸間距離)である。
【0035】
測定された押圧力Wおよび測定長LAのデータは、ロードセルコード52および変位センサコード44によって演算部60に入力され、演算処理される。演算部60では、入力された電気抵抗値や電圧値を荷重や長さの値に変換したり、その結果を更に組み合わせて演算したりする。
【0036】
例えば、引張荷重Tは次式(2)により求められる。
【0037】
【数2】
【0038】
式(2)において、挟持間隔Lは、初期挟持間隔L0と伸びλとの和である(L=L0+λ)。なお、各部の作動抵抗等が無視できない程大きい場合は、必要に応じて式(2)にそれらを補正するための補正項を追加しても良い。
【0039】
図3は、式(2)による引張荷重Tと押圧力Wとの関係を示すグラフである。図3では各変数を次のように設定している。
第1アーム20の有効長R 45.5mm
スプリング支持部半径Rs 22.7mm
被測定物90の初期挟持間隔L0 45.5mm
第1アーム20,20aの初期内角θ0 30°
スプリング25のばね定数k 0.5N/mm
被測定物90の荷重/伸び比α 1N/mm
【0040】
被測定物90の荷重/伸び比α(以下荷重/伸び比αという)は、被測定物90を単位長さ伸ばすために必要な引張荷重Tの大きさを示す。図3では荷重/伸び比αを一定値としている。これは図4の荷重−伸び線図に示すような、引張荷重Tと伸びλとが比例関係にある被測定物90の計算結果であることを示す。
【0041】
図5は、引張特性測定器具1で一般的な布地の引張特性を測定したときの荷重−伸び線図である。横軸に伸びλ、縦軸に引張荷重Tを示す。この特性は、測定開始点P1から最大伸び点P2(λ=λ2,T=N2)まで徐々に引張荷重Tを増大させ、その後測定終了点P3まで徐々に引張荷重Tを減少させることにより得られる。荷重の増大過程と減少過程とで、同一伸びに対する引張荷重Tの値が異なるヒステリシスが見られる。
【0042】
演算部60、表示部62、操作部64および情報出力部66の作用について、図5を参照して説明する。測定にあたり、操作部64にてモード選択を行う。モードは、ポイント測定モード(モード1)と連続測定モード(モード2)とを選択し得る。
【0043】
モード1を選択した場合、狙いの伸びλ4に対する引張荷重Tや荷重/伸び比αを演算部60で求め、表示部62に表示する。測定方法は、まず操作部64から狙いの伸びλ4を入力する。次に上挟持部10と下挟持部13とで被測定物90を挟持し、操作部64のリセットボタンにより、伸びλと引張荷重Tをゼロとする(測定開始点P1)。なお、被測定物90が糸や布など、たるみを持つような場合は、挟持後わずかに引張荷重Tを負荷してたるみを除去してからリセットするのが望ましい。そして徐々に引張荷重Tを増大させ、伸びλが、λ2(λ2>λ4)となる最大伸び点P2に達した後、測定終了点P3まで徐々に引張荷重Tを減少させる。表示部62では伸びλ4に対する荷重増大過程の引張荷重N4および荷重減少過程の引張荷重N5の値を表示する。更に詳細データとして、最大伸び点P2における伸びλ2および引張荷重N2と、残留伸びλ3の値を表示する。また、狙いの伸びλ4における荷重/伸び比α(グラフ上の点P4,P5の接線の傾き)や、荷重/伸び比αの平均値(N4/λ4およびN5/λ4)も表示する。
【0044】
モード2を選択した場合、伸びλに対する引張荷重Tや荷重/伸び比αを演算部60で連続的に求め、表示部62に表示する。測定方法は、まず操作部64から伸びλのサンプリング間隔を入力する。次のリセットはモード1と同様である。次に、測定開始点P1から徐々に引張荷重Tを増大させ、最大伸び点P2に達した後は測定終了点P3まで徐々に引張荷重Tを減少させる。この間、演算部60では伸びλのサンプリング間隔ごとに引張荷重Tや荷重/伸び比αの測定結果および演算結果を記憶する。そして、測定終了後、所望の伸び(たとえばλ4)を操作部64から入力すれば、表示部62にはモード1で表示されるものと同様の結果を表示する。
【0045】
モード1、モード2のいずれも、測定値および演算結果は演算部60内の所定のメモリに記憶されており、情報出力部66からPC等の外部機器に出力できる。従って、たとえばモード2での測定結果をPCに出力し、図5に示すような荷重−伸び線図を作図させることもできる。
【0046】
以上のように、引張特性測定器具1は、小型、軽量で携行性に優れた簡単な機構でありながら、グリップ88,89を鋏のように開閉操作するだけで容易に引張特性の測定をすることができる。また、上挟持部10と下挟持部13とで挟持した範囲がそのまま測定範囲となるので、そのように挟持できる状態にあれば必ずしも分離した試験片を必要としない。このため、引張試験機の配備されていない発注先や品評会会場など、試験室の外部へ引張特性測定器具1を携行し、試験片を分離することなくその場で容易に引張特性を測定することができる。
【0047】
本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能である。その一例を以下に記す。
【0048】
引張特性として、上記のように荷重−伸び線図に基く引張荷重Tと伸びλとの関係(以下荷重−伸び系という)で表記する他に、応力−ひずみ線図に基く引張応力σとひずみεとの関係(以下応力−ひずみ系という)で表記してもよい。一般的に知られているように、引張応力σは引張荷重Tを初期の横断面積で除したもの、ひずみεは、伸びλを初期挟持間隔L0で除した無次元数である。縦軸を応力σ、横軸をひずみεにとった応力−ひずみ線図は、縦横の尺度を調節すれば荷重−伸び線図と同一形状になる。
【0049】
荷重−伸び系には、初期の横断面積が不明、あるいは求め難い(布など)場合にも容易に対応できる利点がある一方、測定結果を比較、参照する際には必ずサンプルサイズ(被測定物90の初期形状)を付記する必要がある(布であれば長さ×幅)。それに対し、応力−ひずみ系は、サンプルサイズに依らない表記であるため、より一般化された測定結果が得られる一方、予め被測定物90の初期の横断面積を求めておく必要がある。いずれの系を用いても良く、被測定物90の材質、形状に応じて使用する系をモード選択できるようにしても良い。
【0050】
第1支軸30,30aや第2アーム80,81は、2対以上設けても良い。第2アーム80,81の後端は、グリップ88,89のような、鋏状のグリップ形状でなくても良い。また、第2アーム80,81を設けず、第1支軸30(またはロードセル吊持ピン82)および第1支軸30aを支持し、その軸間距離を変動し得る別の機構としても良い。
【0051】
荷重測定手段は、ひずみゲージ式のロードセル50に限定するものではなく、他の荷重測定機器を用いても良い。また必ずしも電気的な測定器でなくても良い。その取り付け位置も限定するものではなく、引張荷重Tを直接或いは間接的に測定し得る箇所であれば良い。たとえば、第1アーム20,20aに直接ひずみゲージを貼付したような機構であっても良い。
【0052】
長さ測定手段は、DFTによる変位センサに限定するものではなく、他の変位測定機器を用いても良い。また必ずしも電気的な測定器でなくても良い。その取り付け位置も限定するものではなく、被測定物90の伸びλを直接或いは間接的に測定し得る箇所であれば良い。たとえば、目盛りを配した定規状の目盛り板の上に、挟持板15の動作に連動する指針を設け、その指針が指す目盛りを目視読み取りするような機構であっても良い。
【0053】
支持部の戻り手段は、スプリング25,25aに限定するものではなく、他の弾性体あるいは戻り機構であっても良い。その取り付け位置も限定するものではなく、たとえば第1支軸30,30aの軸周りにねじりスプリングを設けたようなものでも良い。
【0054】
挟持板15は、被測定物90を確実に挟持することができるものであれば、薄板状のものでなくても良い。たとえば、先端を櫛歯状に成形したものや、固定ローラ状のものであっても良い。
【0055】
演算部60、表示部62、操作部64および電源部70の形状、取り付け位置は上記実施形態に限定するものではない。また、必ずしもこれらを一体化する必要もなく、たとえばこれらのそれぞれを、第2アーム80,81の好適な箇所に埋め込むように配置しても良い。また、荷重測定手段および長さ測定手段に電気的な演算処理を必要としない場合は、演算部60は設けなくても良い。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明の引張特性測定器具は、被測定物の測定範囲の、測定方向の両端を、それぞれ上挟持部と下挟持部とによって挟持する挟持部と、被測定物に対して上記上挟持部側と下挟持部側のそれぞれに、被測定物から離して設けられた1対の第1支軸と、上記1対の第1支軸のそれぞれに、所定範囲内での回動が自在となるように支持され、所定の内角を持って測定方向に伸びるアームであって、その先端部に上記上挟持部または上記下挟持部が連設された第1アームと、被測定物の測定範囲の測定方向長さを測定する長さ測定手段と、被測定物の測定範囲に負荷された引張荷重を直接または間接的に測定する荷重測定手段とを備え、上記上挟持部側の上記第1支軸と上記下挟持部側の上記第1支軸とを互いに接近させることによって、被測定物が上記上挟持部と上記下挟持部に挟持され、更に接近させることによって、上記第1アームの内角が拡大するとともに、上記挟持部の測定方向の間隔が拡大するようにしたことを特徴とするので、簡単な機構で引張特性の測定をすることができる。そのため、小型、軽量で携行性に優れ、低価格な器具とすることができる。しかも、被測定物の測定したい部位を挟持部で挟むようにして第1支軸を接近させるだけで、分離した試験片を準備しなくても容易に測定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる器具の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の主要機構部を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる器具の押圧力と被測定物に作用する引張荷重との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態にかかる器具の荷重−伸び線図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる器具の荷重−伸び線図である。
【符号の説明】
1 引張特性測定器具
10 上挟持部
13 下挟持部
15 挟持板
16 ガイドプレート
20,20a 第1アーム
25,25a スプリング
30,30a 第1支軸
40 変位センサ
50 ロードセル
60 演算部
62 表示部
64 操作部
66 情報出力部
70 電源部
80,81 第2アーム
88,89 グリップ
Claims (6)
- 被測定物の引張特性を測定する器具であって、
被測定物の測定範囲の、測定方向の両端を、それぞれ上挟持部と下挟持部とによって挟持する挟持部と、
被測定物に対して上記上挟持部側と下挟持部側のそれぞれに、被測定物から離して設けられた1対の第1支軸と、
上記1対の第1支軸のそれぞれに、所定範囲内での回動が自在となるように支持され、所定の内角を持って測定方向に伸びるアームであって、その先端部に上記上挟持部または上記下挟持部が連設された第1アームと、
被測定物の測定範囲の測定方向長さを測定する長さ測定手段と、
被測定物の測定範囲に負荷された引張荷重を直接または間接的に測定する荷重測定手段とを備え、
上記上挟持部側の上記第1支軸と上記下挟持部側の上記第1支軸とを互いに接近させることによって、被測定物が上記上挟持部と上記下挟持部に挟持され、更に接近させることによって、上記第1アームの内角が拡大するとともに、上記挟持部の測定方向の間隔が拡大するようにした
ことを特徴とする引張特性測定器具。 - 上記荷重測定手段は、上記第1支軸を互いに接近させる押圧力を測定するものであることを特徴とする請求項1記載の引張特性測定器具。
- 非測定時には、上記支持部の測定方向の間隔を所定の長さに戻す、支持部の戻り手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の引張特性測定器具。
- 上記長さ測定手段と、上記荷重測定手段とによって得られた測定結果に基いて、引張特性を得るための所定の演算を行う演算手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の引張特性測定器具。
- 上記長さ測定手段および上記荷重測定手段による測定結果と、上記演算手段による演算結果との一部又は全部を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の引張特性測定器具。
- 上記第1支軸がその一端に設けられた1対の第2アームと、上記第2アームを支持するとともに、その支持点周りの上記第2アームの所定範囲内での回動を自在にする第2支軸と
を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の引張特性測定器具。
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