JP3878109B2 - 食器洗浄機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キッチンカウンターの下方に組み込まれるビルトインタイプの食器洗浄機に関し、特に、食器洗浄機に除菌と脱臭の機能を付与する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の食器洗浄機の構成例を図14に示し、食器洗浄機の運転フローの一例を図15に示す。
食器洗浄機の洗浄槽72内の食器かご74に食器が収容される。洗浄槽72に排水路が連通しており、その入口にフィルタ76が設けられている。また洗浄槽72には乾燥用空気の導入路82が連通しており、導入路82には送風ファン78が設けられている。送風ファン78が回転すると、乾燥用空気が吸気口80から吸引され、導入路82から洗浄槽72に導入され、食器を乾燥させ、排気口84から排気される。乾燥用空気を加熱して食器の乾燥を促進するために、洗浄槽72内にはヒータ88が設けられている。
乾燥用空気の導入路82からは分岐路86が分岐しており、その分岐路86にオゾン発生装置90が設けられている。分岐路86を流れてきたオゾンを含む空気と、洗浄槽72を通過した空気は混合部92で混合され、混合後に排気口84から排気される。
図15のステップ120で洗浄槽72に食器が収容され、ステップ122で洗剤が投入されると、洗浄工程(ステップ124)と、温水による2回のすすぎ工程(ステップ126,128)が実行されて食器を洗浄する。食器から取り除かれた残菜は、フィルタ76によって捕捉される。ステップ130の乾燥工程では送風ファン78とヒータ88を作動させる。この結果、吸気口80から洗浄槽72に空気が導入されて食器を乾燥させる。ヒータ88が乾燥用空気を加熱するために食器の乾燥が促進される。このときフィルタ76上の残菜も同時に加熱されるために臭気成分が発生し悪臭が発生する場合がある。
吸気口80から吸引された空気の一部は分岐路86を流れ、オゾン発生装置90で発生したオゾンを含んで混合部92に至る。洗浄槽72を流れて食器を乾燥させた空気(この空気には悪臭成分が含まれることがある)も、混合部92に流れ込む。オゾンと悪臭を含む空気が混合部92で混合されるために、悪臭成分がオゾンによって分解される。このために排気口84から悪臭成分が排気されなくなる。余剰のオゾンは排気口84に設けられたオゾン分解触媒で分解される。ステップ130の乾燥工程では、送風ファン78とヒータ88を作動させると同時に、オゾン発生装置90も運転する。所定の乾燥運転時間が経過すると、ステップ132で電源を自動的にオフして食器洗浄機の運転を中止する。上記のオゾン発生装置を組み込んだ食器洗浄機の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平3−289924号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
キッチンカウンター下方の収納空間は湿気がこもりやすい。また食器洗浄機には、水道水を加熱して温水にするヒータ(乾燥空気を加熱するヒータと兼用されることが多い)が備えられている。キッチンカウンターの下方の収納空間に食器洗浄機を組み込むと、キッチンカウンター下方の収納空間が高温多湿となって黴や雑菌が発生しやすい環境になりやすい。
また住宅の機密性が向上していることから、台所も高温多湿となって黴や雑菌が発生しやすい環境となりやすい。特に、食器洗浄機は夜間に運転されることが多いことから、朝一番に台所に入室したときに、食器洗浄機から放出された独特の臭気が台所にこもっていて、台所のさわやかさを損ねることもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、一つの目的は、キッチンカウンター下方の収納空間が黴や雑菌が発生しやすい環境となることを防止する。他の一つの目的は、台所が黴や雑菌が発生しやすい環境となることを防止し、さわやかさを損ねないようにする。さらに、他の一つの目的は、食器の乾燥時に洗浄槽から排気される空気から悪臭成分を除去して悪臭が排気されないようにする。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用】
請求項1の発明の食器洗浄機は、以下の構成を備えている。即ち、食器を収納して洗浄する洗浄槽と、洗浄槽に連通する第1排気口と、台所に開口する第2排気口と、キッチンカウンター下方の収納空間に開口する第3排気口と、送風手段と、洗浄槽を介して第1排気口と送風手段を連通させる第1分岐路と、第2排気口と送風手段を連通させる第2分岐路と、第3排気口と送風手段を連通させる第3分岐路と、送風手段よりも下流で第1分岐路と第2分岐路と第3分岐路の分岐点よりも上流に設置されたイオン発生手段を備えている。イオン発生手段で発生したイオンは、第1分岐路から洗浄槽に供給され、第2分岐路から台所に供給され、さらに第3分岐路からキッチンカウンター下方の収納空間に供給される。
【0007】
空気中に含まれる負イオンと正イオンは、相互作用によって除菌作用と脱臭作用を営む。また空気中に含まれる負イオンの数が多いと、人をリラックスさせ、さわやかな感じをもたらす。
負イオンと正イオンを含んだ空気を洗浄槽に送り込んで食器を乾燥すると、食器を乾燥させた空気に悪臭が混じることが防止される。負イオンと正イオンを含んだ空気が台所に供給されると、台所の空気が黴や雑菌の発生しずらい状態に改質される。負イオンと正イオンを含んだ空気がキッチンカウンター下方の収納空間に供給されると、収納空間の空気が黴や雑菌の発生しずらい状態に改質される。さらに負イオンを含んだ空気が台所に供給されると、人をリラックスさせ、さわやかな感じをもたらす。
【0008】
請求項2の発明の食器洗浄機は、以下の構成を備えている。即ち、食器を収納して洗浄する洗浄槽と、洗浄槽に連通する第1排気口と、台所に開口する第2排気口と、キッチンカウンター下方の収納空間に開口する第3排気口と、送風手段と、洗浄槽を介して第1排気口と送風手段を連通させる第1分岐路と、第2排気口と送風手段を連通させる第2分岐路と、第3排気口と送風手段を連通させる第3分岐路と、送風手段よりも下流で第2分岐路と第3分岐路の分岐点よりも上流に設置されたイオン発生手段を備えている。イオン発生手段で発生したイオンは、少なくとも台所とキッチンカウンターの下方の収納空間に供給される。イオン発生手段は、第1分岐路の分岐点よりも上流に設置されていても下流に設置されていてもよく、上流に設置されていればイオンが洗浄槽と台所とキッチンカウンター下方の収納空間に供給され、下流に設置されていれば台所とキッチンカウンター下方の収納空間に供給される。
【0009】
本発明の食器洗浄機によると、台所とキッチンカウンター下方の収納空間の除菌と脱臭を行うことができる。さらに、台所を人がリラックスできる快適な環境にすることができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2の食器洗浄機において、第1分岐路と、第2分岐路と第3分岐路の、いずれか一方を閉じて他方を開放する弁を設けることと、洗浄した食器の乾燥中は第1分岐路が開けられ、食器の洗浄中および食器の乾燥終了後は第2分岐路と第3分岐路が開けられるようにすることを特徴とする。第2分岐路と第3分岐路は、食器の洗浄中と食器の乾燥終了後のいずれか一方でのみ開けられるようにしてもよい。
食器の乾燥時には第1分岐路が開けられて送風されることにより、食器の乾燥が効率よく行われる。食器の洗浄中に第2分岐路と第3分岐路が開けられると、食器の洗浄中にイオンを含む空気によって台所とキッチンカウンター下方の収納空間の除菌と脱臭が行われる。食器の乾燥終了後に第2分岐路と第3分岐路が開けられると、食器の乾燥終了後に、イオンを含む空気によって台所とキッチンカウンター下方の収納空間の除菌と脱臭が行われる。
台所とキッチンカウンター下方の収納空間に熱気や水分が放出されて黴や雑菌が繁殖しやすい環境となる前後に、イオンを利用した除菌と脱臭がおこなれるために、台所とキッチンカウンター下方の収納空間の環境が悪化することが防止される。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1または2の食器洗浄機において、第1分岐路を閉じる弁が設けることにより、イオン発生手段で発生したイオンが洗浄槽を経由せずに第2排気口を介して台所に供給されることを特徴とする。
この場合、食器の洗浄を行わない場合でも、随時台所にイオンを供給して、台所をリラックスできる快適な環境にすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に説明する実施例の主要な特徴を次に列記する。
(形態1)引出し式洗浄槽の前面に第1排気口と第2排気口が設けられており、食器洗浄機本体の後面に第3排気口が設けられている。
(形態2)引出し式洗浄槽を収容する食器洗浄槽本体には、引出し式洗浄槽の後方に伸びる第3分岐路に対向する第3排気口が形成されており、その第3排気口からイオンをキッチンカウンター下方の収納空間に放出する。
(形態3)イオン発生手段の発生する正イオンと負イオンの割合が、運転状態に応じて変化する。
(形態4)イオン発生手段は、食器洗浄機の洗浄運転中と乾燥運転中と乾燥運転の直後には正イオンと負イオンの両者を発生する。
(形態5)イオン発生手段は、設定された時刻に負イオンを発生する。
(形態6)イオン発生手段は、イオン発生スイッチが操作されると負イオンを発生する。
【0013】
【実施例】
以下に、本発明の食器洗浄機を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施例) 図1に示すように、本実施例の食器洗浄機1は、キッチンカウンター2の下方に組み込まれて用いられ、前面カバー28と一体化した引出し式洗浄槽4を前方に引き出して食器を洗浄槽4内の食器かご24に収納する。食器洗浄機1の前面カバー28には第1排気口6と第2排気口8と操作パネル56が設けられている。引出し式洗浄槽4を後方に押し込むと、洗浄槽4は食器洗浄機本体26内に収容される。
図2は、洗浄槽4を食器洗浄機本体26に収納したときの断面を模式的に表している。洗浄槽4の下面に、周囲から空気を吸引して送風する送風ファン12が設けられている。図3に模式的に示すように、送風ファン12には、吸引した空気を送風する送風路が接続されており、送風路は、第1分岐路14と第2分岐路16と第3分岐路18に分岐している。図2に示すように、第1分岐路14は、送風ファン12から前面カバー28の内部を通過して洗浄槽4に至り、洗浄槽4を経由して第1排気口6に連通している。第2分岐路16は、送風ファン12から前面カバー28の内部を通過して第2排気口8に連通している。第3分岐路18は後方に伸び、洗浄槽4が食器洗浄機本体26に収納された際に、食器洗浄機本体26の後壁にほぼ対向するまで伸びている。食器洗浄機本体26の後壁の第3分岐路18に対向する位置には、第3排気口10が形成されている。
キッチンカウンター2の下方に組み込まれる食器洗浄機1は、食器を収納して洗浄する洗浄槽4と、洗浄槽4に連通する第1排気口6と、台所に開口する第2排気口8と、キッチンカウンター2の下方の収納空間に開口する第3排気口10と、送風手段12と、洗浄槽4を介して第1排気口6と送風手段12を連通させる第1分岐路14と、第2排気口8と送風手段12を連通させる第2分岐路16と、第3排気口10と送風手段12を連通させる第3分岐路18を備えている。
【0014】
図3に示されているように、送風手段12よりも下流である一方、第1分岐路14と第2分岐路16と第3分岐路18に分岐する分岐点よりも上流である位置に、イオン発生手段22が設けられている。イオン発生手段22の構造を図4に模式的に示す。イオン発生手段22は、筒状の絶縁体34をはさんで配置された内電極36と外電極38に交流電源40から高圧を印加することによって正イオンと負イオンを発生する。図3に示すように、一対のイオン発生手段22が利用されており、イオン発生手段22で発生したイオンは、供給口32から第1分岐路14と第2分岐路16と第3分岐路18に供給される。
【0015】
本実施例の食器洗浄機1の運転フローを図5に示す。ステップ2で洗浄槽4に食器を収容する。ステップ4で洗剤を投入する。するとステップ6で洗剤と温水を利用して食器が洗浄される。洗浄が終了すると、ステップ8とステップ10で2回に亘ってすすがれる。すすぎ回数は2回に限られない。次にステップ12で乾燥工程に入り、図示しないヒータによって洗浄槽4が昇温され、送風ファン12の運転開始と同時に、イオン発生手段22が正イオンと負イオンの供給を開始する。
【0016】
イオン発生手段22で発生した正イオンと負イオンは、第1分岐路14と第2分岐路16と第3分岐路18の全部に供給される。
第1分岐路14に供給された正イオンと負イオンを含む空気は洗浄槽4に到達し、正イオンと負イオンの相互作用によって、加熱されることによって残菜が発生する臭気成分を除去する。これにより、第1排気口6から台所に排気される食器乾燥後の空気は、悪臭のない空気となる。第2分岐路16を流れて第2排気口8から台所に供給される空気には、正イオンと負イオンが含まれており台所の除菌と脱臭を行う。第3分岐路18を流れて第3排気口10からキッチンカウンター2の下方の収納空間に供給される空気には、正イオンと負イオンが含まれており、その収納空間の除菌と脱臭を行う。食器の乾燥が終了すると、電源が落とされて食器洗浄機の運転が終了する。
【0017】
本実施例の食器乾燥機1を用いることにより、食器乾燥時に洗浄槽4から排気される空気に臭気成分が含まれないようにできるので、人に不快感を与えない。又、洗浄した食器の乾燥と同時に台所とキッチンカウンター2の下方の収納空間の除菌と脱臭を行うことができる。台所とキッチンカウンター2の下方の収納空間を除菌することにより、黴や雑菌の発生が防止され、黴や雑菌に起因する悪臭の発生を防止することができる。
【0018】
(第2実施例) 本実施例の送風手段12と、イオン発生手段22と、第1分岐路44と、第2分岐路46と、第3分岐路48の要部の平面図を図6に示し、運転フローを図7に示す。その他の主要部については第1実施例と同一の構成であり、同一符号を付与して重複説明を割愛する。
【0019】
本実施例の場合、第1分岐路44と第2分岐路46の分岐箇所に弁42が設けられている。弁42は図示されないソレノイドによって動作し、第1分岐路44を開いて第2分岐路46と第3分岐路48を閉じる状態と、第1分岐路44を閉じて第2分岐路46と第3分岐路48を開ける状態の間で切換わる。
【0020】
図7のフロー図を参照しつつさらに詳細に本実施例の食器洗浄機について説明する。ステップ22で洗浄槽4に食器を収容する。ステップ24で洗剤を投入する。するとステップ26で洗剤と温水を利用して食器が洗浄される。洗浄が終了すると、ステップ28とステップ30で2回すすがれる。ステップ26の洗浄工程中とステップ28とステップ30のすすぎ工程中には、同時にステップ31が実行される。
ステップ31では、弁42によって第1分岐路44を閉じて第2分岐路46と第3分岐路48を開放する。その状態で、イオン発生手段22を運転して正イオンと負イオンを発生させる。イオン発生手段22で発生した正イオンと負イオンは、第2分岐路46と第3分岐路48に供給される。このときに送風ファン12も運転され、第2分岐路46と第3分岐路48を正イオンと負イオンが流れる。第2分岐路46を通って第2排気口8から台所に供給される空気には、正イオンと負イオンが含まれており、台所の除菌と脱臭がなされる。第3分岐路48を流れて第3排気口10からキッチンカウンター2の下方の収納空間に供給される空気にも、正イオンと負イオンが含まれており、その収納空間の除菌と脱臭がなされる。
すすぎ工程が終了すると、ステップ32で乾燥工程に入り、弁42によって第1分岐路44を開けて第2分岐路46と第3分岐路48を閉じる。また図示しないヒータに通電して洗浄槽4を昇温する。送風ファン12とイオン発生手段22は運転を続け、正イオンと負イオンを含む空気によって食器が乾燥される。正イオンと負イオンを含む空気で乾燥すると、正イオンと負イオンの相互作用によって、加熱されることによって残菜が発生する臭気成分を除去する。これにより第1排気口6から台所に排気される食器乾燥後の空気には、悪臭が含まれない。
【0021】
ステップ32で食器の乾燥が終了するとステップ34に進み、弁42によって第1分岐路44を閉じて第2分岐路46と第3分岐路48を開放する。ヒータの通電を止める。その状態で、送風ファン12とイオン発生手段22は運転を続ける。イオン発生手段22で発生した正イオンと負イオンは、第2分岐路46と第3分岐路48に供給される。第2分岐路46を通って第2排気口8から台所に供給される空気には、正イオンと負イオンが含まれており、台所の除菌と脱臭がなされる。第3分岐路48を流れて第3排気口10からキッチンカウンター2の下方の収納空間に供給される空気にも、正イオンと負イオンが含まれており、その収納空間の除菌と脱臭がなされる。所定時間だけイオンを放出する運転を続けた後に、電源を自動的にオフして洗浄機の運転を中止する。
上記では、洗浄すすぎ工程中と、乾燥工程後の双方において、正イオンと負イオンを台所とキッチンカウンター2の下方の収納空間に供給する。このうちどちらか一方のイオン供給工程は省略することができる。ステップ31と34は両方実施してもよいし、どちらか一方のみを実施してもよい。
【0022】
本実施例の食器洗浄機を用いることにより、食器の洗浄中および/または食器の乾燥終了後に、台所とキッチンカウンター2の下方の収納空間の除菌と脱臭を同時に行うことができる。食器の乾燥時の排気に悪臭成分が含まれていた場合でも、台所の除菌と脱臭を行うことによって悪臭成分は速やかに除去されて台所は快適な環境となる。又、台所とキッチンカウンター2の下方の収納空間の除菌を行うことにより、黴や雑菌の発生が防止され、黴や雑菌に起因する悪臭の発生を防止することができる。
【0023】
(第3実施例) 本実施例に於ける、送風手段12と、イオン発生手段52と、第1分岐路44と、第2分岐路46と、第3分岐路48の要部の平面図を図8に示し、イオン発生手段52の構造を図9に模式的に示し、食器洗浄機の運転フローを図10に示す。第1分岐路44と第2分岐路46の分岐箇所に弁42が設けられている。弁42は図示されないソレノイドによって動作し、第1分岐路44を開いて第2分岐路46を閉じる状態と、第1分岐路44を閉じて第2分岐路46を開ける状態の間で切換わる。又、第2分岐路46と第3分岐路48の分岐箇所に弁54が設けられている。弁54は図示されないソレノイドによって動作し、第3分岐路48を開けた状態と閉じた状態の間で切換わる。弁54は弁42と独立に動作する。
【0024】
本実施例の場合、イオン発生手段52は、送風手段12よりも下流であり、第1分岐路44と第2分岐路46の分岐点よりも下流であり、第2分岐路46と第3分岐路48の分岐点よりも上流の位置に設けられている。イオン発生手段52は、筒状の絶縁体34をはさんで配置された内電極36と外電極38に交流電源40から高圧を印加することによって正イオンと負イオンを同時に発生する手段と、高圧電源35から針状電極37に高電圧を印加して負イオンを発生する手段からなり、二つの手段を切り替えることで、正イオンと負イオンの両方を発生させたり、負イオンのみを発生させたりすることができる。イオン発生手段52で発生したイオンは第2分岐路46と第2分岐路48に供給される。その他の主要部については、第2実施例と同一の構成であり、同一符号を付与して重複説明を割愛する。
【0025】
図10のフロー図を参照しつつ、本実施例の食器洗浄機について説明する。
本実施例の食器洗浄機は、ステップ52で、食器洗浄機の運転を開始する前に負イオンの供給を開始する時刻を設定する。設定時刻は、例えば夜間に食器を洗浄して朝食の直前に負イオンを充分に供給するように、食器の洗浄と乾燥が完了したあとの時刻に設定する。負イオンの供給開始時刻が設定されると、ステップ54の洗浄工程によって、通常の食器洗浄機と同様に食器から残菜が取り除かれる。食器の洗浄とすすぎが完了すると、ステップ56で弁42が第2分岐路46を閉じて第1分岐路44を開放する。このとき弁54は第3分岐路48を開放していても閉じていてもかまわない。ステップ58で乾燥工程に入ると、送風ファン12が稼働を開始して第1分岐路44に送風することにより、洗浄槽4の食器が乾燥する。
送風ファン12は食器の乾燥が終了した後も、稼働して送風を続ける。ステップ60で弁42は第1分岐路44を閉じて第2分岐路46を開放し、弁54は第3分岐路48を開放する。第2分岐路46と第3分岐路48が開放されると、イオン発生手段52が正イオンと負イオンの供給を開始し(ステップ62)、第2分岐路46と第3分岐路48に、正イオンと負イオンを含む空気が供給されて、台所とキッチンカウンター2の下方の収納空間の除菌と脱臭が行われる(ステップ64、66)。
ステップ68で正イオンと負イオンの供給が終了すると、弁52は第3分岐路48を閉じる(ステップ70)。このとき、送風ファン12も一旦停止する。
【0026】
運転開始時に設定した負イオンの供給開始時刻が来ると、ステップ72がイエスとなり、台所へのイオン供給が開始される。即ち、送風ファン12が再び送風を開始し(ステップ74)、イオン発生手段52が負イオンを発生させる(ステップ76)。イオン発生手段52から供給される負イオンは、送風ファン12から供給される空気と混じり合い、第2分岐路46を通って台所に供給される(ステップ78)。台所が所定のイオン濃度となった場合、若しくは一定時間負イオンが供給された時、負イオンの供給が終了する(ステップ80)。負イオンの供給が終了して、食器洗浄機の運転が完了する。
【0027】
本実施例の食器洗浄機を用いることにより、食器の洗浄と乾燥が終了した後に、台所とキッチンカウンター2の下方の収納空間の除菌と脱臭を同時に行うことができる。さらに、予め設定した時刻に台所に負イオンが供給されるので、台所がリラックスできる快適な環境となる。
【0028】
(第4実施例) 本実施例に於ける、送風手段12とイオン発生手段52とこれらを接続する各分岐路14,16,20の要部の平面図を図11に示し、食器洗浄機1の運転内容を指定する操作パネル56の詳細図を図12に示す。その他の主要部について、第1、第2及び第3実施例と同一の構成のものについては、同一符号を付与して重複説明を割愛する。
【0029】
本実施例のイオン発生手段52は、第1分岐路14と第2分岐路16の分岐点よりも上流に設置されており、運転条件に対応して、正イオンと負イオンの両方を発生させたり、負イオンのみに発生させたりすることができる。発生したイオンは、全ての分岐路14、16、20に供給される。
第1分岐路14には、第1分岐路14を開放状態と遮断状態に切換える弁58が設けられている。又、第3分岐路には第3分岐路20を開放状態と遮断状態に切換える弁60が設けられている。弁58と弁60は、食器洗浄機の運転状況に対応して、図示されないソレノイドによって同時に動作する。
【0030】
図12に示すように、本実施例の食器洗浄機の操作パネル56には、電源ボタン64と、イオン供給ボタン62と、洗浄コース選択ボタン70と、スタートボタン68が設けられており、各ボタンを押すことで食器洗浄機の運転内容が選択される。
以下、図13の運転のフロー図を参照しながら、より詳細に説明する。
【0031】
食器洗浄機は、ステップ82で電源ボタン64が押されて電源が入れられる。電源が入った状態でイオン供給ボタン62が押されると、ステップ84がイエスとなって、台所にイオンを供給するための運転が開始される。洗浄コース選択ボタン70が押されると、ステップ86がイエスとなって、食器の洗浄と乾燥のための運転が開始される。このとき、洗浄コース選択ボタン70を押す度に、選択される食器洗浄コースはコース1からコース3までが順次切り替わり、希望する任意の洗浄コースを選択することができる。電源の入った状態で、再び電源ボタン64が押されたり(ステップ88)、一定時間経過してもなにも操作が行われない場合(ステップ90)には、電源が切られて終了する(ステップ92)。
【0032】
イオン供給ボタン62が押されるとステップ84がイエスとなって、台所へのイオン供給が選択される。ステップ94で弁58が第1分岐路14を閉じ、弁60が第3分岐路20を閉じることにより、第2分岐路16のみが開放状態となって送風ファン12から排気口8までを連通させる。ステップ96で、イオン発生手段52が負イオンを発生させ始める。イオン発生手段52の稼働と同時に送風ファン12が回転を開始するので、イオン発生手段52で発生した負イオンは、送風ファン12から供給される空気と混じり合い、第2分岐路16を通って台所に供給される(ステップ98)。台所が所定のイオン濃度となった場合、若しくは一定時間負イオンが供給された時、負イオンの供給が終了して(ステップ100)、食器洗浄機の電源がOFFとなり(ステップ92)、運転が終了する。
【0033】
洗浄コース選択ボタン70が押されるとステップ86がイエスとなって、食器の洗浄コースが選択される。ステップ102でスタートボタンが押されると、食器の洗浄と乾燥が行われる。ステップ104における洗浄と複数回のすすぎから成る洗浄工程は、通常の食器洗浄機と同様に行われる。ステップ104の洗浄工程が終わると、ステップ106で弁58が第1分岐路14を開き、弁60が第3分岐路20を開くことで、全ての分岐路14、16、20が開放状態となる。次に、ステップ108の乾燥工程に入り送風ファン12が稼働を開始する。送風ファン12が稼働を開始すると、イオン発生手段22が正イオンと負イオンの供給を開始する(ステップ110)。
イオン発生手段52で発生したイオンは送風ファン12から供給される空気と混合されて全ての分岐路14、16、20に供給される。第1分岐路14を通るイオンを含む空気は洗浄槽4に到達し、乾燥中に残菜が加熱されて発生する悪臭成分を除去する(ステップ112)。第2分岐路16から台所に供給されるイオンを含む空気は、台所の除菌と脱臭を行う(ステップ114)。第3分岐路20からキッチンカウンター2の下方の収納空間に供給されるイオンを含む空気は、その収納空間の除菌と脱臭を行う(ステップ116)。ステップ118の食器の乾燥終了と共に、イオンの供給も終了し、台所とキッチンカウンター2の下方の収納空間の除菌と脱臭が終了する。
【0034】
本実施例の食器乾燥機は、イオン供給運転を選択することにより、食器の洗浄と乾燥を行わない場合に、台所に直接負イオンを供給することができる。洗浄槽4やキッチンカウンター2の下方の収納空間で負イオンが消費されることなく、高濃度の負イオンが台所だけに供給されるので、台所は速やかにリラックスできる快適な環境となる。
さらに、通常の食器の洗浄と乾燥を選択した場合には、食器の乾燥時に洗浄槽4と台所とキッチンカウンター2の下方の収納空間の除菌と脱臭を同時に行うことができる。
【0035】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、実施例では洗浄槽を引き出して洗浄槽内部の食器かごに洗浄する食器をセットする引き出し式の食器洗浄機に本発明を適用した事例を説明したが、前面カバーが下側に向かって開き食器かごが洗浄槽の外にスライドする方式の食器洗浄機にも適用可能である。イオンの発生手段としては、放電を利用した装置の他、レナード効果を利用した装置、自発分極を有する鉱石を利用した装置、セラミックを利用した装置などを使用することが可能である。実施例では、負イオンの発生時間のみを指定するフローについて説明したが、食器の洗浄時間、正イオンと負イオンによる殺菌と脱臭時間についても、タイマーによって指定することが可能である。
【0036】
【発明の効果】
本願発明の食器洗浄機によれば、送風手段に連通する3本の分岐路を設けることによって、イオン発生手段で発生したイオンを含む空気を、洗浄槽と、台所と、キッチンカウンター下方の収納空間に供給することができ、洗浄槽から排気される空気から臭気成分を除去すると共に、食器洗浄機設置個所周辺の黴や雑菌の発生を防止することができ、台所を快適な環境にすることができる。又、分岐点とイオン発生手段の配置位置の関係を調整し、分岐路の開閉を行い、発生する正イオンと負イオンの割合を制御することによって、より効率的に、台所とキッチンカウンター下方の収納空間の殺菌と脱臭と、台所の快適化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の食器洗浄機がキッチンカウンターに組み込まれている様子を模式的に示す図。
【図2】 第1実施例の食器洗浄機の断面図。
【図3】 第1実施例のイオン発生手段と送風手段と各分岐路を示す斜視図。
【図4】 第1実施例のイオン発生手段を示す断面図。
【図5】 第1実施例の食器洗浄機の運転フロー図。
【図6】 第2実施例のイオン発生手段と送風手段と各分岐路を示す平面図。
【図7】 第2実施例の食器洗浄機の運転フロー図。
【図8】 第3実施例のイオン発生手段と送風手段と各分岐路を示す平面図。
【図9】 第3実施例のイオン発生手段を示す断面図。
【図10】 第3実施例の食器洗浄機の運転フロー図。
【図11】 第4実施例のイオン発生手段と送風手段と各分岐路を示す平面図。
【図12】 第4実施例の食器洗浄機の操作パネル部分を模式的に表す図。
【図13】 第4実施例の食器洗浄機の運転フロー図。
【図14】 従来の食器洗浄機を模式的に表す図。
【図15】 従来の食器洗浄機の運転フロー図。
【符号の説明】
1:食器洗浄機
2:キッチンカウンター
4:洗浄槽
6:第1排気口
8:第2排気口
10:第3排気口
12:送風ファン
14,44:第1分岐路
16,46:第2分岐路
18,20,48:第3分岐路
22:イオン発生手段
56:操作パネル
42,54,58,60:弁
Claims (4)
- キッチンカウンターの下方の収納空間に組み込まれる食器洗浄機であって、食器を収納して洗浄する洗浄槽と、洗浄槽に連通する第1排気口と、台所に開口する第2排気口と、キッチンカウンターの下方の収納空間に開口する第3排気口と、送風手段と、洗浄槽を介して第1排気口と送風手段を連通させる第1分岐路と、第2排気口と送風手段を連通させる第2分岐路と、第3排気口と送風手段を連通させる第3分岐路と、送風手段よりも下流で第1分岐路と第2分岐路と第3分岐路の分岐点よりも上流に設置されたイオン発生手段を備えており、イオン発生手段で発生したイオンが洗浄槽と台所とキッチンカウンター下方の収納空間に供給されることを特徴とする食器洗浄機。
- キッチンカウンターの下方の収納空間に組み込まれる食器洗浄機であって、食器を収納して洗浄する洗浄槽と、洗浄槽に連通する第1排気口と、台所に開口する第2排気口と、キッチンカウンターの下方の収納空間に開口する第3排気口と、送風手段と、洗浄槽を介して第1排気口と送風手段を連通させる第1分岐路と、第2排気口と送風手段を連通させる第2分岐路と、第3排気口と送風手段を連通させる第3分岐路と、送風手段よりも下流で第2分岐路と第3分岐路の分岐点よりも上流に設置されたイオン発生手段を備えており、イオン発生手段で発生したイオンが少なくとも台所とキッチンカウンター下方の収納空間に供給されることを特徴とする食器洗浄機。
- 第1分岐路と、第2分岐路と第3分岐路の、いずれか一方を閉じて他方を開放する弁が設けられており、洗浄した食器の乾燥中は第1分岐路が開けられ、食器の洗浄中および/または食器の乾燥終了後は第2分岐路と第3分岐路が開けられることを特徴とする請求項1または2の食器洗浄機。
- 第1分岐路を閉じる弁が設けられており、イオン発生手段で発生したイオンが洗浄槽を経由せずに第2排気口を介して台所に供給されることを特徴とする請求項1または2の食器洗浄機。
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