JP3872714B2 - 粉末焼結用成形組成物の製造方法及び該方法で製造された組成物とその焼結方法並びにその粉末焼結部材 - Google Patents

粉末焼結用成形組成物の製造方法及び該方法で製造された組成物とその焼結方法並びにその粉末焼結部材

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画期的な粉末焼結方法と当該方法に供される粉末焼結用成形組成物並びにその粉末焼結部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から粉末焼結方法は、焼結用粉末とポリアセタール樹脂をバインダ樹脂とする混練物を原料として射出成形し、射出成形にて形成されたグリーン体を硝酸で脱脂して粉末焼結部材を形成するという特許第2602769号のような化学的方法や、粉末材料を金型に入れて高圧プレスする高圧プレス方法、前記焼結用粉末にパラフィンのようなバインダ材料との混練物をゴム袋に入れ、これを水槽中で強圧プレスして1本の圧縮棒状体を形成し(ラバープレス法)、続いて、焼結時の収縮率を見込んで必要とする形状の略相似形にこの圧縮棒状体を粗加工し、この粗加工品を加熱して徐々に粗加工品を脱バインダ(セミシンタリング)し、続いてこのセミシンタリング品(焼結用粉末同士が部分的に融着しているポーラスな状態)の必要箇所を更に加工し、最後にこれを焼結して粉末焼結部材とする方法やその他多数の方法が提案されている。
【0003】
しかしながら、従来のいずれの方法においても、以下のような様々な問題が合った。即ち、ポリアセタール樹脂をバインダ樹脂とする化学法では、●硝酸のような危険な薬剤をその製造工程において使用しなければならないという問題、●バインダ樹脂を使用した場合、脱脂工程におけるグリーン体からのバインダ樹脂の不均一な脱脂による焼結時のひずみ発生という問題(換言すれば、表面に近い部分や薄肉部分は脱脂が容易に行われるのに対して、中心部分や厚肉部分は脱脂されにくく、脱脂を終了してもその部分にバインダ樹脂が残留しており、これが焼結時に歪み発生の原因となる。)、●脱脂した多孔質グリーン体の場合、保形性の劣悪さ(換言すれば、脱脂によってバインダ樹脂のほとんどが除去されるので、グリーン体のほとんどは焼結用粉末で構成された多孔質体であり、外部からの力で非常に崩れやすい状態となっている。プレス成形品でも同様)という問題、●脱脂に極めて長時間が掛かり、生産性が悪いという問題などがある。
【0004】
また、粉末材料を金型に入れて高圧プレスする方法では、●プレス面に接する部分は密度が向上するが、プレス面から離れると急速に密度が低下し全体を均一にプレスすることができないというような問題(換言すれば、圧縮粉末材料の不均一性は焼結時の歪みの原因となる。)や●この方法では複雑な形状のものが出来ないという問題などがある。
【0005】
ラバープレス・セミシンタリング法の場合、●壊れやすいラバープレス棒状体を必要形状にある程度近い形まで粗加工する場合、更にこの粗加工品のセミシンタリングしたものを焼結収縮代を見込んだ形状にまで機械加工を行う場合、長時間の加工時間が必要で且つ複雑な工程が必要で生産性が非常に悪いという問題や、●前記加工中において切削屑がロスになるため材料ロスが多量に発生するという問題がある。それ故、現在では例えば超硬材料のような特殊な分野において主として実施されているのが現状であり、一般普遍的に使用されている製造方法とはなっていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような粉末焼結方法の根本的な問題点を全て氷解させる画期的な手法の開発をその解決課題とするものである。
【0007】
【解決を解決するための手段】
「請求項1」は本発明に係る粉末焼結用成形組成物の製造方法で、「1の溶剤と、室温でこの溶剤に溶ける溶剤可溶性樹脂と、室温で該溶剤に溶けない溶剤不溶性樹脂を高温にて溶け合わせると共に少量の焼結用粉末を攪拌しながら投入して均一分散させ、投入終了後、液温を保ちながら攪拌・混練を続け、溶剤を揮発させて溶剤の揮発と共に溶剤不溶性樹脂成分を次第に繊維状或いは羽毛状に析出させ、焼結用粉末が溶剤可溶性樹脂に包まれて繊維状或いは羽毛状に析出させた溶剤不溶性樹脂内に分散している高粘性の粉末焼結用成形組成物を製造する」ことを特徴とするものであり、「請求項2」はこの方法により製造された粉末焼結用成形組成物であり「溶剤不溶性樹脂が溶剤可溶性樹脂に配合されているバインダ樹脂に焼結用粉末が担持されている」ことを特徴とする。「請求項」は溶剤不溶性樹脂と溶剤可溶性樹脂の混合比に関し「溶剤不溶性樹脂と溶剤可溶性樹脂の体積比が1:0.5〜4.0である」ことを特徴とする。「請求項」はバインダ樹脂と焼結用粉末の混合比に関し「バインダ樹脂と焼結用粉末の体積比が40:60〜65:35である」ことを特徴とする。
【0008】
粉末焼結用成形組成物が、溶剤不溶性樹脂が溶剤可溶性樹脂に配合されているバインダ樹脂とこのバインダ樹脂に担持された焼結用粉末とで構成されているので、この組成物を原料として射出成形(或いは押出成形、真空成形又はブロー成形等)したグリーン体から溶剤可溶性樹脂成分のみを脱脂したとき、脱脂された多孔質グリーン体には他方の溶剤不溶性樹脂成分が残留しており、これが焼結用粉末を互いに接着させてポーラスでありながら十分な保形性を発揮し、脱脂後、焼結工程に至る間の多孔質グリーン体の型崩れを防止することができ、取り扱いが非常に容易になる。
【0009】
しかも、脱脂においては、前記一方の溶剤可溶性樹脂成分は、他の溶剤不溶性樹脂成分と均一に混じり合っているので、当該可溶性樹脂成分を溶出する溶剤により溶出すると可溶性樹脂成分のみが溶出されてポーラスになり、表面から中心部に向かって次第に溶出されて行き、その表面のみならずその中心部分までグリーン体全体においてほぼ当該溶剤可溶性樹脂成分を溶出させることができ、全体に均一なポーラス状態とする事が出来る。他方の溶剤不溶性樹脂成分は、多孔質グリーン体の全体にわたって均一に残留することになるので、焼結時に歪みを発生させるようなことがない。
【0010】
また、溶剤不溶性樹脂を繊維状或いは羽毛状となる樹脂とする事で溶剤可溶性樹脂が繊維状或いは羽毛状となる樹脂の網目の中に均一に分散させる事が出来、樹脂成分間で粗密を発生させるようなことがなく、一方の溶剤可溶性樹脂成分を脱脂した場合にもグリーン体全体の均一性が損なわれない。加えてこのような均質性に優れたバインダ樹脂において、焼結用粉末を溶剤不溶性繊維状或いは羽毛状となる樹脂内に分散させることで、組成物全体にわたって更にはこの組成物を使用したグリーン体では焼結用粉末の粗密が全体において発生せず、極めて高い精度で焼結されされることになり、焼結時に歪みを発生させるようなことがない。
【0011】
前記バインダ樹脂を構成する樹脂成分は高温では互いに溶剤可溶性を有し、室温では溶剤不溶性を示すものであるから、高温で混練すれば均一に混ざり合い、これを冷却すると溶剤可溶性樹脂成分中に溶剤不溶性樹脂成分が均一に析出して組成物或いはそのグリーン体全体が極めて高い均質度で混ざり合う事になる。両者の混合比は、溶剤不溶性樹脂と溶剤可溶性樹脂の体積比で1:0.5〜4.0であるが、溶剤不溶性樹脂1に対して溶剤可溶性樹脂が0.5以下の場合、溶剤不溶性樹脂が過剰になり、脱脂に時間がかかるという問題点があり、4.0以上であれば、溶剤不溶性樹脂が過小となり保持力が低下して成形品が脱脂中に割れるという問題点がある。また、バインダ樹脂と焼結用粉末との混合比は、バインダ樹脂と焼結用粉末の体積比が40:60〜65:35であるが、40:60よりも焼結用粉末の方が多い場合、バインダ樹脂が過小になり、射出時の流動性が悪く薄ものの成形が出来ないという問題点があり、35より焼結用粉末の方が少ない場合には、焼結用粉末が過小になり焼結中にクラックが発生するという問題点がある。なお、樹脂が体積比で全体の25%以下の場合、脱脂時に樹脂が流動せず型くずれを生じさせない。
【0012】
なお、本原料組成物は後述するように射出成形用材料としての用途を中心に説明するが、勿論、射出成形用材料としての用途、即ち、ペレット状として使用することもできれば、棒状或いは板状若しくはブロック状とし、このようなグリーン体を用いて機械加工によって所定の形状に切り出すことも可能であるし、本原料組成物を加熱軟化させ、金型に圧入して所定の形状のグリーン体を形成することも可能である。その際、対象形状に対して収縮量を見込んだ大きさに形成する必要がある。このようなグリーン体にあっては、一方の溶剤可溶性樹脂成分を溶剤で溶出したとしても、他の溶剤不溶性樹脂成分がグリーン体に残留しているのでこれが接着剤の働きをなし、グリーン体から前記一方の溶質樹脂が溶出されて多孔質になったとしても多孔質グリーン体の保形性が損なわれないことになる。
【0013】
「請求項」は請求項2〜のいずれかに記載の粉末焼結用成形組成物を用いたグリーン体で、「請求項」は請求項2〜のいずれかに記載の粉末焼結用成形組成物を用いた焼結用粉末の焼結方法の第1で、「前記粉末焼結用成形組成物を用いて対象形状に対して焼結時の収縮量を見込んだグリーン体を形成し、続いて前記グリーン体から可溶性樹脂成分を当該可溶性樹脂溶出用溶剤にて溶出して多孔質グリーン体を形成し、然る後、前記多孔質グリーン体を加熱して多孔質グリーン体に残留している不溶性樹脂成分を焼失させると共に或いは焼失させた後、焼結用粉末を焼結する」ことを特徴とする。
【0014】
「請求項」は請求項2〜のいずれかに記載の粉末焼結用成形組成物を用いた焼結用粉末の焼結方法の第2で「前記粉末焼結用成形組成物を用いて棒状または板状或いはブロック状グリーン体を形成し、この棒状または板状或いはブロック状グリーン体から対象形状に対して収縮量を見込んだ大きさの2次グリーン体を形成し、続いて前記2次グリーン体から可溶性樹脂成分を当該可溶性樹脂溶出用溶剤にて溶出して多孔質グリーン体を形成し、然る後、前記多孔質グリーン体を加熱して多孔質グリーン体に残留している不溶性樹脂成分を焼失させると共に或いは焼失させた後、焼結用粉末を焼結する」ことを特徴とする。
【0015】
「請求項」は請求項2〜のいずれかに記載の粉末焼結用成形組成物を用いた焼結用粉末の焼結方法の第3で「前記粉末焼結用成形組成物を用いて金型に圧入して、対象形状に対して収縮量を見込んだ大きさのグリーン体を形成し、続いて前記グリーン体から可溶性樹脂成分を当該可溶性樹脂溶出用溶剤にて溶出して多孔質グリーン体を形成し、然る後、前記多孔質グリーン体を加熱して多孔質グリーン体に残留している不溶性樹脂成分を焼失させると共に或いは焼失させた後、焼結用粉末を焼結する」ことを特徴とする。そして「請求項」は「真空成形」を行う場合であり、「請求項10」は「ブロー成形」を行う場合である。
【0016】
「請求項11」は焼結時(特に、バインダ樹脂の加熱分解時)に水素を使用する場合で、特にWCの焼結時において問題となっており、バインダとして樹脂の使用が従来困難視されていたものを解決する事が出来た。即ち、樹脂をバインダとして使用した場合、樹脂成分の熱分解時に発生するCをCH4として除去する事が出来、精密な炭素コントロールを行う事が出来、樹脂のバインダとしての途を新たに開拓した。
【0017】
これにより、従来、粉末焼結の普及を妨げていた全ての問題を解消することができた。即ち、硝酸のような危険な薬剤をその製造工程において使用する必要がなく、安全な一般的に使用されている少なくとも2種類の樹脂を常温下にて使用するだけで足り、而も脱脂後の多孔質グリーン体はきわめて均一でしかも保形性に優れているので取り扱いが容易であり、加えて焼成後のひずみが発生しないというメリットがあり、あらゆる用途について応用できるようになった。特に、高精度で大量生産が可能となった事は特筆される。
【0018】
なお、焼結に際しては、不活性雰囲気(Ar又は窒素中)にて行えば酸化を防ぐ事が出来、酸化を嫌うようなものであれば高品質な焼結体が得られる。また、ガス高圧下で焼結を行えば、極めて緻密な焼結体を得る事が出来る。
【0019】
本発明方法で焼結された粉末焼結部材は今まで焼結体にない極めて優れた性状(形状の複雑さや組織の緻密さ)を示すだけでもなく、コストの面での画期的なものとなった。
【0020】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。本発明の粉末焼結用成形組成物は、焼結用粉末と、溶剤可溶性樹脂と溶剤不溶性樹脂との均一混合物で構成される2種類の樹脂を主とするバインダ樹脂とで構成されているものである。焼結用粉末としては、焼結される主材となる金属材料、酸化物或いは窒化物又は石英、ガラスと、これらを結合するバインダとで構成される。
【0021】
前記焼結が可能な焼結主材としては、金属材料(ステンレス粉末、Ni、W、Mo、Fe)、炭化物(WC、TiC、炭化クロム)、窒化物(窒化ボロン、窒化珪素、窒化アルミナ)、酸化物(石英、アルミナ、ガラス、ジルコニア)、などがその例として挙げられ、これら焼結主材を結合するバインダとしてCo、Niが挙げられる。酸化物(石英、アルミナ、ガラス、ジルコニア)の場合はバインダなしで焼結してもよい。これらの焼結物として超硬部材、サーメット部材、セラミックス部材、石英ガラス部材、タングステン部材、ステンレス部材、ニッケル部材、モリブデン部材、ガラス部材或いはその複合材などが挙げられる。また、その用途によって焼結主材の平均粒度は最適のものがあるが、例えば、超硬部材の場合は0.2〜0.5μm程度の平均粒径を持つものがエッジ(刃)部分の耐久性を確保する上で好ましい。一般のグレードは2μm程度の平均粒径である。
【0022】
これら焼結用粉末を担持するバインダ樹脂は、1の溶剤に溶ける溶剤可溶性樹脂と該溶剤に溶けない溶剤不溶性樹脂を主材とし、可塑剤及び離型材など必要添加物とで構成されている。前記溶剤可溶性樹脂と溶剤不溶性樹脂とは使用温度では完全に混ざり合って並存していることがより好ましく、本実施例では溶融温度(高温)では両者共1の溶剤に溶け、使用温度では均一に混ざり合って状態で分離しているような樹脂が使用される。
【0023】
更には、単に溶剤可溶性樹脂と溶剤不溶性樹脂とが混ざり合っているだけの場合より脱脂後の保形性や焼結用粉末の均一分散性を高めるために溶剤不溶性樹脂に繊維状或いは羽毛状となる樹脂を使用する事が望ましい。即ち、溶剤不溶性樹脂が繊維状或いは羽毛状となる樹脂の場合、高温(=両者の溶融温度)では溶剤可溶性樹脂中に完全に均一に溶け合っている。これを冷却すると次第に溶剤不溶性樹脂が繊維状にて析出し、その繊維間に溶剤可溶性樹脂と焼結用粉末が絡まった状態で存在するようになり、極めて微細且つ均一に溶剤可溶性樹脂と焼結用粉末が繊維状溶剤不溶性樹脂間に分散した状態となる。
【0024】
このような溶剤可溶性樹脂の例として、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル、環状ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、遷移素プラスチックがある。また、溶剤不溶性樹脂の例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセタールなどがあり、これらを高温で溶かす(但し、室温では溶剤不溶性樹脂は析出する)溶剤としては例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族溶剤や、ジクロルメタンやジクロルエタンなどの塩素化溶剤などがある。 その他、可塑剤としてはジオクチルフタレートやジブチルフタレートなどが、離型材としてはステアリン酸亜鉛やステアリン酸アマイドが挙げられる。これら溶剤不溶性樹脂と溶剤可溶性樹脂の混合比は、体積比で1:0.5〜4.0である。また、バインダ樹脂と焼結用粉末の体積比が40:60〜65:35である。
【0025】
前記焼結主材や金属バインダ(焼結主材単体の場合もある。)などの焼結用粉末は前述のようにバインダ樹脂(可塑剤及び離型材を含む)に均一に分子分散されていることが重要で、溶融温度に保たれた大量の高温のバインダ樹脂液に少量の焼結用粉末を攪拌しながら投入し均一に分散させる。所定量の焼結用粉末の投入が終了すれば液温を保ちながら攪拌・混練を続け、溶剤を揮発させる。溶剤の揮発と共に溶剤不溶性樹脂成分が次第に繊維状或いは羽毛状(=ミクロファイバー状)に析出して溶剤可溶性樹脂成分と焼結用粉末を繊維間に取り込み超微細分散させる。これにより焼結用粉末各粒子は、繊維間に取り込まれ且つ溶剤可溶性樹脂がその表面を包む状態となってバインダ樹脂内に均一に分散・担持され、互いに凝集しない。
【0026】
前記攪拌を続けると溶剤の揮発と共に原料組成物の粘性は次第に上昇し最終的にはペースト状或いは餅状となる。この状態では攪拌というよりは混練されることになる。続いてこのペースト状或いは餅状粘性混合物をペレット成形機にかけてペレット状にする。勿論、ペレット状にする代わりにその用途によっては棒状、板状或いはブロック状にしてもよい。
【0027】
前記ペレット状粉末焼結用成形組成物は、通常の射出成形(射出成形機への原料供給→加熱混練溶融→計量→金型の射出→保圧・冷却→型開・グリーン体取り出し)によって所定の形状に成形され、グリーン体として金型から取り出される。このグリーン体は、溶剤可溶性樹脂成分と溶剤不溶性樹脂成分を主とするバインダ樹脂内に焼結用粉末(=焼結対象粉末+バインダ)が分子分散された状態で、見かけ上は通常の熱可塑性樹脂成形部材と同様のものであり、保形性に優れており取り扱いが簡単である。前記グリーン体は、後述する焼結工程において発生する収縮量を見込んで最終形状より大きい形(これには限られないが一般的には略相似形)に形成されることになる。
【0028】
このグリーン体を、一方の溶剤可溶性樹脂成分を溶解する溶剤中に浸漬すると、前記繊維状或いは羽毛状の溶剤不溶性樹脂成分間を通って当該溶剤可溶性樹脂成分が次第に溶媒中に溶け出し、グリーン体は芯まで完全に多孔質状態になって行く。薄肉の部分は短時間で当該一方の溶質樹脂の脱脂が完了するが、厚肉部分は脱脂に時間がかかるが、十分に時間をかけることで中心部分までほぼ完璧に溶剤可溶性樹脂成分の脱脂が行われる。溶媒温度を上げる事で脱脂速度が速まる。なお、溶剤脱脂であるから、従来の脱脂方法に比べて格段に脱脂速度が速くなるだけでなく単にグリーン体を溶剤に浸漬するだけでよいので設備費用も殆ど不要であり、得られた脱脂品は溶剤不溶性樹脂成分の存在により保形性に優れているので取り扱いも容易である。
【0029】
そして前述のように溶媒に溶けずに残留している溶剤不溶性樹脂成分はその繊維が羽毛状に絡まり合っているため、多孔質となった状態でもグリーン体の保形性は全く損なわれない。そして焼結用粉末はこの繊維状溶剤不溶性樹脂成分中に極めて均一な分散状態を保っている。
【0030】
続いて、この多孔質グリーン体を焼成炉に入れ、室温から700℃の温度に昇温して多孔質脱脂品を加熱し、まず残留していた溶剤不溶性樹脂(離型材及び可塑剤を含む)を熱分解・消失させ、これを更に温度を上げ、粉末材料の焼結温度で加熱して焼結用粉末に同士を稠密一体化させ焼結を完了する。焼結温度は、例えば、ガラスは約750℃、Cuは約800℃、Ni、鉄は1300〜1400℃、石英は約1500℃、アルミナや窒化珪素は1600℃、SiCの場合2000〜2100℃である。
【0031】
好ましくは、アルゴン雰囲気或いは窒素雰囲気中で焼結すれば焼結用粉末の酸化を防止出来るし、高圧下で焼結すれば組織の緻密化が図れる。そしてように焼結された状態で黒皮の粉末焼結部材(ニアネット製品)として使用することもできるし、この粉末焼結部材(ニアネット製品)を更に加工(例えば超硬部材のような場合、ダイヤモンド工具で研磨加工を行う。)して最終製品にする。これにより、従来、粉末焼結の普及を妨げていた全ての問題を一挙に解消することができ、焼結可能な材料に関して、高精度で大量生産が可能となり、あらゆる用途について応用できるようになった。
【0032】
なお、WCの焼成の場合、水素雰囲気中で行うことが好ましい。何故ならば、溶剤不溶性樹脂成分の脱脂時に溶剤不溶性樹脂成分が熱分解して特に厚肉焼成体の場合その中心部に黒鉛の塊を形成し、これがあたかも鋳物の黒鉛のような欠陥となって焼成体の中心部に発生するが、水素雰囲気中で焼成する事で、分解により生成したCは瞬時に水素と結合してCH4になって焼成体から離脱し、黒鉛塊を形成しないからである。
【0033】
前述の場合は射出成形を中心に説明したが、この原料を使用して造形する方法としては射出成形に限られず、粉末焼結用成形組成物を用いて押出成形法にて棒状または板状或いはブロック状グリーン体を形成し、この棒状または板状或いはブロック状グリーン体から対象形状に対して収縮量を見込んだ大きさのグリーン体を形成し、これを前述同様、脱脂した後、焼結したり、或いは粉末焼結用成形組成物を金型に圧入して、対象形状に対して収縮量を見込んだ大きさのグリーン体を成形し、これを脱脂した後、焼結したりする通常の金型プレス成形により造形する方法、前記板状グリーン体を使用して真空成形を行ったり、筒状グリーン体を使用してブロー成形を行うなど各種の方法がある。
【0034】
【発明の効果】
以上、本発明の粉末焼結用成形組成物は、焼結用粉末と、溶剤可溶性樹脂と溶剤不溶性樹脂とで主として構成されたバインダ樹脂とが混練されたものであるので、グリーン体から溶剤可溶性樹脂成分を脱脂したとき、他方の溶剤不溶性樹脂成分が残留しており、これが焼結用粉末を互いに接着させて十分な保形性を発揮し、取り扱いが非常に容易になるだけでなく脱脂後、焼結工程に至る間の多孔質グリーン体の型崩れを防止することができる。加えて溶剤不溶性樹脂成分が繊維状である事から、脱脂によりポーラスになった場合でも優れた保形性と焼結用粉末の分散性を有し、焼結時に歪みを発生させるようなことがない。まだこの原料で成形されたグリーン体は、前述のように脱脂の前後を通じて保形性がよいので、取り扱いが容易である。
【0035】
更に、前記粉末焼結用成形組成物を使用して射出成形或いはその他の方法を利用することにより、複雑な形状の粉末焼結部材が短時間に大量生産することができ、量産手段として粉末焼結方法を定着させることができる。

Claims (11)

  1. 1の溶剤と、室温でこの溶剤に溶ける溶剤可溶性樹脂と、室温で該溶剤に溶けない溶剤不溶性樹脂を高温にて溶け合わせると共に少量の焼結用粉末を攪拌しながら投入して均一分散させ、投入終了後、液温を保ちながら攪拌・混練を続け、溶剤を揮発させて溶剤の揮発と共に溶剤不溶性樹脂成分を次第に繊維状或いは羽毛状に析出させ、焼結用粉末が溶剤可溶性樹脂に包まれて繊維状或いは羽毛状に析出させた溶剤不溶性樹脂内に分散している高粘性の粉末焼結用成形組成物を製造することを特徴とする粉末焼結用成形組成物の製造方法。
  2. 請求項1の方法にて形成された粉末焼結用成形組成物であって、溶剤不溶性樹脂が溶剤可溶性樹脂に配合されているバインダ樹脂に焼結用粉末が担持されていることを特徴とする粉末焼結用成形組成物。
  3. 溶剤不溶性樹脂と溶剤可溶性樹脂の体積比が1:0 . 5〜4 . 0であることを特徴とする請求項2に記載の粉末焼結用成形組成物
  4. バインダ樹脂と焼結用粉末の体積比が40:60〜65:35であることを特徴とする請求項2又は3に記載の粉末焼結用成形組成物
  5. 請求項2〜4の何れかに記載の粉末焼結用成形組成物を用い、対象形状に対して収縮量を見込んだ大きさに形成されていることを特徴とするグリーン体
  6. 請求項2〜4のいずれかに記載の粉末焼結用成形組成物を用いて、対象形状に対して焼結時の収縮量を見込んだグリーン体を形成し、続いて前記グリーン体から可溶性樹脂成分を当該可溶性樹脂溶出用溶剤にて溶出して多孔質グリーン体を形成し、然る後、前記多孔質グリーン体を加熱して多孔質グリーン体に残留している不溶性樹脂成分を焼失させると共に或いは焼失させた後、焼結用粉末を焼結することを特徴とする焼結用粉末の焼結方法
  7. 請求項2〜4のいずれかに記載の粉末焼結用成形組成物を用いて棒状または板状或いはブロック状グリーン体を形成し、この棒状または板状或いはブロック状グリーン体から対象形状に対して収縮量を見込んだ大きさの2次グリーン体を形成し、続いて前記2次グリーン体から可溶性樹脂成分を当該可溶性樹脂溶出用溶剤にて溶出して多孔質グリーン体を形成し、然る後、前記多孔質グリーン体を加熱して多孔質グリーン体に残留している不溶性樹脂成分を焼失させると共に或いは焼失させた後、焼結用粉末を焼結することを特徴とする焼結用粉末の焼結方法
  8. 請求項2〜4のいずれかに記載の粉末焼結用成形組成物を金型に圧入して、対象形状に対して収縮量を見込んだ大きさのグリーン体を形成し、続いて前記グリーン体から可溶性樹脂成分を当該可溶性樹脂溶出用溶剤にて溶出して多孔質グリーン体を形成し、然る後、前記多孔質グリーン体を加熱して多孔質グリーン体に残留している不溶性樹脂成分を焼失させると共に或いは焼失させた後、焼結用粉末を焼結することを特徴とする焼結用粉末の焼結方法
  9. 請求項2〜4のいずれかに記載の粉末焼結用成形組成物を板状にし、真空成形にて対象形状に対して収縮量を見込んだ大きさのグリーン体を形成し、続いて前記グリーン体から可溶性樹脂成分を当該可溶性樹脂溶出用溶剤にて溶出して多孔質グリーン体を形成し、然る後、前記多孔質グリーン体を加熱して多孔質グリーン体に残留している不溶性樹脂成分を焼失させると共に或いは焼失させた後、焼結用粉末を焼結することを特徴とする焼結用粉末の焼結方法
  10. 請求項2〜4のいずれかに記載の粉末焼結用成形組成物を筒状にし、ブロー成形にて対象形状に対して収縮量を見込んだ大きさのグリーン体を形成し、続いて前記グリーン体から可溶性樹脂成分を当該可溶性樹脂溶出用溶剤にて溶出して多孔質グリーン体を形成し、然る後、前記多孔質グリーン体を加熱して多孔質グリーン体に残留している不溶性樹脂成分を焼失させると共に或いは焼失させた後、焼結用粉末を焼結することを特徴とする焼結用粉末の焼結方法
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載の方法において、不溶性樹脂成分を熱分解焼失工程或いは焼結工程で水素雰囲気を使用して焼失させることを特徴とする 焼結用粉末の焼結方法
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