JP3872000B2 - 成形品、育成苗ポット及び成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、畜尿糞や生ゴミなどの有機廃棄物を原料として用い、資源を有効活用して新たな製品とした成形品、育成苗ポット及び成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から廃棄物の処理が重要な問題となっている。近年、特に、環境汚染の問題が重要視されており、畜尿糞や生ゴミ等の有機廃棄物を処理する方法として、微生物を利用した発酵分解処理による方法が種々研究されている。
【0003】
微生物を利用した有機廃棄物の発酵分解処理は、好気性条件下で行われるため、有機廃棄物中に水分が多量に含まれると嫌気性条件下となり発酵分解処理を促進することができない。このため、発酵分解処理を促進するために、有機廃棄物中にオガクズ等を混合し、あるいは酸素を供給する等して好気性条件下とし、発酵分解処理する環境を調整している。有機廃棄物を発酵分解処理するための好気性条件が整うと微生物による発酵分解処理は促進され、有機廃棄物は、水、アンモニア、二酸化炭素などに分解されると共に、その他の残渣として微生物代謝物を含む分解生成物が生成する。微生物による有機廃棄物の発酵分解処理により生成した微生物代謝物を含む分解生成物は、土中に埋めてコンポスト(堆肥)化することができる。このため、家庭から生じる生ゴミを微生物により発酵分解処理し、発酵分解処理後の分解生成物をコンポスト化する家庭用の生ゴミ処理装置も各種開発されており、これにより環境汚染を防止でき、資源の有効活用を図ることができる。また、家庭用の生ゴミ処理装置だけでなく、大規模な廃棄物処理施設においても微生物により発酵分解処理する方法及び装置が開発されている。
【0004】
例えば、大容量の電力供給を必要とせずに低コストによりコンポストを高速で製造できるコンポストの製造方法及びコンポスト製造用処理設備が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
一方、コンポストは、畜尿糞や生ゴミなどの有機廃棄物を原料として製造されるものであり、コンポスト自体が堆肥となり得る。このため、例えば、農園芸分野で利用されている育成苗ポット等の製品としてコンポストを再利用する方法も考えられている。しかし、コンポストを圧縮成形しただけでは、容器等の所定形状に成形することが困難であることから、育成苗ポット等の製品として実現されていないのが現状である。従来、育成苗ポットとして、素焼きの鉢、古紙やプラスチック製等から作製された育成苗ポット等が使用されており、近年では、特に、塩化ビニルやポリエチレン等のポリポットというプラスチックス製の育成苗ポットが主に使用されている。しかし、プラスチック製の育成苗ポットは、使用後に土中で自然分解されず、使用後に別途処理しなければならなかった。そこで、地中において自然分解可能な育成苗ポットが開発されている。例えば、セルロース系繊維で形成される繊維ウエブに少なくとも10重量%以上の生分解性熱可塑性樹脂を結合剤として付着形成された基材不織布による成型育苗ポットの表面に、キサトンと微細セルロースを主成分とする生分解性バインダを付着させて構成される生分解性育成ポットが開示されている(特許文献2参照)。本生分解性育成ポットによれば、熱成形することができると共に、生分解性機能を有することから地中に埋めて分解することが可能である。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−211995号公報
【特許文献2】
特許番号第2507247号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した育成苗ポットは生分解性機能を有するものの、所定形状の育成苗ポットに成形する際には、別途バインダ等を添加して成形しなければならないという問題を有していた。また、バインダを添加して育成苗ポットに成形すると、所定形状に容易に成形できるものの、成形品の分解特性が低下してしまい、地中にて育成苗ポットが分解するまでに長期間を要し、地中にて育成苗ポットが崩壊し難いという問題を有していた。
【0008】
また、微生物を利用して有機廃棄物を発酵分解処理して生成した微生物代謝物を含む分解生成物は、通常、原料として使用した木材中のセルロース性繊維が完全に分解されたコンポスト(堆肥)となる。セルロース性繊維は完全に分解されているため、このコンポストを圧縮成形して育成苗ポットなどの所定形状に成形することができず、実際、コンポストを再利用して製品として活用することは困難であった。
【0009】
さらに、コンポストは、その原料を畜糞などの有機廃棄物としていることからも、原料を低コストで入手することが可能であり、また、有機廃棄物が存在する限り、無限にコンポストを生産することが可能である。このため、有機廃棄物から発酵分解処理して得られる分解生成物をコンポスト(堆肥)としてだけでなく、分解生成物を原料として使用して製品化することにより、コンポストを再利用することが望まれていた。
【0010】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、微生物を用いて有機廃棄物の発酵分解処理をして得られた分解生成物を再利用して資源の有効活用を図ることが可能な成形品、育成苗ポット及び成形品の製造方法を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明者らは種々研究した結果、少なくとも木質小片を含む有機廃棄物を微生物により発酵分解処理し、発酵分解処理して得られる分解生成物が完全に分解して形状を失う前、すなわち、木質小片中に含まれるセルロース繊維形状をある程度残存させた状態として分解生成物を発酵槽から取り出す。その後、取り出した分解生成物を機械的処理により磨砕処理して分解生成物をパルプ化し、得られた磨砕処理物を圧縮成形すると、発酵分解処理により生成された微生物代謝物を含む分解生成物の磨砕処理後の磨砕物、すなわち、セルロース繊維集合体がバインダの役割を果たすことから、容易に成形可能となることを見出した。その結果、圧縮成形して得られた成形品は、所定期間形状を維持できると共に、適度な強度を保持可能であることが判明し、本発明の完成に至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明は、少なくとも木質小片を含む有機廃棄物を微生物により発酵分解処理し、得られた分解生成物を磨砕して圧縮成形された成形品である。
【0013】
本発明によれば、原料として畜糞などの有機廃棄物を使用したため、有機廃棄物を再利用して環境汚染の問題を低減できると共に、低コストで原料の供給が可能であり、成形品を低価格で提供することができる。
【0014】
なお、本発明においては、少なくとも木質小片を含む有機廃棄物を原料として使用し、少なくとも木質小片を含むものとしたが、ここで、木質小片とは、樹木、間伐材、小枝、剪定屑等をチップ化したものをいう。また、木質としては、針葉樹や広葉樹等の通常の木材を意味する他、雑草や麦等の植物の非木材材料をも含む。
【0015】
上記発明において、前記分解生成物は、セルロース性繊維集合体を含むことを特徴とする。なお、ここで、セルロース性繊維集合体とは、木質小片が微生物により一部分解して元の木質小片の形状を保持していない木質分解生成物をいう。
【0016】
本発明によれば、畜糞等の有機性廃棄物は微生物代謝物となりセルロース繊維集合体間を結合させるバインダの役割を果たすため、所定期間、成形品の形状を維持することができる。また、成形品中にはセルロース繊維が含まれていることから、強度を有する成形品を得ることができる。さらに、成形品を地中に埋めた場合には、所定期間経過後、微生物代謝物が肥料の役目を果たすとともに、残存する微生物、菌等が成形品中の土中での分解を促進して成形品は形状を失い、最終的には全て自然分解されるため、成形品を土中に埋めるだけで処理可能となり、環境汚染の問題を低減することができる。
【0017】
また、本発明は、少なくとも木質小片を含む有機廃棄物を微生物により発酵分解処理し、得られた分解生成物を磨砕して圧縮成形された育成苗ポットである。
【0018】
本発明によれば、特に、園芸用の育成苗ポットとすれば、育成苗ポット自体が堆肥となるため、育成苗ポットに植えた苗の生育が良好となり、植えた苗が枯れてしまう等の弊害を防止することができる。
【0019】
本発明の成形品の製造方法は、少なくとも木質小片を含む有機廃棄物を微生物により発酵分解処理して分解生成物とする発酵分解処理工程と、前記分解生成物を磨砕してパルプ化した磨砕物とする磨砕工程と、前記磨砕物を圧縮成形して成形体とする成形工程と、前記成形体を乾燥させる乾燥工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、発酵分解処理によって得られる分解生成物を完全に発酵分解させるのではなく、分解生成物中にセルロース繊維形状がある程度残存された状態で発酵槽から取り出すことにより、成形品の強度を確保することができ、所定の期間、成形品の形状を維持することができる。また、本発明によれば、所定形状に容易に成形することができる。
【0021】
本発明の発酵分解処理工程では、畜糞等の有機廃棄物と、未処理の新たな木質小片と、循環使用により一部分解された木質小片とが、原料として発酵槽に投入される。発酵槽に投入された原料は、発酵槽内を約4〜5日で移動する間に、空気の供給及び水分の調整が行われ、原料中の畜糞等の有機廃棄物は微生物によって発酵分解され微生物代謝物となり減容されると共に、原料中の木質小片も一部発酵分解され、やや形状が変化して発酵槽の出口から排出される。一部分解した木質小片大部分は、再び発酵槽の投入部に循環され、それ以外の一部分解した木質小片は発酵槽から排出されて次の磨砕工程に供給される。磨砕工程に供給される一部分解した木質小片、即ちセルロース繊維集合体の排出量は、発酵槽内での木質小片の平均滞留日数が最適となるように調整される。具体的には、木質小片の発酵槽内での平均滞留時間を30日から90日までの間とすると良く、特に、平均滞留時間を60日から70日までの間とすることが好ましく、本範囲の平均滞留時間が成形品の製造条件として最も良い。30日から90日間の滞留時間を本発明の望ましい平均滞留時間としたのは、発酵槽内における木質小片の平均滞留日数が90日を超えると、木質小片の分解が進行しすぎてセルロース繊維まで分解される恐れがあり、成形品を得ることができないからであり、逆に、平均滞留日数が30日未満になると成形品を得るのに必要な分解度に至らない場合もある。また、本発明の発酵分解処理条件は、温度を60℃から90℃までの範囲とすると良いが、これは、本温度範囲を外れると、微生物による発酵分解処理が適切に行われないからである。なお、特に好ましい発酵分解処理温度は70℃から80℃までの範囲である。
【0022】
さらに、上記発明の成形工程において、前記成形体を育成苗ポットに成形することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、原料である有機廃棄物を低コストで多量に供給可能なため、育成苗ポットの製品コストを大幅に削減することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の成形品及びその製造方法について、成形品の具体例として育成苗ポットを挙げて説明する。
【0025】
図1は、育成苗ポットの製造方法における処理工程の手順を示す概略図である。図1に示すように、育成苗ポットの製造方法は、発酵分解処理工程1と、この発酵分解処理工程1後の工程である磨砕工程2と、さらに磨砕工程2後の成形工程3及び乾燥工程4とから構成される。
【0026】
発酵分解処理工程1は、原料として発酵槽5に投入される有機廃棄物及び木質小片を微生物の働きにより発酵分解処理する工程である。原料である有機廃棄物として、鶏、牛や豚などの家畜の糞尿及び生ゴミを発酵槽5に投入し、木質小片として多孔質の木片チップを発酵槽5内に投入し、投入された木片チップを微生物の担体とした。また、微生物としては、有機物分解酵素セルラーゼを大量に生成するBL菌を使用した。なお、BL菌は強力発酵分解菌群であり、光合成菌、バチルス菌、乳酸菌等自然界の有用微生物を採取し、一定条件下にて幾世代もの培養を経て、発酵分解の強力なオーダーを構築し、有機物分解酵素セルラーゼを大量に生成する菌群である。
【0027】
上記発酵槽5内において、木質小片10に対し原料である家畜の糞尿及び生ゴミを含む有機物1を混合し、pH、含水率、通気性の確保等の調整を行った。その後、発酵槽5に接続される図示しない励起酸素発生器から供給される酸素を発酵槽5内に導入し、原料である有機廃棄物及び木片チップの混合物中に酸素を送り、70℃〜80℃の温度条件下で4日間かけて有機廃棄物の分解を行った。その後、一部分解された木質小片と微生物代謝物とを発酵槽5内で循環させ、また原料の投入を繰り返し、木質小片の平均滞留日数が60日となった時点で、発酵槽5から微生物代謝部を含む一部分解された木質小片を排出し、分解生成物であるコンポストを得た。
【0028】
なお、図示しないが、本発酵分解処理工程1では、光触媒である酸化チタンを使用した光触媒脱臭装置等の脱臭装置を利用して、有機廃棄物の脱臭が行われる。
【0029】
磨砕工程2は、分解生成物であるコンポストを磨砕してパルプ状にする工程である。具体的には、微生物代謝物を含む一部分解された分解生成物をMKZB20−100型磨砕機(増幸産業株式会社製)に投入し、毎分3000回転下で磨砕して、略パルプ状の磨砕物とした。
【0030】
成形工程3及び乾燥工程4は、連続処理される工程であり、略パルプ状の磨砕物を金型で成形した後に乾燥させて成形品である育成苗ポットとする工程である。具体的には、まず、パルプ分散機に磨砕したパルプ状の磨砕物と最適量の水と投入して攪拌混合した。次に、攪拌混合された混合物を別の調整槽に移し、水を加えて最終的なパルプ濃度が1%となるまで濃度調整をした。調整したパルプ液を成形機の金型内に導入した後、水を濾過して排出し、湿潤状態の成形体を金型内に得た。さらに、金型内の湿潤状態の成形品を、引き続き空気による吸引通風あるいは電熱乾燥によって含水率が10%となるまで乾燥させて、育成苗ポットを得た。
【0031】
【実施例】
上記製造方法により作製された育成苗ポットを実施例とした。作製した育成苗ポットの形状は、上面が開口し、底部を有する円筒状の容器であり、上面から底部に向かって僅かに幅狭の形状となっている。具体的な容器のサイズは、直径10cm、高さ8cmである。
【0032】
また、比較例として、比較例1から比較例3までの各育成苗ポットを使用した。なお、比較例1〜比較例3の育成苗ポットは、実施例と同一形状のものを使用した。
【0033】
(比較例1)
本比較例では、製造工程中の発酵分解処理工程を行わずに、木材を原料として作製された木材パルプから成る育成苗ポットを使用した。
【0034】
(比較例2)
本比較例では、古紙から作製された古紙育成苗ポットを使用した。アイリスオーヤマ(株)で販売されるペーパーポット(登録商標)またはタケダガーデンで販売されるファーマーズポット(登録商標)を使用した。
【0035】
(比較例3)
本比較例は、原料として苔を用いて作製された苔育成苗ポットを使用したものであり、(株)サカタのタネで販売されるジフィーポット(登録商標)を使用した。
【0036】
上記実施例及び比較例1〜比較例3の各育成苗ポットに苗を実際に植えて、日数経過後の苗の様子を観察すると共に、散水後の水はけ(通気性)、苗を植えた後の形状変化及び土中での崩壊性の各特性を観察して評価を行った。以下に、その評価方法について説明する。
【0037】
[日数経過後の苗の様子]
日数経過後における育成苗ポットの苗の様子は、苗を植えてから10日経過後、20日経過後、30日経過後の各々について観察を行ったものであり、苗の生育が良好である場合に◎とし、多少葉の勢いが劣るが生育が良好である場合に○とし、葉が枯れる等の問題が発生した場合に×として生育が不良とし、苗の生育の評価を行った。
【0038】
[散水後の水はけ(通気性)]
育成苗ポットの散水後の水はけ性を評価するために、朝300cc、夕方200ccの水を育成苗ポットに散布し、散水後の育成苗ポットの水はけ性を観察した。
【0039】
[形状変化]
育成苗ポットに実際に苗を植えて、毎日、育成苗ポットの形状変化について観察した。
【0040】
[土中での崩壊性]
苗を植えた育成苗ポットをそのまま土中に埋めて、土中で育成苗ポットが崩壊するまでの日数を調査した。
【0041】
上記評価方法により実施例及び比較例1〜比較例3の各育成苗ポットを評価した結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例及び比較例1〜比較例3までの各育成苗ポットに苗を植えて苗の様子(生長)を観察したところ、表1に示すように、実施例では、10日経過後の葉の色や苗の勢いに力強さがあることが判り、また、20日経過後あるいは30日経過後においても下葉が枯れることなく、苗の成長が良好であることが判明した。これに対し、比較例1は、苗を植えてから30日後に下葉が枯れ、黄色の葉が観察された。また、比較例2及び比較例3では、20日経過後の葉の勢いが低下していることが観察され、30日経過後に下葉が枯れ、または苗に病気が発症する等の問題が生じていた。
【0044】
また、育成苗ポットの特性を評価したところ、表1に示すように、実施例の育成苗ポットは、散水後の水はけが良好であり、約30日経過後も育成苗ポットの形状が維持されて形状変化が無く、苗を植えた育成苗ポットをそのまま土中に埋めると育成苗ポットは土中で分解され、分解された育成苗ポット自体は約20日間経過後に土中で崩壊するため、土中での分解特性が良好であることが判明した。
【0045】
これに対し、比較例1は実施例よりも散水後の水はけが良く、30日間形状の維持が可能であったが、崩壊し易く形状変化が見られ、苗の植え替え時に苗を傷めてしまう恐れがあった。比較例2は、育成苗ポットの通気性が悪いことから苗に病気が生じ易く、また、育成苗ポットを土中に埋めると、育成苗ポットの形状が半年以上保持されてしまい苗の発育に問題が生じていた。さらに、比較例3は、散水後の水はけは良好であり、形状変化も無く実施例と同等の特性が得られたが、土中での崩壊性が悪く2ヶ月以上も形状が維持され、分解するまでに長時間が必要であった。
【0046】
本実施形態によれば、微生物を利用して有機廃棄物を発酵分解処理して得られた分解生成物をパルプ化して圧縮成形することにより、所定の期間、形状を維持することができ、かつ、適度な強度を有する育成苗ポットを得ることができる。また、本育成苗ポットに苗を植え込めば、育成苗ポット自体が堆肥となるだけでなく、育成苗ポットに含まれる微生物の働きにより、苗の生育を促進することができる。さらに、苗を植えた育成苗ポットをそのまま土中に埋えると、育成苗ポットは短期間のうちに自然に分解され、また、育成苗ポット自体が堆肥となり、環境汚染の問題を軽減することができる。従って、苗を植えた状態で育成苗ポットをそのまま土中に植えることが可能となり、苗の植替えの手間を省くことができ、その結果、苗の植替え時に苗に損傷を与えてしまう等の弊害をも防止することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、植物の苗を植える育成苗ポットを成形品の具体例として示したが、本発明の成形品は、育成苗ポットに限定されるものではなく、観葉植物用の植木鉢としても使用することができる。
【0048】
また、本実施形態の成形品は園芸用品に限定されるものではなく、成形品の配合成分を変え、あるいは乾燥時間を調整する等により、食品トレイ、農業用トレイ及び農工業用の緩衝材等の製品としても使用することもでき、幅広い分野において適用することが可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の成形品によれば、一定期間、形状を維持することができ、かつ、成形品の使用後は土中に埋める等して成形品は自然分解して廃棄処分が容易であるため、資源の有効活用を図れるだけでなく、環境汚染の問題を軽減することができる。また、本発明の育成苗ポットによれば、資源の有効活用及び環境汚染の問題を改善できるだけでなく、育成苗ポットに含まれる微生物の働きにより苗の育成を促進することができる。さらに、本発明の成形品の製造方法によれば、原料である有機廃棄物を低コストで多量に供給できるため、成形品を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における育成苗ポットの製造方法の手順を概略的に説明する処理工程図。
【符号の説明】
1 発酵分解処理工程、
2 磨砕工程
3 成形工程
4 乾燥工程
5 発酵槽
Claims (6)
- 木質小片に有機廃棄物を加えて微生物により発酵分解処理し、一部発酵分解された木質小片を磨砕して圧縮成形された成形品。
- 前記一部発酵分解された木質小片が、セルロース性繊維集合体を含むことを特徴とする請求項1記載の成形品。
- 木質小片に有機廃棄物を加えて微生物により発酵分解処理し、一部発酵分解された木質小片を磨砕して圧縮成形された育成苗ポット。
- 木質小片に有機廃棄物を加えて微生物により発酵分解処理して一部発酵分解された木質小片を得る発酵分解処理工程と、
前記一部発酵分解された木質小片を磨砕してパルプ化した磨砕物とする磨砕工程と、
前記磨砕物を圧縮成形して成形体とする成形工程と、
前記成形体を乾燥させる乾燥工程と、
を含むことを特徴とする成形品の製造方法。 - 前記成形工程において、前記成形体を育成苗ポットに成形することを特徴とする請求項4記載の成形品の製造方法。
- 前記発酵分解処理工程において、一部発酵分解された木質小片の一部を再度発酵槽に循環させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の成形品の製造方法。
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