JP3871186B2 - 加熱定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙、フィルムなどの加熱定着装置に関し、特に複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に用いられる加熱定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を用いた画像形成装置は、通常、樹脂、磁性体、着色料等からなるトナーを静電的に揖持した被記録材を、互いに圧接・回転している定着ローラと加圧ローラの圧接部(ニップ部)で挟持搬送しながら熱と圧力を加えることなどで、該トナー像を被記録材上に溶融定着せしめる定着装置を有している。
このような定着装置における加熱方式として、高周波を用いた誘導加熱方式がある(例えば、特開昭59−33787号公報)。
この誘導加熱方式を用いた定着装置は、金属導体からなる中空の定着ローラの内部に誘導コイルが同心状に配置されており、この誘導コイルに高周波電流を流して生じた高周波磁界により定着ローラに誘導渦電流を発生させ、定着ローラ自体の表皮抵抗によって定着ローラそのものを発熱させるようになっている。
【0003】
誘導加熱方式の定着装置によれば、電気−熱変換効率がきわめて向上するため、およぴ熱発生源をトナーのごく近くに配置できるので、従来のハロゲンランプを用いた熱ローラ方式に比して、定着装置起動時に定着ローラ表面の温度が定着を行なうのに適当な温度となるまでに要する時間(ウォームアップタイム)が短くできるという特徴がある。
【0004】
しかし、上記従来の誘導コイルによる磁束で定着ローラに設けた導電層に渦電流を発生させジュール熱により発熱させる電磁誘導加熱方式の定着装置は一般に、誘導コイルを定着ローラに内蔵しているので、高温になる定着ローラの内部に誘導コイルがあることや、それ自身の電気抵抗による発熱などから高温になってしまい電力効率が低下するといった問題点があった。また、樹脂からなる誘導コイルの被覆が熱により溶融し、誘導コイルの絶縁性が損なわれてしまうという問題もある。さらに、事故や寿命により定着ローラーの交換が必要になった時に、誘導コイルを取り外すなどの手間がかかり、交換に時間を要し、サービスコストが高くなってしまうという間題もあった。一方、定着ローラに代えて、加熱部材として、可境性を有する薄肉の金属スリーブを使用するタイプもあるが上記の事情は同じである。
【0005】
このような不具合を解消するため、例えば特開昭54−39645号公報に開示されているように、定着ローラ等の内部へ送風する冷却機構を設けて誘導コイルの温度上昇を抑えるという提案がなされている。
【0006】
しかし、送風した際には、誘導コイルおよびコアぱかりでなく定着ローラの内面までも送風により冷却されるため、ローラ自体の温度低下によって定着能力を損なってしまうという間題点があった。
【0007】
このような方法に代えて、誘導コイルに接する放熱手段を設けて誘導コイルでの温度上昇を抑えて消費電力の上昇を防止することにより良好な加熱性能を得るようにした加熱定着装置が提案されている(例えば、特開平11−251053号公報)。さらに、磁束を発生させる誘導コイルを回転体の外部に設けることにより回転体の交換を容易にしつつ、加熱効率を向上させるようにした加熱定着装置も提案されている(例えば、特開平11−297462号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、誘導加熱方式の定着において誘導コイルが昇温すると誘導コイルの電気抵抗が上昇し、消費電力が増加してしまう。また、誘導コイルの絶縁破壊を生じる可能性がある。
誘導コイルが外部にあるだけでも、内部にあるよりは放熱しやすいが、放熱手段を設けないと冷却効率が悪く、誘導コイルの昇温を抑えきれない。また、誘導コイルが定着ローラ内部にある場合、定着ローラの一方より空冷するとか、放熱板などで熱を定着ローラ外部に伝導させて空冷させるとかの方法が提案されているが、軸方向に均一に冷却するのが困難である。また、定着ローラの内面を冷却してしまい、加熱効率が低下するという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、上記従来の加熱定着装置およびこれを用いる画像定着装置における問題、特に、誘導加熱方式を用いる場合の問題に鑑み、誘導コイルの温度上昇を低減し、加熱回転体の加熱効率が良く、誘導コイルの絶縁破壊を生じず安全性の高い加熱定着装置を提供することにあり、第1に、誘導コイルの放熱手段の取り付けスペースの確保が容易で、取り付け位置の自由度が高い加熱定着装置を提供すること、第2に、誘導コイルの冷却効率の高い加熱定着装置を提供すること、第3に、放熱の表面積が広く、さらに冷却効率の高い加熱定着装置を提供すること、第4に、放熱部材が発熱しにくい加熱定着装置を提供すること、第5に、低コストの加熱定着装置を提供すること、第5に、誘導コイルの冷却効率の高い加熱定着装置を提供すること、第6に、誘導コイルの冷却効率が高く、加熱回転体の加熱効率が高くできることでウォームアップタイムを短くできる省エネルギータイプの加熱定着装置およぴこれを用いる画像形成装置を提供すること、第7に、誘導コイルの冷却効率を高くでき、性能の安定した加熱効率の良いかつ被記録材での皺発生の少ない加熱定着装置およびこれを用いる画像形成装置を提供すること、第8に、誘導コイルの冷却効率が高く、温度制御が安定し画質の良い加熱定着装置およびこれもを用いる画像形成装置を提供すること、第9に、誘導コイルの冷却効率が高く、温度制御の安定した加熱効率の良い、省エネルギータイプで騒音の少ない加熱定着装置およびこれを用いる画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、誘導電流により発熱する加熱回転体と、該加熱回転体に供給する磁束を発生させる誘導コイルと、該誘導コイルに発生する熱を放熱する手段を少なくとも一つ設けた加熱定着装置において、前記誘導コイルおよび該誘導コイルの放熱手段が加熱回転体の外部に設けられ、前記放熱手段の一部が前記加熱回転体における軸方向の端部より外側に延長され、該放熱手段の延長部分に空冷ファンが対向配置され、該空冷ファンの気流が直接当たらないように温度センサーが前記加熱回転体の軸方向の中央部に配置されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の加熱定着装置において、少なくとも一つの放熱手段が直接あるいは間接的に前記誘導コイルに接触させて設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の加熱定着装置において、誘導コイルに接している放熱手段が放熱フィンであることを特徴としている。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項2または3に記載の加熱定着装置において、誘導コイルに接している放熱手段が非磁性で高熱伝導部材であることを特徴としている。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の加熱定着装置において、放熱手段の材質の一部がアルミニウム、銅等の高熱伝導材料によって構成されることを特徴としている。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のうちの一つに記載の加熱定着装置を画像形成装置に用いることを特徴としている。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、空冷ファンの風量を可変としたことを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態を説明するための加熱定着装置の模式的な断面図である。
同図において、加熱定着装置は、周面の一部を互いに当接させて連動可能な定着ローラ1および加圧ローラ2を備えている。
【0022】
図1に示す定着ローラ1は、外径50mm、厚さ0.8mmの鉄製の中空円筒で構成され、表面には、離型性を高めるために例えぱ厚さ10〜50μmの厚さの厚さを持たせたPTFEや、10〜50μmの厚さを持たせたPFAの層が設けらえてる。また、鉄製の中空円筒の内面に断熱層として発泡シリコーンゴムなど熱伝導率の低い層を設けても良い。
【0023】
加圧ローラ2は、外径が40mmのアルミニウム製芯金外周に厚さ2〜3mmのシリコーンゴム弾性層を設けて構成されている。定着ローラ1と加圧ローラ2とは回転自在に設けられており、定着ローラ1のみを駆動する構成になっている。これにより、加圧ローラ2は、定着ローラ1の表面に圧接しながら圧接部(以下、定着ニップ部という)での摩捺力で従動回転することができる。なお、加圧ローラ2は、定着ローラ1の回転軸方向にバネなどを用いた図示しない機構によって加圧されている。
【0024】
図1に示す構成では、加圧ローラ2が約45kgfで荷重されており、その場合圧接部の幅(ニップ幅N)は約7mmに設定されている。このニップ幅に関しては、該荷重を変化させて変化させることも可能である。
誘導コイル3は、定着ローラ1の外周面に沿って配設されており、図1に示す構成では、図示しない形状保持部材に保持されている。この誘導コイル3には、10〜100KHzの交流電流が印加され、該交流電流に誘導された磁界が定着ローラ1の導電層に渦電流を流し、ジュール熱を発生させる。この発熱を増加させるためには、機械的精度の許す限り該誘導コイル3を定着ローラ1の外周面に対して接触しない程度に近づけて配置することが望ましい。また、誘導コイル3の巻き数を滅らして強い磁界を局所的に導電層に作用させたり、交流電流の周波数を高くすることにより発熱効率を向上させることも可能である。
【0025】
誘導コイル3は,コイル自身の抵抗によるジュール熱および定着ローラからの自然放熱により昇温する。このため、誘導コイル3の温度が上昇すると誘導コイル3の電気抵抗が増加し,過熱効率が低下することになる。従って、誘導コイル3の温度を下げるために放熱手段が必要となる。
図1に示す構成では,誘導コイル3に対する放熱手段としての空冷ファン4が用いられ,空冷ファン4によって誘導コイル3が送風冷却されようになっている。
【0026】
空冷ファン4を用いる場合、誘導コイル3が定着ローラ1の内部にある場合には、空冷ファン4の気流は定着ローラ1の一方から他方へ流れるようになるため、定着ローラ1の軸方向において温度勾配が生じやすい。また、定着ローラ1の内部をも冷却してしまうことになるため、定着ローラ1の昇温を妨げ、加熱効率を低下させてしまう。しかし、図1に示す構成では、誘導コイル3が定着ローラ1の外側に配置されているので、空冷ファン4の取り付け位置および空冷ファン4による気流の方向を比較的自由に設計することが可能となる。このため、定着ローラ1の軸方向での温度勾配を低減できることになる。さらに、定着ローラ1には直接送風されないので、定着ローラ1が直接冷却されるようなことが少なくなり、定着ローラ1の加熱効率が低下するようなことがなくなる。誘導コイル3の巻き方は、以下の図に示されるものに限るものではなく、誘導コイル3が定着ローラ1のような加熱回転体の外部に配置されれば、同様の効果がある。
放熱手段としては、図1に示した空冷ファン4の他に、放熱板や放熱フィン、さらにはヒートパイプやベルチェ素子などを用いることができる。
【0027】
定着ローラ1の表面温度は、この表面に当接して設けられている温度センサー5によって検知され、表面温度の検知信号に応じて誘導コイル3への電力供給を増減できるようになっており、これによって、定着ローラ1の表面温度が一定温度に維持されるようになっている。
定着ローラ1および加圧ローラ2の対向位置近傍には、搬送ガイド6が設けられており、搬送ガイド6は、未定着のトナー画像を担持しながら搬送される転写紙Sを定着ローラ1と加圧ローラ2との定着ニップ部へ案内するようになっている。
【0028】
転写紙Sが定着ローラ1と加圧ローラ2との定着ニップ部を通過した位置には分離爪7が配置されており、分離爪7は、定着ローラ1の表面に当接または近接して設けられ、加熱定着を終えた転写紙Sを定着ローラ1の表面から剥離するようになっている。
【0029】
図1に示した構成においては、定着ローラ1が回転駆動され、誘導コイル3に交流電流が印加されると、両ローラ同士の定着ニップ部での温度が上昇し、その温度が温度センサー5を用いて監視される。この状態において未定着トナー像を担持した転写紙Sが搬送ガイド6に案内されて定着ニップ部に導入され、定着ローラ1の回転と共に搬送されて定着ローラ1の熱とニップ圧とによりトナー画像が転写紙Sに溶融定着される。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に関する別の構成を説明するための図であり、同図に示す構成は、誘導コイル3に対する直接あるいは間接的な冷却手段として伝熱による放熱部材を用いたことを特徴としている。
誘導コイル3に接して伝熱可能な放熱部材として、放熱板あるいは放熱フィン8などを用いた場合、定着ローラ1近傍の空気をあまり移動させること無く、誘導コイル3の熱を放出することができるので、定着ローラ1の温度低下を生じさせない用にすることができる。図2に示す構成では、誘導コイル3に直接放熱フィン8が接している例を示したが、放熱フィン8と誘導コイル3の間に誘導コイル3の形状保持部材(図示されず)が挟まれていても良い。また、放熱フィン7が誘導コイル3の形状保持部材を兼ねていてもよい。熱伝導の観点からは誘導コイル3の形状保持部材を兼ねる方が、部品点数の低減化と直接伝導可能である点で好ましいといえる。放熱フィン8は、表面積が広く、放熱板などよりも放熱効率が良いので望ましい。
【0031】
放熱板,あるいは放熱フィン8などの材質は、誘導コイル3による磁界に影響されて発熱しないように非磁性であること、および効率よく放熱できるように高熱伝導部材であることが望ましく、アルミニウム、銅、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化珪素などが用いられる。特に、アルミニウムおよび銅は、一般的に用いられる材料であり、安価でしかも加工性のよいことから好ましい材料といえる。
【0032】
図3は、本発明の実施形態に関するさらに別の構成を説明するための図であり、同図に示す構成は、誘導コイル3に対する冷却手段として、誘導コイル3に直接接触する放熱部材とさらにこの放熱部材を冷却する空冷ファンを設けたことを特徴としている。
この構成では、冷却ファン4により放熱部材(図3では、便宜上、放熱フィン8を示しているが、放熱板であってもよい)が冷却されるため、さらに冷却効率を向上させることができる。空冷ファン4の気流が直接末定着画像の付着している転写紙に当たる場合には、未定着画像が飛散したり、転写紙がばたつくことにより定着ローラ1と加圧ローラ2に安定して搬送されないために紙に皺が発生する可能性がある。従って、空冷ファン4の気流が直接未定着画像の付着している転写紙に当たらないようにする必要がある。このため、図3に示す構成では、風除け部材9が定着ニップ部に向けて進行する転写紙Sの近傍に設けられている。このような構成限ることなく、気流のガイド部材を設けたり、空冷ファン4、誘導コイル3および放熱フィン8などの配置を適切にすることで行っても良い。また、温度センサー5に空冷ファン4の気流が直接当たる場合、その影響により検知温度が不安定となり、定着ローラ1の表面温度を安定に保つことが困難になることもある。これにより、画像の定着性が安定せず不具合を生じる。そこで、空冷ファン4の気流が直接温度センサー5に当たらないようにして、定着ローラ1の温度検知を安定に行えるようにすることが望ましい。このためには、上述した空冷ファン4、誘導コイル3,放熱フィン8およぴ温度センサー5などの配置を適切にすることおよび気流のガイド部材や風除け部材を設けることで行うことが望ましい。
【0033】
図4は、本発明の実施形態に関するさらに別の構成を説明するための図であり、同図に示す構成は、誘導コイル3に対する冷却部材を非通紙部まで延長したことを特徴としている。
図4において、誘導コイル3に接触して設けられている冷却部材をなす放熱部材である放熱板10は、定着ローラ1における軸方向で非通紙部、換言すれば、ローラ端部よりも外側にまで延長し、この延長部分に対して放熱板10の冷却部材として空冷ファン4が対向して配置されている。空冷ファン4は、定着ローラ1における非通紙部に位置しているので、気流が直接温度センサー5および転写紙Sに当たらないようになっている。この構成においては、空冷ファン4が誘導コイル3により発生する磁界の影響を受けにくい場所にあるので、空冷ファン4が発熱することもなく、冷却効率を下げることがない。空冷ファン4は、風量を可変とすることで温度に適した風量により冷却することができるので、温度制御が細かく制御でき、温度をより安定にすることができる。また、不必要に風量増加を来すこともないので、風量に比例して大きくなる騒音を抑えて装置の静音化を可能にできる。
【0034】
図5は、本発明の実施形態に関するさらに別の構成を説明するための図であり、同図に示す構成は、図1乃至図3に示した構成のいずれかを備えた加熱定着装置を画像形成装置に適用することを特徴としている。
図5において、画像形成装置には、潜像担持体を成すドラム状の感光体11を備えており、感光体ドラム11の周囲には、その回転方向に沿って画像形成処理を実行する帯電装置12、画像書き込み装置13、現像装置14、転写装置15、クリーニング装置16がそれぞれ配置されている。
【0035】
感光体ドラム11は、帯電装置12により一様帯電された後、画像書き込み装置13によって静電潜像が形成され、現像装置14によって静電潜像の可視像処理を行われたトナー像を給紙装置(図示されず)から給送されてくる転写紙Sに対して転写するようになっている。図5に示す転写装置15は、一対のローラに掛け回された転写ベルトが用いられており、転写ベルトに誘起された転写電荷によって感光体ドラム11上のトナー像が転写された転写紙Sが加熱定着装置17に向けて搬送されるようになっている。
転写後の転写紙Sは、加熱定着装置17においてトナー像の加熱融着が行われることで定着され、図示しない排紙トレイに向けて排出される。
【0036】
【実施例】
以下、上記構成に基づく実施例を説明する。
図1に示した構成において、定着ローラ1は外径50mm、厚さ0.8mmの鉄製中空円筒で構成され、表面に厚さ30μmのPTFE層を用いた離型層が設けられている。加圧ローラ2は、アルミニウム製の芯金外周に厚さ3mmのシリコーンゴムからなる弾性体層が設けられている。加圧ローラ2は、定着ローラ1に対してバネを用いて45Kgfの荷重により当接させてあり、定着ニップ部の幅(ニップ幅N)は約7mmとされている。誘導コイル3は、定着ローラ3のが異種面に沿って配置され、図示しない形状保持部材により保持されている。
【0037】
誘導コイル3に60KHzの交流電流を印加して加熱する。空冷ファン4は定着ローラ1の軸方向中央に配置し、誘導コイル3を冷却する構成とされている。定着ローラ1の軸方向中央部に温度センサー5を配置し、定着ニップ部での定着ローラ1の表面温度が180℃になるように制御したところ、定着ローラ1の軸方向両端部での表面温度差は2℃以下であった。また、定着ニップ部近傍での定着ローラ表面温度を180℃に保持するために必要な電力は570Wであった。
【0038】
本発明者は、上記構成の実施例に関して、誘導コイルを定着ローラ1に内設し、定着ローラ1の軸方向一方から他方に向けて空冷ファンによる誘導コイルの冷却を行うようにした構成により表面温度差を比較したところ、本実施例では、上述したように2℃の温度差であったのに対して後者の構成では、16℃という結果が得られ、本実施例による表面温度差よりも大きいことが明らかとなった。 定着ローラ1の表面温度を維持するための電力に関しても、空冷ファン4による冷却を行わない場合には、本実施例での570Wに対してこれよりも高い680Wが必要となるという結果を得た。
次に、本発明の別実施例について説明する。
図2に示した構成において、アルミニウム製の放熱フィン8を用い、定着ローラ1における定着ニップ部近傍の温度を180℃に維持するための電力を測定したところ、520Wという結果を得た。
【0039】
次に本発明の他の実施例について説明する。
図3に示した構成において、定着ローラ1は外径50mm、厚さ0.8mmの鉄製の中空円筒で構成され、表面に厚さ30μmのPTFE層を用いた離型層がもう介良得ている。加圧ローラ2は外径が40mmであり、アルミニウム製の芯金外周に厚さ3mmのシリコーンゴムからなる弾性層が設けられている。加圧ローラ2は定着ローラ1に対してバネを用いて45Kgfで当接させてあり、定着ニップ部の幅(ニップ幅N)は約7mmとされている。誘導コイル3は定着ローラ1の外周面に沿って配設され、図示しない形状保持部材に保持されている。放熱フィン8はアルミニウム製であり、風除け部材9は耐熱性樹脂で構成されている。誘導コイル3に60KHzの交流電流を印加し、定着ローラ1を加熱した。空冷ファン4は定着ローラ1の軸方向中央部に設置され、誘導コイル3を冷却するようになっている。定着ローラ1の軸方向の中央部に温度センサー5を配置し、定着ニップ部近傍での定着ローラ1の表面温度が180℃になるように制御したところ、定着ニップ部近傍の定着ローラ表面温度を180℃に保持するのに必要な電力は490Wであった。また、温度センサー5の検知温度は安定しており、容易に制御可能であった。さらに、100枚通紙したが紙皺は生じなかった。
【0040】
本発明者は本実施例に対して、図3に示した風除け部材9を設けない場合を対象として比較したところ、温度センサー5の検知温度は空冷ファン4からの気流により不安定となり、温度制御が不安定となるという結果を得た。また、空冷ファン4からの気流で転写紙にばたつきが生じ、100枚中11枚に紙皺が発生した。
【0041】
次の、本発明のさらに他の実施例について説明する。
図4に示した構成において、定着ローラ1は外径40mm、厚さ0.7mmの鉄製の中空円筒で構成され、表面に厚さ20μmのPTFE層からなる離型層が設けられている。加圧ローラ2は外径が40mmであり、アルミニウム製の芯金外周に厚さ3mmのシリコーンゴムからなる弾性層が設けられている。加圧ローラ2は、定着ローラ1のバネを用いて40Kgfにより定着ローラ1に当接させてあり、定着ニップ部の幅(ニップ幅N)は約7mmとされている。誘導コイル3は定着ーラ1の外周面に沿って配設され、アルミニウム製の放熱フィン8に保持されている。放熱フィン8の一端は、定着ローラ1からはみ出すように長く設定され、そのはみ出し部分に空冷ファン4が対向配置されて冷却されるようになっている。放熱フィン8の一部に温度センサーを取り付け、該温度センサー5の検知温度によって空冷ファン4の風量を調整できるようにしてある。
【0042】
誘導コイル3に60KHzの交流電流を印加し、定着ローラ1を加熱した。定着ローラ1の軸方向の中央部に温度センサー5を配置し、定着ニップ部での定着ローラ1の表面温度が180℃になるように制御したところ、定着ニップ部近傍の定着ローラ表面温度を180℃に維持するのに必要な電力は480Wであった。また、空冷ファン4の気流は定着ローラ1の温度センサー5に直接当たらないので、温度センサー5の検知温度は安定しており、容易に制御可能であった。さらに、空冷ファン4の気流は転写紙Sにも直接当たらないので、転写紙Sにばたつきは発生せず、100枚通紙において紙皺は生じなかった。さらに、放熱フィン8の温度が低下するに従い、空冷ファン4の回転数も減少し、騒音が低下した。
【0043】
なお、上記構成において示した加熱方式およびこれに対する冷却構造は、定着装置に限定されるものではなく、例えば、画像を担持した転写紙を加熱して画像の光沢や艶等の表面性を改質する装置や借りていちゃ区する装置、あるいはシート状部材を給送して乾燥処理やラミネート処理する装置などにも適用できることが可能である。
【0044】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、誘導コイルの放熱手段が加熱回転体の外部に設けられ、放熱手段の一部が前記加熱回転体における軸方向の端部より外側に延長され、放熱手段の延長部分に空冷ファンが対向配置され、空冷ファンの気流が直接当たらないように温度センサーが前記加熱回転体の軸方向の中央部に配置されているので、記録材や温度センサーへの直接的な気流の接触を防止して未定着トナーの飛び散りや温度検知が不安定となるのを防止して記録材の皺発生の防止および安定した温度制御を可能にできる。
【0045】
請求項2記載の発明によれば、少なくとも一つの放熱手段が誘導コイルに直接あるいは間接的に接していることにより、誘導コイルの冷却効率が高い加熱定着装置を得ることが可能となる。
【0046】
請求項3記載の発明によれば、誘導コイルに接している放熱手段が放熱フィンであることにより、放熱の表面積が広く、さらに冷却効率の高い加熱定着装置を得ることが可能となる。
【0047】
請求項4記載の発明によれば、誘導コイルに接している放熱手段の部材が非磁性であることにより、放熱の表面積が広く、さらに冷却効率の高い加熱低茶奥装置を得ることが可能となる。
【0048】
請求項5記載の発明によれば,放熱手段の部材材質が少なくともアルミニウムあるいは銅によって構成されているので、コストを低減することが可能となる。
請求項6記載の発明によれば、空冷ファンの気流が直接温度センサーに当たらないようにしているので、誘導コイルの冷却効率が高く、温度制御が安定し画質の良い画像形成装置を得ることが可能となる。
【0049】
請求項7記載の発明によれば、空冷ファンの風量を可変としているので、さらに誘導コイルの冷却効率を高めることができ、温度制御の安定した加熱効率の良い、省エネルギータイプで騒音の少ない画像形成装置を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に関する構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に関する構成の別の例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に関する構成の他の例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に関する構成のさらに別の例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に関する構成のさらに他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 定着ローラ
2 加圧ローラ
3 誘導コイル
4 空冷ファン
5 温度センサー
8 放熱フィン
9 風除け部材
10 放熱板
11 感光体ドラム
15 転写装置
17 定着装置
Claims (7)
- 誘導電流により発熱する加熱回転体と、該加熱回転体に供給する磁束を発生させる誘導コイルと、該誘導コイルに発生する熱を放熱する手段を少なくとも一つ設けた加熱定着装置において、
前記誘導コイルおよび該誘導コイルの放熱手段が加熱回転体の外部に設けられ、前記放熱手段の一部が前記加熱回転体における軸方向の端部より外側に延長され、該放熱手段の延長部分に空冷ファンが対向配置され、該空冷ファンの気流が直接当たらないように温度センサーが前記加熱回転体の軸方向の中央部に配置されていることを特徴とする加熱定着装置。 - 請求項1記載の加熱定着装置において、
少なくとも一つの放熱手段が直接あるいは間接的に前記誘導コイルに接触させて設けられていることを特徴とする加熱定着装置。 - 請求項2記載の加熱定着装置において、
誘導コイルに接している放熱手段が放熱フィンであることを特徴とする加熱定着装置。 - 請求項2または3に記載の加熱定着装置において、
誘導コイルに接している放熱手段が非磁性で高熱伝導部材であることを特徴とする加熱定着装置。 - 請求項4記載の加熱定着装置において、
放熱手段の材質の一部がアルミニウム、銅等の高熱伝導材料によって構成されることを特徴とする加熱定着装置。 - 請求項1乃至5のうちの一つに記載の加熱定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項6記載の画像形成装置において、
空冷ファンの風量を可変としたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
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