JP3869986B6 - 光ファイバー束の製造方法、それにより製造された光ファイバー束及びその方法の実施装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、個々の光ファイバーから成る光ファイバー束を製造する方法に関する。個々のファイバーは共通の金属スリーブ内で、共通の端部にて互いに圧縮され、温度と圧力を加えて成形又は形成される。本発明はまた、この方法を実施する装置に関する。本発明は更に、複数の個々の光ファイバーから成る光ファイバー束に関する。複数の個々の光ファイバーは圧縮され、六角充填された状態で共通端部にて相互溶融(溶着)されて、光ファイバー束を形成する。
【0002】
【従来の技術】
複数の個々の光ファイバーから成る可撓性の光ファイバー光ガイド、所謂光ファイバー束は光送信にしばしば用いられる。個々のファイバーは通常、例えば照明用ライティング装置に取り付けられるスリーブ内で共通の端部にて一体化される。
【0003】
共通の端部で個々のファイバーを一体化して束を形成するには、特別な設計の工学的配慮が必要となる。
【0004】
個々のファイバーを互いに接着し、これ等接着ファイバーに押し被せたスリーブ内で相互に結合することにより光ファイバー束を製造する方法は、従来技術で知られている。この広く知られた方法には、用いられる接着剤が耐熱性、充填密度、従って光ファイバー束を通して可能な光送信を制限すると云う不都合が有る。これは個々の光ファイバーが個々の円形断面形状を保持し、自由空間を有し点状でのみ互いに支え合うようにしているからである。また、耐薬品性も限られ、これがこの種の光ファイバー束の使用し得る用途の範囲を少なくしている。
【0005】
個々のファイバーを共通のスリーブ内で、スリーブ及び相互に溶着する方法が知られている。
【0006】
この種の光ファイバー束の利点には、就中、耐熱性(接着剤の無いため)が高いこと、断面当たりの個々のファイバー数の増大により、ファイバーが溶融圧縮されるとき、六角充填が生ずるので光透過性が向上すること、また熱的殺菌および一般には医療用の滅菌に特に顕著な、化学的攻撃に対する耐性の改善がある。
【0007】
熱軟化性スリーブを光ファイバー束に押し付ける方法が、DE2630730A1に記載されている。その場合、個々のファイバーは六角形状で、ファイバー間に介在する自由空間が無い。だが、この従来技術では個々の光ファイバー同志は溶着されない。
【0008】
ガラス製のスリーブは粘性が低いから、用いるのに有利であろうが、特に以下の欠点が有る。
ガラススリーブ内で用いると、成形工具が欠陥を起こす。
ガラススリーブ内で用いると、光ファイバーは衝撃に極めて敏感になって、欠ける危険が有る。
【0009】
この公知の方法では、原理としてはガラス様の熱及び粘性特性をもつ金属スリーブ、即ち所謂熱軟化性金属を用い得た。
【0010】
だが、これ等の熱軟化性金属は、熱及び機械的負荷に不利で、実際には用い得ない。
【0011】
ガラススリーブの保護のため、公知の方法では、ガラススリーブを取り囲む外側金属スリーブが設けられる。外側金属スリーブの成形又は形成用端部に、ガラススリーブが押し込まれ、ガラススリーブはそこで、ファイバー束に押し付けられる摺動自在なプレス金属スリーブにより圧縮される。その場合、ガラススリーブ(とプレス金属スリーブ)は接着により、又は軟化ガラスで外側の金属スリーブに連結される。
【0012】
だが、この方法で光ファイバー束の端部を成形することには、次のような深刻な不都合が有る。
・外側金属スリーブの壁厚を充分に厚くして、熱応力(圧縮ガラス溶融体)を補償する必要が有る。これには、使用可能な光学的表面積が、金属スリーブの外径に対して小さくなると云う不都合が有る。
・光ガイド端部に残って、内側ガラススリーブを外側金属スリーブに挿入するための付加的プレス工具が必要となる。その結果、光ファイバー束を軟化ガラス内で心出しするとき問題が生じ、光学軸に不利に作用する。
・更に、内部ガラススリーブを外側金属スリーブに挿入しても、個々のファイバーが互いに平行になる溶融域が形成されない。光ファイバー束をその端部で円錐形に集束するようにすることは、光ファイバー束の反射特性に不利に作用する。・この技術では10mmの径の束しか作成することができない。外側金属スリーブを設けると、光ファイバー束の端部が結局三つのスリーブ、即ちガラススリーブ(或いは熱軟化材料から成る金属スリーブ)、プレス−スリーブ及び外側金属スリーブをもつことになって、即ち、上記の不都合に加え、光ファイバー束の端部形成が複雑で、高価なものとなってしまう。
【0013】
更なる不利が有る。公知例においては、成形工程、即ち熱と圧力による光ファイバー束の圧縮とテーパー化は、ガラススリーブ(或いは熱軟化ガラス)を被せる前に行わなければならない。
【0014】
DE19604678A1には、個々の光ファイバーを光ファイバー束の端部で互いに溶着する方法が記載されている。更に、光ファイバー束の全体(長さ上限30m)を回転して、共通の端部を溶融する。これは、操作上大きな困難となり、複雑でより大きな構成部品に対しては制限となる。公知の方法では、個々の光ファイバー群と工具類が、軟化温度に加熱された電気式加熱炉に設置される。溶着工程又は軟化工程は、径の大きな部品の場合、数時間を要する。炉の構造上、溶着されるべき個々の光ファイバーの温度の確たる温度調整は不可能である。また、極めて薄いスリーブ壁をもつ、成形が容易な材料(真鍮、ニッケル銀)のみが用い得るに過ぎない。
【0015】
【発明により解決されるべき課題】
本発明の目的は、DE2630730A1による方法に基づいて光ファイバー束を製造する改良された方法を提供し、改良された光学的特性と広範囲の可能な用途をもつ改良された光ファイバー束が簡単に、且つ簡単な手段で得られるようにすることにある。
【0016】
本発明の他の目的は、当該技術で現在得られる光ファイバー束と比較して、改良された光学的特性と広範囲な用途をもつ改良された光ファイバー束を提供することにある。
【0017】
本発明の更なる目的は、光ファイバー束を製造する改良された方法により、光ファイバーを製造する装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決する手段、その作用・効果】
本発明によれば、上記の目的を達成するため、複数の個々の光ファイバーから光ファイバー束を製造する方法は、
個々のガラスファイバーを予め機械的に丸い密充填ファイバー束とした光ファイバー束を、単一の金属スリーブ内に滑り嵌めする工程、ここで該単一の金属スリーブとは、ガラスの変形温度において十分な熱的安定性がある材料からなり、かつその内側は連続的な円形断面を有するものであり、
該光ファイバー束を、該単一の金属スリーブの領域においてクランプ装置で保持する工程、
該単一の金属スリーブの領域において保持された該光ファイバー束の端をその変形温度まで加熱する工程、
該単一の金属スリーブ内にクランプされている該光ファイバーの加熱された端部をプレスして、個々のファイバーは六角充填状態としつつ、金属スリーブは加熱された光ファイバー束と金属スリーブとの間に融着が生じないまま前記六角充填上にプレスされた状態とする工程、
該光ファイバー束の変形された端を冷却する工程、及び、
該光ファイバー束を該クランプ装置から取り外す工程、
該光ファイバー束は、その軸方向に直角に離接可能なクランプ装置によって位置に固定されること、及び
加熱素子としても作用する一つの成形工具が変形温度に達すると、軸方向の下方に移動して該光ファイバー束の固定端に押しつけられること、からなる。
【0019】
光ファイバー束を製造する上記の方法を実施するための、本発明による装置は、
光ファイバー束の軸方向に対して直角に移動でき、かつ金属スリーブ(3)に直接的に作用できるクランプ要素を持つクランプ装置(4)、前記金属スリーブ(3)は、光ファイバー束(1)が予め一緒にされ、金属スリーブ内に入れられて固定位置をなした時に光ファイアバー束(1)を保持するのに十分な熱的安定性を有する材料からなること、
軸方向に移動可能の中空の成形工具(5)であって、変形を加えるため移動方向に変化する直径を備え、金属スリーブ(3)へ入れられた光ファイバー束(1)の固定端へ外嵌することができ、誘導加熱の役割を有し、そしてその内部形状は、この成形工具の変形のための移動によって、光ファイバーの端が金属スリーブ内で折り込まれるようになっていることを含む。
【0020】
本発明はまた、本発明による方法により製造された光ファイバー束を含む。この光ファイバー束は、光ファイバー束の一端で互いに溶着された個々の光ファイバーと、光ファイバー束の一端を囲む単一の金属スリーブから成り、個々の光ファイバーがこの単一金属スリーブに挿入し又は押し込まれ、且つ圧縮されて六角充填を形成するようにしたものであり、
単一金属スリーブは、光ファイバーの成形温度に加熱されるのに充分な熱(温度)強度を有する金属材料から成り、断面が実質的に円形の円筒状内部通路を有し、
六角充填体に押し付けられた単一金属スリーブは非破壊的に剥離可能であり、六角充填状態にある個々の光ファイバーは、金属スリーブの近傍で互いに平行な方向に延びるようにしたものである。
【0021】
DE2630730A1に開示されたものとは対照的に、本発明にはガラススリーブは無く、代わりにガラスの成形又は形成温度で充分な耐熱性をもつ材料、即ち従来技術では熱軟化金属である必要があったので使用出来なかった材料から成る金属スリーブが有る。
【0022】
本発明の場合には、耐熱金属の単一金属スリーブのみが用いられる。この単一金属スリーブは断面が丸い貫通内部通路を有する、即ち中空シリンダーであって、単一の圧縮動作又は工程に曝されるのみである。個々の光ファイバーは機械的手段により保持されているのみで、圧縮のため単一の高耐熱性金属スリーブに直接又は直ちに、即ち予備成形工程無しに押し込まれるからである。
【0023】
本発明の上記の特徴より、結果として次の利点が得られる。
・上限30mmまでの径の光ファイバー束を溶融でき、これに端部スリーブを設けることが出来る。
・実際のスリーブ外径に対して、より大きい光学的能動径が得られる。即ち、スリーブ外形に対する光学的能動径の比が≧0.8となる。
・個々の光ファイバーを相互に接着した光ファイバー束で得られるものよりかなり大きい顕著な透過性が、同一の光学的能動径を有する、本発明による光ファイバー束で得られる。本発明による光ファイバー束では、個々の光ファイバーが束の全断面に亘って最適六角充填状態となるからである。
・極めて広い種のスリーブ材、特に耐食性材料、例えば医療用にステンレススチールや、真鍮、ニッケル銀等の非鉄(NF)金属を用いることが出来る。
・金属スリーブと光ファイバー束以外に、溶融(溶着)工程にどんな部品も要しない。光ファイバー束の溶融(溶着)端を作るのに、従来技術では金属スリーブと光ファイバーに加えての部品であり、工程中に失われる内部ガラススリーブやプレスピストンのようなどんな付加的部品も用いられない。
・溶融(溶着)部の長さを自由に選べる。
・個々の光伝導性光ファイバーの溶融(溶着)/成形のための加熱は、より迅速で、再現性のある成形又は形成工程が保証されるように行える。本発明のこの側面故に、ほぼ六角形に充填された個々の光ファイバーの、且つ上限30mmまでと径の極めて大きい光ファイバー束全体の成形が得られる。これにより、溶融(溶着)部のファイバーは互いに充分平行に位置するようになり、溶融(溶着)部は極めて良い中心度をもつようになり、光ファイバー束の光伝搬特性を実質的に改良する。
・本発明の成形又は形成工程によると、外側の金属スリーブと溶着光ファイバー束の間に強い結合が生じない。こうして、本発明による方法を行った後、単に金属スリーブを取り外すだけで、金属スリーブの無い光ファイバー束を製造することが出来る。
・スリーブ壁に近い部分が、方法により損傷されることがない。
【0024】
本発明の一好適実施例によれば、成形工程に露呈される金属スリーブの部分には、内側及び外側に、成形光ファイバー束とスリーブ内側の間では分離層として、またスリーブ外側と圧縮工具の間では潤滑剤として作用する被膜を設ける。本発明のこの特徴は、適当な工具による成形工程をより容易にし、且つ金属スリーブの非破壊的剥離を保証する。被膜被覆は、金属スリーブ被膜材料、好ましくはエタノール懸濁窒化硼素により形成される被覆材料に浸漬することにより簡単に行われる。勿論、他の通常の被覆方法も、グラファイトや金等の、分離層及び潤滑層として作用し得る通常の高耐熱性被膜材料も用い得る。
【0025】
光ファイバー束の金属スリーブへの簡単な挿入は、光ファイバー束を構成する個々の光ファイバーを括束作用物(例えば接着剤片、糸、ワイヤ、ケーブルバインダ)で一時的に相互保持して括束作用物を手で容易に除けるようにするか、光ファイバー束が金属スリーブに挿入されると括束作用物がスリーブにより自動的に剥がされるようにして達成される。
【0026】
迅速で、充分再現性のある成形工程を達成するには、金属スリーブに挿入された光ファイバー束の端部を、この端部に接触する加熱金属素子が誘導加熱されるとき生ずる誘導発生熱により、成形温度に加熱すれば良い。成形温度は、好ましくは600〜700℃の範囲で、スリーブの金属材料がなお加熱に抗し、溶着光ファイバーと外側金属スリーブ間に強い結合が生じない温度とする。
【0027】
誘導加熱以外にも、必要な成形温度を発生する他の方法が可能である。だが、誘導加熱には、多くの利点がある。例えば、本方法の一好適実施例においては、光ファイバー束の成形端が、入力誘導電力を徐々に低下して冷却される。更に、誘導加熱によれば、光ファイバー束を加熱素子を通して間接的に加熱すると同時に、光ファイバー束の圧縮を、この目的のために加熱素子が所定内部形状をもつようにし、加熱素子を押圧することにより行うことが出来る。この特徴故に、挿入された光ファイバー束の端部を成形温度に加熱するのと、加熱端部を圧縮するのとを、同一の成形工具を用いて行うことが出来る。
【0028】
本発明の他の一好適実施例によれば、方法を実施する装置は、成形工具の内部空洞にはその開口端に第一の円筒部が有り、この円筒部は、加熱及び圧縮前に光ファイバー束を受け取る金属スリーブの円筒部の外径より内径が僅かにのみ大きいように形成される。成形工具の内部空洞には、開口端とは反対側又は開口端から遠位にある成形工具端に第二の円筒部が備わり、この第二の円筒部の内径は、圧縮後の光ファイバー束の所定の所望径に対応する。成形工具の内部空洞にはまた、第一と第二の円筒部をつなぐ円錐部が備わる。成形工具のこの特定構造により成形工具は、光ファイバー束の端部に対するその軸方向位置に応じて、光ファイバー束を形成する方法の種々の工程に用いることが出来る。
【0029】
成形工具の第二の円筒部と円錐部の内面は、方法における圧縮工程故に、硬化され、研磨されるのが好ましい。
【0030】
光ガイド光ファイバー束の全断面に亘って個々の光ファイバーを最適な六角充填状態と成るようにするには、上記の成形工具を、第二の円筒部の内径が、加熱及び圧縮前の光ファイバー間の中空空間に対応する距離だけ光ファイバーの内径より少なくしたものに対応する、即ち径が約30〜150μmの通常の個々の光ファイバーの場合の金属スリーブの外径の約85%となるように構成される。
【0031】
端部スリーブが特に小さい径をもつ必要の有る場合には、第二の円筒部の径を更に尚小さくし、ファイバー材料の一部、特にファイバー外側ジャケットがスリーブから押し出されるようにすれば良い。小さくする正確な程度は、個々のファイバーの性状と構造によるものであって、場合毎に決定される必要が有る。一般に、内径は困難無しに、約10%減少できる。
【0032】
本発明の一好適実施例では、極めて良好な再現性の有るプロセス制御、即ち充分に再現性のある成形工程が得られるように成形又は形成温度の温度制御を行う。これを達成するのに、成形工具に関連して、その近傍に、成形温度を調整する温度制御装置を設ける。
【0033】
他の一好適実施例によれば、クランプ装置と正ロック係合するための成形又は型成形された厚壁部を金属スリーブが備え、印加された成形力を金属スリーブが確実に受け取るのを保証するようにする。光ガイド光ファイバー束の成形されるべき端部はこのようにして、金属スリーブの薄壁部に受容され、この薄壁部はその壁厚故に、熱成形工程を妨げない。用語「厚壁」は、厚壁部が対応する薄壁部より壁厚が厚いことを意味する。用語「薄壁」は、厚壁部に対して薄いことを意味する。
【0034】
本発明の他の好ましい一特徴によれば、スリーブ材料は耐食性ステンレススチール又はニッケル銀合金から成る。また、適切な耐高温性の有る他の金属材料も、特に光ファイバー束の予想される適用範囲に応じて用い得る。
【0035】
【実 施 例】
図1を参照して、本発明の方法を全般的に説明する。
【0036】
多数の光ファイバー2から成る光ファイバー束1が、図1に概略的に示されている。光ファイバー2の端部は相互に溶着されるべきである。このため次に、周方向に鍔又は肩部3bの有る厚壁部3aと、薄壁部3cとを備えた金属スリーブ3をファイバー束1に押し被せて装着する。個々の光ファイバー2は、金属スリーブの、即ちその薄壁部3cの上縁と揃って終端するようにする。
【0037】
光ファイバー束1が嵌め込まれた金属スリーブ3は、取り付け又は連結素子として作用する鍔又は肩部3bに嵌合する、水平方向に移動自在なクランプ装置4によって軸及び半径方向に固定される。
【0038】
その後、同時に加熱素子としても作用する成形工具5が、固定された金属スリーブ3に設置される。
【0039】
誘導加熱器6を用いて、成形工具5を約650℃のガラス特性成形温度に加熱する。光ファイバー束1の加熱は、成形工具5からの熱伝導と放熱により間接的に行われる。必要とされる成形温度は、温度測定素子7により能動的に監視される。必要温度に達すると成形工具5は、軸方向下方に移動され、矢印8で示される成形又は形成力で金属スリーブ3に、従って光ファイバー束1に押し付けられる。金属スリーブ3と光ファイバー束1は、成形工具5の内側輪郭の形状を取る。
【0040】
成形工程を終えると、成形工具5は金属スリーブ3から引き戻され、金属スリーブ3と成形工具5はもはや接触することはない。成形工具5の占める位置は、固着された金属スリーブ3の上方に着座して、これを保護する位置である。
【0041】
最後は、成形工具5と光ファイバー束1の端部とが温度<<Tg下で冷却される冷却段となる。
【0042】
冷却段が終了すると、成形工具5は光ファイバー束1の成形された端部から完全に外され、クランプ装置4から取り出される。
【0043】
以下、プロセス(方法)を個々の工程に分解して記載し、個々の工程を工程毎に更に詳細に説明する。
【0044】
これ等のプロセス工程は以下の通りである。
1.金属スリーブ3を被覆する。
2.光ファイバー束1を金属スリーブに取り付ける。
3.金属スリーブで組み立てた光ファイバー束をクランプ装置4に設置する。
4.加熱装置6を用いて、成形工具5を誘導加熱する。
5.光ファイバー束を成形又は形成する。
6.光ファイバー束1を冷却する。
7.光ファイバー束1をクランプ装置4から外す。
【0045】
第1工程:金属スリーブの被覆
この工程を図2A及び図2Bに示す。
この工程の産物は金属スリーブ3である。その機能(作用)は以下の通りである。
・光ファイバー束1の端部の安定化と保護。
・成形工具と光ファイバー束の分離。
・光ファイバー束の機械的受容及び保護。
【0046】
鍔部3b、或いは図2Bの実施例のように溝部3dが、成形工具5からの成形力又は引き離し力を受け取る。
【0047】
金属スリーブ3の薄壁部3cの壁は、厚さが0.2〜1.0mm、好ましくは0.5mmである。
【0048】
成形温度(約600〜700℃)で充分高い耐熱性の有る金属、好ましくは耐食性スチールがスリーブ材料金属として考えられる。更に、熱膨張係数がガラスファイバーのそれに近い金属、好ましくはニッケル/鉄合金を用いることも出来る。
【0049】
金属スリーブ3には従って、その薄壁部3cの内側と外側に、図2A及び図2Bでドット記号により表示されている被膜9が設けられる。
【0050】
この被膜の作用は以下の通りである。
・光ファイバー束の溶融成形端部と金属スリーブ3間のバリヤ層。
・金属スリーブ3の壁と形成又は成形工具5の内側輪郭間の潤滑。
【0051】
こうして、被膜材料には次の性質がなければならない。
・少なくとも800℃まで、耐熱性の有ること。
・スリーブ壁の内面及び外面にて被膜が均一(<0.02mm)。
・スリーブ材料の抜け落ちへの良好な抵抗。
・ガラスシール性が無い。
・少なくとも800℃までの温度で、金属との摩擦性が良好。
・分離手段による金属スリーブからの清浄が容易な性質。
金属スリーブ材料として好ましくは窒化硼素粉を、エタノール溶媒に溶解する。
この成分以外に、接着剤が被膜に添加され、必要な抜け落ち抵抗を保証する。
等。
【0052】
被膜9の配合物を好適な容器に入れる。金属スリーブ3の薄壁部又は区分3cを被覆溶液に浸漬し、次に所定速度で引き出し、乾燥する。金属スリーブ3上の被膜厚さは、溶液の濃度と、金属スリーブ3を溶液から引き出す速度により調整が可能である。
【0053】
第2工程:光ファイバー束を金属スリーブに取り付ける
この第2工程を図3A〜図3Cに示す。個々のファイバー数、即ち光ファイバー束の径は、金属スリーブ3と光ファイバー束1の間に結果として滑り嵌めとプレス嵌めが生じるように選ばれる。だが、外側に有る個々のファイバーに損傷が生じるようにしてはならない。光ファイバー束には、溶解工程を妨害する汚れが無いようにしなければならない。
【0054】
次に、図には概略的に示されている細いフィラメント10を光ファイバー束1に巻いて、ばらばらの個々光ファイバーを束ね、丸い密充填光ファイバー束1を形成する(図3A)。こうして用意された光ファイバー束を、上部に被膜のある金属スリーブ3にその底部から押し込む。組立を容易にするため、金属スリーブ3は区分3a内面に斜面(図2A及び図2B参照)が設けられ、光ファイバー束1が金属スリーブ3に容易に挿入されるようにしている。光ファイバー束1を挿入した後で、フィラメント10は圧縮される(図3B)か、取り除かれる。次いで、ファイバーの突出した束を切り取って、金属スリーブ3と、即ちその薄壁部3cの上縁と端部が揃うようにする。
【0055】
第3工程:光ファイバー束を金属スリーブと共に、クランプ装置に設置
この工程は、図1のように行われる。既述のように、図1に図示のクランプ装置には、金属スリーブ3を軸及び半径方向に固定して、必要な成形及び引き出し力を受け止める機能が有る。これ等の力を受け止めるため、クランプ装置4にて金属スリーブ3を積極的にロックする係合作用は、鍔部3b又は溝部3dによりなされる(図2及び図3)。
【0056】
第4工程:成形工具による誘導加熱
この第4工程を図4に示す。成形工具5は図4に図示の工程では、光ファイバー束を必要な形成又は成形温度に均一に加熱する加熱素子として作用する。この成形工具5は好ましくはステンレススチールから成り、誘導加熱器6(図1参照)により必要な成形温度に加熱される。典型的な成形温度は約650℃である。成形工具5は、その内部に空洞5a、5b、5cが設けられるように成形され、その下部にある第一の円筒部5aは径が、その上部薄壁部3cに成形されるべき金属スリーブより僅かに大きい。径の差異は好ましくは、1mm以下とする。第一の円筒部5aの長さは典型的には、スリーブ3の内径の半分に等しいが、5mmよりは短くないものとする。この第一の円筒部5aにより、光ファイバー束の後期成形部を軸方向に均一に加熱することが出来る。形成工具はその上側を閉塞して、半径方向に均一に加熱する炉が事実上形成されるようにするのが好ましい。
【0057】
内部空洞の円錐部5bは円筒部5aにつながり、他の又は第二の円筒部5cが円錐部につながれ、これに続く。
【0058】
加熱のため、成形工具5は金属スリーブ3上に有って、金属スリーブ3の薄壁上縁が成形工具5の円錐部5bに接触するように位置付けられる。加熱は、束の中心に有る個々のファイバーが成形に充分な温度になるように行われる。
【0059】
工具の温度は温度測定装置7により測定され、適宜制御される。
【0060】
第5工程:光ファイバー束の個々のファイバーをそれ等の端部で成形、溶融(溶着)
この工程は図1および図4の通り、進行する。工程4内で実行される作用の外に、成形工具5は金属スリーブ3をその上部薄壁部3cにて定径に成形し、且つ光ファイバー束の個々の光ファイバーを相互に溶融し、溶着する。
【0061】
成形工具5には、工程4で用いられる特性以外に、以下のような特性が有る。第一の円筒部5aと円錐部5bとの側面間の角度は、典型例として4〜5゜の範囲にある。これ等の領域の面は硬化され、且つ研磨されていると有利である。円錐部につながる第二の円筒部5cの径は、典型的には成形工程後の光ファイバー束が光ファイバー束の初期径の85%に相当する径をもつように選ばれる。また、成形工具面は第二の円筒部5cにても、硬化され、且つ研磨されている。図4から明らかなように、成形工具5はその上側に空気穴12があり、成形中に圧縮される空気を逃がすようにしている。
【0062】
成形段は以下のように進行する。
工程4で必要な成形温度に達した後、成形工具は軸方向に金属スリーブに押し付けられる。軸方向の工具速度は、1〜20mm/分の範囲、好ましくは4mm/分とする。成形工具5の行程(トラベル)により、異なる長さの溶融域を実現することが出来る。
【0063】
成形行程を終えた後、成形工具5は金属スリーブ3から引き戻され、金属スリーブ3の被成形部が成形工具5の第二の円筒部5cの内側にはもはや無いようにする。
【0064】
第6工程:光ファイバー束の冷却
成形工具5には、工程4及び5に関して述べられた機能以外に、光ファイバー束の加熱成形端部を制御して、且つ低応力で冷却する機能が有る。この冷却段では、成形工具5は、第5工程に関し述べられた位置(区分5cの外側に位置する束の端部)において、所定の温度/時間挙動に従い、温度<<Tg、好ましくは250℃になるようにする。これを行うには、誘導加熱器6(図1)の加熱電力を連続的に低下させる。所定の温度に達した後、成形工具5はその初期位置に戻される。
【0065】
第7工程:光ファイバー束をクランプ装置からの取り外
クランプ装置4を開口した後、光ファイバー束は完成製品として簡単に取り外される。成形工程が完了される。
【0066】
光ファイバー束の端部は次いで、既知の方法により(研削又は研磨にて)加工され、又は仕上げられ、端面の光学的特性を出す。
【0067】
【発明の効果】
記述の方法で製造された光ファイバー束には、接着光ファイバーや前述の方法により溶融される光ファイバーとは対照して、以下の利点が有る。
・スリーブの外径に比例して光学的有効径が高い(比≧0.8)。
・全六角密充填ファイバーとすることにより、全断面に亘って抜群の透過性が得られる。
・大きな束径範囲(1〜30mm)が得られる。
・広範囲の使用可能なスリーブ材(非鉄金属、ステンレススチール)。
・スリーブと光ファイバー以外に、追加部品が必要ない。
・溶融部の長さが自由に選べる。
・個々のファイバーの溶融部における平行度が極めて良好である。
・溶融部の中心度が極めて良い。
・能動的温度監視と成形工具の制御により、プロセス制御の再現性が極めて良い。
・金属スリーブの無い光ガイド束の製造が可能になる(続いての金属スリーブの除去により)。
【0068】
以上、本発明は光ファイバー束の製造方法、この方法により製造された光ファイバー束、及び同方法を実施する装置に具現されるものとして例示且つ記載されたが、本発明の精神を如何ようにも逸脱することなく為せる、その種々の修正及び変更が可能であるから、指摘された詳細に発明が限定されることを意図するものではない。
更なる分析なく、以上は本発明の要旨を、他者が現在の知識を適用することにより、本発明の一般的又は特定の側面の実質的特徴を、従来技術の観点から相応に構成する特徴を省略することなく、それを種々の応用に適合出来る程度まで充分に示すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形工具が光ファイバー束の端部に設置され、クランプ装置に受容されている金属スリーブに挿入された光ファイバー束の概略的断面図である。
【図2】A 金属スリーブの一つの実施例の概略的断面図であり、金属スリーブの一部の被膜を示す。
B 金属スリーブの他の実施例の概略的断面図であり、金属スリーブの一部の被膜を示す。
【図3】A 1本のフィラメント10を補助具として、光ファイバー束を製作する金属スリーブの実施例のある段階を示す。
B 1本のフィラメント10を補助具として、光ファイバー束を製作する金属スリーブの実施例のある段階を示す。
C 1本のフィラメント10を補助具として、光ファイバー束を製作する金属スリーブの実施例のある段階を示す。
【図4】特殊内部形状を有する成形工具の概略的断面図である。
【符号の説明】
1…光ファイバー束、2…光ファイバー、3…金属スリーブ、3a…厚壁部、3b…鍔又は肩部、3c…薄壁部、3d…溝部、4…クランプ装置、5…成形工具、5a…内部空洞、第一の円筒部、5b…内部空洞、円錐部、5c…内部空洞、第二の円筒部、6…誘導加熱器、7…温度測定素子、8…成形力又は引き離し力、9…被膜。
【産業上の利用分野】
本発明は、個々の光ファイバーから成る光ファイバー束を製造する方法に関する。個々のファイバーは共通の金属スリーブ内で、共通の端部にて互いに圧縮され、温度と圧力を加えて成形又は形成される。本発明はまた、この方法を実施する装置に関する。本発明は更に、複数の個々の光ファイバーから成る光ファイバー束に関する。複数の個々の光ファイバーは圧縮され、六角充填された状態で共通端部にて相互溶融(溶着)されて、光ファイバー束を形成する。
【0002】
【従来の技術】
複数の個々の光ファイバーから成る可撓性の光ファイバー光ガイド、所謂光ファイバー束は光送信にしばしば用いられる。個々のファイバーは通常、例えば照明用ライティング装置に取り付けられるスリーブ内で共通の端部にて一体化される。
【0003】
共通の端部で個々のファイバーを一体化して束を形成するには、特別な設計の工学的配慮が必要となる。
【0004】
個々のファイバーを互いに接着し、これ等接着ファイバーに押し被せたスリーブ内で相互に結合することにより光ファイバー束を製造する方法は、従来技術で知られている。この広く知られた方法には、用いられる接着剤が耐熱性、充填密度、従って光ファイバー束を通して可能な光送信を制限すると云う不都合が有る。これは個々の光ファイバーが個々の円形断面形状を保持し、自由空間を有し点状でのみ互いに支え合うようにしているからである。また、耐薬品性も限られ、これがこの種の光ファイバー束の使用し得る用途の範囲を少なくしている。
【0005】
個々のファイバーを共通のスリーブ内で、スリーブ及び相互に溶着する方法が知られている。
【0006】
この種の光ファイバー束の利点には、就中、耐熱性(接着剤の無いため)が高いこと、断面当たりの個々のファイバー数の増大により、ファイバーが溶融圧縮されるとき、六角充填が生ずるので光透過性が向上すること、また熱的殺菌および一般には医療用の滅菌に特に顕著な、化学的攻撃に対する耐性の改善がある。
【0007】
熱軟化性スリーブを光ファイバー束に押し付ける方法が、DE2630730A1に記載されている。その場合、個々のファイバーは六角形状で、ファイバー間に介在する自由空間が無い。だが、この従来技術では個々の光ファイバー同志は溶着されない。
【0008】
ガラス製のスリーブは粘性が低いから、用いるのに有利であろうが、特に以下の欠点が有る。
ガラススリーブ内で用いると、成形工具が欠陥を起こす。
ガラススリーブ内で用いると、光ファイバーは衝撃に極めて敏感になって、欠ける危険が有る。
【0009】
この公知の方法では、原理としてはガラス様の熱及び粘性特性をもつ金属スリーブ、即ち所謂熱軟化性金属を用い得た。
【0010】
だが、これ等の熱軟化性金属は、熱及び機械的負荷に不利で、実際には用い得ない。
【0011】
ガラススリーブの保護のため、公知の方法では、ガラススリーブを取り囲む外側金属スリーブが設けられる。外側金属スリーブの成形又は形成用端部に、ガラススリーブが押し込まれ、ガラススリーブはそこで、ファイバー束に押し付けられる摺動自在なプレス金属スリーブにより圧縮される。その場合、ガラススリーブ(とプレス金属スリーブ)は接着により、又は軟化ガラスで外側の金属スリーブに連結される。
【0012】
だが、この方法で光ファイバー束の端部を成形することには、次のような深刻な不都合が有る。
・外側金属スリーブの壁厚を充分に厚くして、熱応力(圧縮ガラス溶融体)を補償する必要が有る。これには、使用可能な光学的表面積が、金属スリーブの外径に対して小さくなると云う不都合が有る。
・光ガイド端部に残って、内側ガラススリーブを外側金属スリーブに挿入するための付加的プレス工具が必要となる。その結果、光ファイバー束を軟化ガラス内で心出しするとき問題が生じ、光学軸に不利に作用する。
・更に、内部ガラススリーブを外側金属スリーブに挿入しても、個々のファイバーが互いに平行になる溶融域が形成されない。光ファイバー束をその端部で円錐形に集束するようにすることは、光ファイバー束の反射特性に不利に作用する。・この技術では10mmの径の束しか作成することができない。外側金属スリーブを設けると、光ファイバー束の端部が結局三つのスリーブ、即ちガラススリーブ(或いは熱軟化材料から成る金属スリーブ)、プレス−スリーブ及び外側金属スリーブをもつことになって、即ち、上記の不都合に加え、光ファイバー束の端部形成が複雑で、高価なものとなってしまう。
【0013】
更なる不利が有る。公知例においては、成形工程、即ち熱と圧力による光ファイバー束の圧縮とテーパー化は、ガラススリーブ(或いは熱軟化ガラス)を被せる前に行わなければならない。
【0014】
DE19604678A1には、個々の光ファイバーを光ファイバー束の端部で互いに溶着する方法が記載されている。更に、光ファイバー束の全体(長さ上限30m)を回転して、共通の端部を溶融する。これは、操作上大きな困難となり、複雑でより大きな構成部品に対しては制限となる。公知の方法では、個々の光ファイバー群と工具類が、軟化温度に加熱された電気式加熱炉に設置される。溶着工程又は軟化工程は、径の大きな部品の場合、数時間を要する。炉の構造上、溶着されるべき個々の光ファイバーの温度の確たる温度調整は不可能である。また、極めて薄いスリーブ壁をもつ、成形が容易な材料(真鍮、ニッケル銀)のみが用い得るに過ぎない。
【0015】
【発明により解決されるべき課題】
本発明の目的は、DE2630730A1による方法に基づいて光ファイバー束を製造する改良された方法を提供し、改良された光学的特性と広範囲の可能な用途をもつ改良された光ファイバー束が簡単に、且つ簡単な手段で得られるようにすることにある。
【0016】
本発明の他の目的は、当該技術で現在得られる光ファイバー束と比較して、改良された光学的特性と広範囲な用途をもつ改良された光ファイバー束を提供することにある。
【0017】
本発明の更なる目的は、光ファイバー束を製造する改良された方法により、光ファイバーを製造する装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決する手段、その作用・効果】
本発明によれば、上記の目的を達成するため、複数の個々の光ファイバーから光ファイバー束を製造する方法は、
個々のガラスファイバーを予め機械的に丸い密充填ファイバー束とした光ファイバー束を、単一の金属スリーブ内に滑り嵌めする工程、ここで該単一の金属スリーブとは、ガラスの変形温度において十分な熱的安定性がある材料からなり、かつその内側は連続的な円形断面を有するものであり、
該光ファイバー束を、該単一の金属スリーブの領域においてクランプ装置で保持する工程、
該単一の金属スリーブの領域において保持された該光ファイバー束の端をその変形温度まで加熱する工程、
該単一の金属スリーブ内にクランプされている該光ファイバーの加熱された端部をプレスして、個々のファイバーは六角充填状態としつつ、金属スリーブは加熱された光ファイバー束と金属スリーブとの間に融着が生じないまま前記六角充填上にプレスされた状態とする工程、
該光ファイバー束の変形された端を冷却する工程、及び、
該光ファイバー束を該クランプ装置から取り外す工程、
該光ファイバー束は、その軸方向に直角に離接可能なクランプ装置によって位置に固定されること、及び
加熱素子としても作用する一つの成形工具が変形温度に達すると、軸方向の下方に移動して該光ファイバー束の固定端に押しつけられること、からなる。
【0019】
光ファイバー束を製造する上記の方法を実施するための、本発明による装置は、
光ファイバー束の軸方向に対して直角に移動でき、かつ金属スリーブ(3)に直接的に作用できるクランプ要素を持つクランプ装置(4)、前記金属スリーブ(3)は、光ファイバー束(1)が予め一緒にされ、金属スリーブ内に入れられて固定位置をなした時に光ファイアバー束(1)を保持するのに十分な熱的安定性を有する材料からなること、
軸方向に移動可能の中空の成形工具(5)であって、変形を加えるため移動方向に変化する直径を備え、金属スリーブ(3)へ入れられた光ファイバー束(1)の固定端へ外嵌することができ、誘導加熱の役割を有し、そしてその内部形状は、この成形工具の変形のための移動によって、光ファイバーの端が金属スリーブ内で折り込まれるようになっていることを含む。
【0020】
本発明はまた、本発明による方法により製造された光ファイバー束を含む。この光ファイバー束は、光ファイバー束の一端で互いに溶着された個々の光ファイバーと、光ファイバー束の一端を囲む単一の金属スリーブから成り、個々の光ファイバーがこの単一金属スリーブに挿入し又は押し込まれ、且つ圧縮されて六角充填を形成するようにしたものであり、
単一金属スリーブは、光ファイバーの成形温度に加熱されるのに充分な熱(温度)強度を有する金属材料から成り、断面が実質的に円形の円筒状内部通路を有し、
六角充填体に押し付けられた単一金属スリーブは非破壊的に剥離可能であり、六角充填状態にある個々の光ファイバーは、金属スリーブの近傍で互いに平行な方向に延びるようにしたものである。
【0021】
DE2630730A1に開示されたものとは対照的に、本発明にはガラススリーブは無く、代わりにガラスの成形又は形成温度で充分な耐熱性をもつ材料、即ち従来技術では熱軟化金属である必要があったので使用出来なかった材料から成る金属スリーブが有る。
【0022】
本発明の場合には、耐熱金属の単一金属スリーブのみが用いられる。この単一金属スリーブは断面が丸い貫通内部通路を有する、即ち中空シリンダーであって、単一の圧縮動作又は工程に曝されるのみである。個々の光ファイバーは機械的手段により保持されているのみで、圧縮のため単一の高耐熱性金属スリーブに直接又は直ちに、即ち予備成形工程無しに押し込まれるからである。
【0023】
本発明の上記の特徴より、結果として次の利点が得られる。
・上限30mmまでの径の光ファイバー束を溶融でき、これに端部スリーブを設けることが出来る。
・実際のスリーブ外径に対して、より大きい光学的能動径が得られる。即ち、スリーブ外形に対する光学的能動径の比が≧0.8となる。
・個々の光ファイバーを相互に接着した光ファイバー束で得られるものよりかなり大きい顕著な透過性が、同一の光学的能動径を有する、本発明による光ファイバー束で得られる。本発明による光ファイバー束では、個々の光ファイバーが束の全断面に亘って最適六角充填状態となるからである。
・極めて広い種のスリーブ材、特に耐食性材料、例えば医療用にステンレススチールや、真鍮、ニッケル銀等の非鉄(NF)金属を用いることが出来る。
・金属スリーブと光ファイバー束以外に、溶融(溶着)工程にどんな部品も要しない。光ファイバー束の溶融(溶着)端を作るのに、従来技術では金属スリーブと光ファイバーに加えての部品であり、工程中に失われる内部ガラススリーブやプレスピストンのようなどんな付加的部品も用いられない。
・溶融(溶着)部の長さを自由に選べる。
・個々の光伝導性光ファイバーの溶融(溶着)/成形のための加熱は、より迅速で、再現性のある成形又は形成工程が保証されるように行える。本発明のこの側面故に、ほぼ六角形に充填された個々の光ファイバーの、且つ上限30mmまでと径の極めて大きい光ファイバー束全体の成形が得られる。これにより、溶融(溶着)部のファイバーは互いに充分平行に位置するようになり、溶融(溶着)部は極めて良い中心度をもつようになり、光ファイバー束の光伝搬特性を実質的に改良する。
・本発明の成形又は形成工程によると、外側の金属スリーブと溶着光ファイバー束の間に強い結合が生じない。こうして、本発明による方法を行った後、単に金属スリーブを取り外すだけで、金属スリーブの無い光ファイバー束を製造することが出来る。
・スリーブ壁に近い部分が、方法により損傷されることがない。
【0024】
本発明の一好適実施例によれば、成形工程に露呈される金属スリーブの部分には、内側及び外側に、成形光ファイバー束とスリーブ内側の間では分離層として、またスリーブ外側と圧縮工具の間では潤滑剤として作用する被膜を設ける。本発明のこの特徴は、適当な工具による成形工程をより容易にし、且つ金属スリーブの非破壊的剥離を保証する。被膜被覆は、金属スリーブ被膜材料、好ましくはエタノール懸濁窒化硼素により形成される被覆材料に浸漬することにより簡単に行われる。勿論、他の通常の被覆方法も、グラファイトや金等の、分離層及び潤滑層として作用し得る通常の高耐熱性被膜材料も用い得る。
【0025】
光ファイバー束の金属スリーブへの簡単な挿入は、光ファイバー束を構成する個々の光ファイバーを括束作用物(例えば接着剤片、糸、ワイヤ、ケーブルバインダ)で一時的に相互保持して括束作用物を手で容易に除けるようにするか、光ファイバー束が金属スリーブに挿入されると括束作用物がスリーブにより自動的に剥がされるようにして達成される。
【0026】
迅速で、充分再現性のある成形工程を達成するには、金属スリーブに挿入された光ファイバー束の端部を、この端部に接触する加熱金属素子が誘導加熱されるとき生ずる誘導発生熱により、成形温度に加熱すれば良い。成形温度は、好ましくは600〜700℃の範囲で、スリーブの金属材料がなお加熱に抗し、溶着光ファイバーと外側金属スリーブ間に強い結合が生じない温度とする。
【0027】
誘導加熱以外にも、必要な成形温度を発生する他の方法が可能である。だが、誘導加熱には、多くの利点がある。例えば、本方法の一好適実施例においては、光ファイバー束の成形端が、入力誘導電力を徐々に低下して冷却される。更に、誘導加熱によれば、光ファイバー束を加熱素子を通して間接的に加熱すると同時に、光ファイバー束の圧縮を、この目的のために加熱素子が所定内部形状をもつようにし、加熱素子を押圧することにより行うことが出来る。この特徴故に、挿入された光ファイバー束の端部を成形温度に加熱するのと、加熱端部を圧縮するのとを、同一の成形工具を用いて行うことが出来る。
【0028】
本発明の他の一好適実施例によれば、方法を実施する装置は、成形工具の内部空洞にはその開口端に第一の円筒部が有り、この円筒部は、加熱及び圧縮前に光ファイバー束を受け取る金属スリーブの円筒部の外径より内径が僅かにのみ大きいように形成される。成形工具の内部空洞には、開口端とは反対側又は開口端から遠位にある成形工具端に第二の円筒部が備わり、この第二の円筒部の内径は、圧縮後の光ファイバー束の所定の所望径に対応する。成形工具の内部空洞にはまた、第一と第二の円筒部をつなぐ円錐部が備わる。成形工具のこの特定構造により成形工具は、光ファイバー束の端部に対するその軸方向位置に応じて、光ファイバー束を形成する方法の種々の工程に用いることが出来る。
【0029】
成形工具の第二の円筒部と円錐部の内面は、方法における圧縮工程故に、硬化され、研磨されるのが好ましい。
【0030】
光ガイド光ファイバー束の全断面に亘って個々の光ファイバーを最適な六角充填状態と成るようにするには、上記の成形工具を、第二の円筒部の内径が、加熱及び圧縮前の光ファイバー間の中空空間に対応する距離だけ光ファイバーの内径より少なくしたものに対応する、即ち径が約30〜150μmの通常の個々の光ファイバーの場合の金属スリーブの外径の約85%となるように構成される。
【0031】
端部スリーブが特に小さい径をもつ必要の有る場合には、第二の円筒部の径を更に尚小さくし、ファイバー材料の一部、特にファイバー外側ジャケットがスリーブから押し出されるようにすれば良い。小さくする正確な程度は、個々のファイバーの性状と構造によるものであって、場合毎に決定される必要が有る。一般に、内径は困難無しに、約10%減少できる。
【0032】
本発明の一好適実施例では、極めて良好な再現性の有るプロセス制御、即ち充分に再現性のある成形工程が得られるように成形又は形成温度の温度制御を行う。これを達成するのに、成形工具に関連して、その近傍に、成形温度を調整する温度制御装置を設ける。
【0033】
他の一好適実施例によれば、クランプ装置と正ロック係合するための成形又は型成形された厚壁部を金属スリーブが備え、印加された成形力を金属スリーブが確実に受け取るのを保証するようにする。光ガイド光ファイバー束の成形されるべき端部はこのようにして、金属スリーブの薄壁部に受容され、この薄壁部はその壁厚故に、熱成形工程を妨げない。用語「厚壁」は、厚壁部が対応する薄壁部より壁厚が厚いことを意味する。用語「薄壁」は、厚壁部に対して薄いことを意味する。
【0034】
本発明の他の好ましい一特徴によれば、スリーブ材料は耐食性ステンレススチール又はニッケル銀合金から成る。また、適切な耐高温性の有る他の金属材料も、特に光ファイバー束の予想される適用範囲に応じて用い得る。
【0035】
【実 施 例】
図1を参照して、本発明の方法を全般的に説明する。
【0036】
多数の光ファイバー2から成る光ファイバー束1が、図1に概略的に示されている。光ファイバー2の端部は相互に溶着されるべきである。このため次に、周方向に鍔又は肩部3bの有る厚壁部3aと、薄壁部3cとを備えた金属スリーブ3をファイバー束1に押し被せて装着する。個々の光ファイバー2は、金属スリーブの、即ちその薄壁部3cの上縁と揃って終端するようにする。
【0037】
光ファイバー束1が嵌め込まれた金属スリーブ3は、取り付け又は連結素子として作用する鍔又は肩部3bに嵌合する、水平方向に移動自在なクランプ装置4によって軸及び半径方向に固定される。
【0038】
その後、同時に加熱素子としても作用する成形工具5が、固定された金属スリーブ3に設置される。
【0039】
誘導加熱器6を用いて、成形工具5を約650℃のガラス特性成形温度に加熱する。光ファイバー束1の加熱は、成形工具5からの熱伝導と放熱により間接的に行われる。必要とされる成形温度は、温度測定素子7により能動的に監視される。必要温度に達すると成形工具5は、軸方向下方に移動され、矢印8で示される成形又は形成力で金属スリーブ3に、従って光ファイバー束1に押し付けられる。金属スリーブ3と光ファイバー束1は、成形工具5の内側輪郭の形状を取る。
【0040】
成形工程を終えると、成形工具5は金属スリーブ3から引き戻され、金属スリーブ3と成形工具5はもはや接触することはない。成形工具5の占める位置は、固着された金属スリーブ3の上方に着座して、これを保護する位置である。
【0041】
最後は、成形工具5と光ファイバー束1の端部とが温度<<Tg下で冷却される冷却段となる。
【0042】
冷却段が終了すると、成形工具5は光ファイバー束1の成形された端部から完全に外され、クランプ装置4から取り出される。
【0043】
以下、プロセス(方法)を個々の工程に分解して記載し、個々の工程を工程毎に更に詳細に説明する。
【0044】
これ等のプロセス工程は以下の通りである。
1.金属スリーブ3を被覆する。
2.光ファイバー束1を金属スリーブに取り付ける。
3.金属スリーブで組み立てた光ファイバー束をクランプ装置4に設置する。
4.加熱装置6を用いて、成形工具5を誘導加熱する。
5.光ファイバー束を成形又は形成する。
6.光ファイバー束1を冷却する。
7.光ファイバー束1をクランプ装置4から外す。
【0045】
第1工程:金属スリーブの被覆
この工程を図2A及び図2Bに示す。
この工程の産物は金属スリーブ3である。その機能(作用)は以下の通りである。
・光ファイバー束1の端部の安定化と保護。
・成形工具と光ファイバー束の分離。
・光ファイバー束の機械的受容及び保護。
【0046】
鍔部3b、或いは図2Bの実施例のように溝部3dが、成形工具5からの成形力又は引き離し力を受け取る。
【0047】
金属スリーブ3の薄壁部3cの壁は、厚さが0.2〜1.0mm、好ましくは0.5mmである。
【0048】
成形温度(約600〜700℃)で充分高い耐熱性の有る金属、好ましくは耐食性スチールがスリーブ材料金属として考えられる。更に、熱膨張係数がガラスファイバーのそれに近い金属、好ましくはニッケル/鉄合金を用いることも出来る。
【0049】
金属スリーブ3には従って、その薄壁部3cの内側と外側に、図2A及び図2Bでドット記号により表示されている被膜9が設けられる。
【0050】
この被膜の作用は以下の通りである。
・光ファイバー束の溶融成形端部と金属スリーブ3間のバリヤ層。
・金属スリーブ3の壁と形成又は成形工具5の内側輪郭間の潤滑。
【0051】
こうして、被膜材料には次の性質がなければならない。
・少なくとも800℃まで、耐熱性の有ること。
・スリーブ壁の内面及び外面にて被膜が均一(<0.02mm)。
・スリーブ材料の抜け落ちへの良好な抵抗。
・ガラスシール性が無い。
・少なくとも800℃までの温度で、金属との摩擦性が良好。
・分離手段による金属スリーブからの清浄が容易な性質。
金属スリーブ材料として好ましくは窒化硼素粉を、エタノール溶媒に溶解する。
この成分以外に、接着剤が被膜に添加され、必要な抜け落ち抵抗を保証する。
等。
【0052】
被膜9の配合物を好適な容器に入れる。金属スリーブ3の薄壁部又は区分3cを被覆溶液に浸漬し、次に所定速度で引き出し、乾燥する。金属スリーブ3上の被膜厚さは、溶液の濃度と、金属スリーブ3を溶液から引き出す速度により調整が可能である。
【0053】
第2工程:光ファイバー束を金属スリーブに取り付ける
この第2工程を図3A〜図3Cに示す。個々のファイバー数、即ち光ファイバー束の径は、金属スリーブ3と光ファイバー束1の間に結果として滑り嵌めとプレス嵌めが生じるように選ばれる。だが、外側に有る個々のファイバーに損傷が生じるようにしてはならない。光ファイバー束には、溶解工程を妨害する汚れが無いようにしなければならない。
【0054】
次に、図には概略的に示されている細いフィラメント10を光ファイバー束1に巻いて、ばらばらの個々光ファイバーを束ね、丸い密充填光ファイバー束1を形成する(図3A)。こうして用意された光ファイバー束を、上部に被膜のある金属スリーブ3にその底部から押し込む。組立を容易にするため、金属スリーブ3は区分3a内面に斜面(図2A及び図2B参照)が設けられ、光ファイバー束1が金属スリーブ3に容易に挿入されるようにしている。光ファイバー束1を挿入した後で、フィラメント10は圧縮される(図3B)か、取り除かれる。次いで、ファイバーの突出した束を切り取って、金属スリーブ3と、即ちその薄壁部3cの上縁と端部が揃うようにする。
【0055】
第3工程:光ファイバー束を金属スリーブと共に、クランプ装置に設置
この工程は、図1のように行われる。既述のように、図1に図示のクランプ装置には、金属スリーブ3を軸及び半径方向に固定して、必要な成形及び引き出し力を受け止める機能が有る。これ等の力を受け止めるため、クランプ装置4にて金属スリーブ3を積極的にロックする係合作用は、鍔部3b又は溝部3dによりなされる(図2及び図3)。
【0056】
第4工程:成形工具による誘導加熱
この第4工程を図4に示す。成形工具5は図4に図示の工程では、光ファイバー束を必要な形成又は成形温度に均一に加熱する加熱素子として作用する。この成形工具5は好ましくはステンレススチールから成り、誘導加熱器6(図1参照)により必要な成形温度に加熱される。典型的な成形温度は約650℃である。成形工具5は、その内部に空洞5a、5b、5cが設けられるように成形され、その下部にある第一の円筒部5aは径が、その上部薄壁部3cに成形されるべき金属スリーブより僅かに大きい。径の差異は好ましくは、1mm以下とする。第一の円筒部5aの長さは典型的には、スリーブ3の内径の半分に等しいが、5mmよりは短くないものとする。この第一の円筒部5aにより、光ファイバー束の後期成形部を軸方向に均一に加熱することが出来る。形成工具はその上側を閉塞して、半径方向に均一に加熱する炉が事実上形成されるようにするのが好ましい。
【0057】
内部空洞の円錐部5bは円筒部5aにつながり、他の又は第二の円筒部5cが円錐部につながれ、これに続く。
【0058】
加熱のため、成形工具5は金属スリーブ3上に有って、金属スリーブ3の薄壁上縁が成形工具5の円錐部5bに接触するように位置付けられる。加熱は、束の中心に有る個々のファイバーが成形に充分な温度になるように行われる。
【0059】
工具の温度は温度測定装置7により測定され、適宜制御される。
【0060】
第5工程:光ファイバー束の個々のファイバーをそれ等の端部で成形、溶融(溶着)
この工程は図1および図4の通り、進行する。工程4内で実行される作用の外に、成形工具5は金属スリーブ3をその上部薄壁部3cにて定径に成形し、且つ光ファイバー束の個々の光ファイバーを相互に溶融し、溶着する。
【0061】
成形工具5には、工程4で用いられる特性以外に、以下のような特性が有る。第一の円筒部5aと円錐部5bとの側面間の角度は、典型例として4〜5゜の範囲にある。これ等の領域の面は硬化され、且つ研磨されていると有利である。円錐部につながる第二の円筒部5cの径は、典型的には成形工程後の光ファイバー束が光ファイバー束の初期径の85%に相当する径をもつように選ばれる。また、成形工具面は第二の円筒部5cにても、硬化され、且つ研磨されている。図4から明らかなように、成形工具5はその上側に空気穴12があり、成形中に圧縮される空気を逃がすようにしている。
【0062】
成形段は以下のように進行する。
工程4で必要な成形温度に達した後、成形工具は軸方向に金属スリーブに押し付けられる。軸方向の工具速度は、1〜20mm/分の範囲、好ましくは4mm/分とする。成形工具5の行程(トラベル)により、異なる長さの溶融域を実現することが出来る。
【0063】
成形行程を終えた後、成形工具5は金属スリーブ3から引き戻され、金属スリーブ3の被成形部が成形工具5の第二の円筒部5cの内側にはもはや無いようにする。
【0064】
第6工程:光ファイバー束の冷却
成形工具5には、工程4及び5に関して述べられた機能以外に、光ファイバー束の加熱成形端部を制御して、且つ低応力で冷却する機能が有る。この冷却段では、成形工具5は、第5工程に関し述べられた位置(区分5cの外側に位置する束の端部)において、所定の温度/時間挙動に従い、温度<<Tg、好ましくは250℃になるようにする。これを行うには、誘導加熱器6(図1)の加熱電力を連続的に低下させる。所定の温度に達した後、成形工具5はその初期位置に戻される。
【0065】
第7工程:光ファイバー束をクランプ装置からの取り外
クランプ装置4を開口した後、光ファイバー束は完成製品として簡単に取り外される。成形工程が完了される。
【0066】
光ファイバー束の端部は次いで、既知の方法により(研削又は研磨にて)加工され、又は仕上げられ、端面の光学的特性を出す。
【0067】
【発明の効果】
記述の方法で製造された光ファイバー束には、接着光ファイバーや前述の方法により溶融される光ファイバーとは対照して、以下の利点が有る。
・スリーブの外径に比例して光学的有効径が高い(比≧0.8)。
・全六角密充填ファイバーとすることにより、全断面に亘って抜群の透過性が得られる。
・大きな束径範囲(1〜30mm)が得られる。
・広範囲の使用可能なスリーブ材(非鉄金属、ステンレススチール)。
・スリーブと光ファイバー以外に、追加部品が必要ない。
・溶融部の長さが自由に選べる。
・個々のファイバーの溶融部における平行度が極めて良好である。
・溶融部の中心度が極めて良い。
・能動的温度監視と成形工具の制御により、プロセス制御の再現性が極めて良い。
・金属スリーブの無い光ガイド束の製造が可能になる(続いての金属スリーブの除去により)。
【0068】
以上、本発明は光ファイバー束の製造方法、この方法により製造された光ファイバー束、及び同方法を実施する装置に具現されるものとして例示且つ記載されたが、本発明の精神を如何ようにも逸脱することなく為せる、その種々の修正及び変更が可能であるから、指摘された詳細に発明が限定されることを意図するものではない。
更なる分析なく、以上は本発明の要旨を、他者が現在の知識を適用することにより、本発明の一般的又は特定の側面の実質的特徴を、従来技術の観点から相応に構成する特徴を省略することなく、それを種々の応用に適合出来る程度まで充分に示すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形工具が光ファイバー束の端部に設置され、クランプ装置に受容されている金属スリーブに挿入された光ファイバー束の概略的断面図である。
【図2】A 金属スリーブの一つの実施例の概略的断面図であり、金属スリーブの一部の被膜を示す。
B 金属スリーブの他の実施例の概略的断面図であり、金属スリーブの一部の被膜を示す。
【図3】A 1本のフィラメント10を補助具として、光ファイバー束を製作する金属スリーブの実施例のある段階を示す。
B 1本のフィラメント10を補助具として、光ファイバー束を製作する金属スリーブの実施例のある段階を示す。
C 1本のフィラメント10を補助具として、光ファイバー束を製作する金属スリーブの実施例のある段階を示す。
【図4】特殊内部形状を有する成形工具の概略的断面図である。
【符号の説明】
1…光ファイバー束、2…光ファイバー、3…金属スリーブ、3a…厚壁部、3b…鍔又は肩部、3c…薄壁部、3d…溝部、4…クランプ装置、5…成形工具、5a…内部空洞、第一の円筒部、5b…内部空洞、円錐部、5c…内部空洞、第二の円筒部、6…誘導加熱器、7…温度測定素子、8…成形力又は引き離し力、9…被膜。
Claims (18)
- 次の工程を含み、単一の金属スリーブ内で、一端が温度と圧力の適用下に変形される多数の個々のガラスファイバーからなる光ファイバー束を製造する方法であって、
(1)個々のガラスファイバーを予め機械的に丸い密充填ファイバー束とした光ファイバー束を、単一の金属スリーブ内に滑り嵌めする工程、ここで該単一の金属スリーブとは、ガラスの変形温度において十分な熱的安定性がある材料からなり、かつその内側は連続的な円形断面を有するものであり、
(2)該光ファイバー束を、該単一の金属スリーブの領域においてクランプ装置で保持する工程、
(3)該単一の金属スリーブの領域において保持された該光ファイバー束の端をその変形温度まで加熱する工程、
(4)該単一の金属スリーブ内にクランプされている該光ファイバーの加熱された端部をプレスして、個々のファイバーは六角充填状態としつつ、金属スリーブは加熱された光ファイバー束と金属スリーブとの間に融着が生じないまま前記六角充填上にプレスされた状態とする工程、
(5)該光ファイバー束の変形された端を冷却する工程、及び、
(6)該光ファイバー束を該クランプ装置から取り外す工程、
該光ファイバー束は、その軸方向に直角に離接可能なクランプ装置によって位置に固定されること、及び
加熱素子としても作用する一つの成形工具が変形温度に達すると、軸方向の下方に移動して該光ファイバー束の固定端に押しつけられること、を特徴とする方法。 - 変形プロセスを受ける領域において、該金属スリーブは内外側に被覆を備え、内側では該変形されるファイバー束と該金属スリーブの内壁間の分離層となり、外側では該金属スリーブと該成形工具との間の潤滑剤となることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 該被覆の材料は、エタノール懸濁窒化硼素である請求項2記載の方法。
- 該被覆は、該金属スリーブを被覆材料に浸漬することを特徴とする請求項2又は3記載の方法。
- 金属スリーブ内へ入れられる前の光ファイバー束の個々のファイバーは、束にするため予め機械的に丸い密充填のファイバー束にされるが、それは金属スリーブ内へ入れられた時、手によって簡単に抜き出し得るか、あるいは自動的に抜き出し得るような状態であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 該金属スリーブ内へ入れられている光ファイバー束の端の加熱は誘導加熱によることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 該変形温度は、600〜700℃であることを特徴とする請求項6記載の方法。
- 該プレスは、予め規定された内部形状を持つ成形工具でなされることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 該光ファイバー束の変形端の冷却は、誘導加熱を徐々に低下して行うことを特徴とする請求項6記載の方法。
- 該成形工具は、該光ファイバー束の変形端を冷却することにも利用されることを特徴とする請求項8又は9記載の方法。
- 該光ファイバー束が該金属スリーブ内へ入れられた後、該金属スリーブの端を突出している個々のファイバーの端は、該金属スリーブの端と面一になるようカットされることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
- 次のものを有する請求項1〜11のいずれか1項による方法を実施するための装置、
(1)光ファイバー束の軸方向に対して直角に移動でき、かつ金属スリーブ(3)に直接 的に作用できるクランプ要素を持つクランプ装置(4)、前記金属スリーブ(3)は、光ファイバー束(1)が予め一緒にされ、金属スリーブ内に入れられて固定位置をなした時に光ファイアバー束(1)を保持するのに十分な熱的安定性を有する材料からなること、
(2)軸方向に移動可能の中空の成形工具(5)であって、変形を加えるため移動方向に変化する直径を備え、金属スリーブ(3)へ入れられた光ファイバー束(1)の固定端へ外嵌することができ、誘導加熱の役割を有し、そしてその内部形状は、この成形工具の変形のための移動によって、光ファイバーの端が金属スリーブ内で押し込まれるようになっていること。 - 成形工具の内部形状は、その開放端から始まって、まず円筒断面(5a)であり、その直径は光ファイバー束の端を収容した金属スリーブ(3)の円筒領域(3c)の外形よりわずかに大きいものであり、次に第2の円筒断面(5c)があり、その直径は変形されるべき光ファイバー束の必要な直径に対応することを特徴とする請求項12記載の装置。
- 円筒断面の各表面は硬化され、かつ研磨されていることを特徴とする請求項13記載の装置。
- 第2の円筒断面の直径は、光ファイバー束の束用の金属スリーブ(3)の最初の直径部の約85%であることを特徴とする請求項13又は14記載の装置。
- 該成形工具(5)はカップ形状であり、このカップ基部において口(12)を開いていることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の装置。
- 成形工具は磁気ステンレススチールを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項記載の装置。
- 変形温度を設置するために温度制御装置(7)が用意されていることを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項記載の装置。
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