JP3866780B2 - タービン用燃焼器及びタービン用燃焼器からのco排出量を低減させる方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、タービン用燃焼器に関し、特に、冷却及び希釈空気と高熱燃焼ガスとの混合を改良することにより、燃焼プロセスからのNOx 、CO及び未燃焼炭化水素等の大気汚染物を低減させる装置及び方法に関する。更に詳しくは、本発明は、高熱燃焼ガスのコア流れへの希釈空気の侵入度を大きくすると共に、希釈空気入口の下流で流れ渦を導入することにより、ガスタービン燃焼器における空気力学的混合を向上させる装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービン用の乾式低NOx 燃焼器の一例では、複数の一次燃料ノズルを含んでいる燃焼器本体が設けられており、複数の一次燃料ノズルは、燃焼器本体の一端で中心二次燃料ノズルの周りに配設されている。燃焼器本体は更に、ノズルの下流に設けられているベンチュリと、反応空間を画定している燃焼ライナと、希釈空気を導入する希釈面とを含んでおり、ベンチュリを冷却するためにベンチュリ壁の周りに冷却空気流れが供給されている。この冷却空気は、ベンチュリの下流で燃焼器の反応空間に流入する。又、燃焼系から出るガスの温度プロファイルを整形すると共にCO焼失領域を形成する目的で、希釈区域において燃焼器のライナに希釈孔が形成されている場合が多い。燃焼器の反応空間では、ガスタービン燃焼系から排出される望ましくない汚染物である一酸化炭素(CO)が高温で系内の空気と反応して、二酸化炭素(CO2 )を形成する。例えば、COは約1800°F以上の温度で反応してCO2 になるが、一般にその温度以下では反応しない。代表的には、高熱燃焼ガスは、燃焼器内を軸線方向にコア流れとして流れ、約2400°Fの温度に達する。従って、この高温の当然の結果として、コア流れではCOからCO2 への反応(CO→CO2 の反応)が起こる。
【0003】
圧縮機吐出し空気は典型的には、希釈空気流用としてのみでなく、燃焼器用の冷却空気源として用いられており、圧縮機吐出し空気の燃焼器入口での温度は、約600°F〜700°Fである。保炎器の周りのベンチュリの壁を冷却するための冷却空気は通常、環状流れの形態で燃焼ライナに流入する。その結果、高熱燃焼ガスが第1段ノズルに向かって流れる際に、中心に位置している高熱燃焼ガスのコア流れの周りに、比較的低温の空気流の環状領域が存在する。更に、燃焼器ライナの希釈孔又は開口を通して入口で導入された冷却空気は、燃焼器の出口温度を下げて有利ではあるが、その冷却空気は典型的には、流れの比較的高温のガスと完全に混ざることなく、流れの比較的低温の領域に留まる。その結果、低温領域又は縞が反応空間に生じる。即ち、冷却及び/又は希釈空気が、一酸化炭素がガス流内の酸素と反応して相対的に望ましい二酸化炭素排気を形成することを可能にするには不十分な温度の流れ領域を形成する。要するに、比較的低温の流れではCO→CO2 反応が抑制される。その比較的低温のガス流れ領域又は縞内のCOは、上述の反応が起こるのに必要な高温に達しないからである。
【0004】
【発明の概要】
本発明によれば、ブラフ・ボディを成している希釈流れスリーブがライナの内方に侵入し、希釈空気流を高熱燃焼ガスのコア流れに送り込み、又、ブラフ・ボディ・スリーブの下流伴流に流れ渦を導入し、これにより希釈空気及び冷却空気を高熱の燃焼ガスとよく混合して、CO→CO2 反応の抑制を回避する。これを達成するために、本発明の燃焼器は、当該燃焼器本体の一端に燃料ノズルが設けられている燃焼器本体と、火炎を確立するためのベンチュリと、反応空間(又は体積)を画定しているライナと、ベンチュリの下流に位置しており、希釈空気を高熱燃焼ガス内に導入する希釈面とを有している。希釈空気はスリーブを通して導入されるが、このスリーブはライナから内方に突出しているので、スリーブから出る希釈空気は高熱燃焼ガスのコア領域に侵入する。このようにして、希釈空気を高熱コア燃焼ガスと完全に混合する。こうして混合物は、CO→CO2 反応が生じるのに十分な高い温度に達する。即ち、冷却用希釈空気は、混合プロセスによりその温度がCO→CO2 反応の抑制をなくすのに十分な高さに上昇するように、反応空間に導入される。その上、ベンチュリからの冷却空気は希釈空気導入スリーブの周りに流れ、スリーブの下流に渦を形成する。これらの渦により、冷却空気と高熱燃焼ガスとの混合が促進される。このように、反応空間にわたっての且つ反応空間全域の温度の段階変化が最小限に抑えられ、又、混ざり合った高熱燃焼ガス及び冷却空気の温度は、CO→CO2 反応を進行させるのに十分な高温である。
【0005】
具体的には、燃焼器本体内の反応空間は、希釈区域によって分離されている第1及び第2の反応区域を含んでいるものとして特徴付けられる。希釈区域の上流の第1の反応区域では、高熱燃焼ガスのコア流れが、冷却空気の比較的低温の環状層によって本質的に囲まれた状態で下流に流れる。高熱燃焼ガスのコアと、冷却空気とは、互いに混ざり合わない。希釈区域の下流の第2の反応区域では、希釈空気が侵入スリーブを通して高熱コア燃焼ガス内に直接流入する結果として、又、スリーブ自身の下流に渦を生成するブラフ・ボディ効果の結果として、混合は実質的に完全且つ完璧である。従って、冷却空気環状流れと、希釈空気との主たる混合は、渦及び希釈空気の燃焼ガスのコア流れへの侵入によってそれぞれ行われている。いずれの場合も、この完全な混合作用により、流れ内に(完全な混合を行わなければ、CO→CO2 反応が進行するのに必要な温度よりも低い温度となる。)比較的低温の区域が形成されるのを防止するか又は最小限に抑える。
【0006】
本発明の好適な実施例で提供されるタービン用燃焼器は、燃焼器本体と、燃焼器本体に燃料を供給するノズルとを備えている。燃焼器本体は、燃料ノズルの下流に燃焼ライナを含んでおり、燃焼ライナは、高熱の燃焼ガスの全体的に軸線方向に延在しているコア流れを取り囲む反応空間を画定している。燃焼器は更に、ライナから内側へ反応空間内に延在していている少なくとも1つの流れスリーブを含んでおり、流れスリーブは、コア流れに希釈空気を供給して、CO→CO2 反応を促進し、これによりCO排出量を低減させる。
【0007】
本発明の他の好適な実施例で提供される燃焼器内での燃焼からのCO排出量を低減させる方法は、反応空間を画定している燃焼器ライナを含んでいる燃焼器本体と、燃焼器本体に燃料を供給するノズルとを備えたタービン用燃焼器において、希釈空気を反応空間に供給する工程と、希釈空気を反応空間内で高熱燃焼ガスのコア流れと十分に混合して、希釈空気の温度を上げ、高熱ガス流内でのCO→CO2 反応の抑制を実質的に排除する工程とを含んでいる。
【0008】
従って、本発明の主たる目的は、冷却空気、希釈空気及び高熱燃焼ガスの混合を増大させて、CO→CO2 反応の抑制を防止し、こうしてタービンへの排気レベルを改良した、ガスタービン装置及び方法を提供することにある。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の具体的な構成を図面に示す実施例について説明する。
図1に、本発明に従って構成されている乾式低NOx 燃焼器を参照番号10で総称して示す。燃焼器10は、ライナ14を有している燃焼器本体12と、一次燃料ノズル16及び二次燃料ノズル18と、ベンチュリ20と、ベンチュリ20及びライナ14の内側に設けられている反応空間22とを含んでいる。ノズル16及び18には燃料が供給され、高熱の燃焼ガスが反応空間内で発生し、全体的に軸線方向下流にタービンの第1段(図示していない)へ流れる。
【0010】
冷却空気がベンチュリ20の外壁に沿って供給される。この冷却空気は、圧縮機(図示していない)の吐出し側から供給され、ベンチュリ20の周りの環状部に流れ、燃焼器本体12及びライナ14の壁に隣接して全体的に環状形状にて反応空間に流入する。圧縮機吐出し空気の一部は、反応空間内の希釈面又は区域に希釈空気を供給するために用いられている。希釈面は、希釈空気入口、即ちスリーブによって画定されており、希釈面の両側に、希釈面より上流の第1の反応区域24と、希釈面より下流の第2の反応区域26とが画定されている。一般に、希釈面より上流の反応空間22内の第1の反応区域24は、高熱燃焼ガスの高温コアと、ベンチュリ20からの冷却空気の比較的低温の包囲環状流れとを含んでいる。これら2つの流れは、ある程度は混ざり合うが、この第1の反応区域にCO→CO2 反応を妨げる温度勾配及び低温縞(cold streaks)が生じるのを回避するのに十分なほどには混ざり合わない。
【0011】
本発明によれば、希釈面の下流の第2の反応区域26は、実質的に完璧に混合された高熱燃焼ガスと、ベンチュリからの冷却空気流と、反応空間へ導入された希釈空気とを含んでいる。これらの流れは希釈面の下流の第2の反応区域で完全に混ぜ合わされるので、第2の反応区域では流れの温度勾配が最小になる。従って、第2の反応区域において混合ガスに生じるおそれのある比較的低温の領域、即ち低温縞は、CO→CO2 反応の抑制をなくすのに概して十分な温度となる。
【0012】
ベンチュリ20からの冷却空気流れ及び希釈空気流れを反応空間22内の高熱燃焼ガスと完全に混合するために、本発明によれば、希釈空気流れ入口スリーブ28が設けられている。スリーブ28は、CO→CO2 反応の抑制を防止するのに十分に上昇した混合物温度における希釈空気と高熱コアガスとの直接混合を可能にするのに十分な距離だけ、希釈空気を内方へ燃焼器の中心軸に向けて侵入させることができる。これを達成するために、スリーブ28は半径方向内方へ、スリーブ28の出口が高熱コアガス流の縁近くに位置するような距離だけ突出していることが好ましく、こうして、希釈空気を燃焼器の高熱燃焼ガスの軸線方向コア流れと完全に混合させることができる。即ち、希釈空気が比較的低温の区域をライナの壁にすぐ隣接して下流に流れるのを防止する。尚、図示の例では、全体的に半径方向内向きの3つの円筒形スリーブ28が燃焼器本体の円周に沿って円周方向に間隔をあけた位置に配置されているが、空気を希釈面に供給するためにスリーブ28の数を多くしても又は少なくしてもよく、スリーブ28は燃焼器本体の周りに円周方向に等間隔だけ隔てた位置に設けられていることが好ましい。スリーブ28は、断面が円筒形であることが好ましいが、他の断面形状としてもよい。スリーブの向きは、スリーブを通して入ってくる希釈空気流れが円周方向及び/又は軸線方向の成分を有するような向きとしてもよい。更に、スリーブを軸線方向に間隔をあけて配置して、より広い希釈面を画定してもよい。
【0013】
スリーブ28は、空気力学的流れにブラフ・ボディ(非流線形物体)を形成していることが理解されよう。周知のように、直交流内の円筒形ブラフ・ボディは、ボディの下流伴流にボルカーマン(Vorrkarman)渦層を形成する。これらの渦を参照番号30で示す。その結果、燃焼器本体の壁に沿ってスリーブ28を通過する全体的に環状の冷却流れは、渦と高熱燃焼ガス流との相互作用により、スリーブの下流で高熱燃焼ガスと完全に混ざり合う。
【0014】
従って、希釈空気を希釈面に供給する半径方向に突出しているスリーブは、冷却空気流及び希釈空気流の両方を高熱燃焼ガスと完全に混合する作用を成し、希釈面の下流の第2の反応区域における、タービンの第1段ノズルに向けて流れる混合高熱ガスの温度均一性を高める。冷却空気流及び希釈空気流を高熱燃焼ガスと完全に混合させることにより、流れ内の低温縞が最小限に抑えられ、又、完全に混合されたガスの温度は、CO→CO2 反応の抑制を実質的に排除するのに十分な且つ均一な高温であり、これにより、CO排出量を最小にするか又はなくす。
【0015】
以上、本発明を現在最も実用的且つ好適と考えられる実施例について説明したが、本発明は、例示の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内に含まれる種々の変更例及び均等な配置を包含している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成されている燃焼器の概略図である。
【図2】図1の2−2線方向に見た断面図である。
【符号の説明】
10 燃焼器
12 燃焼器本体
14 ライナ
16、18 燃料ノズル
20 ベンチュリ
22 反応空間
24 第1の反応区域
26 第2の反応区域
28 スリーブ
Claims (6)
- 反応空間に燃料を供給するノズルと、
前記ノズルの下流に配置され、軸線方向に延在している高温の燃焼ガスのコア流れを取り囲み、前記反応空間を画定している燃焼ライナと、
前記燃焼ライナから内側へ前記反応空間内に延在しており、前記コア流れに希釈空気を供給する少なくとも1つの流れスリーブと、
前記スリーブの上流に設けられているベンチュリと、
該ベンチュリを冷却するために前記燃焼器本体の周囲に沿って前記スリーブに向かう冷却空気の流れを供給する手段と、
を備え
前記スリーブは、前記反応空間を上流の第1及び下流の第2の反応区域に分け、前記第1の反応区域は比較的未混合の環状の冷却空気と高熱燃焼ガスのコア流れとを含み、前記第2の反応区域は前記冷却空気及び前記希釈空気を前記コア流れと十分に混合してCO→CO2反応の抑制を排除する、タービン用燃焼器。 - 前記スリーブは、該スリーブの下流で前記反応空間を通るガスの流れに流れ渦を生成するように該反応空間内に突出している請求項1に記載の燃焼器。
- 前記スリーブは、前記コア流れの軸線に向かって半径方向内方に突出している円筒形スリーブを含んでいる請求項1又は2に記載の燃焼器。
- 燃焼ライナから内側に延在したスリーブで分けられた上流の第1及び下流の第2の反応空間を画定している燃焼器ライナを含んでいる燃焼器本体と、前記第1の反応空間に燃料を供給するノズルとを有しているタービン用燃焼器において、該タービン用燃焼器からのCO排出量を低減させる方法であって、
前記スリーブの上流に設けられているベンチュリと、該ベンチュリを冷却するために前記燃焼器本体の周囲に沿って前記スリーブに向かう冷却空気の流れを供給する手段により、前記第1の反応空間に高熱燃焼ガスのコア流れを包囲する環状冷却空気を供給する工程であって、前記環状冷却空気と前記高熱燃焼ガスは比較的未混合である、前記環状冷却空気を供給する工程と、
前記スリーブを介して反応空間に且つ高温の燃焼ガスのコア流れに、希釈空気を供給する工程と、
前記第2の反応空間で、前記希釈空気を前記反応空間内で高熱燃焼ガスのコア流れと十分に混合して、前記希釈空気の温度を上げ、高熱ガス流内でのCO→CO2反応の抑制を排除する工程とを備えたタービン用燃焼器からのCO排出量を低減させる方法。 - 前記希釈空気を供給する工程は、スリーブを高熱燃焼ガスの流れに侵入させて、前記希釈空気を高熱燃焼ガスの前記コア流れに流入させる工程を含んでいる請求項4に記載の方法。
- 前記ライナに冷却空気を供給する工程と、該冷却空気を前記スリーブを越えて流し、渦を発生させて、前記冷却空気と前記高熱燃焼ガスとの混合を促進する工程とを含んでいる請求項5に記載の方法。
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