JP3865367B2 - 表面形状検出器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面形状検出器に関し、特に、指の表面に形成された指紋の形状パターン等を検出することができる表面形状検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるIT産業の進展に伴って、携帯情報端末、携帯電話等をネットワークに接続して使用するネット接続人口が増加しており、このようなネットワークに接続された携帯情報端末等を利用した株式取引等の電子商取引が急速に普及しつつある。携帯情報端末等を利用した電子商取引においては、第3者による不正取引を防止する必要があり、セキュリティ技術への関心が高まってきている。このために、指紋を認証することができる指紋認証機能を、このような携帯情報端末等に搭載する要求が増加してきている。さらに、機密性の高い情報を扱うことが多い金融機関、警察等の公共機関においても、この指紋認証機能を搭載したパソコンの利用が進んでいる。
【0003】
このような指紋認証機能を搭載した機器に用いられる表面形状検出器では、指紋を検出する方式として、「光学方式」、「圧力方式」および「静電容量方式」等が考案されている。
【0004】
「光学方式」は、指紋の凹凸に基づく光の明暗差をフォトダイオード(あるいはフォトトランジスタ)によって電荷情報に変換して検出する方式である。この光学方式は、光源が必要になるので、検出器を薄型化することが困難である。さらに、フォトダイオードを検出素子の中に作り込む必要があるので、検出素子の構造が複雑になる。
【0005】
「圧力方式」は、指紋の凹凸に基づく圧力差を電気的に検出する方式である。この場合、圧力差を検出する検出素子に用いる感圧シートが、指紋の凹凸に応じて変形する必要があり、検出素子の表面における硬度を上げることができない。このため、この圧力方式は、爪による引っ掻き等に対する耐傷性が弱い。
【0006】
「静電容量方式」は、凹凸を有する指紋と検出器との間の距離に応じて変化する静電容量を電気的に検出する方式である。この静電容量方式は、前述した問題を持ち合わせていないので、有望な方式である。すなわち、光源が不要であるために検出器を薄型化することが容易であり、かつ、表面保護層(パッシべーション膜)を適切に選択することによって、耐傷性を向上させることができる。
【0007】
図8を参照しながら、この静電容量方式を用いた従来の表面形状検出器90を説明する。この表面形状検出器90は、基板95を有しており、この基板95上には、所定の間隔を空けて互いに平行に形成された図示しない複数の走査線と、この走査線に対して直交するように所定の間隔を空けて互いに平行に形成された複数の信号線96とが設けられている。複数の走査線と複数の信号線96との交点のそれぞれに対応する位置には、トランジスタ等によって構成されるスイッチング素子92が設けられている。これらの走査線、信号線96およびスイッチング素子92によって、アクティブマトリクスアレイ93が構成されており、このアクティブマトリクスアレイ93の上には、検出電極91が各スイッチング素子92に対応する位置にマトリックス状に設けられている。各検出電極91は、アクティブマトリクスアレイ93の全面を覆うように絶縁膜(パッシベーション膜)94にて覆われており、絶縁膜94は、被検出物体97と接触可能になっている。被検出物体97は、例えば、表面形状検出器90が指紋を検出する指紋検出器であるときは、人間の皮膚である。
【0008】
このような構成を有する表面形状検出器90においては、被検出物体97が絶縁膜94に接触すると、この被検出物体97とマトリックス状に配置された各検出電極91との間に、2次元的に分布する静電容量が発生する。この2次元的に分布した各静電容量の値をアクティブマトリクスアレイ93によって電気的に読み出すと、被検出物体97の表面に形成された微細な凹凸形状のパターンを検出することができる。アクティブマトリクスアレイ93としては、半導体基板上に形成されたMOSトランジスタアレイ、絶縁基板上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)等を用いることができる。
【0009】
このような静電容量方式を用いた表面形状検出器90において、各静電容量の値を安定して検出するためには、検出時において、被検出物体97に帯電した静電気を放電し、例えば、グランド(GND)レベル等の所定の電位に被検出物体97の電位を固定することが好ましい。このために、例えば、特開平4−231803号公報(米国特許5、325、442号)および特開平8−305832号公報には、絶縁膜上に検出電極とは別の接地電極を設ける構成が開示されている。
【0010】
図9(a)および図9(b)は、それぞれ、特開平4−231803号公報に開示されている表面形状検出器の平面図である。この公報に開示された表面形状検出器は、図9(a)に示すように、マトリックス状に配置された各検出電極114の上に設けられた絶縁膜上において、各検出電極114の行間および列間に対応する領域に、金属膜導体153を設ける構成になっている。図9(b)は、検出電極114の行間に対応する領域にのみ金属膜導体153を設ける構成を示している。金属膜導体153は、被検出物体である指が接触すると、その指の電位をグランドレベルに接地する。
【0011】
図10は、前述した特開平8−305832号公報に開示されている表面形状検出器の断面斜視図である。この公報に開示された表面形状検出器では、基板301上にトランジスタ303がマトリックス状に配置されており、各トランジスタ303にそれぞれ接続された検出電極302が絶縁膜310にて被覆されている。そして、絶縁膜310上には、各検出電極302の行間および列間に対応する領域に、メッシュ電極(金属電極)311が設けられている。このメッシュ電極311は、被検出物体である指が接触すると、その指に帯電した電荷を放出し、この指の電位をグランドレベルに固定する。
【0012】
図9(a)および図9(b)に示す金属膜導体153および図10に示すメッシュ電極311のように、被検出物体に帯電した静電気を放電することを目的として設けられた電極を「放電用電極」とする。
【0013】
前述した特開平4−231803号公報および特開平8−305832号公報においては、絶縁膜(パッシべーション膜)上に配設された放電用電極の作用により、人間の指等の被検出物体に帯電した静電気を放電することができるので、例えばグランドレベル等の所定の電位に被検出物体の電位を容易に固定することができ、被検出物体と各検出電極との間の静電容量の値を安定的に検出することができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、数キロボルト(KV)といった大きな静電気が被検出物体に帯電していると、この数KVといった大きな静電気が放電用電極に放電される過程において、この放電用電極に多大な電圧が印加される。この結果、放電用電極の近傍に配置されたトランジスタ等のスイッチング素子が静電破壊されるおそれがある。例えば、前述した図10に示されるように、放電用電極であるメッシュ電極311のすぐ下にトランジスタ303が配置されている場合には、メッシュ電極311に多大な電圧が印加されると、このトランジスタ303が静電破壊されるおそれがある。
【0015】
本発明は係る課題を解決するためになされたものであり、その目的は、放電用電極に多大な電圧が印加された場合であっても、スイッチング素子の静電破壊を最小限に留めることができる表面形状検出器を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る表面形状検出器は、マトリックス状に配置されており、被検出物体との距離に応じた静電容量を検出するために該被検出物体が接触する絶縁膜にて覆われて設けられた複数の検出電極と、前記各検出電極にそれぞれ接続されたスイッチング素子と、該スイッチング素子のそれぞれからの出力に基づいて前記静電容量をそれぞれ計測する読み出し回路と、(2N−1)行目または(2N−1)列目(Nは1以上の整数)に配置された前記検出電極のそれぞれと、2N行目または2N列目に配置された前記検出電極のそれぞれとの間に対応する位置に配置されて、前記被検出物体に導通して該被検出物体の静電気を放電させる放電用電極とを具備し、前記各スイッチング素子は、該スイッチング素子のそれぞれに接続された前記検出電極における、該検出電極に近接して配置された前記放電用電極に対して遠方側の側縁部に対応する位置にそれぞれ配置されていることを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0017】
前記放電用電極は、前記絶縁膜の上に形成されていてもよい。
【0018】
前記各スイッチング素子が層間絶縁膜にて覆われており、前記各検出電極と前記各放電用電極とは、該層間絶縁膜の上に形成されて、前記各放電用電極が、前記各検出電極とともに、前記絶縁膜で覆われていてもよい。
【0019】
前記各放電用電極には、前記絶縁膜の表面に露出する導電パッドがそれぞれ接続されていてもよい。
【0020】
前記各スイッチング素子および前記放電用電極は、同一層内に形成されており、前記各スイッチング素子と前記各放電用電極とが層間絶縁膜によって覆われており、前記各放電用電極には、該層間絶縁膜および前記絶縁膜を貫通する導電パッドが設けられていてもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本実施の形態を図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る表面形状検出器は、例えば、人間の指の表面に形成された指紋のパターンを静電容量方式を用いて検出する。
【0023】
図1は、本実施の形態に係る表面形状検出器100の模式断面図、図2は、この表面形状検出器100の平面図、図3は、図2のA−A線に沿った断面図である。この表面形状検出器100は、ベース基板9と、マトリックス状に配置された複数の検出電極1とを有している。以下、説明を簡潔にするために、4行×4列の検出電極1が設けられている例を説明する。
【0024】
図2に示すように、マトリクス状に配置された各検出電極1は、それぞれ略正方形状に形成されている。図3に示すように、ベース基板9上には、各検出電極1に接続されたスイッチング素子2がそれぞれ設けられている。各スイッチング素子2は、薄膜トランジスタ(TFT)等のトランジスタによって構成されている。
【0025】
1行目および3行目に配置された各検出電極1にそれぞれ接続されるスイッチング素子2は、接続された各検出電極1の一方のコーナー部(図2において、右上のコーナー部)に対応する位置にそれぞれ設けられている。ベース基板9上には、1行目および3行目の検出電極1にそれぞれ接続された各スイッチング素子2の近傍に、行方向に沿って走査線14がそれぞれ設けられており、各走査線14は、各走査線14の近傍にて行方向に沿って配置されたすべてのスイッチング素子2に接続されている。従って、1行目および3行目の各検出電極1に沿って配置された各走査線14は、2行目および4行目の各検出電極1の遠方側の側縁部に沿ってそれぞれ配置されている。
【0026】
2行目および4行目に配置された各検出電極1にそれぞれ接続されるスイッチング素子2は、接続された各検出電極1の一方のコーナー部(図2において、右下のコーナー部)に対応する位置にそれぞれ設けられている。ベース基板9上には、2行目および4行目の検出電極1にそれぞれ接続された各スイッチング素子2の近傍に、行方向に沿って走査線15がそれぞれ設けられており、各走査線15は、各走査線15の近傍にて行方向に沿って配置されたすべてのスイッチング素子2に接続されている。従って、2行目および4行目の各検出電極1に沿って配置された各走査線15は、1行目および3行目の各検出電極1の遠方側の側縁部に沿ってそれぞれ配置されている。
【0027】
ベース基板9上には、列方向に沿って配置されたすべての検出電極1にそれぞれ接続されたスイッチング素子2の近傍に、列方向に沿って信号線16がそれぞれ設けられている。各信号線16は、各信号線16の近傍にて列方向に沿って配置されたすべてのスイッチング素子2に接続されている。従って、各信号線16は、列方向に沿って配置された各検出電極1の一方の側縁部(図2において、右側の側縁部)に沿ってそれぞれ配置されている。このように、各信号線16と各走査線14、15とは、ベース基板9上において所定の格子状に配設されており、各信号線16と各走査線14、15とのそれぞれの交点の近傍に各スイッチング素子2がそれぞれ配置されている。
【0028】
このように、ベース基板9上には、走査線14、15、信号線16およびスイッチング素子2が形成されている。これらの走査線14、15、信号線16およびスイッチング素子2によって、アクティブマトリックスアレイ17が構成されている。
【0029】
ベース基板9上には、アクティブマトリックスアレイ17を覆うように層間絶縁膜12が設けられており、層間絶縁膜12上には、検出電極1がマトリックス状に設けられている。
【0030】
1行目および3行目のスイッチング素子2および走査線14は、2行目および4行目の各検出電極1の遠方側にそれぞれ偏った位置に配置されており、2行目および4行目のスイッチング素子2および走査線15は、1行目および3行目の各検出電極1の遠方側に偏った位置に配置されている。
【0031】
各検出電極1は、絶縁膜10によって覆われており、絶縁膜10上には、1行目に配置されたすべての検出電極1と2行目に配置されたすべての検出電極1との間、および3行目に配置されたすべての検出電極1と4行目に配置されたすべての検出電極1との間に対応して、放電用電極7が行方向に沿って互いに平行にそれぞれ設けられている。このように、放電用電極7は、隣接する2行の検出電極に対して1本の割合で、対応する2行の検出電極1間に対応してそれぞれストライプ状に設けられている。各放電用電極7は、表面形状検出器100の外部に引き出され、グランドレベルに接地されている。
【0032】
このように、各スイッチング素子2および走査線14,15は、すべての検出電極1(画素電極)に対して同一の位置関係を有するように配置されているのではなく、各スイッチング素子2は、放電用電極7から可能な限り離れた位置に、すなわち、各スイッチング素子2が接続された検出電極1において放電用電極7の遠方側であって、各検出電極1において同じ側に位置する1つのコーナー部にそれぞれ対向する位置に配置されている。
【0033】
次に、図3に基づいて、各検出電極1およびスイッチング素子2の構成をさらに詳細に説明する。ベース基板9は、絶縁性を有しており、例えば、ガラス基板によって構成されている。絶縁性基板であるガラス基板は、従来のMOSプロセスに用いるシリコン(Si)基板と比べて特に安価である。絶縁性基板は、Si基板と比べて大きな面積を有する基板を容易に作製することができる。従って、1枚の大きな面積を有するべース基板から多数の検出素子(検出電極)を形成することができるので、Si基板をベースにした従来の表面形状検出素子(指紋センサ等)に比べて、検出素子1個当りの価格を安価に製造することができる。
【0034】
このベース基板9上に設けられた各スイッチング素子2は、ベース基板9上に設けられた走査線14または走査線15と接続されたゲート電極3と、信号線16に接続されたソース電極4と、ドレイン電極5とをそれぞれ有している。ゲート電極3は、Ta、Al、ITO等の導電膜によって所定のパターンになるように、ベース基板9上に形成されている。ベース基板9上のほぼ全面には、ゲート電極3を覆うように、ゲート絶縁膜6が形成されている。ゲート絶縁膜6は、SiNxやSiOx等によって構成されている。
【0035】
ゲート電極3の上方には、このゲート絶縁膜6を介して、TFTのチャネル部となる図示しないチャネル層と、ソース電極4とドレイン電極5とのコンタクトを図るための図示しないコンタクト層とが形成されている。このチャネル層およびコンタクト層は、アモルファスシリコン(a−Si)またはポリシリコン(p−Si膜)によって、所定のパタ一ンになるように形成されている。コンタクト層の上には、Ta、Al、ITO等の導電膜によって、所定のパターンになるように、ソース電極4およびドレイン電極5がそれぞれ形成されている。ソース電極4は、ゲート絶縁膜6上に設けられた信号線16に接続されている。
【0036】
走査線14、15、信号線16およびスイッチング素子2の上には、ベース基板9上のほぼ全面を覆うように、層間絶縁膜12が設けられている。層間絶縁膜12は、感光性アクリル樹脂、感光性ポリイミド樹脂等によって構成されており、スピナー等の塗布装置を用いて厚さ約3μmに成膜されている。層間絶縁膜12には、ドレイン電極5が露出するように、コンタクトホール13が形成されている。このコンタクトホール13は、層間絶縁膜12を貫通する微細な孔である。
【0037】
各検出電極1は、層間絶縁膜12の上に形成されている。この検出電極1は、層間絶縁膜12に形成されたコンタクトホール12内にてドレイン電極5と接続するように、スイッチング素子2を覆うように形成されている。
【0038】
層間絶縁膜12上には、各検出電極1を覆うように、絶縁膜(パッシベーション膜)10が、層間絶縁膜12上の略全面にわたって形成されている。図1に示すように、絶縁膜10の上には、その表面に凹凸が形成された被検出物体18が接触できるようになっている。この絶縁膜10は、無機系の絶縁膜、有機系の絶縁膜等の各種絶縁膜によって構成されている。例えば、SiNx、Ta2O5、TiO2、SiO2等から成る膜を、0.2μm〜5μmの厚みに形成して使用することができる。
【0039】
放電用電極7は、絶縁膜10の上に、隣接する2行の検出電極1ごとに、隣接する2行の検出電極1の間に対応した位置に形成されており、従って、放電用電極7は、各検出電極1と重ならないように配置されている。この放電用電極7は、Ta、Ti、Al、Mo、Ni等の金属膜によって構成されている。
【0040】
図1に示すように、各信号線16には、読み出し回路19が接続されており、各検出電極1が検出した静電容量が、読み出し回路19によって計測される。
【0041】
このような構成を有する表面形状検出器100においては、図1に示すように被検出物体18が絶縁膜10の表面に接触すると、この被検出物体18と各検出電極1との間に、絶縁膜10の静電容量Cyが発生し、被検出物体18の表面に形成された凹凸に応じて被検出物体18と絶縁膜10との間の空気層において結合容量Czが発生する。
【0042】
各走査線14および15を列方向に沿って交互に順次走査して各スイッチング素子2を制御することによって、すべての検出電極1から被検出物体18と各検出電極1との間の静電容量の値を読み出すことができる。各検出電極1から検出される容量値Coutは、
Cout=(Cx+Cy×Cz)/(Cy+Cz)、
となる。
【0043】
ここで、
Cy:絶縁膜10の容量、
Cz:被検出物体18と絶縁膜10との間の空気層における結合容量、
Cx:検出電極1において発生する寄生容量、
である。従って、検出される容量値Coutが最大になるのは、空気層における結合容量Czが無限大になるとき(Cz→∞)であり、このときの容量値Cout(max)は、
Cout(max)=Cy、
となる。検出される容量値Coutが最小になるのは、空気層における結合容量Czがゼロになるとき(Cz→0)であり、このときの容量値Cout(min)は、
Cout(min)=Cx/Cy、
となる。
【0044】
このように、各検出電極1から検出される容量値Coutは、被検出物体18の表面の凹凸に応じて発生する結合容量Czに応じた値をとるので、各検出電極1から容量値Coutの2次元分布情報を読み出すことによって、被検出物体18の表面形状(凹凸パターン)を得ることができる。
【0045】
この静電容量値の2次元分布を正確に検出するためには、被検出物体18の電位が被検出物体18のどの場所においても同じ電位であることが必要である。また、再現性のよい検出結果を得るためには、被検出物体18の電位が、各検出時において常に同じ電位であることも必要である。さらに、被検出物体18が大きな静電気を有している場合には、被検出物体18が接触することによって、放電用電極7に多大な電圧が印加され、スイッチング素子2が静電破壊するおそれがあるので、被検出物体18が検出電極1に近づく際に、被検出物体18の静電気を放電して被検出物体18の電位を一定にする必要がある。絶縁膜10の上に設けられ、グランドレベルに接地された放電用電極7は、被検出物体18と接触すると、被検出物体18の静電気を放電(あるいは充電)し、被検出物体18の電位が被検出物体18のどの場所においても同じ電位であり、かつ各検出時において常に同じ電位に固定する。
【0046】
1行目に配置された検出電極1にそれぞれ接続されるスイッチング素子2は、接続された各検出電極1の右上のコーナー部に対応する位置にそれぞれ設けられており、この位置は、1行目と2行目との検出電極1の間に対応して設けられた放電用電極7から十分離れているので、この放電用電極7に多大な電圧が印加された場合であっても、これらのスイッチング素子2は静電破壊されるおそれがない。同様に、2行目に配置された検出電極1にそれぞれ接続されるスイッチング素子2は、接続された各検出電極1の右下のコーナー部に対応する位置にそれぞれ設けられており、この位置は、1行目と2行目との検出電極1の間に対応して設けられた放電用電極7から十分離れているので、この放電用電極7に多大な電圧が印加された場合であっても、これらのスイッチング素子2は静電破壊されるおそれがない。3行目および4行目に配置されたスイッチング素子2についても、同様に、3行目と4行目との検出電極1の間に対応して設けられた放電用電極7に多大な電圧が印加された場合であっても、これらのスイッチング素子2は静電破壊されるおそれがない。
【0047】
なお、1行目および3行目に配置された検出電極1にそれぞれ接続されるスイッチング素子2が、接続された各検出電極1の右上のコーナー部に対応する位置にそれぞれ設けられ、2行目および4行目に配置された検出電極1にそれぞれ接続されるスイッチング素子2が、接続された各検出電極1の右下のコーナー部に対応する位置にそれぞれ設けられる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。各スイッチング素子2は、被検出物体18が静電気を放電した結果、放電用電極7に印加される電圧によってスイッチング素子2が静電破壊されない程度に、放電用電極7から十分離れた位置に配置されていればよい。例えば、放電用電極7を列方向に沿って設け、設けられた放電用電極7の遠方側に位置するようにスイッチング素子2を列方向に沿った各検出電極1に対して片寄らせて配置してもよい。
【0048】
本実施の形態においては、説明を簡潔にするために、4行×4列の検出電極1が設けられており、1行目に配置されたすべての検出電極1と2行目に配置されたすべての検出電極1との間、および3行目に配置されたすべての検出電極1と4行目に配置されたすべての検出電極1との間に対応させて、放電用電極7が行方向に沿ってそれぞれ設けられている例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、P行×Q列の検出電極1を設け(PおよびQは、それぞれ4よりも大きい整数)、放電用電極は、(2N−1)行目(Nは1以上の整数)に配置された各検出電極と2N行目に配置された各検出電極との間に配置するようにしてもよい。
【0049】
この表面形状検出器100を指紋センサとして使用する場合は、マトリクス状に配置された複数の検出電極(画素電極)1の密度を200ppi〜600ppiとし、指紋を検出することができるアクティブ領域(画素となる検出電極1がマトリックス状に配置された領域)がl0mm×10mm〜30mm×30mmになるように構成すればよい。
【0050】
さらに、ベース基板9は、セラミックス基板またはプラスティック基板によって構成してもよい。プラスティック基板は、薄く、軽く、かつ割れ難いという特徴を有している。
【0051】
さらに、ゲート絶縁膜6は、SiNx、SiOx等に限らず、ゲート電極3を陽極酸化した陽極酸化膜によって構成してもよい。
【0052】
さらに、スイッチング素子2は、図2に示すような逆スタガ構造の薄膜トランジスタ(TFT)に限らず、正スタガ構造の薄膜トランジスタ(TFT)であってもよく、さらには、薄膜トランジスタ(TFT)に限らず、MIMまたはダイオードによって構成してもよい。
【0053】
さらに、層間絶縁膜12は、プロセスの簡略化が可能なことから、感光性を有する樹脂材料を用いたが、感光性を有さない材料であってもよい。例えば、非感光性のポリイミド樹脂、BCB樹脂、SiNX、SiO2等の、エッチングによってコンタクトホールを形成することができる材料であれば、層間絶縁膜12として使用することができる。
【0054】
以上のように本実施の形態によれば、各スイッチング素子2は、被検出物体18が数KVといった大きな静電気を有していることによって、放電時において放電用電極7に多大な電圧が印加された場合であっても、各スイッチング素子2が静電破壊されない程度に放電用電極7から十分離れた位置に配置されている。このため、数KVといった大きな静電気を有している被検出物体18が放電し、放電電極7に多大な電圧が印加された場合であっても、各スイッチング素子2は静電破壊されるおそれがない。
【0055】
また、放電用電極7は、表面形状検出器100の最表層に設けられた絶縁膜10の上に露出した構成になっているので、この放電用電極7は被検出物体18と容易に接触することができる。このため、被検出物体18に帯電した静電気を確実に放電することができる。
【0056】
図4〜図6は、図3に示した表面検出器100の構造の変形例であり、放電用電極7を形成する位置が図3の表面検出器100と異なっている。図4に示す例では、放電用電極7は、検出電極1と同じ層内に形成されている。すなわち、図3に示す表面検出器100において、放電用電極7は絶縁層10の上に設けられているが、図4に示す表面検出器200では、検出電極1と同様に、層間絶縁膜12の上に設けられている。放電用電極7は、検出電極1と同一の材料によって構成されている。放電用電極7の上には、適当な間隔をあけて、導電性パッド8が設けられている。導電性パッド8は、被検出物体18と容易に接触できるように、その上部が絶縁層10の表面に露出している。導電性パッド8は、金属を用いた湿式メッキ法によって形成することができる。導電性パッド8は、放電用電極7上であれば、どこに形成してもよい。導電性パッド8を設ける替わりに、放電用電極7の上に存在する絶縁膜10を除去して放電用電極7を露出させるようにしてもよい。放電用電極7を露出させると、被検出物体に帯電した静電気を効率良く放電させることができる。
【0057】
図5においては、放電用電極7は、ソース電極4およびドレイン電極5と同じ層内に形成されている。図3に示す表面検出器100において、放電用電極7は絶縁層10の上に設けられているが、図5に示す表面検出器300では、ソース電極4およびドレイン電極5と同様に、ゲート絶縁膜6の上に設けられている。この放電用電極7は、ソース電極4およびドレイン電極5と同一の材料によって構成されている。放電用電極7の上には、適当な間隔をあけて、導電性パッド308が層間絶縁膜12と絶縁膜10とを貫通するように設けられている。導電性パッド308を設ける替わりに、放電用電極7の上に存在する層間絶縁膜12および絶縁膜10を除去して放電用電極7を露出させるようにしてもよい。
【0058】
図6においては、放電用電極7は、ゲート電極3と同じ層内に形成されている。図3に示す表面検出器100において、放電用電極7は絶縁層10の上に設けられているが、図6に示す表面検出器300では、ゲート電極3と同様に、ベース基板9の上に設けられている。この放電用電極7は、ゲート電極3と同一の材料によって構成されている。この放電用電極7の上には、適当な間隔をあけて、導電性パッド408がゲート絶縁膜6と層間絶縁膜12と絶縁膜10とを貫通するように設けられている。導電性パッド408を設ける替わりに、放電用電極7の上に存在するゲート絶縁膜6、層間絶縁膜12および絶縁膜10を除去して放電用電極7を露出させるようにしてもよい。
【0059】
図7は、導電性パッド8を形成する位置を説明する平面図である。導電パッド8を形成する位置としては、放電用電極7上であればどの位置でもよく、必ずしも1個の検出電極1(1画素)当たり1個の導電性パッド8を配置する必要はない。例えば、図7に示すように4個の検出電極1(2画素)毎に1個の導電性パッド8を配置する構成であってもよい。
【0060】
図4〜図6に示す表面形状検出器200、300および400においては、放電用電極7は絶縁膜10の下に配設されて導電性パッド8、308、408と接続されていることにより、被検出物体18と絶縁膜10とが頻繁に接触した場合であっても、放電用電極7自身が摩耗や削傷により断線することがないという効果を奏する。また、最表層に放電用電極7が露出しない構造になるので、外傷等による放電用電極7の断線不良を回避することができる。
【0061】
さらに、放電用電極7に接続される導電パッド8、308、408を、前記絶縁膜10の表面に露出させる構成では、放電用電極7が絶縁膜10に覆われているにもかかわらず、放電用電極7を被検出物体18と電気的に容易に接続させることができる。このため、被検出物体18に帯電した静電気を確実に放電することができる。
【0062】
図4に示す表面形状検出器200では、放電用電極7は、検出電極1と同じ層において同一の材料によって構成されているので、検出電極1と同一のプロセスによって形成することができる。同様に、図5に示す表面形状検出器300では、放電用電極7は、ソース電極4およびドレイン電極5と同じ層において同一の材料によって構成されているので、ソース電極4およびドレイン電極5と同一のプロセスによって形成することができる。さらに、図6に示す表面形状検出器400では、放電用電極7は、ゲート電極3と同じ層において同一の材料によって形成されているので、ゲート電極3と同一のプロセスによって形成することができる。
【0063】
本実施の形態においては、絶縁性基板上にTFT素子を形成したアクティブマトリクスアレイを用いた例を挙げて説明してきたが、本発明はこれに限定されるものでは無く、Si基板上にMOSトランジスタを形成したアクティブマトリクスアレイを用いてもよい。
【0064】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、被検出物体に帯電した静電気により、放電用電極に大電圧が印加された場合であっても、トランジスタからなるスイッチング素子が放電用電極から十分離れた位置に配置されているので、トランジスタの静電破壊を最小限に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る表面形状検出器の模式断面図
【図2】実施の形態に係る表面形状検出器の平面図
【図3】図2におけるA−A線に沿った断面図
【図4】実施の形態に係る他の表面形状検出器の断面図
【図5】実施の形態に係るさらに他の表面形状検出器の断面図
【図6】実施の形態に係るさらに他の表面形状検出器の断面図
【図7】実施の形態に係る導電性パッドを形成する位置を説明する平面図
【図8】「静電容量方式」を用いた表面形状検出器の原理図
【図9】従来の表面形状検出器の平面図
【図10】従来の他の表面形状検出器の断面斜視図
【符号の説明】
1 検出電極
2 スイッチング素子
7 放電用電極
8 電極パッド
9 基板
10 絶縁膜
11 開口部
12 層間絶縁膜
Claims (5)
- マトリックス状に配置されており、被検出物体との距離に応じた静電容量を検出するために該被検出物体が接触する絶縁膜にて覆われて設けられた複数の検出電極と、
前記各検出電極にそれぞれ接続されたスイッチング素子と、
該スイッチング素子のそれぞれからの出力に基づいて前記静電容量をそれぞれ計測する読み出し回路と、
(2N−1)行目または(2N−1)列目(Nは1以上の整数)に配置された前記検出電極のそれぞれと、2N行目または2N列目に配置された前記検出電極のそれぞれとの間に対応する位置に配置されて、前記被検出物体に導通して該被検出物体の静電気を放電させる放電用電極とを具備し、
前記各スイッチング素子は、該スイッチング素子のそれぞれに接続された前記検出電極における、該検出電極に近接して配置された前記放電用電極に対して遠方側の側縁部に対応する位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする表面形状検出器。 - 前記放電用電極は、前記絶縁膜の上に形成されている、請求項1記載の表面形状検出器。
- 前記各スイッチング素子が層間絶縁膜にて覆われており、前記各検出電極と前記各放電用電極とは、該層間絶縁膜の上に形成されて、前記各放電用電極が、前記各検出電極とともに、前記絶縁膜で覆われている、請求項1記載の表面形状検出器。
- 前記各放電用電極には、前記絶縁膜の表面に露出する導電パッドがそれぞれ接続されている、請求項3記載の表面形状検出器。
- 前記各スイッチング素子および前記放電用電極は、同一層内に形成されており、
前記各スイッチング素子と前記各放電用電極とが層間絶縁膜によって覆われており、
前記各放電用電極には、該層間絶縁膜および前記絶縁膜を貫通する導電パッドが設けられている、請求項1記載の表面形状検出器。
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