この発明は、上述したように、特許文献2に係る改良型MAC層プロトコルをOFDMで実現する通信システム、通信方法、基地局および移動局であるため、MAC層プロトコルについては、特許文献2に記載したものとほぼ同様のものである。そこで、最初に、当該プロトコルの内容について説明する。
この発明のプロトコルに関する回線構成は、OFDM伝送により同時に通信可能な上り回線(以下では、アップリンクと称する)および下り回線(以下では、ダウンリンクと称する)からなる。ここでは、一例として、ダウンリンク(基地局から移動局へのリンク)とアップリンク(移動局から基地局へのリンク)とで別の周波数を使用するFDD(Frequency division duplexing:周波数分割複信) 方式を採用する。
図1において、基地局1は、ネットワークと接続されたネットワーク制御部2と、MDP(Message Data Packet) 生成部3と、FCMP(Frame Control Message Packet)生成部4と、MDPおよびFCMPを選択的に出力するセレクタ5と、セレクタ5の出力が供給され、無線装置6に含まれる送信部7と、送信部7からの無線信号を移動局に向かって放射するアンテナ8と、アンテナ8の移動局からの受信信号が供給される受信部9と、受信パケット判定部10とから構成されている。MDPは、特許文献1のデータパケットに相当し、FCMPが通知パケットに相当するもので、そのフレームの制御用のデータが含まれている。
ネットワーク制御部2を介してマルチメディアデータがネットワークからMDP生成部3に供給され、MDP生成部3によって、MDPが生成される。FCMP生成部4によって、FCMPが生成される。受信パケット判定部10によって判定された受信パケットがネットワーク制御部2を介してネットワークに送信される。ネットワークとしては、携帯電話ネットワーク、放送ネットワーク、インターネット等が可能である。
基地局1は、ダウンリンクの各フレームの先頭のFCMPによって、ダウンリンクおよびアップリンクのスロット割り当て状況を移動局に対して通知する。各移動局は、FCMPの内容から自分がどのデータスロットのデータを受信すべきかを判断できる。また、FCMPには、上りフレーム内の各データスロットの割り当て状況から各移動局は、FCMPの内容から自分がどのデータスロットを使用してデータを送信すべきかを判断できる。さらに、FCMPには、アップリンクデータに対する基地局での受信状況の情報が含まれる。すなわち、アップロードパケットが基地局に正常に受信されたか否かの情報がFCMPに含まれる。
次に、図2を参照して移動局の構成例を説明する。移動局21は、特許文献1の端末に相当する。図2において、ネットワーク制御部22に対してデータ機器が接続される。データ機器は、受信データを利用し、または送信データを発生するものである。データ機器としては、携帯電話端末、パーソナルコンピュータ、ディジタル放送受信機、ディジタルカメラ、カーナビゲーション装置、GPS(Global Positioning System) 、ディスプレイ、オーディオシステム等が使用可能である。
ネットワーク制御部22には、アクチベーションパケット (ACTivation Packet :ACTP) 生成部23およびMDP生成部24が接続される。ACTP生成部23およびMDP24と、無線装置27に含まれる送信部28との間には、セレクタ26が設けられている。セレクタ26で選択されたデータが送信部28に供給される。送信部28からの無線信号がアンテナ29から放射され、基地局1へアップロードされる。なお、MDP はアップリンクのメッセージデータスロット(Message Data Slot : MDS )を介して送信され、また、ACTPはアップリンクのアクチベーションスロット(ACTivation Slot:ACTS) を介して送信される。
移動局21が通信可能な基地局1の通信エリアに入った場合、ACTP生成部23によってACTPが生成され、アップリンクのACTSを介して基地局に伝送される。そして、基地局1で登録が認められ、アップリンクでの通信が可能になりアップリンク用のスロットが割り当てられた場合、MDPがMDP生成部24で生成される。
ここで、移動局21のアップロード要求、ダウンロード要求、ユーザ・データ、およびダウンリンクを通じて送信されたデータに対する応答情報はすべてMDPを用いて、基地局1が決め、FCMSで送信されたFCMPによって送信されたアップリンク、およびダウンリンクフレーム内のスロットを用いてやりとりがされる。ACTPには、基地局登録に必要となる情報が含まれる。
ダウンロードの際、移動局21は、基地局1がFCMSおよびMDS を介して送信したFCMPおよびMDPをアンテナ29を介して受信する。アンテナ29によって受信された受信信号が無線装置27の受信部30に供給される。受信部30からの受信信号が受信パケット判定部31に供給される。受信パケット判定部31は、受信パケットがFCMPかMDPかを判別する。また、MDP の中でも受信した移動局21のものであるか、他の移動局のものであるかを判別する。そして受信パケット判定部31からの受信パケットがネットワーク制御部22を介してデータ機器に供給される。
上述した基地局1(図1)および移動局21(図2)は、例えば、路車間通信システムにおける基地局および車両に搭載されている移動局に相当するものである。より具体的には、図3に示すような路車間通信システムに対してこの発明を適用することができる。図3のシステムは、統合基地局41と、光ファイバ421 、422 、・・・と、統合基地局41と光ファイバ421 、422 、・・・で接続された複数の局地基地局431 、432
・・・とによって構成される。局地基地局431 、432 、・・・が例えば道路に沿って所定の間隔で設置され、車両44に搭載されている移動局との路車間通信が可能とされている。アンテナ以外の部分は、統合基地局41に設置され、アンテナが局地基地局431
、432 、・・・にそれぞれ設置される。
かかる路車間通信システムにおいて、統合基地局41は、所定の無線変調方式によって変調された、MDP、FCMPを生成し、その無線信号を無線光変換装置によって光信号に変換する。無線光変換装置は、例えばレーザダイオードからの光信号を直接若しくは光変調器によって光信号に変換する構成とされている。この光信号が光ファイバ421 、422 、・・・を介して1以上の局地基地局431 、432 、・・・に送信される。局地基地局431 、432 、・・・においては、ホトダイオードに代表される光無線変換装置によって光信号を無線周波数帯の信号へ変換し、無線信号を路側アンテナから移動局にMDPおよびFCMPを伝送する。
車両44に搭載された移動局は、路側アンテナから放射された無線信号を受信するアンテナと、アンテナにて受信された無線信号をそれぞれ対応する携帯電話機や放送受信機に送る接続部とを備えている。また、アップリンクにおいては、移動局からの所定の無線変調方式によって変調されたACTP、MDPを局地基地局431 、432 、・・・で受信し、上述した無線光変換装置と同様の原理を持つ、無線光変換装置によって光信号へ変換し、光ファイバ421 、422 、・・・を介して統合基地局41へ伝送する。統合基地局41においては、上述した光無線変換装置と同様の原理を持つ光無線変換装置によって無線周波数帯の信号に変換し、移動局から送信されてきたACTPおよびMDPを受信する。
なお、統合基地局41に設けた、周波数変換統合分配装置によって携帯電話や放送等の変調された個別の無線周波数または中間周波数を、ある特定の周波数帯例えばミリ波帯に含まれるように、統合変換し共用周波数帯の無線信号を路側アンテナから放射しても良い。この場合には、車両44に搭載された移動局は、共用周波数帯に感度を有するアンテナと、アンテナにて受信された無線信号を個別の無線周波数や中間周波数の無線信号に変換し、分配する周波数変換分配装置と、周波数変換分配装置からの個別の無線周波数や中間周波数の無線信号をそれぞれ対応する携帯電話機や放送受信機に送る接続部とを備えている。
図1に示される基地局1は、図3のシステムにおける統合基地局41および局地基地局431 、432 、・・・の全体に対応したものである。図2に示される移動局21は、車両44に搭載されている移動局に対応するものである。ここでは、基地局1から移動局21に対するダウンリンクと、その逆の移動局21から基地局1に対するアップリンクとが同時に通信可能なように構成されている。
この発明のプロトコルは、OSI参照モデルの第2層(データリンク層)に対応する。データリンク層は、さらに、MAC(Media Access Control)層とその上位のLLC(Logical Link Control)層に分けられる。図4Aには、TDMAフレームの構成の一例が示されている。ダウンリンクのTDMAの1フレームが1個のFCMSと複数個のMDSで構成される。
アップリンクのTDMAの1フレームはACTSと複数個のMDSとで構成される。ここで、ACTSは複数のミニスロットからなり、ダウンリンクとアップリンクとでは、フレーム周期が等しく、スロット周期が異なる。以下、各スロットについて説明する。
スロットFCMSは、1TDMAフレームに必ず1個あり、TDMAフレームの先頭に配置される。FCMSは、ダウンリンク専用のスロットであり、基地局情報、ダウンリンク・アップリンクのスロット割り当て情報、アップリンクデータ(ユーザ・データ)に対するACK(ACKnowledgment :肯定応答) 情報などがFCMSに含まれる。一方、誤りが検出されると、NACK(Negative ACKnowledgment:否定応答) がこのFCMSを用いて移動局に返される。この場合、移動局は、誤りとされたデータを再送信する。
スロットMDSは、アップリンクおよびダウンリンクの1TDMAフレームに対してそれぞれ1個以上割り当てられる。ダウンリンクでは、基地局が多重化を行い、アップリンクでは、複数の移動局MS(Mobile Station)が多重化を行う。MDSは、通常のデータ通信に使用される。また、ダウンリンクでは、基地局からの登録・登録削除応答(通知)、コネクション設定・コネクション解放応答(通知)の送信にMDSが使用され、アップリンクでは、ダウンリンクデータ(ユーザ・データ)に対するACKの送信にMDSが使用される。
スロットACTSは、アップリンクの1TDMAフレームに割り当てられ、移動局からの登録・登録削除要求、の送信に使用されるランダムアクセス可能なスロットである。また、コネクション設定・コネクション解放要求等に用いられる場合もある。ACTSは、複数のミニスロットからなり、移動局は、基地局に対して要求を行う場合、このミニスロットの中から1つのスロットをランダムに選択し、その選択された時間のなかで要求パケットACTPを送信する。
ダウンリンクのフレーム構成は、上記特許文献1で提案されたものと同様に、先頭にスロット割り当て情報を含むFCMSが配置され、その後にデータスロットMDSが続いている。一方、アップリンクのフレーム構成は、特許文献1とは相違している。すなわち、ACK用のスロットが設けられず、データスロットMDSを使用してダウンリンクデータに対するACKが送信される。また、固定のダウンロード要求スロットおよびアップロード要求スロットが設けられず、フレームの先頭のACTSによって要求を送信するようにしている。
図4Bには、FCMP、MDP、ACTPを構築する基本的なパケットフォーマットが示されている。1スロットは、先頭にプリアンブルPR、その後にユニークワードUWが続き、さらに、パケットが続き、最後にガードタイムGTが位置する構成とされている。このプリアンブルとユニークワードを用いてヘッダ部という場合もある。またパケットは、各スロットにおけるプリアンブル、ユニークワード、ガードタイムを除いた部分であり、図4Cに示すように、固定長のヘッダと可変長のペイロードとで構成される。
ガードタイムは、端末間の伝搬遅延差に起因するバーストの衝突をさけるために設けられている。アップリンクとダウンリンクとでは、スロット周期が異なるために、ガードタイム長が異なる場合もある。但し、アップリンクでの各スロットのガードタイムが同等の長さとされ、同様に、ダウンリンクでの各スロットのガードタイムが同等の長さとされる。
プリアンブルおよびユニークワードからなるヘッダ部の長さは、FCMS、MDS、ACTSともに必要とされる信頼性にあわせて決定される。
ここで、ダウンリンクにおけるスロットの割り当て方式とACKの送信について説明する。図5は、基地局の送信バッファの内容の一例である。宛先アドレス(移動局のアドレス)として、A、B、C、・・・が示されている。送信バッファの最初の1行に格納されている、データ(1-1 、1-2 、1-3 、・・・、1-6 )が宛先アドレスAに対して送信されるひとまとまり(以下、シーケンスと称する)のデータであり、最後のパケット1-6 にデータの最後を示すEOD(End Of Data) が含まれている。通常このシーケンスは上位層PDU(Protocol Data Unit)とも呼ばれ、各移動局に対する1イーサネットパケットもしくはIPパケットに相当する。同様、(2-1 、2-2 、・・・、2-5 )が宛先アドレスBに対して送信されるシーケンス番号2のデータである。以下、同様に、宛先アドレスA、B、Cのそれぞれに対する送信データの例が示されている。なお、1-1 等は、MDSに配置されるパケット(MDP)を示している。
このように送信バッファに送信すべきデータが格納されている場合、ダウンリンクのスロット割り当ての方法として、3通りの方法が可能である。第1の方法がFIFO(First-In First-Out)方式であり、第2の方法がラウンドロビン方式であり、第3の方法が変形FIFO方式である。これらについて順に説明する。
図6がFIFO方式を示す。ダウンリンクでは、TDMAフレームの各スロットに対して、送信バッファに格納された順にパケットが配置される。この例では、ダウンリンクの1TDMAフレームが一つのFCMSと8個のMDSとからなる例である。宛先アドレスAの移動局は、1シーケンスのデータを正常に受信すると、アップリンクのMDSを使用してACKを基地局に返す。例えばシーケンス番号1のデータ(1-1 、・・・、1-6 )を受信すると、1-ACKを基地局にMDSを利用して返す。以下、同様に、各基地局は、各シーケンスのデータを受信する毎に、ACKを基地局に返す。
図7は、ラウンドロビン方式を示す。ラウンドロビン方式は、送信バッファにデータが格納されている宛先アドレス(移動局)に対して順に送信すべきデータの有無を問い合わせ、データがあれば、ダウンリンクのスロットにそのデータを配置する方法である。この例では、宛先アドレスとして、A、B、Cがあるので、(A→B→C)の問い合わせが繰り返してなされる。図5の例では、最初に宛先アドレスCのシーケンス番号5のデータの送信が終了するので、その後は、A→Bの問い合わせがなされ、さらに、宛先アドレスBのシーケンス番号2のデータが終了すると、Aの宛先アドレスのデータのみがスロットに割り当てられる。アップリンクを介して移動局がACKを返す方法は、上述したのと同様に、1シーケンスのデータの受信がされた場合にACKを返すものである。
図8は、変形FIFO方式を示す。この方式は、入力した順にデータをダウンリンクの各スロットに配置する点では、FIFO方式と同様である。但し、1シーケンスのデータが所定の個数のパケット(ここでは、6個のパケット)に満たない長さの場合では、残ったスロットを空きスロットのままとし、ACKを1シーケンスのデータを受信する毎に返す。
このように、この発明のプロトコルでは、1シーケンスのデータ単位で応答信号を返すようにしている。若し、正常に受信できない場合には、NACKが返される。1シーケンスのデータの受信を完了するのは、上述した3つの方法の何れにおいても、固定されず、したがって、アップリンクのMDSを使用してACKを返すようにしている。また、正常にデータが受信できなかった場合には、再送が必要である。再送制御の方法については後述する。
図9は、FCMSのパケットフォーマットの一例である。図9中の各行が16ビット(2オクテット)の長さであり、パケットの先頭部分(図の上側)にヘッダが位置し、その後にペイロードが位置し、さらに、ペイロードがダウンリンクに関する情報DLと、アップリンクに関する情報ULとに分割して配されている。FCMSのパケットに配される各データについて以下に順番に説明する。
FCMSでは、ヘッダが16バイトの長さとされ、ペイロードが64バイトの長さとされている。ヘッダの先頭のスロットタイプ(2ビット)は、スロットの種別を示す。(00b)がFCMSであり、(01b)がMDSであり、(10b)がACTSである。図9は、FCMSであるので、(00b)が設定される。bは、ビット表記であることを示す。
モード(2ビット)は、通信システムの動作モードを示す。動作モードは、以下のものが可能とされている。
(00b):マルチメディアステーション(単数BS単数AP)(点型)
(01b):マルチメディアレーン(単数BS複数AP)(短距離線型)
(10b):アドバンスドマルチメディアレーン(複数BS複数AP)(長距離線型)
(11b):マルチメディアウェイ(複数BS複数AP)(面型)
バージョン(2ビット)は、各動作モードに対するバージョンを示し、
(00b):バージョン1、(01b):バージョン2、(10b):バージョン3、(11b):バージョン4とされる。
スロットカウント(6ビット)は、ダウンリンクのMDSの個数およびアップリンクのACTSとMDSの合計個数を示す。(000000b)の1個から(111111b)の64個までの値をとりうる。ダウンリンクのMDSの個数のデフォルト値が8スロットであるので、スロットカウントが7(000111b)に設定される。
サブスロットカウント(4ビット)は、アップリンクのACTS内のサブスロットの個数を示す。(0000b)の1個から(1111b)の16個までの値をとりうる。ACTS内のサブスロット個数のデフォルト値が3スロットであるので、サブスロットカウントが2(0010b)に設定される。
ソースMAC(Media Access Control)アドレス(8ビット)は、発信元のMACアドレスを示す。FCMSの発信元ノードは、基地局であるので、基地局の論理チャンネルID(00000001b)が設定される。
ディスティネーションMACアドレス(8ビット)は、宛先ノードのMACアドレスを示す。FCMSは、全て移動局が宛先ノードとなるため、不定の論理チャンネルID(11111111b)が設定される。
チャンネルカウント(8ビット)は、コネクションを設定している論理チャンネル数を示す。優先度が1の場合の論理チャンネル個数を1として、現在コネクションを設定している全論理チャンネル個数を設定する。(00000000b)の0チャンネルから(11111111b)の255チャンネルまでがある。
スロットアサインメントターム(8ビット)は、次スロットの割当周期を示す。移動局に対してアップリンク用にスロット(MDS)を割り当てたにもかかわらず、有効データが送信されなかった場合に、その移動局に対して次のスロットを割り当てる周期をTDMAフレーム単位で示す。(00000000b)の1周期から(11111111b)の256周期までがある。割当周期の最大値のデフォルト値を5周期としているので、この8ビットが5(00000100b)に設定される。
プロパゲーションディレイ(10ビット)は、に代表されるあらかじめ許容される伝播遅延を示す。光ファイバ長を50m単位で指定する。(0000000000b)の0mから(1111111111b)の51150mまで50m刻みで指定される。例えば上述した図3に示す路車間通信システムの例では、光ファイバ421 、422 、423 の長さが示される。
トランスミッションコントロール(6ビット)は、スロット割当制御方式、再送制御方式に関する制御情報を示す。この6ビットを(b1 、b2 、b3 、b4 、b5 、b6 )と表記するすると、各ビットの意味が以下のように規定されている。なお、ビットb4 、b5 およびb6 は、未使用である。なお、種別が3種類以上の場合には、2ビット以上を割り当てるようにしても良い。
b1 :ダウンリンクスロットの割当制御方式の種別を示し、
b1 =0(0b):FIFO方式
b1 =1(1b):ラウンドロビン方式
とされる。
b2 :再送制御方式の再送データ単位の種別を示し、
b2 =0(0b):セグメント単位
b2 =1(1b):上位層PDU方式
とされる。
b3 :上位層とのデータ受け渡し方式の種別を示し、
b3 =0(0b):ランダム方式
b3 =1(1b):シーケンシャル方式
とされる。
ベースステーションID(48ビット)は、基地局のIDを示す。基地局を一意に識別するためのユニークなID(Ethernetアドレス等)が設定される。
16ビットのヘッダCRC(cyclic redundancy code)が配置される。例えば1+x5 +x12+x16が生成多項式として使用される。CRCは、エラー検出符号である。
次に、ペイロードに配置されるデータについて説明する。図10Aに示すように、DLで示すダウンリンクのスロット割当情報は、2オクテット(1スロット当り)毎に区切られ、ディスティネーションMACアドレス(8ビット)、割当スロットタイプ(2ビット)およびリザーブドエリア(6ビット)によって構成される。
ディスティネーションMACアドレスは、各スロットを利用する移動局のMACアドレス(論理チャンネルID)を示す。スロットタイプが(01b)であって、MDSを指定し、且つパケットタイプが制御パケットの登録応答の時は、不定の論理チャンネルID(11111111b)が設定される。また、送信データが無い場合には、不能の論理チャンネルID(00000000b)が設定される。その他の場合は宛先となる移動局の論理チャンネルIDが設定される。割当スロットタイプ(2ビット)は、各スロットの種別を示し、ダウンリンクで指定するスロットタイプは、(MDS:01b)である。
ULで示すアップリンクのスロット割当情報は、2オクテット(1スロット当り)毎に区切られている。図10Bに示すように、アップリンクのスロット割当情報は、ソースMACアドレス(8ビット)、割当スロットタイプ(2ビット)、リザーブドエリア(6ビット)から構成される。
ソースMACアドレスは、各スロットを利用する移動局のMACアドレス(論理チャンネルID)を示す。スロットタイプが(10b)でACTSを示す場合では、ソースMACアドレスとして不定の論理チャンネルID(11111111b)が設定される。その他の場合は、発信元となる移動局の論理チャンネルIDが設定される。
割当スロットタイプは、各スロットの種別を示す。アップリンクでは、(01b):MDSと、(10b):ACTSが設定される。
アップリンクデータに対するACK情報は、図10Cに示すように、4オクテット(1スロット当り)毎に区切られている。ソースMACアドレス(8ビット)、コントロール(2ビット)、リザーブドエリア(6ビット)、ACKシーケンスナンバー、またはコリジョンディテクション(16ビット)から構成される。
ソースMACアドレスは、ACK情報に対する移動局のMACアドレス(論理チャンネルID)を示す。アップリンクスロットがMDSではなくACTSとして使用された場合、ソースMACアドレスとして不定の論理チャンネルID(11111111b)が設定される。その他の場合は、ACK情報に対する移動局の論理チャンネルIDが設定される。
コントロールは、本割当に対する制御情報を示す。コントロールの2ビットを(b1 、b2 )とすると、ビットb1 がACKシーケンスナンバーが有効か否かを示す。(b1 =0b)が無効を示し、(b1 =1b)が有効を示す。ビットb2 は、ACKシーケンスナンバーがACKかNACKかを示す。(b2 =0b)がNACKを示し、(b2 =1b)がACKを示す。
ACKシーケンスナンバー(16ビット)は、ACKのシーケンス番号を示す。アップリンクデータに対して正確に受信できたデータのシーケンス番号が設定される。
アップリンクスロットがMDSではなくACTSとして使用された場合(ソースMACアドレスとして不定の論理チャンネルIDが設定された場合)、ACKシーケンスナンバーフィールドは、コリジョンディテクションフィールドとして使用される。コリジョンディテクションは、前回のACTSで衝突があったか否かを示す。サブスロットの個数が1〜16個の範囲であるので、各サブスロットに対応するビットにて衝突の有無を設定する。(0b)が衝突なし、(1b)が衝突ありと規定される。
ペイロードの最後に、16ビットのペイロードCRCが配されている。例えば1+x5
+x12+x16が生成多項式として使用される。以上のデータがペイロードに配置されるものである。
図11は、MDP(Message Data Packet) のパケットフォーマットの一例である。図11中の各行が2オクテットの長さであり、パケットの先頭部分(図の上側)にヘッダが位置し、その後にペイロードが位置する。MDSでは、ヘッダが12バイトの長さとされ、ペイロードが128/256/384バイトの長さとされている。ヘッダの最後にヘッダCRC(16ビット)が付加され、ペイロードの最後にペイロードCRC(16ビット)が付加されている。
最初にヘッダに含まれるデータについて説明する。ヘッダの先頭のスロットタイプ(2ビット)は、スロットの種別を示す。(00b)がFCMSであり、(01b)がMDSであり、(10b)がACTSである。図11は、MDSであるので、(01b)が設定される。
パケットタイプ(2ビット)がパケットの種別を示す。(00b)がデータパケットを示し、(01b)が制御パケットを示す。使用状況に応じて何れかの値が設定される。
コントロール(4ビット)がパケットの制御情報を示す。4ビットを(b1 b2 b3 b4 )と表記する。ビットb1 は、本パケットのペイロード部分およびデータシーケンスナンバーが有効か否かを示す。(b1 =0b)は、無効(ペイロードなし、データシーケンス無効)を示し、(b1 =1b)は、有効(ペイロードあり、データシーケンス有効)を示す。
ビットb2 は、本パケットが上位層PDUの最後か否かを示す。(b2 =0b)は、上位層PDUの先頭、または途中を示し、(b2 =1b)は、上位層PDUの最後を示す。ビットb3 は、本パケットのACKシーケンスナンバーが有効か否かを示す。(b3 =0b)は、無効を示し、(b3 =1b)は、有効を示す。ビットb4
は、ACKシーケンスナンバーがACKかNACKかを示す。(b4 =0b)がNACKを示し、(b4 =1b)がACKを示す。
バッファカウント(8ビット)が送信バッファ内のデータ数を示す。MAC層における送信バッファに残っているデータパケットの個数が設定される。256個以上の場合は、(11111111b)が設定される。
ソースMACアドレス(8ビット)は、発信元ノードのMACアドレスを示す。ダウンリンクの場合、発信元基地局の論理チャンネルID(00000001b)が設定される。アップリンクの場合、発信元移動局の論理チャンネルIDが設定される。
ディスティネーションMACアドレス(8ビット)は、宛先ノードのMACアドレスを示す。ダウンリンクの場合、パケットの種別がデータパケットの時は、宛先移動局の論理チャンネルIDが設定される。パケット種別が制御パケットの場合で、登録応答の時は不定の論理チャンネルID(11111111b)が設定される。その他(登録削除応答、コネクション設定応答、コネクション解放応答)の時は、宛先移動局の論理チャンネルIDが設定される。アップリンクの場合は、宛先基地局の論理チャンネルID(00000001b)が設定される。
データ長(16ビット)は、本パケットのペイロード長をオクテット(8ビット)単位で示す。16ビットが全て0の場合が1オクテットのデータ長であり、16ビットが全て1の場合は、65536オクテットである。ここでは、例えばペイロード長が256オクテットであるので、(0000000011111111b)がデータ長として設定される。
データシーケンスナンバー(16ビット)は、256オクテットのデータのシーケンス番号を示す。再送制御のためのデータのシーケンス番号を示す。データ長は、IPパケットの最大長より短いものであれば良く、256オクテットの値は、一例である。
ACKシーケンスナンバー(16ビット)は、ACKのシーケンス番号を示す。正確に受信できたデータのシーケンス番号を指定する。なお、ダウンリンクでは、ACKシーケンスナンバーのフィールドを使用しない。
16ビットのヘッダCRCが位置する。生成多項式として、例えば1+x5 +x12+x16が使用される。以上のデータがヘッダに配置されるものである。
ペイロード本体には、LLCのPDUが設定される。ペイロードの後にペイロードCRC(16ビット)が付加される。生成多項式として、ヘッダCRCと同一のものが使用される。
図12は、ACTSに配されるACTP(ACTivation Packet) のパケットフォーマットの一例である。図12中の各行が2オクテットの長さであり、パケットの先頭部分(図の上側)にヘッダが位置し、その後にペイロードが位置する。ACTSでは、ヘッダが6バイトの長さとされ、ペイロードが32バイトの長さとされている。ヘッダの最後にヘッダCRC(16ビット)が付加され、ペイロードの最後にペイロードCRC(16ビット)が付加されている。
ヘッダの先頭のスロットタイプ(2ビット)は、スロットの種別を示す。(00b)がFCMSであり、(01b)がMDSであり、(10b)がACTSである。本スロットは、ACTSであるので、(10b)が設定される。
パケットタイプ(2ビット)がパケットの種別を示す。本スロットでは、制御パケットのみが使用されるので、(01b)が設定される。
コントロール(4ビット)がパケットの制御情報を示す。4ビットを(b1 b2 b3 b4 )と表記する。ビットb1 〜b4 は、未使用(未定義)である。
データ長(8ビット)は、パケットのペイロード長をオクテット(8ビット)単位で示す。8ビットが全て0の場合が1オクテットのデータ長であり、8ビットが全て1の場合は、256オクテットである。
ソースMACアドレス(8ビット)は、発信元ノードのMACアドレスを示す。登録要求の場合は、不能の論理チャンネルID(00000000b)が設定される。その他(登録削除要求、コネクション設定要求、コネクション解放要求)の場合は、発信元移動局の論理チャンネルIDが設定される。
ディスティネーションMACアドレス(8ビット)は、宛先ノードのMACアドレスを示す。登録要求の場合は、不定の論理チャンネルID(11111111b)が設定される。その他(登録削除要求、コネクション設定要求、コネクション解放要求)の場合は、宛先基地局の論理チャンネルID(00000001b)が設定される。
16ビットのヘッダCRCが位置する。生成多項式として、例えば1+x5 +x12+x16が使用される。以上のデータがヘッダに配置されるものである。
ペイロード本体にLLCのPDUが設定される。ペイロード本体の後にペイロードCRC(16ビット)が付加される。生成多項式として、ヘッダCRCと同一のものが使用される。
次に、スロット割当制御方式について説明する。ダウンリンクで用いるTDMAフレーム内には、FCMSとMDSのスロットがあり、FCMSは、必ずフレームの先頭に1スロット割り当てられる。MDSには、移動局のデータ伝送用MDSと、呼制御に必要なMDSとがある。すなわち、ダウンリンクにおけるMDSは、ユーザのデータを送信するために使用されるMDSと、無線ゾーンに入った場合の登録等の呼制御に関するデータ(登録・登録削除応答(通知)、コネクション設定・解放応答(通知))を送信するためのMDSとに分類される。呼制御データは、ユーザデータに比して重要度が高いので、送信すべき呼制御データがある場合は、ユーザデータよりも優先的にフレームの先頭からスロットを割り当てる。
すなわち、
高優先:呼制御データ用MDS(登録・登録削除応答、コネクション設定・解放応答)
低優先:ユーザデータ用MDS(データ・再送データ)
とされる。
ユーザデータに関するスロット割当は、呼制御データへの割当で使用した残りのスロットに関して行う。ユーザデータへスロットを割り当てる場合、スロット割当管理テーブルを参照して行う。図13Aは、スロット割当管理テーブルの一例を示す。
コネクション設定MACアドレスは、コネクションを確立している移動局のMACアドレス(論理チャンネルID)を示す。コネクション優先度は、ラウンドロビン時に割り当てるスロット数に対応する。なお、コネクション設定MACアップロードは、LLC部が管理するコネクション管理テーブルと同等の設定値を用いる。ダウンリンク送信バッファ状態とは、基地局の送信バッファに存在するデータ(パケット数)を示す。アップリンク送信バッファ状態は、移動局から送信されるMDPに含まれるバッファカウントフィールドの設定値に対応する。基地局は、移動局からのMDPを受信するたびに、アップリンク送信バッファ状態を更新する。
コネクションを設定している移動局に対して例えばラウンドロビン方式により均等にスロットを割り当てる。但し、コネクション優先度により、ラウンドロビン時に割り当てるスロット数が異なる。なお、ダウンリンクバッファ状態が0(すなわち、送信すべきデータがない)移動局に対しては、スロットを割り当てない。また、送信バッファに全スロット数分のデータ(パケット)数がないバッファは、残りのスロットについては割り当てない。データ送信を行なわないスロットでは、(1010b)のパケットを送信することも可能とする。
スロット割当管理テーブルが図13Aに示す場合において、送信すべき呼制御データがないとき、ダウンリンクの1TDMAフレームにおけるスロット割当は、図13Bに示すものとなる。移動局(A)は、送信すべきデータがないので、1フレームの最初のデータスロットが移動局(B)に割り当てられる。次に、移動局(C)に対してスロットが割り当てられるが、コネクション優先度が「2」であるので、二つのスロットが移動局「C」に対して割り当てられる。次に、移動局「D」に対してスロットが割り当てられる。以下、順にダウンリンク送信バッファに入っているデータがなくなるまで、スロット割当がなされる。図13Aの場合では、データ個数が7個であるので、ダウンリンクの1TDMAフレームの最後のスロットが空きスロットとなる。次回のラウンドロビン割当の始まりは、MACアドレスが「A」の移動局からである。
次に、アップリンクにおけるスロット割り当て処理について説明する。ダウンリンクのスロット割当処理と同様に、割当処理としては、例えばラウンドロビン方式が使用されるが、それ以外のFIFO方式(図6)または変形FIFO方式(図8)を使用しても良い。
アップリンクで用いるTDMAフレーム内には、ACTSとMDSのスロットがある。MDSは、移動局のデータ伝送用のMDSと、ダウンリンクデータに対するACKを送信するために使用されるMDS(ACKデータ用MDS)とがある。ACTSに関しては、1TDMAフレームの先頭に必ず1スロットが割り当てられるものとする。MDSに関しては、ダウンリンクデータに対するACK用として強制的に割り当てられるものと、通常のアップリンクデータ用として割り当てられるものがある。但し、アップリンクデータ用の場合でも、MDPのACKシーケンスナンバーフィールドを使用してACKを送信することが可能である。また、ダウンリンクデータに対するACK用の場合でも、ペイロードフィールドに通常のアップリンクデータを含めて送信することが可能である。
ダウンリンクデータに対するACK用として割当が必要な場合は、通常のアップリンクデータ用よりも優先的にスロットを割り当てる。すなわち、
高優先:ダウンリンクデータに対するACK用MDS
低優先:アップリンクデータ用MDS
とされる。
ダウンリンクデータに対するACK用のスロットは、MDPのコントロールフィールドの上位層PDUの最後のフラグメントか否かを示す2ビットが1(有効)の場合、必ず割り当てるようにする。
アップリンクデータ用のMDSを割り当てる場合は、ダウンリンクの場合と同様にスロット割当管理テーブル(図13A)を参照し、コネクションを設定している移動局に対して、ラウンドロビン方式により均等にスロットを割り当てる。コネクション優先度の値により、ラウンドロビン時に割り当てるスロット数は異なる。アップリンク送信バッファ状態が0(すなわち、送信バッファにデータがない)の移動局に対してもラウンドロビン割当時に必ず1つのスロットを割り当てるようにする。但し、その場合は、1TDMAフレーム内では1つのみの割当とする。
スロット管理テーブルが前述した図13Aに示すものである場合において、送信すべきダウンリンクデータに対するACKがないとき、アップリンクのスロット割当は、図14に示すものとなる。1フレームのACTSを除いた最初のデータスロットが移動局(A)に割り当てられる。次に、移動局(B)に対してスロットが割り当てられる。さらに、移動局(C)に対してスロットが割り当てられるが、コネクション優先度が「2」であるので、二つのスロットが移動局「C」に対して割り当てられる。以下、順にスロット割当がなされる。次回のラウンドロビン割当の始まりは、「C」の移動局からである。なお、スロットを割り当てたにもかかわらず、有効データが送信されない移動局に対しては、設定されたTDMA周期の間スロットを割り当てない。有効データが送信された時点で通常のラウンドロビン方式で割り当てるようになされる。
次に、この発明のプロトコルにおける再送制御方式について説明する。ここでは、再送制御方式としてGBN(Go-Back-N) 方式を使用している。GBN方式は、ACKまたはNACKの折り返し動作の間にも引き続き次のパケットの送信を行い、ACKまたはNACKが返った時点で、次のパケットを送信すべきか否かを決定する方式である。但し、以下のデータ(パケット)に関しては、再送を行なわない。
MDP:ブロードキャストデータ(ディスティネーションMACアドレス:0x11111111)→ユーザデータおよび呼制御データのどちらの場合も再送しない
MDP:アップリンクにおけるACK・NACK情報のみのデータ(コントロール:0x0*1*)→有効データが含まれない場合。
データ送信側は、通常のGBN方式の再送制御を行う。送信側は、送信したデータを受信側からのACKが返ってくるまで、送信バッファに残しておく。アップリンクデータに対するACKは、FCMSのACKシーケンスナンバーフィールドを使用し、ダウンリンクデータに対するACKは、MDSのACKシーケンスナンバーフィールドを使用する。ACKを受信すると、そのACKシーケンス番号より以前のデータをバッファから削除し、通常のデータ送信を継続する。NACKを受信すると、そのNACKシーケンス番号より以前のデータをバッファから削除し、次のシーケンス番号のデータ(パケット)から順次再送を行う。再送処理開始のトリガーは、以下の通りである。
(1)NACKを受信した場合(データエラー)
NACKシーケンスナンバーより以前のデータを送信バッファから削除し、次のシーケンス番号のデータから順次再送する。
(2)重複するACKを受信した場合(データ送信リンクにおける通信品質の劣化)
同じシーケンスナンバーのACKを複数回継続して受信した場合は、バッファに残っているデータから順次再送する。なお、ACKの重複受信回数は、スタティックに(外部から)設定可能とする。
(3)ACKが返ってこない場合(ACK送信における通信品質の劣化)
ACKがタイムアウトになった場合には、バッファに残っているデータから順次再送する。なお、タイムアウト値は、スタティックに(外部から)設定可能とする。
データ受信側は、通常のGBN方式の再送制御を行う。受信側は、データ(パケット)エラー検出以降に受信したデータを全て破棄する。そして、正常に受信できたデータのシーケンス番号をACKシーケンスナンバーフィールドに設定し、ダウンリンクの場合は、コントロールフィールドの第1ビットを有効(1b)に設定し、その第2ビットをNACK(0b)と設定し、アップリンクの場合は、コントロールフィールドの第3ビットを有効(1b)に設定し、その第4ビットをNACK(0b)と設定して、ACKを返す。ACKは、ダウンリンクでは、FCMP(Frame Control Message Packet)を利用して送信し、アップリンクでは、MDPを利用して送信する。なお、ACK・NACKを返すタイミングは、以下の通りである。
(1)ダウンリンクの場合(アップリンクデータに対するACK・NACK)
FCMSを送出する直前に、それまでに正常に受信したMDPに対してFCMPを利用してACKを返す。コントロールフィールドの第1ビットを「1」(有効)とし、その第2ビットを「1」(ACK)とし、現在のデータ番号をACKシーケンスナンバーに設定する。一方、データエラーを検出した場合は、コントロールフィールドの第1ビットを「1」(有効)とし、その第2ビットを「0」(NACK)とし、正常に受信できたデータ番号をACKシーケンスナンバーに設定する。
(2)アップリンクの場合(ダウンリンクデータに対するACK・NACK)
FCMSに含まれるアップリンクのMDSのスロット位置情報を参照し、それまでに正常に受信したMDPに対してMDPを利用してACKを返す。コントロールフィールドの第3ビットを「1」(有効)とし、その第4ビットを「1」(ACK)とし、現在のデータ番号をACKシーケンスナンバーに設定する。一方、データエラーを検出した場合は、コントロールフィールドの第3ビットを「1」(有効)とし、その第4ビットを「0」(NACK)とし、正常に受信できたデータ番号をACKシーケンスナンバーに設定する。
次に、ここまで説明してきたこの発明のプロトコルに基づくTDMAフレームのデータを、OFDMを用いて送受信する態様について説明する。最初に、図15および図16を参照して、OFDM伝送されるTDMAフレームについて説明する。図15および図16において、縦軸が周波数軸であり、横軸が時間軸である。所定のサブキャリア間隔で複数本例えば(64×12=768)本のサブキャリアが設定され、所定のサブキャリアの所定の時間幅の信号がOFDMシンボルと称される。
図15に示すTDMAフレームは、ダウンリンクに係るTDMAフレーム50である。基地局から各移動局に向けて伝送されるOFDMサブキャリア51は、この例では12のサブチャネル52から構成される。各サブチャネル52は時間軸上で所定時間長でブロック化され、このようにブロック化されたサブチャネル52のそれぞれは、スロットと呼ばれる。スロットには、前述したFCMS53とMDS54を割り当てる。図15に示す例では、1つのサブチャネル52について見ると、1つのTDMAフレーム50に対して1つのFCMS53と8つのMDS54が含まれる。
OFDMサブキャリア51の全キャリア数は、例えば768本であり、各サブチャネル52のOFDMサブキャリア数は64本である。この64本のサブキャリアを用いて1つのプロトコルのFCMPおよびMDPの送信が行われる。FCMS53は、図9を参照して説明したように、16バイトのヘッダ部55と、66バイト(内2バイトはCRC(Cyclic Redundancy Check )用)のペイロード部56からなる。MDS54は、図11を参照して説明したように、12バイトのヘッダ部57と、130、258、または386バイト(いずれも、うち2バイトはCRC用)のペイロード部58からなる。
ここで、FCMS53は、図4に示すFCMSに対応し、FCMS53の後に続く、同じサブチャネル52内のMDS54(すなわち、1つのTDMAフレーム50に含まれるMDS54)は、図4に示すMDSに対応する。このように、図4に示した一連のTDMAフレームは、全てのOFDMサブキャリア、すなわち768本のキャリアを使用して伝送されるのではなく、1つのサブチャネル52に割り当てられた64本のキャリアを用いて伝送される。
図16に示すTDMAフレームは、アップリンクに係るTDMAフレーム60である。各移動局から基地局に向けてOFDM伝送されるOFDMサブキャリア61は、この例では12のサブチャネル62から構成される。各サブチャネル62は時間軸上でブロック化され、このようにブロック化されたサブチャネル62のそれぞれは、スロットと呼ばれる。スロットには、ACTS63とMDS64がある。図16に示す例では、1つのサブチャネル62について見ると、1つのTDMAフレーム60に対して4つのACTS63と7つのMDS64が含まれる。この例では、4つのACTS63が設けられているが、4つに限られるわけではなく、他の固定的な数が選択されうる。
サブキャリア61のOFDMサブキャリア数は例えば、768本であり、各サブチャネル62のキャリア数は64本である。この64本のキャリアを用いてACTS63およびMDS64の送信が行われる。ACTS63は、図12を参照して説明したように、6バイトのヘッダ部65と、34バイト(うち2バイトはCRC用)のペイロード部66からなる。MDS64は、図15に示したMDS54と同様の構成である。
ここで、ACTS63は、図4に示すACTSに対応し、ACTS63に隣接する同じサブチャネル62内のMDS64(すなわち、1つのTDMAフレーム60に含まれるスロット)は、図4に示すMDSに対応する。
上記のような構成に基づくOFDM伝送によって、12のプロトコルが独立して存在する無線通信システムが構築可能となる。言い換えると、1つの基地局と複数の移動局との間の無線通信が同時に複数(ここでは、12個のサブチャンネル)設定されることになる。したがって、上述したMAC層プロトコルのスロット割り当てや再送制御が、これらのサブチャネル毎に並行して行われうる。
図15および図16に示す例では、サブチャネル52、62の数を12とし、ダウンリンクTDMAフレーム50内のMDS54の数を8とし、アップリンクTDMAフレーム60内のMDS64の数を7としているが、これらの数は単なる例示に過ぎず、他の好適な数を採用することができる。
図17には、TDMAフレームの構成例が示されている。図17Aは、FCMS、MDSおよびACTSに関して共通項目について示されている。上述の通り、OFDMサブキャリア数の全ての本数が768に設定され、サブチャネル数が12、サブチャネル内のOFDMサブキャリア数は64本に設定されている。1OFDMシンボル伝送時間が8μsに設定され、ガードインターバル長が2μsに設定されている。
図17Bは、FCMS53についての数値例が示されている。変調方式にはBPSK(Binary Phase Shift Keying )が採用され、FEC(Forward Error Correction)には畳み込み符号が採用されている。OFDM伝送時のプリアンブルOFDMシンボル数が3とされ、その後に続くOFDMデータシンボル数が21とされている。プリアンブルOFDMシンボル数の内の2シンボルがチャンネルエスティメーション用とされている。合計24OFDMシンボルが存在するので、FCMSの伝送時間が24×10μs=240μsとなる。OFDMデータシンボルは、時間方向または周波数方向、もしくはその両方でインターリーブ(ランダム化)され、BPSK変調されたデータである。
図18Aには、MDS54、64についての数値例が示されている。変調方式はQPSK(Quaternary Phase Shift Keying )、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation )、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation )のいずれかである。変調方式によって割り当てビット数が変化するので、ペイロードのバイト数が変化する。FECには畳み込み符号が採用されている。OFDM伝送時のプリアンブルOFDMシンボル数が5とされ、その後に続くOFDMデータシンボル数が19とされている。合計24OFDMシンボルが存在するので、FCMSの伝送時間が24×10μs=240μsとなる。プリアンブルOFDMシンボル数の内の2シンボルがチャンネルエスティメーション用とされている。OFDMデータシンボルは、時間方向または周波数方向、もしくはその両方でインターリーブインターリーブ(ランダム化)され、変調されたデータである。
図18Bには、ACTSについての数値例が示されており、変調方式にはBPSK(Binary Phase Shift Keying )が採用され、FECには畳み込み符号が採用されている。OFDM伝送時のプリアンブルOFDMシンボル数が2とされ、その後に続くOFDMデータシンボル数が10とされている。プリアンブルOFDMシンボル数の内の2シンボルがチャンネルエスティメーション用とされている。合計12OFDMシンボルが存在するので、FCMSの伝送時間が12×10μs=120μsとなる。OFDMデータシンボルは、時間方向または周波数方向、もしくはその両方でインターリーブ(ランダム化)され、変調されたデータである。ACTSの場合は、FCMSおよびMDSの半分の伝送時間である。図16に示すように、ACTSは、アップリンクでは、4スロット存在し、MDSが7個存在している。図15に示すように、ダウンリンクでは、FCMSが1個存在し、MDSが8個存在している。したがって、1TDMAフレームの時間的な長さがアップリンクとダウンリンクとで等しい長さとなる。
この発明のOFDM伝送において、移動局は、全てのサブチャネルにアクセスする機能を有する必要は必ずしもなく、移動局の機器の規模、消費電力、使用可能な料金等にあわせてアクセスするサブチャネル数を決定することができる。また、移動局が、全てのサブチャネルにアクセスできる場合においても、移動局の機器の消費電力や使用可能な料金等に基づき、使用するサブチャネル数をパラメータ等によって柔軟に設定することができる。また、各スロットの変調方式等もパラメータによって設定することができる。
しかしながら、各移動局の受信側は、スロットが空いているサブチャネルを全サブチャネルの中から効率的に見つけるために、全サブチャネルを受信するよう構成されていることが望ましい。そして、各移動局は基地局からダウンリンクを通じてOFDM伝送により送信されたOFDMサブキャリアをすべて受信し、受信したすべてのサブキャリア内に割り当てられているFCMSを受信し、各サブキャリアに割り当てられるすべてのアップリンク、ダウンリンクのフレーム内の割り当て情報を受信し、その割り当て情報をもとに、必要とされるサブキャリアのアップリンクのフレームに割り当てられるACTSに対し登録要求を行い、登録が認められたサブキャリアに割り当てられたアップリンクおよびダウンリンクのフレームを用いて通信を行うことができる。
次に、この発明の通信システムおよび通信方法の利用イメージを、図19を参照して説明する。図19Aは、1つの基地局70と、移動局A71、移動局B72、移動局C73および移動局D74の間で無線通信が行われている状況を概略的に示したものである。図から分かるように、移動局A71および移動局C73は、車載の無線通信機器を使用するものであり、移動局B72および移動局D74は携帯電話のような可搬型の移動無線機器を使用している。
図19Bは、図19Aに示すような状況における、基地局70からのダウンリンクTDMAフレームのMDSを示したものであり、これらのMDSは図15と同様の表記によって示されている。各MDSのAないしDの記号は、移動局Aないし移動局Dに対応するものであり、例えば、Aと記載されたMDSは、移動局Aに提供されるデータ等を含む。
ここで、移動局A71ないし移動局D74は、基地局70から送信される全ての(ここでは12の)サブチャネルのスロットを受信可能であり、自身がどのサブチャネルを利用できるかを全てのサブチャネルを対象に判断することができる。また、移動局A71は、12のサブチャネル全てについて同時にアクセスすることができる。すなわち、全てのサブチャネルを使用して、自局の登録を行ったり、ダウンロード要求やデータのアップロード等を行うことができる。これに対し、移動局B72は、同時に2つのサブチャネルへのアクセスが可能で、移動局C73は、同時に6つのサブチャネルへのアクセスが可能で、移動局D74は、1つのサブチャネルへのアクセスが可能である。
このような各移動局の設定の結果、基地局70から各移動局へのデータの提供は、例えば、図19Bに示すように(ダウンリンクMDSを介して)行われる。図19Bの例では、時間T1において、全てのMDS(全てのサブチャネル(#1〜#12))を利用して移動局A71へのダウンロード等が行われる。一方、移動局C73は、同時にアクセスできるサブチャネルの数が6であるため、これを越えて基地局70からデータが送信されてくることはない(これは、移動局C73が、そのようなダウンロード要求等を発行しないためである)。例えば、図19Bでは、時間T2、T3のときに、移動局C73は6つのサブチャネル(#7〜#12)にアクセスしている。
同様に、移動局D74は、同時にアクセスできるサブチャネルの数が1であるため、これを越えて基地局70からデータが送信されてくることはない。例えば、図19Bでは、時間T2ないしT4およびT6のときに、移動局D74は1つのサブチャネル(#6)にアクセスしている。
上述したOFDM伝送方式をベースとした移動通信システムにおいては、全セルにおいて同一周波数を用いることで、周波数利用効率を高めることができる。しかしながら、ダウンリンクにおいて、セル境界付近で他のセルからの複数の信号が干渉信号として自分のセルの信号に影響し、伝送品質の劣化が起こる。一実施形態では、そのような影響を軽減するために、希望波信号電力対他セル干渉波信号電力比(Desired signal to Undesired signal power ratio : DUR) を推定し、その値に応じて適応変調を行う干渉回避方式が
採用されている。
図20Aは、MDSの64OFDMサブキャリアから構成される1スロットのブロック構成を示す。図18Aを参照して説明したように、MDSでは、プリアンブルOFDMシンボル数が5とされ、データシンボル数が19とされている。DURを推定するため、伝搬路推定用既知(Channel Estimation : CE) シンボル(2OFDMシンボル)の後に、DUR推定用既知( DURE: DUR Estimation)シンボル(2シンボル)を付加する。
CEシンボルは、セル間およびサブチャンネル間で共通の既知シンボルである。DUREシンボルは、判別する必要のあるセル毎に異なる。すなわち、サブキャリアに既知信号が付加され、他セルで既知信号を付加されたサブキャリアには干渉を防ぐため、既知信号を付加しない。
図20Bにおいて、同一サブチャンネル内の64のOFDMサブキャリアに対して、0または1の信号が示されている。1は、既知信号を付加することを意味し、0は、既知信号を付加しないことを意味する。この1と0からなる信号を符号と呼ぶ。n個の符号を生成する場合、code1は(1,n+1,2n+1,・・・)番目のサブキャリアに既知信号を付加し、code2は(2,n+2,2n+2,・・・)番目、・・・、codenは(n,2n,3n, ・・・)番目のサブキャリアに既知信号を付加する。このように周波数方向に間欠的に既知信号を付加する方式によって、隣接する符号では、既知シンボルが付加されるサブキャリアが必ずずれたものとされる。隣接する符号を隣接するセルで付加するようにすれば、隣接するセル間で既知シンボルが互いに異なったものとなる。
図20Bに示す例は、(n=3)としたものである。隣接する3個のセルのそれぞれの基地局のプリアンブルアダーによって、code1、code2およびcode3の何れかがDUREとして付加される。図20Cは、例えばcode1の周波数スペクトラムを示している。64本のOFDMサブキャリアにおいて、(1,4,7,10,・・・・)番目のOFDMサブキャリアが存在し、他のOFDMサブキャリアが存在しないものとされている。
なお、(n=3)の例について述べたが、(n=2)の場合にこの発明を適用するようにしても良い。例えば図3を参照して説明したような路車間通信システムでは、セルが1次元的に連続するので、(n=2)とすることができる。また、図20Aは、MDSにDUREを付加した構成を示しているが、FCMSまたはACTSのスロットのプリアンブルにもDUREを付加するようにしても良い。
また、希望信号と他セル干渉信号の到達時間差および希望信号の遅延波の影響を軽減させるため、DUREシンボルを2シンボル挿入し、ガードインターバル長をデータシンボルのガードインターバル長の倍とする。受信機において、受信信号をFFT処理後、DUREシンボルの検出を行う。そして、プリアンブル信号が伝送されている所定の前記OFDMサブキャリアの位置、そしてそれ以外の上記プリアンブル信号が伝送されていない前記OFDMサブキャリアの位置の電力を測定することにより、自分が通信しているセルからの希望信号電力、および他セルからの干渉信号電力を推定する。そして、その比から瞬時DURを推定する。また、瞬時DURをバッファに蓄積し、2DUREシンボルごとに平均DURを推定する。そして、推定されたこの平均DURを用いて、その値に応じて適応変調を行い、干渉が多いときには干渉に強い変調方式が、また、干渉が少ないときにはできるだけ伝送容量が高い変調方式を選ぶ必要性がある。
計算機シミュレーションによる有効性の検討を行った。シミュレーションパラメータを図21の表に示す。図21のパラメータは、一実施形態におけるOFDM伝送方式と同様のものである。
図22に3セル、6セルからの信号を受信する場合のセル配置と符号割り当てを示す。セル1が移動局が属しているセルであり、その基地局からは、例えばcode1のDUREが付加されたOFDM信号が送信される。図22の例では、想定した全てのセルからの信号を判別するため、セル毎に異なる符号code1〜code6を割り当てる。雑音の影響は無いものとし、3セルの場合は全ての信号が等電力で受信され、6セルの場合は距離減衰により、セル4〜6の信号はセル1〜3の信号に比べ12(dB)減衰して受信されるものとしてシミュレーションを行った。
図23に3セル、6セルの場合の符号数−平均DUR推定誤差特性を示す。図23において、三角のマークを連結した特性が3セルの場合の特性であり、四角のマークを連結した特性が6セルの場合の特性である。3セルおよび6セルの何れの場合も、符号数が増えるとDURの平均推定誤差が増大している。一方、符号数が同じ場合のDURの平均推定誤差は3セルの時よりも6セルの時の方が小さくなっている。上述した方式の符号生成方法は、符号数が増えるとDUR推定に用いる既知信号が少なくなるためである。
nセルの場合、全ての信号を判別するためにはn個以上の符号が必要となるが、nを大きくするとDURの推定精度が低下する事がわかる。しかしながら、一実施形態による方式は、符号数15においても平均推定誤差は高々1(dB)以下に抑えられており、DURの推定に有効であることが分かる。
次に、この発明の一実施形態に係る基地局の物理層に関連した送信機能について説明する。図24は、基地局の送信部80の構成を表すブロック図である。送信部80は、TDMAフレームの送信を行うために、誤り訂正符号化器81、インターリーバ82、プリアンブルデータ挿入器83、マッパ84、IFFT(Inverse Fast Fourier Transformation :逆高速フーリエ変換)85、GI(ガードインターバル)挿入器86、D/A(ディジタル−アナログ)変換器87、直交モジュレータ88およびアップコンバータ89を備えている。送信部80は、図1に示す送信部7に対応するものである。
誤り訂正符号化器81は、MAC層から各サブチャネルのTDMAフレームを受け取り、移動局で受信する際の誤り検出のために冗長データ(CRC符号)が付加され、さらに誤り訂正符号化が施される。この場合の誤り訂正方式は、例えば、内符号としてビタビ復号を使用し、外符号としてブロック符号であるリードソロモン符号を使用する。
誤り訂正符号化器81からの出力は次に、インターリーバ82に入力され、そこでインターリーブ処理が施される。インターリーブ処理は、移動局で受信する際に逆操作を行うことによってバースト誤りをランダム誤りに変換できるように、符号化されたビット列を所定の規則にしたがって並べ替えることである。
データは、次にプリアンブルデータ挿入器83に入力され、そこで、上述したように、電波伝搬路特性推定用パイロット信号およびDUR推定用既知シンボル等のプリアンブル信号が挿入される。その後、マッパ84において、BPSKやQPSK等の変調処理が行われ、同相成分(Ich)と直交成分(Qch)が出力される。変調方式は、上述したようにパラメータ等で指示することができ、それが変調情報としてマッパ84に提供される。また、この例では、マッパ84は、サブチャネル毎に設けられ、出力をIFFT85に提供する。
次に、IFFT85によって、逆高速フーリエ変換処理が施され、OFDM変調が行われる。OFDM変調された信号は、GI挿入器86において、設定されたガードタイムに基づいて、OFDM変調シンボルの立ち上がりと立ち下がりが滑らかになるようなウインドウイング処理が施される。GI挿入器86の出力は、同相成分(Ich)、直交成分(Qch)それぞれに、D/A変換器87に入力され、そこで、ディジタル波形からアナログ波形に変換される。
その後、直交モジュレータ88およびアップコンバータ89によって、フィルタリング、同相成分(Ich)と直交成分(Qch)によるベクトル変調、周波数変換、送信電力制御、増幅等が行われ、最終的には、アンテナ90から電磁波として送信される。
次に、図25を参照して、この発明の一実施形態に係る基地局の物理層に関連した受信機能について説明する。図25は、基地局の受信部100の構成を表すブロック図である。受信部100は、受信アンテナ101、ダウンコンバータ102、直交デモジュレータ103、A/D(アナログ−ディジタル)変換器104、GI(ガードインターバル)除去器105、FFT(Fast Fourier Transformation :高速フーリエ変換)106、プリアンブルセパレータ107、補償器108、デマッパ109、デインターリーバ110、誤り訂正復号器111、チャネル評価器112および変調レベル検出器113を備える。受信部100は、図1に示す受信部9に対応するものである。
OFDM変調信号の受信は、基本的に、図24に示した送信部80の送信手順と逆の手順で行われる。最初に、アンテナ101で受信した信号を、ダウンコンバータ102でベースバンド帯にダウンコンバートし、直交デモジュレータ103で復調し、A/D変換器104でディジタル化した後、GI除去器105によってガードインターバルが除去される。
さらに、FFT106で高速フーリエ変換が施され、サブチャンネル毎の信号が得られる。その後、プリアンブルセパレータ107によって、FFT106から出力された信号から、スロット先頭に挿入されている伝搬路推定用既知シンボルを用いて後続データに対してチャネル補償がなされる。既知シンボルは、チャネル評価器112に供給される。チャネル評価器112では、上記既知シンボル等を用いて伝搬路特性を推定し、その推定結果は、補償器108、変調レベル検出器113およびデマッパ109による処理に関連して使用され、これらによって伝送信号の補正が行われる。
デマッパ109から出力された信号は、サブチャネル毎に、デインターリーバ110、誤り訂正復号器111によって、デインターリーブおよびビタビ復号がなされ、サブチャネルごとのデータ(TDMAフレーム)に変換されMAC層に渡される。
図26は、この発明の一実施形態に係る基地局の送受信機能をMAC層について表したブロック図である。送受信部120は、セグメント分離部121、再送制御部122、送信バッファ123、スロット割り当て部124、制御データ構築部125、移動局登録部126、スロット抽出部127、受信データ確認部128、受信バッファ129およびIPデータ構築部130を含む。送受信部120は、図1に示すMDP生成部3、FCMP生成部4および受信パケット判定部10の各機能に対応するものである。
セグメント分離部121は、送信すべきIPデータをスロットの長さに準じた所定の長さにセグメント化し、それらを送信バッファ123に格納する。送信バッファ123は、登録済みの移動局毎に管理されており、セグメント分離部121は、セグメント化されたIPデータを、送信先の移動局に応じて、対応する送信バッファ123の領域に格納する。その後、スロット割り当て部124が、送信バッファ123に格納されたIPデータを、MDSのデータとして生成し、さらに、制御データ構築部125から生成されたFCMSフレームとともにTDMAフレームを構築する。スロットの割り当てについては、上述のスロット割り当て方式のうち何れかが採用されうる。
スロット割り当て部124は、TDMAフレームを構築すると、TDMAフレームを物理層に送信するとともに、各スロットの変調方式が物理層に渡される。変調方式は、例えば、FCMSではBPSKであり、MDSではQPSKである。TDMAフレームはその後、各移動局に送信される。
スロット抽出部127は、各移動局からTDMAフレームを受信すると、ACTSを移動局登録部126に送信し、MDSを受信データ確認部128に送信する。受信データ確認部128は、MDSの内容を判断し、ACKであれば制御データ構築部125にその旨を伝達し、NACKであれば再送制御部122にダウンリンクデータの再送を指示する。MDSの内容が移動局からのアップリンクデータである場合、そのデータは受信バッファ129の対応する移動局の領域に格納され、IPデータ構築部130でIPデータとして組み立てられた後、上位層に渡される。
次に、図27を参照して、この発明の一実施形態に係る移動局の物理層に関連した送信機能について説明する。図27は、移動局の送信部140の構成を表すブロック図である。送信部140は、TDMAフレームの送信を行うために、誤り訂正符号化器141、インターリーバ142、プリアンブルデータ挿入器143、マッパ144、IFFT145、GI挿入器146、D/A変換器147、直交モジュレータ148およびアップコンバータ149を備える。送信部140は、図2に示す送信部28に対応するものである。
移動局は、ダウンリンクの各サブチャネルのスロット割り当て方法に基づいて各移動局が所定の時間内にTDMA伝送を行う。各移動局においては、MAC層から各サブチャネルのTDMAフレームを受け取ると、それをそのままサブチャネルに割り振り、この情報にパイロット信号、変調情報からなるプリアンブル信号を付加した後、MAC層からの指令により、サブキャリアごとに変調が行われ、その後、IFFT処理を行うことによってOFDMの変調信号が作られる。
このとき、各移動局が用いるサブチャネル数およびIFFTの数は、移動局の機器の規模、消費電力、使用可能な料金等に合わせて選択することが可能である。よって、送信側(基地局)と同じサイズのIFFTの数を選択することもできる。
送信部140の構成については、図24に示す基地局の送信部80とほぼ同様のものとなる。IFFT145には、チャネル選択情報が提供される。
図28は、この発明の一実施形態に係る移動局の受信部160の構成を表すブロック図である。受信部160は、基地局からTDMAフレームを受信するため、ダウンコンバータ162、直交デモジュレータ163、A/D変換器164、GI除去器165、FFT166、プリアンブルセパレータ167、補償器168、デマッパ169、デインターリーバ170、誤り訂正復号器171、チャネル評価器172および変調レベル検出器173を備える。この受信部160は、図2に示す受信部30に対応するものである。
受信部160の構成は、図25に示す基地局の受信部100とほぼ同様のものとなる。但し、移動局の受信部160には、プリアンブルセパレータ167で分離したDUREが干渉量推定部174に供給される。干渉量推定部174において、受信したDUREと希望波信号の符号との相関が検出され、また、受信したDUREと干渉波信号の符号との相関が検出され、希望波信号電力対他セル干渉波信号電力比が求められる。この場合、スロット毎の瞬時値を平均したものが計算される。
干渉量推定部174の推定結果によって、希望波信号電力対他セル干渉波信号電力比が適切な値となるような制御信号が形成される。この制御信号が基地局に対してアップリンクを介して伝送される。基地局は、干渉量推定部174の推定結果によって例えば自セルと隣接する他セルの基地局の送信電力を制御する。
図29は、この発明の一実施形態に係る移動局の送受信機能をMAC層について表したブロック図である。送受信部180は、スロット抽出部181、受信データ182、IPデータ構築部183、チャネル選択部184、割り当て情報取得部185、再送制御部186、ACK送信部187、スロット割り当て部188、送信バッファ189、セグメント分離部190および移動局登録信号生成部191を含む。また、送受信部180は、図2に示すACTP生成部23、MDP生成部24および受信パケット判定部31の各機能に対応するものである。
基地局から送信されたTDMAフレームのうち、FCMSがスロット抽出部181で抽出され、各サブチャネルのダウンリンクおよびアップリンクが混雑しているかどうか判断する。ダウンリンクまたはアップリンクを使用する場合、チャネル選択部184は、物理層に対して、所定のサブチャネルを使用する旨を伝える。さらに、移動局登録信号生成部191によって生成された移動局登録信号(登録要求)が、スロット割り当て部188によって物理層に送信され、基地局に伝えられる。ここで、移動局登録信号には、例えば、移動局のMACアドレスが含まれる。
基地局から送信されたTDMAフレームのうち、MDSは、スロット抽出部181によって受信データ確認部182に送られ、そこで受信データが正常かどうかが判断される。正常であれば、ACK送信部187によってACKが送信されるよう制御されるとともに、IPデータ構築部183で受信データがIPデータとして生成され、上位層に渡される。受信データが正常でなければ、再送制御部186によって、当該受信データを再送するよう制御される。
上位層からIPデータを受信した場合、セグメント分離部190において、IPデータがセグメント化され、当該セグメント化されたIPデータが、送信バッファ189およびスロット割り当て部188を介してMDSとして物理層に送信される。
移動局からのサブチャネル使用要求を受けた基地局は、ACTSの情報を受けることができた場合、ダウンリンクのMDSを用いてすべての移動局に使用を許可した移動局名と、そのテンポラリアドレスを通知する。当該移動局は、そのアドレスを用いて基地局との間で通信を開始する。
この通信システム(通信方法)は、まずアップリンク送信バッファの有無にかかわらず、登録設定が行われている移動局に対して、例えば、ラウンドロビン的に1個のMDSを割り当てるようにする。ここで、アップリンク送信バッファ状態がゼロで、かつスロットを割り当てたにもかかわらず有効データが送信されない移動局に対しては、ある設定されたフレーム時間の後はスロットを割り当てない。移動局は、この割り振られたアップリンクのMDSを用いて情報の要求、自身からの情報の発信等を行う。
この発明は、上述したように、特許文献2で記載された高速移動通信における改良型MAC層プロトコルをOFDMベースで実現するようにしたものであるが、上記プロトコルを単に、OFDM伝送できるように変更したものではないことに注意すべきである。この発明では、例えば、12の独立したサブチャネルを設け、それぞれのサブチャネルで1つのプロトコルに基づく通信を実現するようにしている。
また、これまでの説明の中で、基地局との通信対象を「移動局」と称してきたが、これは、単に基地局と無線通信を行う機器を指しているに過ぎず、固定的に配置された、または一時的に固定された機器を除外することを意図したものではない。