JP3860958B2 - 可動式視線誘導標及びその施設 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として歩道と車道の境界、または道路の中央分離帯などに設置される縁石ブロックに取り付けられる縁石ブロック用反射体に関するものであり、詳しくは可動式の視線誘導標及びその施設に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、縁石ブロックには反射体が取り付けられ、車両のヘッドライトにより照射される光を、その反射体に再帰反射させることにより、視線誘導を行うようになされている。従来、かかる反射体としては、例えば反射体を平坦な板状で形成し、縁石ブロックを連結して設置した後に、その側面や上面に接着剤などにより固定されるようになされたものや、縁石ブロックの成形時に走行車両に対向した傾斜面を有するくぼみ部を側面に形成し、その傾斜面に予め成型時に反射体を固定させたり、又は成形時に反射体取り付け用のアンカーナットを埋設して、成形後にそのアンカーナットにより反射体を固定するなどしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の反射体では接着剤などにより縁石ブロックに固定されるようになされているので、通常の縁石ブロックには使用できるものの、縁石ブロックの施設作業とは別に、反射体の接着作業を伴うので面倒であり、また接着力が不完全であると後程剥離して脱落するなどといった問題が発生する。更に平滑な縁石ブロックに平坦な板状反射体が走行車両の方向に向けて取り付けられるが、板状反射体の正確な方向が定まらないために反射効率が低下するなどといった問題があった。
【0004】
一方後者の反射体では、走行車両に対向した縁石ブロックの傾斜面に反射体が固定されていることから、反射体の反射面が走行車両の方向を向けて固定されているため、反射効率が優れているが、くぼみ部にドロや砂などがたまり易いので、反射体が隠れてしまって反射性能を低下させることがある。更にこの縁石ブロックは成形時点で専用の成形型を用いて反射体を固定し、または反射体取り付け用のアンカーナットを成型時に埋設することから、このような特殊な縁石ブロックの製作は、成形が容易でなく、それに伴う製造コストも高く付くために、反射体が付いていない通常の縁石ブロックと併用される場合が多い。
【0005】
一方、平坦な反射体が縁石ブロックの上面に接して取り付けられるために、土砂が少しでも反射体の前面にたまると、反射体が隠れてしまって再帰反射しなくなっていまう。まして降雪地方では少々の積雪があっても埋まってしまうので、冬季の視認性に期待が持てない。
【0006】
更に、積雪地方では、歩道の除雪の際に縁石上を擦って除雪車が走行するために、前記縁石ブロック上に接着した反射体が削り取られるといった問題がある。かといって、反射体を傷つけないために、積雪を在る程度残して除雪すると、前記した反射体の視認効果は得られない。
【0007】
そこで、本発明は上記の如き問題を解決し、縁石ブロックの施設時に容易に取り付けることが出来、しかも耐久性、視認性に優れ、少々の砂埃や積雪があっても視認することができ、また除雪作業にも支障を来さない可動式視線誘導標及びその施設を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。即ち本発明に係る可動式視線誘導標は、弾性体からなる基板の一方側に反射体が取り付けられて反射部が形成され、前記基板の他方側に回転部が形成されると共に、当該回転部を狭持し、且つ狭持された前記回転部を係合させて前記基板を回動自在となされる支持部が取り付けられ、前記基板を回転させて起立又は傾倒させることにより、反射部を縁石ブロックの上面より突出させた状態にすることができると共に、反射部を縁石ブロックの側面より突出させた状態にすることもできることを特徴とするものである。
【0009】
前記回転部は基板の他方側に当該基板と垂直方向に回転軸が形成されて、その回転軸を前記支持部に支持させて前記基板を回動自在になされるとよい。
【0010】
前記支持部は、前記基板の両面を挟み、縁石ブロックの接続する端面と略同形状をなす2枚の側壁板からなる成型体であって、当該成型体内の前記基板が回動する周縁部に沿って、細かい土砂などが流出可能な排出溝が形成されているとよく、また少なくとも前記側壁板の上方周縁部に、当該基板の回動に対して空いた隙間を弾力的に塞ぐ遮蔽部材が取り付けられているとよい。
【0011】
一方、本発明に係る可動式視線誘導施設は、複数の縁石ブロックが境界方向に沿って順次端面を相対向させながら連結設置される際に、上に述べた可動式視線誘導標の支持部が縁石ブロック間に狭設されて、前記支持部に取り付けられた基板が縁石ブロックから反射部を突出させて、起倒自在になされたことを特徴としている。
【0012】
かかる本発明の可動式視誘導施設は、前記基板の他方側に回転部が形成されると共に、当該回転部を狭持し、且つ狭持された前記回転部を係合させて前記基板を回動自在となされる支持部が取り付けられて成る可動式視線誘導標を、複数の縁石ブロックが境界方向に沿って順次端面を相対向させながら連結設置される際に、前記支持部が縁石ブロック間に狭設されて、前記支持部に軸止された基板が、縁石ブロックの上面又は側面に反射部を突出させて起倒自在になされるので、設置場所に応じて反射体を適宜起立させたり、または傾倒させるなど任意に設定することが出来るので、交通状況によって、より優れた視認性が得られる。また、縁石ブロックから離れた位置に反射体が形成されるので、少々の積雪や砂ぼこりが溜まっても埋没することなく、視認性が確保される。
【0013】
更に急カーブや坂道などの制動の利きにくい危険個所にあっては、道路からの逸脱を避ける危険標示のために、より高く林立させて反射体が並べられると、視認効果が一層高めることができるし、反射体が取り付けられた基板の設置角度を例えば交互に縦横に振り向けたり、或いは隣接する基板の角度を段階的に徐々にセットするなどすれば、2列の光線や波形の光線となって反射体が視認できるので、更なる視認効果が高まってよい。なお、縁石ブロックの側面などに突出した基板は、自転車や車などが接触しても弾力性を持っているので、破損することなくまた自転車や車などにも支障を来さない。
【0014】
また前記基板の反射部が縁石ブロックの上面又は側面から突出しているときに、縁石ブロックの側面又は上面に突出物のない平滑面が形成されるとよい。すなわち、例えば歩道上の積雪を除雪するときなどに、除雪車が歩道面を削って除雪する際、縁石ブロックの上に突起が出ていると引っ掛かって壊してしまうので、縁石ブロックの上面に突出する反射部を予め側面に倒しておくと、除雪作業がはかどり、また施設を壊さなくて済む。また、車道側を清掃車が通過するときには、前記反射部を側面から上面にはね上げれば支障を来さない。
【0015】
また前記支持部は、成型体内の前記基板が回動する周縁部に沿って、細かい土砂などが流出可能な排水路が形成され、また少なくとも前記側壁板の前記基板が回動する上方周縁部に、当該基板の回動によって空いた隙間を弾力的に塞ぐ遮蔽部材が形成されるので、縁石ブロックにこの支持部が取り付けられると、粒子の大きい砂などは前記遮蔽部材によって隙間への侵入を防ぎ、細かい砂埃などが雨水と共に泥水となって侵入するときなどでも、前記排水路を流れて排出されるので、前記基板が砂埃などを詰まらせて動かなくなるといった事態が起こらず、平常的に縁石ブロック上に起立させたり、又は側面に傾倒させるなどの操作が可能となる。
【0016】
反射部を構成する基板の表面に取り付けられる反射体としては、例えば反射シートが貼付されたり、又は反射ビーズまたはプリズムなどが埋設されるなどの処置が施されてよいが、反射部を形成する基板は弾力性を有し、車などが接触しても損傷して破損逸脱しないようになされるので、かかる基板の弾力性に追従できる柔軟性を付与し、且つ剥がれ落ちない形態が求められることから、反射体としては反射シートが好適に使用される。また反射光が例えば一面を白で他面を黄色に色分けするなど、設置場所に応じて適宜反射体の色または形状を変えて設定されれば、走行する車両に対してより効率的に注意を喚起させることが出来る。
【0017】
当該基板は、例えばポリウレタン樹脂、クロロプレンゴム、ABS樹脂、などの弾性合成樹脂などで成型されてよく、たとえ人や自転車などが引っ掛かって屈曲しても、元の形に復元して回動できるようにし、また人や自転車などに引っ掛かっても傷を負わないように、ある程度の柔軟性を持っていることが望ましい。尚、色は特に限定するものではないが、視認効果を高めるために蛍光顔料や蓄光顔料などが配合されて、光を励起させてより高い視認性を得る手段がなされるとより一層効果的である。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に本発明の可動式視線誘導標及びその施設の実施の形態について図面をもとに詳しく説明する。図1は本発明の可動式視線誘導施設の実施の一形態を示す設置図である。図2は本発明の可動式視線誘導標の実施の一形態を示す平面図と、A−A線断面図である。図3は本発明の可動式視線誘導標の他の実施の一形態を示す斜視図であり、図4は本発明の可動式視線誘導標の別の実施の一形態を示す一部切り欠き斜視図である。また、図5は本発明の可動式視線誘導施設の他の実施の一形態を示す設置図である。
【0019】
まず図1の本発明の可動式視線誘導施設の実施の一形態について説明する。基板1が支持部2に狭持されて、支持部2の側面を貫通する回転軸3によって基板1が支持部2に軸止され、基板が支持部にて回動自在になされるように一体化された可動式視線誘導標が、前記支持部2を縁石ブロック4の接続端部に挟まれて取り付けられている。そして、基板1の前記支持部から突出するところに、反射部11が形成され、基板1を回動させることによって、反射部11を縁石ブロック4の上面から側面部にかけて任意に配設出来るようになされている。
【0020】
なお、図1の可動式視線誘導施設に用いられる可動式視線誘導標について、更に詳しく説明する。図2に示す可動式視線誘導標の実施の一形態では、基板1は基板1の一方側に反射シート11aが貼られた反射部11と、他方側に回転軸を挿入する軸穴12aが形成された回転部12とからなり、支持部2は基板1の回転部12を2枚の側壁板21で挟むように形成された成型体からなり、その側壁板21が縁石ブロック4の接続側面に似せて板面が形成されている。この両側壁板に前記基板1の回転部12を狭持させ、その側壁板21の側面に貫通穴22を穿設して、前記基板回転部12の軸穴12aに合わせて回転軸3を貫挿支持させている。また一対の側壁板21の前記基板1が回動する周縁部21aに、ゴム製の遮蔽部材23を取り付けて、常に側壁板間の隙間を塞ぐようになされている。
【0021】
更に、前記支持部2の側壁板21内に、側壁板に狭持された前記基板回転部12の外周縁に沿って排水路24が形成されている。この排水路24は、前記側壁板21に取り付けられた遮蔽部材23によって、砂などの比較的大粒の異物が入り込まないように隙間を塞いではいるが、微粒子の砂埃などを完全に遮蔽することは難しく、雨が降ると雨水と共に砂埃などが流れ込んでしまうので、長時間のうちには基板の回転軸を含む回動部分などに砂埃が埋まって動かなくなってしまう可能性がある。そこで少々の砂埃が入り込んでも雨が降るたびに雨水と共に流れ出てくれる排水路を設ければ、基板が動かなくなるような事態は避けられる。
【0022】
なお、前記支持部2に形成された側壁板21と、前記基板1との間隔は、可能なかぎり少ないことが好ましい。すなわち、この基板と側壁板との間で隙間を無くして摺り合わせ構造にすると、砂粒がその隙間に入り込む余地がなくなって、隙間に詰まって動かなくなるなどといったことが起こらない。仮にこの基板がゆるく軸止され、隙間を開けて取り付けられるようなことがあると、風雨や車の通過によって発生する風圧、または人や自転車などが不本意に当たったときに、容易に回転してしまうので、基板を起立または傾倒させた状態で維持させることができない。
【0023】
そして、前記基板1を横に倒したときの位置が常に一定するように、支持部2の両側壁面の下方に、両側壁面間を横断するストッパー25が取り付けられている。かかるストッパーは必ずしも図2に示すものでなくてもよく、例えば図3に示すように、前記側壁面21に狭持される基板側面に扇形穴13を形成させ、当該扇形穴13にはまり込んで前記基板が回動する範囲を規制する突部27が、前記側壁内面の少なくとも片側に突出して設けられるようになされてもよい。
【0024】
また、図4に示す別の可動式視線誘導標では、縁石ブロック4の接続側面に凹凸部41が形成されて、連設されたときに凹凸嵌合して横ずれを防止する形態になされたものがあり、このような形態に対応させるものに、前記基板1の反射部11の他方側に大きな丸穴14が穿設されて回転部12となされ、該回転部12を狭持させると共に、当該回転部12の丸穴14にリング26が内設されて、リングの両端を前記支持部2の側壁面21に支持させるようになされている。従って当該リング26は支持部の側面に貫通穴が開けられた状態となり、且つそのリングが前記縁石ブロックの凸部を嵌挿可能な大きさに形成されているので、支持部が縁石ブロックに狭設できて、反射部を形成する基板を縁石ブロックの上部及び側面にかけて回動出来るようになされたものである。
【0025】
尚、支持部の外面の一部又は全面が凹凸形状に形成することによって、縁石ブロックの間にセメントを注入して固められたときに、支持部が縁石ブロックから逸脱しにくくなる。
【0026】
図5は前記の可動式視線誘導標を設置した施設の他の実施の一形態を示すものであり、上記のようにして形成された本発明の可動式視線誘導標を、複数の縁石ブロック連結部に数多く取り付け、基板の反射部を縁石ブロックの上面に起立させたり、或いは縁石ブロックの側面に傾倒させるなど、交互に反射部の位置を変えて形成させると、車両から視認したときに2列に光の線となって表出されるので、視認効果が高められる。
【0027】
このようにして、本発明の可動式視線誘導施設は、基板が縁石ブロックの上面から側面にかけて回動自在に且つ任意に設置されるので、例えば縁石ブロックから延設された歩道上を清掃するときや、除雪するなどのときには、起立する基板を横に傾倒させることができるので邪魔にならず、損傷を未然に回避させるなどの手段が講じられる。
【0028】
【発明の効果】
縁石ブロックに反射体が突出して形成されていても、除雪作業など必要に応じてそれを回避する方向に振り動かすことが出来るので、反射体に損壊を与えないし、弾力性を有するので、人車に触れても傷を付けない。また任意に反射体の位置を変えて設定することが出来るので、変化ある配列をすることにより、反射光が目立って優れた視認効果が得られる。更に反射体が縁石ブロックから離れて高い位置に形成されるので、少々の積雪や砂ぼこりが溜まったり、または強い雨が降り続いても反射部が埋設しないので、視認性が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可動式視線誘導施設の実施の一形態を示す設置図である。
【図2】本発明の可動式視線誘導標の実施の一形態を示す平面図と、A−A線断面図である。
【図3】本発明の可動式視線誘導標の他の実施の一形態を示す斜視図である。
【図4】本発明の可動式視線誘導標の別の実施の一形態を示す一部切り欠き斜視図である。
【図5】本発明の可動式視線誘導施設の他の実施の一形態を示す設置図である。
【符号の説明】
1 基板
11 反射部
11a 反射シート
12 回転部
12a 軸穴
13 扇形穴
14 丸穴
2 支持部
21 側壁板
21a 周縁部
22 貫通穴
23 遮蔽部材
24 排水路
25 ストッパー
26 リング
27 突部
3 回転軸
4 縁石ブロック
41 凹凸部
Claims (6)
- 弾性体からなる基板の一方側に、反射体が取り付けられて反射部が形成され、前記基板の他方側に回転部が形成されると共に、当該回転部を狭持し、且つ狭持された前記回転部を係合させて前記基板を回動自在となされる支持部が取り付けられ、前記基板を回転させて起立又は傾倒させることにより、反射部を縁石ブロックの上面より突出させた状態にすることができると共に、反射部を縁石ブロックの側面より突出させた状態にすることもできることを特徴とする可動式視線誘導標。
- 前記基板の他方側に当該基板と垂直方向に回転軸が形成されて、当該回転軸を前記支持部に支持させてなることを特徴とする請求項1記載の可動式視線誘導標。
- 前記支持部は、前記基板の両面を挟み、縁石ブロックの接続する端面と略同形状をなす2枚の側壁板からなる成型体であって、当該成型体内の前記基板が回動する周縁部に沿って、細かい土砂などが流出可能な排出路が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の可動式視誘導標。
- 少なくとも前記側壁板の上方周縁部に、当該基板の回動に対して空いた隙間を弾力的に塞ぐ遮蔽部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の可動式視線誘導標。
- 複数の縁石ブロックが、境界方向に沿って順次端面を相対向させながら連結設置される際に、請求項1〜4のいづれか1項に記載の可動式視線誘導標の支持部が、前記縁石ブロック間に狭設されて、前記支持部に係合された基板が縁石ブロックから反射部を突出させて、起倒自在になされたことを特徴とする可動式視線誘導施設。
- 前記基板の反射部が縁石ブロックの上面又は側面にあるときに、縁石ブロックの側面または上面に突出物がないことを特徴とする請求項5記載の可動式視線誘導施設。
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