JP3859655B2 - 試験機 - Google Patents
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Description
このような従来の引っ張り試験機は、持ち運びできないため、その試験機が設置されている施設で試験を行う必要があった。また、試験体として、各々の引っ張り試験機の試験体固定用治具に適合するような寸法のものを準備する必要があった。
そしてまた、従来のような引っ張り試験機では、第三者に試験の状況を確認してもらうためには、試験施設にその都度出向いてもらわなければならなかった。更に、現場で施工中または施工完了後の建築材料に対して、引き抜き強度の確認試験を直接行うことができなかった。また、万能試験機のような大型汎用試験機は高価であり、専門の教育、訓練を受けた人でなければ正しく取り扱うことができないという問題点があった。
特許文献2の試験機は、門型のラムチェアーのラムにジョイント部材と油圧ポンプが接続されて構成されている。試験を行うには、ビスが打ち込まれた木材にラムチェアーを立ててジョイント部材の先端にビスの頭部を掛止させ、油圧を供給してジョイント部材を引き上げ、引き抜き力を加える。そして、圧力ゲージに表示された油圧の値を読み取って、ビスに加えられた引き抜き力を測定する。
また、特許文献2の試験機では、動力として油圧ポンプを必要とするため、十分に小型化及び軽量化が図られているとはいえず、持ち運びが十分に容易とされてはいなかった。
(イ)本発明の試験機は、チャックに釘やネジ部材の頭部を掛止し、釘やネジ部材が貫入された貫入面に対して略垂直方向の引き抜き力を加えている。従って、正確な引き抜き強度を得ることができる。
(ロ)また、本発明の試験機は、試験体の上に設置して試験を行うので、専用の形状、寸法の試験体を準備する必要がなく、試験の準備に費やす労力と時間が削減され、コストを削減することができる。
(ハ)そして、本発明の試験機は、既存品のトルクレンチを利用して手動で引き抜き力を加えるように構成されているので、動力が不要である。従って、試験機の小型化及び軽量化を十分に図ることができ、持ち運びが容易な試験機を提供することができる。これにより、所望の場所で試験を行うことができ、また、現場で施工中あるいは施工完了後の建築材料に対しても、引き抜き強度の確認試験を直接行うことができるので、利便性が向上される。
(ニ)更に、本発明の試験機は、伝動機構の平歯車の基準ピッチ円半径が1cmとされているので、トルクレンチによって検知される最大トルク値と引き抜き強度の値とが一致する。従って、目盛りに表示された値を換算する必要がない。よって、利便性及び信頼性が向上される。
まず、本発明の実施形態に係る引き抜き強度簡易試験を行うための試験機Sの構成について説明する。
試験機Sは、図1及び図2に示すように、公知のトルク検知機構を有するトルクレンチ1と、ビスや釘等の締結材の頭部を掛止する掛止部21を有するチャック2と、該チャック2を介して伝達される引き抜き力をトルクに変換してトルクレンチ1に伝達する伝動機構3と、を有して構成されている。
また、胴体部12の他端にはグリップ15が設けられている。
なお、トルク検知機構11は公知の機構を用いて構成されたものであり、その具体的説明は省略する。
支持体4は、例えば鋼材で形成されており、中空のハウジング41と、該ハウジング41を支持する一対の脚部42a、42bと、ハウジング41の上部に設けられた持ち手43と、固定ネジ44とを有して構成されている。
ハウジング41は、幅狭な直方体41aと幅広な直方体41bを上下に連結した形状とされている。その内部空間は上下に連通されており、下端面には下向きの開口41cが形成されている。
脚部42a、42bは、開口41cの両側に設けられ、ハウジング41の側面下端部から水平方向に延出した板状の鋼材をその途中から下向きに屈曲して形成されており、その先端にU字型の切欠きが設けられている。
従って、チャック2の先端にビスWが掛止されると、このビスWに対して引き抜き力が加えられ、その引き抜き力に抵抗してビスWが保持されている間は、加えられた引き抜き力に相当する検出トルクがトルクレンチ1の表示盤13に表示される。
このような固定ネジ44を用いると、ラックギヤ31及びチャック2を上方に固定しておいてから試験機Sを試験体Tの上に載せて位置決めすることができる。このようにすると、試験体Tに打ちこまれたビスWの位置確認を容易かつ正確に行うことができる。また、ラックギヤ31を固定しておくと、持ち運びの際に伝動機構ががたつかず、好適である。
次に、本発明の実施形態に係る試験機Sを用いて、試験体Tに打ち込まれたビスWの引き抜き強度確認試験を行う際の測定手順について説明する。
(1)ビスWの種類に応じてチャック2を選択し、ラックギヤ31の下端部に軸着する。また、引き抜き力のレンジに合わせたトルクレンチ1を選択し、その接続部14を、軸32aに嵌合させる。必要であればアダプター34を使用する。
(2)次に、試験体Tの一面に打ち込まれたビスWが脚部42a、42bによって囲まれるように試験機Sを設置する。このときラックギヤ31とチャック2とビスWの頭部中心とが、設置面に対して垂直に重なりあうように位置決めをする。
(3)そして、ビスWの頭部の下側にチャック2の掛止部21を引っ掛ける。
(4)以上の準備の後に、試験者は、持ち手43を片手で掴んで支持体4を設置面上に押えつけながら、もう一方の手でトルクレンチ1のグリップ15を掴み、接続部14を回動軸としてトルクレンチ1を締め付け方向(例えば、図3、図4のA方向)に回動させる力を加え、ビスWに引き抜き力を加える。
(5)そして、ビスWが抜けた後に表示盤13の置き針13bの値から最大トルク値を確認する。
その理由は、以下の通りである。ビスWに加えられた垂直方向の引き抜き力が、ラックギヤ31を介して、平歯車32の軸32aにトルクとして伝達される場合、そのトルクの値は、引き抜き力に平歯車32の基準ピッチ円半径を乗じた値のトルクとなる。そして、上述のように、平歯車32の基準ピッチ円半径は1cmとされている。従って、引き抜き力としてビスWにG(単位はkgf)の大きさの力が加えられると、反力としてラックギヤ31に逆方向のGの大きさの力が加えられ、これにより、軸32aには、Gに基準ピッチ円半径1を乗じた値、すなわちG(単位はkgf・cm)の大きさのトルクが伝達される。このように、引き抜き強度と、検出トルクの値が同一となる。
本実施例のチャック2は、図5(a)に示すように、全体がかぎ状とされ、掛止部21は、いわゆる釘抜きの形状を有している。そして、図5(b)は、同様なチャックの変形例としてのチャック2aである。また、より単純な形状のチャックとして、例えば、図5(c)に示すような形状のチャック20を使用することができる。このチャック20は、コの字状に形成された板材の両端に軸23に軸着するための穴を設けて基部220とし、中央にU字型の切り欠きを設けて掛止部210としたものである。
図5(a)〜(c)のような形状とすると、いずれも軸23の略真下に掛止部210が位置されるので、より簡単にビスWの頭部中心と、試験機Sの設置面に対して垂直に重なりあうように位置させることができる。
また、チャック2は、これらの形状に限定されず、ビスや釘などの締結材に適合した形状であれば、どのようなものであってもよい。そして、例えば、チャック2の基部22が、ラックギヤ31の先端に軸着され、かつその軸に対して回動自在とされていれば、その軸と、チャック2の掛止部21に引っ掛けられたビスWの頭部中心との位置が垂直に重なり合っていなくても、チャック2を所望の角度に傾けた状態でビスWの頭部を掛止することにより、ビスWに対して、その打ち込み面から垂直に引き抜く力を加えることができる。
本実施例の伝動機構は、移動部材及び変換部材としてラックギヤ及び該ラックギヤと歯合する平歯車を用いたものであったが、移動部材及び変換部材は、このような構成に限定されず、直線運動を回転運動に変換するものであれば、どのようなものであってもよい。
例えば、ベルト機構を用いたり、揺動部材を有するリンク機構を用いたものであってもよい。また、変換部材と出力軸とが、間に別の伝動機構を介して連結されるように構成することもできる。
Claims (3)
- 釘またはネジ部材を引き抜くときの引き抜き強度を測定する試験機であって、
前記釘または前記ネジ部材の頭部を掛止して引き抜き力を伝達するチャックと、
該チャックに連結される移動部材、該移動部材の移動に基づき前記釘または前記ネジ部材が貫入された貫入面に対して略平行な回動軸まわりに回動される変換部材、該変換部材を前記貫入面から所定の高さに保持する支持体、を備えた伝動機構と、
前記変換部材に着脱自在に連結されたトルクレンチと、を備え、
前記支持体は、前記釘または前記ネジ部材を囲むように前記貫入面上に設置される脚部を有し、
前記チャックは、前記移動部材の移動に伴って前記貫入面に対して略垂直方向に移動され、
前記トルクレンチは、前記変換部材の回動軸に連結された基端部を支点として自由端部を前記回動軸まわりに回動させることにより、前記引き抜き力の反力に基づいて前記回動軸まわりに出力されるトルクを検出することを特徴とする、試験機。 - 前記伝動機構において、前記移動部材及び前記変換部材は、ラックギヤ及び該ラックギヤと歯合する平歯車からなり、
前記ラックギヤの歯は、前記貫入面と略垂直な面に設けられ、
前記平歯車の回転軸を出力軸としてトルクを出力することを特徴とする請求項1に記載の試験機。 - 前記伝動機構において、前記平歯車の基準ピッチ円半径が1cmとされていることを特徴とする、請求項2に記載の試験機。
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