JP3859328B2 - 木製の水門扉およびそれを用いた水門 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水力発電所、用水路、河川、ダム、湖沼、池等に設置される木製の水門扉および木製の水門扉を用いた水門に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水力発電所や用水路等には、多種、多様な水門扉が設置されている。これらの水門扉は、木製のもの、鋼製のもの等が知られている。木製の水門扉は、積み重ねられた複数本の木製角材を相互に締結することにより、平板状の扉本体が構成されている。隣接する各木製角材の間の接合面には当該接合面を伝っての水漏れを防止するための核木が取り付けられている。扉体本体は、例えば、全ての木製角材を貫通するように上下方向に通された綴りボルトとナットによって、締結された状態となっている。
【0003】
この構成の水門扉では、木製角材と核木との圧接状態をボルトとナットによる締結力によって調整して、接合面からの水漏れを防止している。すなわち、木製角材と核木の圧接状態を強めておき、木製角材や核木が収縮してもそれらの間に隙間が生じないようにしている。
【0004】
ここで、扉本体を構成する材質としては、一般的に桧や米松等が使用される。また、本願人は、特開平9−13349号公報において、扉本体を構成する材質として、耐腐朽性に優れたボンゴシを用いることを提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、扉本体を構成する木製角材の収縮率が大きいと、木製角材と核木の圧接状態を幾ら強くしておいても、或る環境下では木製角材の変形によってそれらの間に隙間が生じてしまう。この結果、接合面を伝っての水漏れが発生する。特に、ボンゴシは乾燥時における収縮率が非常に大きいので、上記の傾向が顕著に現れる。
【0006】
本発明の課題は、上記の点に鑑みて、扉本体を構成する木製角材の収縮率が大きい場合でも、接合面を伝っての水漏れを防止できる木製の水門扉および水門扉を用いた水門を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の木製の水門扉では、積み重ねられた複数本の木製角材を相互に締結することにより、平板状の扉本体が構成され、隣接する各木製角材の間の接合面には当該接合面を伝っての水漏れを防止するための核木が取り付けられている木製の水門扉において、隣接する各木製角材の間の接合面には水漏れ防止手段が配置されており、当該水漏れ防止手段は、前記接合面の長手方向に延びる溝と、この溝に充填された防水性の弾性部材を備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明の木製の水門扉では、木製角材が収縮しても、その収縮した分だけ弾性部材が変形する。このため、木製角材と核木との間に隙間が生じたとしても、接合面に隙間が生じることはない。従って、ボンゴシのように所定の環境下における収縮率が非常に大きい木材を使用した場合においても、接合面を伝っての水漏れを防止できる。このため、設置環境に左右されずに常に優れた遮水性能を発揮できる木製の水門扉を実現できる。
【0009】
弾性部材としては、ゴム、合成樹脂、水膨張性止水材等の膨潤性を備えた部材を用いれば良い。
【0010】
弾性部材が充填される溝は、矩形断面、円形断面、楔形断面のうちの何れかにすることができる。
【0011】
水漏れ防止手段としては、複数本の溝と、各溝に充填された弾性部材と備えたものとすることができる。このようにすることで、接合面を伝っての水漏れを防止する効果をより高めることができる。
【0012】
木製角材としてボンゴシを用いた場合には、耐腐朽性等の耐久性に優れ、信頼性の高い木製の水門扉を提供できる。
【0013】
本発明の木製の水門扉と、水流方向に前記水門扉が移動しないように当該水門扉の左右の端部分を支持している左右の扉支持壁と、前記水門扉の各端部分と対応する前記扉支持壁の間に形成された側部水密部とを有している水門の場合には、水門扉に形成する前記水漏れ防止手段を、左側の前記側部水密部から右側の前記側部水密部を渡るように配置することが望ましい。このような構成とすることにより、水門の遮水性能をより確実なものにできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明を適用した木製の水門扉を説明する。図1(A)および(B)には、それぞれ木製の水門扉の正面図および縦断面図を示してある。また、図2には図1(B)の一部を拡大して示してある。
【0015】
これらの図に示すように、木製の水門扉1は、積み重ねられた複数本の木製角材3を相互に締結することにより、平板状の扉本体2が構成されている。本例では、木製角材3として、ボンゴシを用いている。このため、扉本体2は、耐腐朽性等の耐久性に優れ、信頼性の高いものとなっている。
【0016】
この扉本体2において、互いに平行な2つの表面のうち、一方の表面は水路上流側に配置される上流側扉面2aであり、他方の表面は水路下流側に配置される下流側扉面2bである。
【0017】
この扉本体2は、その上面に綴り板10が配置され、この綴り板10、および全ての木製角材3を貫通するように上下方向に通された4本の綴りボルト11およびそれに対応するナット12によって上下方向から締結されている。
【0018】
本形態では、最も下に位置する木製角材3aには、その下面から上方に向けて切り込まれ、木製角材3aの長手方向に沿って延びる帯状の凹部13が形成されている。この凹部13に綴りボルト11のネジ部が突き出ており、このネジ部にナット12が締め付けられている。凹部13の開口は綴りボルト11にナット12を締め付けた後に角形の埋木14によって封鎖される。
【0019】
なお、綴り板10には吊り金具19が取付けられており、この吊り金具19を利用して水門扉2を上下動させることができる。
【0020】
また、扉本体2は、その上流側扉面2aおよび下流側扉面2bにおける両端部分および中央部分の計3カ所には、ぞれぞれ縦長の綴り板15、16が配置されている。上流側扉面2aに配置された綴り板15、各木製角材3、および下流側扉面2bに配置された綴り板16には、それらを貫通するように複数の綴りボルト17が通されており、下流側扉面2bから突き出た綴りボルト17の先端部であるネジ部にナット18が締め付けられている。すなわち、扉本体2は、綴り板15、16、綴りボルト17、およびナット18によって水平方向から締結されている。
【0021】
隣接する各木製角材3の間の接合面4には、当該接合面4を伝っての水漏れを防止するための核木5が取り付けられている。なお、それぞれの接合面4の構成は同一であるので、以下の説明では、図2を参照にして、最も下に位置する木製角材3aとその上に位置する木製角材3bとの接合面4のみを説明する。
【0022】
接合面4において、その上流側扉面2aに近い部分に核木5を取り付けるための核木取付け部6が形成されている。この核木取付け部6は、上方側に位置する木製角材3bの矩形面4bに形成した断面矩形状の凹部7と、下方側の木製角材3aの矩形面4aの凹部7に対応した位置に形成した断面矩形状の凹部8とから構成されている。これらの凹部7、8は、木製角材3a、3bの長手方向に沿って延びており、木製角材3a、3bの全幅に渡り形成されている。これらの凹部7、8によって構成された核木取付け部6に核木5が嵌め込まれており、接合面4の長手方向に核木5が通り渡された状態となっている。
【0023】
ここで、接合面4には水漏れ防止機構20が配置されている。水漏れ防止機構20は、上方側の木製角材3bの矩形面4bに形成された溝22と、下方側の木製角材3aの矩形面4aに形成された溝21と、これらの溝21、22に充填された防水性の弾性部材24とを備えている。
【0024】
これらの溝21、22は、扉本体2の下流側扉面2bから若干上流側にずれた位置に形成されており、矩形断面となっている。これらの溝21、22は、上下方向において重なっている。また、これらの溝21、22は、木製角材3a、3bの長手方向に延びており、木製角材3a、3bの全幅に渡り形成されている。
【0025】
弾性部材24は、ゴム、合成樹脂、水膨張性止水材等の膨潤性を備えた部材であり、木製角材3a、3bが収縮すると、その収縮した分だけ膨張(変形)する。従って、木製角材3aの矩形面4aと木製角材3bの矩形面4bとは弾性部材24を介して常に密着されたままの状態が維持される。このため、収縮によって木製角材3a、3bと核木5の間に隙間が生じたとしても、接合面4を伝っての水漏れを防止できる。よって、ボンゴシのように所定の環境下における収縮率が大きい木材を使用した場合においても遮水性能に優れた木製の水門扉を提供できる。
【0026】
なお、水漏れ防止機構20の溝は上記の例に限定されるものではなく、図3(A)ないし(E)に示すような溝であっても良い。図3(A)に示すように、半円形断面の溝25、26を双方の木製角材3a、3bの矩形面4a、4bに形成して、これらの溝25、26から円形断面の溝27を構成するようにしても良い。また、図3(B)に示すように、一方の木製角材の矩形面に形成する溝の位置を水平方向にずらして、接合面4の弾性部材24を充填するための2つの独立した溝28、29を形成しても良い。さらに、図3(C)あるいは図3(D)に示すように、片側の木製角材3aの矩形面4aに矩形断面の溝30、あるいは片側の木製角材3aの矩形面4aに半円形断面の溝31を形成しても良い。この場合、上側の木製角材3aの矩形面4aに溝30あるいは31を形成する代わり、下側の木製角材3bに溝30あるいは31を形成しても良いのは勿論である。さらにまた、図3(E)に示すように、扉本体2の下流側扉面2bに接するように楔形断面の溝32を形成しても良い。
【0027】
次に、水門扉を用いた水門40を説明する。図4にはその木製の水門扉40の断面を示してある。なお、図4では、木製角材3を横方向から締結している綴り板15、16、綴りボルト17、およびナット18を省略した状態の水門扉1を示してある。図4に示すように、木製の水門40は、水門扉1と、水流方向に水門扉1が移動しないように当該水門扉1の左右の端部分を支持している左右の扉支持壁41、42と、水門扉1の各端部分と対応する扉支持壁41、42の間に形成形成された側部水密部43、44とを有している。
【0028】
水門扉1に形成されている水漏れ防止機構20の溝21、22は、図面に向かって左側の側部水密部41から図面に向かって右側の側部水密部42に渡るように形成されている。
【0029】
このような水門40では、接合面4に対して側方(図4において矢印Hで示す方向)から水が侵入したとしても、その水の侵入経路には水漏れ防止機構20が介在することになるので、このような経路での水漏れを防止することができる。従って、接合面4を伝っての水漏れを確実に防ぐことができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の木製の水門扉では、接合面に、溝とこの溝に充填された防水性の弾性部材とを備えた水漏れ防止機構を形成するようにしている。従って、扉本体を構成する木製角材が収縮しても、その分だけ弾性部材が変形するので、接合面は常に密着されたままの状態が維持される。このため、ボンゴシのように所定の環境下における収縮率が大きい木材を使用した場合においても接合面を伝っての水漏れを確実に防止できる。よって、設置状況に左右されずに常に優れた遮水性能を発揮できる木製の水門扉を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明を適用した木製の水門扉の正面図、(B)はその概略縦断面図である。
【図2】 図1(B)の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】図2に示す溝とは異なる形状の溝を示す図である。
【図4】本発明を適用した木製の水門扉を用いた水門の概略断面図である。
【符号の説明】
1 木製の水門扉
2 扉本体
3 木製角材
4 接合面
5 核木
21〜23、25〜32 溝
24 弾性部材
40 水門
41、42 支持壁
43、44 側部水密部
Claims (6)
- 積み重ねられた複数本の木製角材を相互に締結することにより、平板状の扉本体が構成され、隣接する各木製角材の間の接合面には当該接合面を伝っての水漏れを防止するための核木が取り付けられている木製の水門扉において、
隣接する各木製角材の間の接合面には水漏れ防止手段が配置されており、
当該水漏れ防止手段は、前記接合面の長手方向に延びる溝と、この溝に充填された防水性の弾性部材とを備えていることを特徴とする木製の水門扉。 - 請求項1において、前記弾性部材は膨潤性を備えていることを特徴とする木製の水門扉。
- 請求項1または2において、前記溝は矩形断面、円形断面、楔形断面のうちの何れかであることを特徴とする木製の水門扉。
- 請求項1ないし3のうちの何れかの項において、前記水漏れ防止手段は、複数本の前記溝と、各溝に充填された弾性部材とを備えていることを特徴とする木製の水門扉。
- 請求項1ないし4のうちの何れかの項において、前記木製角材はボンゴシであることを特徴とする木製の水門扉。
- 請求項1または2に記載の木製の水門扉と、水流方向に前記水門扉が移動しないように当該水門扉の左右の端部分を支持している左右の扉支持壁と、前記水門扉の各端部分と対応する前記扉支持壁の間に形成された側部水密部とを有し、前記水漏れ防止手段は、左側の前記側部水密部から右側の前記側部水密部を渡るように配置されていることを特徴とする水門。
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JP30479197A JP3859328B2 (ja) | 1997-11-07 | 1997-11-07 | 木製の水門扉およびそれを用いた水門 |
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- 1997-11-07 JP JP30479197A patent/JP3859328B2/ja not_active Expired - Fee Related
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