JP3858713B2 - 含シリコーン系熱硬化性組成物 - Google Patents

含シリコーン系熱硬化性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な含シリコーン系熱硬化性組成物、さらに詳しくは、良好な化学性能、物理性能、耐酸性、耐擦り傷性、耐候性、及び外観性を有する硬化物を与えることができるとともに、特に、撥水性、撥油性、耐汚染性、汚染除去性に優れ、例えば、塗料、インク、接着剤、形成品などに好適な含シリコーン系熱硬化性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上塗塗料は、被塗物に意匠性や外観性を与えるために塗布されるものであり、これらの特性に加えて、得られる塗膜には耐候性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐薬品性などの機能が求められてきた。ところが、近年、フッ素樹脂塗料、シリコーン樹脂塗料、ウレタン塗料などの高耐候性塗料が普及し、塗膜の長寿命化が図られるに従って、塗膜に耐汚染性や汚染除去性といった汚染物質に対する抵抗性が求められるようになった。
【0003】
汚染物質に対する抵抗性を左右する因子として1.水や油の接触角、2.耐候性、3.耐酸性、4.表面硬度、5.架橋密度などが挙げられる。
撥水性、撥油性の高い塗膜では、油も水も接触しにくいため汚染物質に対する抵抗性は高い。耐候性、耐酸性が良好な塗膜は表面性能が長期間にわたり安定しているので初期の汚染物質抵抗性を維持する。また、汚れが固体のとき、高硬度の塗膜であれば、汚れがつきささりにくく、汚れは軽減される。汚れが液体や気体のときは、汚れは塗膜中に拡散浸透して固着する。架橋密度が高い塗膜であれば、汚れの拡散を阻害し汚染物質抵抗性は高められる。
【0004】
従来、一般に用いられてきた、ポリオールとメラミン樹脂を主成分とする熱硬化性塗料は耐酸性が十分でなく、酸性雨による浸食を受け、耐汚染性が低下する問題点があった。
塗膜に耐汚染性や汚染除去性を与える技術として、フッ素樹脂を配合して撥水性を付与した塗料が用いられている。しかし、撥水性のみでは親油性の汚れは除去できない問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決し、優れた化学性能、物理性能、耐擦り傷性、耐候性、耐酸性及び外観性を有する硬化物を与えるとともに、特に、撥水性、撥油性に優れ、耐汚染性、汚染除去性が良好な硬化物を与える、含シリコーン系熱硬化組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する含シリコーン系熱硬化性組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、分子中に1個以上反応性官能基を有するシリコーン化合物、分子中に化学的にブロックされたカルボキシル基を2個以上有する化合物、分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物を必須成分とし、さらに、場合により、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を含有してなる含シリコーン系熱硬化性組成物を使用することにより、特に、耐酸性、撥水性、撥油性、耐汚染性、及び汚染除去性に優れ、かつ良好な化学性能、物理性能、耐擦り傷性、耐候性、及び優れた外観性を有する硬化物を与えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下(1)〜(5)によって特定される。
(1)分子中に1個以上の反応性官能基を有するシリコーン化合物((A)成分)、
分子中に式(1)(化3)で表される化学的にブロックされたカルボキシル基を2個以上有する化合物((B)成分)、
【0008】
【化3】
Figure 0003858713
(式中R、R及びRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基であって、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原子またはイオウ原子である)
及び分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物((C)成分)、
を含有することを特徴とする含シリコーン系熱硬化性組成物。
【0009】
(2)さらに、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒((D)成分)を含有することを特徴とする、(1)記載の含シリコーン系熱硬化性組成物。
(3)(A)成分の反応性官能基がエポキシ基である(1)又は(2)記載の含シリコーン系熱硬化性組成物。
(4)(A)成分の反応性官能基がカルボキシル基である(1)又は(2)記載の含シリコーン系熱硬化性組成物。
(5)(A)成分の反応性官能基が、式(2)(化4)で表される化学的にブロックされたカルボキシル基である(1)又は(2)記載の含シリコーン系熱硬化性組成物。
【0010】
【化4】
Figure 0003858713
(式中R、R及びRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基であって、RとRはたがいに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原子またはイオウ原子である)
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物としては、分子中に式(5)(化5)で表される構造を有するポリオルガノシロキサン構造を有し、さらに、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、イソシアネート基、カーバメイト基、オキサゾリジン基などの官能基もしくはそのブロック体を1個以上有する化合物である。このうち官能基としてはカルボキシル基、水酸基、式(2)で表される化学的にブロックされたカルボキシル基が望ましい。
【0012】
【化5】
Figure 0003858713
(式中、R及びR10はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基を表す)
【0013】
上記、官能基を有する化合物の具体的な例として以下に示される市販品が挙げられる。
分子中に水酸基を1個以上有するシリコーン化合物としては、信越化学工業社製の商品名X−22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003等の両末端反応性シリコーン化合物が挙げられ、信越化学工業社製の商品名X−22−170DX等の片末端反応性シリコーンが挙げられる。
【0014】
分子中にエポキシ基を1個以上有するシリコーン化合物としては、信越化学工業社製の商品名KF−105、X−22−163A、X−22−163B、X−22−163C等の、また東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のBY16−855D等の両末端反応性シリコーンが挙げられる。
【0015】
分子中にカルボキシル基を1個以上有するシリコーン化合物としては、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のBY16−750、信越化学工業(株)製の商品名X−22−162C等の両末端反応性シリコーンが挙げられる。
これらの市販品は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
また、上記官能基を有する化合物は反応性シリコーンと他の化合物との合成品でもよい。
分子中にエポキシ基を1個以上有するシリコーン化合物の合成品は、分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物とカルボキシル基を有するシリコーン化合物を反応させるか、または、両末端にエポキシ基を有するシリコーン化合物とカルボキシル基を有する化合物を反応させることで得られる。また、ビニル基を有する反応性シリコーン化合物とエポキシ基を有するα,β−不飽和単量体との共重合、または、ビニル基を有する反応性シリコーン化合物、水酸基を有するα,β−不飽和単量体、水酸基を有さないその他のα,β−不飽和単量体との共重合により得られる。
【0017】
分子中に1個以上のカルボキシル基を有するシリコーン化合物の合成品は、例えば、1)多価カルボン酸と水酸基またはエポキシ基を有する反応性シリコーンを反応させる、2)分子中に水酸基を2個以上有する化合物と酸無水物とをハーフエステル化し、生じたカルボキシル基を1分子当たり1個以上残し、残りのカルボキシル基に水酸基またはエポキシ基を持つシリコーン化合物を反応させる、3)分子中に水酸基を2個以上有する化合物とカルボキシル基を持つシリコーン化合物を1分子中に水酸基が1個以上残るように反応させ、残りの水酸基を酸無水物でハーフエステル化する、4)ポリイソシアネート化合物とヒドロキシカルボン酸またはアミノ酸とを付加し、生じたカルボキシル基を1分子当たり1個以上残して、残りのカルボキシル基に水酸基またはエポキシ基を持つシリコーン化合物を反応させる、5)ポリイソシアネート化合物と水酸基またはアミノ基を有するシリコーン化合物を1分子中にイソシアネート基が1個以上残るように付加させ、残りのイソシアネート基とヒドロキシカルボン酸またはアミノ酸とを付加させる、6)分子中に水酸基とカルボキシル基を有する化合物と水酸基を有するシリコーン化合物を反応させる、7)カルボキシル基含有α,β−不飽和単量体を単独重合またはその他のα,β−不飽和単量体と共重合させ、1分子中に1個以上カルボキシル基が残るようにシリコーン化合物を反応させる、8)分子中に1個以上の水酸基を有するポリオールと両末端にカルボキシル基を持ったシリコーン化合物を反応させる、9)カルボキシル基と反応できる官能基を有するα,β−不飽和単量体を単独重合またはその他のα、β−不飽和単量体と共重合し、両末端にカルボシキル基を持ったシリコーン化合物を反応させる、等の方法により得られる。
【0018】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられる分子中に水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、水添ビスフェノールA、シクロヘキサン−1,4−ジオール、レゾルシン、グリセリン、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,3,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の多価アルコール、これらの多価アルコールとγ−ブチロラクトンやε-カプロラクトンなどのラクトン化合物との開環付加体やこれらの多価アルコールを含むポリエステル等を挙げることができる。
【0019】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられるカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベへン酸のような1価カルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などの多価カルボン酸、これらのカルボン酸化合物を含む化合物、また、カルボキシル基含有α,β−不飽和単量体であるアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸の重合体、もしくはその他のα,β−不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。また、上記分子中に水酸基を2個以上有する化合物と多価カルボン酸の酸無水物とをハーフエステル化することによっても得られる。
【0020】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられる酸無水物としては、例えば、コハク酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸などの多価カルボン酸の酸無水物を挙げることができる。
【0021】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられる分子中に水酸基とカルボキシル基を有する化合物としては例えば、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、水酸基とカルボキシル基を有するポリエステル化合物、水酸基とカルボキシル基を有するアクリル化合物等を挙げることができる。
【0022】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられるビニル基を有する反応性シリコーン化合物としては信越化学工業社製の商品名X−24−8201、X−22−174DX、X−22−2426、チッソ株式会社製の商品名サイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725、TM−0701、TM−0705等が挙げられる。
【0023】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられる水酸基を有するα,β−不飽和単量体としては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられる水酸基を有さないα,β−不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリル酸のC1〜C18のアルキルエステル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステル、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素アルキルエステル、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートのアミノアルキルエステル、アクリルアミド、アクリルニトリル等が挙げられる。
【0025】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられる分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスイソシアヌレート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル等のジエポキシ化合物が挙げられる。
【0026】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられるポリイソシアネート化合物としてはトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化メチレンシクロヘキシルイソシアネート、水素化メチルシクロヘキサンジイソシアネート、水素化イソシアネートメチルシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、これらのポリイソシアネートのイソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体であっても良い。
【0027】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられるエポキシ基を有するα,β−不飽和単量体としては例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート単量体が挙げられる.
【0028】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられるカルボキシル基含有α,β−不飽和単量体としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
【0029】
(A)成分の、分子中に反応性官能基を1個以上有するシリコーン化合物を製造する場合に用いられるその他のα,β−不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のC1〜C18のアルキルエステル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステル、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素アルキルエステル、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートのアミノアルキルエステル、アクリルアミド、アクリルニトリル等が挙げられる。
以上述べた各化合物は一種単独で用いても、複数種類用いてもよい。
【0030】
また、分子中に式(2)(化6)で表される化学的にブロックされたカルボキシル基を1個以上有するシリコーン化合物は、上記の分子中にカルボキシル基を1個以上有するシリコーン化合物のカルボキシル基と式(3)(化7)のビニルエーテル化合物、ビニルチオエーテル化合物、あるいは酸素原子またはイオウ原子をヘテロ原子とするビニル二重結合をもつ複素環式化合物を反応してブロックすることにより、容易に得られる。
【0031】
【化6】
Figure 0003858713
【0032】
【化7】
Figure 0003858713
(式(2)及び式(3)において、R、R及びRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基であって、RとRはたがいに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原子またはイオウ原子である)
【0033】
カルボキシル基と前記式(3)で表される化合物との反応は、通常酸性触媒の存在下、室温〜100℃の範囲の温度において行われる。
【0034】
前記式(2)及び(3)において、R、R及びRの好ましいものとしては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基であり、Rの好ましいものとしては、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基である。
【0035】
前記式(3)で表される化合物の具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、ter−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどの脂肪族ビニルエーテル化合物及びこれらに対応する脂肪族ビニルチオエーテル化合物などが挙げられる。
【0036】
本発明において(B)成分は、分子中に式(1)(化8)で表される化学的にブロックされたカルボキシル基を2個以上有する化合物である。
【化8】
Figure 0003858713
(式中R、R及びRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基であって、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原子またはイオウ原子である)
【0037】
式(1)のブロックされたカルボキシル基はカルボキシル基と式(4)(化9)で表されるビニルエーテル化合物、ビニルチオエーテル化合物、あるいは酸素原子またはイオウ原子をヘテロ原子とするビニル二重結合をもつ複素環式化合物との反応により、容易に形成することができる。
【化9】
Figure 0003858713
(式中R、R及びRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基であって、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原子またはイオウ原子である)
【0038】
カルボキシル基と前記式(4)で表される化合物との反応は、通常酸性触媒の存在下、室温〜100℃の範囲の温度において行われる。
【0039】
前記式(1)及び(4)において、R、R及びRの好ましいものとしては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基であり、Rの好ましいものとしては、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基である。
【0040】
前記式(4)で表される化合物の具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、ter−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどの脂肪族ビニルエーテル化合物及びこれらに対応する脂肪族ビニルチオエーテル化合物などが挙げられる。
【0041】
(B)成分を製造する場合に用いられる分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物としては、コハク酸、アジピン酸等の炭素数2〜22の脂肪族多価カルボン酸、フタル酸等の芳香族多価カルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸等の脂環式多価カルボン酸、及び分子中にカルボキシル基を2個以上有するポリエステル樹脂、アクリル樹脂、マレイン化ポリブタジエン樹脂などが挙げられる。また、前記分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物は、例えば、1)1分子あたりヒドロキシル基2個以上を有するポリオール化合物と酸無水物とをハーフエステル化する、2)1分子当たりイソシアネート基2個以上を有するポリイソシアネート化合物とヒドロキシカルボン酸またはアミノ酸とを付加させる、3)カルボキシル基含有α,β−不飽和単量体を単独重合またはその他のα,β−不飽和単量体と共重合させる、4)カルボキシル基末端のポリエステルを合成する、等の方法によっても得られる。これらのうち、1)1分子中あたりヒドロキシル基2個以上を有するポリオール化合物と酸無水物とをハーフエステル化させたもの、及び、3)カルボキシ含有α,β−不飽和単量体を単独重合またはその他のα,β−不飽和単量体と共重合したものが好ましい。
【0042】
ここで、1)の方法に用いられるポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、水添ビスフェノールA、シクロヘキサン−1,4−ジオール、グリセリン、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,3,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の多価アルコール、これらの多価アルコールとγ−ブチロラクトンやε-カプロラクトンなどのラクトン化合物との開環付加体などを挙げることができる。ポリオールと反応させる酸無水物としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などの多価カルボン酸の酸無水物を挙げることができる。
【0043】
また、3)の方法に用いられるカルボキシル基含有α,β−不飽和単量体としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。また、その他のα,β−不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリル酸のC1〜C18のアルキルエステル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステル、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素アルキルエステル、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートのアミノアルキルエステル、アクリルアミド、アクリルニトリル等が挙げられる。
以上の化合物は一種単独で用いても、複数種類用いてもよい。
また、2)の方法に用いられるポリイソシアネート、ヒドロキシカルボン酸は、(A)成分の製造に用いられるポリイソシアネート、ヒドロキシカルボン酸が用いられる。
【0044】
本発明において(C)成分は、エポキシ基を有するα,β−不飽和単量体を単独重合、または、場合により他のα,β−不飽和単量体を共重合させることにより得られる。
エポキシ基を有するα,β−不飽和単量体としては、末端に不飽和基を有し、かつ1分子中に1個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限はない。この1分子中に1個以上のエポキシ基を有するα,β−不飽和単量体の具体例としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート単量体が挙げられる。これらは一種単独で用いても、または複数種類用いてもよい。その他のα,β−不飽和単量体としては(A)成分、(B)成分の説明において記載したものと同様なものが挙げられる。
【0045】
(C)成分の化合物の平均分子量は制限なく用いることができる。また、(C)成分の化合物のエポキシ当量は200〜2000g/molが好ましく、250〜1000g/molが好ましい。本発明の熱硬化性組成物においては、(C)成分の化合物は1種用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
【0046】
本発明の熱硬化性組成物において、(A)成分と(B)成分中の式(1)及び式(2)の化学的にブロックされたカルボキシル基並びにカルボキシル基の合計量と(C)成分中のエポキシ基のモル比が、0.2:1.0〜1.0:0.2の割合になるように各成分を含有させることが望ましい。前記の割合の範囲を外れると、架橋反応が不十分となり、塗膜性能が低下する。
また、(A)成分の官能基がエポキシ基、カルボキシル基、または式(2)で表される化学的にブロックされたカルボキシル基の場合は、(A)成分と(B)成分+(C)成分の割合が、重量比で0.01:1〜1:0.1であることが好ましい。(A)成分が(B)成分+(C)成分との重量比で0.01:1より小さいと、充分な撥水性、撥油性が得られない。また、(A)成分が(B)成分+(C)成分との重量比で1:0.1より大きいと、架橋が不十分となり、塗膜性能が低下する。
さらに、(A)成分がエポキシ基、カルボキシル基、または式(2)で表される化学的にブロックされたカルボキシル基以外の官能基を有する場合は、(A)成分と(B)成分+(C)の割合は、重量比で0.01:1〜1:1が好ましい。(A)成分が(B)成分+(C)成分との重量比で0.01:1より小さいと、充分な撥水性、撥油性が得られない。また、(A)成分が(B)成分+(C)成分との重量比で1:1より大きいと、架橋が不十分となり、塗膜性能が低下する。
【0047】
(D)成分として加熱硬化時に活性を示す熱潜在化触媒を含有させることができる。この熱潜在化触媒は、80℃以上の温度において、酸触媒活性を示す化合物が好ましい。該(D)成分の熱潜在化触媒としては、プロトン酸、ルイス酸、プロトン酸をルイス酸塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスファイトの混合物、ルイス酸とジアルキルスルフィドの混合物、スルホン酸エステル類、リン酸エステル類、及び、オニウム化合物類が好ましく挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、混合して用いても良い。
(D)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100重量部当たり、0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
【0048】
また、本発明の熱硬化性組成物には、上記成分以外に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等の酸化防止剤、有機樹脂微粒子、脂肪酸アマイド系ワックス、ポリアマイド系ワックス、ポリエチレン系ワックス、酸化ポリエチレン系ワックス、シリカ、有機ベントナイト、尿素化合物系粘性調整剤等の粘性調整剤、シリコーン系表面処理剤、ビニル化合物系表面調整剤等の表面調整剤、シリコーン系消泡剤、ビニル化合物系消泡剤等の消泡剤を適宜配合することができる。また、着色顔料として、酸化チタン、亜鉛華、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、カーボンブラック等の無機系着色顔料、フタロシアニンブルー、スレンブルー、フタロシアニングリーン、不溶性アゾ、溶性アゾ、ペリレン、キナクリドンレッド、チオインジゴレッド、ジオキサジンバイオレッド、アンスラピリミジンイエロー、キノフタロンイエロー等の有機系着色顔料、光輝剤としてアルミニウム紛、ニッケル紛、パールマイカ等を適宜配合することができる。
【0049】
本発明の熱硬化性組成物には、溶剤を配合することができる。溶剤は、水、有機溶剤等が使用できる。有機溶剤の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族石油ナフサ、テトラリン、テレビン油、ソルベッソ#100(エクソン化学(株)登録商標)、ソルベッソ#150(エクソン化学(株)登録商標)等の芳香族炭化水素、ヘキサン、へブタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、メチルエーテル、酢酸メトキシブチル等のエステル及びエーテルエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メチルイソアミルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソプロピル等のケトン類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類、ジメチルスルオキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これら有機溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0050】
本発明の含シリコン系熱硬化組成物は、金属素材、樹脂素材等の被覆物に塗布する上塗り塗料に用いることができる。本発明の含シリコン系熱硬化組成物は、被塗物上に上塗り塗料としてそのまま塗布されるか、あるいは下塗り塗膜、中塗り塗膜上に塗布される。塗布仕様としては、単独の1コート塗装、ベースコートとの組合せでの2コート塗装、3コート塗装あるいは上塗り塗膜上のオーバーコート塗装が可能である。本発明の含シリコン系熱硬化組成物は、クリヤー塗料として、また顔料あるいは光輝材を含むエナメル塗料として使用することができる。
【0051】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
実施例及び比較例に用いた(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分は以下に示したものである。
(A)成分
(A−1)成分
グリセロール/X−22−162C(商品名、信越化学工業(株)製)官能基当量2330、両末端カルボキシル基反応性シリコーン)=2/98(重量%)の反応物の酢酸ブチル溶液(固形分60%)
【0052】
(A−2)成分
グリシジルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/n−ブチルメタアクリレート/X−24−8201(商品名、信越化学工業(株)製)、官能基当量2000、片末端ビニル基反応性シリコーン)=13/57/20/10(重量%)の共重合体のキシレン溶液(固形分60%)
【0053】
(A−3)成分
X−22−162C(商品名、信越化学工業(株)製)、官能基当量2330、両末端カルボキシル基反応性シリコーン)のカルボキシル基をn−ブチルビニルエーテルで化学的にブロックした樹脂のキシレン溶液(固形分45%、樹脂成分のブロック化カルボキシル基当量2430g/mol)
【0054】
(B成分)
トリメチロールプロパン/無水コハク酸=25/75(モル%)の反応物で生成したカルボキシル基を同モル量のn−ブチルビニルエーテルで化学的にブロックした樹脂のキシレン溶液(固形分45%、樹脂成分のブロック化カルボキシル基当量245g/mol、数平均分子量730)
【0055】
(C)成分
グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/ブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/スチレン=40/20/10/15/15(重量%)の共重合体のキシレン溶液(固形分60%、樹脂成分のエポキシ基当量355g/mol、数平均分子量5000)
(D)成分
p−トルエンスルホン酸の10%キシレン溶液。
【0056】
クリヤー塗料の製造
容器に表1(表1)に記載されているクリヤー塗料の各成分の配合量を、ホモディスパーで20分間撹拌して、クリヤー塗料を製造した。
【0057】
【表1】
Figure 0003858713
【0058】
試験板の作成
化成処理されたダル鋼板に、カチオン電着塗料アクアNo.4200(商品名、日本油脂BASFコーティングス(株)製)を乾燥膜厚が20μmになるように塗装し、170℃20分間焼付、塗膜を硬化させた後、中塗り塗料としてハイエピコNo.500(商品名、日本油脂BASFコーティングス(株)製)を乾燥膜厚が35μmになるように塗装し、140℃で20分間焼付て被塗物とした。次いで、ベルコートNo.6000シルバーメタリックベースコート塗料(商品名、日本油脂BASFコーティングス(株)製)を上記被塗物上に乾燥膜厚が13μmとなるように塗装した。3分間常温で放置した後、上記の方法で作成したクリヤー塗料を乾燥膜厚が35μmとなるように塗装した。この塗装鋼板を常温で10分間放置した後、140℃30分間焼き付けて硬化塗膜を得た。
【0059】
上記の方法で得られた上塗り塗膜の塗膜性能試験を以下の手法で行った。その結果を表2(表2)に示した。
(1)塗膜硬度:JIS K5400 8.4.1試験機法により塗膜硬度を測定し、塗膜のすり傷による評価を行った。
(2)耐湿性:JIS K5400 9.2.2回転式法で120時間の試験を行い、試験終了後、目視で塗膜の状態を観察した。
(3)密着性:JIS K5400 8.5.2碁盤目テープ法により、付着性の試験を行い、評価点6点以上を合格、評価点に達しないものを不合格とした。(4)耐酸性:40%硫酸2mlを試験板上にスポット上に乗せ、60℃で30分間放置後、塗膜の異常を目視で判定した。
【0060】
(5)耐擦傷性:関東ローム層土(試験用ダスト8種JIS Z8901)の20%水縣濁液1mlを、2×2cmのネル布に塗布したものを摩擦試験機(太佑機械製)の反復運動ヘッド部に装置し、硬化塗膜上で加重50g下で20往復させて塗膜に擦り傷を発生させた後、色差計(SM−7型、スガ試験機製)により明度L*値を測定し、初期値との明度差ΔL*値を算出した。この色差ΔL*が15以下の場合を合格、15を越えた場合を不合格とした。
(6)耐候性:JIS D0205 2.2.1促進耐候性試験(3)の紫外線蛍光灯式耐候性試験機を使用し、試験時間2000時間後の塗膜の割れの有無を観察した。
(7)仕上がり外観性:目視により塗膜外観性を評価した。
(8)撥水性:協和界面化学製接触角計(CA−Z型)を用いて、水の接触角を測定し、接触角が85°以上の場合を合格とした。
(9)撥油性:協和界面化学製接触角計(CA−Z型)を用いて、キシレン、及びオレイン酸の接触角を測定した。接触角はキシレンの場合8°以上、オレイン酸の場合20°以上を合格とした。
【0061】
(10)汚染性:JIS K−5400(1990)9.9耐侯性試験に準じて、屋外にて3ヶ月暴露後、塗膜の未洗浄面の色(JIS K−5400(1990)7.4.2計測法)を測定し、暴露後のL値から未暴露時のL値を引くことによりΔL値を算出し、次の基準の基に判定した。
○:ΔL値が3未満
△:ΔL値が3以上、6未満
×:ΔL値が6以上
【0062】
【表2】
Figure 0003858713
【0063】
【発明の効果】
本発明の含シリコーン系熱硬化性組成物は、優れた化学性能、物理性能、耐擦り傷性、耐候性、耐酸性及び外観性を有し、特に、撥水性、撥油性に優れ、耐汚染性、汚染除去性が良好な硬化物を与えることができ、例えば、塗料、インク、形成品、接着剤などに好適に用いられる。

Claims (2)

  1. 式(2)(化1)で表される化学的にブロックされた末端がカルボキシル基である反応性シリコーン化合物((A)成分)、
    Figure 0003858713
    (式中R 、R 及びR はそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、R は炭素数1〜18の有機基であって、R とR はたがいに結合してY をヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、Y は酸素原子またはイオウ原子である)
    分子中に式(1)(化2)で表される化学的にブロックされたカルボキシル基を2個以上有する化合物((B)成分)、
    Figure 0003858713
    (式中R、R及びRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基であって、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原子またはイオウ原子である)
    及び、分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物((C)成分)を含有することを特徴とする含シリコーン系熱硬化性組成物であって、
    (B)成分を製造する場合に用いられる分子中に2個以上のカルボキシル基を含有する化合物が、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、水添ビスフェノールA、シクロヘキサン−1,4−ジオール、グリセリン、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,3,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールから選ばれた少なくとも一種の多価アルコール、又はこれらの多価アルコールとγ−ブチロラクトン及びε−カプロラクトンから選ばれた少なくとも一種のラクトン化合物との開環付加体とコハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸及びヘキサヒドロフタル酸から選ばれた少なくとも一種の多価カルボン酸の酸無水物とのハーフエステル化物、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸から選ばれた少なくとも一種のカルボキシル基含有α,β−不飽和単量体の単独重合体、又はこれらのカルボキシル基含有α,β−不飽和単量体と(メタ)アクリル酸のC1〜C18のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステル、ベンジル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニル芳香族化合物、(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル、アクリルアミド及びアクリルニトリルから選ばれた少なくとも一種のα,β−不飽和単量体との共重合体であり、
    (C)成分が、グリシジル(メタ)アクリレート及びメチルグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれた少なくとも1種のエポキシ基含有(メタ)アクリレート単量体の単独重合体、又はこれらのエポキシ基含有(メタ)アクリレート単量体と(メタ)アクリル酸のC1〜C18のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステル、ベンジル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニル芳香族化合物、(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル、アクリルアミド及びアクリルニトリルから選ばれた少なくとも一種のα,β−不飽和単量体との共重合体である、
    含シリコーン系熱硬化性組成物。
  2. さらに、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒((D)成分)を含有することを特徴とする、請求項1記載の含シリコーン系熱硬化性組成物。
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