JP3858688B2 - 鋼管内面圧延ロールの潤滑方法 - Google Patents
鋼管内面圧延ロールの潤滑方法 Download PDFInfo
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【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管内面圧延ロールの潤滑方法に係わり、特に、管状に成形した鋼帯の突き合わせた端部同士を圧接(拡散溶接)して製造した圧接鋼管の内面を平滑にする装置の連続運転時間を延長する技術である。
【0002】
【従来の技術】
固相圧接鋼管は、図2に示す工程を経て製造される。すなわち、最終的にフィンパスロール1で管状に成形した鋼帯の端部同士を互いに突き合わせ、該突き合せ部分(オープンシーム部ともいう)を高周波電流誘導コイル2で加熱した後、スクイズロール3なる加圧装置で圧接する。その際、鋼管内面の圧接された部分(以下、シーム部6という)には、図3(c)に示すような肉の盛り上がった部分(以下、盛り上がり部という)4が形成されることが多い。なお、この盛り上がり部4は、鋼管5の長手方向に直線状に形成される。そして、かかる盛り上がり部4が存在すると、その鋼管5は、高寸法精度を要求されるボイラーチューブ等の素管には適用できなくなる。そのため、以前より対策が検討され、前記シーム部6がまだ高温状態にあるうちに該盛り上がり部4を圧延で潰して平滑にする技術が、多々公開されている(例えば、特公平1−42768号、特公平2−29439号、特開昭62−137184号、特開平10−296493号の各公報参照)。
【0003】
これら公報に記載の技術は、いずれも、図3(a)及び(b)より明らかなように、管外にガイドロール7なる外面押え手段を、管内に内面圧延ロール8(1個の上ロール及び2個の下ロール)を配置し、内外のロール間を通過する前記シーム部6等を圧延して、内面を平滑にするものである。
【0004】
ところで、この内面圧延ロール8は、図1(a)〜(c)に示すように、箱状の支持部材10の側壁に軸受11を設け、その軸受11で支持すると共に、回転するように形成されている。また、軸受11と内面圧延ローラ8との間隙12には、配管13及びノズル14を介してグリースが供給され、潤滑を行っている。
【0005】
しかしながら、従来の内面圧延ローラ8の軸受11では、潤滑のため供給した前記グリースが固着して、該ローラ8が回転しなくなる現象が起きる。また、この固着は、前記ノズル14の先端でも起き、グリースの供給ができなくなる。そのため、現在の内面圧延装置は、固着したグリースの除去や軸受11の交換のため、平均8時間程度の連続運転しかできず、生産性向上を阻害するばかりでなく、生産コストを上昇させている。さらに、この内面平滑工程より後流で行われる工程では、管内に付着した余剰のグリースが燃焼し、管の先尾端から黒煙が噴出し、管端位置を検出するセンサの誤作動を引き起こすという別の問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑み、内面圧延ローラの軸受での潤滑油の固着を低減し、鋼管内面圧延装置の連続運転時間を従来より延長可能な鋼管内面圧延ロールの潤滑方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため、潤滑油の種類及びその供給手段に着眼して鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。
【0008】
すなわち、本発明は、圧接された鋼管のシーム部を内面側から圧延して平滑にする内面圧延ロールを支え、面圧が8MPa以上になる軸受を潤滑するに際して、潤滑油として粘度の温度依存性が小さいものを使用し、該潤滑油を前記軸受へ、空気で間欠的に加圧しショット数が10〜20回/分のミスト状にして供給することを特徴とする鋼管内面圧延ロールの潤滑方法である。
【0009】
本発明によれば、鋼管の内面圧延ロールの軸受けに供給した潤滑油が固着しなくなり、該ロールが円滑に作動するようになる。また、余剰の潤滑油が管内に残ることがなく、後工程での管端位置を検出するセンサの誤作動を引き起こすことも解消される。その結果、従来はたびたび起きていた鋼管内面圧延装置の臨時停止の頻度が減り、連続運転時間が平均24時間まで延長され、生産性が向上するようになった。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、発明をなすに至った経緯をまじえ、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
鋼管内面圧延装置は、図2に示した圧接装置の後流に配置されて、連続的に移動して来た鋼管5の前記シーム部6の内面側を圧延するものである。鋼管5は、図3(a)〜(b)に示したように、シーム部6を上方にして低速度で走行している。かかる状況において、該鋼管5の一端から内部に、長尺な棒体の先端に設けた内面圧延ロール8を備えた支持部材10を挿入し、その内面圧延ロール8と前記ガイドロール7とでシーム部6を挟み、該シーム部6の内面を圧延する。なお、内面圧延ロール8は、セラミックス製で鋼管内面に接する部分(本体)とロール軸15とが一体になったものであり、鋼管5の上方側内面に1個、下方側内面に2個配置されるようになっている。また、これら内面圧延ロール8を支持する支持部材10の側壁には、図1(b)及び(c)に示したように、軸受11が設けてある。
【0012】
この軸受11には、SKD61(熱間ダイス鋼)タイプのものが使用されており、前記したように、ロール軸15との潤滑にノズル14を介してグリースを供給するようにしてある。また、この軸受11は、前記ロール軸15を受ける面積が小さく、その部分の面圧は8MPaと大きいのが特徴である。さらに、回転中に軸受11の上方面側に生じるロール軸15との隙間12が0.12mmと狭いため、潤滑に用いるグリースが該隙間12に入り難い傾向があった。
【0013】
まず、発明者は、従来の問題点であるグリースが固着する原因について検討した。その結果、軸受11の温度は300℃まで上昇するが、グリースでは該軸受11を冷却する効果がなく、温度上昇によりグリースの基油(鉱油)の部分が増稠剤部分(石鹸系物質)と分離して揮発し、増稠剤だけが軸受11に残り、潤滑機能が失われる。そして、この増稠剤が混入してきたスケール(酸化鉄)と一緒になって、前記隙間12やグリースを供給するノズル14の先端に固着することがわかった。
【0014】
そこで、発明者は、グリースに代える別の潤滑油を選定するため、種々検討を行った。その結果、大きな面圧を受けても強靭な油膜を形成し、且つ300℃の温度でも炭化し難いばかりでなく、粘度の温度による変化が少ないものが良いと結論した。具体的には、モービルグライゴイル(商品名)等が適切であることがわかった。
【0015】
次に、そのような潤滑油を軸受11に供給する手段についても検討を行った。そして、潤滑油を単に圧縮空気で供給するオイルエア潤滑方式か、潤滑油の粒子を微細化して供給するオイルミスト潤滑方式のいずれかが良いと判断した。前者のオイルエア潤滑方式は、外部から異物(スケール等)が混入し難く、油膜が形成され易い特徴があり、後者のオイルミスト潤滑方式は、冷却作用があって潤滑する部分の冷却効果が期待できるからである。そして、引き続き検討を重ねたところ、オイルエア方式は、潤滑油の粒子が大きな状態で配管の内壁を伝わって空気と分離して搬送されるものが多いためか、配管途中に分岐するところがあると(図1(a)参照)、各分岐配管9への搬送量が定まらず安定しない傾向があった。これに対して、オイルミスト方式は、潤滑油の粒子が微細化されているので、空気中に浮遊状態で搬送され、途中に分岐があってもそれぞれの潤滑油供給用のノズル14に所望量が安定して行きわたることが確認された。そこで、本発明では、後者のオイルミスト方式を採用することにした。
【0016】
しかしながら、潤滑油を定常的にミスト化して供給しても、油量が適切でないためか潤滑が好ましく行われなかった。そこで、発明者は、ミストの供給について鋭意検討を行ったところ、間欠的な供給が良いことを見出した。つまり、ミストの発生に時間差をつけるようにしたのである。具体的には、ミストの発生装置から1分間あたりにミストを何回発生させるか(これをショット数という)を制限するようにしたのである。そして、多くの実験を重ね、そのショット数が10〜20回/分の範囲にあれば、潤滑油の固着がなく、且つ潤滑がうまくいくことを知り、このショット数を要件に本発明を完成させた。なお、ショット数を上記のように10〜20回/分としたのは、10回/分未満では、油量が少な過ぎて油膜が十分に形成されず、20回/分超えでは油量が多すぎて経路途中で引っ掛かり潤滑に不都合であったからである。なお、好ましくは13〜17回/分がさらに良好である。また、ミストの発生装置には、TACO株式会社製のミクロンルブ潤滑ユニット(MC5シリーズ)を利用した。
【0017】
【実施例】
図2に示した固相圧接鋼管の製造ラインで、鋼種STK400の鋼帯を用いて、鋼管の走行速度110m/minで、サイズが外径146mm,肉厚3.0mmの固相圧接鋼管を連続的に製造した。その際、該製造ラインに配設した図1に示した内面圧延装置で、圧接後の鋼管の内面圧延を行い、平滑にした。なお、この場合、潤滑油は、100℃での粘度がVG12〜30程度のものとし、該潤滑油の供給手段には、前記したミスト発生装置を設けた図1に示した配管13を利用した。また、潤滑油の供給に用いた空気の流量は、200リットル/分 at100kPaで、その圧力は150〜200kPaの範囲で30秒毎に変化させた。
【0018】
その結果、内面圧延ロール8の軸受11に生じる潤滑油の固着は、従来に比べて著しく減少した。そして、その平均的な連続運転時間は24時間まで延長された。また、製品内面の平滑状況は、肉厚測定で判断し、製品としての平均合格率で評価した。従来の内面圧延装置を用いた場合と比較した合格率及び生産性を表1に示す。表1より、本発明に係る内面圧延ロールの潤滑方法の採用で、製品合格率は従来より格段と向上し、且つ生産性も飛躍的に伸びることが明らかである。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、鋼管内面圧延ロールの軸受において、潤滑油の固着が従来より減少して、該ロールが安定して回転するようになった。その結果、鋼管内面ビードの平滑化が安定して行なえるようになると共に、圧接鋼管製造ラインの臨時停止も減り、平均24時間の連続運転が可能になり、生産性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼管内面圧延装置の詳細を示す図であり、(a)は、全体、(b)は(a)のA−A矢視、(c)は(a)のB−B矢視及びC−C矢視である。
【図2】固相圧接鋼管の製造ラインの一部を示す図である。
【図3】鋼管内面圧延装置を模式的に示す図であり、(a)は縦断面,(b)は(a)のA−A矢視,(c)は、(a)のB−B矢視である。
【符号の説明】
1 フィンパスロール
2 電気抵抗、あるいは高周波電流誘導コイル
3 スクイズロール
4 盛り上がり部
5 鋼管
6 シーム部
7 ガイドロール
8 内面圧延ロール
9 分岐配管
10 支持部材
11 軸受
12 間隙
13 配管
14 ノズル
15 ロール軸
Claims (1)
- 圧接された鋼管のシーム部を内面側から圧延して平滑にする内面圧延ロールを支え、面圧が8MPa以上になる軸受を潤滑するに際して、
潤滑油として粘度の温度依存性が小さいものを使用し、該潤滑油を前記軸受へ、空気で間欠的に加圧しショット数が10〜20回/分のミスト状にして供給することを特徴とする鋼管内面圧延ロールの潤滑方法。
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JP2001388731A JP3858688B2 (ja) | 2001-12-21 | 2001-12-21 | 鋼管内面圧延ロールの潤滑方法 |
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JP2001388731A JP3858688B2 (ja) | 2001-12-21 | 2001-12-21 | 鋼管内面圧延ロールの潤滑方法 |
Publications (2)
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JP2003181535A JP2003181535A (ja) | 2003-07-02 |
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2001
- 2001-12-21 JP JP2001388731A patent/JP3858688B2/ja not_active Expired - Fee Related
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