JP3857869B2 - マッサージ装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば足に振動を与えてマッサージをする振動装置を備えたマッサージ装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
振動装置付きのマッサージ装置は、振動装置がマッサージ装置に固定、あるいは、ウレタンなどの弾性体により間接的に取り付けてある。特に椅子式のマッサージ装置では、マッサージをする背部や腰部、ならびに脚部のそれぞれに振動装置が設けられているものがある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
マッサージは、主に摩擦法、打撃法、指圧法、揉握法に分類され、身体に与える刺激や体感を変化させることで血行を促進させたり、疲れをほぐしたりする行為である。これらマッサージを行うマッサージ装置には、振動式マッサージ装置とローラ式マッサージ装置、また、それらを併用したマッサージ装置などがある。
【０００４】
従来の振動式マッサージ装置では、この装置に内装された振動子の振幅や振動の周期を変えることで、身体に与える刺激となる体感を変化させる。そのため、このときの体感は、どうしても単調になりがちで、使用者にとっては必ずしも充分でないという問題がある。手持ち式の振動式マッサージ装置であれば、持ち方や当て方で振動の向きに変化を付けることで、体感を変化させることも可能であるが、利用者が自ら使用する場合、背部や腰部などにマッサージ装置を押し当てるには、姿勢の面で制約を受ける。場合によっては、無理な姿勢となるため、かえって疲れてしまう。
【０００５】
そこで、本発明の課題は、構造の簡単な振動装置を用いて従来とは異なる体感の変化を与えることができるマッサージ装置を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項１に記載の発明のマッサージ装置は、振動部と椅子本体と支持部材と振動子と変向手段とを備える。振動部は、振動装置が取り付けられ利用者の体の一部に当接するとともに振動装置の振動が波及される施療面を有している。椅子本体は、利用者が着座する座部を有している。支持部材は、座部と振動部とを連結し、一方向には動き得るように軟性で他方向には剛性を有している。振動子は、振動装置に内蔵されて振動を発生させる錘を有する。変向手段は、振動子の回転軸の向きを変化させて施療面における振動の向きを変化させる。そして、振動装置の振動方向を変化させて、振動部の振動の向きを支持部材の軟性方向とした場合に振動部が振動し、振動部の振動の向きを支持部材の剛性方向とした場合に振動部とともに座部が振動する。この発明においては、変向手段で施療面における振動の向きに変化を生じさせることにより、体感を変えることができる。また、振動の向きに応じて支持部材での振動伝達が切りかえられるから、同じ振動装置を振動源として従動部に振動を波及させることも、波及させなくすることもでき、体感を変える効果をいっそう高めることができる。
【０００７】
この請求項１に記載の発明を実施するにあたり、請求項２の発明のように、振動装置が作動しているときに施療面の振動の向きを変向手段により変向可能とするとよく、同様に、請求項３の発明のように、振動装置が作動していないときに変向手段を駆動させて施療面の振動の向きを変向可能とすることもでき、さらに、請求項４の発明のように、施療面の振動の向きを振動装置が作動中変向手段で絶えず変向させることもできる。
【０００８】
また、請求項５に記載の発明のマッサージ装置において変向手段は、枢軸と変向用モータとを備える。枢軸は、支持部材の軟性方向に直交しかつ施療面に沿う方向に配置され振動子の回転軸に直交させて設けられる。変向用モータは、枢軸を中心にギヤを介して振動子の向きを変向する。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明による第１の実施形態について図１から図３を参照して説明する。図１に示すユニット化されたマッサージ装置１は、振動装置２とその振動装置２を制御する制御装置３を施療面４の裏側に備えている。施療面４は、例えば足を乗せるなど使用者の体の一部に当接するとともに、振動装置２により振動して、使用者の身体を直接マッサージする面である。この振動装置２は、ケース５に設けられた軸受６で枢軸７を有した振動子８を回転可能に支持している。この振動子８は、第１のモータ９の回転軸１０に対して、偏心させて固定した錘１１を回転させることによって振動を発生する回転式の振動子である。
【００１１】
この振動子８の回転軸１０は、枢軸７と直交するよう設けられている。ケース５内において枢軸７には、第１のギヤ１２が取り付けられている。第１のギヤ１２は、ケース５に固定された変向用の正逆回転可能な第２のモータ１３に取り付けられている第２のギヤ１４と係合している。第１のモータ９と第２のモータ１３は、それぞれ制御装置３に接続されている。制御装置３は、第１のモータ９の回転速度と、第２のモータ１３の回転とその方向等を制御する。また制御装置３には、遠隔操作可能な制御盤１５が接続されている。よって、振動子８により与えられる施療面４の振動の向きは、ギヤ１２，１４、第２のモータ１３、及び制御装置３によって構成される変向手段によって、変向可能である。
【００１２】
次に、以上のように構成されるマッサージ装置１の作用について説明する。図２における振動子８の枢軸７方向をＸ軸方向とし、第１のモータ９の回転軸１０方向をＺ軸方向とし、Ｘ軸とＺ軸に直交する軸方向（図３における第１のモータ９の回転軸１０方向）をＹ軸方向とする。つまり、図２における錘１１は、Ｘ−Ｙ平面と平行する面内を回転し、第１のギヤ１２は、Ｙ−Ｚ平面と平行する面内を回転する。
【００１３】
振動装置２は、マッサージ装置１の施療面４に、この振動装置２のＸ−Ｙ平面と平行な面を一致させて取り付けられる。図１、図２に示す状態では、振動子８の錘１１は、Ｘ−Ｙ平面と平行な面内を回転するので、マッサージ装置１の施療面４は、Ｘ−Ｙ平面と平行な面内で振動し、Ｚ軸方向には振動しない。つまり、このマッサージ装置１の利用者は、前記Ｘ−Ｙ平面と平行な面内での振動、すなわち施療面４のその面方向への振動により、あたかも摩擦するようなマッサージを体感することができる。
【００１４】
利用者は、第２のモータ１３を制御盤１５により操作し、枢軸７を中心に振動子８を図２の状態から９０度回動させることで図３の状態することができる。図３に示す状態における錘１１は、Ｘ−Ｚ平面と平行な面内を回転する。よって、マッサージ装置１の施療面４は、Ｘ−Ｚ平面に平行な面内で振動し、Ｙ軸方向には振動しない。つまり、利用者は、前記Ｘ−Ｚ平面に平行な面内での振動、すなわち施療面４のその面方向とは直行する方向の振動により、あたかも打撃を繰り返し受けるようなマッサージを体感することができる。
【００１５】
なお、制御装置３は、第２のモータ１３を任意の回転位置で停止可能となっているので、図２、図３に示す状態ばかりではなく、施療面４を多様な方向に振動させることができる。
【００１６】
以上のように、本実施形態によるマッサージ装置１は、利用者が振動子８の向きを可変することで、身体に対するマッサージ装置１のあて方を変えなくても体感の異なるマッサージを受けることができる。
【００１７】
制御装置３が、振動装置２が作動しているときにも第２のモータ１３を駆動可能とすることにより、振動子８の振動中に変向手段によって振動子８を変向し、振動の方向を変化させることができ、施療面４から受けるマッサージ体感を、摩擦様マッサージから打撃様マッサージ、または打撃様マッサージから摩擦様マッサージへと徐々に変化させることができる。また、制御装置３が、振動装置２が停止しているときに第２のモータ１３を駆動可能とすることにより、振動子８の停止中に変向手段によって振動子８の向きを変更して使用することができ、この場合、振動子８の変向中は、使用者が振動を感じないことから、摩擦と打撃の全く異なった体感をより明確に得ることができる。さらに、制御装置３が、振動装置２が動作しているときに、変向手段によって振動子８を絶えず（なお、断続的に変更させる場合も含む。）変向させることにより、施療面４に生じる振動が絶えず変化するので、マッサージ中は常に単調ではない変化のある体感を得ることができる。
【００１８】
以上のように、本実施形態によるマッサージ装置１であれば、利用者にとって自ら施療しにくい背部や腰部のマッサージにおいても制御盤１５の操作に基いて、振動の方向を変化させ、体感を変化させることができため、心地よいマッサージを受けることができる。
【００１９】
次に本発明の第２の実施形態について図４及び必要により図１から図３を参照して説明する。図４に示すＸ,Ｙ,Ｚは、それぞれＸ軸、Ｙ軸、Ｚ軸方向を示す。図４に示す椅子式のマッサージ装置１６は、利用者が着座する椅子本体１７と、利用者の足、とりわけ、脹脛部を施療する足載せ台１８が、座部２０の下からその前方に延出する平行な複数、例えば一対の支持部材１９で連結されている。これら支持部材１９は、平板であって、略垂直に立てた姿勢で設けられて、その面外（厚み）方向に弾性変形して面外方向の振動の伝播を抑制するとともに、面内方向の振動を座部２０側に伝播する。
【００２０】
椅子本体１７は、座部２０と背もたれ部２１で構成されている。足載せ台１８の裏面には、振動装置２が取りつけられている。これら足載せ台１８と振動装置２とは振動部をなしており、したがって、この振動部と、支持部材１９で連結された椅子本体１７は、従動部となっている。振動装置２は、前記第１の実施形態と同じであるので説明を省略する。振動装置２を制御する制御装置は、椅子本体１７の図示しない任意の位置に内装されており、制御盤となるリモコン２３が利用者の手元に届くよう設けられている。
【００２１】
振動装置２は、図２で示すＸ軸、Ｙ軸、Ｚ軸が図４で示すＸ、Ｙ、Ｚと一致するよう足載せ台１８の足載せ面、つまり施療面２４の裏側に取り付けられている。また、既述のように支持部材１９は、Ｘ−Ｚ平面に平行に設けられた平板状部材であり、Ｙ軸方向に動き得るように軟性であり、好ましくは、弾性振動するよう取り付けられている。支持部材１９と椅子本体１７は、振動装置２の支持部材１９の面内方向の振動を伝達可能に固定されている。
【００２２】
振動子８を図２に示す状態とし、錘１１がＸ−Ｙ平面内を振動するように振動装置２を作動させると、振動装置２は、Ｘ−Ｙ平面で振動しようとする。支持部材１９は、Ｘ−Ｚ平面と平行に設けられており、Ｙ方向に弾性変形する。Ｘ方向には支持部材１９の面内方向であるので、振動は伝播される。しかし、椅子本体１７の肘掛部２２は床と接しているため、Ｘ方向には振動しない。よって、足載せ台１８のみがＹ軸方向にのみ振動し、椅子本体１７は振動しない。
【００２３】
次に、振動子８を図３に示すように、錘１１の回転面をＸ−Ｚ平面と平行になるまで回動させると、振動装置２の振動の方向は、Ｘ−Ｚ平面方向に移行する。支持部材１９は、Ｘ−Ｚ平面と平行に設けられており、椅子本体１７の座部２０に固定されている。よって、足載せ台１８と椅子本体１７の少なくとも座部２０は、振動する。
【００２４】
つまり、第２の実施形態によるマッサージ装置１６は、振動装置２の振動方向を変向することで、脚部のみへの振動と、椅子本体１７の少なくとも座部２０も含む全身への振動とに変化する。またこの振動の変化を一つの振動装置２で行うことができる。
【００２５】
振動装置２が作動しているときに、振動子８を図２の状態と図３の状態に変向することで、脚部のみの振動から全身への振動、あるいは全身への振動から脚部のみへの振動へと、振動が変化していくことが体感できる。また、振動装置２が停止しているときに振動子８の向きを変更することにより、振動子８の変向の前後で、脚部のみへの振動と全身への振動の違いをより明確に体感できる。
【００２６】
さらに、振動子８の向きが絶えず、あるいは断続的に変向されるように制御装置３を操作、あるいは設定することで、脚部のみの振動と全身への振動とに移行する、単調ではない変化のある振動が体感できる。
【００２７】
次に第３の実施形態について説明する。本実施形態では、第２の実施形態において、図２に示す振動子８の枢軸７が、図４に示すＹ軸と平行になるように足載せ台１８施療面２４の裏側に取り付ける。よって、振動子８の回転軸１０は、Ｚ軸に平行な状態からＸ軸に平行な状態まで枢軸７を中心に回動、あるいは回転する。つまり、振動子８の振動面は、Ｘ−Ｙ平面に平行な面とＹ−Ｚ平面に平行な面とに変向される。
【００２８】
錘がＸ−Ｙ平面を振動している場合は、前記第２の実施形態と同様に、脚部のみがＹ軸方向にのみ振動される。錘がＹ−Ｚ平面と平行な面を振動している場合は、前記第２の実施形態とは異なり、脚部はＹ方向及びＺ方向に振動する複合振動となるとともに、椅子本体は、肘掛部２２に枢支された軸を中心に振動する。
【００２９】
各実施形態において振動方向の変向手段は、振動子８をギヤ１２，１４と第２のモータ１３を制御装置３で制御することとしたが、振動子８の振動方向を回動変向、あるいは回転し、固定することが可能であればよいので、手動でもよいものとする。また、振動子８は、平面内で振動する振動子であればよいので、回転式の振動子でもいいし、軸方向に振動する振動子でもよいものとする。
【００３０】
支持部材１９は、主動側の振動装置２によって発生する振動のうち、一方向の振動のみ従動部側に伝播する構造であればよい。よって、本発明の第２及び第３の実施形態における足載せ台１８がＺ方向にのみ動き得る軟性の、好ましくは弾性振動する支持部材によって支持され、足載せ台に取り付けられた振動装置がＺ方向に振動するときは、脚部のみ振動し、振動装置がＹ方向に振動するときは、支持部材を振動が伝播し全身が振動する構造であってもよい。
【００３１】
また、本発明によるマッサージ装置は、振動子を取りつけた振動部と振動部の振動によって振動する従動部を、一方には軟性（柔軟）で他方には剛性を有した支持部材で連結すれば、振動装置の振動方向を変化させることで、振動部のみ振動する振動と、従動部も含めた全体が振動する振動との異なった振動が体感できるものである。よって、椅子本体に振動装置を取りつけ振動部とし、脚部を一方には軟性で他方には剛性を有した支持部材で連結することにより、振動装置が軟性方向に振動するときは、椅子本体のみ振動し、振動装置が剛性方向に振動するときは、マッサージ装置全体が振動するようにすることも可能である。
【００３２】
本発明は第１、第２及び第３の実施の形態に制約されず寝台式（マット式）マッサージ装置などにも適用でき、その適用により前記実施形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【００３３】
【発明の効果】
本発明によれば、施療面の振動の向きを変化させることにより、従来とは異なる体感の変化を与えることができる。また、振動装置の振動の方向を変化させることで、振動部から波及される振動による体感を変えることができることに加えて、振動部に支持部材を介して連結されている従動部での振動マッサージを振動の方向に応じて得ることができるマッサージ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施形態によるマッサージ装置の一部を切り欠いて示す平面図。
【図２】図１のマッサージ装置が備える振動装置がＸ−Ｙ平面内で振動するときの振動子と変向手段の位置関係を示す斜視図。
【図３】図１のマッサージ装置が備える振動装置がＸ−Ｚ平面内で振動するときの振動子と変向手段の位置関係を示す斜視図。
【図４】本発明の第２の実施形態によるマッサージ装置の斜視図。
【符号の説明】
１，１６…マッサージ装置
２…振動装置
３…制御装置（変向手段）
４，２４…施療面
７…枢軸
８…振動子
１２…第１のギヤ（変向手段）
１３…第２のモータ（変向手段、変向用モータ）
１４…第２のギヤ（変向手段）
１７…椅子本体
１８…足載せ部（振動部）
１９…支持部材

Claims (5)

1. 振動装置が取り付けられ利用者の体の一部に当接するとともに前記振動装置の振動が波及される施療面を有した振動部と、
   利用者が着座する座部を有した椅子本体と、
   前記座部と前記振動部とを連結し、一方向には動き得るように軟性で他方向には剛性を有した支持部材と、
   前記振動装置に内蔵されて振動を発生させる錘を有する振動子と、
   前記振動子の回転軸の向きを変化させて前記施療面における振動の向きを変化させる変向手段と
   を備え、前記振動装置の振動方向を変化させて、前記振動部の振動の向きを前記支持部材の軟性方向とした場合に前記振動部を振動させ、前記振動部の振動の向きを前記支持部材の剛性方向とした場合に前記振動部とともに前記座部を振動させることを特徴とするマッサージ装置。
2. 前記施療面の振動の向きを、前記振動装置が作動しているときに変化可能であることを特徴とする請求項１に記載のマッサージ装置。
3. 前記振動装置が停止しているときに前記変向手段を駆動して、前記施療面の振動の向きを変化可能とすることを特徴とする請求項１に記載のマッサージ装置。
4. 前記施療面の振動の向きを、前記振動装置の作動中絶えず変化させることを特徴とする請求項１または２に記載のマッサージ装置。
5. 前記変向手段は、
   前記支持部材の軟性方向に直交しかつ前記施療面に沿う方向に配置され前記振動子の回転軸に直交させて設けられる枢軸と、
   前記枢軸を中心にギヤを介して前記振動子の向きを変向する変向用モータと
   を備えることを特徴とする請求項１から請求項４の内のいずれか１項に記載のマッサージ装置。

Images