JP3857471B2 - 座標入力装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、座標入力装置に係り、特に座標入力面上で光を遮蔽した遮蔽物の位置を座標として入力する座標入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、座標入力面であるタッチパネルを備え、このタッチパネルに対して略平行な光を出射し、この光が遮蔽された位置の座標を入力する光学式の座標入力装置がある。図5は、このような座標入力装置の一般的な構成を模式的に示した図である。図示した座標入力装置は、座標入力面であるタッチパネル501と、タッチパネル501上に配置され、タッチパネル501に対して略平行な光を出射する光源5A、5Bと、タッチパネル501の周辺に沿って設けられ、光源5A、5Bが出射した光の反射光を出射時と同一の光軸を通るように(再帰的に)反射する反射部材503A、503B、503Cと、反射部材503A、503B、503Cが反射した光を、反射部材503A、503B、503Cの全域について受光するライン状の受光部51A、51Bとを有している。
【0003】
このような座標入力装置は、光源5Aから出射した光が反射部材503B、反射部材503Cで再帰的に反射され、受光部51Aで受光される。また、光源5Bから出射した光が反射部材503A、反射部材503Bで再帰的に反射され、受光部51Bで受光されるよう構成されている。そして、オペレータが、タッチパネル501上に指やペンを置くと、指やペンが置かれた位置で光が遮蔽されて反射部材503A〜503Cに到達せず、受光部51A、51Bに受光されなくなる。受光部51A、受光部51Bは、CCD(Charge Cuppled Device)ラインセンサのようなライン状の受光素子であり、光が受光できなかった受光素子の位置から遮蔽物の置かれた位置を通る光軸が検出できる。この光軸を2つの受光部51A、受光部51Bについてそれぞれ検出することにより、遮蔽物の座標を2つの光軸の交点として特定することができる。
【0004】
ところで、上述の座標入力装置では、光源5A、光源5Bおよび受光部51A、受光部51B、さらには反射部材503A、503B、503Cの面精度や取付精度が低い場合、光源5A、光源5Bから出射した光の反射光が、受光部51A、受光部51Bの受光可能な範囲(受光範囲)から外れて受光されず、光が遮蔽されたものと誤検出される虞がある。この点を、以下、図6を用いて説明する。
【0005】
図6は、反射部材503Bの反射面と、この反射面で反射された光を受光する受光部51Aの受光素子51A'とを重ね合わせて示す図である。なお、受光素子51A'は、タッチパネル501に対して鉛直方向に長さhを有している。本明細書中では、このhを、受光部51Aの高さというものとする。さらに、図6のうち、反射部材503B、受光素子51A'上に示した破線Lbは、光源5Aから出射された光が、完全にタッチパネル501と平行であるときに反射部材503Bで反射される反射位置、あるいは受光部51Aで受光される受光位置(以下、理想ラインLbと記す)を示したもので、実線Laは、光源5Aから出射された光が反射部材503Bで実際に反射される反射位置、あるいは受光部51Aで受光される受光位置(以下、実ラインLaと記す)を示したものである。
【0006】
座標入力装置は、光源5Aから出射した光が、破線Lbで表される理想ラインのように受光素子51A'を通る水平な軸となって反射部材503Bに当たって反射されるよう設計されている。しかし、実際に光源5Aから出射される光は、光源5A、受光部51A、反射部材503Bの面精度や取付精度の誤差により、実ラインLaのように理想ラインLbに対して角度θをなす直線となって反射部材503Bに当たって反射され、受光部51Aで受光される。
【0007】
このとき、角度θが大きいと、図示したように、反射部材503Bからの反射光の始端と終端との高さ方向の差が高さhよりも大きくなり、反射光の全域を受光素子51A'で受光することができなくなる。なお、受光素子51Aとしては、一般的にプリンタなどのスキャナに用いられるものと同様のものが用いられており、1画素のサイズが小さいものでは、高さhも小さくなる。
【0008】
このような現象をなくすため、従来の座標入力装置では、座標入力装置の使用に先立って、一方向に配列された受光素子51A'が一度に受光、結像する必要のある範囲の長さ(スキャンライン)、すなわち、反射部材503B、503Cの全域で反射された反射光を受光できるように受光部51Aを調整する作業(以下、スキャンラインの調整という)を行っていた。また、受光部51Aが出射した光を反射部材503B、503Cに一様に照射するため、ポリゴンや拡散レンズを用いるよう構成された座標入力装置もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示した現象は、θが比較的小さい場合にも反射部材503Bの長さが長く、また、反射部材503Bの全域で反射された反射光を一度に読み取るために受光素子51Aのスキャンラインが長くなるほど顕著になる。したがって、座標入力装置のタッチパネル501が大きくなるほど座標入力装置の調整に高い精度が要求され、調整時間がかかる上に調整の作業も難しくなる。また、ポリゴンを用いる場合には、このポリゴンに高い面精度が要求され、座標入力装置のコストを高めることになる。さらに、拡散レンズを用いる場合には、この拡散レンズのレンズ精度によって光を一様にすることは難しかった。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、コストを高めることなくスキャンラインの調整がより簡単にできる座標入力装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の課題は、以下の手段によって解決できる。すなわち、
請求項1記載の発明は、座標入力面と、前記座標入力面上に配置され、前記座標入力面に対して略平行な光を出射する光源部と、前記座標入力面の周辺に沿って設けられ、前記光源部が出射した光を再帰的に反射する反射部材と、前記反射部材が反射した光を、前記反射部材の全域について受光するライン状の受光部と、前記ライン状の受光部が受光した光に基づいて、前記光源部が出射した光を遮蔽する遮蔽物の位置を検出し、前記遮蔽物の位置を座標として入力する演算部とを有する座標入力装置であって、前記反射部材上における前記光源部が出射した光の反射位置を示す反射光ラインを想定し、前記座標入力面と平行な前記反射光ラインである理想反射光ラインと実際に形成される実反射光ラインとがなす角度である0.4度から0.8度の正弦と、前記座標入力面の周辺に沿って設けられた反射部材の全長とを乗じた値に基づいて、前記ライン状の受光部の前記座標入力面に対する鉛直方向の長さである受光部高さを決定することを特徴とするものである。
【0012】
このように構成することにより、反射部材に反射される光が座標入力面に対して角度を持つ場合にも、ライン状の受光部が、反射部材の全長、すなわち座標入力面の大きさによらず、反射部材に反射された反射光がライン状の受光部の受光範囲から外れることを防ぐことができるようになる。また、この際には、ライン状の受光部の高さを調整することだけで良いために、新たな部材を追加する必要がない。特に、比較的簡単な操作で調整できる角度に許容角度を設定し、簡易な調整によってライン状の受光部が反射部材の全長によらず反射部材に反射された反射光の全域を受光することができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態の座標入力装置の全体の構成を説明するための模式図である。図示した座標入力装置は、座標入力面であるタッチパネル101と、タッチパネル101上に配置され、タッチパネル101に対して略平行な光を出射する光源を内蔵する光学ユニット102Aおよび光学ユニット102Bと、タッチパネル101の周辺に沿って設けられ、光学ユニット102A、光学ユニット102Bが出射した光を再帰的に反射する反射部材103A、103Bとを有している。
【0016】
そして、図1の光学ユニット102Aおよび光学ユニット102Bには、反射部材103A、103B、103Cが反射した光を、反射部材103A、103B、103Cの全域について受光するライン状の受光部であるCCDラインセンサがさらに内蔵されている。さらに、図1の座標入力装置は、CCDラインセンサが受光した光に基づいて、光源が出射した光を遮蔽する遮蔽物の位置を検出し、この遮蔽物の位置を座標としてパーソナルコンピュータ(図中、PCと記す)106に入力する演算部104と、演算部104、パーソナルコンピュータ106との間でデータを授受するインターフェイス部105とを有している。
【0017】
本実施の形態の光源とCCDラインセンサとは、いずれも光学ユニット102A、光学ユニット102Bに内蔵されて一体的に構成されている。このような光学ユニット102A、光学ユニット102Bの構成を、図2に示して説明する。図2のうち、(a)は、光学ユニット102A、光学ユニット102Bの側面図、(b)は、光学ユニット102A、光学ユニット102Bの正面図である。なお、光学ユニット102Aと光学ユニット102Bとは、同様の構成を有するものであり、図示した構成は、光学ユニット102A、光学ユニット102Bで共通のものとする。
【0018】
図示した光学ユニット102A、光学ユニット102Bは、光源201と、光源201が出射した光L1を扇形に拡散するレンズ群202と、拡散された光L1を反射部材103A、反射部材103B、反射部材103Cに向けて反射することによって出射すると共に、この光L1が反射部材103A、反射部材103B、反射部材103Cで反射された反射光L2を透過するハーフミラー205と、ハーフミラー205を透過してきた反射光L2を受光して集光するレンズ203と、レンズ203で集光された反射光L2を受光して結像するCCDラインセンサ204とを有している。本実施の形態では、このように光源201とCCDラインセンサ204とを一体的なユニットとすることによって光源201とCCDラインセンサ204との位置合わせが簡単にでき、座標入力装置の調整をより簡易にすることができる。
【0019】
以上のように構成された光学ユニット102A、光学ユニット102Bは、タッチパネル101上の左右の下端部に設けられ、それぞれの位置から扇状の光を出射している。光学ユニット102Aから出射した光は、反射部材103B、反射部材103Cで反射されて光学ユニット102AのCCDラインセンサ204で結像する。したがって、光学ユニット102AのCCDラインセンサ204は、反射部材103Bの長さに反射部材103Cの長さを加えた長さのスキャンラインを結像することが要求される。
【0020】
一方、光学ユニット102Bから出射した光は、反射部材103A、反射部材103Bで反射されて光学ユニット102BのCCDラインセンサ204で結像する。したがって、光学ユニット102BのCCDラインセンサ204は、反射部材103Bの長さに反射部材103Aの長さを加えた長さのスキャンラインを結像することが要求される。
【0021】
本実施の形態では、このCCDラインセンサ204の高さ(CCDラインセンサ204のタッチパネル101に対して鉛直な方向の長さ)Hを、光学ユニット102Aについてはタッチパネル101の周辺に沿って設けられた反射部材の全長に応じて、また、光学ユニット102Bについてはタッチパネル101の周辺に沿って設けられた反射部材103B、反射部材103Aの全長に応じて長く設定することによってこの要求を満たしている。なお、ここで、反射部材の全長とは、光学ユニット102Aについては、光学ユニット102Aが出射した光を反射する反射部材103B、反射部材103Cの長さを足し合わせた値であり、光学ユニット102Bについては、光学ユニット102Bが出射した光を反射する反射部材103B、反射部材103Aの長さを足し合わせた値である。
【0022】
以下、このような構成について図3を用い、より具体的に説明する。図3は、図1に示した反射部材103Bと、反射部材103Bで反射された反射光を受光するCCDラインセンサ204とを重ね合わせて示した図である。そして、この反射部材103BおよびCCDラインセンサ204上に理想ラインLbと、この理想ラインLbと角度θをなす実ラインLaとを示している。そして、本実施の形態では、CCDラインセンサ204の高さHを、想定された理想ラインLbと実ラインとがなす角度の許容角度θの正弦と、上述した反射部材の全長とを乗じた値に基づいて決定している。
【0023】
なお、このようなCCDラインセンサ204の高さHを決定することに使用される許容角度θとは、座標入力装置のスキャンラインを合わせる調整において許容できる時間や精度で調整を行い、この結果残る理想ラインLbと実ラインLaとがなす角度程度に設定された角度であって、本発明の発明者らによれば、おおよそ、0.4度から0.8度(ただし、CCDラインセンサ204の高さHが20mm、反射部の全長(103B+103C)=2800mm、タッチパネル70インチの場合)である。
【0024】
以上述べた構成によれば、理想ラインLbと実ラインLaとが角度θをなす場合にも、この角度が所定の範囲にあれば、CCDラインセンサ204で反射部材103A、反射部材103B、反射部材103Cの全域について反射光を受光することができる。したがって、反射光がCCDラインセンサの受光範囲から外れたために光が遮蔽されたものと誤検出することがなくなって、座標入力装置の信頼性を高めることができる。また、この角度θを、比較的簡単なスキャンライン調整で調整した結果なお残る値とすることによって、比較的簡単なスキャンライン調整で反射光がCCDラインセンサの受光範囲から外れることを防ぐことができる。なお、このような高さHが比較的大きい既存のCCDラインセンサとしては、バーコードを読み取るために使用されるCCDラインセンサがある。
【0025】
また、角度θを、座標入力装置出荷時の理想ラインLbと実ラインLaとがなす角度程度とすれば、スキャンラインの調整をすることなく反射光がCCDラインセンサの受光範囲から外れることを防ぐことができる。
【0026】
さらに、CCDラインセンサ204の高さHを、反射部材の全長に基づいて決定していることから、タッチパネル101の大きさによらず、高さHを適切な値に設定することができる。
【0027】
また、以上述べた実施の形態1は、図3に示したような理想ラインLbに対してのみ対応できるものではない。例えば、座標入力装置では、図4に示すように、反射部材401上に曲線をなす実ライン402(図4(a))、あるいは、反射部材403上に曲線をなす実ライン404が生じることもある(図4(b))。このような曲線の実ラインは、光源から出射した光の光軸の曲がり、あるいは反射部材表面の曲がりによって生じるものである。実施の形態1の座標入力装置は、実ラインの曲線的なずれに対しても、CCDラインセンサの高さを調整することによって対応することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上述べた本発明は、以下の効果を奏する。すなわち、
請求項1記載の発明は、ライン状の受光部の高さを調整することで、反射部材の全長によらず反射部材に反射された反射光の全域を受光することができる。このような座標入力装置は、コストを高めることなくスキャンラインの調整が比較的簡単にできるものと言える。
また、このような請求項1記載の発明によれば、光が遮蔽されたと誤検出されることを防いで座標入力装置の信頼性を高めることができる。
特に、簡易な調整、あるいは無調整でライン状の受光部が反射部材の全長によらず反射部材に反射された反射光の全域を受光することができ、座標入力装置の操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の座標入力装置の全体の構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した光学ユニットの構成を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施の形態の、CCDラインセンサの高さHの決定について説明するための図である。
【図4】曲線をなす実ラインを例示する図である。
【図5】一般的な座標入力装置の構成を模式的に示した図である。
【図6】一般的な座標入力装置で生じる反射光が受光素子の受光範囲から外れる不具合を説明するための図である。
【符号の説明】
101 タッチパネル
102A、102b 光学ユニット
103A、103B、103C 反射部材
104 演算部
201 光源
204 CCDラインセンサ
H CCDラインセンサの高さ
La 実ライン
Lb 理想ライン
Claims (1)
- 座標入力面と、
前記座標入力面上に配置され、前記座標入力面に対して略平行な光を出射する光源部と、
前記座標入力面の周辺に沿って設けられ、前記光源部が出射した光を再帰的に反射する反射部材と、
前記反射部材が反射した光を、前記反射部材の全域について受光するライン状の受光部と、
前記ライン状の受光部が受光した光に基づいて、前記光源部が出射した光を遮蔽する遮蔽物の位置を検出し、前記遮蔽物の位置を座標として入力する演算部とを有する座標入力装置であって、
前記反射部材上における前記光源部が出射した光の反射位置を示す反射光ラインを想定し、
前記座標入力面と平行な前記反射光ラインである理想反射光ラインと実際に形成される実反射光ラインとがなす角度である0.4度から0.8度の正弦と、前記座標入力面の周辺に沿って設けられた反射部材の全長とを乗じた値に基づいて、前記ライン状の受光部の前記座標入力面に対する鉛直方向の長さである受光部高さを決定することを特徴とする座標入力装置。
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