JP3856506B2 - ゲル状燃料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なゲル状燃料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アウトドアレジャー或いはホテルや旅館等で熱源として使用されている燃料には、例えば液体燃料、固形燃料、ゲル状燃料等があり、これまでに種々報告されている(特開昭50-56401号公報、特開昭55-98295号公報、特開昭57-28193号公報、特開平2-286789号公報等)。液体燃料には、燃料源としてメタノール、エタノール、変性アルコール、イソプロパノール等の比較的安価なアルコール類が用いられており、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素に比較して燃焼が穏やかであり、完全に燃焼し易いため有害な燃焼生成物が少ない等の利点を有している。しかしながら、これらのアルコール類は、揮発性が高く流動性も高いことから、気密容器に入れて保存し、使用時は何らかの容器に移して点火する必要がある。
【0003】
一方、携帯性と簡便性を目的として、高級脂肪酸のアルカリ金属塩類(例えば、ステアリン酸ナトリウム等。)をアルコール類に添加して固形化した固形燃料が開発され、市販されている。このような固形燃料は、完全な固形物であるため、ホテルや旅館等で均一な燃焼条件を提供することができ、また、添加されているアルカリ金属塩類により、明るい黄色(ナトリウム)や赤紫色(カリウム)の炎色反応を呈するため炎の視認性が向上する、等の利点を有している。しかしながら、このような固形燃料は、高級脂肪酸のアルカリ金属塩類がアルコール類に難溶性であるため、アルコール類の沸点付近まで加熱して溶解しなければならず、これを冷却するとアルコール類を結晶間に抱いた状態で固化する。そのため開放系ではアルコール類が容易に蒸発してしまい、包装上の対策を講じる必要がある。また、製造工程は加熱溶解、冷却、固化、成形、小分け包装となり、複雑な工程が多く自動化は困難である。更にまた、高級脂肪酸のアルカリ金属塩類でアルコール類を固化させるには、該アルカリ金属塩類を多量に添加する必要があり、コストの面においても不利となり、また、燃焼時に一部の高級脂肪酸が燃焼して特有の臭気と煙を発すると共に、燃え残りが生じる、等の問題点を有している。
【0004】
このような問題点を解決するために、アルコール類を架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体(カルボキシビニルポリマー等)に分散した後、有機アルカリ化合物で中和増粘することにより得られるゲル状燃料が開発され、ポリエチレンフィルムやポリエチレンボトルに充填され市販されている。ゲル状燃料は固形燃料や液体燃料等その他のタイプの燃料に比較して携帯性、保存性、生産性に優れ、アウトドアレジャーに代表されるガスや電源の無い又は制約を受ける環境での熱源として需要が拡大している。このようなゲル状燃料は、1)架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体が常温でアルコール類に懸濁分散可能であり引火性の高いアルコール類を加熱する必要がないので、安全面や製造設備の建設費及びランニングコスト面で有利である。2)架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体の添加量は通常0.5〜5.0%で良く、燃焼時に悪臭等が発生する可能性が少く、コスト面でも有利である。3)チキソトロピックな特性を有し一定以上の外圧が掛かると流動することから、ポンプ輸送や充填作業に適し作業性が良好である。4)薪や炭に着火させる場合には、被着火物にゲル状燃料を塗布して着火すれば良く、無駄な使用を避けることが可能である。5)同一のアルコール量でも、粘度(=架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体の添加量)を制御することにより燃焼時間を変化させることが可能である。即ち粘度を上げると燃焼時間は延長し、単位時間当たりの燃焼熱量は低下する。これは粘度を上げることにより、アルコールの有する固有の蒸気圧が低下することを示唆しており、保存上でも有利である、等の利点を有している。しかしながら、このようなゲル状燃料は、1)ポリエチレンボトル等への充填は容易であり製造コスト上有利であるが、 ボトル中のゲル状燃料の残量が減少するにつれ、空間部分にアルコール類の蒸気が充満し、蓋を開けた時に周囲に火気があると爆発的に引火する場合があり危険である。2)架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体は燃焼時にパチパチと音を立ててはぜるように遊離し、この現象が急激に起こると燃焼中のゲル自身が着火状態のまま破裂飛散するため、非常に危険である。3)添加物が少なく、炎色反応を呈する金属塩類は粘度低下の原因となり使用出来ないことから、炎はアルコール類本来の炎色に近い淡青色を示す。このため、日中野外に於ける炎の視認性が悪く、燃焼状態を目視することが困難である。このことは燃料のつぎ足しによる引火爆発事故の原因となっており、重大な問題となっている、等の問題点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、保存及び使用時に危険なアルコール類の蒸気による爆発事故を防止し、更には燃焼時に於ける架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体の飛散等を防止し、且つ、燃焼中の炎が視認可能な新規なゲル状燃料組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の係るゲル状燃料組成物は、炭素数3以下の低級アルコールを主成分とし、架橋型アクリル酸重合体を全体の0.5乃至5.0重量%とそれに対応するモル等量のアミン系化合物にてpHを中性付近とした混合物において、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのいずれか又はこれらの組合せを15乃至70重量%配合し、活性炭、シリカゲル、ケイソウ土のいずれか又はこれらの組合せを0.1乃至5.0重量%含有させ、ベンジルアルコール、n-ヘキサノール、リン酸トリエチルのいずれか又はこれらの組合せを0.1乃至10重量%含有させ、更に紫外線吸収剤を適宜含有させたことを特徴とする。
【0007】
即ち、本発明者らは、従来のカルボキシビニルポリマーを基剤としたゲル状燃料組成物が抱えていた現実的な不都合を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、揮発性燃料の蒸発及び引火防止剤として多価アルコール又は/及びその誘導体を添加すること、更にこれにカルボキシビニルポリマーに代表される架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体の飛散防止剤として酸及びアルカリに対して吸着能を有する多孔性物質を添加すること、更に、燃焼時の炎の視認性改善剤として揮発性燃料の沸点以下の引火点を有する炭素数が6以上のアルコール類、フェノール類又は/及び有機リン系化合物を配合することが有効であることを知見した。
【0008】
そして更に、燃焼効率、製品安定性、利便性、生産効率及び経済性等をも考慮すると、引火爆発性の低減を目的とした多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのいずれか又はこれらの組合せを15乃至70重量%配合し、酸及びアルカリに対して吸着能を有する多孔性物質として、活性炭、シリカゲル、ケイソウ土のいずれか又はこれらの組合せを0.1乃至5.0重量%含有させ、燃焼時の炎の視認性改善剤として、ベンジルアルコール、n-ヘキサノール、リン酸トリエチルのいずれか又はこれらの組合せを0.1乃至10重量%含有させ、紫外線によりゲル状物質の架橋構造が破壊され減粘されることを防止するため紫外線吸収剤を適宜含有させること、がより有効であることを発見した。
【0009】
本発明に係る揮発性燃料としては、例えば低級アルコール類、アルカン類等が挙げられる。低級アルコール類としては、直鎖状でも分岐状でも何れにても良く、例えば炭素数1〜4の低級アルコールが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、変性アルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール等が挙げられる。アルカン類としては、直鎖状でも分岐状でも何れにても良く、例えば炭素数5〜8のアルカンが好ましく、具体的にはペンタン、2-メチルブタン、ヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,2-ジメチルペンタン、オクタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、2,2-ジメチルヘキサン、2,4-ジメチルヘキサン等が挙げられる。これらは夫々単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いても何れにても良い。
【0010】
これら揮発性燃料の使用量としては、多すぎると相対的に多価アルコール又は/及びその誘導体の量が減少するため引火爆発を生じ、少ないと十分な火力が得られないため、ゲル状燃料組成物の総量を100重量%としたとき、通常25〜80重量%、好ましくは35〜70重量%の範囲から適宜選択される。
【0011】
本発明に係る架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体(以下、本発明に係る重合体と略記することもある。)としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸を、例えばアリルショ糖、トリメチロールプロパンアリルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ジエチレングリコールビスアリルエーテル、ジエチレングリコールビスメタリルエーテル、ペンタエリスリトールアリルエーテル等の多価アルコールのアルケニルエーテル、例えばトリメリット酸トリアリルエステル、フタル酸ジアリルエステル等の多塩基酸のアリルエステル、例えばトリメチロールプロパン・トリアクリレート等の多価アルコールのアクリル酸エステル、例えばペンタエリトリット・テトラメタクリレート等の多価アルコールのメタクリル酸エステル、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルホスフェート等の架橋剤の存在下に重合させて得られる三次元網状構造を有する重合体等が挙げられる。このような重合体の市販品としては、例えば和光純薬工業(株)のハイビスワコー103、104、105、304等、例えばB.F.GOODRICH社のカーボポール934、940、941等、例えば日本純薬(株)のジュンロンPW-110、PW-111等の架橋型ポリアクリル酸(カルボキシビニルポリマー)が代表的なものとして挙げられる。
【0012】
これら本発明に係る重合体の使用量としては、多すぎると流動性は生じないが燃焼時間が長くなるため燃焼効率が悪くなり、少なすぎると流動性が生じ燃焼時間が短くなることから、本発明のゲル状燃料組成物の総量を100重量%としたとき、通常0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%の範囲から適宜選択される。
【0013】
本発明に於いて揮発性燃料の蒸発及び引火防止剤として用いられる多価アルコールとしては、例えば炭素数が2〜12、水酸基の数が2〜6個のものが好ましく、なかでも炭素数が2〜6、水酸基の数が2又は3個のものが特に好ましく用いられる。具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ピナコール、グリセリン、ヘキサントリオール等が挙げられ、特に、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンが最も好ましい。また、その誘導体としては、それらのエーテル、部分エーテル、部分エステル等が挙げられる。多価アルコールのエーテル及び部分エーテルとしては、例えば炭素数が2〜12、水酸基の数が0〜4個のものが好ましく、なかでも炭素数が2〜6、水酸基の数が0〜2個のものが特に好ましく用いられる。具体的にはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。多価アルコールの部分エステルとしては、例えば炭素数が4〜6、水酸基の数が1〜2個のものが好ましく、具体的にはエチレングリコールモノアセテート等が挙げられる。これらは夫々単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いても何れにても良い。
【0014】
これら多価アルコール又は/及びその誘導体の使用量としては、少なすぎると相対的に揮発性燃料の量が増加するため引火爆発を生じ易く、多すぎると揮発性燃料の量が減少するため十分な火力が得られなくなることから、ゲル状燃料組成物の総量を100重量%としたとき、通常15〜70重量%、好ましくは25〜60重量%の範囲から適宜選択される。
【0015】
本発明に於けるゲル状燃料組成物には、通常有機アルカリ化合物が含まれるが、これら有機アルカリ化合物としては、例えば有機アミン類が好ましく、具体的にはトリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、ヘキサデシルアミン等が挙げられ、なかでもトリエチルアミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン等が好ましく用いられる。
【0016】
これら有機アルカリ化合物の使用量としては、添加する該アルカリ化合物の種類により異なるが、一般的には架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体の中和反応を円滑に進行させる量であればよく、本発明に係わる架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体のモノマーユニットに対し、通常0.1〜2.0当量、好ましくは0.5〜1.5当量の範囲から適宜選択される。
【0017】
本発明に於いて飛散防止剤として用いられる酸及びアルカリに対して吸着能を有する多孔性物質としては、例えば活性炭、シリカゲル、アルミナ、活性白土、木炭、粘土鉱物、ケイソウ土等の無機多孔質、例えばデキストラン、アガロース等の天然高分子、例えばポリアクリルアミド、親水性ビニルポリマー、ポリスチレン等の合成高分子等が挙げられる。これら多孔性物質の内、粒状活性炭や破砕活性炭等の活性炭、セライト等のケイソウ土またはシリカゲルの使用が特に好ましい。これらは夫々単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いても何れにても良い。
【0018】
これら多孔性物質の使用量としては、多すぎると燃焼効率が悪くなるため、ゲル状燃料組成物の総量を100重量%としたとき、通常0.1〜5.0重量%、好ましくは0.25〜1.0重量%の範囲から適宜選択される。
【0019】
本発明に於いて燃焼時の炎の視認性改善剤として用いられる揮発性燃料の沸点以下の引火点を有する炭素数が6以上のアルコール類としては、例えば長鎖脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類等が挙げられる。長鎖脂肪族アルコール類としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でも何れにても良く、例えば1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、1-オクタノール、2-オクタノール、シクロオクタノール、1-ノナノール、2-ノナノール、1-デカノール、2-デカノール等が挙げられ、なかでも炭素数6〜8のアルコールが特に好ましく用いられる。また、芳香族アルコール類としては、例えばベンジルアルコール、フェネチルアルコール、sec-フェネチルアルコール等が挙げられ、これらは置換基を有していても良い。
【0020】
本発明に於いて燃焼時の炎の視認性改善剤として用いられる揮発性燃料の沸点以下の引火点を有するフェノール類としては、フェノール、例えばo-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2-エチルフェノール、3-エチルフェノール、4-エチルフェノール等のアルキル置換フェノール、例えば2-クロロフェノール等のハロゲノ置換フェノール等が挙げられる。
【0021】
また、本発明に於いて燃焼時の炎の視認性改善剤として用いられる有機リン系化合物としては、例えばリン酸エステル類、アルキルホスフィン類、アリールホスフィン類、アルキルホスファイト類、アリールホスファイト類等が挙げられる。リン酸エステル類としては、例えばリン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリヘキシル等が挙げられ、なかでもアルキル基の炭素数が2〜4のリン酸エステル類が好ましく用いられる。アルキルホスフィン類としては、例えばトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。アリールホスフィン類としては、例えばトリフェニルホスフィン等が挙げられる。アルキルホスファイト類としては、例えばトリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリプロピルホスファイト、トリブチルホスファイト等が挙げられる。アリールホスファイト類としては、例えばトリフェニルホスファイト等が挙げられる。
【0022】
これら燃焼炎の視認性改善剤の使用量としては、多すぎると燃焼効率が悪くなり、少なすぎると炎の視認が困難になることから、ゲル状燃料組成物の総量を100重量%としたとき、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%の範囲から適宜選択される。
【0023】
本発明のゲル状燃料組成物を、例えば商品形態として中身が視認できる透明包装にして用いる場合には、紫外線により架橋構造が破壊されてゲル状物質の粘性が減少することを防止するため、当該組成物中に紫外線吸収剤を配合させることが望ましい。その使用量は燃焼に支障をきたさない範囲であれば良い。該紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン類、アミノ安息香酸類、桂皮酸類、サリチル酸類等が挙げられる。ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノン、例えば2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン)、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のヒドロキシ置換ベンゾフェノン等が挙げられる。アミノ安息香酸類としては、パラアミノ安息香酸、例えばパラアミノ安息香酸エチル等のパラアミノ安息香酸エステル、例えばパラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のN置換パラアミノ安息香酸エステル等が挙げられる。桂皮酸類としては、例えば4-メトキシ桂皮酸-2-エトキシエチル(シノキサート)、ジイソプロピルオキシ桂皮酸メチル、パラメトキシ桂皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル・ジイソプロピルオキシ桂皮酸エステル混合物等のアルキルオキシ置換桂皮酸等が挙げられる。サリチル酸類としては、例えばサリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸エステル等が挙げられる。
【0024】
これら紫外線吸収剤を配合する場合の使用量としては、多すぎると燃焼効率が悪くなり、少なすぎると紫外線の吸収効率が悪くなり、ゲル状燃料組成物の粘度低下の原因となることから、ゲル状燃料組成物の総量を100重量%としたとき、通常1〜1000ppm、好ましくは10〜500ppmの範囲から適宜選択される。
【0025】
本発明のゲル状燃料組成物を製造するには、例えば以下の如くして行えばよい。即ち、先ず、アルコール類等の揮発性燃料に多価アルコール又は/及びその誘導体を添加して主燃料成分を得る。次に、この主燃料成分に必要に応じて視認性改善剤又は/及び多孔性物質、更に要すれば紫外線吸収剤を加えて攪拌した後、本発明に係る重合体を加えてインライン型高速分散機により均一分散し、次いでこれに有機アルカリ化合物をアルコール類に溶解したものを加えて中和増粘することにより、本発明のゲル状燃料組成物を得ることができる。
【0026】
これら一連の反応温度としては、揮発性燃料の沸点以下であれば特に限定されないが、通常0〜40℃、好ましくは10〜35℃の範囲から適宜選択される。
【0027】
このようにして得られたゲル状燃料組成物を、ダイアフラムまたはプランジャーポンプ等により目的とする容器に充填すればよい。
【0028】
本発明のゲル状燃料組成物には、燃焼に支障をきたさない範囲で染料等を混合して用いても良い。該染料としては、例えばニトロ染料、アゾ染料、ニトロソ染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、キノリン染料、アントラキノン染料、インジコ染料等のタール系色素、蛍光染料、天然色素、無機顔料等が挙げられる。
【0029】
本発明は、揮発性燃料に多価アルコール又は/及びその誘導体を添加し、次いで本発明に係る重合体を添加して分散させた後、有機アルカリ化合物により中和して増粘させることにより、揮発性燃料の揮発性を低下させ、ポリエチレンボトル等に充填した場合の空間部分に生ずる爆発性蒸気の発生を防止し、誤って燃焼中のゲル状燃料に燃料のつぎ足し等を行っても誘爆が生じない、という効果を奏するものである。更に、多孔性物質を添加することにより、本発明に係る重合体に起因する燃焼中のゲル自身が着火状態のまま破裂飛散する現象を防止し、且つ、揮発性燃料の沸点以下の引火点を有する炭素数が6以上のアルコール類、フェノール類又は/及び有機リン系化合物を添加することにより、燃焼中の炎の視認を可能とし、日中野外に於ける炎の視認性が悪いことに起因した燃料のつぎ足しによる引火爆発事故の発生を防止できる、という効果をも奏するものである。以下に実施例、実験例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0030】
【実施例】
実施例1.メタノール 500kgにエチレングリコール 500kgを混合して、主燃料1を得た。この主燃料1に、ベンジルアルコール 10kg及び活性炭[武田薬品工業(株),商品名:ニューゴールド] 3kgを加えて攪拌した。次に、ハイビスワコー104[和光純薬工業(株),商品名] 15kgを一気に投入し、アンカー型攪拌機で粗に分散後、インライン型高速分散機「エバラマイルダーMDN-307型」[(株)荏原製作所製]を用いて約15分で全量を均一に分散して黒色の分散液を得た。この粘液の粘度は約0.5Pa・sであった。この分散液にトリエチルアミン 15kgをメタノール 100kgに溶解した溶液を加えて攪拌反応させ、粘度約35Pa・sの黒色のゲル状燃料組成物を得た。
【0031】
実施例2.変性アルコール 700kgにグリセリン300kgを混合して、主燃料2を得た。この主燃料2にn-ヘキサノール 20kg及びセライト 5kgを加えて攪拌した。次に、ハイビスワコー103[和光純薬工業(株),商品名] 18kgを一気に投入し、実施例1と同様にして分散させて白色の分散液を得た。この粘液の粘度は約0.2Pa・sであった。この分散液に、ジ(2-エチルヘキシル)アミン 18kgを変性アルコール 100kgに溶解した溶液を加えて攪拌反応させ、粘度約20Pa・sの白色ゲル状燃料組成物を得た。
【0032】
実施例3.メタノール 300kgにイソプロピルアルコール 300kg及びプロピレングリコール400kgを混合して、主燃料3を得た。この主燃料3にリン酸トリエチル 5kg及びセライト 3kgを加えて攪拌した。次に、ハイビスワコー104[和光純薬工業(株),商品名] 18kgを一気に投入し、実施例1と同様に分散し白色の分散液を得た。この粘液の粘度は約0.18Pa・sであった。この分散液にジ(2-エチルヘキシル)アミン 18kgを変性アルコール 100kgに溶解した溶液を加えて攪拌反応させ、粘度約15Pa・sの白色ゲル状燃料組成物を得た。
【0033】
実施例4.メタノール 650kgにジエチレングリコールモノエチルエーテル 350kgを混合して、主燃料4を得た。この主燃料4にシクロヘキサノール 30kg及びシリカゲル[和光純薬工業(株),商品名:ワコーゲルC-300] 5kgを加えて攪拌した。次に、ハイビスワコー105[和光純薬工業(株),商品名] 20kgを一気に投入し、実施例1と同様に分散し乳白色の分散液を得た。この粘液の粘度は約0.1Pa・sであった。この分散液にジイソプロピルエチルアミン 20kgをメタノール 100kgに溶解した溶液を加えて攪拌反応させ、粘度約10Pa・sの殆ど透明のゲル状燃料組成物を得た。
【0034】
実施例5.エタノール 700kgにグリセリン 300kgを混合して、主燃料5を得た。この主燃料5にn-ヘキサノール 20kg,セライト 5kg及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン 150gを加えて攪拌した。次に、ハイビスワコー103[和光純薬工業(株),商品名] 18kgを一気に投入し、実施例1と同様に分散し白色の分散液を得た。この粘液の粘度は約0.2Pa・sであった。この分散液にジ(2-エチルヘキシル)アミン 18kgをエタノール 100kgに溶解した溶液を加えて攪拌反応させ、粘度約20Pa・sの白色ゲル状燃料組成物を得た。
【0035】
比較例1.メタノール 1,000kgにハイビスワコー104[和光純薬工業(株),商品名] 15kgを一気に投入し、アンカー型攪拌機で3時間分散させた。一夜放置後、更に1時間分散させて均一な乳白色の分散液を得た。この粘液の粘度は約0.4Pa・sであった。この分散液にトリエチルアミン 15kgをメタノール 100kgに溶解した溶液を加え、攪拌反応させ、粘度約30Pa・sの透明ゲル状燃料組成物を得た。
【0036】
実験例1.引火性試験実施例1〜5及び比較例1で得られたゲル状燃料組成物各250gを夫々内容積約500cm3のポリエチレンボトルに充填して密栓し、約50℃の湯に10分間漬けた後、火源に向けて栓を開口したところ、比較例1で得られたゲル状燃料組成物を用いた場合は爆発音と共にボトル内部に引火し、開口部から着火したゲル状燃料組成物が飛散したが、実施例1〜5で得られたゲル状燃料組成物の場合には何れも何ら引火爆発等の現象は発生しなかった。
【0037】
実験例2.着火試験実施例1〜5及び比較例1で得られたゲル状燃料組成物各20gを夫々火皿にとり、着火試験を行った。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003856506
【0039】
表1の結果からも明らかなように、実施例1〜5で得られたゲル状燃料組成物は、日中屋外で視認良好な橙色或いは白色の炎を発して静かに燃焼を継続し、カルボキシビニルポリマーの飛散等は発生しなかった。これに対し、比較例1で得られたゲル状燃料組成物の場合は、日中屋外では視認が困難な淡青色の炎を呈し、パチパチと音をたてて燃焼し、更に、時折白色の架橋型ポリアクリル酸(カルボキシビニルポリマー)を飛散させて燃焼した。
【0040】
実験例3.実施例5で得られたゲル状燃料組成物250gを内容積約500cm3のポリエチレンボトルに充填して密栓し、20〜40℃にて4週間日光の当たる室内に放置した。その結果、粘度低下は生じなかった。以上の結果から、本発明のゲル状燃料は、炎の視認や安全性等の面において明らかに有用であることがわかる。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は新規なゲル状燃料組成物を提供するものであり、本発明の燃料は、保存時及び使用時に於ける引火事故や架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体の飛散及び燃焼中の炎の視認性等、従来の燃料が有していた問題点を全く有さない点に顕著な効果を奏するものである。のみならず、本発明に係るゲル状燃料組成物にあっては、その製造に当たって安価な市販品であるポリマーを活用しているため大量生産やポンプ輸送に適しており、大幅に生産コストを減ずることができる。

Claims (1)

  1. 炭素数3以下の低級アルコールを主成分とし、架橋型アクリル酸重合体を全体の0.5乃至5.0重量%とそれに対応するモル等量のアミン系化合物にてpHを中性付近とした混合物において、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのいずれか又はこれらの組合せを15乃至70重量%配合し、活性炭、シリカゲル、ケイソウ土のいずれか又はこれらの組合せを0.1乃至5.0重量%含有させ、ベンジルアルコール、n-ヘキサノール、リン酸トリエチルのいずれか又はこれらの組合せを0.1乃至10重量%含有させ、更に紫外線吸収剤を適宜含有させたことを特徴とするゲル状燃料組成物。
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