JP3854632B2 - ヌクレオシド誘導体、該ヌクレオシド誘導体の製造方法、および該誘導体の特異的ポリクローナルおよびモノクローナル抗体 - Google Patents

ヌクレオシド誘導体、該ヌクレオシド誘導体の製造方法、および該誘導体の特異的ポリクローナルおよびモノクローナル抗体 Download PDF

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Description

本発明は、ヌクレオシド誘導体、該ヌクレオシド誘導体の製造方法、および該誘導体の特異的ポリクローナルおよびモノクローナル抗体に関する。
巨大分子DNA(デオキシリボ核酸)は、クロモソームの構成成分であり、該分子の異なったセグメントは、遺伝特性のサポートである遺伝子を形成する。DNAは、糖(デオキシリボース)とホスファートにより互い違いに形成された二重螺旋の形状であり、2つの鎖の螺旋は、プリンまたはピリミジンタイプの窒素核塩基の基により局部的につながっている。DNAをなすヌクレオチドは、ヌクレオシドのりん酸エステルである。
個々(動物または植物)のDNAの核塩基は、該個々が強度の太陽光線、宇宙線、光感作剤にさらされたり、たとえ偶然にまたは放射線治療のためであっても、電離放射線またはアスベストと接触した場合、修飾したりダメージを受ける可能性がある。DNAの核塩基の修飾は、問題の個々の遺伝要因に重要な変化をもたらす可能性がある。このような修飾がなされたか否かを検知し、起こった修飾の性質を定めることが最も重要である。
したがって、DNA修飾を受けた患者に使用可能な検定法を開発することが注目されている。
サンプルにおける修飾DNAの存在を定めることの可能な種々の検定法のなかで、単離または加水分解されたDNAを含有するサンプルと、特別なDNA修飾の特異的抗体を反応させることからなる免疫検定法がある。該抗体は一般的には、クローニングから製造される。
ポリクローナルまたはモノクローナル抗体の製造には、まず、特異的抗原、すなわち、核塩基が検知したい修飾をうけ、大きい分子、たとえば蛋白質に結合したヌクレオチドまたはヌクレオシドを製造することが必要である。ヌクレオシドまたはヌクレオチドは単独では非常に小さすぎて免疫システムで見ることができない。ポリクローナル抗体が次いで、ヘプタンと結合した、問題の哺乳類と異質の蛋白質を含有する、前記抗原の注入を受けた哺乳類によって製造される。
従来技術には、核酸の免疫検定法が開示されており、文献:Christopher P.WILD:”Antibodies to DNA alkylation adducts as analytical tools in chemical carcinogenesis”,Mut.Res.,1990,233,pp219−233は、核塩基がアルキル化によって修飾された、ヌクレオチドの特異的抗体を開示している。特にアルキル化剤によるヒトガンおよび化学的発ガンの疫学的研究に使用される免疫検定法における抗体の機能を主張するものである。
文献:BD.Stollar:”Immunochemical analyses of nucleic acids”,Progress in Nucleic Acid,Research and Molecular Biology,1992,42,pp39−75はまた、核酸の特異的抗体に関するものである。
DNAのある酸化的欠落はまた、種々の公開文献に取り上げられている。
文献:G.J.West et al:”Radioimmunoassay of 8−hydroxyadenine”Int.J.Rad.Biol.,1982,42,pp481−490は、8−ヒドロキシアデニンの放射線免疫検定法を開示している。DNA修飾は、光線照射によって起こる可能性がある。
文献:P.Degan et al:”Quantitation of 8−hydroxy−2’−deoxyguanosine in DNA by polyalonalantibodies”,Carcinogenesis,1991,12,pp865−871は、8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシンおよび8−ヒドログアニンの特異的ポリクローナル抗体を開示している。該ポリクローナル抗体は、たとえば尿サンプルにおける修飾グアノシンの前記2つのタイプを早急に単離するために、免疫検定法において使用可能である。
文献:H.L.Lewis et al:”Serologic assay of DNA base damege”,Rad.Res.1978,75,pp305−316は、チミジンのイオン化照射後に得られる5−ヒドロキシメチルデオキシウリジンの検定法およびポリクローナル抗体の調製を開示している。
最後に、文献:S.A.Leadon and P.C.Hanawalt,”Monoclonal antibody to DNA containing thymine glycol”,Mut.Res.,1983,112,pp191−200は、DNAをイオン化またはUV近辺の光線に照射した後に得られる5,6−ジヒドロキシ−5,6−ジヒドロチミン(チミングリコール)のモノクローナル抗体を開示している。これらのモノクローナル抗体は、BALB−c株からのひ臓細胞を用いて、OsO4により酸化され、次いでメチル化ボビン血清アルブミンと複合化したポリ(d−チミン)で免疫したマウスのミエローマ細胞を融合させることにより得られた。テストは、エリーザ法によって行われた。
文献:B.F.Erlanger and S.M.Beiser:”Antibodies specific for ribonucleosides and ribonucleotides and their reaction with DNA”,Proc.N.A.S.,USA,1964,52,pp68−74は、ウサギ免疫プロトコールにおいて使用可能な抗原形成することのできるキャリア蛋白質を用いた核酸のカップリングプロトコールを開示している。該カップリングプロトコールを以下に示す。
Figure 0003854632
Rは、プリンまたはピリミジン塩基を示し、R’は、Hまたは−PO−(OH)2を示し、R”は、蛋白質残基を示す。
該方法は、過ヨウ素酸ナトリウムの作用によってリボヌクレオシドの単糖に作用することからなる。単糖サイクルは、炭素2’および3’の間でオープンであり、ジアルデヒドが形成される。該ジアルデヒドは次いで、9〜9.5に近いpHで、蛋白質に結合する。NaBH4は、中間体としてえられたシッフベースを還元するのに使用される。
しかしながら、該文献に開示された方法は、修飾していない核塩基に限定される。酸化/還元に感受性のある不安定な塩基を用いると、ヌクレオシドの該塩基を修飾し、次いで変異されたヌクレオシドを、過ヨウ素酸ナトリウムで酸化し、次いでホウ化水素ナトリウムを用いて還元することは不可能である。このような化学処理の後は、修飾DNAの研究はおこなえないことになる。
さらに、該方法に記載された1連の反応は、中間体を単離することなく行われる。したがって、ある種の寄生的な生成物が、反応工程中に生成され、最終結合蛋白質に存在する傾向にある。各寄生的な生成物は、本来の免疫反応を誘発する可能性がある。これは、ターゲットの分子が、5−ヒドロキシメチルウラシルであり、得られた抗血清がDNAの天然塩基であるチミンと認識された、前記文献:H.L.Lewis et alの場合である。
文献:T.Okabayashi et al:”A radioimmunoassay for 1−β−D−Arabinofuranosylcytosine”,Cancer Res.,1977,17,pp619−624は、塩基が修飾されたデオキシヌクレオシドとコハク酸の誘導体を反応させ、次いで蛋白質のフリーアミンを有するアミド官能基を製造することからなる方法を開示しており、該方法を以下に示す。
Figure 0003854632
Rは、プリンまたはピリミジン塩基であり、R’は、蛋白質残基である。
該方法の主な欠点は、蛋白質とヌクレオシドを結合するために使用されるエステル基の安定性に欠けることにある。
文献:M.D.Friesen et al:”Isolation of urinary 3−methyladenine”,Chem.Res.Toxicol.,1991,4,pp102−106は、広範囲に使用されるアルキル化核塩基の蛋白質への結合方法の1つを開示しており、該方法を以下に示す。
Figure 0003854632
Rは、蛋白質であり、EDCは、1−[(3−ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチル=ジカルボジイミド塩酸塩である。
該方法は、前記2つの方法とは、原料が、修飾形式のリボ−またはデオキシリボヌクレオシドではなく、塩基のアルキル化誘導体である点で、異なっている。使用されたハプテンは、蛋白質との結合直前に精製されるため、優れた質の抗体を形成可能である。しかしながら、該方法は、前記2つの方法よりも行うことがさらに困難である。
本発明の目的は、前記欠点のない抗原の製造方法および抗原を開発することである。
本発明は、以下の化学式:
Figure 0003854632
(式中、nは、任意の正の整数であり、R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−、またはトリ−リン酸を示し、R2は、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ部位を有する蛋白質、アミノアルキル=ポリスチレン、またはアルキルアミン鎖でグラフトしたシリカを示し、R3は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された修飾核塩基を示す)
で表わされるヌクレオシド誘導体に関する。
”ヌクレオシド誘導体”とは、ヌクレオシドから形成されたもので、該誘導体の中には、単糖がなく、モルホリンに置き換わったものがある。
R2が、蛋白質である場合には、得られた抗原は、抗体生成用ベースとして機能可能である。
R2が、アミノアルキル=ポリスチレン、またはアルキルアミノ鎖でグラフトしたシリカである場合、たとえば得られた生成物は、ハプテンに結合した固体サポートである。このようなサポートは、エリーザタイプの検定方法に使用可能である。
本発明はまた、以下の化学式:
Figure 0003854632
(式中、nは、任意の正の整数であり、R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−、またはトリ−リン酸を示し、R6は、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、またはアリールオキシ基を示し、R3は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された修飾核塩基を示す)
で表わされるヌクレオシド誘導体の製造方法であって、
以下の化学式:
Figure 0003854632
(式中、nは、任意の正の整数であり、R1およびR6は、前記と同様の意味を示し、R4は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された置換塩基を示す)
で表わされるヌクレオシド誘導体と置換基を反応させることからなる、式(II)で表わされるヌクレオシド誘導体の製造方法に関する。
従来技術の方法とは異なり、本発明による方法は、修飾ヌクレオシドと蛋白質との間の不安定なエステル結合を含有しないものである。したがって、得られた結合は、より安定であり、長期間劣化することなく、溶液中に保存可能である。
原料(III)は、デオキシリボースサイクルのかわりにモルホリンを有する。該生成物は、安定であり、該方法において使用する前に注意深く精製される。これによって、生成されたハプテン中において、寄生生成物または混入生成物は除去されるものである。
原料(III)は既に、核塩基が本発明の方法において修飾される前に、単糖サイクルをモルホリンサイクルに変換することが行われている。これによって、モルホリンサイクルの合成が核塩基の修飾後に起こると、より困難になる、核塩基が酸化または還元された抗原の調製を行うことが可能となる。
本発明はまた、以下の化学式:
Figure 0003854632
(式中、nは、任意の正の整数であり、R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−、またはトリ−リン酸を示し、R5は、蛋白質、アルキルポリスチレン、またはアルキル鎖でグラフトしたシリカを示し、R3は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された修飾核塩基を示す)
で表わされるヌクレオシド誘導体の製造方法であって、該方法は、NH2−R5タイプの化合物(式中、R5は、上記と同様の意味をしめす)を、以下の化学式:
Figure 0003854632
(式中、n、R1およびR3は、前記と同様の意味を示す)
で表わされるヌクレオシド誘導体と反応させることからなる、式(V)で表わされるヌクレオシド誘導体の製造方法に関する。
NH2−R5が蛋白質である場合、得られた生成物(V)は抗原である。NH2−R5がアミノアルキルポリスチレンまたはアルキルアミン鎖でグラフトしたシリカである場合、得られた生成物(V)は固体サポートである。エリーザ検定方法において、試験管の壁またはプレートのウエルが、グラフト化シリカで被覆されることが可能であり、これによって、ハプテンのサポートへの共有結合が可能となる。
さらに、”Pharmacia”は、生物学的分子(”BiaCore”の商標名としてしられているもの)間の相互作用を動的に研究するための装置を市販している。原理は、1分子を固体サポートに固定し、他の分子を含む溶液を循環させることからなる。本発明により得られた該固体サポートは、このような装置において使用可能である。
さらに本発明はまた、以下の化学式:
Figure 0003854632
(式中、nは、任意の正の整数であり、R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−、またはトリ−リン酸を示し、R3は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された置換核塩基を示し、R5は、哺乳類由来の蛋白質ではない)
で表わされる抗原を用いた適当な哺乳類の免疫化によって得られることを特徴とする、ヌクレオシドから逆誘導された(anti−derived)ポリクローナル抗体に関する。
本発明は、以下の化学式:
Figure 0003854632
(式中、nは、任意の正の整数であり、R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−、またはトリ−リン酸を示し、R3は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された修飾核塩基を示し、R5は、マウス由来の蛋白質ではない)
で表わされる抗原によって免疫化されたマウスのひ臓細胞を用いた哺乳類のミエローマ細胞の融合によって得られることを特徴とする、ヌクレオシドから逆誘導された(anti−derived)モノクローナル抗体に関する。
本発明を、以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
本発明によるヌクレオシド誘導体の調製方法の第1工程は、蛋白質に属するアミノ基に結合させるために、モルホリンの形成によって既に修飾したヌクレオチドまたはヌクレオシドを用いることからなる。
原料(III)(以後、モルホリノヌクレオシドと称する)は、以下の化学式:
Figure 0003854632
(式中、nは、任意の正の整数であり、R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−、またはトリ−リン酸を示し、R6は、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、またはアリールオキシ基を示し、R4は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された核塩基を示す)
で表わされる。
原料(III)は、たとえば、文献:R.Rayford et al,”Reductive alkylation with oxydized nucleotides”J.Biol.Chem.,1985,260,pp15708−15713に記載された方法により得られ、以下に該方法を示す。
Figure 0003854632
R4は、上記と同様の意味を示す。
該方法は、2’および3’炭素の間の結合を開裂するために、過ヨウ素酸ナトリウムをヌクレオシドと反応させることからなる。これによって、ジアルデヒドが得られ、これが、ダブルシッフベースを形成するために、グリシンと反応する。該ダブルベースは、NaCNBH3によって、モルホリノヌクレオシドを得るために、還元される。上記文献において使用されたヌクレオシドは、アデノシンであった。しかしながら、同様の方法で、この処理は、他のプリンまたはピリミジン塩基で行うことも可能である。同様にして、該ヌクレオシドは、リン酸が5位にあるヌクレオシドクレオチドに変換される。
R6がアルキルまたはアリール基である場合、生成物(III)は、エステルである。これは、グリシンをグリシナート、たとえばt−ブチルまたはエチル=グリシナートに置換することによって、上記方法から得ることができる。さらに、該誘導体は、アミン官能基に縮合するための活性エステルに変換可能である。
本発明による方法の原料(III)は、他の方法によっても得ることが可能である。
プリンまたはピリミジン塩基に置換基を導入可能な置換基は、一般式には、該塩基の酸化修飾を導く薬剤であり、物理的または化学的薬剤である。化学薬剤は、たとえば、オゾン、過酸化水素、コリジン結合のブロミン、ブロミンおよび酸化銀、過マンガン酸カリウム、4酸化オスミウム、メタナールまたはAlLiH4から選択される。同様の結果が、酸素の存在下または非存在下、イオン化光線の作用によって、光化学的に(紫外線および次いで光感受性剤)、接触水素化によって、または、ブロミンおよび水、これに次ぐ水素化分解によって、得ることが可能である。置換基および異なったプリンまたはピリミジン塩基において得られた置換化合物を、表1に示す。
Figure 0003854632
Figure 0003854632
Figure 0003854632
Figure 0003854632
Figure 0003854632
Figure 0003854632
Figure 0003854632
本発明による方法の最後に、以下の式:
Figure 0003854632
(式中、nは任意の正の整数であり、イオン化光線R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−、またはトリ−リン酸を示し、R6は、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、またはアリールオキシ基を示し、R3は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された核塩基を示し、好ましくは、表1の修飾または置換塩基の1つを示す)
で表わされるヘプタンが得られる。
生成物(II)は、生成物(I)の可能な変換体である。
以後、該ヘプタンの1つの調製例を記載する。
実施例1:2−(5−ヒドロキシシトシン−1−イル)−4−カルボキシメチル−6−(ヒドロキシメチル)−モルホリン
100mgの2−(シトシン−1−イル)−4−カルボキシメチル−6−ヒドロキシメチル=モルホリンを、5mlの水に溶解する。次いで、黄色くなるまでブロミンを滴下する。常温で15分間撹拌したのち、過剰のブロミンを、空気を該溶液にふきこむことによって除去する。次いで、200μlのコリジンを加え、常温で2時間撹拌する。水を減圧下、除去し、フリーのコリジンを、5mlのエタノールで共沸して除去する。得られた残さを高速液体クロマトグラフィー(Macherey Nagel(登録商標)のNucleosil10−C18カラム、6X300mm、移動相50mMトリエチルアンモニウムアセタートおよびメタノール)で分析する。分析結果から、主生成物(60%)が原料ではないことが判明した。NMR分析から、所望の化合物であることが判明した。該生成物は、5700モル/l−1cm−1のモル吸光係数で、290.4nmの最大UV吸収により特徴づけられるものである。
本発明の第2の工程は、第1工程で得られたハプテン(VI)を、たとえば抗原または固体相(フィルム、ゲル)を形成するために、処理することからなる。ここで、ハプテン(VI)は、サポートに、共有結合している。該方法を以下に示す。
Figure 0003854632
n、R1およびR3は、上記と同様の意味を示し、R5は、蛋白質残基、アルキル=ポリスチレンまたはアルキル鎖でグラフト化したシリカを示す。
原料のハプテン(VI)は、NH2−R5と結合する前に、高圧液体クロマトグラフィーによって精製する。基R5は、蛋白質であってもよく、たとえば、メチル化ボビン血清アルブミン、ターキーまたはチキンの卵アルブミン、またはヘモシアニンから選択された蛋白質で、特に、KLHまたはキーホールリンペット(keyhole limpet)ヘロシアニン、すなわち、リンペットの蛋白質であってもよい。これは、抗体の製造において使用可能である抗原を与えるものである。ポリクローナル抗体の製造中、蛋白質は、抗体製造用に使用される動物のものとは異なる性質にするように選択される。前記蛋白質は、ウサギを免疫化する場合に適当である。
NH2−R5基はまた、アミノアルキルポリスチレンまたはアルキルアミノ鎖でグラフト化されたシルカであってもよい。これは、ハプテンがサポートに共有結合したフィルムまたはゲルを提供するものである。
該方法の実施方法を以下に示す。
実施例2:ハプテン−蛋白質結合体(抗原)の合成
30mg(90μモル)の2−(5−ヒドロキシシトシン−1−イル)−4−カルボキシメチル−6−ヒドロキシメチルモルホリンを2mlの水に溶解する。水に溶解した該化合物を、35mg(180μモル)のE.D.C.(N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(塩酸塩)と80mgのボビン血清アルブミンとを含有する溶液、5mlに3時間かけて滴下する。常温で一昼夜撹拌した後、水を減圧下、除去し、残さを2mlの水に溶解して、クロマトグラフィー(メルク社の”Fractogel TSK−HW40カラム”(登録商標)、20X40mm、移動相0.15MNaCl)で分析する。
第1溶出生成物を集めて、水で透析し、得られた溶液を凍結乾燥する。生成物のハプテン量を測定する。該測定は、オリジナルの蛋白質のUV吸収を、修飾ヌクレオシドにグラフトした蛋白質のそれと比較することにより行われる。270nmと300nmの吸収比較によって、7.8モルの2−(5−ヒドロキシシトシン−1−イル)−4−カルボキシメチル−6−ヒドロキシメチルモルホリンが、蛋白質の1モルあたりにグラフトされていることが確認される。
本発明は最後に、R5が蛋白質残基を示す、前記方法によって得られる抗原の特異的抗体に関する。
ポリクローナル抗体は、以下に記載するように、ウサギに注射することによる従来法で得られる。しかしながら、得られた抗体は、新規な先に調製された抗原に特異的であるため、新規である。
以下、該ポリクローナル抗体の調製の例を挙げる。
実施例3:実施例2の抗原に特異的なポリクローナル抗体の調製
免疫プロトコールは、以下に記載するような方法で処理された、2Kgの株NZ”S.S.C.”の2匹の雌のウサギをベースにした。
エマルションが、実施例2で調製されたハプテン−蛋白質結合体、1mg/リットルを完全フロイントアジュバント、1mlと混合することによって調製された。各雌のウサギは、首と背中に、前記エマルション、100μlを注射された。最初の注射から4週間後、ウサギは、同一条件下で第1ブースターを受けた。さらに4週間後、さらなるブースターを受けた。後者は、1mlのと完全フロイントアジュバントと、1mg/mlのハプテン−蛋白質結合体から形成されたエマルション、0.5mlを、臀部に筋肉内注射することにより行われた。
2週間後、2〜5mlの血液がウサギの耳から採取された。収集された血清によって、第1テストをすることができた。最後に、第2ブースターから4週間後、第3ブースターが、第2ブースターと同様の原理を用いて筋肉内注射することにより行われた。2週間後、ウサギは殺され、その血液のほとんどを収集された。血清は、前記抗原の特異的抗体を含有するものである。
モノクローナル抗体が、マウスなどの哺乳類のミエローマ細胞をたとえばBALB/cマウス株からのひ臓細胞と融合させることによって、従来の方法で得られる。該マウスは、キャリア蛋白質(R5が蛋白質)に結合した修飾モルホリノヌクレオシドからなる抗原(V)で免疫化されたものである。該抗体は、本発明による方法によって得られた新規な抗原に特異的である。
以後、該モノクローナル抗体の調製例を示す。
実施例4:実施例2(2−(5−ヒドロキシキシトシン−1−イル)−4−カルボキシメチル−6−ヒドロキシメチルモルホリン)の抗原に特異的なモノクローナル抗体の調製
免疫化:
実施例2の抗原の懸濁液を、完全フロイントアジュバントと同一容量で乳化した。該エマルションを、6〜8週令の、株BALB/cの雌のマウスに、0.1mlの投与量で、腹腔内ブースター注射した。該ブースターの2週間後、最後の免疫化が、マウスの尾の静脈に注射することにより行われた。なお、該注射は、0.15MNaclに溶解された抗原を組み入れたものである。
細胞融合およびクローン化
最終ブースター注射の3日後、ひ臓がマウスから除去され、粉砕された。ひ臓細胞は、血清を含有しない修飾Dulbecco媒体(DMEM)中で洗浄された。108ひ臓細胞が、107ミエローマ細胞と混合され、次いで常温で7分間500xgで遠心分離された。次いで、媒体を除去して、遠心分離したものを回収し、これに50%PEG4000(メルク社)を0.8ml、37℃で静かに撹拌しながら1分間かけて添加した。次いで、修飾Dulbecco媒体を1分間に1mlの割合で添加し、次いで5分間20mlを添加した。該細胞を10分間200xgで遠心分離し、次いで、遠心分離されたものを15mlのDMEMおよび10%FBS(胎児ボビン血清)中に再懸濁した。この0.05mlずつを、マクロファージで被覆された培養ウエルが設けられたプレートに分配した。該プレートを、DMEM(HAT媒体)中における、ハイポキサンチン(1.10−4M)、アメソプテリン(4.10−7M)およびチミジン(1.6 10−5M)に添加する前に、37℃で24時間培養した。融合してから7時間後、各ウエルに0.025mlのHAT媒体が添加され、次いで媒体は3〜4日毎に補充された。該コロニーは、実施例2の抗原に対する各活性エリーザテストによってテストされた。該テストでポジティブな結果の細胞のみがクローン化されたものである。

Claims (15)

  1. 以下の化学式:
    Figure 0003854632
    (式中、nは1であり、R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−、またはトリ−リン酸を示し、R2は、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、−NHR5(ここで、R5は、蛋白質残基である)、アミノアルキル=ポリスチレン、またはアルキルアミン鎖でグラフトしたシリカを示し、R3は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された核塩基を化学的または物理的に修飾することにより得られた塩基を示す)
    で表わされるヌクレオシド誘導体。
  2. 3が、(5−ヒドロキシシトシン)−1−イル、(5−ヒドロキシヒダントイン)−1−イル、−NH−CO−NH−CO−NH2、(5−ヒドロキシウラシル)−1−イル、(5−ホルミルウラシル)−1−イル、(5−ヒドロキシメチルウラシル)−1−イル、−NH−CHO、(5,6−ジヒドロキシチミン)−1−イル、(5,6−ジヒドロチミン)−1−イル、(5,6−ジヒドロ−5−ヒドロキシチミン)−1−イル、アデニン−Nl−オキシド、(8−オキソ−7,8−ジヒドロアデニン)−9−イル、[(6−アミノ−5−ホルミルアミノ−ピリミジン)−4−イル]アミノ、(8−オキソ−7,8−ジヒドログアニン)−9−イル、[(2−アミノ−6−オキソ−5−ホルミルアミノピリミジン)−4−イル]−アミノ、(4,8−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−8−オキソ−グアニン)−9−イル、または[(2,2−ジアミノ−オキサゾール−4オン)−5−イル]アミノから選択される、請求項1に記載のヌクレオシド誘導体。
  3. 2が、メチル化ボビン血清アルブミン、ターキーまたはチキンの卵アルブミン、またはヘモシアニンから選択された蛋白質である、請求項1または2に記載のヌクレオシド誘導体。
  4. 以下の化学式:
    Figure 0003854632
    (式中、nは1であり、R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−、またはトリ−リン酸を示し、R6は、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、またはアリールオキシ基を示し、R3は、クラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された核塩基を化学的または物理的に修飾することにより得られた塩基を示す)
    で表わされるヌクレオシド誘導体の製造方法であって、以下の化学式:
    Figure 0003854632
    (式中、n、R1およびR6は、前記と同様の意味を示し、R4は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された塩基を示す)
    で表わされるヌクレオシド誘導体を置換反応させることからなる、式(II)で表わされるヌクレオシド誘導体の製造方法。
  5. 前記置換反応が、オゾン、過酸化水素、コリジンと組み合わせたブロミン、Ag2Oおよびブロミン、過マンガン酸カリウム、4酸化オスミウム、メタナール、またはAlLiH4から選択された薬剤で行われる、請求項4に記載のヌクレオシド誘導体の製造方法。
  6. 前記置換反応が、光化学、任意の酸素の存在下のイオン化光線、接触水素化、またはブロミンおよび水による処理とそれに続く水素化分解から選択された処理で行われる、請求項4に記載のヌクレオシド誘導体の製造方法。
  7. 3が、(5−ヒドロキシシトシン)−1−イル、(5−ヒドロキシヒダントイン)−1−イル、−NH−CO−NH−CO−NH2、(5−ヒドロキシウラシル)−1−イル、(5−ホルミルウラシル)−1−イル、(5−ヒドロキシメチルウラシル)−1−イル、−NH−CHO、(5,6−ジヒドロ−5,6−ジヒドロキシチミン)−1−イル、(5,6−ジヒドロチミン)−1−イル、(5,6−ジヒドロ−5−ヒドロキシチミン)−1−イル、アデニン−Nl−オキシド、(8−オキソ−7,8−ジヒドロアデニン)−9−イル、[(6−アミノ−5−ホルミルアミノ−ピリミジン)−4−イル]アミノ、(8−オキソ−7,8−ジヒドログアニン)−9−イル、[(2−アミノ−6−オキソ−5−ホルミルアミノピリミジン)−4−イル]−アミノ、(4,8−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−8−オキソ−グアニン)−9−イル、または[(2,2−ジアミノ−オキサゾール−4−オン)−5−イル]アミノから選択される、請求項4に記載のヌクレオシド誘導体の製造方法。
  8. 以下の化学式:
    Figure 0003854632
    (式中、nは1であり、R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−、またはトリ−リン酸を示し、R5は、蛋白質、アルキルポリスチレン、またはアルキル鎖でグラフトしたシリカを示し、R3は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された核塩基を化学的または物理的に修飾することにより得られた塩基を示す)
    で表わされるヌクレオシド誘導体の製造方法であって、該方法は、NH2−R5タイプの化合物(式中、R5は、上記と同様の意味をしめす)を、以下の化学式:
    Figure 0003854632
    (式中、n、R1およびR3は、前記と同様の意味を示す)
    で表わされるヌクレオシド誘導体と反応させることからなる、式(V)で表わされるヌクレオシド誘導体の製造方法。
  9. 3が、(5−ヒドロキシシトシン)−1−イル、(5−ヒドロキシヒダントイン)−1−イル、−NH−CO−NH−CO−NH2、(5ーヒドロキシウラシル)−1−イル、(5−ホルミルウラシル)−1−イル、(5−ヒドロキシメチルウラシル)−1−イル、−NH−CHO、(5,6−ジヒドロ−5,6−ジヒドロキシチミン)−1−イル、(5,6−ジヒドロチミン)−1−イル、(5,6−シヒドロ−5−ヒドロキシチミン)−1−イル、アデニン−Nl−オキシド、(8−オキソ−7,8−ジヒドロアデニン)−9−イル、[(6−アミノ−5−ホルミルアミノ−ピリミジン)−4−イル]アミノ、(8−オキソ−7,8−ジヒドログアニン)−9−イル、[(2−アミノ−6−オキソ−5−ホルミルアミノピリミジン)−4−イル]−アミノ、(4,8−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−8−オキソ−グアニン)−9−イル、または[(2,2−ジアミノ−オキサゾール−4−オン)−5−イル]−アミノから選択される、請求項8に記載のヌクレオシド誘導体の製造方法。
  10. 以下の化学式:
    Figure 0003854632
    (式中、nは1であり、R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−、またはトリ−リン酸を示し、R3は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された核塩基を化学的または物理的に修飾することにより得られた塩基を示し、R5は、下記の哺乳類に由来する蛋白質とは相違する蛋白質の残基である」)
    で表わされる抗原を用いた適当な哺乳類の免疫化によって得られることを特徴とする、ポリクローナル抗体。
  11. 5が、メチル化ボビン血清アルブミン、ターキーまたはチキンの卵アルブミン、またはヘモシアニンから選択された蛋白質である、請求項10に記載のポリクローナル抗体。
  12. 3が、(5−ヒドロキシシトシン)−1−イル、(5ーヒドロキシヒダントイン)−1−イル、−NH−CO−NH−CO−NH2、(5−ヒドロキシウラシル)−1−イル、(5−ホルミルウラシル)−1−イル、(5−ヒドロキシメチルウラシル)−1−イル、−NH−CHO、(5,6−ジヒドロ−5,6−ジヒドロキシチミン)−1−イル、(5,6−ジヒドロチミン)−1−イル、(5,6−ジヒドロ−5−ヒドロキシチミン)−1−イル、アデニン−Nl−オキシド、(8−オキソ−7,8−ジヒドロアデニン)−9−イル、[(6−アミノ−5−ホルミルアミノ−ピリミジン)−4−イル]アミノ、(8−オキソ−7,8−ジヒドログアニン)−9−イル、[(2−アミノ−6−オキソ−5−ホルミルアミノピリミジン)−4−イル]−アミノ、(4,8−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−8−オキソ−グアニン)−9−イル、または[(2,2−ジアミノ−オキサゾール−4−オン)−5−イル]−アミノから選択される、請求項10に記載のポリクローナル抗体。
  13. 以下の化学式:
    Figure 0003854632
    (式中、nは1であり、R1は、Hまたは直鎖のモノ−、ジ−またはトリ−リン酸を示し、R3は、ウラシル、チミン、シトシン、グアニン、またはアデニンから選択された核塩基を化学的または物理的に修飾することにより得られた塩基を示し、R5は、下記のマウスに由来する蛋白質とは相違する蛋白質の残基である)
    で表わされる抗原によって免疫化されたマウスのひ臓細胞を用いた哺乳類のミエローマ細胞の融合によって得られることを特徴とする、モノクローナル抗体。
  14. 5が、メチル化ボビン血清アルブミン、ターキーまたはチキンの卵アルブミン、またはヘモシアニンから選択された蛋白質である、請求項13に記載のモノクローナル抗体。
  15. 3が、(5−ヒドロキシシトシン)−1−イル、(5−ヒドロキシヒダントイン)−1−イル、−NH−CO−NH−CO−NH2、(5−ヒドロキシウラシル)−1−イル、(5−ホルミルウラシル)−1−イル、(5−ヒドロキシメチルウラシル)−1−イル、−NH−CHO、(5,6−ジヒドロ−5,6−ジヒドロキシチミン)−1−イル、(5,6−ジヒドロチミン)−1−イル、(5,6−ジヒドロ−5−ヒドロキシチミン)−1−イル、アデニン−Nl−オキシド、(8−オキソ−7,8−ジヒドロアデニン)−9−イル、[(6−アミノ−5−ホルミルアミノ−ピリミジン)−4−イル]アミノ、(8−オキソ−7,8−ジヒドログアニン)−9−イル、[(2−アミノ−6−オキソ−5−ホルミルアミノピリミジン)−4−イル]−アミノ、(4,8−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−8−オキソ−グアニン)−9−イル、または[(2,2−ジアミノ−オキサゾール−4−オン)−5−イル]−アミノから選択される、請求項13に記載のモノクローナル抗体。
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