JP3854582B2 - 包装箱 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶製品等の容器製品物を包み込むように収納するいわゆるラップアラウンド式の紙製包装箱に関し、特に、店頭で中身の容器製品物を陳列する際、当該包装箱からいわゆるマルチパック包装体(缶製品を例えば3×2個に纏めた包装容器)や缶製品を取り出す際に、取り出し易く、かつ使用後の廃棄の際に折り畳みロックすることが可能な包装箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
実公平6−21850号公報
【特許文献2】
実公平6−44881号公報
【0003】
いわゆるラップアラウンド式の包装箱による容器製品物の包装は一般に以下の要領で行われる。すなわち、一般に上面板、底面板、およびこれらを連結する側面板を有して形成される帯状の胴部で容器製品物を包み込むように収納した後、その開口したままになっている胴部両端部をそれぞれ一対の内フラップおよび外フラップで順次塞ぐことにより、容器製品物が収納された包装箱が完成される。
【0004】
このように形成されたラップアラウンド式の包装箱は、店頭で中身の容器製品物を陳列する際に、包装を解いて、予め収納されているマルチパック包装体(缶製品を例えば3×2個に纏めた包装容器)や缶製品を取り出す必要がある。
【0005】
このような要望の応じるべく従来のラップアラウンド式の包装箱の開封仕様として、面積の大きな上面板(前面)を大きく破ることができる仕様のものが存在する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような仕様のものは出荷状態である内容物充填時の箱形状を大きく壊してしまうために、箱内に缶製品が残っている場合(箱使用中)であっても、取り出し口の再封止機能がなく、収納箱としての機能がきわめて悪いという問題がある。また、使用後、当該箱をゴミとして廃棄する際に嵩張るという問題もある。
【0007】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであり、その目的は、上記の問題点を解決し、包装箱からいわゆるマルチパック(缶製品を例えば3×2個に纏めた包装容器)や缶製品を取り出す際に、取り出し易くかつ再封止可能な包装箱を提供することにある。また、使用後の廃棄の際に折り畳みロックすることができコンパクトな形態を維持したまま廃棄することが可能な包装箱を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、上面板、底面板、およびこれらを連結する側面板を有して形成される胴部、ならびに内フラップおよび外フラップを備えてなるラップアラウンド式の包装箱において、前記内フラップは、側面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に実質的に連接して形成されており、前記外フラップは、上面板および底面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に連接して形成されており、前記フラップと上面板、底面板ないし側面板が連接される折り線であって、かつ少なくとも一方の開封口側に位置する折り線において、これらの各折り線の少なくとも1つの折り線を切断するように形成された一対のスリットが折り線方向に対向配置されており、当該一対のスリットに挟まれるエリアは、切断される折り線の略中央大部分を占めるよう配置されているとともに、そのエリア内で重なり合いを持つこと無く開封口の間口を拡張する操作をするために設けられたものであって、前記一対のスリットの対向する端部同士を結ぶラインに折り線が形成されており、前記一対のスリットの存在によって、開封口形成のためにフラップを開いた状態で、前記一対のスリットで囲まれた前記フラップと上面板、底面板ないし側面板が連接される折り線を谷折りするとともに、前記一対のスリットの対向する一対の端部同士を結ぶラインに形成した折り線を山折りすることで、前記一対のスリットの対向する一方の端部同士を結ぶラインに形成した折り線と、前記一対のスリットで囲まれた前記フラップと上面板、底面板ないし側面板が連接される折り線と、前記一対のスリットの対向する他方の端部同士を結ぶラインに形成した折り線とで囲まれた空間の分だけ開封口の間口が拡張されるように構成される。
【0010】
また、本発明の好ましい態様として、前記一対のスリットは、切断される折り線を中心として鏡像関係に配置される。
【0011】
本発明は、上面板、底面板、およびこれらを連結する側面板を有して形成される胴部、ならびに内フラップおよび外フラップを備えてなるラップアラウンド式の包装箱において、前記内フラップは、側面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に実質的に連接して形成されており、前記外フラップは、上面板および底面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に連接して形成されており、前記フラップと上面板、底面板ないし側面板が連接される折り線であって、かつ少なくとも一方の開封口側に位置する折り線において、前記外フラップと上面板が連接される折り線、および前記外フラップと底面板が連接される折り線には、当該折り線を切断するように形成された一対のスリットがそれぞれ折り線方向に対向配置されており、前記一対のスリットは、一対の湾曲状のスリットの組み合わせからなり、該一対の湾曲状のスリットは、凹面対向するように配置されており、胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成されたいずれかの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ時、上面板側に位置する一対のスリットの片側と底面板側に位置する一対のスリットの片側とが差込により係止できるように上面板側に位置する一対のスリットと底面板側に位置する一対のスリットとが配置形成されてなるように構成される。
【0012】
本発明は、上面板、底面板、およびこれらを連結する側面板を有して形成される胴部、ならびに内フラップおよび外フラップを備えてなるラップアラウンド式の包装箱において、前記内フラップは、側面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に実質的に連接して形成されており、前記外フラップは、上面板および底面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に連接して形成されており、前記フラップと上面板、底面板ないし側面板が連接される折り線であって、かつ少なくとも一方の開封口側に位置する折り線において、前記外フラップと上面板が連接される折り線、および前記外フラップと底面板が連接される折り線には、当該折り線を切断するように形成された一対のスリットがそれぞれ折り線方向に対向配置されており、さらに、内フラップと側面板が連接される各折り線には、当該折り線を切断するように形成された一対の第2スリットがそれぞれ折り線方向に対向配置されているように構成される。
【0015】
また、本発明の包装箱において、前記一対のスリットは、一対の湾曲状のスリットの組み合わせからなり、該一対の湾曲状のスリットは、凹面対向するように配置されており、胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成されたいずれかの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ時、上面板側に位置する一対のスリットの片側と底面板側に位置する一対のスリットの片側とが差込により係止できるように上面板側に位置する一対のスリットと底面板側に位置する一対のスリットとが配置形成される。
【0016】
また、本発明の包装箱において、前記一対のスリットは、一対の湾曲状のスリットの組み合わせからなり、該一対の湾曲状のスリットは、凹面対向するように配置されており、胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成されたいずれかの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ時、上面板側に位置する一対のスリットの片側と底面板側に位置する一対のスリットの片側とが差込により係止できるように上面板側に位置する一対のスリットと底面板側に位置する一対のスリットとが配置形成されており、前記一対の第2のスリットは、一対の湾曲状の第2のスリットの組み合わせからなり、該一対の湾曲状の第2のスリットは、凹面対向するように配置されており、これらの第2のスリットの少なくとも一つのスリットは、前記胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成されたいずれかの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ時、上面板側に位置する一対のスリットの他の片側または底面板側に位置する一対のスリットの他の片側と差込により係止できるように配置形成される。
【0017】
また、本発明の包装箱において、前記一対の第2のスリットは、一対の湾曲状の第2のスリットの組み合わせからなり、該一対の湾曲状の第2のスリットは、凹面対向するように配置されており、これらの第2のスリットの少なくとも一つのスリットは、前記胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成されたいずれかの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ時、上面板側に位置する一対のスリットの片側または底面板側に位置する一対のスリットの片側と差込により係止できるように配置形成される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の包装箱の具体的実施の形態の一例について、図1〜図6を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、本発明の包装箱1の展開図の一例を示したものである。図2(a)〜(c)は、それぞれ、包装箱1から内容物を取り出すための開封手順を経時的に示す概略斜視図である。図3〜図6は、それぞれ、包装箱としての役目を終え、廃棄されることとなった空箱(包装箱)を平面に折り畳んだ後に、畳み終えた平面形態を実質的に維持させるようにロックする状況を説明するための概略斜視図である。なお、図7は、本発明の包装箱1の他の展開図の一例を示したものである。
【0020】
(第1の実施の形態)
本発明の包装箱1は、図1に示される展開図から容易に理解できるように、例えば、複数枚(本実施の形態では4枚)の板体である側面板11、底面板21、側面板15、上面板25が連なって形成される帯状の胴部を有している。上面板25の開口側の両端部にはそれぞれ外フラップ45,45が連接して形成されており、底面板21の開口側の両端部にはそれぞれ外フラップ41,41が形成されている。
【0021】
側面板11および15の開口側の両端部にはそれぞれ内フラップ31,31および35,35が実質的に連接して形成されている。ここで、『実質的な連接』と表現しているのは、直接的な連接のみならず間接的な連接をも含む趣旨である。すなわち、例えば、後述する図7の展開図に示されるように、各側面板11,15は側片38を介して間接的に内フラップ31,35と連接している形態が存在するからである。図7に示されるような側片38の形成により、組み立て後、上面板25からみた平面形状は、箱の角部があたかも切り取られたような変形8角形となる(図7の符号H相当部分)。本発明においては、図1に示されるような一般的な上面4角形形態であってもよいし、図7に示されるような上面変形8角形であってもよいことは勿論である。
【0022】
なお、本発明でいう内フラップとは、未開封状態(出荷箱状態)で内側に位置するフラップをいい、外フラップとは、未開封状態(出荷箱状態)で外側に位置するフラップをいう。
【0023】
本発明の包装箱1は、図1に示される展開図および図2(a)に示される組立図から分かるように、例えば、まず最初に、複数枚(本実施の形態では4枚)の板体である側面板11、底面板21、側面板15、上面板25が連なって形成される帯状の胴部で容器製品物(缶ビールなどの缶製品群)を包み込むように収納した後、糊代片9で帯状の胴部を筒状に一体固着することにより筒状の胴部が形成される。
【0024】
その後、図1に示される折り線62,66,82,86から4つの内フラップ31,31,35,35が内側に折り込まれる。
【0025】
次いで、この折り込まれた4つの内フラップ31,31,35,35の外面の所定位置に糊付けがなされる。
【0026】
次いで、この糊付け面に向けて、折り線71,75,91,95から4つの外フラップ41,41,45,45が折り込まれ、図2(a)に示されるような包装箱1が完成する。この状態は、いわゆる出荷箱に相当する。
【0027】
なお、本発明において、上記包装箱の組み立て手順は、箱の形態を特定するためにその一例を示したものであり、上述の手順に限定されるものではない。
【0028】
本発明の要部は、図1に示される本発明の包装箱1の展開図において、外フラップ45と上面板25が連接される折り線91、および外フラップ41と底面板21が連接される折り線71(これらの折り線91,71は開封口とすることができる側に位置している)の部分にそれぞれ、一対のスリット72,73および92,93(図1では対をなす括弧状のスリットがそれぞれ例示)が形成されている点にある。
【0029】
すなわち、図1に示されるごとく折り線71および折り線91をそれぞれ切断するように形成された一対のスリット72,73および92,93がそれぞれ折り線方向(折り線が形成されている線方向)に対向配置されている。
【0030】
このような各一対のスリット72,73および92,93の存在によって、開封口形成のため外フラップ41,45を開いた状態において、折り線71,91の近傍であってかつスリット72,73および92,93に挟まれるエリアS1,S2を部分的に外方に押圧し陥没させることができるようになっている(後述する図2(c)を参照)。
【0031】
このような押圧操作をより容易に行なうことができるようにするために、対向する一対のスリットの端部同士を結ぶ直線部分には図1に示されるごとく折り線42,43および46,47をそれぞれ形成しておくことが望ましい。
【0032】
このような仕様のもと、図2(c)に示すごとく、外フラップ41,45を開いた後、さらに間口を広げる操作を容易に行なうことができる。そして、間口を広げることにより、通常、包装箱1の内部に4パック収納されているマルチパック包装体(缶製品を例えば3×2個に纏めた包装容器)の取り出しが極めて容易になる。また、このような包装箱仕様においては、取り出し操作の後、外フラップ41,45を再度、封止することもできる。
【0033】
このような各一対のスリット72,73および92,93は、それぞれ切断される折り線71,91を中心として鏡像関係に配置されることが望ましい。
【0034】
さらに、このような各一対のスリット72,73および92,93は、内容物取り出しのための間口を広げるための作用をするものであるから、それぞれ切断される折り線の略中央大部分を占めるよう配置されてなることが望ましい。
【0035】
上述してきたような外フラップ41,45を開いた後、内容物の取り出し間口を広げることができる操作に加えて、あるいは内容物の取り出し間口を広げることができる操作に代えて、空箱となった包装箱の廃棄時の折り畳み・差込ロック機能を発揮させるためには、以下のようなスリット仕様を満たすことが必要となる。
【0036】
すなわち、各一対のスリット72,73および92,93は、それぞれ、図1に示されるごとく一対の湾曲状(曲線状)のスリットの組み合わせとし、これらの一対の湾曲状のスリットは、凹面同士が向かい合う凹面対向の配置とされる。この凹面対向の形態はあたかも括弧記号に類似する形態とも表現することができる。
【0037】
そして、胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成された折り線51,52,53,54のいずれかを基線として立体箱を平面形態に折り畳んだ時、上面板25側に位置する一対のスリット92,93の片側(いずれか一方)と、底面板21側に位置する一対のスリット72,73の片側(いずれか一方)とが重なり合い、重なり部分での差込操作による係止ができるように上面板25側に位置する一対のスリット92,93と底面板21側に位置する一対のスリット72,73とが配置形成される。
【0038】
このような構成とすることにより、使用後の廃棄の際に平面に折り畳んだ後、スリットの一部の差込により折り畳み体の形態をそのままロックすることが可能となる。
【0039】
つまり、このようなスリット同士を利用した差込による係止(ロック)は、平面に折り畳んだ時に生じるスリットの湾曲部同士の重なりを利用して行なわれる。そのため、平面に折り畳んだ時に生じるスリットの湾曲部同士の重なり(図5における、長さL)は、3〜10mm、好ましくは、5〜7mmの範囲に設定するのがよい。このような差込による係止(ロック)動作は、後述する空箱から折り畳み・ロックに至るまでの経時的動作説明により容易に理解することができよう。
【0040】
なお、このような折り畳みロックすることが可能な包装箱の仕様は、特に、胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成された折り線の中でいずれの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ場合であっても、上記のロック作用が機能できるように各一対のスリットを配置形成することが望ましい。折り畳みの自由度を増すためである。
【0041】
以下、本発明の包装箱の要部の作用について詳細に説明する。
【0042】
内容物(特にマルチパック包装体)の取り出し操作
図2(a)〜(c)に基づいて、本発明の第1の機能である内容物(特にマルチパック包装体)の取り出し容易性の機能について説明する。
【0043】
まず、図2(a)に示されるように、開封口とすることができる側の外フラップ41,45形成面が上面を向くように包装箱1を立てる。
【0044】
次いで、図2(b)に示されるように、外フラップ41,45を外側に開いて包装箱1を開封する。
【0045】
次いで、図2(c)に示されるように、内フラップ31,35を外側に開いて包装箱1の開封口をオープンにする。この状態では、通常、内容物が開封口のぎりぎりのところまで詰まっているため、包装箱内部に両手を挿入するスペースはほとんどない。特に缶ビール用の包装箱1にあっては、通常、マルチパック包装体(缶製品を例えば3×2個に纏めた包装容器)が4パック収納されている形態をとっているために、スペースの問題はさらに厳しい状況であるといえる。
【0046】
そこで、本発明においては、各一対のスリット72,73および92,93によってそれぞれ挟まれているフラップの折り線71,91の近傍を部分的に外方に押圧することができるようになっている。これによりフラップ31,35のスリットで囲まれていた折り線71,91部分は谷折りとなり、スリット部分が立体的に分断されるととも外方に広がり、開封口の間口が拡張する(例えば、図示していないマルチパック包装体の側面が突起することとなる)。この拡張した間口に両手を挿入することにより、マルチパック包装体を容易に取り出すことができる。
【0047】
廃棄時の空箱の折り畳み操作
次に、図3〜図6に基づいて、本発明の第2の機能である廃棄時の空箱の折り畳みロックの機能について説明する。
【0048】
図3に示されるように、空箱となった包装箱1の筒状胴部の両端の外フラップ41,45および内フラップ31,35を開く。
【0049】
次いで、図4に示されるように、胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成された折り線の中でいずれの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳む。図4の場合、基線は符号53または符号52ということができる。また、図4の場合、例示されている折り畳み方向は矢印(イ)方向であるが、逆側に折り畳んでもロック可能な仕様となっている。
【0050】
図5に示されるように平面形態に折り畳まれた包装箱において、上面板25側に位置するスリット92と、底面板21側に位置するスリット73とは重なり合っている(円弧同士が2点で交わるように重なり合う)。次いで、重なり合っている一方のスリットの中へ他方のスリットの舌先(湾曲片)を差込む。その結果、対向する舌先同士が互いに差し込まれて重なっている状態が形成される。この差し込み操作により、折り畳み体の形態をそのままロックすることが可能となる。
【0051】
なお、図6は、差し込みロックの状態が分かりやすいように、片側の一対のスリット72,73の存在を点線で示したものであり、実質的には図5と同じ状態を示したものである。
【0052】
なお、本発明においては、図7に示されるように、開封口となりうる包装箱1の筒状胴部の両端側にそれぞれ一対のスリット72,73および92,93を設けるようにしてもよい。
【0053】
(第2の実施の形態)
図8には、本発明の包装箱1の第2の実施の形態における展開図が示されている。
【0054】
図8の展開図から容易に理解できるように、第2の実施の形態が、上述してきた第1の実施の形態(例えば、図1)と根本的に異なる点は、さらにスリットが追加形成されている点にある。すなわち、図8に示される第2の実施の形態では、内フラップ31と側面板11が連接される折り線62の部分、および内フラップ35と側面板15が連接される折り線82(これらの折り線62,82は開封口とすることができる側に位置している)の部分にそれぞれ、一対の第2のスリット63,64および83,84(図8では対をなす括弧状のスリットがそれぞれ例示)がさらに追加形成されている。より詳細には、折り線62および折り線82をそれぞれ切断するように形成された一対の第2のスリット63,64および83,84がそれぞれ折り線方向(折り線が形成されている線方向)に対向配置されている。
【0055】
このような各一対の第2のスリット63,64および83,84の存在によって、開封口形成のため内フラップ31,35を開いた状態において、折り線62,82の近傍であってかつ第2のスリット63,64および83,84に挟まれるエリアS3,S4を部分的に外方に押圧し陥没させることができるようになっている。
【0056】
このような押圧操作をより容易に行なうことができるようにするために、対向する一対の第2のスリットの端部同士を結ぶ直線部分には図8に示されるごとく折り線32,33および36,37をそれぞれ形成しておくことが望ましい。
【0057】
このような仕様のもと、図2(c)に示される第1の実施形態の状態に加えてさらに、内フラップ31,35側の間口を広げることができる。間口をさらに広げることにより、マルチパック包装体(缶製品を例えば3×2個に纏めた包装容器)の取り出しがより一層容易になる。また、このような包装箱仕様においては、取り出し操作の後、内フラップ31,35を再度、封止することもできる。
【0058】
このような各一対の第2のスリット63,64および83,84は、それぞれ切断される折り線62,82を中心として鏡像関係に配置されることが望ましい。
【0059】
さらに、このような各一対の第2のスリット63,64および83,84は、それぞれ切断される折り線の略中央大部分を占めるよう配置されてなることが望ましい。
【0060】
上述してきたような内フラップ31,35を開いた後、内容物の取り出し間口を広げることができる操作に加えて、あるいは内容物の取り出し間口を広げることができる操作に代えて、空箱となった包装箱の廃棄時の折り畳み・差込ロック機能を発揮させるためには、以下のような第2のスリット仕様を満たすことが必要となる。すなわち、すでに前記第1の実施の形態で説明した一対のスリット72,73および92,93は、それぞれ、廃棄時の折り畳み・差込ロック機能を発揮させる仕様であることを前提としつつ、図8に示される一対の第2のスリット63,64および83,84は、それぞれ、一対の湾曲状(曲線状)のスリットの組み合わせとし、これらの一対の湾曲状のスリットは、凹面同士が向かい合う凹面対向の配置とされる。この凹面対向の形態はあたかも括弧記号に類似する形態とも表現することができる。
【0061】
そして、胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成された折り線51,52,53,54のいずれかを基線として立体箱を平面形態に折り畳んだ時、以下の態様で差込操作による係止ができるように各スリットの設計がなされる。すなわち、
【0062】
(1)スリット93と第2のスリット63との係止;スリット72と第2のスリット83との係止;およびスリット92とスリット73との係止
最大で同時に上記3箇所の係止が可能であるが、これらの少なくとも1箇所以上で係止できるように各スリットを配置設計することが必要である。
【0063】
または、
(2)スリット73と第2のスリット64との係止;スリット92と第2のスリット84との係止;およびスリット93とスリット72との係止
同様に最大で同時に上記3箇所の係止が可能であるが、これらの少なくとも1箇所以上で係止できるように各スリットを配置設計することが必要である。
【0064】
このような構成とすることにより、使用後の廃棄の際に平面に折り畳んだ後、スリットの一部の差込により折り畳み体の形態をそのままロックすることが可能となる。
【0065】
具体的なスリット同士を利用した差込による係止(ロック)操作は、前記第1の実施の形態ですでに詳細に説明しているので、ここでの説明は省略する。
【0066】
なお、このような折り畳みロックすることが可能な包装箱の仕様は、特に、胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成された折り線の中でいずれの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ場合であっても、上記のロック作用が機能できるように各一対のスリットを配置形成することが望ましい。折り畳みの自由度を増すためである。
【0067】
なお、第2の実施の形態においても、包装箱1の筒状胴部の両端側にそれぞれ図8に示される各スリットを両側配置、すなわち、胴部の帯方向中心線を基準にして図8の各スリットを鏡像関係にそれぞれ配置する形態としてもよい。
【0068】
【発明の効果】
上述してきたように本発明の包装箱は、上面板、底面板、およびこれらを連結する側面板を有して形成される胴部、ならびに内フラップおよび外フラップを備え、前記内フラップは、側面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に実質的に連接して形成されており、前記外フラップは、上面板および底面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に連接して形成されており、前記フラップと上面板、底面板ないし側面板が連接される折り線であって、かつ少なくとも一方の開封口側に位置する折り線において、これらの各折り線の少なくとも1つの折り線を切断するように形成された一対のスリットが折り線方向に対向配置されているように構成されているので、包装箱からいわゆるマルチパック(缶製品を例えば3×2個に纏めた包装容器)や缶製品を取り出す際に、取り出し易くかつ再封止可能な包装箱を提供することができる。また、使用後の廃棄の際に折り畳みロックすることができコンパクトな形態を維持したまま廃棄することが可能な包装箱を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の包装箱の展開図(第1の実施の形態)の一例を示したものである。
【図2】(a)〜(c)は、それぞれ、包装箱から内容物を取り出すための開封手順を経時的に示す概略斜視図である。
【図3】包装箱としての役目を終え、廃棄されることとなった空箱(包装箱)を平面に折り畳んだ後に、畳み終えた平面形態を実質的に維持させるようにロックする状況を説明するための概略斜視図である。
【図4】包装箱としての役目を終え、廃棄されることとなった空箱(包装箱)を平面に折り畳んだ後に、畳み終えた平面形態を実質的に維持させるようにロックする状況を説明するための概略斜視図である。
【図5】包装箱としての役目を終え、廃棄されることとなった空箱(包装箱)を平面に折り畳んだ後に、畳み終えた平面形態を実質的に維持させるようにロックする状況を説明するための概略斜視図である。
【図6】包装箱としての役目を終え、廃棄されることとなった空箱(包装箱)を平面に折り畳んだ後に、畳み終えた平面形態を実質的に維持させるようにロックする状況を説明するための概略斜視図である。
【図7】本発明の包装箱の展開図の他の一例を示したものである。
【図8】本発明の包装箱の展開図(第2の実施の形態)の一例を示したものである。
【符号の説明】
1…包装箱
11,15…側面板
21…底面板
25…上面板
31,35…内フラップ
41,45…外フラップ
72,73…一対のスリット
92,93…一対のスリット
63,64…一対の第2のスリット
83,84…一対の第2のスリット

Claims (7)

  1. 上面板、底面板、およびこれらを連結する側面板を有して形成される胴部、ならびに内フラップおよび外フラップを備えてなるラップアラウンド式の包装箱において、
    前記内フラップは、側面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に実質的に連接して形成されており、
    前記外フラップは、上面板および底面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に連接して形成されており、
    前記フラップと上面板、底面板ないし側面板が連接される折り線であって、かつ少なくとも一方の開封口側に位置する折り線において、
    これらの各折り線の少なくとも1つの折り線を切断するように形成された一対のスリットが折り線方向に対向配置されており、当該一対のスリットに挟まれるエリアは、切断される折り線の略中央大部分を占めるよう配置されているとともに、そのエリア内で重なり合いを持つこと無く開封口の間口を拡張する操作をするために設けられたものであって
    前記一対のスリットの対向する端部同士を結ぶラインに折り線が形成されており、
    前記一対のスリットの存在によって、開封口形成のためにフラップを開いた状態で、前記一対のスリットで囲まれた前記フラップと上面板、底面板ないし側面板が連接される折り線を谷折りするとともに、前記一対のスリットの対向する一対の端部同士を結ぶラインに形成した折り線を山折りすることで、
    前記一対のスリットの対向する一方の端部同士を結ぶラインに形成した折り線と、前記一対のスリットで囲まれた前記フラップと上面板、底面板ないし側面板が連接される折り線と、前記一対のスリットの対向する他方の端部同士を結ぶラインに形成した折り線とで囲まれた空間の分だけ開封口の間口が拡張されることを特徴とする包装箱。
  2. 前記一対のスリットは、切断される折り線を中心として鏡像関係に配置される請求項1に記載の包装箱。
  3. 上面板、底面板、およびこれらを連結する側面板を有して形成される胴部、ならびに内フラップおよび外フラップを備えてなるラップアラウンド式の包装箱において、
    前記内フラップは、側面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に実質的に連接して形成されており、
    前記外フラップは、上面板および底面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に連接して形成されており、
    前記フラップと上面板、底面板ないし側面板が連接される折り線であって、かつ少なくとも一方の開封口側に位置する折り線において、
    前記外フラップと上面板が連接される折り線、および前記外フラップと底面板が連接される折り線には、当該折り線を切断するように形成された一対のスリットがそれぞれ折り線方向に対向配置されており、
    前記一対のスリットは、一対の湾曲状のスリットの組み合わせからなり、該一対の湾曲状のスリットは、凹面対向するように配置されており、
    胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成されたいずれかの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ時、上面板側に位置する一対のスリットの片側と底面板側に位置する一対のスリットの片側とが差込により係止できるように上面板側に位置する一対のスリットと底面板側に位置する一対のスリットとが配置形成されてなることを特徴とする包装箱。
  4. 上面板、底面板、およびこれらを連結する側面板を有して形成される胴部、ならびに内フラップおよび外フラップを備えてなるラップアラウンド式の包装箱において、
    前記内フラップは、側面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に実質的に連接して形成されており、
    前記外フラップは、上面板および底面板の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)両端部に連接して形成されており、
    前記フラップと上面板、底面板ないし側面板が連接される折り線であって、かつ少なくとも一方の開封口側に位置する折り線において、
    前記外フラップと上面板が連接される折り線、および前記外フラップと底面板が連接される折り線には、当該折り線を切断するように形成された一対のスリットがそれぞれ折り線方向に対向配置されており、
    さらに、内フラップと側面板が連接される各折り線には、当該折り線を切断するように形成された一対の第2スリットがそれぞれ折り線方向に対向配置されていることを特徴とする包装箱。
  5. 前記一対のスリットは、一対の湾曲状のスリットの組み合わせからなり、該一対の湾曲状のスリットは、凹面対向するように配置されており、
    胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成されたいずれかの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ時、上面板側に位置する一対のスリットの片側と底面板側に位置する一対のスリットの片側とが差込により係止できるように上面板側に位置する一対のスリットと底面板側に位置する一対のスリットとが配置形成されてなる請求項4に記載の包装箱。
  6. 請求項4の包装箱において、前記一対のスリットは、一対の湾曲状のスリットの組み合わせからなり、該一対の湾曲状のスリットは、凹面対向するように配置されており、
    胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成されたいずれかの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ時、上面板側に位置する一対のスリットの片側と底面板側に位置する一対のスリットの片側とが差込により係止できるように上面板側に位置する一対のスリットと底面板側に位置する一対のスリットとが配置形成されており、
    前記一対の第2のスリットは、一対の湾曲状の第2のスリットの組み合わせからなり、該一対の湾曲状の第2のスリットは、凹面対向するように配置されており、これらの第2のスリットの少なくとも一つのスリットは、前記胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成されたいずれかの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ時、上面板側に位置する一対のスリットの他の片側または底面板側に位置する一対のスリットの他の片側と差込により係止できるように配置形成されてなる請求項4に記載の包装箱。
  7. 請求項4の包装箱において、前記一対の第2のスリットは、一対の湾曲状の第2のスリットの組み合わせからなり、該一対の湾曲状の第2のスリットは、凹面対向するように配置されており、これらの第2のスリットの少なくとも一つのスリットは、前記胴部の長手方向(胴部の周方向と直交する方向)に形成されたいずれかの折り線を基線として立体箱を平面に折り畳んだ時、上面板側に位置する一対のスリットの片側または底面板側に位置する一対のスリットの片側と差込により係止できるように配置形成されてなる請求項4に記載の包装箱。
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