JP3853079B2 - 重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有し、安全性に優れた界面作用型高分子に関する。詳しくは、単量体単位の少なくとも一部に、特定の親水性置換基を有する共重合体成分と、特定の疎水性置換基を有する共重合体成分を含有する界面作用型重合体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、生分解性に優れた、生体に対して刺激惹起性がなく、分解した後も安全性に優れた、親水性と疎水性を兼ね備えた界面作用型重合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
[分解性樹脂の技術的背景]
分解性を有しない通常の樹脂は、使用後の廃棄処理が問題となる。このような樹脂は、廃棄時には焼却処理する方法と埋め立てする方法が行われているが、焼却炉で処理する方法では、焼却時に発生する熱による炉材の損傷のほかに、地球の温暖化や酸性雨の原因となることが指摘されている。また、埋め立て処理する方法では、プラスチックは容積がかさばる、腐らないため地盤が安定しない等の問題があるうえ、埋め立てに適した場所がなくなってきたことが大きな問題となっている。
【0003】
すなわち、これらの樹脂は分解性に乏しく、水中や土壌中では半永久的に存在するので、廃棄物処理における環境保全を考えると非常に重大な問題である。例えば紙おむつ、生理用品等の衛生材料に代表される使い捨て用途の樹脂の場合、それをリサイクルすれば多大な費用がかかり、焼却するにも大量であるため地球環境への負荷が大きい。またポリアクリル酸ナトリウムの水溶液を土壌に散布した場合、土壌中でCa2+等の多価イオンとコンプレックスを形成し、不溶性の層を形成すると報告されている(松本ら、高分子、42巻、8月号、1993年)。しかし、このような層はそのもの自体の毒性は低いと言われているが、自然界には全くないものであり、長期に渡るそれら樹脂の土中への蓄積による生態系への影響は不明であり、十分に調べる必要があり、その使用には慎重な態度が望まれる。同様に非イオン性の樹脂の場合、コンプレックスは形成しないが、非分解性のため土壌中へ蓄積する恐れがあり、その自然界への影響は疑わしい。
【0004】
さらにこれらの重合系の樹脂は、人間の肌等に対して毒性の強いモノマーを使用しており、重合後の製品からこれを除去するために多くの検討がなされているが、完全に除くことは困難である。特に工業的規模での製造ではより困難となることが予想される。
【0005】
また、廃棄処理を行わないが、環境中に放出される樹脂も同様な問題を有する。例えば、薬剤用担体、化粧品、香粧品、界面活性剤、食品添加物(増粘剤、安定剤、保湿剤、麺質改良剤、凝着剤、pH調整剤、静菌剤等)等の産業上利用される樹脂は、その大半は安全性に優れた樹脂が使用されているが、環境中への放出、蓄積については全くと言っていい程考慮されていないのが現状である。
【0006】
一方、近年、「地球にやさしい素材」として生分解性ポリマーが注目されており、盛んに研究されている。
【0007】
このような生分解性を有する親水性の樹脂としては、例えばポリエチレンオキシド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース系樹脂、澱粉系樹脂、キトサン系樹脂、アルギン酸系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂等が知られている。この中でポリエチレンオキシド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂は、特殊な菌のみしか生分解することができないので、一般的な条件では生分解性は遅かったり、もしくは全く分解しなかったりする。さらに分子量が大きくなると極端に分解性が低下する。
【0008】
また、セルロース系樹脂、澱粉系樹脂、キトサン系樹脂、アルギン酸系樹脂等の多糖類は、その純度を上げるためには複雑な工程を要し、各種用途に使用される性能特性が十分でない場合が多く、性能特性を向上させるのが難しい。また、キトサン系樹脂、アルギン酸系樹脂等は天然物を採取して、それを加工することにより樹脂を得るために、多量の採取は自然界のバランスを崩すことが懸念される。
【0009】
一方、ポリアミノ酸は生分解性を有するために地球環境にやさしく、また生体内に吸収されても酵素作用により消化吸収され、しかも生体内での抗原性を示さず、分解生成物も毒性がないことが明らかにされているので、人に対してもやさしい素材である。しかし、ポリアミノ酸そのものは、各種用途に使用するには十分な性能特性を具備しているとは必ずしも言えなかった。
【0010】
そこで本発明者らは、安全性を維持しつつも性能特性を向上する目的の下、ポリこはく酸イミドの開環に生体や環境に対して安全な化合物を使用する観点に立ち、鋭意検討を進めた結果、生体適合性及び生体への安全性が極めて高いアミン類であるα−アミノ酸エステルを用いて、ポリこはく酸イミドを開環することにより、生体(例えば、眼、皮膚等)への刺激惹起性が実質的になく、生体に対する安全性が極めて高い樹脂を得た(特開平8−48766号公報)。これらは安全性に優れた樹脂ではあるが、界面作用が必要な用途に使用した場合、必ずしも要求特性を満たしてはおらず、さらなる改良が望まれていた。また、使用するアミノ酸はエステルとして用いるので、使用する原料が高価である、またそれを製造するにしても工程数が多くなることも問題であった。
【0011】
従来において、ポリコハク酸イミドの開環に、生体適合性及び生体への安全性が極めて高いアミン類であるα−アミノ酸を用いて、ポリコハク酸イミドを開環する技術は、上記技術以外には全く知られていない。α−アミノ酸が、生体適合性及び生体への安全性が極めて高いことが知られていたにもかかわらず、α−アミノ酸を用いて、ポリコハク酸イミドを開環する技術が、上記技術以外に全く知られていなかったのは、おそらく、α−アミノ酸が有機溶剤に難溶であり、さらには、α−アミノ基の反応性が極めて低いという、技術上の問題が解決されなかったためであると考えられる。
【0012】
また、ポリコハク酸イミドの開環に、α−アミノ酸以外のアミノ酸を用いて、ポリコハク酸イミドを開環する技術も、上記技術以外には殆ど知られていない。これも、やはり、α−アミノ酸以外のアミノ酸も、有機溶剤への溶解性に問題があり、さらには、反応性が低いという、技術上の問題に起因するものと考えられる。わずかに、上記技術とアンゲバンテ・マクロモレクラレ・ヒェミー(DieAngewandte Makromolekulare Chemie −Applied Macromolecular Chemistry and Physics)(Machado ら),195巻,35〜56頁(1992年)に、ポリコハク酸イミドを、γ−アミノ酸であるγ−アミノ酪酸(ピペリジン酸)やオリゴペプチド(ジペプチド)であるグリシルグリシンで開環する技術が開示されているのみである。
【0013】
しかしながら、このMachadoらの技術においては、強塩基触媒の存在下で、ポリコハク酸イミドの単量体単位の当量に対して、グリシルグリシンを4倍当量も仕込んで反応させているにもかかわらず、現実には、わずかに0.5当量程度のグリシルグリシンしか反応に関与しておらず、依然として、反応性の低さは解決されていなかった。
【0014】
また、使用する用途において要求特性を高めるために本発明者らは、安全性を維持しつつも、性能特性を向上すべく、検討を行い、少なくとも一部の繰り返し単位にベタイン構造を含むペンダント基を有するポリアスパラギン酸誘導体を見出した(特開平10−25344号公報)。これらの樹脂は安全性に優れ、毛髪処理剤及び香粧品用途等に優れた特性を示す樹脂である。しかし、これらの親水性を必要とする用途分野において、使用する用途、使用方法よっては、さらなる改良が望まれていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、生分解性に優れ、安全性に優れ、しかも幅広い用途において各種要求特性を満たすことのできる重合体及びその有効な製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、生体や環境に対して安全な化合物を使用する観点に立ち鋭意検討を進めた結果、酸性ポリアミノ酸に、1.生体適合性及び生体への安全性が高い特定の親水性置換基を含むペンダント基、及び、2.生体適合性及び生体への安全性が高い特定の疎水性置換基をペンダント基を導入することで、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、生体適合性及び生体への安全性が高い特定の親水性置換基を含むペンダント基と、生体適合性及び生体への安全性が高い特定の疎水性置換基をペンダント基を併せ持つ酸性ポリアミノ酸誘導体である。
【0017】
さらに、本発明者らは、上記重合体を製造するにあたり、従来技術の問題点に鑑み、ポリコハク酸イミドの開環反応におけるアミノ酸の反応性を顕著に改善することを目的として、鋭意検討を進めた結果、ポリコハク酸イミドの開環反応において、従来技術では反応性が極めて低かったα−アミノ酸をそのカルボン酸塩として用いることにより、極めて高い反応性でポリコハク酸イミドを開環することできることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
ポリコハク酸イミドへのアミンの反応は、イミド環へのアミノ基の求核性又は立体障害によって変わってくると予想される。アミノ酸の場合、アミノ酸のα−アミノ基は同じくα位のカルボキシル基と分子内塩を形成しているために、アミノ基の求核性又は塩基性が弱くなり、ポリコハク酸イミドのイミド環との反応性は極端に低減している。ポリコハク酸イミドの開環反応において、アミノ酸のかわりに、アミノ酸のカルボン酸塩を用いると、反応性が顕著に改善されるのは、アミノ酸の分子内塩が解除されてα−アミノ基の求核性又は塩基性が向上するためであると思われる。アミノ酸のカルボン酸塩はアミノ酸にアルカリ等を作用させることにより容易に製造できる。
【0019】
すなわち、本発明の重合体は、分子内に下記式(1)で表される繰り返し単位と、
【0020】
【化5】
[式中、R1は、酸性基並びにその塩、グリシノ基並びにその塩、カチオン基、及び、ベタイン基からなる群より選ばれた少なくとも一個の官能基を有するペンダント基、又は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、若しくは、アンモニウムであり、X1は、NH、NR1'(R1'はアルキル基、アラルキル基又はアリール基)、O、又は、Sであり、n1は1又は2である。]
下記式(2)で表わされる繰り返し単位と
【0021】
【化6】
[式中、R2は、α−アミノ基にて結合した非極性アミノ酸残基、又は、アルコキシ基であり、n2は1又は2である。]
を有する重合体である。
【0022】
また、本発明の製造方法は、上記重合体を製造する方法であって、少なくともペンダント基導入反応を含むことを特徴とする重合体の製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明における酸性ポリアミノ酸とは、ポリグルタミン酸とポリアスパラギン酸であるが、工業的生産により有用なポリアスパラギン酸系樹脂を中心に説明する。
【0024】
(1)重合体の構造
本発明の重合体は、ポリマー基本骨格と側鎖部分からなる。以下、これらを2つに分けて説明する。
【0025】
(1−1)重合体のポリマー基本骨格
本発明の重合体のポリマー基本骨格は、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等の酸性ポリアミノ酸であるので、グルタミン酸又はアスパラギン酸を繰り返し単位として主鎖を形成する。
【0026】
これらは、他のアミノ酸を繰り返し単位として含んでいても構わない。他のアミノ酸成分の具体例としては、例えば、20種類の必須アミノ酸、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸及びアミノ酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン酸等を挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体(L体、D体)であっても、ラセミ体であってもよい。また、重合体は、アミノ酸以外の繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
【0027】
共重合体の繰り返し単位の例としては、アミノカルボン酸、アミノスルホン酸、アミノホスホン酸、ヒドロキシカルボン酸、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、メルカプトホスホン酸等の脱水縮合物が挙げられる。
【0028】
また、多価アミン、多価アルコール、多価チオール、多価カルボン酸、多価スルホン酸、多価ホスホン酸、多価ヒドラジン化合物、多価カルバモイル化合物、多価スルホンアミド化合物、多価ホスホンアミド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、多価イソチオシアナート化合物、多価アジリジン化合物、多価カーバメイト化合物、多価カルバミン酸化合物、多価オキサゾリン化合物、多価反応性不飽和結合化合物、多価金属等の脱水縮合物、付加物、置換体が挙げられる。
【0029】
共重合体である場合は、ブロック・コポリマーであっても、ランダム・コポリマーであっても構わない。また、グラフトであっても構わない。これらの中で、重合度が高くなり、生分解性にも優れたポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸を基本骨格とした場合が好ましく、さらに工業的生産に適したポリアスパラギン酸のホモポリマーが特に好ましい。
【0030】
本発明の重合体のポリマー基本骨格としては、ポリアスパラギン酸の場合は、主鎖中のアミド結合が、α結合である場合と、β結合である場合がある。ポリグルタミン酸の場合は、主鎖中のアミド結合が、α結合である場合と、γ結合である場合がある。
【0031】
すなわち、ポリアスパラギン酸及びその共重合体の場合は、アスパラギン酸もしくは共重合体単量体のアミノ基等と、アスパラギン酸のα位のカルボキシル基と結合した場合がα結合であり、アスパラギン酸のβ位のカルボキシル基と結合した場合がβ結合である。ポリグルタミン酸及びその共重合体の場合は、グルタミン酸もしくは共重合体単量体のアミノ基等と、グルタミン酸のα位のカルボキシル基と結合した場合がα結合であり、グルタミン酸のγ位のカルボキシル基と結合した場合がγ結合である。
【0032】
このポリアスパラギン酸の場合のα結合とβ結合、ポリグルタミン酸の場合のα結合とγ結合は、通常、混在して存在する。その結合様式は、特に限定されない。
【0033】
本発明の側鎖基及び架橋基は、基本的に酸性ポリアミノ酸のカルボキシル基が置換されたカルボン酸誘導体である。その詳細を以下に説明する。
【0034】
なお本発明では、結合の様式に関わらず、ポリマー中のアスパラギン酸からなる単量体部分を「ポリアスパラギン酸残基」、ポリマー中のグルタミン酸からなる単量体部分を「ポリグルタミン酸残基」、両者を併せて「酸性ポリアミノ酸残基」と呼ぶ。
【0035】
本発明の重合体は、非架橋体又は微架橋体であることが好ましい。微架橋体とは、重合体の本来の物性、特に溶解性を損ねない範囲内で架橋されたものをいう。ただし、水溶性又は油溶性を保つ程度に架橋度が低いことが好ましい。
【0036】
(2)重合体の側鎖構造
本発明の重合体は、ポリアミノ酸酸残基又はこのポリアミノ酸酸残基のカルボキシル基がさらに誘導された特定の前記式(1)と式(2)の構繰返し単位を併せ持つことを特徴とする。本発明の重合体の側鎖は、ポリマー主鎖である酸性ポリアミノ酸残基のカルボキシ基が誘導された構造をとる。
【0037】
本発明の重合体において、一般式(1)及び(2)の繰返し単位の数は、重合体を使用する用途に応じて適宜決めればよく、特に限定されない。例えば、界面作用型高分子薬剤として使用する場合は、一般的に親水基と疎水基とのバランス(すなわち両者の合計数に対する各々の適切な比率)が必要であり、式(1)の単位の数が20〜80%、式(2)の単位の数が20〜80%であることが好ましく、さらに、式(1)の単位の数が30〜70モル%、式(2)の数が30〜70モル%であることが特に好ましい。
【0038】
内部作用型高分子薬剤として使用する場合は、一般的に重合体全体として親水性に近い特性が必要であり、式(1)の単位の数が30〜99%、式(2)の単位の数が1〜70%であることが好ましく、式(1)の単位の数が50〜99%、式(2)の単位の数が1〜50%であることが特に好ましい。
【0039】
表面作用型高分子薬剤として使用する場合は、一般的に重合体全体として疎水性に近い特性が必要であり、式(1)の単位の数が1〜70%、式(2)の単位の数が30〜99%であることが好ましく、式(1)の単位の数が1〜50%、式(2)の単位の数が50〜99%であることが特に好ましい。
【0040】
これらの各種の型の高分子薬剤には、当然、上記親水性と疎水性のバランスとは異なるものもあるが、それらについても適宜対応させることは可能である。
【0041】
なお、本発明の重合体の分子量は特に限定されず、その用途によって適宜決定すればよい。例えば、膜形成能等が必要な場合は分子量は高い方がよく、分解性を速くすること等が必要な場合は分子量は低い方が好ましい。一般的に、ペンダント基を導入する前の原料重合体の重量平均分子量は、1000〜1000万程度である。
【0042】
本発明における前記式(1)を以下の(2−1)にて、式(2)を以下の(2−2)の各欄にて分けて説明する。
【0043】
(2−1)親水性の重合体側鎖構造
本発明において、各ポリマー側鎖から、上記のポリマー主鎖との結合を除いた部分[式(1)中のR1]を「ペンダント基」と呼ぶ。
【0044】
本発明の親水性の重合体の側鎖構造は、酸性ポリアミノ酸残基またはペンダント基である。
【0045】
酸性ポリアスパラギン酸残基の場合は、ポリアスパラギン酸残基又はポリグルタミン酸残基であり、カルボキシル基を有する。また、カルボキシル基以外として、ホルミル基、カルボン酸アルキルアミド基、カルボン酸ジアルキルアミド基、チオカルボン酸基が挙げられる。カルボキシル基は、水素と結合しているか又は対イオンと塩構造となっている。
【0046】
酸性アミノ酸残基のカルボキシル基の対イオンとしては、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、トリエチルプロピルアンモニウム、トリエチルブチルアンモニウム、トリエチルペンチルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモニウム、シクロヘキシルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリペンタノールアミン、トリヘキサノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、メチルヘキシルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン塩等が挙げられる。
【0047】
本発明の重合体のペンダント基は、このペンダント基(R1)が、酸性基並びにその塩、グリシノ基並びにその塩、カチオン基、及び、ベタイン基からなる群より選ばれた少なくとも一個の官能基を有する態様がある。この重合体のペンダント基中の、グリシノ基並びにその塩、カチオン基、及び、ベタイン基からなる群より選ばれた官能基を「特定官能基」と呼ぶ。
【0048】
本発明の重合体において、一般式(1)で表される繰り返し単位の数は、分子を構成する繰り返し単位の総数に対して、1〜99.8%が好ましく、10〜99.8%がより好ましい。
【0049】
本発明の重合体のペンダント基(R1)は、ポリマー主鎖のカルボニル基と、N、O又はSにより結合している(X1)。すなわち、アミド、エステル、チオエステル結合である。本発明の重合体の側鎖基は、ポリマー主鎖のアミド結合に対して、アスパラギン酸残基の場合は、α位に置換されていても、β位に置換されていても構わず、グルタミン酸残基の場合は、α位に置換されていても、γ位に置換されていても構わない。
【0050】
本発明の重合体のペンダント基は、上述した特定官能基を有するが、官能基以外の部分は主に炭素と水素から成るので、本発明では、これを便宜的に炭化水素基と呼ぶ。
【0051】
この炭化水素基としては、特に限定されないが、アルキル、アラルキル、アルキルオキシ、フェニル、ナフチル基等が挙げられる。これらは直鎖であっても分岐構造であっても、環状構造であっても構わない。
【0052】
この炭化水素基は、その炭素原子の一部をO、N、S、P、B、Si等を含む置換基にて置換されていても構わない。すなわち、環構造の場合は、炭素原子の一部をO、N、S、P、B、Si等で置換されていてもよく、また、O、N、S、P、B、Si等が導入された、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ウレア基、チオエステル基、チオカルボニル基、スルホン基、スルホニル基、スルホンアミド基、二級アミノ基、三級アミノ基、アミド基、ホスホン基、ホスホンアミド基等の置換基にて置換されていても構わない。
【0053】
また、炭化水素基に対する特定官能基の置換位置も特に限定されない。炭化水素基の具体的な例を以下に挙げる。なお、以下の例は、便宜的に、ペンダント基の炭化水素基の部分を例示したものである。本発明における実際のペンダント基は、これらの炭化水素基の水素が特定官能基で置換された構造を有する。
【0054】
例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等のアラルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、クロロフェニル基、ビフェニル基等のフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基等のアリール基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチルオキシエチル基、ヘキシルオキシエチル基、ヘプチルオキシエチル基、オクチルオキシエチル基、デシルオキシエチル基、ウンデシルオキシエチル基、ドデシルオキシエチル基、トリデシルオキシエチル基、テトラデシルオキシエチル基、ペンタデシルオキシエチル基、ヘキサデシルオキシエチル基、ヘプチルデシルオキシエチル基、オクチルデシルオキシエチル基等のアルコキシアルキル基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基、フェノキシエチル基等のアリールオキシアルキル基、ベンジルオキシエチル基、トリルオキシエチル基等のアラルキルオキシアルキル基、メチルチオエチル基、エチルチオエチル基、プロピルチオエチル基、ブチルチオエチル基、ペンチルチオエチル基、ヘキシルチオエチル基、ヘプチルチオエチル基、オクチルチオエチル基、ノニルチオエチル基、デシルチオエチル基、ウンデシルチオエチル基、ドデシルチオエチル基、トリデシルチオエチル基、テトラデシルチオエチル基、ペンタデシルチオエチル基、ヘキサデシルチオエチル基、ヘプチルデシルチオエチル基、オクチルデシルチオエチル基等のアルキルチオアルキル基、ポリチオエチレン基、ポリチオプロピレン基等のポリチオアルキレン基、フェニルチオエチル基、トリルチオエチル基等のアリールチオアルキル基、ベンジルチオエチル基等のアラルキルチオアルキル基、メチルアミノエチル基、エチルアミノエチル基、プロピルアミノエチル基、ブチルアミノエチル基、ペンチルアミノエチル基、ヘキシルアミノエチル基、ヘプチルアミノエチル基、オクチルアミノエチル基、ノニルアミノエチル基、デシルアミノエチル基、ウンデシルアミノエチル基、ドデシルアミノエチル基、トリデシルアミノエチル基、テトラデシルアミノエチル基、ペンタデシルアミノエチル基、ヘキサデシルアミノエチル基、ヘプチルデシルアミノエチル基、オクチルデシルアミノエチル基等のアルキルアミノアルキル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジプロピルアミノエチル基、ジブチルアミノエチル基、ジペンチルアミノエチル基、ジヘキシルアミノエチル基、ジヘプチルアミノエチル基、ジオクチルアミノエチル基、ジノニルアミノエチル基、ジデシルアミノエチル基、ジウンデシルアミノエチル基、ジドデシルアミノエチル基、ジトリデシルアミノエチル基、ジテトラデシルアミノエチル基、ジペンタデシルアミノエチル基、ジヘキサデシルアミノエチル基、ジヘプチルデシルアミノエチル基、ジオクチルデシルアミノエチル基、エチルメチルアミノエチル基、メチルプロピルアミノエチル基等のジアルキルアミノアルキル基、トリメチルアンモニオ基、トリエチルアンモニオ基、トリプロピルアンモニオ基、トリブチルアンモニオ基、トリペンチルアンモニオ基、ジメチルエチルアンモニオ基、ジメチルベンジルアンモニオ基、メチルジベンジルアンモニオ基等のトリアルキルアンモニウム基、メチルオキシカルボニルエチル基、エチルオキシカルボニルエチル基、プロピルオキシカルボニルエチル基、ブチルオキシカルボニルエチル基、ペンチルオキシカルボニルエチル基、ヘキシルオキシカルボニルエチル基、ヘプチルオキシカルボニルエチル基、オクチルオキシカルボニルエチル基、ノニルオキシカルボニルエチル基、デシルオキシカルボニルエチル基、ウンデシルオキシカルボニルエチル基、ドデシルオキシカルボニルエチル基、トリデシルオキシカルボニルエチル基、テトラデシルオキシカルボニルエチル基、ペンタデシルオキシカルボニルエチル基、ヘキサデシルオキシカルボニルエチル基、ヘプチルデシルオキシカルボニルエチル基、オクチルデシルオキシカルボニルエチル基等のアルキルオキシカルボニルアルキル基、メチルカルボニルオキシエチル基、エチルカルボニルオキシエチル基、プロピルカルボニルオキシエチル基、ブチルカルボニルオキシエチル基、ペンチルカルボニルオキシエチル基、ヘキシルカルボニルオキシエチル基、ヘプチルカルボニルオキシエチル基、オクチルカルボニルオキシエチル基、ノニルカルボニルオキシエチル基、デシルカルボニルオキシエチル基、ウンデシルカルボニルオキシエチル基、ドデシルカルボニルオキシエチル基、トリデシルカルボニルオキシエチル基、テトラデシルカルボニルオキシエチル基、ペンタデシルカルボニルオキシエチル基、ヘキサデシルカルボニルオキシエチル基、ヘプチルデシルカルボニルオキシエチル基、オクチルデシルカルボニルオキシエチル基等のアルキルカルボニルオキシアルキル基等が挙げられる。
【0055】
さらに、以下の具体例が挙げられる。
【0056】
【化7】
さらに、上述した炭化水素基は、特定官能基以外の置換基を含んでいても構わない。その置換基としては、炭素数1から18の分岐していても良いアルキル基、炭素数3から8のシクロアルキル基、アラルキル基、置換していてもよいフェニル基、置換していてもよいナフチル基、炭素数1から18の分岐していても良いアルコキシ基、アラルキルオキシ基、フェニルチオ基、炭素数1から18の分岐していても良いアルキルチオ基、炭素数1から18の分岐していても良いアルキルアミノ基、炭素数1から18の分岐していても良いジアルキルアミノ基、炭素数1から18の分岐していても良いトリアルキルアンモニオ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0057】
次に、ペンダント基に含まれる特定官能基(酸性基並びにその塩、グリシノ基並びにその塩、カチオン基、及び、ベタイン基)について説明する。
【0058】
本発明の重合体のペンダント基に含まれる酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、チオカルボン酸基、ジチオカルボン酸基、チオ炭酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、亜硫酸基、スルフィン酸基、アミド硫酸基、スルファミン酸基、ホウ酸基等が挙げられる。これら酸性基は塩となっていても構わない。特にカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルファミン酸基、チオカルボン酸基、ジチオカルボン酸基、リン酸基が好ましい。
【0059】
酸性基の対イオンとしては、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、トリエチルプロピルアンモニウム、トリエチルブチルアンモニウム、トリエチルペンチルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモニウム、シクロヘキシルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリペンタノールアミン、トリヘキサノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、メチルヘキシルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン塩等が挙げられる。
【0060】
これらの中で、高い親水性を発現するためには、対イオンの分子量は小さい方が好ましい。また、人の肌等に触れる可能性がある場合は、刺激性が低い方が良く、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アンモニウムが好ましい。
【0061】
本発明の重合体のペンダント基に含まれるグリシノ基は、末端にカルボキシル基とアミノ基を含む基である。具体的には、下記一般式(3)で表される互変異性体であるグリシノ基、若しくはその塩として表わされる。
【0062】
【化8】
(式中、X2は、水素、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム、又は、スルホニウムであり、X3は、水素、又は、プロトン酸であり、X2又はX3が存在していない場合も含む)。
【0063】
グリシノ基のカルボキシル基の形態は特に限定されない。具体的には、グリシノ基内のアミノ基と対イオン(ベタイン)となっていてもよく、フリーのカルボキシル基となってもよく、カルボン酸の塩となっていてもよい。この中で、グリシノ基内のアミノ基と対イオン(ベタイン)となった場合もしくはフリーのカルボキシル基が好ましい。前記カルボン酸の塩中の塩形成対イオンとしては、酸性基の対イオンとして先に例示したものと同様の対イオンが挙げられる。
【0064】
グリシノ基のアミノ基の形態も特に限定されない。具体的には、グリシノ基内のカルボキシル基と対イオン(ベタイン)となっていてもよく、フリーのアミノ基となってもよく、アンモニウムの塩となっていてもよい。この中で、グリシノ基内のカルボキシル基と対イオン(ベタイン)となっている場合もしくはフリーのアミノ基が好ましい。
【0065】
前記アンモニウムの塩中の塩形成対イオンの具体例としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸イオン等の鉱酸イオン等の無機系陰イオン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸イオン等のカルボン酸イオン、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン、ベンゼンホスホン酸イオン等のホスホン酸イオン等の有機系陰イオンが挙げられる。これらの中で、高い親水性を発現するためには、対イオンの分子量は小さい方が好ましい。また、人の肌等に触れる可能性がある場合は、刺激性が低い方が良く、塩素、臭素、硫酸、リン酸イオン等のイオンが好ましい。その中でも特に塩素イオンが特に好ましい。
【0066】
本発明の重合体のペンダント基に含まれるカチオン基としては、アンモニウム、オキソニウム、スルホニウム、ホスホニウム、セレノニウム、クロロニウム、ブロモニウム、ヨードニウム等が挙げられる。化合物の安定性、安全性、製造面からアンモニウムが好ましい。
【0067】
アンモニウムは、特に限定されないが、四級アンモニウムが、特に好ましい。四級アンモニウムの具体例を以下に挙げる。なお、以下の具体例は、置換基として挙げる。
【0068】
例えば、トリメチルアンモニオ基、トリエチルアンモニオ基、トリプロピルアンモニオ基、トリブチルアンモニオ基、トリペンチルアンモニオ基、トリヘキシルアンモニオ基、トリヘプチルアンモニオ基、トリオクチルアンモニオ基、トリノニルアンモニオ基、トリウンデシルアンモニオ基、トリドデシルアンモニオ基、トリデシルアンモニオ基、トリテトラデシルアンモニオ基、トリペンタデシルアンモニオ基、トリヘキサデシルアンモニオ基、トリヘプチルデシルアンモニオ基、トリオクチルデシルアンモニオ基、ジメチルエチルアンモニオ基、ジメチルシクロヘキシルアンモニオ基、ジメチルベンジルアンモニオ基、メチルジベンジルアンモニオ基、ジメチル(メチルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(エチルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(プロピルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(ブチルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(ペンチルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(ヘキシルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(オクチルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(フェニルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(ベンジルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(シクロヘキシルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(ナフチルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、メチル−ビス(メチルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、トリス(メチルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルオキシエチル)アンモニオ基、ジメチル(エチルオキシエチル)アンモニオ基、ジメチル(ブチルオキシエチル)アンモニオ基、ジメチル(ヘキシルオキシエチル)アンモニオ基、ジメチル(フェニルオキシエチル)アンモニオ基、ジメチル(シクロヘキシルオキシエチル)アンモニオ基、ジメチル(ナフチルオキシエチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルオキシプロピル)アンモニオ基、ジメチル(メチルオキシブチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルオキシオクチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルオキシエチルオキシエチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルオキシエチルオキシブチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルチオエチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルチオブチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルアミノエチル)アンモニオ基、ジメチル(ジメチルアミノエチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルアミノエチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルカルボニルオキシエチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルカルボニルチオエチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルチオカルボニルエチル)アンモニオ基、ジメチル(N−アセチルアミノエチル)アンモニオ基、ジメチル(N,N−ジアセチルアミノエチル)アンモニオ基、ジメチル(メチルカルボニルチオエチル)アンモニオ基、ジメチル(カルバモイルエチル)アンモニオ基、ジメチル(N−メチルカルバモイルエチル)アンモニオ基、ジメチルフェニルアンモニオ基、メチルジフェニルアンモニオ基等が挙げられる。
【0069】
また、以下の具体例を挙げる。なおこれらは、置換生成物として挙げる。
【0070】
例えば、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、インドール、イソインドール、インドリジン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、インダゾール、キナゾリン、シンノリン、キノキサリン、フタラジン、プテリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナントリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、インドリン、イソインドリン等の含窒素環状化合物の4級化物が挙げられる。これらの、ペンダント基に対する置換位置は特に限定されない。
【0071】
また、カチオン基としては、グアニジル基のように実質的にカチオンとして働くもの含まれる。
【0072】
これらの四級アンモニウムの中で、高い親水性を発現するためには、対イオンの分子量は小さい方が好ましい。また、人の肌等に触れる可能性がある場合は、刺激性が低い方が良く、カチオン基の分子量が小さく、親水性が高い、トリメチルアンモニオ基、トリエチルアンモニオ基、トリプロピルアンモニオ基、トリブチルアンモニオ基、ジメチル(メチルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、ジメチル(エチルオキシカルボニルメチル)アンモニオ基、グアニジル基が好ましい。
【0073】
カチオン基の対イオンの例としては、グリシノ基のアンモニウムの塩の対イオンとして先に例示したものと同様の対イオンが挙げられる。
【0074】
本発明の重合体のペンダント基に含まれるベタイン基とは、両性イオンのことであり、同一ペンダント基内にカチオン基とアニオン基を同時に含むものである。同一ペンダント基中にカチオン基とアニオン基を含む場合で、両イオン間の距離が近い場合は、両イオンを含む領域にて、イオンの安定化が起こるので好ましい。
【0075】
またベタイン基は、下記式(6)で表される分子団を含むことが好ましい。
【0076】
【化9】
(式中、Yはアニオン基であり、R1”及びR2”は、各々独立してアルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、mは1乃至10の整数である。)。
【0077】
ペンダント基を構成するベタイン基のカチオン基はpHに依存せず、常にプラスの電荷を帯びた基が好ましい。ここで、一級アミノ基、二級アミノ基等は、酸性ではカチオンとなり、アルカリ性では非イオン性となるが、酸性側においてカチオンとして作用する場合は、本発明のカチオンとして作用する。
【0078】
ベタイン基中のカチオン基の例としては、先にカチオン基単独の例として挙げたものと同様の基が挙げられる。
【0079】
また、ベタイン基中のアニオン基としても、先に酸性基単独の例として挙げたものと同様の基が挙げられる。それらの中で、製造が容易であり、安定性に優れている点で、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基が好ましく、カルボキシル基、スルホン酸基が特に好ましい。
【0080】
また、本発明の重合体が、酸性基を有するペンダント基と、カチオン基を有するペンダント基とを含んでいると、それらが対イオンを形成して、イオン架橋となる場合がある。
【0081】
また、本発明におけるペンダント基は、特定官能基以外に、先に述べたペンダント基中の炭化水素基の場合と同様の置換基をさらに含んでいても構わない。
【0082】
また、本発明の重合体は、特定官能基を含むペンダント基以外に、他の側鎖基を含んでいても構わない。例えば、単純にイミド環を開環した構造でカルボキシル基を持つ基、特定官能基以外の置換基を含むペンダント基を持つ基、置換基を含まないペンダント基を持つ基等がある。特定官能基以外の置換基を含むペンダント基としては、先に述べた炭化水素基の場合と同様の置換基を含むものがある。
【0083】
(2−2)疎水性の重合体側鎖構造
本発明における、疎水性の重合体側鎖構造は、疎水性アミノ酸残基とアルコキシ基である。本発明では、便宜的にこれらを「疎水性側鎖基」と呼ぶ。
【0084】
本発明の重合体において、一般式(2)で表される繰り返し単位の数は、分子を構成する繰り返し単位の総数に対して、1〜99%が好ましく、10〜99%がより好ましい。
【0085】
本発明の重合体の疎水性アミノ酸残基は、ポリマー主鎖のカルボニル基と、α位のアミノ基と脱水縮合して結合している。すなわち、アミド結合である。また、アルコキシ基は、エステル結合である。
【0086】
本発明の重合体の疎水性側鎖基は、ポリマー主鎖のアミド結合に対して、アスパラギン酸残基の場合は、α位に置換されていても、β位に置換されていても構わず、グルタミン酸残基の場合は、α位に置換されていても、γ位に置換されていても構わない。
【0087】
疎水性アミノ酸残基としては、疎水性基を持つアミノ酸であり、分解後及び分解過程において生理活性等の問題が無いものであれば特に限定されない。例えば、アラニン、α−アミノ酪酸、アロイソロイシン、イソロイシン、エチオニン、ノルバリン、ノルロイシン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、α−フェニルグリシン、メチオニン、ロイシン等が挙げられる。
【0088】
また、アミノ酸のカルボキシル基をエステル化、アミド化、チオエステル化して疎水性としたアミノ酸も本発明に含まれる。その例としては、上記疎水性アミノ酸のエステル、アミド、チオエステルに加え、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、アロトレオニン、エルゴチオネイン、オルニチン、カナバニン、カルボキシメチルシステイン、キヌレニン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、システイン酸、シトルリン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、セリン、トレオニン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、ホモセリン、1−メチルヒスチジン、リジン等のエステル、アミド、チオエステル等が挙げられる。さらに、シスタチオニン、シスチン、ランチオニン等のハーフエステル、アミド、チオエステル等が挙げられる。また、アミノ酸ノ誘導体として、疎水性のアミノ酸二量体、三量体、多量体、ペプチド等が挙げられる。これらは、L体、D体、DL体何れでも使用できる。
【0089】
本発明のアルコキシ基は、疎水性を発現でき、分解後及び分解過程の形態として安全であり、生理活性等の環境への影響がないものであれば特に限定されない。本発明では便宜上、アルコキシ基と称するが、これは実際には酸性ポリアミノ残基であり、エステル結合中のアルコール残基である。これらは直鎖であっても分岐構造であっても、環状構造であっても構わない。
【0090】
このアルコキシ基中のアルキル部分は、その炭素原子の一部をO、N、S、P、B、Si等を含む置換基にて置換されていても構わない。すなわち、環構造の場合は、炭素原子の一部をO、N、S、P、B、Si等で置換されていてもよく、また、O、N、S、P、B、Si等が導入された、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ウレア基、チオエステル基、チオカルボニル基、スルホン基、スルホニル基、スルホンアミド基、二級アミノ基、三級アミノ基、アミド基、ホスホン基、ホスホンアミド基等の置換基にて置換されていても構わない。
【0091】
アルコキシ基の具体的な例を以下に挙げる。
【0092】
例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等のアルキルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基、フェニルプロピルオキシ基、フェニルブチルオキシ基等のアラルキルオキシ基、エトキシエチルオキシ基、プロポキシエチルオキシ基、ブトキシエチルオキシ基、ペンチルオキシエチルオキシ基、ヘキシルオキシエチルオキシ基、ヘプチルオキシエチルオキシ基、オクチルオキシエチルオキシ基、デシルオキシエチルオキシ基、ウンデシルオキシエチルオキシ基、ドデシルオキシエチルオキシ基、トリデシルオキシエチルオキシ基、テトラデシルオキシエチルオキシ基、ペンタデシルオキシエチルオキシ基、ヘキサデシルオキシエチルオキシ基、ヘプチルデシルオキシエチルオキシ基、オクチルデシルオキシエチルオキシ基等のアルコキシアルキルオキシ基、ポリオキシエチレンオキシ基、ポリオキシプロピレンオキシ基等のポリオキシアルキレンオキシ基、フェノキシエチルオキシ基等のアリールオキシアルキルオキシ基、ベンジルオキシエチルオキシ基、トリルオキシエチルオキシ基等のアラルキルオキシアルキルオキシ基、メチルチオエチルオキシ基、エチルチオエチルオキシ基、プロピルチオエチルオキシ基、ブチルチオエチルオキシ基、ペンチルチオエチルオキシ基、ヘキシルチオエチルオキシ基、ヘプチルチオエチルオキシ基、オクチルチオエチルオキシ基、ノニルチオエチルオキシ基、デシルチオエチルオキシ基、ウンデシルチオエチルオキシ基、ドデシルチオエチルオキシ基、トリデシルチオエチルオキシ基、テトラデシルチオエチルオキシ基、ペンタデシルチオエチルオキシ基、ヘキサデシルチオエチルオキシ基、ヘプチルデシルチオエチルオキシ基、オクチルデシルチオエチルオキシ基等のアルキルチオアルキルオキシ基、ポリチオエチレンオキシ基、ポリチオプロピレンオキシ基等のポリチオアルキレンオキシ基、フェニルチオエチルオキシ基、トリルチオエチルオキシ基等のアリールチオアルキルオキシ基、ベンジルチオエチルオキシ基等のアラルキルチオアルキルオキシ基、メチルアミノエチルオキシ基、エチルアミノエチルオキシ基、プロピルアミノエチルオキシ基、ブチルアミノエチルオキシ基、ペンチルアミノエチルオキシ基、ヘキシルアミノエチルオキシ基、ヘプチルアミノエチルオキシ基、オクチルアミノエチルオキシ基、ノニルアミノエチルオキシ基、デシルアミノエチルオキシ基、ウンデシルアミノエチルオキシ基、ドデシルアミノエチルオキシ基、トリデシルアミノエチルオキシ基、テトラデシルアミノエチルオキシ基、ペンタデシルアミノエチルオキシ基、ヘキサデシルアミノエチルオキシ基、ヘプチルデシルアミノエチルオキシ基、オクチルデシルアミノエチルオキシ基等のアルキルアミノアルキルオキシ基、ジメチルアミノエチルオキシオキシ基、ジエチルアミノエチルオキシ基、ジプロピルアミノエチルオキシ基、ジブチルアミノエチルオキシ基、ジペンチルアミノエチルオキシ基、ジヘキシルアミノエチルオキシ基、ジヘプチルアミノエチルオキシ基、ジオクチルアミノエチルオキシ基、ジノニルアミノエチルオキシ基、ジデシルアミノエチルオキシ基、ジウンデシルアミノエチルオキシ基、ジドデシルアミノエチルオキシ基、ジトリデシルアミノエチルオキシ基、ジテトラデシルアミノエチルオキシ基、ジペンタデシルアミノエチルオキシ基、ジヘキサデシルアミノエチルオキシ基、ジヘプチルデシルアミノエチルオキシ基、ジオクチルデシルアミノエチルオキシ基、エチルメチルアミノエチルオキシ基、メチルプロピルアミノエチルオキシ基等のジアルキルアミノアルキルオキシ基、メチルオキシカルボニルエチルオキシ基、エチルオキシカルボニルエチルオキシ基、プロピルオキシカルボニルエチルオキシ基、ブチルオキシカルボニルエチルオキシ基、ペンチルオキシカルボニルエチルオキシ基、ヘキシルオキシカルボニルエチルオキシ基、ヘプチルオキシカルボニルエチルオキシ基、オクチルオキシカルボニルエチルオキシ基、ノニルオキシカルボニルエチルオキシ基、デシルオキシカルボニルエチルオキシ基、ウンデシルオキシカルボニルエチルオキシ基、ドデシルオキシカルボニルエチルオキシ基、トリデシルオキシカルボニルエチルオキシ基、テトラデシルオキシカルボニルエチルオキシ基、ペンタデシルオキシカルボニルエチルオキシ基、ヘキサデシルオキシカルボニルエチルオキシ基、ヘプチルデシルオキシカルボニルエチルオキシ基、オクチルデシルオキシカルボニルエチルオキシ基等のアルキルオキシカルボニルアルキルオキシ基、メチルカルボニルオキシエチルオキシ基、エチルカルボニルオキシエチルオキシ基、プロピルカルボニルオキシエチルオキシ基、ブチルカルボニルオキシエチルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシエチルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシエチルオキシ基、ヘプチルカルボニルオキシエチルオキシ基、オクチルカルボニルオキシエチルオキシ基、ノニルカルボニルオキシエチルオキシ基、デシルカルボニルオキシエチルオキシ基、ウンデシルカルボニルオキシエチルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシエチルオキシ基、トリデシルカルボニルオキシエチルオキシ基、テトラデシルカルボニルオキシエチルオキシ基、ペンタデシルカルボニルオキシエチルオキシ基、ヘキサデシルカルボニルオキシエチルオキシ基、ヘプチルデシルカルボニルオキシエチルオキシ基、オクチルデシルカルボニルオキシエチルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシアルキルオキシオキシ基等が挙げられる。
【0093】
さらに、上述したアルコキシ基は、特定官能基以外の置換基を含んでいても構わない。その置換基としては、炭素数1から18の分岐していても良いアルキル基、炭素数3から8のシクロアルキル基、アラルキル基、置換していてもよいフェニル基、置換していてもよいナフチル基、炭素数1から18の分岐していても良いアルコキシ基、アラルキルオキシ基、フェニルチオ基、炭素数1から18の分岐していても良いアルキルチオ基、炭素数1から18の分岐していても良いアルキルアミノ基、炭素数1から18の分岐していても良いジアルキルアミノ基、炭素数1から18の分岐していても良いトリアルキルアンモニオ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0094】
(3)重合体の製造方法
本発明の重合体の製造方法は、特に限定されないが、ここでは、より有用なポリアスパラギン酸系樹脂を中心に説明する。
【0095】
本発明のポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、ポリアスパラギン酸に特定置換基を含むペンダント基を導入する方法と、特定置換基を含むペンダント基を導入したモノマーを重合する方法がある。さらに、ポリアスパラギン酸単位からさらに水1分子が脱水した構造を有するポリコハク酸イミドを用いる方法がある。ポリコハク酸イミドに特定置換基を含むペンダント基を導入する方法は温和な条件にて反応が進行し、副生物もないので、特に好ましい。
【0096】
ポリコハク酸イミドを用いるか、もしくはこれを加水分解したポリアスパラギン酸を用いた製造方法が工業的な生産を行う場合に適しているので、これらの方法について説明する。
【0097】
なお、親水性共重合体成分と疎水性共重合体成分の導入方法は、モノマー単位で導入後に重合する方法でも構わないが、本発明では、酸性ポリアミノ酸、ポリコハク酸イミド等の上記重合体を用いて親水性と疎水性に誘導していく方法が好ましいので、これについて説明する。ここで、親水性共重合体成分への誘導化方法と疎水性共重合体成分は、厳密には同じ製造条件ではないが、基本的には同じ原理で反応を行うので同時に説明する。反応条件としては、親水性と疎水性の場合にて、使用するペンダント基となりうる反応試剤の極性、反応性、反応を受ける重合体の極性、反応性、反応を受けていく過程、及び反応後の重合体の極性が異なるために、反応溶媒、反応温度、反応時間等が異なってくる。この親水性基の導入、疎水性基の導入の順序は特に限定されない。同時に行ってもよく、片方を導入後、もう一つの方を導入する方法でも構わない。これらは使用する反応資試剤の反応性、使用する反応溶媒の極性等によって適宜選べばいい。
【0098】
(4)ポリコハク酸イミドの製造方法
ポリコハク酸イミドの製造方法は特に限定されないが、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Amer.Chem.Soc.),80巻,3361頁〜(1958年)等に記載の方法にて容易に製造することができる。
【0099】
本発明に使用するためのポリコハク酸イミドの製造時に、アスパラギン酸以外の他のアミノ酸や、アミノ酸以外の単量体成分を添加して共重合体を製造することもできる。
【0100】
共重合体を製造する場合は、ポリコハク酸イミドの製造時に他の共重合体をアスパラギン酸に加えて重合する。
【0101】
共重合体としてのアスパラギン酸、グルタミン酸以外の他のアミノ酸成分の具体例としては、例えば、20種類の必須アミノ酸、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸及びアミノ酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン酸等を挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体(L体、D体)であっても、ラセミ体であってもよい。また、重合体は、アミノ酸以外の繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
【0102】
その他の共重合体の例としては、アミノカルボン酸、アミノスルホン酸、アミノホスホン酸、ヒドロキシカルボン酸、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、メルカプトホスホン酸等の脱水縮合物が挙げられる。
【0103】
また、多価アミン、多価アルコール、多価チオール、多価カルボン酸、多価スルホン酸、多価ホスホン酸、多価ヒドラジン化合物、多価カルバモイル化合物、多価スルホンアミド化合物、多価ホスホンアミド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、多価イソチオシアナート化合物、多価アジリジン化合物、多価カーバメイト化合物、多価カルバミン酸化合物、多価オキサゾリン化合物、多価反応性不飽和結合化合物、多価金属等の脱水縮合物、付加物、置換体が挙げられる。
【0104】
ただし、これらの多価化合物を共重合体成分として使用する場合、使用量が多すぎる場合は、架橋状態となり、水又は有機溶媒に対して不溶性となり本発明の本来の目的に合わなくなるので好ましくない。本発明で用いる架橋は、本来の樹脂の特性が失われない微架橋状態を示す。
【0105】
(5)ペンダント基導入反応
本発明の重合体は親水性共重合体成分と疎水性共重合体成分をもつが、親水性、疎水性を問わず、ペンダント基として導入するものについて説明する。なお、酸性ポリアミノ酸残基への誘導方法については(6)の欄にて説明する。
【0106】
本発明の重合体のペンダント基導入反応の方法としては特に限定されないが、その方法を以下に挙げる。またカチオン基及び/又はアニオン基となり得る前駆体を含むペンダント基の導入反応も同一原理であるので、ここでは両者をまとめて挙げる。本発明では、便宜上、カチオン基及び/又はベタイン基となり得る置換基を、前駆体と呼ぶ。
【0107】
例えば、ポリコハク酸イミドに、少なくとも1個の特定官能基を有する、アミン、アルコール、チオールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を反応させる方法;酸性ポリアミノ酸に、上記化合物を脱水縮合反応させる方法;酸性ポリアミノ酸エステルに、上記化合物をエステル/アミド交換反応させる方法などが挙げられる。
【0108】
導入されるペンダント基となりうる反応試薬は、親水性置換基を持つもの、疎水性のものともに同様な導入方法によって反応することができる。ただし、アミノ酸を導入する場合は特殊な方法を取るので後述する。
【0109】
使用するポリコハク酸イミドの分子量は、特に限定されず、使用する用途によっても変わる。例えば、膜形成能等が必要な場合は高い方が良く、分解性を速く実現するためには低い分子量が好ましい。一般的に、1000以上100万以下である。適正な分子量は使用する用途によって変わる。
【0110】
このような方法も含めて、以下に例を列挙する。
(5−1)ポリコハク酸イミドと、特定官能基を有するアミン等を反応させる方法
(5−2)酸性ポリアミノ酸と、特定官能基を有するアミン等を脱水縮合反応させる方法
(5−3)酸性ポリアミノ酸エステルと、特定官能基を有するアミン等をエステル/アミド交換させる方法
(5−4)ポリコハク酸イミドに、酸性基やカチオン基の前駆体を有するペンダント基を導入し、さらに酸性基へ置換またはカチオン化する方法。
【0111】
これらの中で、温和な条件にて効率よく反応できる方法が好ましく、ポリコハク酸イミドもしくはその誘導体と、特定官能基を含むアミン等を反応させる方法、もしくは、前駆体を含むペンダント基を導入し、さらにカチオン化又はベタイン化する方法が好ましい。
【0112】
また、(5−2)及び(5−3)において、酸性基を含むアミン等を反応させる場合、酸性基そのものが、アミン等と反応する場合がある。すなわち、側鎖基の伸長が起こるが、結果として、親水性基が少なくなることがある。
【0113】
ポリコハク酸イミドへの、特定官能基を含むペンダント基を導入する方法と、特定官能基の前駆体を含むペンダント基を導入する方法は、共通点が多いのでまとめて記載する。
【0114】
また疎水性のアルコキシ基を導入する場合は、(5−1)〜(5−4)の何れかの方法にて製造できるが、アルコキシの反応性が低い等の理由で(5−2)の方法が有利である。
【0115】
ここで、ポリコハク酸イミドへアミノ酸を導入する方法については、(7)の欄にて説明する。
【0116】
ペンダント基導入反応に使用される反応試剤は、酸性基、グリシノ基、カチオン基、ベタイン基を含んでいても、酸性基、グリシノ基、カチオン基、ベタイン基となりうる前駆体を含んだものであっても構わない。この反応試剤の代表例としては、少なくとも1個の酸性基、グリシノ基、カチオン基、又は、ベタイン基を持つアミン、チオール、アルコールが挙げられる。
【0117】
まず、酸性基を有するペンダント基導入反応に使用される反応試剤の例を、以下に挙げる。
【0118】
【化10】
【0119】
【化11】
【0120】
【化12】
【0121】
【化13】
【0122】
【化14】
【0123】
【化15】
【0124】
【化16】
【0125】
【化17】
【0126】
【化18】
また酸性基としてカルボキシル基を導入する場合は、20種類の必須アミノ酸、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸も使用可能な反応試剤として挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体(L体、D体)であってもラセミ体であってもよい。
【0127】
さらに、カルボキシル基以外の、スルホン酸基やその他の酸性基を導入する場合の反応試剤の例を、以下に挙げる。
【0128】
【化19】
【0129】
【化20】
【0130】
【化21】
【0131】
【化22】
【0132】
【化23】
【0133】
【化24】
【0134】
【化25】
【0135】
【化26】
【0136】
【化27】
【0137】
【化28】
【0138】
【化29】
【0139】
【化30】
【0140】
【化31】
【0141】
【化32】
【0142】
【化33】
【0143】
【化34】
【0144】
【化35】
【0145】
【化36】
【0146】
【化37】
これらは単独でも、2つ以上を混合して用いても構わない。
【0147】
次に、グリシノ基を有するペンダント基導入反応に使用される反応試剤の例を以下に挙げる。この反応試剤としては、リジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸のエステル等のC置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラニン2量体(アスパルテーム)、アロトレオニン、エルゴチオネイン、キヌレニン、システイン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、3,5−ジヨードチロシン、セリン、チロキシン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、ホモセリン等が挙げられる。
【0148】
この中で、イミド環との反応性が高く、穏和な条件で反応するアミノ基を持つリジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸のエステル等のC置換体が好ましい。
【0149】
ここで、塩基性アミノ酸のエステル、または塩基性アミノ酸のアルカリ金属塩等は、2つのアミノ基の反応性が高いために、2官能性化合物として反応し、架橋基となりやすい。したがって、ペンダント基として反応させるためには、1つの基が反応後、2つめの反応を起こす前に、反応を止めなければならない。すなわち、架橋反応とペンダント基導入反応を厳密に制御するのは難しいので、水や有機溶媒への溶解性を維持しながら、すなわち非架橋及び微架橋の架橋範囲内において反応を行なうためには、ペンダント基として、より反応性を落としたリジン、オルニチンを用い、架橋剤として反応性の高いものを用いる方法が好ましい。
【0150】
これらは単独でも、2つ以上を混合して用いても構わない。
【0151】
次に、カチオン基を有するペンダント基導入反応に使用される反応試剤の例を以下に挙げる。
【0152】
【化38】
【0153】
【化39】
【0154】
【化40】
【0155】
【化41】
さらに、カチオン基導入用試薬としては、グアニジル基を含む反応試剤として、グアニジン及びその塩、アミノグアニジン及びその塩、アルギニン等が挙げられる。
【0156】
これらは単独でも、2つ以上を混合して用いても構わない。
【0157】
次に、ベタイン基を含むペンダント基導入反応に使用される反応試剤の例を以下に挙げる。
【0158】
【化42】
【0159】
【化43】
【0160】
【化44】
【0161】
【化45】
【0162】
【化46】
【0163】
【化47】
これらは単独でも、2つ以上を混合して用いても構わない。
【0164】
ここで、カチオン基を持つアミン、チオール、アルコール、及び、アニオン基を持つアミン、チオール、アルコールを用いる場合における、カチオン基とアニオン基の使用比は、特に限定されない。その使用比は、反応試剤の反応性によっても異なるが、その使用比は1に近い場合は、得られるポリマーは、両性であるが、使用比が1より大きい場合、もしくは1より小さい場合はカチオン性、アニオン性となるので、使用用途、使用環境によって選択すればいい。
【0165】
ペンダント基導入反応に使用される、カチオン基、ベタイン基となりうる前駆体を含む反応試剤の例は、次の(6)の欄にて説明する。
【0166】
また、ペンダント基導入反応後の反応生成物は、系外に取り出しても、必要により、そのまま連続的に酸性基への置換反応、カチオン化反応又はベタイン化反応を行ってもよい。ここで、系外に反応生成物を取り出す場合は、場合によっては反応生成物を乾燥して用いても構わない。
【0167】
ペンダント基導入反応後の反応生成物は、場合によっては、イミド環の一部を加水分解しても構わない。
【0168】
次に、疎水性アルコキシ基導入反応に使用される反応試剤の例を、以下に挙げる。
【0169】
本発明のアルコキシ基となりうる反応試剤は、アルキルアルコールであるが、疎水性を発現でき、分解後及び分解過程の形態として安全であり、生理活性等の環境への影響がないものであれば特に限定されない。これらは直鎖であっても分岐構造であっても、環状構造であっても構わない。
【0170】
このアルキルアルコール中のアルキル部分は、その炭素原子の一部をO、N、S、P、B、Si等を含む置換基にて置換されていても構わない。すなわち、環構造の場合は、炭素原子の一部をO、N、S、P、B、Si等で置換されていてもよく、また、O、N、S、P、B、Si等が導入された、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ウレア基、チオエステル基、チオカルボニル基、スルホン基、スルホニル基、スルホンアミド基、二級アミノ基、三級アミノ基、アミド基、ホスホン基、ホスホンアミド基等の置換基にて置換されていても構わない。
【0171】
アルキルアルコールの具体的な例を以下に挙げる。
【0172】
例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール等のアルキルアルコール、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール等のシクロアルキルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フェニルブチルアルコール等のアラルキルアルコール、エトキシエチルアルコール、プロポキシエチルアルコール、ブトキシエチルアルコール、ペンチルオキシエチルアルコール、ヘキシルオキシエチルアルコール、ヘプチルオキシエチルアルコール、オクチルオキシエチルアルコール、デシルオキシエチルアルコール、ウンデシルオキシエチルアルコール、ドデシルオキシエチルアルコール、トリデシルオキシエチルアルコール、テトラデシルオキシエチルアルコール、ペンタデシルオキシエチルアルコール、ヘキサデシルオキシエチルアルコール、ヘプチルデシルオキシエチルアルコール、オクチルデシルオキシエチルアルコール等のアルコキシアルキルアルコール、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシプロピレンアルコール等のポリオキシアルキレンアルコール、フェノキシエチルアルコール等のアリールオキシアルキルアルコール、ベンジルオキシエチルアルコール、トリルオキシエチルアルコール等のアラルキルオキシアルキルアルコール、メチルチオエチルアルコール、エチルチオエチルアルコール、プロピルチオエチルアルコール、ブチルチオエチルアルコール、ペンチルチオエチルアルコール、ヘキシルチオエチルアルコール、ヘプチルチオエチルアルコール、オクチルチオエチルアルコール、ノニルチオエチルアルコール、デシルチオエチルアルコール、ウンデシルチオエチルアルコール、ドデシルチオエチルアルコール、トリデシルチオエチルアルコール、テトラデシルチオエチルアルコール、ペンタデシルチオエチルアルコール、ヘキサデシルチオエチルアルコール、ヘプチルデシルチオエチルアルコール、オクチルデシルチオエチルアルコール等のアルキルチオアルキルアルコール、ポリチオエチレンアルコール、ポリチオプロピレンアルコール等のポリチオアルキレンアルコール、フェニルチオエチルアルコール、トリルチオエチルアルコール等のアリールチオアルキルアルコール、ベンジルチオエチルアルコール等のアラルキルチオアルキルアルコール、メチルアミノエチルアルコール、エチルアミノエチルアルコール、プロピルアミノエチルアルコール、ブチルアミノエチルアルコール、ペンチルアミノエチルアルコール、ヘキシルアミノエチルアルコール、ヘプチルアミノエチルアルコール、オクチルアミノエチルアルコール、ノニルアミノエチルアルコール、デシルアミノエチルアルコール、ウンデシルアミノエチルアルコール、ドデシルアミノエチルアルコール、トリデシルアミノエチルアルコール、テトラデシルアミノエチルアルコール、ペンタデシルアミノエチルアルコール、ヘキサデシルアミノエチルアルコール、ヘプチルデシルアミノエチルアルコール、オクチルデシルアミノエチルアルコール等のアルキルアミノアルキルアルコール、ジメチルアミノエチルオキシアルコール、ジエチルアミノエチルアルコール、ジプロピルアミノエチルアルコール、ジブチルアミノエチルアルコール、ジペンチルアミノエチルアルコール、ジヘキシルアミノエチルアルコール、ジヘプチルアミノエチルアルコール、ジオクチルアミノエチルアルコール、ジノニルアミノエチルアルコール、ジデシルアミノエチルアルコール、ジウンデシルアミノエチルアルコール、ジドデシルアミノエチルアルコール、ジトリデシルアミノエチルアルコール、ジテトラデシルアミノエチルアルコール、ジペンタデシルアミノエチルアルコール、ジヘキサデシルアミノエチルアルコール、ジヘプチルデシルアミノエチルアルコール、ジオクチルデシルアミノエチルアルコール、エチルメチルアミノエチルアルコール、メチルプロピルアミノエチルアルコール等のジアルキルアミノアルキルアルコール、メチルオキシカルボニルエチルアルコール、エチルオキシカルボニルエチルアルコール、プロピルオキシカルボニルエチルアルコール、ブチルオキシカルボニルエチルアルコール、ペンチルオキシカルボニルエチルアルコール、ヘキシルオキシカルボニルエチルアルコール、ヘプチルオキシカルボニルエチルアルコール、オクチルオキシカルボニルエチルアルコール、ノニルオキシカルボニルエチルアルコール、デシルオキシカルボニルエチルアルコール、ウンデシルオキシカルボニルエチルアルコール、ドデシルオキシカルボニルエチルアルコール、トリデシルオキシカルボニルエチルアルコール、テトラデシルオキシカルボニルエチルアルコール、ペンタデシルオキシカルボニルエチルアルコール、ヘキサデシルオキシカルボニルエチルアルコール、ヘプチルデシルオキシカルボニルエチルアルコール、オクチルデシルオキシカルボニルエチルアルコール等のアルキルオキシカルボニルアルキルアルコール、メチルカルボニルオキシエチルアルコール、エチルカルボニルオキシエチルアルコール、プロピルカルボニルオキシエチルアルコール、ブチルカルボニルオキシエチルアルコール、ペンチルカルボニルオキシエチルアルコール、ヘキシルカルボニルオキシエチルアルコール、ヘプチルカルボニルオキシエチルアルコール、オクチルカルボニルオキシエチルアルコール、ノニルカルボニルオキシエチルアルコール、デシルカルボニルオキシエチルアルコール、ウンデシルカルボニルオキシエチルアルコール、ドデシルカルボニルオキシエチルアルコール、トリデシルカルボニルオキシエチルアルコール、テトラデシルカルボニルオキシエチルアルコール、ペンタデシルカルボニルオキシエチルアルコール、ヘキサデシルカルボニルオキシエチルアルコール、ヘプチルデシルカルボニルオキシエチルアルコール、オクチルデシルカルボニルオキシエチルアルコール等のアルキルカルボニルオキシアルキルオキシアルコール等が挙げられる。
【0173】
さらに、上述したアルコールは、特定官能基以外の置換基を含んでいても構わない。その置換基としては、炭素数1から18の分岐していても良いアルキル基、炭素数3から8のシクロアルキル基、アラルキル基、置換していてもよいフェニル基、置換していてもよいナフチル基、炭素数1から18の分岐していても良いアルコキシ基、アラルキルオキシ基、フェニルチオ基、炭素数1から18の分岐していても良いアルキルチオ基、炭素数1から18の分岐していても良いアルキルアミノ基、炭素数1から18の分岐していても良いジアルキルアミノ基、炭素数1から18の分岐していても良いトリアルキルアンモニオ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0174】
なお、ペンダント基導入反応は、1段階でペンダント基を導入しても、一旦、置換基を導入し、さらにその置換基に別の置換基を反応させてペンダント基とする多段階方式であっても構わない。
【0175】
(5−1)ポリコハク酸イミドと、特定官能基を含むアミン等を反応させる方法
ポリコハク酸イミドへのペンダント基導入反応に使用する溶媒としては、特に限定されず、ポリコハク酸イミドもしくはポリコハク酸イミド誘導体を溶解できるもの、もしくはペンダント基となりうる反応試剤を溶解できるものであればよく、化学反応に用いられる一般的な溶媒はいずれも使用できる。
【0176】
この反応溶媒として上記の溶媒が使用できるが、特に特定官能基を含む反応試薬は極性が高いために、極性溶媒が好ましい。この中で、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン等が好ましく、特に水が好ましい。これらの溶媒は、単独でも、2種以上を混合して用いても構わない。
【0177】
ポリコハク酸イミド誘導体製造時のポリコハク酸イミドもしくの濃度は、特に限定されないが、0.1〜50重量%が好ましく、特に1〜40重量%が好ましい。
【0178】
ペンダント基導入反応は、必要により触媒を用いてもよい。触媒としては、一般的に、塩基触媒若しくは酸触媒が用いられる。
【0179】
塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩、シュウ酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、アンモニア等の無機系塩基試剤;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリペンタノールアミン、トリヘキサノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、メチルヘキシルアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等のアミン等の有機系塩基試剤が挙げられる。
【0180】
酸触媒の具体例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、炭酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、安息香酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のスルホン酸、ベンゼンホスホン酸等のホスホン酸等が挙げられ、これらは、単独で、又は、二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0181】
ペンダント基導入反応における反応温度は、特に限定されないが、0〜120℃が好ましく、特に10〜60℃が好ましい。
【0182】
(5−2)酸性ポリアミノ酸と、特定官能基を有するアミン等を反応させる方法
酸性ポリアミノ酸にペンダント基を導入する方法としては、上記反応試剤と酸性ポリアミノ酸を脱水縮合する方法が一般的である。
【0183】
酸性基の場合は、酸性ポリアミノ酸と、酸性基を含むアミン等を脱水縮合させる方法では、反応条件次第では、酸性基そのものが、アミン等と反応する場合がある。すなわち、側鎖基の伸長が起こるが、結果として、親水性基が少なくなることがある。
【0184】
脱水縮合は、生成する水を溶媒との共沸によって除く方法、脱水剤としてモレキュラシーブを加えておく方法、脱水縮合剤を用いて反応させる方法、酵素を用いる方法のいずれでも構わない。また、アスパラギン酸と架橋剤を均一に混合し、溶剤を除去した、固相状態にて反応することもできる。
【0185】
縮合剤の例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等のカルボジイミド、1−アシルイミダゾリド、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素、トリフェニルホスフィン/ブロモトリクロロメタン、フェニルホスホン酸ビス(2−ニトロフェニルエステル)、シアノホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスホロアジド等の含リン化合物、2−フルオロ−1−エチルピリジウム・テトラフルオロボレート、トリフェニルホスフィン/ビス(ベンゾチアゾール)ジスルフィド、トリブチルホスフィン/ビス(ベンゾチアゾール)ジスルフィド等の酸化還元縮合剤等が挙げられる。酵素の例としては、ペニシリンアシラーゼ、イーストリパーゼ等のリパーゼ等が挙げられる。
【0186】
脱水縮合時の反応温度は、20〜250℃が好ましく、100〜180℃が特に好ましい。
【0187】
また、酸性ポリアミノ酸をエステル化、アミド化、又は、チオエステル化する方法を用いても構わない。
【0188】
この場合、有機化学で用いられる通常の反応条件を用いることができる。その方法としては、酸性ポリアミノ酸を酸性アミノ酸残基としておき、そのカルボキシル基とエステル、アミド又はチオエステル形成基を反応させてもよい。また、誘導体として反応性を高めてから、エステル、アミド又はチオエステル形成基を導入しても良い。
【0189】
例えば、酸性アミノ酸残基のカルボキシル基とアルコール、アミン、チオールと脱水縮合反応する方法、酸性アミノ酸残基のカルボキシル基を酸無水物、酸ハロゲン化物、酸アジド等にして活性化して、アルコール、アミン、チオールと反応させる方法、酸性アミノ酸残基のカルボキシル基と、活性化したアルコール(例えば、アルコールのハロゲン化物、エステル、スルホン酸エステル、硫酸エステル)、活性化したアミン(例えばアミンのケイ素誘導体)を反応させる方法、酸性アミノ酸残基のカルボキシル基とエポキシ化合物、イソシアナート化合物、アジリジン化合物、アルキル金属等と反応させる方法、酸性アミノ酸残基のカルボキシル基を塩として、ハロゲン化物等と反応させる方法、酸性アミノ酸残基のカルボキシル基を活性なエステル基として、エステル交換、アミド交換によって反応させる方法等がある。
【0190】
(5−3)ポリアスパラギン酸エステルと、特定官能基を有するアミン等を反応させる方法
酸性ポリアミノ酸エステルを架橋する方法としては、特に限定されないが、有機溶媒中で架橋剤と酸性ポリアミノ酸エステルを反応させる方法が一般的である。用いるエステルは、メチル、エチル等の小さいアルコール成分、クロロメチル、ジクロロメチル等の電子吸引基を含むアルコール成分、N−ヒドロキシコハク酸イミド等のアルコールが挙げられる。
【0191】
場合によっては酸触媒、塩基触媒等の触媒を用いても構わない。また、反応系が不均一になる場合、もしくは用いる原料が不溶性の場合、相間移動触媒を用いても構わない。
【0192】
(6)カチオン化反応及びベタイン化反応
本発明のカチオン化反応及びベタイン化反応は、ポリマーのペンダント基内のカチオン基又はベタイン基となり得る前駆体を、カチオン化剤又はベタイン化剤と反応させる方法である。本発明では、便宜上、カチオン基及び/又はベタイン基となり得る置換基を、前駆体と呼ぶ。
【0193】
まず、前駆体を含むペンダント基の導入反応について説明する。前駆体を含むペンダント基の導入反応の反応条件は、特に限定されないが、(5−1)の欄で説明した反応条件にて行なうことができる。
【0194】
特に限定されないが、カチオン基となりうる前駆体としては、アンモニウム、オキソニウム、スルホニウム、セレノニウム、クロロニウム、ブロモニウム、ヨードニウムイオンとなり得るものがあるが、安定性、製造面からアンモニウムイオンとなり得るものが好ましい。
【0195】
アンモニウムイオンとなり得るものは、一級アミン、二級アミン、三級アミンもしくはカチオン化剤であり、特に限定されないが、一級アミン、二級アミン、三級アミンが好ましく、三級アミンが、特に好ましい。
【0196】
三級アミンの具体例を、それらから得られる基として以下に挙げる。例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基、ジデシルアミノ基、ジウンデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジトリデシルアミノ基、ジテトラデシルアミノ基、ジペンタデシルアミノ基、ジヘキサデシルアミノ基、ジヘプチルデシルアミノ基、ジオクチルデシルアミノ基、ジメチルエチルアミノ基、ジメチルシクロヘキシルアミノ基、メチルベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、メチル(メチルオキシカルボニルメチル)アミノ基、メチル(エチルオキシカルボニルメチル)アミノ基、メチル(プロピルオキシカルボニルメチル)アミノ基、メチル(ブチルオキシカルボニルメチル)アミノ基、メチル(ペンチルオキシカルボニルメチル)アミノ基、メチル(ヘキシルオキシカルボニルメチル)アミノ基、メチル(オクチルオキシカルボニルメチル)アミノ基、メチル(フェニルオキシカルボニルメチル)アミノ基、ジメチル(ベンジルオキシカルボニルメチル)アミノ基、メチル(シクロヘキシルオキシカルボニルメチル)アミノ基、メチル(ナフチルオキシカルボニルメチル)アミノ基、メチル(メチルオキシカルボニルメチル)アミノ基、ビス(メチルオキシカルボニルメチル)アミノ基、メチル(エチルオキシエチル)アミノ基、メチル(ブチルオキシエチル)アミノ基、メチル(ヘキシルオキシエチル)アミノ基、メチル(フェニルオキシエチル)アミノ基、メチル(シクロヘキシルオキシエチル)アミノ基、メチル(ナフチルオキシエチル)アミノ基、メチル(メチルオキシプロピル)アミノ基、メチル(メチルオキシブチル)アミノ基、メチル(メチルオキシオクチル)アミノ基、メチル(メチルオキシエチルオキシエチル)アミノ基、メチル(メチルオキシエチルオキシブチル)アミノ基、メチル(メチルチオエチル)アミノ基、メチル(メチルチオブチル)アミノ基、メチル(メチルアミノエチル)アミノ基、メチル(ジメチルアミノエチル)アミノ基、メチル(メチルアミノエチル)アミノ基、メチル(メチルカルボニルオキシエチル)アミノ基、メチル(メチルカルボニルチオエチル)アミノ基、メチル(メチルチオカルボニルエチル)アミノ基、メチル(N−アセチルアミノエチル)アミノ基、メチル(N,N−ジアセチルアミノエチル)アミノ基、メチル(メチルカルボニルチオエチル)アミノ基、メチル(カルバモイルエチル)アミノ基、メチル(N−メチルカルバモイルエチル)アミノ基、メチルフェニルアミノ基、メチルジフェニルアミノ基等が挙げられる。
【0197】
また、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、インドール、イソインドール、インドリジン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、インダゾール、キナゾリン、シンノリン、キノキサリン、フタラジン、プテリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナントリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、インドリン、イソインドリン等の含窒素環状化合物の残基が挙げられる。
【0198】
これらの中で、置換基の分子量が小さい方が、親水性が高く、また単位重量当りの吸水量が高くなるので好ましい。例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、グアニジル基が好ましい。
【0199】
これらの、ペンダント基に対する置換位置は特に限定されない。
【0200】
カチオン基となり得る前駆体を含むペンダント基の導入反応に使用される反応試剤としては、少なくとも1個のカチオン基を持つアミン、チオール、アルコールである。その例を以下に挙げるが、便宜上、カチオン基を水素原子で置換した状態で記す。
【0201】
H2NCH3、H2NCH2CH3、H2NCH2CH2CH3、H2NCH2CH2CH2CH3、H2N(CH2)4CH3、H2N(CH2)5CH3、H2N(CH2)6CH3、H2N(CH2)7CH3、H2N(CH2)8CH3、H2N(CH2)9CH3、H2N(CH2)10CH3、H2N(CH2)11CH3、H2N(CH2)12CH3、H2N(CH2)13CH3、H2N(CH2)14CH3、H2N(CH2)15CH3、H2N(CH2)16CH3、H2N(CH2)17CH3、H2N(CH2)18CH3、H2NCH2CH2OCH3、H2N(CH2CH2O)2CH3、H2N(CH2CH2O)3CH3、H2N(CH2CH2O)4CH3、H2N(CH2CH2O)5CH3、H2N(CH2CH2O)6CH3、H2NCH2CH2CH2OCH3、H2N(CH2CH2CH2O)2CH3、H2N(CH2CH2CH2O)3CH3、H2N(CH2CH2CH2O)4CH3、H2N(CH2CH2CH2O)5CH3、H2N(CH2CH2CH2O)6CH3、H2NCH2CH2OCH2CH3、H2N(CH2CH2O)2CH2CH3、H2N(CH2CH2O)3CH2CH3、H2N(CH2CH2O)4CH2CH3、H2N(CH2CH2O)5CH2CH3、H2N(CH2CH2O)6CH2CH3、H2NCH2CH2CH2OCH2CH3、H2N(CH2CH2CH2O)2CH2CH3、H2N(CH2CH2CH2O)3CH2CH3、H2N(CH2CH2CH2O)4CH2CH3、H2N(CH2CH2CH2O)5CH2CH3、H2N(CH2CH2CH2O)6CH2CH3、H2NCH2CH2OCH2CH2CH3、H2N(CH2CH2O)2CH2CH2CH3、H2NCH2CH2OCH2CH2CH2CH3、H2N(CH2CH2O)2CH2CH2CH2CH3、H2NCH2CH2O(CH2)4CH3、H2NCH2CH2O(CH2)5CH3、H2NCH2CH2O(CH2)6CH3、H2NCH2CH2O(CH2)7CH3、H2NCH2CH2O(CH2)8CH3、H2NCH2CH2SCH3、H2NCH2CHNHCH3、H2NCH2CH2N(CH3)2、HSCH3、HSCH2CH3、HSCH2CH2CH3、HSCH2CH2CH2CH3、HS(CH2)4CH3、HS(CH2)5CH3、HS(CH2)7CH3、HS(CH2)8CH3、HS(CH2)9CH3、HS(CH2)10CH3、HS(CH2)11CH3、HS(CH2)12CH3、HS(CH2)13CH3、HS(CH2)14CH3、HS(CH2)15CH3、HS(CH2)16CH3、HS(CH2)17CH3、HS(CH2)18CH3、HSCH2CH2OCH3、HS(CH2CH2O)2CH3、HS(CH2CH2O)3CH3、HS(CH2CH2O)4CH3、HS(CH2CH2O)5CH3、HS(CH2CH2O)6CH3、HSCH2CH2CH2OCH3、HS(CH2CH2CH2O)2CH3、HS(CH2CH2CH2O)3CH3、HS(CH2CH2CH2O)4CH3、HS(CH2CH2CH2O)5CH3、HS(CH2CH2CH2O)6CH3、HSCH2CH2OCH2CH3、HS(CH2CH2O)2CH2CH3、HS(CH2CH2O)3CH2CH3、HS(CH2CH2O)4CH2CH3、HS(CH2CH2O)5CH2CH3、HS(CH2CH2O)6CH2CH3、HSCH2CH2CH2OCH2CH3、HS(CH2CH2CH2O)2CH2CH3、HS(CH2CH2CH2O)3CH2CH3、HS(CH2CH2CH2O)4CH2CH3、HS(CH2CH2CH2O)5CH2CH3、HS(CH2CH2CH2O)6CH2CH3、HSCH2CH2OCH2CH2CH3、HS(CH2CH2O)2CH2CH2CH3、HSCH2CH2OCH2CH2CH2CH3、HS(CH2CH2O)2CH2CH2CH2CH3、HSCH2CH2O(CH2)4CH3、HSCH2CH2O(CH2)5CH3、HSCH2CH2O(CH2)6CH3、HSCH2CH2O(CH2)7CH3、HSCH2CH2O(CH2)8CH3、HSCH2CH2SCH3、HSCH2CHNHCH3、HSCH2CH2N(CH3)2、HOCH3、HOCH2CH3、HOCH2CH2CH3、HOCH2CH2CH2CH3、HO(CH2)4CH3、HO(CH2)5CH3、HO(CH2)7CH3、HO(CH2)8CH3、HO(CH2)9CH3、HO(CH2)10CH3、HO(CH2)11CH3、HO(CH2)12CH3、HO(CH2)13CH3、HO(CH2)14CH3、HO(CH2)15CH3、HO(CH2)16CH3、HO(CH2)17CH3、HO(CH2)18CH3、HOCH2CH2OCH3、HO(CH2CH2O)2CH3、HO(CH2CH2O)3CH3、HO(CH2CH2O)4CH3、HO(CH2CH2O)5CH3、HO(CH2CH2O)6CH3、HOCH2CH2CH2OCH3、HO(CH2CH2CH2O)2CH3、HO(CH2CH2CH2O)3CH3、HO(CH2CH2CH2O)4CH3、HO(CH2CH2CH2O)5CH3、HO(CH2CH2CH2O)6CH3、HOCH2CH2OCH2CH2CH3、HO(CH2CH2O)2CH2CH3、HO(CH2CH2O)3CH2CH3、HO(CH2CH2O)4CH2CH3、HO(CH2CH2O)5CH2CH3、HO(CH2CH2O)6CH2CH3、HOCH2CH2CH2OCH2CH3、HO(CH2CH2CH2O)2CH2CH3、HO(CH2CH2CH2O)3CH2CH3、HO(CH2CH2CH2O)4CH2CH3、HO(CH2CH2CH2O)5CH2CH3、HO(CH2CH2CH2O)6CH2CH3、HOCH2CH2OCH2CH2CH3、HO(CH2CH2O)2CH2CH2CH3、HOCH2CH2OCH2CH2CH2CH3、HO(CH2CH2O)2CH2CH2CH2CH3、HOCH2CH2O(CH2)4CH3、HOCH2CH2O(CH2)5CH3、HOCH2CH2O(CH2)6CH3、HOCH2CH2O(CH2)7CH3、HOCH2
CH2O(CH2)8CH3、HOCH2CH2SCH3、HOCH2CH2NHCH3、HOCH2CH2N(CH3)2
【0202】
【化48】
【0203】
【化49】
【0204】
【化50】
(6−1) カチオン化反応
次に、カチオン基となりうる前駆体とカチオン化剤とを反応させるカチオン化反応について説明する。
【0205】
なお、ポリマーに含まれるペンダント基に対して、カチオン基となりうる前駆体もしくはカチオン化剤が、どちらが含まれていても構わない。すなわち、カチオン基となりうる前駆体をペンダント基中に含むポリマーに対して、カチオン化剤を反応させてもよく、また、カチオン化剤をペンダント基中に含むポリマーに対して、カチオン化剤を反応させても構わない。
【0206】
ここで、カチオン化剤には毒性の高いものが多いので、残存することは好ましくない。すなわち、未反応基が残る可能性を考慮すると、カチオン基となりうる前駆体を含むペンダント基にカチオン化剤を反応させるほうが好ましい。
【0207】
カチオン化剤としては、特に限定されないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルホン酸エステル、硫酸エステル、アルキル金属、アジド等の置換反応を利用するもの、反応性不飽和化合物、エポキシ化合物、アジリジン、チイラン等の付加反応を利用するもの等がある。
【0208】
例えば、塩化メタン、塩化エタン、塩化プロパン、2−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロペンタン、2−クロロペンタン、3−クロロペンタン、1−クロロヘキサン、2−クロロヘキサン、3−クロロヘキサン、1−クロロオクタン、1−クロロデカン、1−クロロテトラデカン等のアルキル塩化物、臭化メタン、臭化エタン、臭化プロパン、2−ブロモプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモペンタン、2−ブロモペンタン、3−ブロモペンタン、1−ブロモヘキサン、2−ブロモヘキサン、3−ブロモヘキサン、1−ブロモオクタン、1−ブロモデカン、1−ブロモテトラデカン等のアルキル臭化物、ヨードメタン、ヨードエタン、ヨードプロパン、2−ヨードプロパン、1−ヨードブタン、2−ヨードブタン、1−ヨードペンタン、2−ヨードペンタン、3−ヨードペンタン、1−ヨードヘキサン、2−ヨードヘキサン、3−ヨードヘキサン、1−ヨードオクタン、1−ヨードデカン、1−ヨードテトラデカン等のアルキルヨード化物、硫酸メチル、硫酸エチル、硫酸プロピル、硫酸ブチル、硫酸ペンチル、硫酸ヘキシル、硫酸オクチル、硫酸デシル、硫酸テトラデシル等の硫酸モノエステル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジプロピル、硫酸ジブチル、硫酸ジペンチル、硫酸ジヘキシル、硫酸ジオクチル、硫酸ジデシル、硫酸ジテトラデシル等の硫酸ジエステル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸プロピル、メタンスルホン酸ペンチル、メタンスルホン酸ヘキシル、メタンスルホン酸オクチル、メタンスルホン酸デシル、メタンスルホン酸テトラデシル、エタンスルホン酸メチル、エタンスルホン酸エチル、エタンスルホン酸プロピル、エタンスルホン酸ペンチル、エタンスルホン酸ヘキシル、エタンスルホン酸オクチル、エタンスルホン酸デシル、エタンスルホン酸テトラデシル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸プロピル、トリフルオロメタンスルホン酸ペンチル、トリフルオロメタンスルホン酸ヘキシル、トリフルオロメタンスルホン酸オクチル、トリフルオロメタンスルホン酸デシル、トリフルオロメタンスルホン酸テトラデシル、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ペンチル、ベンゼンスルホン酸ヘキシル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸デシル、ベンゼンスルホン酸テトラデシル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、p−トルエンスルホン酸ペンチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸デシル、p−トルエンスルホン酸テトラデシル等のスルホン酸エステルが挙げられる。
【0209】
また、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン等のエポキシ化合物が使用できる。
【0210】
この中で、得られるカチオン基自身の分子量は高くない方が好ましく、また、反応性が高く、反応後は除去しやすいものが好ましい。
【0211】
カチオン基を含むペンダント基導入反応後もしくはカチオン化反応後は、必要により、そのカチオン基の対イオンを塩交換することもできる。
【0212】
塩交換に使用されるイオンとしては、先にグリシノ基のアンモニウムの塩としての対イオンの具体例と同様のものが挙げられる。
【0213】
カチオン化反応の反応温度は、特に限定されないが、0〜140℃が好ましく、特に20〜80℃が好ましい。
【0214】
(6−2) ベタイン化反応
本発明においてベタイン化反応とは、ベタイン基となりうる前駆体とベタイン化剤とを反応させることを言う。例えば、ベタイン基となりうる前駆体を有するペンダント基を含む重合体に対して、ベタイン化剤を反応させる方法がある。
【0215】
ベタイン化剤としては、特に限定されないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルホン酸エステル、硫酸エステル、アルキル金属、アジド等の置換反応を利用するもの、反応性不飽和化合物、エポキシ化合物、アジリジン、チイラン等の付加反応を利用するもの等がある。
【0216】
例えば、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、3−クロロプロピオン酸、3−ブロモプロピオン酸、3−ヨードプロピオン酸、4−クロロブタン酸、4−ブロモブタン酸、4−ヨードブタン酸、5−クロロペンタン酸、5−ブロモペンタン酸、5−ヨードペンタン酸、6−クロロヘキサン酸、6−ブロモヘキサン酸、6−ヨードヘキサン酸、クロロスルホン酸、ブロモスルホン酸、ヨードスルホン酸、3−ブロモプロピオンスルホン酸、3−ヨードプロピオンスルホン酸、4−クロロブタンスルホン酸、4−ブロモブタンスルホン酸、4−ヨードブタンスルホン酸、5−クロロペンタンスルホン酸、5−ブロモペンタンスルホン酸、5−ヨードペンタンスルホン酸、6−クロロヘキサンスルホン酸、6−ブロモヘキサンスルホン酸、6−ヨードヘキサンスルホン酸、クロロホスホン酸、ブロモホスホン酸、ヨードホスホン酸、3−クロロプロピオンホスホン酸、3−ブロモプロピオンホスホン酸、3−ヨードプロピオンホスホン酸、4−クロロブタンホスホン酸、4−ブロモブタンホスホン酸、4−ヨードブタンホスホン酸等及びそれらの塩、プロパンサルトン、ブタンサルトン等が挙げられる。
【0217】
また、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン等のエポキシ化合物が使用できる。
【0218】
この中で、得られるベタイン基自身の分子量は高くない方が好ましく、また、反応性が高く、反応後は除去しやすいものが好ましい。
【0219】
ベタイン化反応の反応温度は、特に限定されないが、0〜140℃が好ましく、特に20〜80℃が好ましい。
【0220】
ベタイン基を含むペンダント基導入反応後もしくはベタイン化反応後は、必要により、反応系を酸性にすることで、そのベタイン基中のアニオン基を非イオン性にしても構わない。
【0221】
アニオン基を非イオン性にする酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のスルホン酸、ベンゼンホスホン酸等が挙げられる。この場合、ペンダント基中のアニオンより、強い酸でなければならない。
【0222】
(7)ポリコハク酸イミドへアミノ酸を導入する方法
ポリコハク酸イミドへアミノ基を導入する方法は、反応試剤としてアミノ酸エステルまたはアミノ酸のカルボン酸塩が用いられる。
【0223】
アミノ酸をそのまま用いると、一般式(5)に表わされるように、α位のアミノ基とカルボキシル基が両性イオン構造を取り、α位のアミノ基の反応性が低下し、架橋剤としての反応速度が非常に遅くなる。
【0224】
【化51】
(式中、Rは、アミノ酸残基又は誘導化されたアミノ酸残基である。)
そのため、式(6)及び(7)に表わすような、アミノ酸のエステル、チオエステル、アミド等の誘導体として用いるか、もしくは、本発明の特徴であるアミノ酸のカルボン酸塩として反応に用いる。ここで、アミノ酸のカルボキシル基を誘導体化又は塩とすることにより、α位のアミノ基の反応性が向上する。
【0225】
【化52】
[式中、Rは、アミノ酸残基又は誘導化されたアミノ酸残基であり、R’は、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基であり、Mは−NH−、−N(R”)−(R”は、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基)、−S−、又は、−O−である。]
【0226】
【化53】
(式中、Rは、アミノ酸残基又は誘導化されたアミノ酸残基であり、Xはアルキル金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアンモニウムである。)
本発明に用いるアミノ酸のエステル、チオエステル、アミド等のアルコール成分、チオール成分、アミン成分は特に限定されないが、分子量の小さいものが好ましい。
【0227】
一方、本発明に用いるアミノ酸のカルボン酸塩を形成するイオンは特に限定されない。
【0228】
このカルボン酸の塩を形成するイオンの具体例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属イオン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、トリエチルプロピルアンモニウム、トリエチルブチルアンモニウム、トリエチルペンチルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモニウム、シクロヘキシルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム等のアンモニウムイオン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリペンタノールアミン、トリヘキサノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、メチルヘキシルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミンイオン等を挙げることができる。
【0229】
これらの中では、アミノ基の反応性への影響を考えるとその分子量が小さくて、共役酸の酸性度が弱いものの方が好ましい。また、人の肌等に触れる可能性がある場合は、皮膚刺激性が低い方が好ましい。これらの点から、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムを用いることが好ましく、さらに、ナトリウム、カリウムを用いることが、コストの面で特に好ましい。
【0230】
(8)ポリコハク酸イミドの加水分解方法及び重合体への酸性ポリアミノ酸残基の導入方法
ポリコハク酸イミドの加水分解方法及び重合体への酸性ポリアミノ酸残基の導入方法は、特に限定されないが、基本的にイミド環にアルカリ水等を反応させて開環する方法である。
【0231】
ポリコハク酸イミドの加水分解は、前記の中間体である酸性ポリアミノ酸を製造する場合に用いる。酸性ポリアミノ酸の製造方法は、この方法に限定されず、ポリコハク酸イミドを経由しない方法でも構わない。
【0232】
ポリコハク酸イミドの加水分解方法と重合体への酸性ポリアミノ酸残基の導入方法は、必ずしも同じ条件にて行うわけではないが、基本的な反応の原理は同じなので本発明ではまとめて説明する。ちなみに反応条件としては、ポリコハク酸イミドの加水分解方法と、重合体への酸性ポリアミノ酸残基の導入方法にて、反応を受ける重合体の極性、反応性、反応を受けていく過程及び反応後の重合体の極性が異なるために、反応溶媒、反応温度、反応時間等が異なってくる。これらは、生成前後の重合体の反応性、使用する反応溶媒の極性等によって適宜選べばよい。
【0233】
ポリコハク酸イミドのイミド環の加水分解は特、水と水混和性有機溶媒混合液中、或いは40乃至100℃程度のの温水中にて加水分解を行う方法であり、これらの方法を組み合わせて使用しても構わない。
【0234】
水混和性有機溶媒を使用する場合、使用する有機溶剤は、特に限定されないが、一般にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等がある。この中で、乾燥する際に、特に乾燥が容易であり、かつ乾燥後に組成物内に溶剤が残留しにくい点ではメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールが好ましい。
【0235】
使用する水の使用量は容積効率を高めるために、生成する重合体の0.1〜100重量倍が好ましく、特に1〜50重量倍が好ましい。使用する水の割合は、混合溶媒に対して5〜100重量%が好ましく、20〜80重量%が特に好ましい。
【0236】
イミド環の開環に使用できる試剤は、特に限定されないが、一般的には、アルカリ水が用いられる。使用するアルカリ水は特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩、シュウ酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、アンモニア水等が挙げられる。
【0237】
この中で、コスト的に安価な水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0238】
残りのイミド環の開環アルカリ開環の反応液のpHはアルカリ水の濃度によって変わるが、pHが高すぎると主鎖のアミド結合を切断し、逆にpHが低すぎると、反応が遅くなり、実用的でない。一般的には7.5〜13が好ましく、9〜12がより好ましい。
【0239】
ポリコハク酸イミドのイミド環の開環反応は、水中、5〜100℃にて行われる。特に10〜60℃が好ましい。
【0240】
(9)反応後の後処理
ペンダント基導入反応、カチオン化反応又はベタイン化反応の終了後の樹脂の乾燥温度は、特に限定されないが、一般には20〜150℃が好ましく、特に40〜100℃が好ましい。
【0241】
またこれらの樹脂の乾燥方法としては、特に制限されるものではなく、熱風乾燥、特定蒸気での乾燥、マイクロ波乾燥、減圧乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶剤中での共沸脱水による乾燥等、公知の手法により、乾燥できる。乾燥温度は20〜200℃が好ましく、50〜120℃がより好ましい。
【0242】
(10)酸性ポリアミノ酸系樹脂の形状、粒子径
酸性ポリアミノ酸系樹脂の形状は、不定形破砕状、球状、粒状、顆粒状、造粒状、リン片状、塊状、パール状、微粉末状、繊維状、棒状、フィルム状、シート状等種々のものが使用でき、用途によって好ましい形状を選択できる。また、繊維状基材や多孔質体や発泡体あるいは造粒物であってもよい。
【0243】
これらのポリアミノ酸系樹脂の粒子径は特に限定されないが、使用用途によって変わってくる。
【0244】
(11)ポリアミノ酸系重合体の用途
ポリアミノ酸系重合体の使用用途は特に限定されないが、従来の表面作用型高分子薬剤、界面作用型高分子薬剤、内部作用型高分子薬剤、結合作用型高分子薬剤が使用可能な用途のいずれにも使用できる。
【0245】
例えば、界面作用型高分子薬剤としては、分散を主目的としたものとして、顔料分散剤、農薬粒剤用分散剤、微粉炭用分散剤、セメント分散剤、スケール防止剤、潤滑油用清浄分散剤、流動点降下剤、プラスチック着色助剤、相溶化剤が挙げられ、凝集を主目的としたものとして、高分子凝集剤、ろ水性・歩留り向上剤等が挙げられ、接着を主目的としたものとして、印刷インキ用バインダー、へアセット用高分子、不織布用バインダー、プラスチック強化繊維用バインダー、電子写真トナー用バインダー、磁気テープ用バインダー、レジンコンクリート用バインダー、鋳物砂用バインダー、ファインセラミック用バインダー、シーラント、接着剤等が挙げられ、その他の目的として、泡安定化剤、消泡剤、エマルジョンブレーカー、滑剤等が挙げられる。
【0246】
表面作用型高分子薬剤としては、表面保護を主目的としたものとして、塗料用高分子、フロアポリッシュ用高分子、錠剤コーティング剤、マスキング剤、光ファイバー用コーティング剤、プラスチック・ハードコート剤、フォットレジスト用高分子、プリント配線板用防湿コーティング剤等が挙げられ、表面改質を主目的としたものとして、紙用サイズ剤、紙力増強剤、つや出しコーティング剤、繊維用防染加工剤、帯電防止剤・導電剤、電磁波シールド用コーティング剤、コンクリート用防水剤、プライマー等が挙げられる。
【0247】
内部作用型高分子薬剤としては、増粘を主目的とするものとして、捺染用のり剤、原油増産用高分子、土木用高分子、焼き入れ油用高分子、作動液用高分子、粘度指数向上剤等が挙げられ、減粘を主目的とするものとして、可塑剤等が挙げられ、ゲル化を主目的としたものとして、吸水性高分子、吸油性高分子等が挙げられる。
【0248】
結合作用型高分子薬剤としては、ビルダー、キレート高分子、染料固着剤、エポキシ樹脂硬化剤等が挙げられる。
【0249】
(12)化粧品(料)及び香粧品(料)の用途
本発明の重合体は化粧品及び香粧品に有用に使用できる。
【0250】
本明細書において用いる「化粧品」、「化粧料」、「香粧品」及び「香粧料」なる語の概念には、例えば、「第26回新入社員化粧品技術講習会テキスト」(東京化粧品工業会・東京化粧品技術者会共同主催、財団法人日本粧業会共催、平成6年6月、朝日生命ホール)第34頁及び第35頁記載の「表−化粧品の種類と効能の範囲」記載の種別及び品目を包含する。その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0251】
本明細書において用いる「化粧品」及び「化粧料」なる語の概念には、例えば、乳液、エマルジョン、クリーム、クレンジングクリーム、おしろい、口紅、化粧水、ローション、ぬれティッシュー、マニキュア、ペディキュア、保湿料、パック、ムース、シェービングクリーム、アフターシェービングローション、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアスプレー、デオドラント、消臭剤、消香剤等をも包含する。
【0252】
本明細書において用いる「香粧品」及び「香粧料」なる語の概念には、例えば、整髪料、香水、コーデコロン、オードトアレ、フレグランス、入浴剤、芳香剤等をも包含する。
【0253】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において「部」とは「重量部」を意味する。
【0254】
[評価方法]
実施例及び比較例において採用した評価方法を、以下の(1) 〜(6) に示す。
【0255】
(1)原料ポリコハク酸イミドの重量平均分子量の評価
原料ポリコハク酸イミドの重量平均分子量(以下、Mwという。)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(ゲル濾過クロマトグラフィー、以下、GPCという)により、ポリスチレンを標準として、以下の条件で評価した。
【0256】
装置:日本分光880−PU
検出器:Shodex RID−300
カラム:Shodex KD−804+KD−80M
溶媒:0.01M・LiBr/DMF
濃度:0.5wt%
注入量:20μl
流速:1.0ml/min.。
【0257】
(2)高速液体クロマトグラフィー
生成した重合体の組成を調べるために、加水分解して得られたモノマー及びペンダント成分を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。重合体の加水分解反応は、重合体0.5部を6規定塩酸20部中に加え、110℃にて24時間行った。こうして得られた分解物を以下の条件で評価した。
アスパラギン酸、疎水性アミノ酸の分析;
装置:日本分光880−PU
検出器:570nm
カラム:Shodex CXpak P−421
溶媒:クエン酸ナトリウム緩衝液
(A)0.2N Na+/12%C2H5OH(pH3.32)
(B)0.2N Na+(pH4.20)
(C)1.0N Na+(pH6.98)
(D)1.8N Na+(pH7.50)
グラジエント:(A)15分→(B)13分→(C)13分→(D)27分
流速:0.5ml/min.
反応試剤:ニンヒドリン(0.4ml/min.)
疎水性アルコールの分析;
装置:日本分光880−PU
検出器:Shodex RID−300
カラム:Shodex Asahipak ODP−50 6D
カラム温度:30℃
溶媒:H2O/CH3OH=20/80
流速:0.6ml/min.
カチオン性物質及びベタイン性物質の分析;
装置:日本分光880−PU
検出器:Shodex CD,12.8μS/cm FS
カラム:Shodex IC YF−421
カラム温度:40℃
溶媒:2mM 酒石酸+0.5mM しゅう酸
流速:1.0ml/min.。
【0258】
(3)皮膚刺激性
ドレイズ法(OECDガイドライン;No.404)に従って、各重合体当たり3匹の白色ウサギを用いて試験した。有効成分濃度を5重量%にしてウサギに塗布し、一定時間経過後の皮膚の様子からドレイズスコアにより下記4段階で評価した。
【0259】
◎:Non−irritant
○:Mild−irritant
△:Moderate−irritant
×:Severe−irritant。
【0260】
(4)生分解性の測定
生分解性はコンポスト法にて測定した。コンポスト法は、ASTM D−5338.92の応用であるISO CD 14855に準じて行った。すなわち、まず試験サンプルに含まれる炭素量を元素分析にて測定した。次に、15部の試験サンプルを800部のイノキュラムに加え、58℃にて40日間生分解を行い、生成した二酸化炭素の量を測定して、試験サンプルに含まれる炭素量を二酸化炭素に換算した量に対する発生二酸化炭素量を生分解率(%)として表した。ここで、生分解性しやすいサンプルの中には、イノキュラム中の炭素分までも、分解促進するものもあり、この場合、100%を超える値となるものもある。
【0261】
(5)官能試験
本発明の重合体の用途は、限定されるものでないが、ここでは保湿剤としての効果を官能試験により確認した。すなわち、重合体を用いて次に示す化粧水を調整し、20人のパネラーにより各組成物を使用した際の皮膚の滑らかさ、しっとり感及びべたつき感につき、下記3段階で評価してその平均点をとった。
【0262】
化粧水組成;ポリアミノ酸重合体1.0重量%、ポリオキシエチレン(20モル付加)ソルビタンモノラウリン酸エステル2.0重量%、ポリオキシエチレン(20モル付加)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム1.0重量%、8.0重量%、グリセリン5.0重量%、プロピレングリコール4.0重量%、クエン酸0.2重量%、精製水残余
官能評価;
3:非常に滑らか、2:やや滑らか、1:滑らかさがない
3:しっとり感が良好、2:しっとり感が普通、1:しっとり感がない
3:べたつき感がない、2:少しべたつく、1:非常にべたつく。
【0263】
(A)親水性部分として、R1が酸性基を有し、疎水性部分として、R2が疎水性アミノ酸残基の場合の実施例:
[実施例A1]
重量平均分子量(以下MWと略す)9.6万のポリコハク酸イミド(以下PSIと略す)10部をN,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略す)40部に溶解した溶液に、フェニルアラニン10.21部と水酸化ナトリウム2.55部を水50部に溶解した溶液を滴下し、50℃にて4時間反応させた。さらに同温度にてβ−アラニン3.67部と水酸化ナトリウム1.70部を水10部に溶解した溶液を加え、さらに6時間反応した。得られた反応物を室温まで冷却し、希塩酸を用いてpH7に調整した混合物をメタノール300部に排出し、沈殿物を吸引濾過して集め、メタノール100部で洗浄し、60℃にて乾燥すると23.2部の重合体が得られた。
【0264】
得られた重合体の分解物を高速液体クロマトグラフィーにて分析すると、重合体の組成は、アスパラギン酸:β−アラニン:フェニルアラニン=100:38:56(モル/モル/モル)であった。
【0265】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は110%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.5、しっとり感2.7、べたつき感2.6であり、良好な結果であった。
【0266】
[実施例A2]
実施例A1においてβ−アラニン水溶液の代わりにタウリン5.24部と水酸化ナトリウム1.70部を水10部に溶解した水溶液に代えた以外は実施例A1と同様にして処理した。乾燥後、重合体24.7部が得られた。得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:タウリン:フェニルアラニン=100:36:57(モル/モル/モル)であった。
【0267】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は109%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.6、しっとり感2.8、べたつき感2.5であり、良好な結果であった。
【0268】
(B)親水性部分として、R1がグリシノ基を有し、疎水性部分として、R2が疎水性アミノ酸残基の場合の実施例:
[実施例B1]
MW5.7万のPSI10部をDMF40部に溶解した溶液に、トリプトファン13.68部と水酸化ナトリウム2.76部を水50部に溶解した溶液を滴下し、50℃にて4時間反応させた。さらに、30℃に冷却後、リジン・1塩酸塩6.59部と水酸化ナトリウム1.49部を水20部に溶解した水溶液を滴下し、30℃にて6時間反応した。反応後、実施例A1と同様に処理すると重合体28.2部が得られた。得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:リジン:トリプトファン=100:33:62(モル/モル/モル)であった。
【0269】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は115%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.5、しっとり感2.8、べたつき感2.4であり、良好な結果であった。
【0270】
[実施例B2]
実施例B2においてトリプトファン水溶液の代わりにフェニルアラニン6.81部と水酸化ナトリウム2.55部を水15部に溶解した水溶液に代え、リジン水溶液をリジン・1塩酸塩7.53部と水酸化ナトリウム1.70部を水20部に溶解した溶液に代えた以外は実施例A1と同様にして処理した。乾燥後、重合体21.9部が得られた。得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:リジン:フェニルアラニン=100:36:57(モル/モル/モル)であった。
【0271】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は112%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.6、しっとり感2.6、べたつき感2.5であり、良好な結果であった。
【0272】
(C)親水性部分として、R1がカチオン基を有し、疎水性部分として、R2が疎水性アミノ酸残基の場合の実施例:
[実施例C1]
MW5.7万のPSI10部をDMF40部に溶解した溶液に、フェニルアラニン・メチルエステル11.08部と水酸化ナトリウム2.55部を水50部に溶解した溶液を滴下し、60℃にて4時間反応させた。同じ温度にて、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン4.21部を滴下し、4時間反応した。さらにヨウ化メチル6.43部を加えて6時間反応した。反応後、実施例A1と同様に処理すると重合体27.6部が得られた。得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:N,N−ジメチルアミノプロピルアミン又はそのカチオン体:フェニルアラニン=100:38:56(モル/モル/モル)であった。
【0273】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は96%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.7、しっとり感2.8、べたつき感2.6であり、良好な結果であった。
【0274】
[実施例C2]
実施例A1においてβ−アラニン水溶液の代わりにアルギニン7.18部と水酸化ナトリウム1.70部を水15部に溶解した水溶液に代えた以外は実施例A1と同様にして処理した。乾燥後、重合体25.7部が得られた。得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:アルギニン:フェニルアラニン=100:36:56(モル/モル/モル)であった。
【0275】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は118%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.5、しっとり感2.6、べたつき感2.8であり、良好な結果であった。
【0276】
(D)親水性部分として、R1がベタイン基を有し、疎水性部分として、R2が疎水性アミノ酸残基の場合の実施例:
[実施例D1]
実施例C1においてヨウ化メチルの代わりにモノクロル酢酸カリウム6.01部に代えた以外は実施例C1と同様にして処理した。乾燥後、重合体24.3部が得られた。得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:N,N−ジメチルアミノプロピルアミン又はそのベタイン体:フェニルアラニン=100:37:55(モル/モル/モル)であった。
【0277】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は99%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.5、しっとり感2.7、べたつき感2.7であり、良好な結果であった。
【0278】
(E)親水性部分として、R1が酸性ポリアミノ酸残基を有し、疎水性部分として、R2が疎水性アミノ酸残基の場合の実施例:
[実施例E1]
MW15.7万のPSI10部をDMF40部に溶解した溶液に、フェニルアラニン11.06部と水酸化ナトリウム2.76部を水50部に溶解した溶液を滴下し、50℃にて4時間反応させた。さらに、室温に冷却後、水酸化ナトリウム部を水20部に溶解した水溶液を滴下し、6時間反応した。反応後、実施例A1と同様に処理すると重合体22.0部が得られた。得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:フェニルアラニン=100:62(モル/モル)であった。
【0279】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は115%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.5、しっとり感2.8、べたつき感2.6であり、良好な結果であった。
【0280】
(F)親水性部分として、R1が酸性基を有し、疎水性部分として、R2がアルコキシ基の場合の実施例:
[実施例F1]
MW1.6万のポリアスパラギン酸10部をジメチルスルホキシド(以下DMSOと略す)100部に溶解した溶液に、タウリン・ナトリウム塩9.07部とラウリルアルコール4.86部、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下DCCと略す)19.72部を加えて、室温にて24時間反応した。反応後に、水5部を加え、さらに2時間反応した後、沈殿物をろ過して除き、2%水酸化ナトリウム水溶液をpH7になるまで加えた。得られた混合物を実施例A1と同様に処理すると重合体22.9部が得られた。得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:タウリン:フラウリルアルコール=100:67:27(モル/モル/モル)であった。
【0281】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は108%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.5、しっとり感2.6、べたつき感2.7であり、良好な結果であった。
【0282】
(G)親水性部分として、R1がグリシノ基を有し、疎水性部分として、R2がアルコキシ基の場合の実施例:
[実施例G1]
テトラヒドロフラン10部にオクチルアルコール5.37部を縣濁加え、50℃にて金属ナトリウム0.95部を少しずつ加え、2時間反応させナトリウム・アルコラート縣濁液を調整した。この縣濁液を、MW15.7万のPSI10部をDMF40部に溶解した溶液に2時間かけて滴下し、40℃にて6時間反応した後、粉砕したリジン・1塩酸塩15.06部と水酸化ナトリウム3.40部を水35部に溶解した溶液を加え、同温にて8時間反応させた。反応後、実施例A1と同様に処理すると重合体27.5部が得られた。得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:リジン:ラウリルアルコール=100:68:29(モル/モル/モル)であった。
【0283】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は106%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.8、しっとり感2.6、べたつき感2.7であり、良好な結果であった。
【0284】
(H)親水性部分として、R1がカチオン基を有し、疎水性部分として、R2がアルコキシ基の場合の実施例:
[実施例H1]
MW8.6万のPSI10部をDMF40部に溶解した溶液に、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン7.32部を滴下し、40℃にて2時間反応した。さらにヨウ化メチル11.26部を加えて、60℃にて6時間反応した。さらに室温に冷却後、水40部を加え、水酸化ナトリウム1.27部を水5部に溶解した溶液を少しずつ加え、室温にて10時間反応した。反応物をメタノール200部に排出し、沈殿物をろ過し、メタノールにて洗浄し、60℃にて乾燥した。
【0285】
得られた重合体をDMSO150部に溶解し、ラウリルアルコール6.34部とDCC7.72部を加え、室温にて24時間反応させた。反応後に、水5部を加え、さらに2時間反応した後、沈殿物をろ過して除き、2%水酸化ナトリウム水溶液をpH7になるまで加えた。得られた混合物を実施例A1と同様に処理すると重合体部が得られた。
【0286】
得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:N,N−ジメチルアミノプロピルアミン又はそのカチオン体:ラウリルアルコール=100:30:67(モル/モル/モル)であった。
【0287】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は108%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.7、しっとり感2.7、べたつき感2.7であり、良好な結果であった。
【0288】
(I)親水性部分として、R1がベタイン基を有し、疎水性部分として、R2がアルコキシ基の場合の実施例:
[実施例I1]
実施例H1においてヨウ化メチルの代わりにモノクロル酢酸カリウム4.51部に代えた以外は実施例C1と同様にして処理した。乾燥後、重合体24.3部が得られた。
【0289】
得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:N,N−ジメチルアミノプロピルアミン又はそのベタイン体:ラウリルアルコール=100:31:66(モル/モル/モル)であった。
【0290】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は99%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.8、しっとり感2.6、べたつき感2.7であり、良好な結果であった。
【0291】
(J)親水性部分として、R1が酸性ポリアミノ酸残基を有し、疎水性部分として、R2がアルコキシ基の場合の実施例:
[実施例J1]
MW4.6万のポリアスパラギン酸10部をジメチルスルホキシド(以下DMSOと略す)150部に溶解した溶液に、ステアリルアルコール5.29部、DCC4.93部を加えて、室温にて24時間反応した。反応後に、水5部を加え、さらに2時間反応した後、沈殿物をろ過して除き、2%水酸化ナトリウム水溶液をpH7になるまで加えた。得られた混合物を実施例A1と同様に処理すると重合体部が得られた。得られた重合体の組成は、アスパラギン酸:ラウリルアルコール=100:23(モル/モル)であった。
【0292】
得られた重合体の皮膚刺激性は○であり、生分解率は100%と良好な生分解性を示した。また、官能試験は、滑らかさ2.5、しっとり感2.7、べたつき感2.7であり、良好な結果であった。
【0293】
[比較例1]
ポリアミノ酸系重合体を無添加にした以外は、実施例A1と同様にして化粧水を調整して評価した。官能試験の結果は、べたつき感は2.8と良好であったが、滑らかさ2.1、しっとり感1.8、とよくなかった。
【0294】
[比較例2]
ポリアミノ酸系重合体の代わりにMW8.2万のポリアスパラギン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例A1と同様にして化粧水を調整して評価した。官能試験の結果は、滑らかさ2.4、しっとり感2.3、べたつき感2.5であった。
【0295】
【発明の効果】
本発明により、生分解性に優れ、生体に対して刺激惹起性がなく、分解した後の安全性にも優れ、幅広い用途において各種要求特性を満たすことのできる重合体及びその有効な製造方法を提供できる。
【0296】
すなわち、本発明により得られる、生体適合性及び生体への安全性が高い特定の親水性置換基を含むペンダント基と、生体適合性及び生体への安全性が高い特定の疎水性置換基をペンダント基として併せ持つ酸性ポリアミノ酸誘導体は、生体(例えば、眼、皮膚等)に対して刺激性を惹起しない。従って、生体に対して刺激惹起性がなく、生分解性を有するので、例えば、化粧品、香粧品、界面活性剤、食品添加物(増粘剤、安定剤、保湿剤、麺質改良剤、凝着剤、pH調整剤、静菌剤等)薬剤用担体、医薬品、医薬部外品等の産業上の利用分野において非常に有用である。
Claims (4)
- 一般式(1)で表される繰り返し単位の数が、分子を構成する繰り返し単位の総数に対して、1〜99.8%である請求項1記載の重合体。
- 一般式(2)で表される繰り返し単位の数が、分子を構成する繰り返し単位の総数に対して、1〜99.8%である請求項1記載の重合体。)
- 請求項1記載の重合体を製造する方法であって、グリシノ基並びにその塩の前駆体を含むペンダント基を導入し、該導入後、該前駆体を前記グリシノ基並びにその塩に交換することを特徴とする、重合体の製造方法。
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