JP3851706B2 - 蛍光性基含有カルボジイミド化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な蛍光性基含有カルボジイミド化合物に関する。詳しくは、本発明は、高感度で且つ標識が容易な検出試薬である新規な蛍光性基含有カルボジイミド化合物及びその製造方法並びにそれを使用した分析法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、種々の生物学的分析においては、検出可能な特定の標識物質を利用して目的物質を検出する分析方法が開発されている。例えば、標識物質で標識した核酸を用いるハイブリダイゼーションによる核酸検出法では、先ず、プローブとして用いる核酸(DNA又はRNA)を標識し、これをハイブリッド形成条件下で、調べるべき核酸を含む試料と接触させる。試料中に、プローブとして用いた核酸に相補的な塩基配列を有する核酸が存在すれば、これとプローブが結合(ハイブリダイズ)し、核酸−核酸ハイブリッドが形成される。このハイブリッドの標識物質を検出することにより目的の核酸を検出することができる。また、標識物質で標識した抗原又は抗体を用いるイムノアッセイ法においては、例えば測定対象が抗原であるときは、その抗原に特異的に結合する抗体を標識し、次いで抗原−抗体複合体を形成させ、該複合体に含まれる標識物質を検知することによって、測定対象の抗原を検出することができる。
【0003】
このような核酸検出法やイムノアッセイ法における標識物質としては、放射性物質、ビオチンやジゴキシゲニン化合物等の非放射性の標識物質、蛍光物質等が挙げられる。
【0004】
蛍光物質を、例えば核酸へ導入する方法としては、次のような方法が知られている。すなわち、蛍光物質が結合したヌクレオチドを用いて酵素等により核酸へ導入する方法(特開平6−271599号公報)、ビオチン標識した核酸に蛍光物質が結合したストレプトアビジンを結合させる方法、アミノリンカーが結合した核酸にアミン反応性基含有蛍光物質を反応させる、等の方法である。しかしながら、これらの方法においては、蛍光物質を天然由来の核酸に導入することができず、また操作が煩雑であるという欠点がある。
【0005】
例えば、蛍光物質のうち蛍光希土類金属キレートは、生物学的反応体に結合させる方法として、特開平4−27867号公報に共有結合させる具体的な方法が記載されているが、これらの方法では、天然由来の核酸に直接蛍光希土類金属キレートを共有結合で結合させることはできないという欠点がある。
【0006】
また、特開平6−94720号公報には、光反応性基と蛍光希土類金属キレートとを同時に持つ化合物を用いて光化学的に標識する方法がある。しかし、この方法では、紫外線を照射する工程が必要であるという煩雑さが問題であった。
【0007】
さらに、二本鎖核酸に蛍光物質をインターカレートさせる方法があるが、この方法においては、一本鎖核酸の標識ができないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、核酸検出法又はイムノアッセイ法における測定用標識として、取り扱いが容易で短時間で効率よく標識することができ、また天然由来の核酸にも標識可能であり、且つ高感度な標識物質である新規蛍光性基含有カルボジイミド化合物を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
カルボジイミド化合物が核酸と反応することは知られている。例えば、カルボジイミド化合物は核酸中の水素結合を形成していないグアニン及びチミンと反応して付加体を形成することが報告されている[P. T. Gilham, J. Amer. Chem. Soc., 84, 688(1962)]。
【0010】
本発明者らは、簡便で効率的な核酸及び蛋白質への蛍光性基導入法に関して鋭意研究を重ねた結果、カルボジイミド基の核酸、蛋白質等への高い反応性を利用して、カルボジイミド化合物に蛍光性基を導入することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は、下記一般式(I)で表される蛍光性基含有カルボジイミド化合物を提供するものである。
【0012】
【化16】
B−Y3−N=C=N−Y2−W−Y1−[A]n−F ・・・(I)
【0013】
[式(I)中、
Fは蛍光性基を表す。
Aは−CH2−、−NHCO−、−CONH−、−O−、−S−、−NR−(Rはアルキル基)、−COO−、−OCO−、−NHSO2−、及び−SO2NH−からなる群から選ばれる基を表す。nは0又は1を表す。
Wは直接結合又は4級アンモニウム基を表す。
Y1、Y2及びY3は、各々下記式(L)で示される基を表す。
【0014】
【化17】
−(CH2)p−L−(CH2)q− ・・・(L)
【0015】
(式(L)中、
Lは直接結合又は−NHCO−、−CONH−、−O−、−S−、−NR−、−N+RR’−(R’はアルキル基)、−COO−、及び−OCO−からなる群から選ばれる基を表す。p及びqは各々0又は1〜12の整数を表す。)
Bは水素原子又は式(I)中の−W−Y1−[A]n−Fと同一もしくは異なる一価の有機基を表す。]
【0016】
また、本発明は、下記一般式(II)で表される化合物である前記蛍光性基含有カルボジイミド化合物を提供するものである。
【0017】
【化18】
【0018】
[式(II)中、
R1及びR2は、各々炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基、又はR1とR2とが相互に結合して形成する含窒素複素環式基を表す。
X-はハロゲンイオン又はスルホン酸イオンを表す。
B、Y1、Y2、Y3、A及びFは各々前記一般式(I)におけるのと同義である。]
【0019】
また、本発明は、前記一般式(II)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される化合物である前記蛍光性基含有カルボジイミド化合物を提供するものである。
【0020】
【化19】
【0021】
[式(III)中、R1、R2、X-、Y1、Y2、A及びFは各々前記式(II)におけるのと同義である。]
【0022】
また、本発明は、下記一般式(IV)で表される化合物である前記蛍光性基含有カルボジイミド化合物を提供するものである。
【0023】
【化20】
B−Y3−N=C=N−F’ ・・・(IV)
【0024】
[式(IV)中、B及びY3は各々前記一般式(I)におけるのと同義である。F’はクマリン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、ローダミン誘導体、ダンシル誘導体、オキサゾール誘導体、及びチアゾールオレンジ誘導体からなる群より選ばれるものである。]
【0025】
また、本発明は、下記一般式(V)で表される化合物である前記蛍光性基含有カルボジイミド化合物を提供するものである。
【0026】
【化21】
B−Y3−N=C=N−Y2−A−F ・・・(V)
【0027】
[式(V)中、B、Y2、Y3、A及びFは各々前記式(I)におけるのと同義である。]
【0028】
また、本発明は、下記一般式(VI)で表されるカルボジイミド基含有化合物と、下記一般式(VII)で表される蛍光性基含有化合物とを反応させる工程を含む前記一般式(II)で表される蛍光性基含有カルボジイミド化合物の製造方法を提供するものである。
【0029】
【化22】
B−Y3−N=C=N−Y2−W’ ・・・(VI)
【0030】
[式(VI)中、W’は置換されていてもよいアミノ基を表す。B、Y3、及びY2は前記一般式(I)におけるのと同義である。]
【0031】
【化23】
F−A−Y1−X ・・・(VII)
【0032】
[式(VII)中、F、A、及びY1は前記一般式(I)におけるのと同義であり、Xはハロゲン原子又はスルホン酸基を表す。]
【0033】
また、本発明は、下記一般式(VIII)で表されるアミノ基含有蛍光性化合物と、下記一般式(IX)で表されるイソシアネート系化合物とを反応させて下記一般式(X)で表される尿素系化合物を合成する工程を含む前記一般式(IV)で表される蛍光性基含有カルボジイミド化合物の製造方法を提供するものである。
【0034】
【化24】
F'−NH2 ・・・(VIII)
【0035】
[式(VIII)中、F’は前記一般式(IV)におけるのと同義である。]
【0036】
【化25】
B−Y3−NCZ ・・・(IX)
【0037】
[式(IX)中、Zは酸素原子又はイオウ原子を表す。B及びY3は前記一般式(IV)におけるのと同義である。]
【0038】
【化26】
【0039】
[式(X)中、B、F、Z及びY3は前記式(VIII)及び(IX)におけるのと同義である。]
【0040】
また、本発明は、下記一般式(XI)で表されるアミノ基含有蛍光性化合物と、下記一般式(XII)で表されるイソシアネート系化合物とを反応させて下記一般式(XIII)で表される尿素系化合物を合成する工程を含む前記一般式(V)で表される蛍光性基含有カルボジイミド化合物の製造方法を提供するものである。
【0041】
【化27】
F−A−Y2−NH2 ・・・(XI)
【0042】
[式(XI)中、F、A及びY2は前記一般式(V)におけるのと同義である。]
【0043】
【化28】
B−Y3−NCZ ・・・(XII)
【0044】
[式(XII)中、Zは酸素原子又はイオウ原子を表す。B及びY3は前記一般式(V)におけるのと同義である。]
【0045】
【化29】
【0046】
[式(XIII)中、A、B、F、Z、Y2及びY3は前記式(XI)及び(XII)におけるのと同義である。]
【0047】
また、本発明は、標識物質で標識した核酸を用いるハイブリダイゼーションによる核酸の検出法において、前記標識物質として、前記蛍光性基含有カルボジイミド化合物を用いることを特徴とする方法を提供するものである。
【0048】
更に、本発明は、標識物質で標識した抗原又は抗体を用いるイムノアッセイ法において、前記標識物質として、前記蛍光性基含有カルボジイミド化合物を用いることを特徴とする方法を提供するものである。
【0049】
更に、本発明は、シュウ酸誘導体と過酸化物とを蛍光物質の存在下に反応させて生じる化学発光を用いる過シュウ酸エステル化学発光分析法において、前記蛍光物質として、前記蛍光性基含有カルボジイミド化合物であって該蛍光性基がクマリン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、ローダミン誘導体、ダンシル誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾールオレンジ誘導体、シアニン化合物、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾオキサジアゾール誘導体、ジピロメテンボロンジフルオライド誘導体、及び蛍光希土類金属キレート化合物からなる群より選ばれるものである化合物を用いることを特徴とする方法を提供するものである。
【0050】
一般式(I)で表される本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物は、核酸塩基に対して高い反応性を示すカルボジイミド基と、高感度な検出反応性を示すものとして知られる蛍光性基とを同時に有する化合物であり、核酸検出法、イムノアッセイ法等における標識物質や、化学発光分析法における蛍光物質として有用である。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0052】
(1)本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物
本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物は、上記一般式(I)で表される構造を有する。すなわち、蛍光性基(F)が、場合によりリンカー等を介してカルボジイミド基に結合した構造を有するものであればよい。
【0053】
ここで、式(I)中の蛍光性基Fは、蛍光性を示す物質であれば特に限定されないが、例えばクマリン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、ローダミン誘導体、ダンシル誘導体、オキサゾール誘導体、シアニン化合物、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾオキサジアゾール誘導体、ジピロメテンボロンジフルオライド誘導体等から選ぶことができる。また、DNA、RNAと結合又はこれらにインターカレートすることにより蛍光強度が増大するような蛍光物質、例えばチアゾールオレンジ誘導体等からも選ぶことができる。
【0054】
さらには、蛍光希土類金属キレートを選ぶこともできる。このものは、長期に安定な金属イオンを蛍光種としているために蛍光寿命が長く時間分解測定が可能であるというだけでなく、励起波長と蛍光波長とが離れている上に最大発光線スペクトルが500nm以上であるために、バックグラウンドの発生が少なく、微量でも検出しやすいという利点がある。
【0055】
具体的には、下記式(F)で表される蛍光性基群から選ばれるものが好ましく用いられる。
【0056】
【化30】
【0057】
[式(F)中、M=Eu3+、Sm3+、又はTb3+を表す。]
【0058】
式(I)中のAは−CH2−、−NHCO−、−CONH−、−O−、−S−、−NR−(Rはアルキル基)、−COO−、−OCO−、−NHSO2−、及び−SO2NH−からなる群から選ばれる基を表し、好ましくは−CH2−、−NHCO−、−CONH−等が挙げられる。アルキル基としては炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。nは0又は1を表し、一般式(I)で表される化合物はAを有していてもいなくてもよい。
【0059】
式(I)中のWは直接結合又は4級アンモニウム基を表す。
Y1、Y2及びY3は、カルボジイミド基とB又は−A−F等とを結合するリンカー部分であり、各々上記式(L)で示される基を表し、式(L)中、Lは直接結合又は−NHCO−、−CONH−、−O−、−S−、−NR−、−N+RR’−(R’はアルキル基)、−COO−、及び−OCO−からなる群から選ばれる基を表し、アルキル基としては炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。p及びqは各々0又は1〜12の整数を表す。好ましくはY1、Y2及びY3は、直接結合、又は主鎖の炭素数が1〜12であり且つ場合により分岐鎖としてメチル基を有していてもよいアルキレン基、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、1−メチルトリメチレン、テトラメチレン、1−メチルテトラメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、ペンタメチレン等が挙げられる。また、これらのアルキレン基が−NHCO−、−CONH−、−O−、−S−、−NR−、−N+RR’−、−COO−、及び−OCO−からなる群から選ばれる基を介して相互に結合したものであってもよい。
【0060】
Bは水素原子又は一価の有機基を表し、一価の有機基の場合は式(I)中の−W−Y1−A−Fと同一であっても異なっていてもよい。好ましくはアルキル基、3級アミノ基又は4級アンモニウム基であり、好適な基としては以下に述べるものが挙げられる。
【0061】
(イ)窒素原子が水素原子、飽和もしくは不飽和炭化水素基、アリール基、アラルキル基、又は蛍光性基Fを含む有機基で4級化されていてもよい含窒素複素環式基、例えばピリジル基もしくはピリジニウム基、ピロリジル基もしくはピロリジニウム基、ピペリジリル基もしくはピペリジニウム基。特に、窒素原子がC1〜C10のアルキル基、例えばメチル基で4級化されていてもよい、2−、3−、もしくは4−ピリジル基又はピリジニウム基、2−もしくは3−ピロリジル基又はピロリジニウム基、2−、3−もしくは4−ピペリジリル基又はピペリジニウム基。
【0062】
(ロ)窒素原子が水素原子、飽和もしくは不飽和の炭化水素基、アリール基、アラルキル基、又は蛍光性基Fを含む有機基で4級化されていてもよいアミノ基。特に窒素原子がC1〜C10のアルキル基を含有する基で4級化されていてもよいアミノ基。具体的にはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基。
【0063】
(ハ)下記式で表される複素環式3級アミノ基又は3級もしくは4級アンモニウム基。
【0064】
【化31】
【0065】
[式中、R3及びR4は各々水素原子、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C10の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアリール基もしくはアラルキル基、特にC1〜C10のアルキル基又はC1〜C10のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。Qはアニオン、例えばサルフェートイオン、アルキルサルフェートイオン、アリールサルフェートイオン、ハロサルフェートイオン、ハライドイオン等を表す。R5は酸素原子、イオウ原子又はメチレン基を表す。mは0又は1である。]
【0066】
具体的には、下記式で示される基:
【0067】
【化32】
【0068】
[式中、R6及びR7は各々水素原子、C1〜C10のアルキル基又はC1〜C10のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。]
【0069】
(ニ)置換基を有していても良いアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、又はシクロヘキシル基、フェニル基。
【0070】
このような一般式(I)で表されるカルボジイミド化合物のうち、好ましいものとして以下の(a)、(b)及び(c)で表される化合物が挙げられる。
【0071】
(a)下記一般式(II)で表される化合物:
【0072】
【化33】
【0073】
すなわち、上記一般式(I)中、Wが4級アンモニウム基である化合物である。ここで、式(II)中、R1及びR2は、各々炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。R1とR2とは相互に同一であっても異なっていてもよい。脂肪族炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキル基が包含され、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、このうちメチル基が好ましい。
【0074】
アルケニル基としては、例えばビニル、アリル、クロチル、チグリル、プレニル等が挙げられ、特に炭素数2〜5のものが好ましい。アルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられ、特に炭素数2〜5のものが好ましい。シクロアルキル基としては、場合により環上にアルキル基等の置換基を有していてもよく、具体的にはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロオクチル等が挙げられる。特に炭素数6〜10のものが好ましい。
【0075】
アリール基としては、単環式又は多環式のいずれのタイプのものであっても良く、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。また、R1とR2とが相互に結合して含窒素複素環式基を形成していてもよい。このような含窒素複素環式基としては、例えばピリジニウム基、ピロリジニウム基、ピペリジニウム基、ピペラジニウム基、モルホリノ基等が挙げられる。
【0076】
式(II)中、X-はハロゲンイオン又はスルホン酸イオンであり、スルホン酸イオンとしてはアルキル基、アリール基等で置換されていてもよい。X-の具体例としてはBr-、Cl-、I-、MeSO3 -、TsO-(p−トルエンスルホン酸イオン)等が挙げられる。
【0077】
B、Y1、Y2、Y3、F及びAについては、前記一般式(I)における具体例を挙げることができる。Bは、前記一般式(I)中の−W−Y1−A−Fで表される一価の有機基(W、Y1、A及びFは各々式(I)中におけるのと同義である。)と同一の有機基であってもよく、同一の場合は、例えば、下記一般式(III)で表されるような、カルボジイミド基を中心として対称な形となる対称型カルボジイミド化合物などが挙げられる。
【0078】
【化34】
【0079】
このような一般式(II)又は(III)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0080】
【化35】
【0081】
【化36】
【0082】
【化37】
【0083】
[上記式中、Meはメチル基、TsO-はp−トルエンスルホン酸イオンを表す。]
【0084】
(b)下記一般式(IV)で表される化合物:
【0085】
【化38】
B−Y3−N=C=N−F’ ・・・(IV)
【0086】
ここで、式(IV)中、B及びY3については、具体的には前記一般式(I)におけるのと同様のものが挙げられる。蛍光性基F’は前記(a)で述べた中から、好ましくはクマリン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、ローダミン誘導体、ダンシル誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾールオレンジ誘導体等から選ぶことができ、具体的には、下記式(F'')で表される蛍光性基群から選ばれるものが好ましく用いられる。
【0087】
【化39】
【0088】
このような一般式(IV)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0089】
【化40】
【0090】
[式中、Meはメチル基、TsO-はp−トルエンスルホン酸イオンを表す。]
【0091】
(c)下記一般式(V)で表される化合物:
【0092】
【化41】
B−Y3−N=C=N−Y2−A−F ・・・(V)
【0093】
ここで、式(V)中、A、B、Y2及びY3については、具体的には前記一般式(I)におけるのと同様のものが挙げられ、Aとしては好ましくは−NHCO−又は−CONH−が挙げられる。蛍光性基Fは前記(a)で述べたのと同様に、好ましくはクマリン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、ローダミン誘導体、ダンシル誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾールオレンジ誘導体、シアニン化合物、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾオキサジアゾール誘導体、ジピロメテンボロンジフルオライド誘導体、蛍光希土類金属キレート化合物等から選ぶことができる。このような一般式(V)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0094】
【化42】
【0095】
[式中、Meはメチル基、TsO-はp−トルエンスルホン酸イオンを表す。]
【0096】
(2)本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物の製造方法
本発明の前記一般式(I)で表されるカルボジイミドの製造方法としては、以下に示す方法が挙げられる。
【0097】
(i)一般式(II)で表される化合物の製造方法
先ず、一般式(I)で表される蛍光性基含有カルボジイミド化合物が、前記一般式(II)で表される化合物である場合の製造方法を以下に示す。
【0098】
前記一般式(II)で表される蛍光性基含有カルボジイミド化合物は、前記一般式(VI)で表されるカルボジイミド基含有化合物と、前記一般式(VII)で表される蛍光性基含有化合物とを反応させる工程を含む方法により製造される。すなわち、一般式(VI)で表されるカルボジイミド基含有化合物は、末端にアミノ基(W’)を有するものであり、一般式(VII)で表される蛍光性基含有化合物の末端のハロゲン原子又はスルホン酸基(X)と反応して結合する。
【0099】
一般式(VI)中のB、Y2、及びY3並びに一般式(VII)中のFは、上記一般式(I)におけるのと同義であり、一般式(VI)で表されるカルボジイミド基含有化合物及び一般式(VII)で表される蛍光性基含有化合物は、各々所望する蛍光性基含有カルボジイミド化合物の構造に応じて適宜選択することができる。例えば、一般式(VI)で表されるカルボジイミド基含有化合物の具体例としては、N−3−ジメチルアミノプロピル−N’−3(4−モルホリノ)プロピルカルボジイミド、1−エチル−3,3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド、ビス−(3,3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等が挙げられる。このようなカルボジイミド基含有化合物は、通常1級アミン誘導体等のアミン化合物を出発原料として尿素又はチオ尿素誘導体へと導き、更に脱水あるいは酸化的脱硫によるカルボジイミド化により達成される。対称型カルボジイミド化合物の合成には、イソシアネート化合物からの脱炭酸を伴う縮合反応を用いることもできる。
【0100】
例えば、以下の反応式に示すように、アミン化合物(a)と尿素を縮合させ1置換尿素(b)を得、更に第2の又は同一の1級アミン(c)を反応させることにより2置換尿素中間体(d)を合成することができる。すなわち、アミン化合物(a)又はその塩と尿素を水又はその他適当な溶媒中で加熱し数時間反応させ、この時点で1置換尿素(b)を単離した後、あるいは系中に第2の又は同一のアミン化合物(c)を添加し、同様の条件で反応させることにより2置換尿素中間体を合成することができる[T. L. Davis and K. C. Blanchard, Org. Synth. Coll. Vol., 1, 453(1941)]。
【0101】
【化43】
【0102】
また、前記1置換尿素(b)はアミン化合物(a)とシアン酸又はその塩とを反応させることによっても合成することができる[F. Kurzer, Org. Synth. Coll. Vol., 4, 49(1963)]。
【0103】
【化44】
【0104】
このようにして得られる1置換尿素誘導体(b)は、上述の方法により2置換誘導体(d)へと導くことができる。2置換尿素誘導体(d)を直接得る方法としては、アミン化合物とイソシアネート化合物(e)との反応を用いることもできる[J. H. Saunders and R. Slocombe, Chem. Rev., 43, 203(1948)]。
【0105】
【化45】
【0106】
一方、チオ尿素誘導体(g)はアミン化合物とイソチオシアネート化合物(f)との反応により合成することが一般的に行われる[N. A. Ivanov, R. V. Viasova, V. A. Gancharava, and L. N. Smirnov, Izv. Vyssh. Uchebn. Zaved. Khim. Khim. Tekhnol., 19(7), 1010(1976)]。
【0107】
【化46】
【0108】
このほかにアミン化合物(a)と二硫化炭素との反応により対称型のチオ尿素化合物を合成することもできる[W. W. Levis, Jr. and E. A. Waipert, U. S. Pat. 3,168,560(1965)]。
【0109】
【化47】
【0110】
このようにして合成される2置換尿素誘導体(d)及びチオ尿素誘導体(g)は脱水あるいは酸化的脱硫反応によりカルボジイミド基含有化合物(VI)へと導くことができる。
【0111】
尿素誘導体(d)の脱水反応によるカルボジイミド基含有化合物の合成は、3級アミン中で該尿素誘導体をパラトルエンスルホン酸クロリド(TSCl)と共に加熱することで容易に達成できる[G. Amiard and R. Heymes, Bull. Soc. Chim. Fr., 1360(1956)]。
【0112】
【化48】
【0113】
また、2置換尿素誘導体(d)の脱水は、4級アンモニウム塩の存在下でパラトルエンスルホン酸クロリド及び炭酸カリウムを用いて行うこともできる[Zsuzsa M. Jaszay et al., Synthesis, 520(1987)]。
【0114】
チオ尿素誘導体(g)の脱硫は一般的に酸化水銀を脱硫剤として使用することにより行われる。この反応で好ましく用いられる溶媒としては、例えば、エーテル、ベンゼン、アセトンなどが挙げられる。
【0115】
【化49】
【0116】
脱硫剤としては、酸化水銀以外にも酸化鉛[F. Zetzehe and A. Fredrich, Chem, Ber., 73, 1114(1940)]、酸化亜鉛[R. F. Coles, U. S. Pat. 2,946,819(1960)]、炭酸鉛、硝酸鉛、塩化鉛[J. C. Sheehan, U. S. Pat. 3,135,748(1964)]などを用いることもできる。さらにアルカリ性で次亜塩素酸ナトリウムを作用させることによって合成することもできる[H. Stetter and C. Wulff, Chem. Ber., 95, 2302(1962)]。例えば、チオ尿素誘導体を塩化メチレンなどのような溶媒中で次亜塩素酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化銅と共に0℃以下で一昼夜反応させる。その後一般的に用いられている方法で単離、精製することによりカルボジイミド基含有化合物(VI)が得られる。
【0117】
このようにして得られるカルボジイミド基含有化合物(VI)を蛍光性基含有化合物(VII)と反応させることにより、前記一般式(I)で表される蛍光性基含有カルボジイミド化合物を製造することができる。尚、一般式(VII)中、Xはハロゲン原子又は置換基を有していてもよいスルホン酸基を表し、好ましくは臭素またはヨウ素である。
【0118】
【化50】
【0119】
これらの個々の反応工程は、例えば通常用いられるジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジクロロメタン等の溶媒を用いて、公知の方法により行われる。また、前記カルボジイミド基含有化合物(VI)と蛍光性基含有化合物(VII)との反応は、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、DMSO等の通常用いられる溶媒を用いて行われる。
【0120】
更に、得られる蛍光性基カルボジイミド化合物を、ジメチルホルムアミド等の溶媒中でp−トルエンスルホン酸メチル(TsOMe)、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸等と反応させて前記B−部分を4級アンモニウム化することにより、水溶性の向上した蛍光性基含有カルボジイミド化合物が得られる。
【0121】
尚、用いられるアミン化合物としては、置換されていてもよいアミノ基を有する化合物が挙げられ、具体的には、4−(3−アミノプロピル)モルホリン、N,N−ジメチルプロパンジアミン等が挙げられる。
【0122】
また、イソシアネート化合物としては、シクロヘキシルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート等が挙げられる。
また、イソチオシアネート化合物としては、ジアルキルアミノ基含有イソチオシアネート化合物、アルキルアミノイソチオシアネート化合物等が挙げられ、具体的には3−ジメチルアミノプロピルイソチオシアネート、3−ジエチルアミノプロピルイソチオシアネート等が挙げられる。
【0123】
次に、蛍光性基含有化合物(VII)としては、4−ブロモメチル−7−メトキシクマリン、N−((2−(イオドアセチル)−エチル)−N−メチル)アミノ−7−ニトロベンズ−オキサ−1,3−ジアゾール、5−イオドアセトアミドテトラメチルローダミン等が挙げられる。
【0124】
(ii)一般式(IV)で表される化合物の製造方法
次に、一般式(I)で表される蛍光性基含有カルボジイミド化合物が、前記一般式(IV)で表される化合物である場合の製造方法を以下に示す。
【0125】
蛍光性基含有カルボジイミド化合物(IV)は、前記一般式(VIII)で表されるアミノ基含有蛍光性化合物と、前記一般式(IX)で表されるイソシアネート系化合物とを反応させて前記一般式(X)で表される尿素系化合物を合成する工程を含む方法により製造される。すなわち、アミン誘導体をイソシアネート系化合物と反応させて尿素又はチオ尿素誘導体へと導き、更に脱水あるいは酸化的脱硫によりカルボジイミド基を形成させる。
この反応を、以下の反応式に示す。
【0126】
【化51】
【0127】
尿素誘導体(d)の脱水反応によるカルボジイミド基含有化合物の合成は、前記一般式(II)で表される化合物の合成におけるのと同様に、3級アミン中で該尿素誘導体をパラトルエンスルホン酸クロリド(TSCl)と共に加熱することで容易に達成できる。また、4級アンモニウム塩の存在下でパラトルエンスルホン酸クロリド及び炭酸カリウムを用いて行うこともできる。
【0128】
チオ尿素誘導体(g)の脱硫についても、前記一般式(II)で表される化合物の合成におけるのと同様に、一般的に酸化水銀を脱硫剤として使用することにより行われる。この反応で好ましく用いられる溶媒としては、例えば、エーテル、ベンゼン、アセトンなどが挙げられる。脱硫剤としては、酸化水銀以外にも酸化鉛、酸化亜鉛、炭酸鉛、硝酸鉛、塩化鉛などを用いることもできる。さらにアルカリ性で次亜塩素酸ナトリウムを作用させることによって合成することもできる。例えば、チオ尿素誘導体を塩化メチレンなどのような溶媒中で次亜塩素酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化銅と共に0℃以下で一昼夜反応させる。その後一般的に用いられている方法で単離、精製することによりカルボジイミド化合物(IV)が得られる。尚、個々の反応工程は、例えば通常用いられるジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ベンゼン、ジクロロメタン等の溶媒を用いて、公知の方法により行われる。
【0129】
更に、得られる蛍光性基カルボジイミド化合物を、ジメチルホルムアミド等の溶媒中でp−トルエンスルホン酸メチル(TsOMe)、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸等と反応させて、所望の4級アンモニウム塩とすることができる。
【0130】
アミノ基含有蛍光性化合物(VIII)及びイソシアネート系化合物(IX)は、各々所望する蛍光性基含有カルボジイミド化合物の構造に応じて適宜選択することができる。例えば、アミノ基含有蛍光性化合物(VIII)の具体例としては、1−アミノピレン、1−アミノペリレン等が挙げられる。また、イソシアネート系化合物(IX)の具体例としては、3,3−ジメチルアミノプロピルイソシアネート、3,3−ジエチルアミノプロピルイソシアネート、3−モルホリノプロピルイソシアネート、3,3−ジメチルアミノプロピルイソチオシアネート、3,3−ジエチルアミノプロピルイソチオシアネート、3−モルホリノプロピルイソチオシアネート等が挙げられる。
【0131】
アミノ基含有蛍光性化合物(VIII)とイソシアネート系化合物(IX)とを反応させて得られる尿素系化合物(X)としては、N−ピレニル−N’−(3−ジメチルアミノ)プロピル尿素、N−ペリレニル−N’−(3,3−ジメチルアミノ)プロピル尿素、N−ピレニル−N’−(3−ジメチルアミノ)プロピルチオ尿素、N−ペリレニル−N’−(3,3−ジメチルアミノ)プロピルチオ尿素等が挙げられる。
【0132】
(iii)一般式(V)で表される化合物の製造方法
次に、一般式(I)で表される蛍光性基含有カルボジイミド化合物が、前記一般式(V)で表される化合物である場合の製造方法を以下に示す。
【0133】
蛍光性基含有カルボジイミド化合物(V)は、前記一般式(XI)で表されるアミノ基含有蛍光性化合物と、前記一般式(XII)で表されるイソシアネート系化合物とを反応させて前記一般式(XIII)で表される尿素系化合物を合成する工程を含む方法により製造される。すなわち、前項(ii)におけるのと同様に、アミン誘導体をイソシアネート系化合物と反応させて尿素又はチオ尿素誘導体へと導き、更に脱水あるいは酸化的脱硫によりカルボジイミド基を形成させる。この反応を、以下の反応式に示す。
【0134】
【化52】
【0135】
尿素誘導体(d)の脱水反応によるカルボジイミド基含有化合物の合成は、前項(ii)におけるのと同様に、3級アミン中で該尿素誘導体をパラトルエンスルホン酸クロリド(TSCl)と共に加熱することで容易に達成できる。また、4級アンモニウム塩の存在下でパラトルエンスルホン酸クロリド及び炭酸カリウムを用いて行うこともできる。
【0136】
チオ尿素誘導体(g)の脱硫についても、一般的に酸化水銀を脱硫剤として使用することにより行われる。この反応で好ましく用いられる溶媒としては、例えば、エーテル、ベンゼン、アセトンなどが挙げられる。脱硫剤としては、酸化水銀以外にも酸化鉛、酸化亜鉛、炭酸鉛、硝酸鉛、塩化鉛などを用いることもできる。さらにアルカリ性で次亜塩素酸ナトリウムを作用させることによって合成することもできる。例えば、チオ尿素誘導体を塩化メチレンなどのような溶媒中で次亜塩素酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化銅と共に0℃以下で一昼夜反応させる。その後一般的に用いられている方法で単離、精製することによりカルボジイミド化合物(V)が得られる。尚、個々の反応工程は、例えば通常用いられるジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ベンゼン、ジクロロメタン等の溶媒を用いて、公知の方法により行われる。
【0137】
更に、得られる蛍光性基カルボジイミド化合物を、ジメチルホルムアミド等の溶媒中でp−トルエンスルホン酸メチル(TsOMe)、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸等と反応させて、所望の4級アンモニウム塩とすることができる。
【0138】
アミノ基含有蛍光性化合物(XI)及びイソシアネート系化合物(XII)は、各々所望する蛍光性基含有カルボジイミド化合物の構造に応じて適宜選択することができる。例えば、アミノ基含有蛍光性化合物(XI)の具体例としては、N−ピレニル−6−アミノカプリルアミド、N−ペリレニル−6−アミノカプリルアミド等が挙げられる。このようなアミノ基含有蛍光性化合物は、1−アミノピレン、1−アミノペリレン等の蛍光性化合物と6−アミノカプロン酸等のカルボキシル基含有化合物とを常法に従って反応させることにより得ることができる。
【0139】
イソシアネート系化合物(XII)の具体例としては、3,3−ジメチルアミノプロピルイソシアネート、3,3−ジエチルアミノプロピルイソシアネート、3−モルホリノプロピルイソシアネート、3,3−ジメチルアミノプロピルイソチオシアネート、3,3−ジエチルアミノプロピルイソチオシアネート、3−モルホリノプロピルイソチオシアネート等が挙げられる。
【0140】
以上述べた方法により得られる本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物は、核酸検出法やイムノアッセイ法において標識物質として好適に使用することができる。その場合は、標識しようとするDNA等の核酸又は抗原もしくは抗体等のタンパク質とともに、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を、溶媒中で混合させる等の方法で接触させることにより、前記核酸又はタンパク質に結合させることができる。すなわち、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を、核酸塩基と高い反応性を示すカルボジイミド基において核酸又はタンパク質と結合させることにより、高感度な検出試薬として働く蛍光性物質をこれらに付加し、標識とすることができるのである。よって、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物と核酸又はタンパク質と結合させる場合には、カルボジイミド基が反応しやすい条件下、例えばpH7.5〜8.5程度のアルカリ性の条件下で両者を接触させるのが好ましい。
【0141】
(3)本発明の核酸検出法
本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物は、標識物質で標識した核酸を用いるハイブリダイゼーションによる核酸の検出法において、標識物質として用いることができる。すなわち、蛍光性基含有カルボジイミド化合物で標識された核酸は、ハイブリダイゼーション用のプローブとして用いることができる。測定対象である核酸にプローブをハイブリダイズさせて、核酸−核酸ハイブリッドを形成させ、系から遊離のプローブを除去した後にハイブリッドに含まれる標識物質を検知することによって、測定対象の核酸を検出することができる。本発明においては、標識物質である蛍光性基含有カルボジイミド化合物は、蛍光分光光度計、96穴マイクロタイタープレート用蛍光分光光度計、蛍光顕微鏡等を用いて蛍光強度等を測定することにより直接的に検知することができる。測定対象である核酸は、通常、ナイロンメンブレン、ニトロセルロース等の膜又はマイクロタイタープレート上に固定化されて用いられる。
【0142】
本発明の核酸の検出法におけるハイブリダイゼーションは、核酸プローブの標識に蛍光性基含有カルボジイミド化合物を用いる以外は、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、ドットブロットハイブリダイゼーション、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション等の、通常の核酸のハイブリダイゼーションと特に変わるところはない。測定対象である核酸は、DNAであってもRNAであってもよく、プローブに用いる核酸もまたDNAであってもRNAであってもよい。
【0143】
プローブに用いる核酸の標識は、上記の方法によってポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを標識することによって行うことが好ましいが、標識されたヌクレオチドをポリメラーゼ反応によってポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに取り込ませることによって行うこともできる。
【0144】
(4)本発明のイムノアッセイ法
本発明の前記蛍光性基含有カルボジイミド化合物は、標識物質で標識した抗原又は抗体を用いるイムノアッセイ法において、前記標識物質として用いることができる。
【0145】
測定対象が抗原であるときは、その抗原に特異的に結合する抗体を標識し、抗原−抗体複合体を形成させ、系から遊離の抗体を除去した後に複合体に含まれる標識物質を検知することによって、測定対象の抗原を検出することができる。本発明においては、標識物質である蛍光性基含有カルボジイミド化合物は、蛍光分光光度計、96穴マイクロタイタープレート用蛍光分光光度計、蛍光顕微鏡等を用いて蛍光強度等を測定することにより直接的に検知することができる。また、抗原に特異的に結合する第1の抗体を固相化しておき、これに抗原を結合させ、抗原に特異的に結合する第2の抗体を標識したものを結合させてもよい。この場合、第1の抗体と第2の抗体は、同一のポリクローナル抗体を用いてもよく、異なるモノクローナル抗体を用いてもよい。さらに、一方をポリクローナル抗体とし、他方をモノクローナル抗体としてもよい。各々の方法において、標識した抗体の代わりに未標識の抗体を用い、これを抗原に結合させた後に、前記抗体に結合する二次抗体を標識したものをさらに結合させてもよい。二次抗体は、抗体の調製に用いた動物のイムノグロブリンで前記動物と異なる動物を免疫することによって得られる。
【0146】
測定対象が抗体であるときは、その抗体に特異的に結合する抗原を標識し、抗原−抗体複合体を形成させ、系から遊離の抗原を除去した後に複合体に含まれる標識物質を検知することによって、測定対象の抗体を検出することができる。また、測定対象である抗体に特異的に結合する抗体が得られる場合には、その抗体を標識したものを用い、抗体−抗体複合体を形成させてもよい。
【0147】
本発明のイムノアッセイ法は、抗原又は抗体の標識に蛍光性基含有カルボジイミド化合物を用いる以外は、通常のイムノアッセイ法と特に変わるところはなく、抗原又は抗体の固相化、抗原抗体反応、洗浄操作等は、通常行われているのと同様にして行えばよい。また、イムノアッセイ法の態様も、直接法、間接法、競合法等、いずれの態様も適用され得る。
【0148】
(5)本発明の化学発光分析法
本発明の化学発光分析法は、シュウ酸誘導体と過酸化物とを蛍光物質の存在下に反応させて生じる化学発光を用いる分析法である。具体的には、シュウ酸誘導体と過酸化物と蛍光物質との発光反応における発光強度を測定することにより過酸化物又は蛍光物質の定量等を行うことができ、本発明の前記蛍光性基含有カルボジイミド化合物、特に蛍光性基がクマリン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、ローダミン誘導体、ダンシル誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾールオレンジ誘導体、シアニン化合物、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾオキサジアゾール誘導体、ジピロメテンボロンジフルオライド誘導体、及び蛍光希土類金属キレート化合物からなる群より選ばれるものである前記蛍光性基含有カルボジイミド化合物は、前記蛍光物質として用いることができる。
【0149】
化学発光を生じる機構としては、シュウ酸誘導体と過酸化物との反応により生じた過シュウ酸誘導体が転移により置換1,2−ジオキセタンとなり、これと酸化されやすい蛍光物質との間に電荷移動錯体が形成され、電子移動による励起が生じて蛍光物質が励起され、これが基底状態に戻るときに発光すると推定される。用いるシュウ酸誘導体としては、アリールオキザレート等のシュウ酸エステルが挙げられる。また、過酸化物としては、過酸化水素が好ましく用いられる。このような化学発光は過シュウ酸エステル化学発光とも称され、従来の化学発光と比べて発光効率が優れていることから各種の分析化学に応用されている。
【0150】
本発明の化学発光分析法は、発光効率が高く、且つ蛍光物質を励起させるための光源を必要としないことからノイズが少なく、従って微少な発光の検出が可能となり、優れた高感度性を有する。発光量は蛍光物質及び過酸化物の濃度にそれぞれ依存して増加するため、この性質を利用して蛍光物質又は過酸化物を定量することができる。例えば蛍光物質を適宜選択して、微量の過酸化物を定量することができる。過酸化水素を生成させるような酵素反応において、生じた過酸化水素を測定することで基質を定量することもできる。このような系を利用してグルコース、ラクトース、NADH、尿酸、ホルムアルデヒド、コレステロール、α−アミノ酸、アセチルコリン等を定量することができる。
【0151】
また、アミノ酸等の分析対象物質に蛍光性基を導入し、これを本発明の化学発光分析法を用いて分析対象物質を高感度に検出することができる。例えば、大過剰のシュウ酸誘導体及び過酸化物を用いると、1分子の蛍光物質が励起発光を繰り返し次々と光を放出することができるため、従来の蛍光分析法よりも更に高感度な定量が可能となる。このような系を利用して、アミノ酸の他、アミン類、医薬品、ステロイド等の蛍光誘導体を定量することができる。
【0152】
また、本発明の化学発光分析法は、イムノアッセイ法と組み合わせて高感度で且つ特異性の高い分析を行うことができる。例えば、酵素標識抗原と標準抗原を競合的に抗体と結合させ、結合した酵素標識抗原を用いて基質との反応により生成する過酸化水素を化学発光反応により測定し、標準抗原の量に対応する化学発光量の関係(検量線)を作成し、これを用いて定量することができる。
【0153】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明する。
【0154】
【実施例1】
以下に示す方法で、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を合成した。尚、この反応を下記反応式(1)に示す。
【0155】
(1)チオ尿素化合物の合成
3−(ジメチルアミノプロピル)イソチオシアネート1.4g(10mmol)を、乾燥塩化メチレン15mlに溶解し、氷浴で冷却した。これにN−(3−アミノプロピル)モルホリン1.4g(10mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応混合物に水を加えた後、塩化メチレンで抽出し(5ml×3回)、無水炭酸カリウムで乾燥した後、濃縮してN−[3−(ジメチルアミノ)]プロピル−N’−(3−モルホリノ)プロピルチオ尿素(下記反応式(1)中の化合物(1)。以下同様。)2.7gを得た(収率98%)。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.70-1.80(m,4H)、2.24(s,6H)、2.40-2.50(m,8H)、3.30-3.70(m,4H)、3.73(t,4H)、6.6-9.5(m,2H)。
【0156】
(2)カルボジイミド基含有化合物の合成
N−[3−(ジメチルアミノ)]プロピル−N’−(3−モルホリノ)プロピルチオ尿素(化合物(1))2.7g(10mmol)をアセトン35mlに溶解し、酸化水銀4.2g(20mmol)を加えて、還流下、2時間撹拌した。放冷後、反応混合物をろ過した後、溶媒を留去して粗生成物を得た。減圧蒸留により、N−[3−(ジメチルアミノ)]プロピル−N’−(3−モルホリノ)プロピルカルボジイミド(下記反応式(1)中の化合物(2))1.5gを得た(収率60%)。このものの沸点(b.p.)は125〜128℃/0.2mmHgであった。この化合物(2)のNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.70-1.80(m,4H)、2.22(s,6H)、2.30-2.50(m,8H)、3.27(t,2H)、3.29(t,2H)、3.71(t,4H)。
【0157】
(3)蛍光性基含有カルボジイミド化合物の合成
N−[3−(ジメチルアミノ)]プロピル−N’−(3−モルホリノ)プロピルカルボジイミド(化合物(2))を無水ジメチルホルムアミド10mlに溶解し、これに4−ブロモ−メチル−7−メトキシクマリン((株)同人化学製)135mg(0.5mmol)を加え、室温で一昼夜撹拌した。ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた淡黄色粉末をメタノール3mlに溶解した。これにジエチルエーテルを加えて再沈殿させ、蛍光性基含有カルボジイミド化合物(下記反応式(1)中の化合物(3))250mgを得た(収率94%)。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=1.60-1.70(m,2H)、1.90-2.10(m,2H)、2.30-2.40(m,6H)、3.09(s,6H)、3.20-3.40(m,6H)、3.56(t,4H)、3.89(s,3H)、4.72(s,2H)、6.66(s,1H)、7.01(dd,1H)、7.10(d,1H)、8.13(d,1H)。
【0158】
(4)蛍光性基含有カルボジイミド化合物の4級塩の合成
蛍光性基含有カルボジイミド化合物(化合物(3))190mg(0.3mmol)を無水ジメチルホルムアミド5mlに溶解した。これに、p−トルエンスルホン酸メチル56mg(O.3mmol)を加え、室温で一昼夜撹拌した。ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた淡黄色粉末をメタノール3mlに溶解した。これにジエチルエーテルを加えて再沈殿させ、蛍光性基含有カルボジイミド化合物の4級塩(下記反応式(1)中の化合物−1)230mg(収率93%)を得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=1.80-2.10(m,4H)、2.29(s,3H)、3.08(s,6H)、3.14(s,3H)、3.30-3.60(m,14H)、3.89(s,3H)、4.72(s,2H)、6.65(s,1H)、6.98(dd,1H)、7.10-7.13(m,3H)、7.49(d,2H)、8.12(d,1H)。
【0159】
【化53】
【0160】
【実施例2】
以下に示す方法で、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を合成した。尚、この反応を下記反応式(2)に示す。
【0161】
(1)蛍光性基含有チオ尿素化合物の合成
1−アミノピレン0.5g(2.3mmol)と3−(ジメチルアミノ)プロピル−イソチオシアネート1.7g(12mmol)を120℃で30分間撹拌した。放冷後、酢酸エチル20mlを加え、析出した結晶をろ取して蛍光性基含有チオ尿素化合物(下記反応式(2)中の化合物(1))0.5g(収率54%)を得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl3):δ=0.82(s,6H)、1.40-1.50(m,2H)、1.90-2.00(m,2H)、3.68-3.73(m,2H)、7.90-8.20(m,8H)、8.70(bs,1H)。
【0162】
(2)蛍光性基含有カルボジイミド化合物の合成
蛍光性基含有チオ尿素化合物(化合物(1))0.2g(0.55mmol)をアセトン25mlに溶解した。さらに酸化水銀0.24g(1.1mmol)を加え、還流下、2時間撹拌した。放冷後、反応混合物をろ過して無機物を取り除いた。濾液に、さらに酸化水銀0.24g(1.1mmol)を加え、1.5時間撹拌、還流した。放冷後、反応混合物をろ過した後、濾液を濃縮し、残った粘性液体に石油エーテルを加えて可溶物を分取した。石油エーテルを減圧留去し、蛍光性基含有カルボジイミド(下記反応式(2)中の化合物(2))を得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.90-2.00(m,2H)、2.24(s,6H)、2.47(t,2H)、3.62(t,2H)、7.80-8.20(m,8H)、8.48(d,1H)。
【0163】
(3)蛍光性基含有カルボジイミド化合物の4級塩の合成
蛍光性基含有カルボジイミド化合物(化合物(2))100mg(0.3mmol)を無水ジメチルホルムアミド2mlに溶解した。これに、p−トルエンスルホン酸メチル100mg(0.6mmol)を加え、室温で一昼夜撹拌した。ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた淡黄色粉末をメタノール2mlに溶解した。これにジエチルエーテルを加えて再沈殿させ、蛍光性基含有カルボジイミド化合物の4級塩(下記反応式(2)中の化合物−2)130mg(収率87%)を得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=2.10-2.20(m,2H)、2.28(s,3H)、3.13(s,9H)、3.40-3.50(m,2H)、3.78(t,2H)、7.11(d,2H)、7.50(d,2H)、8.00-8.40(m,9H)。
【0164】
【化54】
【0165】
【実施例3】
以下に示す方法で、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を合成した。尚、この反応を下記反応式(3)に示す。
【0166】
(1)N−Fmoc−6−アミノカプロン酸の合成
6−アミノカプロン酸1.31g(10mmol)をアセトン50mlに溶解し、これに炭酸水素ナトリウム0.84g(10mmol)の溶解した水50mlを加えた。撹拌しつつ、この反応液に炭酸9−フルオレニルメチルスクシンイミジル(Fmoc−OSu)3.37g(10mmol)を加え、室温で5時間反応させた。アセトンを減圧留去した後、この反応液に塩化メチレンを加え、抽出を行った。この操作を2階繰り返した後、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、下記反応式(3)中の化合物(1)を2.96g得た(収率84%)。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=1.20-1.75(m,6H)、2.40(t,2H)、3.10-3.25(m,2H)、4.20(t,1H)、4.45(d,2H)、7.25-7.50(m,4H)、7.70(d,2H)、7.90(d,2H)、8.05-8.40(m,9H)、10.30(s,1H)。
【0167】
(2)アミノ基含有蛍光性化合物の合成
得られた化合物(1)1.06g(3mmol)に塩化チオニル10mlを加え溶解した後、還流下30分間反応させた。室温まで放冷後、塩化チオニルを減圧留去した。残留分を塩化メチレン20mlに溶解し、エチルジイソプロピルアミン0.52ml(3mmol)を加えた。この反応液に無水塩化メチレン20mlに溶解した1−アミノピレン0.65g(3mmol)を滴下しながら加えた。滴下終了後、撹拌を室温で18時間続けた。反応液に水を加え、塩化メチレンで抽出を2回行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去し、反応混合物約2.5gを得た。この反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=50/1)により精製し、下記反応式(3)中の化合物(2)を0.89g(収率54%)得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=1.35-1.60(m,4H)、1.60-1.80(m,2H)、2.55(t,2H)、2.05(t,2H)、4.20-4.35(m,3H)、7.25-7.50(m,4H)、7.70(d,2H)、7.90(d,2H)、8.05-8.40(m,9H)、10.30(s,1H)。
【0168】
得られた化合物(2)0.66g(1.2mmol)を20%ピペリジン含有無水ジメチルホルムアミドに溶解し、室温で30分間撹拌した。その後、溶媒を加熱しながら減圧留去した。残留物に塩化メチレンを加え、しばらく撹拌した。不溶分を濾別し、濃縮後同様の操作を2回繰り返して行い、アミノ基含有蛍光性化合物(下記反応式(3)中の化合物(3))0.38g(収率95%)を得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=1.35-1.50(bs,4H)、1.70(t,2H)、2.55(bs,4H)、8.05-8.40(m,9H)、10.30(s,1H)。
【0169】
(3)蛍光性基含有チオ尿素化合物の合成
得られた化合物(3)0.33g(1.0mmol)を無水塩化メチレン10mlに溶解し、3−(ジメチルアミノプロピル)イソチオシアネート0.16g(1.1mmol)を加え、3時間室温で撹拌した。その後、反応液に水を加えて塩化メチレンで抽出を3回行った。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し反応混合物約0.5gを得た。この反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=9/1〜1/1)により精製し、蛍光性基含有チオ尿素化合物(下記反応式(3)中の化合物(4))0.38g(収率80%)を得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=1.40-1.50(m,2H)、1.50-1.60(m,4H)、1.60-1.75(m,2H)、2.05(s,6H)、2.10(t,2H)、2.50(bs,2H)、7.50(bs,2H)、8.05-8.40(m,9H)、10.30(s,1H)。
【0170】
(4)蛍光性基含有カルボジイミド化合物の合成
得られた化合物(4)0.35g(0.8mmol)をアセトン10mlに加熱しながら溶解し、酸化水銀0.35g(1.6mmol)を加えた。還流下4時間反応させた後、氷冷し不溶分を濾別した。反応液を濃縮した後石油エーテルを加え、再び不溶分を濾別した。濾液を濃縮し、カルボジイミド化合物(下記反応式(3)中の化合物(5))0.32g(収率90%)を得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl3-d6):δ=1.40-1.80(m,8H)、2.20(s,6H)、2.25(t,2H)、2.45(t,2H)、3.10-3.30(m,4H)、7.75-8.10(m,9H)、8.50(s,1H)。
【0171】
得られた化合物(5)0.25g(0.57mmol)を無水ジメチルホルムアミド3mlに溶解し、これにp−トルエンスルホン酸メチル0.18ml(1.2mmol)を加え、室温で一晩反応させた溶媒を残留分が乾固しない程度まで減圧留去した後、ジエチルエーテルを加えて、粘性の黄色固体(蛍光性基含有カルボジイミド化合物:下記反応式(3)中の化合物−3)0.34g(収率96%)を得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=1.40-1.85(m,8H)、2.55(t,2H)、3.05(s,9H)、3.05-3.10(bs,2H)、3.25-3.40(m,4H)、7.10(d,2H)、7.50(d,2H)、8.00-8.40(m,9H)、10.30(s,1H)。
【0172】
【化55】
【0173】
【実施例4】
以下に示す方法で、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を合成した。尚、この反応を下記反応式(4)に示す。
【0174】
(1)チオ尿素化合物の合成
3−(ジメチルアミノプロピル)イソチオシアネート1.44g(10mmol)に無水塩化メチレン10mlを加え、室温で撹拌しつつN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン1.2ml(10mmol)を加えた。このまま、室温で一晩撹拌した。反応液に水を加えた後、塩化メチレンで3回抽出を行った。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して下記反応式(4)中の化合物(1)を2.06g(収率84%)得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl3-d6):δ=1.75(t,4H)、2.25(s,12H)、2.30(t,4H)、3.20-3.80(bs,4H)、8.00-9.40(bs,2H)。
【0175】
(2)カルボジイミド基含有化合物の合成
得られた化合物(1)1.0g(4mmol)をアセトン12mlに溶解し、酸化水銀1.73g(8mmol)を加えた。還流下3時間反応させた後、氷冷し不溶分を濾別した。反応液を濃縮した後石油エーテルを加え、再び不溶分を濾別した。濾液を濃縮し、カルボジイミド基含有化合物(下記反応式(4)中の化合物(2))0.75g(収率89%)を得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl3-d6):δ=1.65-1.80(m,4H)、2.25(s,12H)、2.35(t,4H)、3.25(t,4H)。
【0176】
(3)蛍光性基含有カルボジイミド化合物の合成
得られた化合物(2)0.2g(1mmol)を無水ジメチルホルムアミド5mlに溶解し、これに4−ブロモ−メチル−7−メトキシクマリン0.54g(2mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた黄色粉末を少量のメタノールに溶解した。これにジエチルエーテルを加えて再沈殿させ、蛍光性基含有カルボジイミド化合物(下記反応式(4)中の化合物−4)0.69g(収率92%)を得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=2.00-2.10(m,4H)、3.10(s,12H)、3.35-3.40(t,4H)、3.55-3.70(m,4H)、3.90(s,6H)、4.80(s,4H)、6.70(s,2H)、7.00(dd,2H)、7.10(d,2H)、8.20(d,2H)。
【0177】
【化56】
【0178】
【実施例5】
以下に示す方法で、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物(チアゾールオレンジ基含有カルボジイミド化合物)を合成した。この反応を下記反応式(5)に示す。尚、反応式(5)中、Etはエチル基を表す。
【0179】
(1)反応式(5)中の化合物(1)の合成
2−メチルチアゾール3.0ml(24mmol)にp−トルエンスルホン酸メチル3.6ml(24mmol)を加え、160℃で1時間反応させた。室温まで冷却し、生成した結晶をクロロホルム−メタノール混合溶媒に溶解した。この溶液を大量のジエチルエーテル中に注ぎ、析出してきた結晶を濾別し、下記反応式(5)中の化合物(1)を7.8g得た。得られた化合物(1)のNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=3.05(s,3H)、4.10(s,3H)、6.95(d,2H)、7.35(d,2H)、7.70(t,1H)、7.75(t,1H)、8.15(d,1H)、8.35(d,1H)。
【0180】
(2)反応式(5)中の化合物(2)の合成
4−クロロキノリン1.0g(6.1mmol)に1,3−ジイオドプロパン5ml(43mmol)を加え、120℃で1時間反応させた。室温まで冷却し、生成した結晶をクロロホルムを加えて粉状に砕き、減圧濾過した。さらにこの結晶を塩化エチレンで洗浄し、風乾して下記反応式(5)中の化合物(2)を2.4g得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=2.40-2.60(m,2H)、3.40(t,2H)、5.05(t,2H)、8.15(t,1H)、8.35(t,1H)、8.45(d,1H)、8.60(d,1H)、8.90(d,1H)、9.15(d,1H)。
【0181】
(3)反応式(5)中の化合物(3)の合成
化合物(1)1.0g(3.0mmol)と化合物(2)1.37g(3.0mmol)に塩化メチレン30mlを加え懸濁させたものに、トリエチルアミン0.42ml(3.0mmol)を加えた。1晩反応させた後、未溶解の結晶を濾別し、濾液に水を加えしばらく撹拌した。析出した結晶を濾別し、クロロホルム−メタノール混合溶媒に溶解した。この溶液を大量のジエチルエーテル中に注ぎ、析出してきた結晶を濾別し、下記反応式(5)中の化合物(3)を0.5g得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=2.30-2.50(m,2H)、4.00(s,3H)、4.65(t,2H)、6.90(s,1H)、7.35(d,1H)、7.40(t,1H)、7.60(t,1H)、7.70-7.80(m,2H)、7.95-8.15(m,3H)、8.60(d,1H)、8.80(d,1H)。
【0182】
(4)チアゾールオレンジ基含有カルボジイミド化合物の合成
化合物(3)0.20g(0.34mmol)をジメチルホルムアミド7mlに溶解した。これに1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド0.20g(1.4mmol)をジメチルホルムアミド3mlに溶解したものを加え、1晩撹拌した。減圧下溶媒留去した後、再び少量のジメチルホルムアミドに溶解した。この溶液を大量のジエチルエーテル中に注ぎ、析出してきた結晶を濾別し、目的物であるチアゾールオレンジ基含有カルボジイミド化合物(下記反応式(5)中の化合物−5)を0.24g得た。このもののNMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=1.05(t,3H)、1.80-1.95(m,2H)、2.15-2.30(m,2H)、3.00(s,6H)、3.15(q,2H)、3.45-3.60(m,2H)、3.90(s,3H)、4.45-4.60(m,2H)、6.80(s,1H)、7.15(d,1H)、7.30(t,1H)、7.45(t,1H)、7.45-7.70(m,2H)、7.80-7.95(m,2H)、8.05(d,1H)、8.55(d,1H)、8.70(d,1H)。
【0183】
【化57】
【0184】
【実施例6】
以下に示す方法で、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物(蛍光希土類金属キレート含有カルボジイミド化合物)を合成した。この反応を下記反応式(6)に示す。尚、反応式(6)中、Etはエチル基を表す。
【0185】
(1)5−ニトロ−1,10−フェナントロリン(化合物(1))の合成
1,10−フェナントロリン−水和物3.1g(17mmol)に濃硫酸0.84ml、発煙硫酸3.6mlを入れ加熱溶解した。溶液の温度を170℃にした後、濃硝酸8.2mlを滴下し、そのまま、170℃で一晩撹拌した。得られた溶液を水酸化ナトリウム水溶液を用い、pH3にし、析出した沈澱をろ過して黄色の固体(化合物(1))1.49g(42%)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ=7.75-7.85(m,2H)、8.43(d,1H)、8.68(s,1H)、9.02(d,1H)、9.30(d,1H)、9.35(d,1H)
【0186】
(2)5−アミノ−1,10−フェナントロリン(化合物(2))の合成
5−ニトロ−1,10−フェナントロリン1.37g(5.8mmol)を酢酸3.0mlに溶解し、これに、塩化すず(II)・二水和物1.08g(4.8mmol)を濃塩酸2.2mlに溶解させた溶液を滴下した。その後、100℃で2時間撹拌した。反応後をNaOH水溶液でアルカリ性にして、クロロホルムで抽出した。クロロホルムを減圧留去し、黄色固体を得た。これをテトラヒドロフラン−ヘキサンで再結晶し、化合物(2)を0.75g(66%)得た。
1H−NMR(CDCl3):δ=6.95(s,1H)、7.50(m,1H)、7.65(m,1H)、7.98(d,1H)、8.28(d,1H)、8.95(d,1H)、9.20(d,1H)
【0187】
(3)化合物(3)の合成
6−ブロモヘキサン酸0.54g(2.8mmol)に塩化チオニル13mlを加え、室温で4時間撹拌した。塩化チオニルを減圧留去し、透明な液体を得た。これに塩化メチレン5mlを加えた溶液を調製した。これをアルゴン雰囲気下、5−アミノ−1,10−フェナントロリン0.33g(1.7mmol)とトリエチルアミン0.45ml(3.3mmol)の塩化メチレン25ml溶液に加えた。室温で4時間撹拌した。反応液に蒸留水20mlを加えて抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ過後、溶媒を減圧留去し、油状分を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフィルム−メタノール系)で精製し、化合物(3)を0.53g(84%)得た。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.36-1.44(m,2H)、1.63-1.70(m,2H)、1.73-1.80(m,2H)、2.43(t,2H)、3.33(t,2H)、7.28-7.32(m,1H)、7.37-7.42(m,1H)、7.70(s,1H)、7.84(d,1H)、8.31(d,1H)、8.87(s,1H)、9.44(s,1H)
【0188】
(4)化合物(4)の合成
乾燥エーテル10ml中にナトリウムメトキシド2g(37mmol)を加え、トリフルオロ酢酸エチル1.5g(10mmol)を滴下する。これに2−アセチルチオフェン1.3g(10mmol)を加え、12時間撹拌を行った。溶媒留去後、乾燥させ、10%硫酸9.3mlを加え撹拌し、目的物を沈澱させた。結晶をろ別し、エタノールから2回再結晶を行い、2−テノイルトリフルオロアセトンを無色の針状結晶として1.1g(49%)得た。
1H−NMR(CDCl3):δ=6.45(s,2H)、7.20(t,1H)、7.75(d,1H)、7.83(d,1H)
【0189】
2−テノイルトリフルオロアセトン0.67g(3mmol)と化合物(3)0.37g(1mmol)に95%エタノール20mlを加え、加熱溶解し、1Nの水酸化ナトリウム水溶液3mlを加えて中和した。これを約60℃に加熱しながらユウロピウム塩化物六水和物0.37g(1mmol)の水溶液10mlを加えた。冷却後、精製した錯体を分別し、少量のエタノールを含む水で数回洗浄した。その後、これをエタノール−アセトン混合溶液に加熱溶解、ろ過後、溶媒を約1/5位まで濃縮した。これを一晩放置し、析出した結晶をろ別し、エタノール水溶液で洗浄、乾燥後、さらに五酸化二リンの入ったデシケーター中で一日放置し、化合物(4)を0.76(64%)得た。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.36-1.44(m,2H)、1.63-1.70(m,2H)、1.73-1.80(m,2H)、2.43(t,2H)、3.33(t,2H)、3.42(s,3H)、7.22(t,3H)、7.80(d,3H)、7.88(d,3H)、8.43-8.47(m,1H)、8.57-8.62(m,1H)、8.90(s,1H)、9.05(d,1H)、9.50(d,1H)、10.28(s,1H)、10.40(s,1H)
【0190】
(5)蛍光希土類金属キレート含有カルボジイミド化合物(化合物−6)の合成化合物(4)0.48g(0.4mmol)をジメチルホルムアミド10mlに溶解した。これに1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド0.10g(0.7mmol)をジメチルホルムアミド1mlに溶解したものを加え、1晩撹拌した。減圧下溶媒留去した後、再び少量のジメチルホルムアミドに溶解した。この溶液を大量のジエチルエーテル中に注ぎ、析出してきた結晶を櫨別し、目的物である蛍光希土類金属キレート含有カルボジイミド化合物(下記反応式(6)中の化合物−6)を0.43g(80%)得た。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.10(t,3H)、1.36-1.44(m,2H)、1.63-1.70(m,2H)、1.73-1.80(m,2H)、1.90-2.00(m,2H)、2.43(t,2H)、3.20-3.60(m,17H)、7.22(t,3H)、7.80(d,3H)、7.88(d,3H)、8.43-8.47(m,1H)、8.57-8.62(m,1H)、8.90(s,1H)、9.05(d,1H)、9.50(d,1H)、10.28(s,1H)、10.40(s,1H)
【0191】
【化58】
【0192】
【実施例7】
以下に示す方法で、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を合成した。なお、この反応を下記反応式(7)に示す。
【0193】
(1)化合物(1)の合成
ダンシルクロライド1.0g(3.7mmol)を塩化メチレン10mlに溶解し、1−アミノヘキサノール0.47g(40mmol)を加えて撹拌した。この混合物にさらにエチルジイソプロピルアミン0.70ml(4.0mmol)を加えて室温で得20分間撹拌を続けた。反応液に水を加えた後、有機層を採取し、炭酸カリウムで乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧留去し、得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(1)を1.40g得た。このもののNMRスペクトル分析結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.05-1.25(m,4H)、1.25-1.45(m,4H)、2.30(s,1H)、2.80(s,6H)、2.80(t,2H)、3.30(t,2H)、5.40(t,1H)、7.10(d,1H)、7.55(dd,2H)、8.20(d,1H)、8.35(d,1H)、8.55(d,1H)
【0194】
(2)化合物(2)の合成
化合物(1)0.22g(0.6mmol)をジメチルホルムアミド10mlに溶解し、メチルトリフェノキシフォスホニウムアイオダイド0.9g(2.0mmol)を加え、容器を遮光下終夜撹拌した。メタノール5mlを加えて10分間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(2)を0.12g得た。このもののNMRスペクトル分析結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.05-1.25(m,4H)、1.35(t,2H)、1.60(t,2H)、2.90(s,6H)、2.90(t,2H)、3.05(t,2H)、4.95(t,1H)、7.10(d,1H)、7.55(dd,2H)、8.25(d,1H)、8.35(d,1H)、8.55(d,1H)
【0195】
(3)化合物−7の合成
化合物(2)0.11g(0.24mmol)をジメチルホルムアミド5mlに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド0.10g(0.64mmol)を加え、終夜撹拌した。溶媒を減圧留去し、残留物を少量の塩化メチレンに溶解し、これを大量のヘキサン中へ徐々に滴下した。生成した結晶を濾別後乾燥し、目的物である化合物−7を0.11g得た。このもののNMRスペクトル分析結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.10(t,3H)、1.10-1.55(m,6H)、1.70(t,2H)、1.95(t,2H)、2.85(s,6H)、3.10-3.60(m,16H)、6.40(t,1H)、7.20(d,1H)、7.55(dd,2H)、8.20(d,1H)、8.40(d,1H)、8.50(d,1H)
【0196】
【化59】
【0197】
【実施例8】
以下に示す方法で、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を合成した。なお、この反応を下記反応式(8)に示す。
【0198】
(1)化合物(1)の合成
2−メルカプトオキサゾール5.0g(33mmol)をメタノール50mlに溶解し、ヨウ化メチル10ml、炭酸カリウム4.56g(33mmol)を加えて室温で2時間半撹拌を行った。反応液に塩化メチレン、水を加えた後、塩化メチレンで抽出を行った。有機層を炭酸カリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去し、化合物(1)を5.27g得た。このもののNMRスペクトル分析結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ=2.75(s,3H)、7.20(t,1H)、7.25(t,1H)、7.45(d,1H)、7.60(d,1H)
【0199】
(2)化合物(2)の合成
化合物(1)5.27g(32mmol)にp−トルエンスルホン酸メチル4.8mlを加え、150℃に加熱し、撹拌を5時間行った。室温で放冷後、固化した反応物にメタノールを加えて細かく砕き固体を濾別した。得られた固体をメタノール−塩化メチレン混合溶媒に溶解し、ジエチルエーテルを加えて結晶化させた。得られた結晶を濾別、乾燥し、化合物(2)を6.0g得た。このもののNMRスペクトル分析結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ=2.25(s,3H)、3.05(s,3H)、3.95(s,3H)、7.10(d,2H)、7.45(d,2H)、7.60-7.75(m,2H)、8.00-8.10(m,2H)
【0200】
(3)化合物(3)の合成
4−メチルキノリン1.0g(7.0mmol)に1,3−ジイオドプロパン5mlを加え120℃で1時間撹拌した。室温まで放冷後、固体の生じた反応混合物に酢酸エチル20mlを加えてしばらく撹拌した後、上澄みを廃棄した。残留物にクロロホルムを加えてしばらく撹拌を行ったところ、一旦全て溶解した。さらに撹拌を続けたところ、1時間後には黄色結晶が生成した。これに酢酸エチルを加えしばらく撹拌した後、結晶を濾別、乾燥し、化合物(3)を2.74g得た。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=2.50(t,2H)、3.00(s,3H)、3.30(s,3H)、3.35(t,2H)、5.00(t,2H)、8.05(m,2H)、8.25(t,1H)、8.60(t,2H)、9.35(d,1H)
【0201】
(4)化合物(4)の合成
化合物(2)1.0g(2.8mmol)、化合物(3)1.3g(3.0mmol)を塩化メチレン8mlに溶解し、これにトリエチルアミン0.4ml(2.8mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応混合物にメタノールを加えてしばらく撹拌し、残った結晶を濾別し、化合物(4)をオレンジ色の結晶として0.91g得た。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=2.40(t,2H)、3.35(s,3H)、3.35(t,2H)、3.95(s,3H)、4.60(t,2H)、6.25(s,1H)、7.35-8.10(m,8H)、8.40(d,1H)、8.75(d,1H)
【0202】
(5)化合物−8の合成
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド0.17g(1.1mmol)のジメチルホルムアミド20ml溶液に、化合物(4)0.50g(0.9mmol)を加え、終夜撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、再び少量のジメチルホルムアミドに溶解した。この溶液を大量のジエチルエーテル中に注ぎ、析出した結晶を濾別し、目的物である化合物−8を0.36g得た。このもののNMRスペクトル分析結果は以下の通りである。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=1.15(t,2H)、1.95(t,2H)、2.30(t,2H)、3.05(s,6H)、3.25(q,2H)、3.30-3.40(m,4H)、3.45-3.60(m,2H)、3.90(s,3H)、6.30(s,1H)、7.40-8.20(m,8H)、8.45(d,1H)、8.80(d,1H)
【0203】
【化60】
【0204】
【実施例9】
以下に示す方法で、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を合成した。なお、この反応を下記反応式(9)に示す。
【0205】
(1)化合物(2)の合成
化合物(1)[4−(5,6−ジメトキシベンゾチアゾリル)安息香酸]0.26g(0.8mmol)をジメチルホルムアミド20mlに溶解し、イソブチルクロロホルメート0.12ml(0.9mmol)、エチルジイソプロピルアミン0.16ml(09mmol)を加え1時間室温で撹拌した。その後、6−アミノヘキサノール0.10g(0.9mmol)を投入し、さらに1時間半撹拌を続けた。溶媒を減圧留去し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(2)を0.15g得た。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=1.25-1.60(m,8H)、3.25-3.45(m,4H)、3.89(s,3H)、3.90(s,3H)、4.40(t,1H)、7.60(s,1H)、7.70(s,1H)、8.00(d,2H)、8.10(d,2H)、8.60(t,1H)
【0206】
(2)化合物(3)の合成
化合物(2)0.12g(0.3mmol)をジメチルホルムアミド5mlに溶解し、メチルトリフェノキシフォスホニウムアイオダイド0.26g(0.6mmol)を加え、容器を遮光下終夜撹拌した。メタノール5mlを加えて10分間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(3)を0.13g得た。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.35-1.55(m,4H)、1.60-1.75(m,2H)、1.80-1.95(m,2H)、3.20(t,2H)、3.45(q,2H)、3.95(s,6H)、6.25(t,1H)、7.35(s,1H)、7.55(s,1H)、7.85(d,2H)、8.05(d,2H)
【0207】
(3)化合物−9の合成
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド0.04g(0.25mmol)のジメチルホルムアミド3ml溶液に、化合物(3)0.10g(0.2mmol)を加え、終夜撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、再び少量のジメチルホルムアミドに溶解した。この溶液を大量のジエチルエーテル中に注ぎ、析出した結晶を濾別し、目的物である化合物−9を0.05g得た。このもののNMRスペクトル分析結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.20(t,3H)、1.30-2.00(m,10H)、3.25(q,2H)、3.30(s,26H)、3.40-3.60(m,8H)、3.92(s,3H)、3.95(s,3H)、7.20(s,1H)、7.45(s,1H)、7.55(t,1H)、8.05(dd,4H)
【0208】
【化61】
【0209】
【実施例10】
以下に示す方法で、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を合成した。なお、この反応を下記反応式(10)に示す。
【0210】
(1)化合物(1)の合成
市販のBODIPY・FL・C3−SE(フナコシ社)0.05g(0.13mmol)の塩化メチレン1ml溶液に6−アミノヘキサノール0.02g(0.17mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。溶媒留去後、残った反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物(1)を0.05g得た。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.20-1.60(m,8H)、2.10(s,1H)、2.25(s,3H)、2.55(s,3H)、2.60(t,2H)、3.10-3.30(m,4H)、3.60(t,2H)、5.95(bs,1H)、6.10(s,1H)、6.30(d,1H)、6.90(d,1H)、7.10(s,1H)
【0211】
(2)化合物(2)の合成
化合物(1)0.05g(0.13mmol)をジメチルホルムアミド2mlに溶解し、メチルトリフェノキシフォスホニウムアイオダイド0.12g(0.28mmol)を加え、容器を遮光下終夜撹拌した。メタノール1mlを加えて10分間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物(2)を0.05g得た。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.20-1.50(m,6H)、1.70-1.80(m,2H)、2.25(s,3H)、2.55(s,3H)、2.60(t,3H)、3.10-3.30(m,6H)、5.75(bs,1H)、6.15(s,1H)、6.35(d,1H)、6.90(d,1H)、7.10(s,1H)
【0212】
(3)化合物−10の合成
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド0.04g(0.25mmol)に化合物(2)0.05g(0.1mmol)のジメチルホルムアミド3ml溶液を加え、終夜撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、再び少量のジメチルホルムアミドに溶解した。この溶液を大量のジエチルエーテル中に注ぎ、析出した結晶を濾別し、目的物である化合物−10を0.04g得た。このもののNMRスペクトル分析結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ=1.20(t,3H)、1.20-1.50(m,6H)、1.70-1.80(m,2H)、1.80-2.05(m,4H)、2.25(s,3H)、2.55(s,3H)、2.65(t,3H)、3.10-3.30(m,10H)、3.40-3.60(m,6H)、6.10(s,1H)、6.35(d,1H)、6.60(t,1H)、6.90(d,1H)、7.20(s,1H)
【0213】
【化62】
【0214】
【実施例11】
以下に示す方法で、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を合成した。なお、この反応を下記反応式(11)に示す。
【0215】
(1)化合物−11の合成
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド0.10g(0.6mmol)に、市販のIANBDester(フナコシ社)0.17g(0.4mmol)のジメチルホルムアミド5ml溶液を加え、遮光して終夜撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、再び少量のジメチルホルムアミドに溶解した。この溶液を大量のジエチルエーテル中に注ぎ、析出した結晶を濾別し、目的物である化合物−11を0.04g得た。このもののNMRスペクトル分析結果は以下の通りである。
1H−NMR(DMSO-d6):δ=1.20(t,3H)、1.80-1.95(m,2H)、3.15(s,6H)、3.20-3.60(m,9H)、4.35(s,2H)、4.40-4.60(m,4H)、6.50(d,1H)、8.50(d,1H)
【0216】
【化63】
【0217】
【実施例12】
前記実施例1〜11において合成された化合物−1〜化合物−11を用いて、以下に示す方法により、DNAに蛍光性基を導入してDNAを蛍光標識し、蛍光標識DNA−1〜11を得た。
【0218】
先ず、反応溶液[ファージDNA(M13mp18複製型:宝酒造株式会社)1μg;0.1M ホウ酸緩衝液(pH8,5);0.1Mの蛍光性基含有カルボジイミド化合物(化合物−1〜化合物11)]を85℃で1分間インキュベートした。次に、未反応のカルボジイミド化合物を除去するために、試料の1/9倍量の3M酢酸ナトリウム及び2.5倍量の冷エタノールを加えて混合し、−80℃で45分間静置した。遠心機(国産社製、H−1500FR)により、4℃、12000rpmで15分間遠心して上層を除去し、70%エタノール500μlを加えて、更に4℃、12000rpmで1分30秒間遠心した。上層を除去した後、100μlの滅菌水に沈殿を溶解し、−20℃で保存した。このようにして蛍光標識DNA−1〜11を得た。
【0219】
【実施例13】
実施例12で得られた蛍光標識DNA−1〜11を用いて、以下に述べるようにしてマイクロタイタープレートによりハイブリダイゼーションを行った。
【0220】
(1)核酸のプレート上への固定
制限酵素(HindIII)で直鎖化したファージDNA(M13mp18複製型)を用いて、2M NaCl中で480ng〜4.8pg/100μlの10倍希釈系列を作成し、100℃で10分間熱処理し、氷上で5分間急冷させて熱変性核酸を得た。発光発色用黒色マイクロタイタープレート(住友ベークライト社製)の各ウェルに、得られた各濃度の熱変性核酸を加え、プレートシールをして37℃で12時間固定化した。
【0221】
(2)プレハイブリダイゼーション
前記(1)で熱変性核酸を固定化したプレートを、蒸留水で洗浄後、プレハイブリダイゼーション溶液100μlを各ウェルに加え、プレートシールをし、60℃で1.5時間インキュベートした。尚、用いたプレハイブリダイゼーション溶液の組成は、[5×SSC(1×SSC=0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム)、5×デンハーツ(Denhardt's)溶液(0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%フィコール、0.02%BSA)、25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)、50%ホルムアミド、0.5mg/ml酵母トランスファーRNA]である。
【0222】
(3)ハイブリダイゼーション
プレート中のプレハイブリダイゼーション溶液を捨て、ハイブリダイゼーション溶液を各ウェルに100μl加え、42℃で12時間インキュベートした。用いたハイブリダイゼーション溶液の組成は、[5×SSC、1×デンハーツ溶液、25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)、45%ホルムアミド、0.2mg/ml 酵母トランスファーRNA、2μg/ml蛍光標識DNA]である。尚、蛍光標識DNAは、実施例12において、化合物−1〜化合物−11を用いてM13一本鎖DNAに蛍光性基を各々導入して得られたもので、あらかじめ75℃で10分間熱処理し、氷上で5分間急冷したものを用いた。
【0223】
(4)未反応の蛍光標識DNAの除去
プレート上に固定した熱変性核酸とハイブリッドを形成しなかった蛍光標識DNAを、以下の方法で除去した。
各ウェルのハイブリダイゼーション溶液を除去した後、2×SSC、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム溶液を150μl加え、室温で5分間プレートミキサーで振盪させた。同操作を更に2回行った。ウェル中の溶液を捨て、2×SSCを300μl加え、室温で5分間放置した。
【0224】
(5)ハイブリッド核酸の検出
各ウェルに50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、1.5M・NaClを100μl入れ、蛍光プレートリーダー(Fluorite1000:ダイナテック社製)を用いてそれぞれ蛍光強度を測定し、検出に必要な各化合物の量(ng/ウェル)を求めた。
フィルターにはそれぞれの蛍光物質の励起波長、及び蛍光波長に適したものを使用した。下記表1に結果を示す。
【表1】
【0225】
【実施例14】
本発明の蛍光標識DNAを用いたマイクロタイタープレートによるハイブリダイゼーションの別の例を以下に述べる。
【0226】
(1)核酸のプレート上への固定
制限酵素(HindIII)で直鎖化したファージDNA(M13mp18複製型)を用いて、2M・NaCl中で480ng〜4.8pg/100μlの10倍希釈系列を作成し、100℃で10分間熱処理し、氷上で5分間急冷させて熱変性核酸を得た。発光発色黒色マイクロタイタープレート(住友ベークライト社製)の各ウェルに、得られた各濃度の熱変性核酸を加え、プレートシールをして37℃で12時間固定化した。
【0227】
(2)プレハイブリダイゼーション
前記(1)で熱変性核酸を固定化したプレートを、蒸留水で洗浄後、プレハイブリダイゼーション溶液100μlを各ウェルに加え、プレートシールをし、60℃で1.5時間インキュベートした。尚、用いたプレハイブリダイゼーション溶液の組成は、[5×SSC、5×デンハーツ溶液、25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)、50%ホルムアミド、0.5mg/ml 酵母トランスファーRNA]である。
【0228】
(3)ハイブリダイゼーション
プレート中のプレハイブリダイゼーション溶液を捨て、ハイブリダイゼーション溶液を各ウェルに100μl加え、42℃で12時間インキュベートした。用いたハイブリダイゼーション溶液の組成は、[5×SSC、1×デンハーツ溶液、25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)、45%ホルムアミド、0.2mg/ml 酵母トランスファーRNA、2μg/ml蛍光標識DNA]である。
【0229】
尚、ここで用いた蛍光標識DNAは、蛍光性基含有カルボジイミド化合物を下記式で表される蛍光性基含有カルボジイミド化合物に変えた他は実施例12と同様の方法でM13一本鎖DNAに蛍光性基を導入して得られたものである。この蛍光性基含有カルボジイミド化合物は、実施例2において蛍光性基含有チオ尿素を変えた他は同様の方法で合成して得られたものである。
【0230】
【化64】
【0231】
また、この蛍光標識DNAは、あらかじめ75℃で10分間熱処理し、氷上で5分間急冷したものを用いた。
【0232】
(4)未反応の蛍光標識DNAの除去
プレート上に固定した熱変性核酸とハイブリッドを形成しなかった蛍光標識DNAを、以下の方法で除去した。
【0233】
各ウェルのハイブリダイゼーション溶液を除去した後、2×SSC、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム溶液を150μl加え、室温で5分間プレートミキサーで振盪させた。同操作を更に2回行った。ウェル中の溶液を捨て、2×SSCを300μl加え、室温で5分間放置した。
【0234】
(5)ハイブリッド核酸の検出
各ウェルに50mMのイミダゾール硝酸緩衝液(pH7.6)、及び0.5mMのTPPOアセトニトリル100μlを入れ、発光プレートリーダー(LUCY1:アロカ(Aloka)社製)中で25mMの過酸化水素水25μlを注入し、発光強度を測定した。4.8pg/ウェルまで測定可能であった。
また、蛍光標識DNAとして、実施例12と同様の方法で化合物−7を標識したM13一本鎖DNAを用い、実施例14と同様の方法で核酸検出を行ったところ、480pg/ウェルまで測定可能であった。
【0235】
【実施例15】
本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物(前記実施例2において合成された化合物−2)を標識物質として、以下に示す方法で、メンブレンを用いた抗原抗体反応を用いてタンパク質の検出を行った。
【0236】
(1)タンパク質への蛍光標識
タンパク質を蛍光標識するために、反応溶液[抗ウサギIgG抗体(ヤギ)(Anti-RABBIT-IgG(goat)、VECTER LABORATORIES社製)100μg;0.1M ホウ酸緩衝液(pH9.0);0.1Mの蛍光性基含有カルボジイミド化合物(実施例2で得られた化合物−2)]を氷上で10分間静置した。全量の0.3%になるように10%SDSを加え、マイクロ遠心チューブ(商品名ウルトラフリーC3LGC;ミリポア(MILLIPORE)社製)を用いて、5000rpmで15分間遠心し、未反応のカルボジイミド化合物を取り除いた。さらに、フィルターカップに100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.6)及び50mMのNaClを各々50μl加え、5000rpmで10分間遠心した。同様の操作を再度行い、残渣をエッペンドルフチューブに移し、100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.6)と50mMのNaClで0.1Mの溶液に調整した後、4℃で保存した。
【0237】
(2)IgGのメンブレン上への固定
ウサギIgG(RABBIT-IgG)を用いて、バッファーA溶液中で100ng〜1pg/μlの10倍希釈系列を作成した。得られた各濃度のIgG溶液をミリポア社製PVDF(polyvinylidene fluoride)メンブレン上に各1μlをドットブロットし、37℃で10分間乾燥してメンブレン上にIgGを固定した。次に、IgGを固定したメンブレンをバッファーB溶液に浸漬し、30分間静置してブロッキングを行った。
【0238】
尚、バッファーA溶液の組成は、[0.2M NaCl、0.1M Tris−HCl(pH7.5)、0.05% Triton−X−100]である。また、バッファーB溶液は、3%BSAを含むバッファーA溶液である。
【0239】
(3)抗原抗体反応
メンブレンをバッファーB溶液から取り出し、反応溶液に浸して室温で30分間シェーカーでゆっくり振盪した。用いた反応溶液の組成は、[バッファーA溶液:10ml、4μg/μl蛍光標識抗ウサギIgG抗体:10μl]であった。尚、蛍光標識抗ウサギIgG抗体は、上記(1)項に示した方法で得られたものである。
【0240】
(4)未反応の蛍光標識抗ウサギIgG抗体の除去
固定した抗体と反応しなかった蛍光標識抗ウサギ抗体を、次の方法で除去した。すなわち、反応させたメンブレンをバッファーA溶液に浸し5分間室温で振盪する洗浄操作を3回行った。
【0241】
(5)蛍光によるウサギIgGの検出
バッファーA溶液で湿らせたメンブレンをUVボックスに入れ紫外光(254nm)を照射したところ、1pgのウサギIgGが検出された。
【0242】
【発明の効果】
本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を用いれば、簡便な操作で高感度な核酸検出及びイムノアッセイ法を行うことができる。
Claims (11)
- 下記一般式(I)で表される蛍光基含有カルボジイミド化合物。
Fは、下記式(F)で示される蛍光基群から選ばれる蛍光基を表す。
Aは−CH2−、−NHCO−、−CONH−、−O−、−S−、−NR−(Rはアルキル基)、−COO−、−OCO−、−NHSO2−、及び−SO2NH−からなる群から選ばれる基を表す。
nは0又は1を表す。
Y1、Y2及びY3は、各々下記式(L)で示される基を表す。
Lは直接結合又は−NHCO−、−CONH−、−O−、−S−、−NR−、−N+RR’−(R’はアルキル基)、−COO−、及び−OCO−からなる群から選ばれる基を表す。
p及びqは各々0又は1〜12の整数を表す。)
Bは(イ)窒素原子が水素原子、飽和もしくは不飽和炭化水素基、アリール基、アラルキル基、又は蛍光基Fを含む有機基で4級化されている含窒素複素環式基、(ロ)窒素原子が水素原子、飽和もしくは不飽和炭化水素基、アリール基、アラルキル基、又は蛍光基Fを含む有機基で4級化されているアミノ基、(ハ)下記式で表される複素環式4級アンモニウム基を表す。
R3及びR4は各々水素原子、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C10の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアリール基もしくはアラルキル基を表す。
Qはアニオンを表す。
R5は酸素原子、イオウ原子又はメチレン基を表す。
mは0又は1である。)
Wは、直接結合又は4級アンモニウム基を表す。] - 標識物質で標識した核酸を用いるハイブリダイゼーションによる核酸の検出法において、前記標識物質として、請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光基含有カルボジイミド化合物を用いることを特徴とする方法。
- 標識物質で標識した抗原又は抗体を用いるイムノアッセイ法において、前記標識物質として、請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光基含有カルボジイミド化合物を用いることを特徴とする方法。
- シュウ酸誘導体と過酸化物とを蛍光物質の存在下に反応させて生じる化学発光を用いる過シュウ酸エステル化学発光分析法において、前記蛍光物質として、請求
項1〜5のいずれかに記載の蛍光基含有カルボジイミド化合物を用いることを特徴とする方法。
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