JPH04244085A - 蛍光性化合物、錯体、試薬および該試薬を用いる特異的結合アッセイ - Google Patents

蛍光性化合物、錯体、試薬および該試薬を用いる特異的結合アッセイ

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JPH04244085A
JPH04244085A JP3602091A JP3602091A JPH04244085A JP H04244085 A JPH04244085 A JP H04244085A JP 3602091 A JP3602091 A JP 3602091A JP 3602091 A JP3602091 A JP 3602091A JP H04244085 A JPH04244085 A JP H04244085A
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JP
Japan
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fluorescent compound
complex
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reagent
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Withdrawn
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JP3602091A
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English (en)
Inventor
Kazumi Sasamoto
一美 佐々本
Daikichi Horiguchi
堀 口 大 吉
Masahiro Nobuhara
延▲原▼正 弘
Hiroshi Mochizuki
望 月   博
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DOUJIN KAGAKU KENKYUSHO KK
Mochida Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
DOUJIN KAGAKU KENKYUSHO KK
Mochida Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蛍光測定に用いられる
新規な蛍光性化合物、該蛍光性化合物を配位子とする錯
体、該蛍光性化合物部分を有する試薬、および、該試薬
を用い、蛍光分析法、特に時間分解蛍光分析法にて蛍光
強度の測定を行なう特異的結合アッセイに関する。
【0002】
【従来の技術】生体試料中の標的物質を定性的または定
量的に測定するに際し、該標的物質に競合または特異的
に結合する物質であって特定の信号を発する標識剤が結
合せられた物質を用いる技術は、従来からよく知られて
いる。特に、抗原抗体反応や核酸のハイブリダイゼーシ
ョンに基礎をおく測定方法は、微量物質を感度良く測定
することが可能であるため、極めて有用である。
【0003】これらの方法では、標識剤が結合せられた
物質を、直接または間接的に標的物質と結合させ、ある
いは、標的物質またはその類縁物質に標識剤を結合せし
めた物質を標的物質と競合させ、その後、標識からの信
号強度を測定することにより、存在する標的物質の有無
あるいは量、濃度を測定するものである。
【0004】このような用途に用いられる標識剤のひと
つとして、放射性同位体が知られており、放射性同位体
の使用により、標的物質を高い測定感度で検出すること
が可能となった。しかし、放射性同位体は、その貯蔵、
使用、処理に際して危険を伴なうという大きな欠点があ
るため、標識剤としての放射性同位体の使用は年々減少
する傾向にある。そして、近年になり、放射性同位体に
替って非放射性の標識剤の使用が急激に増加している。
【0005】非放射性標識剤の代表的なもののひとつと
して、酵素標識剤があり、特に、免疫測定法においては
、酵素標識剤を使用する方法が多く用いられるようにな
ってきた。しかしながら、酵素標識剤の使用には、いく
つかの大きな問題がある。
【0006】すなわち、酵素は温度等の外的環境に影響
されやすくて不安定であるため、酵素標識剤を用いた測
定結果の再現性が低いこと、市販されている酵素が概し
て高価であること等が挙げられる。また、免疫測定法に
おいては、酵素標識剤は標的物質と競合あるいは特異的
に結合する特異的結合体に結合されて用いられるが、致
命的な欠点として、酵素標識剤を特異的結合体に結合さ
せることにより、酵素および特異的結合体の活性が低下
してしまうことが挙げられる。
【0007】酵素以外の非放射性標識剤としては、蛍光
物質が挙げられる。そして、従来から標識剤として使用
されてきた蛍光物質としては、フルオレセイン、ローダ
ミン、ダンシルクロライド、ウンベリフェロン等が挙げ
られる。
【0008】蛍光物質を標識剤として使用する測定法は
、蛍光現象、すなわち、ある励起光の照射により、ある
化合物がその化合物の電子準位に基づく固有の放射光を
発する現象を利用した測定方法であり、原理的には高感
度が期待できる方法である。しかし、この蛍光物質の標
識剤としての使用にも問題がある。
【0009】そのひとつは、励起光が引き起こすレイリ
ー散乱によってバックグラウンドノイズが発生してしま
うことである。さらに、血清、尿等の生体試料中に存在
する標的物質を測定する際には、標識剤以外の物質に由
来する多くの蛍光が、標識剤に由来する蛍光の検出を大
きく妨害してしまうという問題もある。
【0010】これらの問題点の原因としては、一般に、
従来から使用されている蛍光物質は、ストークスシフト
が小さいこと、バックグラウンド蛍光から標識剤由来の
蛍光を区別するための特別な性質が存在しないこと等が
挙げられる。このような問題が解決されるならば、蛍光
物質を標識剤として用いることは、分析分野において極
めて有力な手段となり得る。
【0011】ところで、近年になり、ある種の配位子と
希土類金属イオンにより形成される錯体が強い蛍光を発
することが見いだされた。この場合、励起光は配位子に
より吸収され、そのエネルギーが配位子の励起三重項状
態から希土類金属イオンに移動することにより、該希土
類金属イオンのf軌道電子の遷移に基づく蛍光が観測さ
れるのである。なお、希土類金属としてはユウロピウム
、テルビウム、サマリウム等が例示され、これら希土類
金属自体も、固有の蛍光を有している。
【0012】このような錯体において、励起波長は配位
子の種類に依存し、発光波長は希土類金属の種類に依存
する。そして、このような錯体由来の蛍光は、そのスト
ークスシフトが少なくとも100nm 以上あり、しか
も、バックグラウンド蛍光の原因となる蛋白質等に由来
する蛍光の寿命が約10nsであることに比較して、そ
の蛍光寿命は 1μs 以上のオーダーと非常に長い。 従って、この性質を利用すれば、前記錯体由来の蛍光を
他のバックグラウンド蛍光から完全に分離することが可
能であるため、希土類金属を中心金属イオンとする蛍光
性錯体は、標識剤として好ましいものである。
【0013】希土類金属イオンと共に錯体を形成する化
合物は、既にそのいくつかが公知である。
【0014】そのひとつとして、ユウロピウムイオン、
サマリウムイオンと共に錯体を形成するβ−ジケトンが
挙げられる。
【0015】この錯体については、β−ジケトンは、2
価の配位子であり、ユウロピウムイオンには通常3分子
以上で配位することをはじめとして、諸性質が報告され
ている(Krishna C. Joshi et a
l., Journal of Fluorine C
hemistry, 13, p.261−265, 
 1979; Livingstone S. E. 
et al., Aust. J. Chem., 2
9, p.1845−1850, 1976;黄  漢
国ら、日本化学会誌、1、66−73、1981等) 
【0016】また、このような錯体を標識剤として利用
する試みとして、特公昭62−18868号公報には、
β−ジケトンとユウロピウムイオンまたはテルビウムイ
オンによって形成された錯体を結合させた抗体について
の記載がある。
【0017】しかし、β−ジケトン−希土類金属イオン
錯体の安定性は低く、実際の測定条件下においては、測
定終了時まで錯体状態を維持できないので、これを、免
疫測定法等における標識剤として使用することはきわめ
て困難である。
【0018】また、希土類金属イオンとEDTAにより
形成される錯体についても、Nakatani H. 
らの報告(The Review of Physic
al Chemistry of Japan, 42
,p.103−107, 1972)等、数多くの報告
がある。
【0019】そして、このような錯体を標識剤として利
用する試みのひとつとして、特開昭60−500767
号公報に、ランタニドイオンと強力に配位結合するとと
もに、該錯体を抗原や抗体に結合させることのできる官
能基を有するEDTA誘導体についての記載がある。
【0020】しかし、EDTA−希土類金属イオン錯体
は、錯体自体の安定度は優れているが、錯体となっても
蛍光増幅性がないという致命的な欠点がある。すなわち
、EDTA−希土類金属錯体においては、EDTAにエ
ネルギーの吸収伝達能力がなく、かつ、この希土類金属
由来の蛍光は強度がきわめて小さいので、前記した従来
から使用されてきた蛍光物質を使用した場合と同様の欠
点がある。
【0021】また、E. Soini、I. Hemm
ileらは、特開昭57−186170号で、非蛍光性
の錯形成性化合物と蛍光性の錯形成性化合物の2種類を
用い、それらの間で金属イオンを移動させることにより
、最終的に得られる蛍光強度を高める方法を開示してい
る。具体的には、金属の錯形成能は強いが、ほとんど蛍
光を発することのないEDTA類縁体を標識剤とする標
識特異的結合体を用い、特異的結合反応を行なわせた後
、ミセル形成化剤及び前記金属と共に蛍光性錯体となる
錯形成性化合物を添加し、EDTA類縁体から分離され
た金属イオンと蛍光性の錯形成性化合物とで、液相中に
て、新たな蛍光性錯体を形成させるものである。
【0022】このような Soini、Hemmile
 らの方法における重大な欠点は、2種類の錯形成性化
合物間で金属イオンを移動させるため、この反応系に関
与していないはずの金属イオンが反応系に加わる、すな
わちコンタミネーションを起こす可能性が極めて高い点
にある。したがって、測定に際しては、外界からの金属
イオンのコンタミネーションを防ぐため、試薬、装置の
みならず、使用する全ての器具や実験環境に細心の注意
を払う必要がある。
【0023】また、より改良された蛍光性化合物として
、 Diamandis E. P.らの報告(Cli
n. Chem., 33, p.2000, 198
7; Journal of Immunologic
al Methods, 112, p.43, 19
88)中にみられる4,7−ビス(クロロスルフォフェ
ニル)−1,10− フェナンスロリン−2,9− ジ
カルボン酸があり、特開昭64−47952号には、こ
の蛍光性化合物で標識された牛血清アルブミン(BSA
)を抗体に結合する方法、および、この蛍光性化合物で
標識されたアビジンとビオチン標識された抗体をアビジ
ン・ビオチン結合で結合させる方法、すなわち中間体を
介在させた方法が記載されている。
【0024】Diamandis らのこの蛍光性化合
物の特徴は、フェナンスロリン環の窒素原子側で希土類
金属イオンに配位し、スルフォニルクロライド基により
蛋白質のアミノ基と結合することにあるが、該化合物と
希土類金属イオンとで形成される錯体の安定度は期待さ
れるよりも小さい。さらに、該化合物は、その立体構造
から考えても理解されることであるが、水性溶媒中にお
いて蛍光を測定する場合に常に懸念される水分子による
蛍光消光作用を完全に取り除くようには設計されていな
い。
【0025】従って、この蛍光性化合物を用いる場合は
、免疫反応中常に、または免疫反応終了後に、大過剰の
金属イオンを添加しなければならず、かつ、蛍光測定に
際して抗体等が固定化してある固相を乾燥させなければ
ならないという問題がある。さらに、この蛍光性化合物
と希土類金属イオンにより形成された錯体の示す蛍光強
度は、期待されるほど強いものではないため、前記特開
昭64−47952号に開示されているように、特異的
結合体である抗体とこの蛍光性化合物との間にBSAや
アビジン等の蛋白質を介在させ、抗体1分子当りの標識
数をかなり増大させなければ、実用的な測定感度は達成
できないという問題もある。
【0026】さらに、Alpha B.らやBlass
e G. は、クリプタンドと希土類金属イオンによっ
て形成される錯体の蛍光について述べている(Ange
w. Chem. Int. Ed. Engl., 
26, p.266−267, 1987; Chem
istry of Materials, 1, p.
294−301, 1989)。
【0027】クリプタンドは、錯体としての安定度や蛍
光性において比較的好ましい性質を有している化合物で
あるが、その基本構造中に、蛋白質と結合するための官
能基を導入することが困難であるという問題がある。ま
た、クリプタンドの基本構造の中心に金属イオンが取り
込まれてしまえば、形成された錯体は安定であるが、該
錯体を形成させる工程、すなわちキレート化させる工程
として、高温で長時間反応させる等の操作を組み込まな
ければならない等の問題もある。
【0028】前述の公知の化合物の他にも、キレート剤
となり得る大環状化合物として、例えば、クラウンエー
テルや大環状ポリアミン等の化合物が知られている。
【0029】これら環状構造を有する化合物は、金属イ
オンと共に比較的安定な錯体を形成し得るが、環の空孔
サイズと配位すべき中心金属のイオン半径とが一致して
いなければならないため、中心金属と環状構造を有する
化合物との組合せは著しく限定されてしまう。さらに、
ビスジピリジルや大環状ポリアミン等は、比較的平面的
な構造をとるため、二次元的に中心金属に配位すること
しかできず、三次元的に配位できるEDTA等を配位子
とする錯体よりも、錯体としての安定性が低いことが予
想される。
【0030】
【発明が解決しようする課題】前記の如く、生体試料中
の標的物質を測定する際の標識剤としての蛍光物質の利
用は、解決すべき課題はあるものの、非常に有用性が高
いと考えられる。
【0031】そして、前記課題の解決は、安定で、スト
ークスシフトが大きく、蛍光寿命が長く、かつ、水性溶
媒中でも消光作用を受けにくい蛍光物質の開発により達
成される。
【0032】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものあり、水系でも十分な強度の蛍光を発し、蛍光寿
命の長い安定な錯体を希土類金属イオンと共に容易にか
つ安定に形成できる蛍光性化合物と、該蛍光性化合物と
希土類金属イオンによって形成される錯体、該蛍光性化
合物または該錯体と特異的結合体とが直接または間接に
結合してなる試薬、および該試薬を用いる特異的結合ア
ッセイの提供を目的とする。
【0033】なお、本明細書において、「特異的結合体
」とは、ある物質と特異的に結合する物質をいう。
【0034】
【課題を解決するための手段】前記のような従来技術に
おける種々の問題点を解決するべく、鋭意研究の結果、
本発明者らは、蛍光測定法、特に時間分解蛍光測定法に
使用するに際して極めて有用であり、特異的結合体に結
合させても用いることのできる新規の蛍光性化合物を開
発することに成功すると共に、その具体的用途である特
異的結合アッセイを開発することに成功し、本発明を完
成した。
【0035】すなわち、本発明第一の態様は、下記式A
で示される蛍光性化合物である。
【0036】
【化6】
【0037】(式A中、mは1または2であり、nは0
〜4の整数である。R1 は、それぞれ独立に、水素原
子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラル
キル基、アリール基から選択される。R2 は、それぞ
れ独立に、水素原子、アリール基、アルキル基から選択
される。R3 は、それぞれ独立に、−R3−1 −R
3−2 で示される官能基(ただし、R3−1 は必須
ではないが、存在する場合は、アルキレン基、アリーレ
ン基、アラルキレン基から選択され、R3−2 は必須
であり、水素原子、アルキル基、アリール基、カルボキ
シル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アミノ基、
アミド基、スルフォンアミド基、スルフィド基、スルフ
ォキシド基、スルフォン基、ハライド原子、カルボニル
基、ニトロ基から選択される。)から選択される。R4
 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケ
ニル基、アルキニル基、アリール基、カルボキシル基、
ヒドロキシル基、アルコキシル基、アミノ基、アミド基
、スルフォンアミド基、スルフィド基、スルフォキシド
基、スルフォン基、ニトロ基、ハライド原子、メルカプ
ト基、カルボニル基、−R4−1 −R4−2 で示さ
れる官能基(ただし、R4−1 は必須ではないが、存
在する場合は、アルキレン基、アルケニレン基、アリー
レン基、アラルキレン基から選択され、R4−2 は必
須であり、下記(化7に示す)官能基から選択される。 )から選択される。
【0038】
【化7】
【0039】なお、R4 は、隣接するR4 同士が結
合して縮環し、フェナンスロリン環を形成している二つ
または三つの炭素原子を含む芳香環または複素環となっ
ていてもよい。)
【0040】また、本発明第二の態様は、本発明第一の
態様の蛍光性化合物と希土類金属イオンにより構成され
る錯体である。
【0041】さらに、本発明第三の態様は、特異的結合
体と、該特異的結合体に直接または間接に結合した本発
明第一の態様の蛍光性化合物または本発明第二の態様の
錯体とで構成される試薬である。
【0042】加えて、本発明第四の態様は、液性試料中
の標的物質を測定する特異的結合アッセイであって、特
異的結合体と、該特異的結合体に直接または間接に結合
した本発明第一の態様の蛍光性化合物とで構成される本
発明第三の態様の試薬を用い、該試薬中の蛍光性化合物
と希土類金属イオンにより錯体を構成させ、該錯体を励
起し、前記標的物質の量または濃度に相関する、該錯体
の示す崩壊寿命の長い蛍光の強度を測定することを特徴
とする特異的結合アッセイであり、本発明第五の態様は
、液性試料中の標的物質を測定する特異的結合アッセイ
であって、特異的結合体と、該特異的結合体に直接また
は間接に結合した本発明第二の態様の錯体とで構成され
る本発明第三の態様の試薬を用い、該試薬中の蛍光性化
合物と希土類金属イオンによって構成される錯体を励起
し、前記標的物質の量または濃度に相関する、該錯体の
示す崩壊寿命の長い蛍光の強度を測定することを特徴と
する特異的結合アッセイである。
【0043】以下に、本発明の構成を詳細に説明する。 本発明第一の態様の蛍光性化合物は、前記式Aで示され
る。
【0044】ここで、「蛍光性化合物」とは、後述する
希土類金属イオンに配位して錯体となったときに、希土
類金属イオンの蛍光を増強せしめ得る化合物をいう。
【0045】前記式Aで示される本発明第一の態様の蛍
光性化合物は、該化合物の環構造の中心側に位置する窒
素原子の孤立電子対が後述する希土類金属イオンに配位
する、そして、環構造の空孔サイズが、該希土類金属イ
オン半径とほぼ一致することを特徴とする。従って、該
希土類金属イオンを安定に保持できる。
【0046】また、前記式A中にR1 〜R4 で示さ
れる位置の原子や官能基の選択により、あるいはm、n
の選択により、本発明第一の態様の蛍光性化合物に、下
記する様々な特徴をも有させることができる。
【0047】すなわち、R1 は、環構造の空孔サイズ
や希土類金属イオンの取り込まれ易さ、錯体の安定性等
に影響を与え、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基
、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリー
ル基から選択されるが、水素原子を選択すると、環構造
が柔軟となり、また、空孔サイズが希土類金属イオンの
イオン半径と一致するので好ましい。
【0048】R2 は、カルボキシル基の配位能力、方
向性、柔軟性に影響を与え、それぞれ独立に、水素原子
、アリール基、アルキル基から選択されるが、水素原子
が最も好ましい。
【0049】R3 は、それぞれ独立に、−R3−1 
R3−2 で示される官能基(R3−1 およびR3−
2 についての説明は前記したので省略する)から選択
される。
【0050】R3 として水素原子を選択(R3−1 
:なし、R3−2 :水素原子)すると、本発明第一の
態様の蛍光性化合物が希土類金属イオンと錯体を形成す
るに際し、希土類金属イオンが、平面的な窒素原子によ
る配位のみならず、軸方向からのカルボキシル基による
配位も受けるため、得られる錯体の安定度が上昇する。
【0051】また、R3 として、立体的にかさばる官
能基を選択してもよい。この場合には、例えば、次のよ
うな測定方法に本発明第一の態様の蛍光性化合物を応用
することができる。
【0052】すなわち、立体的にかさばるR3 が存在
するために、本発明の蛍光性化合物は、軸方向の立体障
害が大きくなり、希土類金属イオンと錯体を形成できな
いが、測定すべき標的物質の量に応じて特異的にR3を
切断、除去せしめてカルボキシル基を復活させることに
より、本発明の蛍光性化合物を希土類金属イオンに配位
可能な構造に変換せしめ、錯体を形成せしめ、錯体由来
の蛍光を測定する方法等である。
【0053】本発明第一の態様の蛍光性化合物をこのよ
うな方法に使用する場合には、R3 としては、アリー
ル基を選択することが好ましく、特に、下記式Eまたは
Fで示される官能基を選択することが好ましい。
【0054】
【化8】
【0055】
【化9】
【0056】なお、式E中におけるR7 は、それぞれ
独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、アリール基、カルボキシル基、ヒドロキシル基
、アルコキシル基、アミノ基、アミド基、スルフォンア
ミド基、スルフィド基、スルフォキシド基、スルフォン
基、ニトロ基、ハライド原子、メルカプト基、カルボニ
ル基、−R7−1 −R7−2 で示される官能基(た
だし、−R7−1 −R7−2 は、式A中における−
R4−1 −R4−2 と同様に定義される。)から選
択され、式F中におけるR8 は、R7 と同様である
【0057】R4 は、それぞれ独立に、水素原子、ア
ルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、
カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、ア
ミノ基、アミド基、スルフォンアミド基、スルフィド基
、スルフォキシド基、スルフォン基、ニトロ基、ハライ
ド原子、メルカプト基、カルボニル基、−R4−1 −
R4−2 で示される官能基(R4−1 およびR4−
2 についての説明は前記したので省略する)から選択
されるか、あるいは、隣接するR4 同士が結合して縮
環し、フェナンスロリン環を形成している二つまたは三
つの炭素原子を含む芳香環または複素環となる。
【0058】なお、該芳香環または複素環は、本発明第
一の態様の蛍光性化合物の基本骨格に含まれる二つのフ
ェナンスロリン環に対し、直接に共役して縮環したもの
であるが、このような縮環したR4 を有する本発明第
一の態様の蛍光性化合物のフェナンスロリン環部分の一
例として、下記式G、Hで示される基が挙げられる。
【0059】
【化10】
【0060】
【化11】
【0061】ここで、式G中におけるR9 は、それぞ
れ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、アリール基、カルボキシル基、ヒドロキシル
基、アルコキシル基、アミノ基、アミド基、スルフォン
アミド基、スルフィド基、スルフォキシド基、スルフォ
ン基、ニトロ基、ハライド原子、メルカプト基、カルボ
ニル基、−R9−1 −R9−2 で示される官能基(
ただし、−R9−1 −R9−2 は、式A中における
R4−1 −R4−2 と同様に定義される。)から選
択され、式H中におけるR10は、R9 と同様である
【0062】ところで、R4 の位置は、本発明第一の
態様の蛍光性化合物の構造中における、希土類金属イオ
ンとの錯体形成には殆ど関与しない部分であり、前記し
たような種々の官能基が導入され得るのであるが、R4
 として適切な官能基を選択することにより、該蛍光性
化合物と希土類金属イオンとによって形成される錯体の
最適励起波長を、好ましい波長にシフトさせることがで
きる。
【0063】そして、一般的に、構造式中に共役系をよ
り多く含む方が、エネルギー効率がよく、結果として、
錯体の蛍光強度が高まるので、最適な励起波長を選択し
て、励起光の吸収効率を上昇させ、錯体からの蛍光強度
を増大させるために、R4 として、特にアリール基を
選択することが好ましい。
【0064】また、R4 として、本発明第一の態様の
蛍光性化合物を後述する特異的結合体と結合可能とする
官能基を選択することも好ましい。
【0065】このような官能基としては、例えば、−R
4−1 −R4−2 で示される官能基(R4−1 お
よびR4−2 についての説明は前記したので省略する
)が挙げられるが、具体的な官能基の選択は、本発明の
蛍光性化合物を結合させる相手の物質の、結合に関与す
る部分の構造に影響される。
【0066】例えば、本発明の蛍光性化合物を結合させ
る相手が特異的結合体の一種である蛋白質であり、結合
部位がアミノ基である場合には、R4 として、−R4
−1 −R4−2 で示され、かつ、−R4−2 が−
SO2 Cl、−N=C=S、−COOHおよびその誘
導体、マレイミド基等である官能基を選択するのがよい
【0067】前記式A中のmは、それぞれ独立に、0ま
たは1であり、4箇所のmは、互いに同じであっても異
なっていてもよいが、錯体形成に関与する窒素原子と配
位される希土類金属イオンとの間の距離は等しい方がよ
いので、4箇所のmが同じであることが好ましい。また
、mが2以上となると、空孔サイズが希土類金属イオン
半径と一致しなくなるので、mは0または1とする。
【0068】前記式A中のnは、それぞれ独立に、0〜
4の整数から選択される。nが5以上の整数となると、
立体的障害が起こり得るし、また、nが5以上の整数で
かつR3 が水素原子の場合、カルボキシル基の希土類
金属イオンへの配位性が低下するので、nは0〜4の整
数とする。
【0069】なお、本発明第一の態様の蛍光性化合物は
、 前記式Aで示されるが、中でも、下記式BまたはC
で示される化合物が好ましく、特に、下記式Iで示され
る基本骨格を有する化合物が好ましい。
【0070】
【化12】
【0071】(式B中、 R5 は、それぞれ独立に、
水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、
アリール基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコ
キシル基、アミノ基、アミド基、スルフォンアミド基、
スルフィド基、スルフォキシド基、スルフォン基、ニト
ロ基、ハライド原子、メルカプト基、カルボニル基、−
R5−1 −R5−2 で示される官能基(ただし、−
R5−1 −R5−2 は、式A中における−R4−1
 −R4−2 と同様に定義される。)から選択される
。)
【0072】
【化13】
【0073】(式C中、R6 は、それぞれ独立に、式
D(化14に示す)で示される官能基から選択される。 式D中の−R6−1 −R6−2 は、式A中における
−R4−1 −R4−2 と同様に定義され、式D中の
kは、0〜5の整数である。)
【0074】
【化14】
【0075】
【化15】
【0076】次に、本発明第一の態様の蛍光性化合物の
好適合成方法の一例として、前記式Iで示される化合物
の合成方法を、図1に即して説明する。
【0077】第一の工程として、化合物aのトシル化を
行ない、次に、化合物aのトシル化体である化合物bを
、化合物cと反応させる。
【0078】ここで、化合物aと化合物cとを反応させ
ずに、化合物bと化合物cとを反応させるのは、前者を
行なうと、目的とする化合物ではなく、下記式Jで示さ
れる化合物が合成されてしまうためである。
【0079】
【化16】
【0080】なお、化合物bと化合物cとの反応に際し
、共存させる溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ク
ロロホルム、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、化
合物bおよび化合物cの溶解性と収率の面で、ジメチル
ホルムアミドが好ましい。また、この反応に用いる塩基
としては、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、ビス(ジ
メチルアミノ)ナフタレン等が例示されるが、炭酸カリ
ウムが好ましい。そして、この反応の反応温度は、収率
を考慮すると、100〜200℃が好ましい。また、反
応が高温で行なわれるため、酸素による原料(化合物b
、化合物c)および生成物(化合物d)の劣化防止のた
めに、反応容器全体を窒素もしくはアルゴン等の不活性
ガスで置換してもよい。
【0081】次に、得られた化合物dの脱トシル化を行
なう。この脱トシル化反応は、Bottino F.等
の方法(J. Org. Chem., 53, p.
3521, 1988 )等に記載の公知方法に従えば
よい。また、脱トシル化反応の際の溶媒としては、硫酸
と酢酸との混合溶媒が好ましい。反応条件としては、6
0〜100℃で12時間以上反応させるのが好ましく、
約80℃で約12時間反応させるのが特に好ましい。反
応温度が50℃以下では、脱トシル化されないものが残
り、また、反応時間が短くても、同様に原料が残る。
【0082】続いて、化合物eの2位および15位の窒
素原子に、エトキシカルボニルメチル基を導入する。こ
の際の、エトキシカルボニルメチル基を提供する原料と
しては、クロロ酢酸エチル、ブロモ酢酸エチル等が挙げ
られ、また、触媒として用いる塩基としては、炭酸カリ
ウム、ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、ジイソプロ
ピルエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。 なお、該原料としてブロモ酢酸エチルを選択し、該塩基
として、炭酸カリウムを選択するのが好ましい。さらに
、反応系に共存させる溶媒としては、ジメチルホルムア
ミド、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトニト
リル等が挙げられ、特に、ジメチルホルムアミドが好ま
しい。
【0083】このようにして合成された化合物fは、本
発明第一の態様の蛍光性化合物であるが、さらに、脱エ
チル化を行ない、化合物gとしてもよい。
【0084】脱エチル化反応は、常法である、アルコー
ル溶媒中でのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水
酸化物を用いる加水分解によって行なえばよい。溶媒は
、アルコール溶媒なら何れのものを選択してもよいが、
化合物eの溶解性を考慮すると、低級飽和アルコール、
特にメタノールまたはエタノールを選択することが好ま
しい。また、該水酸化物としては、本反応を妨げないも
のであれば如何なるものでもよいが、メタノールやエタ
ノールに溶解し易い水酸化カリウムが好ましい。反応条
件は、加水分解を確実に行なうためには、還流下で1時
間以上反応させることが好ましい。
【0085】本発明第二の態様は、本発明第一の態様の
蛍光性化合物と希土類金属イオンにより構成される錯体
である。
【0086】該希土類金属としては、ユウロピウム、テ
ルビウム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウム
等が挙げられるが、蛍光強度の観点から、特にユウロピ
ウム、テルビウムが好ましく、蛍光寿命の観点を含める
と、特にユウロピウムが好ましい。
【0087】本発明第二の態様の錯体は、本発明第一の
態様の蛍光性化合物の環構造の中心側に位置する窒素原
子の孤立電子対が、希土類金属イオンに配位することを
特徴とする。
【0088】また、本発明第一の態様の蛍光性化合物が
、その2位および15位の窒素原子から伸びる官能基の
末端にカルボキシル基を有するか、あるいは、ある条件
の下で該カルボキシル基が復活する構造である場合には
、前記希土類金属イオンは、このカルボキシル基によっ
ても配位される。そして、この配位は、前記窒素原子の
孤立電子対による配位とは約90度ずれる方向からの配
位となるので、希土類金属イオンは、三次元的に配位さ
れることになり、該錯体の安定性が増大する。
【0089】本発明第二の態様の錯体は、上記の配位特
性と、本発明第一の態様の蛍光性化合物の環構造の空孔
サイズが、希土類金属イオン半径とほぼ一致することか
ら、非常に安定となる。
【0090】本発明第二の態様の錯体は、本発明第一の
態様の蛍光性化合物と希土類金属塩とを混合すること等
の方法によって得ることができる。
【0091】本発明第二の態様の錯体は、特徴ある蛍光
特性を示す。すなわち、本発明の錯体の蛍光寿命は、バ
ックグラウンドとなる他の物質由来の蛍光寿命に比較し
て十分長いという特徴である。このため、本発明の錯体
を用いると、バックグラウンド蛍光が消失した後に、本
発明の錯体からの蛍光を測定することができる。従って
、本発明第二の態様の錯体からの蛍光は、時間分解蛍光
光度計、すなわち、パルス方式で励起し、ゲート機能に
より励起と蛍光検出の間に、バックグラウンド蛍光を除
去するための時間的遅延を設けた蛍光光度計にて測定す
ることが好ましい。また、本発明の錯体は、ストークス
シフトが大きいという特徴も有する。
【0092】本発明第三の態様は、特異的結合体と、該
特異的結合体に直接または間接に結合した本発明第一の
態様の蛍光性化合物または本発明第二の態様の錯体とで
構成される試薬である。
【0093】本発明第三の態様の試薬を構成する特異的
結合体とは、前記したように、ある物質と特異的に結合
する物質をいうが、より具体的には、例えば、抗体、抗
原、ハプテン、ホルモン、蛋白質、ポリペプチド、核酸
、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、オリゴサッ
カライド、ポリサッカライド等が挙げられる。
【0094】ところで、該特異的結合体と本発明第一の
態様の蛍光性化合物、または、本発明第二の態様の錯体
との結合は、直接的であっても、間接的であってもよい
のであるが、直接的に結合させる場合には、本発明第一
の態様の蛍光性化合物として、前記したように、特異的
結合体の結合に関与する部分の構造に即して選択された
官能基を有する化合物を選択する。また、本発明第二の
態様の錯体についても、該錯体を構成する蛍光性化合物
として、同様の化合物を選択する。
【0095】具体的には、特異的結合体の結合に関与す
る部分の構造としては、アミノ基、カルボキシル基、メ
ルカプト基、アルデヒド基などの反応性の官能基を挙げ
ることができ、これらの官能基と反応する蛍光性化合物
の側の官能基としては、スクシイミドエステル基、イソ
チオシアナート基、スルフォニルクロライド基、アルキ
ルハライド基、マレイミド基、ヒドラジド基等が挙げら
れる。
【0096】なお、前記したような官能基を有する蛍光
性化合物と特異的結合体との結合方法には、「石川栄治
他編、酵素免疫測定法(第3版)、医学書院、75−1
51(1987)」等に記載された公知の方法を用いれ
ばよい。
【0097】また、特異的結合体と蛍光性化合物または
錯体との結合反応液から、それらが結合してなる化合物
を得るには、ゲルろ過法などの方法にて、精製を行なえ
ばよく、これも、同書等に記載されている公知技術に従
えばよい。
【0098】一方、間接的に結合させる場合には、本発
明第一態様の蛍光性化合物、または、本発明第二の態様
の錯体と、特異的結合体との間に、ウシ血清アルブミン
(BSA)、サイログロブリン、アビジン、ストレプト
アビジンのような蛋白質、ポリL−リジン等のポリペプ
チド、ビオチン、および/または、架橋試薬として知ら
れる公知の物質を介在させればよい。
【0099】本発明第一の態様の蛍光性化合物、または
、本発明第二の態様の錯体と、特異的結合体との間に、
上記のような物質を介在させると、上記のような物質に
は、多数の標識剤(蛍光性化合物あるいは錯体)が結合
可能であるので、標識剤が多数結合した試薬が得られる
【0100】なお、本発明第一の態様の蛍光性化合物、
または、本発明第二の態様の錯体と、特異的結合体との
間に介在される物質は、1種類に限定されるわけではな
い。
【0101】例えば、アビジンと蛍光性化合物とを結合
させ、一方、特異的結合体とビオチンとを結合させ、そ
の後、蛍光性化合物標識アビジンとビオチン標識特異的
結合体とを結合させることにより、蛍光性化合物と特異
的結合体との間にアビジンおよびビオチンが介在する試
薬を得ることができる。なお、この試薬は、後記する特
異的結合アッセイの際に、反応系中で蛍光性化合物標識
アビジンとビオチン標識特異的結合体とを結合させると
いう用い方もできる。
【0102】あるいは、蛍光性化合物とBSAとを架橋
試薬を用いて結合させ、同じく、特異的結合体とBSA
とを架橋試薬を用いて結合させ、蛍光性化合物と特異的
結合体との間に、架橋試薬およびBSAが介在する試薬
を得ることができる。
【0103】標識剤である蛍光性化合物または錯体の一
般的な結合方法としては、直接的結合、間接的結合の何
れの場合でも、従来より、酵素免疫測定法(EIA)用
の標識試薬を作製するために、標識剤である酵素を抗体
等に結合させる際に用いられている、グルタルアルデヒ
ド法、過ヨウ素酸法、マレイミド法、ピリジルジスルフ
ィド法あるいは混合酸無水物法等の方法、あるいは、必
要に応じ、これらの方法を適宜改変した方法が例示され
る。
【0104】また、標識される物質が核酸である場合に
は、結合方法は、高橋豊三による「DNAプローブII
」(シーエムシー社刊)に記載の方法が好ましい。
【0105】本発明第三の態様の試薬は、血液、尿等の
体液や、工業用水等中に存在する標的物質の測定におい
て、標識特異的結合体として使用することができる。特
に、液性試料中に存在する標的物質を測定する際に有用
である。
【0106】ここで、標的物質とは、被測定物質のこと
であり、具体的には、血液、尿等の体液や、工業用水等
中に存在する様々な物質、さらに具体的には、薬物、代
謝物質、生理活性物質、化学物質、天然物質、抗生物質
、遺伝物質等を指す。
【0107】本発明第三の態様の試薬は、いずれの標的
物質にも対応して作製され得るが、これらの試薬を用い
て測定することが好適な標的物質としては、抗体、抗原
、核酸、ポリヌクレオチド、細胞、ホルモン、ウイルス
、細菌、原虫、ハプテン、ポリペプチド、アレルゲン、
オリゴサッカライド、ポリサッカライド等が挙げられる
【0108】なお、本発明第三の態様の試薬の作製にあ
たり、対応する標的物質の種類を考慮することはもちろ
んであるが、さらに、測定方法も考慮しなければならな
い。
【0109】例えば、標的物質が抗原である場合、本発
明の試薬を構成する特異的結合体としては、抗体や、該
抗原またはそのアナログが選択される。
【0110】同様に、標的物質が生体内レセプターであ
る場合には、特異的結合体としては、アクセプターや、
該レセプターまたはそのアナログが選択される。
【0111】さらに、標的物質が核酸である場合は、特
異的結合体としては、相補的な核酸や、標的物質と同一
またはそれが若干改変された核酸が選択される。
【0112】本発明第四の態様および第五の態様は、本
発明第三の態様の試薬を標識物質として用いる、液性試
料中の標的物質を測定する特異的結合アッセイである。
【0113】ここで、液性試料とは、血液、血清、血し
ょう、尿、髄液、精液などの各種体液や糞便や組織から
の抽出液、あるいは工業用水等を指す。
【0114】特異的結合アッセイとは、抗原抗体反応を
利用した免疫測定、レセプター、アクセプターの結合反
応を利用したアッセイ、核酸のハイブリダイゼーション
を利用したアッセイなどを指す。
【0115】標的物質とは、被測定物質のことであり、
具体的には、下記の物質が例示される。
【0116】すなわち、特異的結合アッセイが抗原抗体
反応を利用した免疫測定の場合は、標的物質としては、
アルファフェトプロテイン(AFP)、カルシノエンブ
リオニックアンティゲン(CEA)、CA19−9、C
A125、CA54/61、CA602などといった腫
瘍マーカーとして用いられる物質、フェリチン、ベータ
2ミクログロブリン(β2m)などといった生体機能の
指標となり得る物質、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hC
G)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、卵胞刺激ホルモ
ン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)などといった
糖蛋白ホルモンやペプチドホルモン、エストロゲン、プ
ロゲステロン、テストステロン、コルチゾールなどとい
ったステロイドホルモン、HBs抗原などといったウイ
ルス性抗原およびそれに対する抗体などといったハプテ
ンまたは完全抗原となり得る物質およびこれらに対する
抗体等が例示される。
【0117】特異的結合アッセイがレセプター、アクセ
プターの結合反応を利用したアッセイの場合は、標的物
質としては、アンドロゲン、アンドロゲンレセプター、
エストロゲン、エストロゲンレセプター、インシュリン
、インシュリンレセプター、甲状腺ホルモン、甲状腺ホ
ルモンレセプター、グルココルチコイド、グルココルチ
コイドレセプターなどのレセプター/アクセプターの関
係にある物質が挙げられる。
【0118】特異的結合アッセイが核酸のハイブリダイ
ゼーションを利用したアッセイの場合は、標的物質とし
ては、ヘパタイティスBウイルス(HBV)やヘパタイ
ティスCウイルス(HCV)等のウイルスのDNAやR
NA、また、感染症の原因となるクラミジア、カンピロ
バクター、結核菌、多剤耐性ブドウ球菌、毒素産生大腸
菌等のDNAやRNA等の核酸が例示される。
【0119】本発明第四の態様、第五の態様の特異的結
合アッセイは、サンドイッチ法や競合法、およびその他
の原理に基づく方法で実施可能である。
【0120】液性試料中の抗原(標的物質)を、サンド
イッチ法を用いて免疫測定する場合は、下記のように行
なう。
【0121】このようなサンドイッチ法では、2種の抗
体を必要とし、第1の抗体は固相化抗体、第2の抗体は
標識抗体(本発明第三の態様の試薬である)として用い
られる。そして、2種の抗体と抗原で形成される免疫複
合体中の蛍光活性を測定することにより、抗原量が定量
できるのである。
【0122】より具体的に述べると、本発明第四の態様
では、例えば、液性試料中の抗原と、蛍光性化合物が直
接または間接に結合した標識抗体および固相化抗体とを
反応させることによって免疫複合体を得る。なお、反応
は、ワンステップ法、ツーステップ法等のいずれでもよ
い。そこに希土類金属イオンを添加し、前記標識抗体中
の蛍光性化合物と希土類金属イオンとで錯体を形成せし
める。その後、該錯体に適切な波長の励起光を照射して
励起せしめ、好ましくは共存物質によるバックグラウン
ド蛍光が消光した後、該錯体からの蛍光の強度を測定す
る(時間分解蛍光測定法)。
【0123】上記方法において、希土類金属イオンの添
加は、免疫複合体の形成後に限定されるわけではない。 標識抗体を反応に供する前に、標識抗体中の蛍光性化合
物と希土類金属イオンとで錯体を形成させてもよいし、
あるいは、標識抗体の反応中に希土類金属イオンを添加
し、錯体を形成させてもよい。
【0124】本発明第五の態様の場合は、標識抗体とし
て、蛍光性化合物と希土類金属イオンとで構成される錯
体が直接または間接に抗体に結合したものを用いるので
、該標識抗体および固相化抗体と液性試料中の抗原とを
反応させて免疫複合体を得た後、前記錯体に適切な波長
の励起光を照射して励起せしめ、好ましくは共存物質に
よるバックグラウンド蛍光が消光した後、該錯体からの
蛍光の強度を測定する。
【0125】このようなサンドイッチ法では、蛍光の強
度は抗原量にほぼ比例する。なお、蛍光強度を高めるた
めに、測定時に界面活性剤等を共存させてもよい。
【0126】また、液性試料中の抗原(標的物質)を競
合法で測定する場合は、下記のように行なう。
【0127】競合法には、抗原またはそのアナログを標
識試薬として用いる方法と、抗体を標識試薬として用い
る方法がある。前者の場合は、抗原に対する抗体を固相
化しておき、この固相化抗体を、液性試料中の抗原と、
本発明第三の態様の試薬である標識された抗原(または
そのアナログ)とで競合せしめ、その後、固相化抗体に
結合した標識抗原(またはそのアナログ)の蛍光活性を
測定することにより、抗原量を定量するのである。
【0128】また、後者の場合は、まず、本発明第三の
態様の試薬である標識抗体と液性試料中の抗原とを結合
させ、次いで、抗原と結合しなかった標識抗体を、予め
固相化しておいた抗原(またはそのアナログ)と反応さ
せ、固相化抗原(またはそのアナログ)に結合した標識
抗体の蛍光活性を測定することにより、抗原量を定量す
るのである。
【0129】これらの競合法においても、前記サンドイ
ッチ法の場合と同様に、本発明第四の態様の特異的結合
アッセイの場合は、蛍光活性の測定よりも前のいずれか
の工程で、希土類金属イオンを添加し、標識抗原あるい
は標識抗体中の蛍光性化合物と希土類金属イオンとで錯
体を形成せしめる。一方、本発明第五の態様の特異的結
合アッセイの場合は、標識抗原あるいは標識抗体は錯体
で標識されているので、希土類金属イオンの添加工程は
不要である。
【0130】なお、競合法の場合は、蛍光の強度は抗原
量にほぼ反比例する。
【0131】本発明第四の態様、第五の態様の特異的結
合アッセイのひとつである免疫測定では、液性試料中に
存在する抗体の測定も可能である。この場合、抗体の認
識する標識抗原(本発明第三の態様の試薬)を用いる方
法、該抗体を認識する抗体、すなわち、第2抗体として
標識抗体(本発明第三の態様の試薬)を用いる方法があ
る。
【0132】前者においては、標的物質である生体内で
産生される抗体は2価以上でなければならない。そして
、抗原を固相化および標識物質として用い、前記抗体を
該2個の抗原と結合させて複合体を形成させ、該複合体
中の錯体に由来する蛍光活性を測定する。
【0133】また、後者においては、抗原を固相化し、
これに反応した標的物質である抗体にさらに蛍光標識さ
れた第2抗体を反応させ、複合体を形成させ、該複合体
中の錯体に由来する蛍光活性を測定する。この際、抗原
は、該抗原に対する抗体に結合せられて固相化されても
よい。
【0134】これらの方法においても、本発明第四の態
様の特異的結合アッセイの場合は、希土類金属イオンの
添加工程が必要である。
【0135】また、本発明第四の態様、第五の態様の特
異的結合アッセイでは、レセプター、アクセプターを用
いた高感度なアッセイが可能である。この場合、標識物
質として本発明第三の態様の試薬を用いること、および
、本発明第四の態様の特異的結合アッセイでは、希土類
金属イオンの添加工程があること以外は、「新しいバイ
オ診断薬の開発と評価  テクニカルレサーチレポート
No.1」(シーエムシー社刊)、48〜57頁に記載
の公知方法を用いることができる。
【0136】さらに、本発明第四の態様、第五の態様の
特異的結合アッセイでは、核酸のハイブリダイゼーショ
ンに基づくアッセイを行なうことができる。
【0137】液性試料中の標的物質である核酸を測定す
るには、まず、標的物質の特異的配列に相補的な核酸を
作製し、この相補的な配列の核酸を用いて本発明第三の
態様の試薬を作製する。そして、アッセイは、例えば下
記のように行なう。
【0138】すなわち、一方法においては、まず、生体
試料から核酸を抽出する。抽出した核酸を固相に固定化
した後、それに、標識されたプローブ(本発明第三の態
様の試薬)を反応させ、B/F分離操作後固相に残る標
識されたプローブ由来の蛍光活性を測定することにより
、標的物質の核酸が存在するか否かを調べることができ
る。試料中の目的とする核酸量が微量の場合は、公知技
術であるPCR法等の増幅法を用いてから行なっても良
い。
【0139】また、第二の方法として、標的物質の核酸
の配列の一部と相補的な2種の核酸を作製し、うち第1
の核酸を固相化したのち、そこに生体試料中の標的物質
を反応させ、次に、標識された第2のプローブ(本発明
第三の態様の試薬)を反応させ、サンドイッチタイプの
複合体を作製し、洗浄後、該複合体中の第2のプローブ
由来の蛍光活性を測定し、標的物質の定量を行なう方法
が挙げられる。
【0140】これらの方法においても、本発明第四の態
様の特異的結合アッセイでは、蛍光活性の測定よりも前
の工程に、希土類金属イオンの添加工程がある。
【0141】このように、本発明第四の態様には、標識
物質として、本発明第一の態様の蛍光性化合物が特異的
結合体に直接または間接に結合してなる本発明第三の態
様の試薬を用い、該蛍光性化合物と希土類金属イオンに
より錯体を形成させる工程と、該錯体を励起して蛍光強
度を測定する工程とを有する、免疫測定法、レセプター
、アクセプターの結合反応を利用したアッセイ、核酸ハ
イブリダイゼーションを利用したアッセイ等の各種の特
異的結合アッセイが包含される。
【0142】また、本発明第五の態様には、標識物質と
して、本発明第二の態様の錯体が特異的結合体に直接ま
たは間接に結合してなる本発明第三の態様の試薬を用い
、該錯体を励起して蛍光強度を測定する工程を有する、
免疫測定法、レセプター、アクセプターの結合反応を利
用したアッセイ、核酸ハイブリダイゼーションを利用し
たアッセイ等の各種の特異的結合アッセイが包含される
【0143】
【実施例】以下に、実施例として、本発明の実施態様の
一例を示すが、これらは本発明を例示するためのもので
あって、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0144】(実施例1)  2,15−ジアザ[3.
3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファン−
N2 ,N15−ジ酢酸の合成 図1に示す合成経路図に従い、下記の方法で合成を行な
った。
【0145】(1)2,9−ジ(アミノメチル)−1,
10−フェナンスロリン過塩素酸塩(a) の合成2,
9−ジメチル−1,10−フェナンスロリンを原料とし
て用い、「J. Heterocyclic Chem
., 18, P.599, 1981」に記載の方法
によって合成した。
【0146】(2)2,9−ジ(トシルアミノメチル)
−1,10−フェナンスロリン(b) の合成(1)で
得た2,9−ジ(アミノメチル)−1,10−フェナン
スロリン過塩素酸塩(a) 1.76g(4mmol)
をピリジン20mlに溶解し、氷浴下で冷却しながら、
塩化p−トルエンスルホニル1.6g(8mmol)を
加えた。室温で3時間攪拌し、反応液を水200mlに
注いだ後、クロロホルム200mlで抽出した。 クロロホルム抽出液を、クロロホルム−メタノールを展
開溶媒として用いてシリカゲルカラムにて精製し、目的
とする2,9−ジ(トシルアミノメチル)−1,10−
フェナンスロリン(b) 1.87gを得た。
【0147】(3)2,9−ジ(ブロモメチル)−1,
10−フェナンスロリン(c) の合成2,9−ジメチ
ル−1,10−フェナンスロリンを原料として用い、「
J. Heterocyclic Chem., 18
, P.599, 1981」に記載の方法によって合
成した。
【0148】(4)N2 ,N15−ジトシル−2,1
5−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナン
スロリノファン(d) の合成 (2)で得た2,9−ジ(トシルアミノメチル)−1,
10−フェナンスロリン(b) 628mg(1.15
mmol)と(3)で得た2,9−ジ(ブロモメチル)
−1,10−フェナンスロリン(c) 420mg(1
.15mmol)とをジメチルホルムアミド500ml
に溶解し、炭酸カリウム5gを加え、120℃で4時間
加熱攪拌した。冷却後、反応液を濾過し、濾液を濃縮し
た。濃縮された残分に水を加え、析出した結晶を濾別し
、目的とするN2,N15−ジトシル−2,15−ジア
ザ[3.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノ
ファン(d) 310mgを得た。
【0149】(5)2,15−ジアザ[3.3](2,
9)−1,10−フェナンスロリノファン(e) の合
成(4)で得たN2 ,N15−ジトシル−2,15−
ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナンスロ
リノファン(d) 310mgを硫酸4mlと酢酸6m
lとの混合溶液に溶解し、80℃にて20時間加熱撹拌
した。反応液を氷水100ml中に注ぎ、水酸化ナトリ
ウムにて中和した。析出した結晶を濾別し、水洗し、減
圧乾燥し、目的とする2,15−ジアザ[3.3](2
,9)−1,10−フェナンスロリノファン(e) 1
80mgを得た。
【0150】(6)2,15−ジアザ[3.3](2,
9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,N
15−ジ酢酸ジエチル(f) の合成 (5)で得た2,15−ジアザ[3.3](2,9)−
1,10−フェナンスロリノファン(e) 180mg
をジメチルホルムアミド100mlに溶解し、炭酸カリ
ウム2gおよびブロモ酢酸エチル2mlを加え、100
℃にて12時間加熱撹拌した。冷却後、反応液を濾過し
、濾液を濃縮した。濃縮された残分を、クロロホルム−
メタノールを展開溶媒として用いてシリカゲルカラムに
て精製し、目的とする2,15−ジアザ[3.3](2
,9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,
N15−ジ酢酸ジエチル(f)40mgを得た。
【0151】(7)2,15−ジアザ[3.3](2,
9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,N
15−ジ酢酸(g) の合成 (6)で得た2,15−ジアザ[3.3](2,9)−
1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,N15−
ジ酢酸ジエチル(f) 40mgをメタノール10ml
に溶解し、水酸化カリウム50mgを加え、50〜10
0℃で2時間還流させた。反応液を濃縮した後、水10
mlを加えて希釈し、希塩酸にて中和した。析出した物
質を濾別し、目的とする2,15−ジアザ[3.3](
2,9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2 
,N15−ジ酢酸(g) 30mgを得た。
【0152】(実施例2)  8−(3´−スクシイミ
ジルオキシカルボニルプロピオンアミド)−2,15−
ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナンスロ
リノファン−N2 ,N15−ジ酢酸の合成図2に示す
合成経路図に従い、下記の方法で合成を行なった。
【0153】(1)5−ニトロ−2,9−ジメチル−1
,10−フェナンスロリン(i) の合成2,9−ジメ
チル−1,10−フェナンスロリン(h) 20gを硫
酸120mlと硝酸40mlとの混合溶液に溶解し、1
00℃にて12時間加熱撹拌した。反応液を氷水300
ml中に注ぎ、析出した結晶を濾別した。その結晶を水
500mlに溶解し、水酸化ナトリウムで中和した。析
出した結晶を濾別し、メタノール300mlより再結晶
し、目的とする5−ニトロ−2,9−ジメチル−1,1
0−フェナンスロリン(i) 8.8gを得た。
【0154】(2)5−ニトロ−2,9−ジ(ブロモメ
チル)−1,10−フェナンスロリン(j) の合成(
1)で得た5−ニトロ−2,9−ジメチル−1,10−
フェナンスロリン(i) 8.4g(0.03mol)
を四塩化炭素500mlに溶解し、N−ブロモスクシン
イミド10.7g(0.06mol)、過酸化ベンゾイ
ル300mgを加え、80℃で12時間還流した。反応
液を濃縮後、ベンゼン200mlを加えて希釈し、不溶
物を濾別した後、濾液を濃縮した。濃縮された残分を、
ベンゼン−酢酸エチルを展開溶媒として用いてシリカゲ
ルカラムにて精製し、目的とする5−ニトロ−2,9−
ジ(ブロモメチル)−1,10−フェナンスロリン(j
) 500mgを得た。
【0155】(3)8−ニトロ−N2 ,N15−ジト
シル−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,1
0−フェナンスロリノファン(k) の合成(2)で得
た5−ニトロ−2,9−ジ(ブロモメチル)−1,10
−フェナンスロリン(j) 410mg(1mmol)
と2,9−ジ(トシルアミノメチル)−1,10−フェ
ナンスロリン(b) (実施例1(2)参照)547m
g(1mmol)とをジメチルホルムアミド500ml
に溶解し、炭酸カリウム5gを加え、120℃で4時間
加熱攪拌した。冷却後、反応液を濾過し、濾液を濃縮し
た。濃縮された残分に水を加え、析出した結晶を濾別後
水洗し、減圧乾燥して、目的とする8−ニトロ−N2 
,N15−ジトシル−2,15−ジアザ[3.3](2
,9)−1,10−フェナンスロリノファン(k) 3
80mgを得た。
【0156】(4)8−ニトロ−2,15−ジアザ[3
.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファン
(l) の合成 (3)で得た8−ニトロ−N2 ,N15−ジトシル−
2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フ
ェナンスロリノファン(k) 380mgを硫酸4ml
と酢酸6mlとの混合溶液に溶解し、80℃にて20時
間加熱撹拌した。反応液を氷水100ml中に注ぎ、水
酸化ナトリウムにて中和した。析出した結晶を濾別し、
目的とする8−ニトロ−2,15−ジアザ[3.3](
2,9)−1,10−フェナンスロリノファン(l) 
230mgを得た。
【0157】(5)8−ニトロ−2,15−ジアザ[3
.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファン
−N2 ,N15−ジ酢酸ジエチル(m) の合成(4
)で得た8−ニトロ−2,15−ジアザ[3.3](2
,9)−1,10−フェナンスロリノファン(1) 2
30mgをジメチルホルムアミド100mlに溶解し、
炭酸カリウム2g、ブロモ酢酸エチル2mlを加え、1
00℃にて12時間加熱した。反応液を濾過し、濾液を
濃縮後、クロロホルム−メタノールを展開溶媒として用
いてシリカゲルカラムにて精製し、目的とする8−ニト
ロ−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10
−フェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸ジ
エチル(m) 65mgを得た。
【0158】(6)8−ニトロ−2,15−ジアザ[3
.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファン
−N2 ,N15−ジ酢酸(n) の合成(5)で得た
8−ニトロ−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−
1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,N15−
ジ酢酸ジエチル(m) 65mgをメタノール10mg
に溶解し、水酸化カリウム50mgを加え、80℃で2
時間還流した。反応液を濃縮後、水10mlを加えて希
釈し、希塩酸にて中和した。析出した結晶を濾別し、目
的とする8−ニトロ−2,15−ジアザ[3.3](2
,9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,
N15−ジ酢酸(n) 40mgを得た。
【0159】(7)8−アミノ−2,15−ジアザ[3
.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファン
−N2 ,N15−ジ酢酸(o) の合成(6)で得た
8−ニトロ−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−
1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,N15−
ジ酢酸(n) 40mgをエタノール15mlに溶解し
、5%パラジウム−カーボン20mgを加え、水素雰囲
気下で20時間攪拌した。反応液を濾過後、濾液を濃縮
し、アモルファス状の目的とする8−アミノ−2,15
−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナンス
ロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸(o) 25m
gを得た。
【0160】(8)8−(3´−スクシイミジルオキシ
カルボニルプロピオンアミド)−2,15−ジアザ[3
.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファン
−N2 ,N15−ジ酢酸(p) の合成(7)で得た
8−アミノ−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−
1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,N15−
ジ酢酸(o) 25mgをジメチルホルムアミド10m
lに溶解し、ジスクシイミジルスクシネート310mg
、炭酸カリウム500mgを加え、80℃で15時間加
熱撹拌した。反応液を濾過後、濾液を濃縮し、濃縮され
た残分を、クロロホルム−メタノールを溶媒として用い
てシリカゲルカラムにて精製し、目的とする8−(3´
−スクシイミジルオキシカルボニルプロピオンアミド)
−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−
フェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸(p
) 15mgを得た。
【0161】(実施例3)  7,10−ジフェニル−
2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フ
ェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸の合成
図3に示す合成経路図に従い、下記の方法で合成を行な
った。
【0162】(1)2,9−ジ(ブロモメチル)−4,
7−ジフェニル−1,10−フェナンスロリン(q) 
の合成 2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フ
ェナンスロリンを原料として用い、「J. Heter
ocyclic Chem., 18, P.599,
 1981」に記載の方法によって合成した。
【0163】(2)N2 ,N15−ジトシル−7,1
0−ジフェニル−2,15−ジアザ[3.3](2,9
)−1,10−フェナンスロリノファン(r) の合成
(1)で得た2,9−ジ(ブロモメチル)−4,7−ジ
フェニル−1,10−フェナンスロリン(q) 465
mg(0.9mmol)と2,9−ジ(トシルアミノメ
チル)−1,10−フェナンスロリン(b) (実施例
1(2)参照)490mg(0.9mmol)をジメチ
ルホルムアミド20mlに溶解し、炭酸カリウム2gを
加え、120℃で4時間加熱攪拌した。冷却後、反応液
を濾過し、濾液を濃縮した。濃縮された残分に水を加え
、析出した結晶を濾別し、クロロホルムより再結晶し、
目的とするN2 ,N15−ジトシル−7,10−ジフ
ェニル−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,
10−フェナンスロリノファン(r) 740mgを得
た。
【0164】(3)7,10−ジフェニル−2,15−
ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナンスロ
リノファン硫酸塩(s) の合成 (2)で得たN2 ,N15−ジトシル−7,10−ジ
フェニル−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1
,10−フェナンスロリノファン(r) 720mgを
硫酸6mlと酢酸9mlとの混合溶液に溶解し、80℃
にて20時間加熱撹拌した。反応液を氷水100ml中
に注ぎ、析出した結晶を濾別し、水洗し、減圧乾燥し、
目的とする7,10−ジフェニル−2,15−ジアザ[
3.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファ
ン硫酸塩(s) 430mgを得た。
【0165】(4)7,10−ジフェニル−2,15−
ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナンスロ
リノファン−N2 ,N15−ジ酢酸ジエチル(t) 
の合成(3)で得た7,10−ジフェニル−2,15−
ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナンスロ
リノファン硫酸塩(s) 380mgをジメチルホルム
アミド10mlに溶解し、炭酸カリウム2g、ブロモ酢
酸エチル2mlを加え、100℃にて12時間加熱撹拌
した。反応液を濾過し、濾液を濃縮した。濃縮された残
分をクロロホルム−メタノールを展開溶媒として用いて
シリカゲルカラムにて精製し、目的とする7,10−ジ
フェニル−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1
,10−フェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ
酢酸ジエチル(t) 180mgを得た。
【0166】(5)7,10−ジフェニル−2,15−
ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナンスロ
リノファン−N2 ,N15−ジ酢酸(u) の合成(
4)で得た7,10−ジフェニル−2,15−ジアザ[
3.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファ
ン−N2 ,N15−ジ酢酸ジエチル(t) 40mg
をメタノール10mlに溶解し、水酸化カリウム50m
gを加え、80℃で2時間還流した。反応液を濃縮後、
水10mlを加えて希釈し、希塩酸で中和した。析出し
た物質を濾別し、目的とする7,10−ジフェニル−2
,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェ
ナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸(u) 
65mgを得た。
【0167】(実施例4)  7,10−ビス(クロロ
スルフォフェニル)−2,15−ジアザ[3.3](2
,9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,
N15−ジ酢酸の合成 図3に示す合成経路図に従い、下記の方法で合成を行な
った。すなわち、実施例3で得た7,10−ジフェニル
−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−
フェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸(u
) 60mgをクロロスルフォン酸1mlに溶解し、8
0℃で4時間加熱撹拌した。反応液を氷水20ml中に
注ぎ、析出した物質を濾別後水洗し、減圧乾燥し、目的
とする7,10−ビス(クロロスルフォフェニル)−2
,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェ
ナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸(v) 
45mgを得た。
【0168】(実施例5)  7,10,20,23−
テトラキス(クロロスルフォフェニル)−2,15−ジ
アザ[3.3](2,9)−1,10−フェナンスロリ
ノファン−N2 ,N15−ジ酢酸の合成図4に示す合
成経路図に従い、下記の方法で合成を行なった。
【0169】(1)2,9−ジ(トシルアミノメチル)
−4,7−ジフェニル−1,10−フェナンスロリン(
x)の合成 2,9−メチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェ
ナンスロリンを原料として用い、「J. Hetero
cyclic Chem., 18, P.599, 
1981」に記載の方法により合成した2,9−ジ(ア
ミノメチル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナ
ンスロリン過塩素酸塩(w)2.36g(4mmol)
をピリジン20mlに溶解し、氷浴下で冷却しながら、
塩化p−トルエンスルホニル1.6g(8mmol)を
加えた。室温で3時間撹拌し、反応液を水200mlに
注いだ後、クロロホルム200mlで抽出した。クロロ
ホルム抽出液を、クロロホルム−メタノールを展開溶媒
として用いてシリカゲルカラムにて精製し、目的とする
2,9−ジ(トシルアミノメチル)−4,7−ジフェニ
ル−1,10−フェナンスロリン(x)1.54gを得
た。
【0170】(2)N2 ,N15−ジトシル−7,1
0,20,23−テトラフェニル−2,15−ジアザ[
3.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファ
ン(y)の合成 2,9−ジ(ブロモメチル)−4,7−ジフェニル−1
,10−フェナンスロリン(q)(実施例3(1)参照
)520mg(1.0mmol)と、(1)で得た2,
9−ジ(トシルアミノメチル)−4,7−ジフェニル−
1,10−フェナンスロリン(x)700mg(1.0
mmol)をジメチルホルムアミド20mlに溶解し、
炭酸カリウム2gを加え、120℃にて4時間加熱撹拌
した。冷却後、反応液を濾過し、濾液を濃縮した。濃縮
された残分に水を加え、析出した結晶を濾別し、クロロ
ホルムより再結晶し、目的とするN2 ,N15−ジト
シル−7,10,20,23−テトラフェニル−2,1
5−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナン
スロリノファン(y)790mgを得た。
【0171】(3)7,10,20,23−テトラフェ
ニル−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,1
0−フェナンスロリノファン硫酸塩(z)の合成(2)
で得たN2 ,N15−ジトシル−7,10,20,2
3−テトラフェニル−2,15−ジアザ[3.3](2
,9)−1,10−フェナンスロリノファン(y)74
0mgを硫酸6mlと酢酸9mlの混合溶液に溶解し、
80℃にて20時間加熱撹拌した。反応液を氷水100
ml中に注ぎ、析出した結晶を濾別し、水洗減圧乾燥し
、目的とする7,10,20,23−テトラフェニル−
2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フ
ェナンスロリノファン硫酸塩(z)445mgを得た。
【0172】(4)7,10,20,23−テトラフェ
ニル−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,1
0−フェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸
ジエチル(α)の合成 (3)で得た7,10,20,23−テトラフェニル−
2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フ
ェナンスロリノファン硫酸塩(z)410mgをジメチ
ルホルムアミド10mlに溶解し、炭酸カリウム2g、
ブロモ酢酸エチル2mlを加え、100℃にて12時間
加熱した。反応液を濾過し、濾液を濃縮後、クロロホル
ム−メタノールを展開溶媒として用いてシリカゲルカラ
ムにて精製し、目的とする7,10,20,23−テト
ラフェニル−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−
1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,N15−
ジ酢酸ジエチル(α)190mgを得た。
【0173】(5)7,10,20,23−テトラフェ
ニル−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,1
0−フェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸
(β)の合成 (4)で得た7,10,20,23−テトラフェニル−
2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フ
ェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸ジエチ
ル(α)185mgをメタノール10mlに溶解し、水
酸化カリウム50mgを加え、2時間還流した。反応液
を濃縮後、水10mlを加えて希釈し、希塩酸で中和し
た。析出した物質を濾別し、目的とする7,10,20
,23−テトラフェニル−2,15−ジアザ[3.3]
(2,9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2
 ,N15−ジ酢酸(β)105mgを得た。
【0174】(6)7,10,20,23−テトラキス
(クロルスルフォフェニル)−2,15−ジアザ[3.
3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファン−
N2 ,N15−ジ酢酸(γ)の合成 (5)で得た7,10,20,23−テトラフェニル−
2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フ
ェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸(β)
86mgをクロルスルフォン酸1mlに溶解し、80℃
で4時間加熱した。反応液を氷水20ml中に注ぎ、析
出した物質を濾別後水洗し、減圧乾燥し、目的とする7
,10,20,23−テトラキス(クロルスルフォフェ
ニル)−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,
10−フェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢
酸(γ)60mgを得た。
【0175】(実施例6)7,10−ジフェニル−2,
15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナ
ンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸ユウロピウ
ム塩(PAPPA−Eu)の合成 実施例3に従って合成した7,10−ジフェニル−2,
15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナ
ンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸(u)90
mgを50%メタノール−水50mlに溶解した。ここ
に、塩化ユウロピウム100mgを加え、1時間還流し
た。 反応液を濃縮後、クロロホルム50mlに溶解し、それ
を5%塩化カリウム水溶液20mlで洗浄し、未反応の
塩化ユウロピウムを除いた。クロロホルム相を脱水濃縮
後、クロロホルム−メタノールを溶媒として用いてシリ
カゲルカラムにて精製し、目的とする7,10−ジフェ
ニル−2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,1
0−フェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸
ユウロピウム塩(PAPPA−Eu)40mgを得た。 目的物であることは、マススペクトル、元素分析で確認
した。
【0176】(実施例7)  2,15−ジアザ[3.
3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファン−
N2 ,N15−ジ酢酸(g)のユウロピウム錯体の蛍
光特性の検討 (1)吸収スペクトルの測定 実施例1にて合成した2,15−ジアザ[3.3](2
,9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,
N15−ジ酢酸(g)(以下、蛍光性化合物gと略称す
る)0.8mgを、ジメチルスルホキシド458μl、
続いて蒸留水5.3mlに溶解し、蛍光性化合物g溶液
とした。また、塩化ユウロピウム788mgを蒸留水2
1.5mlに溶解し、塩化ユウロピウム溶液とした。両
溶液の各80μlを0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(p
H10.5)2mlに添加、混合してサンプルとし、3
0分後に分光光度計(島津製作所社製UV−2100)
にて吸収スペクトルを測定した。結果は図5に示した。 なお、コントロールとしてのジメチルスルホキシドおよ
び蒸留水の添加された0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(
pH10.5)と、塩化ユウロピウムを含まないこと以
外は同様に調製されたサンプルについても吸収スペクト
ルを測定し、同じく図5に示した。
【0177】(2)励起および蛍光スペクトルの測定(
1)にて調製した蛍光性化合物g溶液と塩化ユウロピウ
ム溶液各30μlを、同じく(1)にて調製した炭酸ナ
トリウム緩衝液3mlに添加、混合してサンプルとし、
30分後にJASCO  FP−777スペクトロフル
オロメーター(日本分光工業社製)にて励起・蛍光スペ
クトルを測定した。結果は、図6(励起スペクトル)お
よび図7(蛍光スペクトル)に示した。図6より、蛍光
波長614nmにおける励起スペクトル測定の結果、最
適励起波長は243nm付近であることが、また、図7
より、励起波長243nmにおける蛍光スペクトル測定
の結果、蛍光波長は619nm付近であることが明らか
となった。
【0178】(3)ユウロピウム錯体の蛍光寿命の測定
(1)にて調製した蛍光性化合物g溶液と塩化ユウロピ
ウム溶液各80μlを、同じく(1)にて調製した炭酸
ナトリウム緩衝液2ml中に添加、混合してサンプルと
し、30分後に蛍光寿命を測定した。すなわち、窒素レ
ーザー(堀場製作所社製NDL−100)を励起源とし
て用い、蛍光寿命は、堀場製作所社製NAES−110
0、浜松ホトニクス社製ユニバーサルフォトンカウンテ
ィングシステムにて測定した。なお、測定の際、励起波
長は337.1nm、検出波長は619nmに設定した
。測定の結果は図8に示した通りであり、ユウロピウム
錯体の蛍光寿命は505μsであった。
【0179】(4)錯体形成時間に及ぼす温度の影響の
検討 (1)にて調製した蛍光性化合物g溶液と塩化ユウロピ
ウム溶液各40μlを、同じく(1)にて調製した炭酸
ナトリウム緩衝液にて各々50倍に希釈した。希釈後の
各溶液を1.5mlずつとり、JASCO  FP−7
77スペクトロフルオロメーター(既出)にセットした
石英セルに同時に注入し、蛍光強度の測定を開始した。 なお、溶液温度は25、30、35℃の各々に設定し、
測定開始後30分間測定した。また、測定に際し、励起
波長は242.0nm、蛍光波長は619.0nmに固
定した。結果は図9に示す通りであり、錯体形成時の周
囲の温度が高いほど、蛍光強度が早く一定になる、すな
わち錯体が形成されるのに要する時間が短くなることが
観察された。図9より、最適錯体形成温度は約35℃付
近であることが明らかとなったが、常温(25℃)でも
20分間程度で蛍光強度が一定になったので、常温で錯
体を形成させても問題はない。
【0180】(5)ユウロピウム錯体の水性媒質への溶
解性の検討 (1)にて調製した蛍光性化合物g溶液を希釈し、0.
001×10−8M〜250×10−8Mの各濃度の溶
液を調製した。また、(1)にて調製した塩化ユウロピ
ウム溶液30μlと各濃度の蛍光性化合物g溶液各30
μlとを、同じく(1)にて調製した炭酸ナトリウム緩
衝液2.94mlに添加し、混合してサンプルとした。 それらを3時間静置した後、各々について、ワラックL
KB製1230アーカス蛍光光度計にて蛍光強度を測定
した。結果は図10に示したが、蛍光性化合物g濃度が
0.1×10−8M〜250×10−8Mの範囲におい
て、蛍光強度と化合物濃度との間にほぼ直線的な相関が
みられた。
【0181】(実施例8)  7,10−ジフェニル−
2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フ
ェナンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸(u)
のユウロピウム錯体および7,10−ジフェニル−2,
15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナ
ンスロリノファン−N2 ,N15−ジ酢酸ユウロピウ
ム塩(PAPPA−Eu)の蛍光特性の検討 (1)励起および蛍光スペクトルの測定実施例4にて合
成した7,10−ジフェニル−2,15−ジアザ[3.
3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファン−
N2 ,N15−ジ酢酸(u)(以下、蛍光性化合物u
と略称する)を、50%メタノール−水に溶解し、2.
5×10−4M溶液とした。この蛍光性化合物u溶液3
0μlと2.5×10−4Mの塩化ユウロピウム溶液3
0μlを3mlの0.2M酢酸ナトリウム緩衝液(pH
5.5)に加え、撹拌し、蛍光性化合物uのユウロピウ
ム錯体溶液とした。これを50℃にて1時間インキュベ
イトした後、励起スペクトルおよび蛍光スペクトルをF
P−777スペクトロフルオロメーター(既出)にて測
定した。また、実施例6にて合成したPAPPA−Eu
を、0.2Mトリス酢酸緩衝液(pH9.0)にて2.
5×10−6M溶液に調製し、上述のようにして励起ス
ペクトルおよび蛍光スペクトルを測定した。図11には
両者の励起スペクトル、図12には両者の蛍光スペクト
ルを示した。両図から明らかなように、蛍光性化合物u
のユウロピウム錯体と、合成段階で錯体を形成させたP
APPA−Euのスペクトルパターンはほとんど同じで
あり、先の蛍光性化合物gのユウロピウム錯体と同じく
、619nmにユウロピウム由来の蛍光が観察された。
【0182】(2)蛍光寿命の測定 (1)において調製した、蛍光性化合物uのユウロピウ
ム錯体溶液、および、PAPPA−Eu溶液を用い、蛍
光寿命測定機(既出)にてそれらの蛍光寿命を測定した
ところ、蛍光性化合物uのユウロピウム錯体は1140
μs、PAPPA−Euは1180μsといずれも長く
、これらは時間分解蛍光法に充分応用可能であることが
明らかとなった。
【0183】(実施例9)  7,10−ビス(クロロ
スルフォフェニル)−2,15−ジアザ[3.3](2
,9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2 ,
N15−ジ酢酸v標識抗hCGモノクローナル抗体の調
製(1)蛍光性化合物v標識抗体−1の調製実施例4で
合成した7,10−ビス(クロロスルフォフェニル)−
2,15−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フ
ェナンスロリノファン−N2,N15−ジ酢酸v(以下
、蛍光性化合物vと略称する)0.5mg(5.5×1
0−7mol)に、0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(p
H9.1)にて6×10−5Mに調製した抗hCGモノ
クローナル抗体(HM21;持田製薬製)溶液0.2m
lを加え、撹拌溶解させ、そのまま撹拌下、室温にて3
0分間反応させた。続いて、その反応液を、0.1M炭
酸ナトリウム緩衝液(pH9.1)にて平衡化させたセ
ファデックスG−50カラム(ファルマシア社製)にア
プライし、未反応の蛍光性化合物vを除去した。
【0184】図13にセファデックスG−50カラムに
よる精製パターンを示す。ボイド分画に蛍光活性が見い
だされ、蛍光性化合物v標識抗体−1の存在が示された
。ボイド分画をプールしたのち、セントリコン(アミコ
ン社製)にて濃縮し、0.05%NaN3 、0.9%
NaClを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.2
)にて透析した。得られた蛍光性化合物v標識抗体−1
濃度を、310nmと280nmの2波長における吸光
度を測定することにより、蛍光性化合物v濃度および抗
体濃度のそれぞれについて求めたところ、蛍光性化合物
v濃度は1.7×10−5M、抗体濃度は1.2×10
−6Mであった。すなわち、抗体一分子あたり、14分
子の蛍光性化合物vが標識されていた。
【0185】(2)蛍光性化合物v標識抗体−2の調製
ジメチルホルムアミドに蛍光性化合物vを溶解し、60
mM溶液を調製した。0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(
pH9.1)にて6×10−5Mに調製した抗hCGモ
ノクローナル抗体(HM21)溶液0.2mlに対し、
上記蛍光性化合物v溶液10μlを加え、撹拌下、室温
にて30分間反応させた。以下、蛍光性化合物v標識抗
体−2の精製法は、実施例9(1)に準じた。得られた
蛍光性化合物v標識抗体−2濃度を、310nmと28
0nmの2波長における吸光度を測定することにより、
蛍光性化合物v濃度および抗体濃度のそれぞれについて
求めたところ、蛍光性化合物v濃度は1.0×10−5
M、抗体濃度は1.0×10−6Mであった。すなわち
、抗体一分子あたり、10分子の蛍光性化合物vが標識
されていた。
【0186】(3)蛍光性化合物v−希土類金属錯体標
識抗体の調製 ジメチルホルムアミドに、蛍光性化合物vが60mM、
塩化ユウロピウムが120mMとなるよう溶解させ、室
温にて1時間静置し、錯体を形成させた。この蛍光性化
合物v−ユウロピウム錯体溶液10μlを、0.1M炭
酸ナトリウム緩衝液(pH9.1)にて6×10−5M
に調製した抗hCGモノクローナル抗体(HM21)溶
液0.2mlに加え、撹拌溶解させ、そのまま撹拌下、
室温にて30分間反応させた。以下、蛍光性化合物v−
希土類金属錯体の精製法は、実施例9(1)に準じた。 得られた蛍光性化合物v−希土類金属錯体標識抗体濃度
を、310nmと280nmの2波長における吸光度を
測定することにより、蛍光性化合物v−希土類金属錯体
濃度および抗体濃度のそれぞれについて求めたところ、
蛍光性化合物v−希土類金属錯体濃度は2.1×10−
5M、抗体濃度は1.5×10−6Mであった。すなわ
ち、抗体一分子あたり、14分子の蛍光性化合物v−希
土類金属錯体が標識されていた。
【0187】(実施例10)  8−(3´−スクシイ
ミジルオキシカルボニルプロピオンアミド)−2,15
−ジアザ[3.3](2,9)−1,10−フェナンス
ロリノファン−N2,N15−ジ酢酸p標識抗hCGモ
ノクローナル抗体および7,10,20,23−テトラ
キス(クロロスルフォフェニル)−2,15−ジアザ[
3.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファ
ン−N2,N15−ジ酢酸γ標識抗hCGモノクローナ
ル抗体の調製 (1)蛍光性化合物p標識抗体の調製 実施例2で合成した8−(3´−スクシイミジルオキシ
カルボニルプロピオンアミド) −2,15−ジアザ[
3.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファ
ン−N2,N15−ジ酢酸p(以下、蛍光性化合物pと
略称する)をエタノールに溶解し、60mMの蛍光性化
合物p溶液とした。0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(p
H9.1)にて6×10−5Mに調製した抗hCGモノ
クローナル抗体(HM21)溶液0.2mlに対し、上
記蛍光性化合物p溶液10μlを加え、撹拌下、室温に
て30分間反応させた。以下、蛍光性化合物p標識抗体
の精製法は、実施例9(1)に準じた。得られた蛍光性
化合物p標識抗体濃度を、310nmと280nmの2
波長における吸光度を測定することにより、蛍光性化合
物p濃度および抗体濃度のそれぞれについて求めたとこ
ろ、蛍光性化合物p濃度は1.0×10−5M、抗体濃
度は0.9×10−6Mであった。すなわち、抗体一分
子あたり、11分子の蛍光性化合物pが標識されていた
【0188】(2)蛍光性化合物γ標識抗体の調製実施
例5で合成した7,10,20,23−テトラキス(ク
ロロスルフォフェニル)−2,15−ジアザ[3.3]
(2,9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2
 ,N15−ジ酢酸γ(以下、蛍光性化合物γと略称す
る)をジメチルホルムアミドに溶解し、60mMの蛍光
性化合物γ溶液とした。0.1M炭酸ナトリウム緩衝液
(pH9.1)にて6×10−5Mに調製した抗hCG
モノクローナル抗体(HM21)溶液0.2mlに対し
、上記蛍光性化合物γ溶液10μlを加え、撹拌下、室
温にて30分間反応させた。以下、蛍光性化合物γ標識
抗体の精製法は、実施例9(1)に準じた。得られた蛍
光性化合物γ標識抗体濃度を、310nmと280nm
の2波長における吸光度を測定することにより、蛍光性
化合物γ濃度および抗体濃度のそれぞれについて求めた
ところ、蛍光性化合物γ濃度は6.4×10−6M、抗
体濃度は0.8×10−6Mであった。すなわち、抗体
一分子あたり、8分子の蛍光性化合物γが標識されてい
た。
【0189】(実施例11)  蛍光性化合物v標識チ
ロキシンの調製 実施例4で合成した蛍光性化合物vをジメチルホルムア
ミドに溶解し、5×10−5Mの蛍光性化合物v溶液と
した。チロキシンナトリウム塩をエタノールに溶解し、
5×10−5Mの溶液とした。蛍光性化合物v溶液10
0μlとチロキシンナトリウム塩のエタノール溶液10
0μlとを混合し、撹拌下、室温で30分間反応させた
。反応液をHPLC(カラム:AP−313、株式会社
YMC製;溶媒:0.02%酢酸を含むメタノール:水
=3:7(V:V))にアプライし、蛍光性化合物v標
識チロキシン画分を分取した。蛍光性化合物v標識チロ
キシン画分の同定は、各分画について、チロキシン酵素
免疫測定キット(ベーリンガーマンハイム社製)にてチ
ロキシン活性を測定すると共に、10−5M濃度の塩化
ユウロピウム溶液と等量混合した後に蛍光強度を測定す
ることにより行なった。両活性が存在する画分を蛍光性
化合物v標識チロキシン画分とした。
【0190】(実施例12)  蛍光性化合物v標識H
Bs抗原の調製 実施例4で合成した蛍光性化合物v0.5mgに、0.
1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.1)にて6×10
−5Mに調製したヒトプラズマより精製したHBs抗原
(キールシュガー社製)溶液0.2mlを加え、撹拌溶
解させ、そのまま撹拌下、室温にて30分間反応させた
。以下、蛍光性化合物v標識HBs抗原の精製法は、実
施例9(1)に準じた。得られた蛍光性化合物v標識H
Bs抗原濃度を、310nmと280nmの2波長にお
ける吸光度を測定することにより、蛍光性化合物v濃度
およびHBs抗原濃度のそれぞれについて求めたところ
、蛍光性化合物v濃度は4.8×10−6M、HBs抗
原濃度は1.2×10−6Mであった。すなわち、HB
s抗原一分子あたり、4分子の蛍光性化合物vが標識さ
れていた。
【0191】(実施例13)  蛍光化合物v標識HB
Vオリゴマープローブの調製 実施例4で合成した蛍光性化合物vをジメチルホルムア
ミドに溶解し、100mMの蛍光性化合物v溶液を調製
した。核酸合成機(アプライドバイオシステム社製、モ
デル381A)を用いてHBウイルスの核酸配列に相補
的なオリゴマープローブ(C領域1941ー1970、
30mer)を合成し、アミノリンカー2(アプライド
バイオシステム社製)を用いて5´末端にアミノ基を導
入した。常法に従い、オリゴマーを切り出し、エタノー
ル沈澱により脱塩を行なった。次に、このオリゴマー4
0μgを80μlの0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(p
H9.0)に溶解し、そこに、100mMの蛍光性化合
物v溶液24μlを添加し、室温にて30分間反応させ
た。反応終了後、反応液を、50mMトリエチルアミン
アセテート(以下、TEAAと略称する)(pH7.0
)にて平衡化したセファデックスG−25カラム(ファ
ルマシア社製)にアプライし、未反応の蛍光性化合物v
を除去した。ボイド分画を分取し、それをセントリコン
3(アミコン社製)にて濃縮した後、HPLCにて精製
した。精製には、C8逆相カラム(AquaporeR
P300  C8、アプライドバイオシステム社製)を
用い、50mMTEAA中のアセトニトリル濃度を15
%から30%へ上昇させることによりグラジエント溶出
した。各画分の260nmにおける吸光度と蛍光強度と
を測定し、両者の一致した分画をプールした。プールし
た液を真空乾燥し、1mMEDTAを含む0.1Mトリ
ス塩酸緩衝液(pH8.0)に、濃度が5μg/mlと
なるように溶解した。
【0192】(実施例14)  蛍光性化合物v標識ス
トレプトアビジンの調製 実施例4で合成した蛍光性化合物v0.5mgに、0.
1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.1)にて6×10
−5Mに調製したストレプトアビジン(シグマ社製)溶
液0.2mlを加え、撹拌溶解させ、そのまま撹拌下、
室温にて30分間反応させた。以下、蛍光性化合物v標
識ストレプトアビジンの精製法は、実施例9(1)に準
じた。得られた蛍光性化合物v標識ストレプトアビジン
濃度を、310nmと280nmの2波長における吸光
度を測定することにより、蛍光性化合物v濃度およびス
トレプトアビジン濃度のそれぞれについて求めたところ
、蛍光性化合物v濃度は1.3×1−5M、ストレプト
アビジン濃度は1.4×10−6Mであった。すなわち
、ストレプトアビジン一分子あたり、9分子の蛍光性化
合物vが標識されていた。 (実施例15)  蛍光性化合物v標識BSA結合抗体
の調製 (1)蛍光性化合物v標識BSAの調製実施例4で合成
した蛍光性化合物v2.5mgに、0.1M炭酸ナトリ
ウム緩衝液(pH9.1)にて6×10−5Mに調製し
たBSA溶液1mlを加え、撹拌溶解させ、そのまま撹
拌下、室温にて30分間反応させた。以下、蛍光性化合
物v標識BSAの精製法は、実施例9(1)に準じた。 得られた蛍光性化合物v標識BSAについて、プロテイ
ンアッセイキット(バイオラッド社製)により、BSA
濃度を求め、310nmにおける吸光度を測定すること
により、蛍光性化合物v濃度を求めた。その結果、蛍光
性化合物v濃度は8.4×10−5M、BSA濃度は7
.0×10−6Mであった。すなわち、BSA一分子あ
たり、12分子の蛍光性化合物vが標識されていた。
【0193】(2)蛍光性化合物v標識BSAへのマレ
イミド基の導入 50mMりん酸緩衝液(pH7.0)に緩衝液置換を行
ない、濃縮した3×10−5M濃度の蛍光性化合物v標
識BSA溶液1mlに対して、同緩衝液にて18mM濃
度に調製したスルホスクシイミジル−4−(N−マレイ
ミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート
(sulfoSMCC、ピアス社製)を100μl加え
、撹拌下、室温で1時間反応させた。マレイミド基の導
入された蛍光性化合物v標識BSAは、0.1Mりん酸
緩衝液(pH6.2)にて平衡化させたセファデックス
G−25カラムにて精製、分取し、セントリコンで濃縮
した。導入されたマレイミド基の数を、石川らの方法(
J. Immunoassay, 4(3),209−
327(1983))により求めたところ、BSA一分
子あたり5分子のマレイミド基が導入されていた。
【0194】(3)メルカプト基含有抗体の調製0.1
M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.1)にて3×10−
5Mに調製した抗hCGモノクローナル抗体(HM21
)1mlに対し、ジメチルホルムアミドにて15mMに
調製したN−スクシイミジル−S−アセチルチオアセテ
ート(SATA、カルビオケム・ベーリング社製)溶液
10μlを、撹拌下、2.5μlずつ1分間隔で4回に
分けて添加した。室温で1時間反応させた後、0.1M
りん酸緩衝液(pH6.2)にて透析を行ない、セント
リコンで濃縮した。導入されたSATA分子数を、上記
石川らの方法を用いて測定したところ、抗体一分子あた
り約3分子であった。
【0195】(4)蛍光性化合物v標識BSA結合抗体
の調製 (2)で得たマレイミド基含有蛍光性化合物v標識BS
Aと、(3)で得たメルカプト基含有抗体とを結合させ
、標識剤が抗体に間接的に結合した標識抗体を調製した
。すなわち、マレイミド基含有蛍光性化合物v標識BS
A溶液400μlとメルカプト基含有抗体溶液300μ
lとを混合し、それを窒素雰囲気下で300μlまでに
濃縮した。その濃縮溶液を充分窒素置換した後、50μ
lの0.5MNH2 OH(pH7.0)を加え、37
℃にて2時間反応させた。反応後、0.12Mの2−メ
ルカプトエタノール20μlを加え、室温で15分間反
応させ、さらに0.24MのNーエチルマレイミド20
μlを加え、室温で15分間反応させた。反応液をウル
トロゲルAcA34カラム(IBF社製)にアプライし
、蛍光性化合物p標識BSAと抗体とが、マレイミド基
とメルカプト基で結合した画分を分取した。なお、画分
の同定は、hCG酵素免疫測定キット(持田製薬製)に
おける競合活性で抗体活性を調べると共に、10−5M
の塩化ユウロピウム溶液を加えて蛍光活性を調べること
によって行なった。
【0196】(実施例16)  蛍光性化合物v標識抗
体あるいは蛍光性化合物v−希土類金属錯体標識抗体を
用いたhCG免疫測定 96ウェルプレート(EFLAB社製)に、抗体濃度が
10μg/mlとなるように0.1M炭酸ナトリウム緩
衝液(pH9.6)にて調製した抗hCGモノクローナ
ル抗体(HM70;持田製薬製)溶液を200μl/ウ
ェル分注し、37℃にて1時間インキュベイトした。精
製水で洗浄後、0.05%のNaN3 を含む、0.1
M炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.3)にて濃度0.5
%に調製したBSA溶液を300μl/ウェル加え、室
温にて2時間以上イキンュベイトし、ブロッキング処理
を行なった。この抗体固相化プレートは、使用時まで冷
蔵保存した。
【0197】この抗体固相化プレートを精製水で洗浄後
、正常家兎血清(以下、NRSと略称する)にて所定濃
度に希釈したhCG標準品(1stIRP、75/53
7に合わせた)および0.9%塩化ナトリウム、0.5
%BSA、0.05%牛ガンマグロブリンならびに0.
01%ツイーン40を含む50mMトリス塩酸緩衝液(
pH7.8)(以下、アッセイバッファーと略称する)
を100μl/ウェル加え、撹拌後、室温で1時間イン
キュベイトした。0.005%ツイーン20を含む生理
食塩水(洗浄液)にて各ウェルを洗浄後、10−5Mの
塩化ユウロピウムを含むアッセイバッファーにて0.5
μg/mlに希釈した蛍光性化合物v標識抗体−1(実
施例9参照)、あるいは、同じく10−5Mの塩化ユウ
ロピウムを含むアッセイバッファーにて0.7μg/m
lに希釈した蛍光性化合物v標識抗体−2(実施例9参
照)を、200μl/ウェル加えた。また、蛍光性化合
物v−希土類金属錯体標識抗体(実施例9参照)は、ア
ッセイバッファーにて0.3g/mlに希釈して用いた
。室温で1時間インキュベイトした後、洗浄液で洗浄し
、未反応の標識抗体を除去した後、時間分解蛍光光度計
(アーカス1230、LKB−ワラック社製)にて時間
分解蛍光強度を測定した。図14に示すごとく、標識方
法の違い、また、錯体形成を標識時に行なうか、免疫反
応中に行なうかの違いによる差はほとんどなく、しかも
、高感度にhCGを測定することが可能であった。
【0198】(実施例17)  蛍光性化合物p標識抗
体および蛍光性化合物γ標識抗体を用いたhCG免疫測
定蛍光性化合物p標識抗体(実施例10参照)は0.8
μg/mlに、蛍光性化合物γ標識抗体(実施例10参
照)は1.2μg/mlになるように、各々10−5M
の塩化ユウロピウムを含むアッセイバッファーにて希釈
して用いた以外は、実施例16に準じた。図15に示す
ごとく、蛍光性標識剤として蛍光性化合物pまたは蛍光
性化合物γを用いた場合、その免疫測定における反応性
は実施例16に示した蛍光性化合物vを用いた場合に比
較して殆ど差がなく、これら蛍光性化合物pまたは蛍光
性化合物γを標識剤として用いても、蛍光性化合物vを
標識剤として用いた場合と同様、高感度な免疫測定が可
能であった。
【0199】(実施例18)  蛍光性化合物v標識チ
ロキシンを用いた免疫測定 96ウェルプレート(EFLAB社製)に、抗体濃度が
10μg/mlとなるように0.1M炭酸ナトリウム緩
衝液(pH9.6)にて調製した抗hCGチロキシンモ
ノクローナル抗体(067−A2203;バイオスパシ
フィック社製)溶液を200μl/ウェル分注し、37
℃にて1時間インキュベイトした。精製水で洗浄後、0
.05%のアジ化ナトリウムを含む、0.1M炭酸ナト
リウム緩衝液(pH8.3)にて濃度0.5%に調製し
たBSA溶液を300μl/ウェル加え、室温にて2時
間以上イキンュベイトし、ブロッキング処理を行なった
。この抗体固相化プレートは、使用時まで冷蔵保存した
【0200】この抗体固相化プレートを精製水で洗浄後
、チャコール処理したNRSにて所定濃度に希釈したチ
ロキシン標準品50μlと、アッセイバッファーにて2
0ng/mlに希釈した蛍光性化合物v標識チロキシン
(実施例11参照)150μlとを各ウェルに加え、撹
拌した後、室温で1時間インキュベイトした。洗浄液に
て洗浄し、未反応の標識チロキシンを除去した。ここに
、2×10−6Mの塩化ユウロピウムを含む0.2Mト
リス−酢酸緩衝液(pH9.0)を200μl/ウェル
加え、室温にて1時間静置した後、時間分解蛍光光度計
(既出)にて時間分解蛍光強度を測定した。図16に示
すごとく、5ng/mlの感度まで測定が可能であった
【0201】(実施例19)  蛍光性化合物v標識H
Bs抗原を用いた抗HBs抗体の測定 96ウェルプレートに、抗原濃度が10μg/mlとな
るように0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)
にて調製したヒトプラズマから精製したHBs抗原(キ
ールシュガー社製)溶液を200μl/ウェル分注し、
37℃にて1時間インキュベイトした。精製水で洗浄後
、0.05%のアジ化ナトリウムを含む、0.1M炭酸
ナトリウム緩衝液(pH8.3)にて濃度0.5%に調
製したBSA溶液を300μl/ウェル加え、室温にて
2時間以上イキンュベイトし、ブロッキング処理を行な
った。このHBs抗原固相化プレートは、使用時まで冷
蔵保存した。
【0202】このHBs抗原固相化プレートを精製水で
洗浄後、抗HBs抗体が陰性または陽性のコントロール
ヒト血清またはサンプル血清を50μl/ウェルと、ア
ッセイバッファー150μl/ウェルを加え、撹拌後、
室温で1時間インキュベイトした。洗浄液にて洗浄後、
10−5Mの塩化ユウロピウムを含むアッセイバッファ
ーにて1μg/mlに希釈した蛍光性化合物v標識HB
s抗原(実施例12参照)を200μ/ウェルを加え、
室温で1時間インキュベイトした。その後、洗浄液で洗
浄し、未反応の標識HBs抗原を除去し、時間分解蛍光
光度計(既出)にて時間分解蛍光強度を測定した。表1
に示すごとく、100検体の測定において、この蛍光性
化合物vを標識剤として用いた本発明の方法では、28
例が陽性であった。
【0203】同じ検体について、市販の酵素免疫測定キ
ット(エルジアanti−HBs、国際試薬社製)を用
いて抗HBs抗体の測定を行なったところ、26例が陽
性であった。このように、本発明法は、従来法に比べて
検出感度が高い。
【0204】
【0205】(実施例20)  蛍光性化合物v標識H
BVオリゴマープローブを用いたHBV−DNAの測定
HBV−DNAが1325pg/mlであるB型慢性肝
炎患者血清を正常人(HBV−DNA陰性)の血清で段
階希釈したものを血清検体として使用した。血清検体1
00μlに、5mg/mlプロテイナーゼK、1%ドデ
シル硫酸ナトリム(SDS)、5mM  EDTAを含
む50mM酢酸緩衝液(pH6.5)10μlを添加し
、68℃にて1時間処理した。続いて、常法に従い、フ
ェノール/クロロホルム処理を2回行ない、検体処理液
200μlを得た。検体処理液を熱変性後(95℃、1
0分間処理、のち急冷)それらを96ウェルプレートの
各ウェルに吸着固定化させた。洗浄後、ハイブリダイゼ
ーション溶液(6×SSC、5×Denhard’s、
0.1%SDS、100μg/ml変性さけ精子DNA
、10−5M塩化ユウロピウム)に蛍光性化合物v標識
HBVオリゴマープローブ(実施例13参照)を添加し
、HBVオリゴマープローブ濃度が50ng/mlの溶
液を調製した。それを各ウェルに200μlずつ添加し
、55℃にて3時間反応(ハイブリダイゼーション)さ
せた。ハイブリダイゼーション後、プレートを2×SS
C、0.1%SDSにて、室温で、5分間/回で、5回
洗浄し、未反応の標識プローブを除去した。時間分解蛍
光光度計にて時間分解蛍光強度を測定したところ、図1
7にしめすごとく、1pg/mlまで測定可能であった
。また、B型慢性肝炎患者血清および正常人血清各5例
について、同様の方法で測定したところ、両者間の差は
明瞭であった(図18参照)。
【0206】(実施例21)  蛍光性化合物v標識ス
トレプトアビジンを標識物質として用いたhCG免疫測
定実施例16に準じ、抗hCGモノクローナル抗体(H
M70;持田製薬製)を固相化させた96ウェルプレー
ト(既出)を調製した。ブロッキング処理の終わった抗
体固相化プレートを精製水で洗浄後、NRSにて所定濃
度に希釈したhCG標準品(1stIRP、75/53
7に合わせた)を50μl/ウェルおよびアッセイバッ
ファーを150μl/ウェル加え、撹拌後、室温で1時
間インキュベイトした。洗浄液にて洗浄後、アッセイバ
ッファーにて2μg/ml濃度に希釈したビオチン標識
HM21抗体溶液を100μl/ウェル加え、さらに室
温で1時間反応させた。なお、ビオチン標識HM21抗
体の作製は、Diamandis, E. P.らの方
法(Anal. Chem., 61,p.p.48−
53, 1989)に従った。反応後、洗浄液にて洗浄
し、10−5Mの塩化ユウロピウムを含むアッセイバッ
ファーにて0.5μg/ml濃度に希釈した蛍光性化合
物v標識ストレプトアビジン(実施例14参照)の溶液
を100μl/ウェル加え、室温で1時間インキュベイ
トし、洗浄液で洗浄し、未反応の標識ストレプトアビジ
ンを除去した後、時間分解蛍光光度計(既出)にて時間
分解蛍光強度を測定した。図19に示すごとく、この増
幅法を用いることにより、標識剤(ここでは蛍光性化合
物v)が特異的結合体(ここでは抗体)に直接結合した
標識抗体を用いる場合(実施例16)に比べ、約3倍反
応性が上昇した。
【0207】(実施例22)  蛍光性化合物v標識B
SA結合抗体を用いたhCG免疫測定 アッセイは、蛍光性化合物v標識抗体(HM21)のか
わりに、実施例15で調製した蛍光性化合物v標識BS
A結合抗体の溶液(1.5μg/ml)を用いた以外は
、実施例16に準じて行なった。図19に示すごとく、
実施例16に比べ、この標識剤増幅法では反応性が約5
倍上昇した。
【0208】
【発明の効果】本発明により、以下に示す特徴を有する
蛍光性化合物、錯体、試薬および特異的結合アッセイが
提供される。
【0209】すなわち ・本発明の蛍光性化合物は、環構造を有しており、その
空孔サイズは希土類金属イオン半径とほぼ一致するため
、希土類金属イオンと共に安定な錯体を形成する。 ・本発明の蛍光性化合物には、カルボキシル基が存在す
るものがあり、その場合、環により形成される平面構造
の配位に加え、希土類金属イオンに親和性の高いカルボ
キシル基による垂直上下方向からの配位もあるため、き
わめて安定な錯体を形成する。 ・本発明の蛍光性化合物は、カルボキシル基が存在する
場合、水溶性を有している。 ・本発明の蛍光性化合物は、カルボキシル基が存在する
場合、いかなるpH環境においても酸化されることなく
、安定な状態を維持できる。 ・本発明の蛍光性化合物は、水溶液中においても安定で
、かつ、該蛍光性化合物と希土類金属イオンで形成され
る錯体は、中心金属イオンに対し、疎水環境を形成しや
すくなるため、水による蛍光消光を受けにくい。 ・本発明の蛍光性化合物は、特異的結合体に結合し得る
官能基を有しており、かつ、この官能基の存在は蛍光特
性に影響がない。 ・本発明の蛍光性化合物は、二つのフェナンスロリン環
を有し、希土類金属イオンと共に錯体を形成するに際し
、希土類金属イオン一個あたりに二つのフェナンスロリ
ン環が配位する。従って、単位金属イオンあたりに吸収
される励起エネルギー量が多くなり、蛍光強度の強い錯
体が形成される。 ・本発明の錯体の蛍光寿命は、バックグラウンド蛍光に
比べて十分に長い。従って、バックグラウンド蛍光が消
失した後に蛍光強度を測定すること(時間分解蛍光分析
)により、バックグラウンドの影響を受けないで蛍光強
度を測定できる。 ・本発明の試薬は、上記本発明の蛍光性化合物または錯
体が有する特徴と、該蛍光性化合物または錯体が結合せ
られる特異的結合体の有する活性、結合性等の諸性質と
を保持しているので、本発明の試薬を用いることにより
、危険がなく、かつ、高感度の免疫測定が可能となる。 ・本発明の特異的結合アッセイは、従来の酵素免疫測定
法における標識物質を、本発明の試薬に置き換えるだけ
で行なうことができ、かつ、本発明によれば、従来にな
い高感度が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に示す2,15−ジアザ[3.3](
2,9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2 
,N15−ジ酢酸の合成経路図である。
【図2】実施例2に示す8−(3´−スクシイミジルオ
キシカルボニルプロピオンアミド−2,15−ジアザ[
3.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファ
ン−N2 ,N15−ジ酢酸の合成経路図である。
【図3】7,10−ジフェニル−2,15−ジアザ[3
.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファン
−N2 ,N15−ジ酢酸および7,10−ビス(クロ
ロスルフォフェニル)−2,15−ジアザ[3.3](
2,9)−1,10−フェナンスロリノファン−N2 
,N15−ジ酢酸の合成経路図である。
【図4】実施例5に示す7,10,20,23−テトラ
キス(クロロスルフォフェニル)−2,15−ジアザ[
3.3](2,9)−1,10−フェナンスロリノファ
ン−N2 ,N15−ジ酢酸の合成経路図である。
【図5】実施例7における、蛍光性化合物gとユウロピ
ウムイオンによって形成された錯体の吸収スペクトルで
ある。
【図6】実施例7における、蛍光性化合物gとユウロピ
ウムイオンによって形成された錯体の励起スペクトルで
ある。
【図7】実施例7における、蛍光性化合物gとユウロピ
ウムイオンによって形成された錯体の蛍光スペクトルで
ある。
【図8】実施例7における、蛍光性化合物gとユウロピ
ウムイオンによって形成された錯体の蛍光寿命を示す図
である。
【図9】実施例7における、蛍光性化合物gとユウロピ
ウムイオンによる錯体形成時間に対する周囲の温度の影
響を示す図である。
【図10】実施例7において、蛍光性化合物gの水性溶
媒への溶解性を、ユウロピウムイオンとの錯体形成によ
り発生する蛍光によって検討した結果を示す図である。
【図11】実施例8における、蛍光性化合物uとユウロ
ピウムイオンによって形成された錯体およびPAPPA
−Euの励起スペクトルである。
【図12】実施例8における、蛍光性化合物uとユウロ
ピウムイオンによって形成された錯体およびPAPPA
−Euの蛍光スペクトルである。
【図13】実施例9において行なった蛍光性化合物v標
識抗体の精製パターンを示す図である。
【図14】実施例16において行なったhCG時間分解
蛍光免疫測定の結果を示す図である。
【図15】実施例17において行なったhCG時間分解
蛍光免疫測定の結果を示す図である。
【図16】実施例18において行なったチロキシン時間
分解蛍光免疫測定の結果を示す図である。
【図17】実施例20において行なったHBV−DNA
時間分解蛍光プローブアッセイの結果を示す図である。
【図18】実施例20において行なったHBV−DNA
時間分解蛍光プローブアッセイの結果を、B型肝炎患者
と健常人にわけてプロットした図である。
【図19】実施例21と実施例22における蛍光性化合
物標識中間体を用いたhCG時間分解蛍光免疫測定の結
果を示す図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  下記式Aで示される蛍光性化合物。 【化1】 (式A中、mは1または2であり、nは0〜4の整数で
    ある。R1 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル
    基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリ
    ール基から選択される。R2 は、それぞれ独立に、水
    素原子、アリール基、アルキル基から選択される。R3
     は、それぞれ独立に、−R3−1 −R3−2 で示
    される官能基(ただし、R3−1 は必須ではないが、
    存在する場合は、アルキレン基、アリーレン基、アラル
    キレン基から選択され、R3−2 は必須であり、水素
    原子、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、ヒド
    ロキシル基、アルコキシル基、アミノ基、アミド基、ス
    ルフォンアミド基、スルフィド基、スルフォキシド基、
    スルフォン基、ハライド原子、カルボニル基、ニトロ基
    から選択される。)から選択される。R4 は、それぞ
    れ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アル
    キニル基、アリール基、カルボキシル基、ヒドロキシル
    基、アルコキシル基、アミノ基、アミド基、スルフォン
    アミド基、スルフィド基、スルフォキシド基、スルフォ
    ン基、ニトロ基、ハライド原子、メルカプト基、カルボ
    ニル基、−R4−1 −R4−2 で示される官能基(
    ただし、R4−1 は必須ではないが、存在する場合は
    、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アラ
    ルキレン基から選択され、R4−2 は必須であり、下
    記(化2に示す)官能基から選択される。)から選択さ
    れる。 【化2】 なお、R4 は、隣接するR4 同士が結合して縮環し
    、フェナンスロリン環を形成している二つまたは三つの
    炭素原子を含む芳香環または複素環となっていてもよい
    。)
  2. 【請求項2】  下記式Bで示される請求項1に記
    載の蛍光性化合物。 【化3】 (式B中、R5 は、それぞれ独立に、水素原子、アル
    キル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カ
    ルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アミ
    ノ基、アミド基、スルフォンアミド基、スルフィド基、
    スルフォキシド基、スルフォン基、ニトロ基、ハライド
    原子、メルカプト基、カルボニル基、−R5−1 −R
    5−2 で示される官能基(ただし、−R5−1 −R
    5−2 は、請求項1における−R4−1 −R4−2
     と同様に定義される。)から選択される。)
  3. 【請求項3】  下記式Cで示される請求項1に記載の
    蛍光性化合物。 【化4】 (式C中、R6 は、それぞれ独立に、式D(化5に示
    す)で示される官能基から選択される。式D中の−R6
    −1 −R6−2は、請求項1における−R4−1 −
    R4−2 と同様に定義され、式D中のkは、0〜5の
    整数である。) 【化5】
  4. 【請求項4】  請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光
    性化合物と希土類金属イオンにより構成される錯体。
  5. 【請求項5】  前記希土類金属イオンが、ユウロピウ
    ムイオン、テルビウムイオン、サマリウムイオンから選
    択される1種である請求項4に記載の錯体。
  6. 【請求項6】  特異的結合体と、該特異的結合体に直
    接または間接に結合した請求項1〜3のいずれかに記載
    の蛍光性化合物とで構成される試薬。
  7. 【請求項7】  特異的結合体と、該特異的結合体に直
    接または間接に結合した請求項4または5に記載の錯体
    とで構成される試薬。
  8. 【請求項8】  前記特異的結合体が抗原または抗体ま
    たは核酸である請求項6または7に記載の試薬。
  9. 【請求項9】  液性試料中の標的物質を測定する特異
    的結合アッセイであって、請求項6に記載の試薬を用い
    、該試薬中の蛍光性化合物と希土類金属イオンにより錯
    体を構成させ、該錯体を励起し、前記標的物質の量また
    は濃度に相関する、該錯体の示す崩壊寿命の長い蛍光の
    強度を測定することを特徴とする特異的結合アッセイ。
  10. 【請求項10】  液性試料中の標的物質を測定する特
    異的結合アッセイであって、請求項7に記載の試薬を用
    い、該試薬中の蛍光性化合物と希土類金属イオンによっ
    て構成される錯体を励起し、前記標的物質の量または濃
    度に相関する、該錯体の示す崩壊寿命の長い蛍光の強度
    を測定することを特徴とする特異的結合アッセイ。
JP3602091A 1990-12-21 1991-03-01 蛍光性化合物、錯体、試薬および該試薬を用いる特異的結合アッセイ Withdrawn JPH04244085A (ja)

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