JP3851641B2 - 降雨量予測方法及び降雨量予測プログラム - Google Patents

降雨量予測方法及び降雨量予測プログラム Download PDF

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Description

本発明は、降雨量予測方法及び降雨量予測プログラムに関するものである。
電力ダムの管理者にとって、上流域の降雨量を予測することは、ダムの貯水量管理をする上で極めて重要である。上流域の降雨量が正確に予測できれば、上流域からダムに流れ込む流出水量を計算する流出予測システムによって、将来のダムへの流入水量を正確に把握でき、これによってダムの貯水能力を最大限に活用した水資源管理が可能になるからである。
一般的に、降雨量の予測方法には、運動学的手法による降雨量予測方法と、物理的手法による降雨量予測方法とがある。
運動学的手法による降雨量予測方法は、過去及び現在の雨雲の状況(例えば、気象庁が提供しているアメダスの降雨データや、雨雲レーダーなど)から未来の雨域の移動、発達及び衰弱を予測する。例えば、山岳地域の降雨気象特性などを考慮し、地形の影響による降雨発達効果を予測に組み込んだものである。運動学的手法による従来の降雨量予測方法の一例は特開平11−208110号公報に記載されている。
物理的手法による降雨量予測方法は、大気現象を予測する方程式を時間積分して未来の大気の状態を予測するものである。例えば、メソスケールの局地気象モデルをベースに用いたものがある。
特開平11−208110号公報
上述した運動学的手法による降雨量予測方法は、物理的手法による降雨量予測方法に比べて、3時間くらい先までの予測において比較的精度良く降雨量を予測することができる。また物理学的手法による降雨量予測方法は、10数時間後から数日先くらい間の降雨量の予測に比較的有効な手法である。
つまり、運動学的手法による降雨予測方法では、雨域の移動、発達、衰弱を運動学的見地から演算で求めるのであるが、時間が経てば経つほど予測の精度は低下していく。これに対し、物理的手法は、地球規模の広域な大気データに基づいて、降雨量を予測するので、3時間先くらいの予測では運動学的手法に比べて精度が落ちるが、10数時間後から数日先くらい間の長期的な予測では運動学的手法に比べて精度は落ちにくい。
しかし、3時間くらい先から10時間程度先までの予測は、予測の谷間と言われ、何れの手法による降雨量予測方法でも、降雨量を精度良く予測することが難しかった。特に、ダムの運用では、6時間程度先の降雨量の予測に対し、精度のよい降雨量予測方法の開発が望まれている。
本発明は、上記の問題点に鑑み、新しい降雨量予測方法を提供するものである。本発明に係る降雨量予測方法は、運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)と、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)と、物理的手法による予測降雨量R2(t)に対する運動学的手法による予測降雨量R1(t)のt時間後の重み関数C(t)(1≧C(t)≧0)とにより、t時間後の予測降雨量R(t)を、下記の数1により求めると共に、前記重み関数C(t)として、少なくとも地形要因と風向要因と風速要因とによって、運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)と、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)との重み付けが異なることに対応させて、異なる重み関数C(t)を用意し、これらの用意された重み関数C(t)を選択して用いるものである。
Figure 0003851641
物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算は、数時間前から始め、数時間前から現在時刻までの予測データを、実際に観測された結果に基づいて補正しながら行なうとよい。さらに、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算は、現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データを、運動学的手法により予測演算された予測結果に基づいて補正しながら予測演算をするとよい。
本発明に係る降雨量予測方法は、所定の演算をコンピュータに実行させる降雨量予測プログラムとすることができ、例えば、降雨量予測の各種演算処理を行なう演算装置(CPU)と、各種データ類や演算結果を記憶する記憶装置(メモリーなど)と、所定の演算をコンピュータに実行させるプログラムを記憶したコンピュータシステムにより具現化することができる。
この降雨量予測方法によれば、運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)と、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)を、重み関数C(t)を加味して足し合わせるようにした。これにより、t時間後の予測降雨量R(t)の予測精度が向上する。特に、従来、予測の谷間と呼ばれていた3時間から10時間程度先の降雨量の予測精度を向上させることができ、特にダムの運用に好ましい降雨量予測を提供することができる。
物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算を、数時間前から始め、数時間前から現在時刻までの予測データを、実際に観測された結果に基づいて補正しながら行なうことにより、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2の精度を向上させることができ、実際に観測される降雨量との間の連続性が良くなる。また、さらに、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算を、現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データを、運動学的手法により予測演算された予測結果に基づいて補正しながら予測演算することにより、運動学的手法による予測降雨量と物理的手法による予測降雨量により良好な連続性が生まれ、これらを足し合わせる予測降雨量R1(t)において、より精度のよい予測結果を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る降雨量予測方法およびその装置を図面に基づいて説明する。
この実施形態に係る降雨量予測方法は、運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)と、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)を、t時間後の重み関数C(t)(1≧C(t)≧0)とに基づいて、下記の数1によりt時間後の予測降雨量R(t)を求めるものである。
Figure 0003851641
以下、R1(t)を算出する運動学的手法による降雨量予測方法、R2(t)を算出する物理的手法による降雨量予測方法、及び、重み関数C(t)を順に説明する。
R1(t)を算出する運動学的手法による降雨量予測方法は、降雨予測領域を所定の水平分解能で格子状に区切った各メッシュ(x,y)に、単位時間毎の雨域の移動、発達及び衰弱を考慮して算出し、これを繰り返し計算して数時間先の各メッシュ(x,y)の降雨量を予測するものである。
概念的には、図1に示すように、各メッシュの初期雨量Qを地形性降雨QOと、非地形性降雨QNとに分ける。地形性降雨QOは例えば山の斜面などの地形の影響を受け、単位時間後に見かけ上そのメッシュに停滞した降雨量を表現したものである。非地形性降雨QNは地形の影響を受けずに単位時間後に他のメッシュに移動する降雨量を表現したものである。なお、同図において、(x0,y0)、(x1,y1)、(x2,y2)は各メッシュの位置座標を記したものである。また、単位時間における雨域の移動方向及び移動速度は、上空の風向や風速のデータから求められる移動ベクトルで表現される。図1に示す例では、(x0,y0)の雲が単位時間後に(x1,y1)に移動する状態を示している。
運動学的手法による降雨量予測方法では、メッシュ(x1,y1)でのΔt時間後の予測降雨量R1(x1,y1)は、下記の数2で求められる。
Figure 0003851641
この運動学的手法による降雨量予測方法において、地形性降雨と非地形性降雨に分離する際、地形性降雨と非地形性降雨の割合は、例えば、高い山などがあれば地形性降雨の割合が高くなる。また、風向や風速によっても異なり、例えば、風が山の斜面にぶつかる側では、地形性降雨の割合が高くなり、風向が山の斜面に平行であれば地形性降雨の割合は高くならない。このように、地形性降雨と非地形性降雨の割合は、移動ベクトルにより異なる。この実施形態では、過去の観測データに基づいて、それぞれ各メッシュ毎に、風向が16方位で基準の風速のときの地形性降雨と非地形性降雨の割合を算出し、これを記憶装置に記憶させている。また、aは非地形性降雨QNが移動する間に発達する量を数値化した降雨発達係数であり、bは当該地域で新たに発生する降雨量を示す降雨発生量である。
以下に、運動学的手法による予測降雨量の算出例を説明する。
この算出例では、降雨予測領域に対し、2.5kmの水平分解能で格子状のメッシュを設定している。
図2に示すように、まずレーダーで観測されたレーダー雨量分布と、地上に設置された雨量計で観測された地上雨量データを入力する(S1、S2)。レーダー雨量分布は、例えば、気象庁が提供するレーダー観測の結果に基づいて入力される。気象庁では所定の間隔毎(現時点では10分毎)に最新のデータが提供されている。なお、運動学的手法による降雨量予測で用いるメッシュに相当する地点に、レーダー雨量のデータが無い場合には、その近隣のメッシュに入力されたデータから、当該データが無いメッシュに入力されるべきデータを想定して入力するとよい。また、雨量計で観測された地上雨量データは、気象庁が提供するものの他に独自に雨量計を設置しデータを観測するようにしてもよい。例えば、ダムを管理する場合には、その上流域の降雨量に関するデータが多い方がよく、ダムの上流域については、気象庁のデータを補完する形で、地上雨量データについて多くのデータを持っていることが正確な予測につながる。
システムを構築する際には、気象庁から提供されたデータがそのまま入力されるようにシステムを構築するとよい。また、地上雨量データも同様に、例えば、地上に設置された雨量計で観測されたデータがインターネットなどの通信回線を介してリアルタイムに受信できるようにし、受信したデータがそのまま入力されるようにするとよい。これによりデータ入力作業を軽減することができる。
レーダー観測では、雨雲の分布と、雨粒の粗密に関する相対的な情報が得られる。これに対し、地上雨量データは地点は雨量計が設置された位置に限定されるもののその地点での雨量の絶対値に関する情報が得られる。そこで、地上雨量データに基づいて、斯かるレーダー雨量分布を雨量の絶対的な情報に換算する補正係数を求め、求められた補正係数を用いて、レーダー雨量分布を絶対的な雨量(解析雨量)分布の情報(解析雨量分布)に置き換える(解析雨量算出工程:S3)。
なお、斯かるレーダー雨量分布を雨量の絶対的な情報に換算する補正係数は、雨量計が設置された地点毎に異なる。また、レーダー雨量分布は、地上雨量データよりも多くの地点のデータが得られる。このため、雨量計が設置された地点の補正係数に基づいて、雨量計が設置されていない地点の補正係数を導き、レーダー雨量分布の全ての観測地点で解析雨量を算出する。
次に、雨域の移動ベクトルを求める(移動ベクトル算出工程:S4)。この実施形態では、雨域の移動ベクトルは、例えば、直近のレーダー雨量分布図と、その10分前、20分前、30分前のレーダー雨量分布図を基に、直近のレーダー雨量分布図と、その10分前、20分前、30分前のレーダー雨量分布図とで、どのような移動ベクトルを当てはめれば、移動元の雨域が移動先の雨域に合致するかを判定して求めている。すなわち、10分前のレーダー雨量分布図の雨域をある移動ベクトルの10分間の移動距離分移動させたときに、移動させた雨域と直近のレーダー雨量分布図の雨域とのずれを測定し、斯かる雨域のずれが最も小さくなる移動ベクトルを求める。同様に、20分前のレーダー雨量分布図の雨域と直近のレーダー雨量分布図の雨域との間、30分前のレーダー雨量分布図の雨域と直近のレーダー雨量分布図の雨域との間でそれぞれ移動ベクトルを求める。そして、10分前、20分前、30分前のレーダー雨量分布図から求められた移動ベクトルの平均値を取るとよい。
この実施形態では、移動ベクトルの算出において、直近のレーダー雨量分布図と、その10分前、20分前、30分前のレーダー雨量分布図を基に、移動ベクトルを算出しているが、移動ベクトルを算出する際の基データはこれらに限定されない。なお、あまり古いデータを入れると、将来の雨域の移動を考える上では算出される移動ベクトルの精度が落ちる。また、基データの数を増し過ぎると、計算量が多くなり、効率が悪くなる。
この実施形態では、移動ベクトルの算出に移流モデルを用いた(以下、数3に示す式(1)〜式(8)参照)。移流モデルについては、例えば、椎葉充晴,高棹琢馬,中北英一らによる「移流モデルによる短時間降雨予測手法の検討」を適用することができる。
Figure 0003851641
この実施形態で用いた移流モデルでは、式(1)によって、雨域の移動、変形、発達及び衰弱を表現し、過去から現在までの各メッシュの降雨強度に基づいて、式(2)のパレメータCi(i=1,・・・,9)を定める。パラメータは、式(4),(5)で定義されるJcが最小になるように、最小二乗法によって定める。このパラメータが持続するものとして、式(2)で表現される移動ベクトル(u,v,w)で雨域を移動、発達・衰弱させ、将来の降雨強度を予測する。この移流モデルでは、雨域の移動、変形、発達・衰弱が表現可能であるが、ここでは移動ベクトル(平行移動)のみを考慮することとし、パラメータCi(i=1,・・・,9)において、C3、C6以外はゼロとした。これにより、計算を容易にし、コンピュータ演算をより安定したものにできる。この移流モデルにより算出される移動ベクトルは時間関数V(t)として算出され、風向や風速の時間変化が反映されるようになっている。また、この実施形態では、算出した移動ベクトルを降雨予測領域全体に一様に当てはめることにより、運動学的手法による計算を容易にしている。
次に、予め設定した風向毎に各メッシュの解析雨量を地形性降雨と非地形性降雨に分ける割合を算出したデータ(S5)を用いて、解析雨量を地形性降雨と非地形性降雨とに分離する(S6)。予め設定した風向毎に各メッシュの解析雨量を地形性降雨と非地形性降雨に分ける割合は、例えば、立平の地形性降雨モデル(立平良三:「雨滴の成長を考慮した地形性降雨の計算」、以下「立平モデル」という。)に基づいて風向毎に各メッシュの解析雨量を地形性降雨と非地形性降雨に分ける割合を算出することができる。この実施形態では、立平モデルを用い700、800、900hPaの各高度における風向、風速、水蒸気量および非地形性降雨強度を入力値として地形性降雨を計算している。立平モデルを適用するに当たり、この実施形態で用いた条件は以下の通りである。
《条件》
・非地形性降雨を全計算領域において一様とする。
・700、850、900hPa高度では、ともに風向・風速は一定とする。
・水蒸気量は、全層で飽和状態とする。
・気塊は山を迂回せずに上昇する。
なお、ここで仮定した条件は、飽和状態と仮定し、気塊が山を迂回せずに上昇すると仮定しており最も地形性降雨が発生しやすい条件となっている。この実施形態では、この立平モデルの計算結果に基づいて、風向16方位について、それぞれ風速10m/s、非地形性降雨4mm/hr(mm/hr:1時間当たりの降水量)の条件で計算した地形性降雨の分布図を作成する。
次に、上述した立平モデルに示された割合により、解析雨量を地形性降雨と非地形性降雨とに分離する(S6)。
このとき解析雨量をQ、地形性降雨をQO、非地形性降雨をQNとすると、式(6)に示すようにQ=QO+QNになる。なお、地形性降雨の強度は、風速と非地形性降雨の強度によって変化するが、ここでは簡略化のため、斯かる変化には線形関係が成り立つと仮定した。この仮定のもとで、風速10m/s、非地形性降雨4mm/hという条件で求めた地形性降雨をQgとし、移動ベクトルの速度Vm/sを風速値に代用すると、地形性降雨QOは式(7)のようになる。また、非地形性降雨QNは式(8)のようになる。このように式(6)、式(7)から式(8)により、解析雨量を非地形性降雨と地形性降雨に分離する。なお、この実施形態では、各メッシュの解析雨量を地形性降雨と非地形性降雨に分ける割合を算出したデータを16方位の風向に対してそれぞれに用意しており、また移動ベクトルがどの方向のときにどの方位の立平モデルを利用するかは予め決めて利用した。
次に、非地形性降雨を移動ベクトルにより移動させる(S7)。このとき雨域は単純に移動するだけでなく、地形要因あるいは大気状態により発達したり衰弱したりするので、これらを運動学的手法による降雨量予測に反映させるため降雨発達係数aと、降雨発生量bの概念を導入する。
降雨発達係数aは、大気状態に起因する雨雲の発達を数値化したものであり、気象庁から提供されるGPVデータから算出されるものである。この実施形態では、気象庁から提供されるGPVデータのうち、非地形性降雨が移動する移動先の地点(メッシュ)における700hPa高度の相当温位(ept700)と、500hPa高度の相当温位(ept500)の差(相当温位差)を基に、図3に示す降雨発達係数と相当温位差(ept700−ept500)との関係図から求める。なお、この関係図は地形要因などを勘案して地域毎に定めるとよい。図3に示すものは、黒部ダム周辺地域の関係図を例示したものであり、経験的な見地より、
10r(r=−1×(ept500−ept700)×0.01と1の最大値で求めたグラフに基づいて降雨発達係数aを導いくものである。
なお、相当温位は、飽和している空気塊を断熱上昇させ、含んでいた水蒸気をすべて凝結させ潜熱をすべて放出させたとき、その潜熱のすべてが、乾燥空気の温度上昇のために使われたとして仮定して、乾燥断熱的に1000hPaまで持っていったときの温度をいう。
降雨発生量bを求める場合は、まず、図4の関係図からGPVデータの700hPa高度の水蒸気移流量を基に降雨発生量の最大値Rpotを求める。なお、この関係図は、地形要因などを勘案して地域毎に定めるとよい。図4に示すものは、黒部ダム周辺地域の関係図を例示したものであり、経験的な見地より、
(700hPa高度の水蒸気移流量−150)×0.04と10の最小値で求めたグラフに基づいて降雨発生量の最大値Rpotを導くものである。
次に、降雨発生量の最大値Rpotを下記の数4に導入して降雨発生量bを求める。
Figure 0003851641
この実施形態では、このようにして求めた降雨発達係数a、降雨発生量bを用いて、数2により、予測降雨量を算出する(S8)。その後、単位時間毎に演算を繰り返し、将来の降雨量の推移を算出する(S9)。
Figure 0003851641
次に、R2(t)を算出する物理的手法による降雨量予測方法を説明する。
この実施形態では、初期データに気象庁から提供されるGPVのデータを利用している。GPVで提供されるデータには、地上10kmメッシュ、上空が925hPa、850hPa、700hPa、500hPa、400hPaで、各メッシュ毎に気温、湿度、風向、風速のデータについて3時間ごとのデータが51時間分提供されており、1日に2回データが更新されている。次に、これらのデータを基に、メソスケールの局地気象モデルに入力して、降雨量を予測する演算する。メソスケールの局地気象モデルには、既知のモデルを適切に改良して利用することができる。この実施形態では、計算流体力学(CFD)に基づくモデルの1つである局地気象モデルANEMOS(財団法人 日本気象協会)を利用している。他の既知の局地気象モデルには、例えば、MM5(NCAR)、RAMS(コロラド大学)、ARPS(オクラホマ大学)などがある。
また、この実施形態では、物理的手法による降雨量予測方法の精度を向上させるため、数時間前から計算を始め、数時間前から現在時刻までの予測データを、実際に観測された結果に基づいて補正しながら行ない、さらに、現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データを、前記運動学的手法により予測演算された結果に基づいて予測データを補正しながら予測演算している。
具体的には、この実施形態では、3時間前の段階から物理的手法による計算を行ない、3時間前から現在時刻までの予測データを、実際に観測された結果に基づいて補正しながら行ない、さらに、現在時刻から予め定めた2時間先までの予測データを、前記運動学的手法により予測演算された結果に基づいて予測データを補正しながら予測演算する。なお、この実施形態では、局地気象モデルANEMOSの予測結果のうち、水蒸気混合比と雲水の混合比を補正している。水蒸気混合比は、湿潤空気における水蒸気量を表す物理量であり、水蒸気密度ρv(単位体積に含まれる水蒸気の質量)と乾燥空気の密度ρdの比のことである。雲水の混合比は、湿潤空気における雲水の量を表す物理量であり、単位体積に含まれる雲水の質量と乾燥空気の密度の比のことである。
例えば、水蒸気混合比の補正では、3時間前から現在時刻までの予測データの補正において、実測雨量が予め設定した雨量(例えば、0mm)より多く、予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比よりも小さい場合には、予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比に置き換える補正を行なっている。これにより、物理的手法のモデルの中で予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比よりも小さい場合に、実際に雨が観測された場合には、物理的手法のモデルの中で観測結果に合わせて大気の状態を湿らせて、実際の大気状態に近い状態を近づけることができる。反対に、3時間前から現在時刻までの予測データの補正において、実測雨量が0mm又は予め設定した雨量よりも少なく、予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比の予め設定した比率(例えば、98%)よりも大きい場合には、予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比の予め設定した比率(例えば、98%)に置き換える補正を行なっている。これにより、物理的手法のモデルの中で予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比の予め設定した比率(例えば、98%)よりも大きい場合に、実際には雨を観測していない場合には、物理的手法のモデルの中で観測結果に合わせて大気の状態を若干乾燥させて、実際の大気状態に近い状態を近づけることができる。
さらに、現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データは、前記運動学的手法により予測演算された予測結果に基づいて補正しながら予測演算を行なう。
この実施形態では、現在時刻から2時間先までの予測データの補正において、運動学的手法による予測雨量が予め設定した雨量(例えば、0mm)より多く、物理的手法により予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比よりも少ない場合には、物理的手法により予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比に置き換える補正を行なっている。これにより、物理的手法のモデルの中で予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比よりも小さい場合に、運動学的手法により雨が降ることが予測された場合には、物理的手法のモデルの中で、運動学的手法による予測結果に合わせて大気の状態を湿らせて、運動学的手法の予測による大気状態に近い状態を近づけることができる。また、2時間前から現在時刻までの予測データの補正において、運動学的手法による予測雨量が0mm又は予め設定した雨量よりも少なく、物理的手法により予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比の予め設定した比率(例えば、98%)よりも大きい場合には、予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比の予め設定した比率(例えば、98%)に置き換える補正を行なっている。これにより、物理的手法のモデルの中で予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比の予め設定した比率(例えば、98%)よりも大きい場合に、運動学的手法により雨が降らないと予測された場合には、物理的手法のモデルの中で、運動学的手法による予測結果に合わせて大気の状態を若干乾燥させて、運動学的手法の予測による大気状態に近い状態を近づけることができる。このような補正により、2、3時間先の予測精度が運動学的手法に比べて落ちる物理的手法による降雨量予測の精度を向上させることができる。
また、雲水の混合比の修正は、実測雨量は、雲底高度から雲頂高度までの雲水の鉛直積算量に等しくなると考えて、モデル内の雲水量を修正する。その際、水蒸気から雲水になる時に発生する凝結熱により、モデル内の大気が加熱される効果考慮し、モデル内の気温分布を修正する。詳しくは、下記の数5中の式(1)〜(3)に基づいて物理的手法のモデルを修正する。
Figure 0003851641
数5中の式(1)は、実測雨量R(i,j)が、雲底高度Z1から雲頂高度Z2までの雲水q(i,j,k)の鉛直積算量に等しくなると考えて、モデル内の雲水量を修正する演算式を示している。なお、係数cは、理論上、雲水の混合比qの内、雨水になる割合を示したものであり、(1−c)が雲、水として凝固した状態で残留している量を示している。
数5中の式(2)のΔqは、水蒸気が雲、水として凝結している水分量を示し、式(3)のΔTは、各3次元メッシュポイントの気温分布を修正温度差を示している。
この場合も、数時間前から現在時刻までは実際に観測された観測雨量に基づいて物理的手法のモデルを補正し、現在時刻から予め定めた数時間先までは、運動学的手法による予測雨量に基づいて補正するとよい。これにより、2、3時間先の予測精度が運動学的手法に比べて落ちる物理的手法による降雨量予測の精度を向上させることができる。
なお、上記において、観測結果及び運動学的手法による予測結果に基づいて、物理的手法の予測データを補正する場合には、観測結果及び運動学的手法による予測結果を物理的手法の地上10kmメッシュの3次元メッシュ領域に当てはめる必要がある。この実施形態では、物理的手法の地上10kmメッシュの3次元メッシュ領域に対して、その中の観測結果及び運動学的手法による予測結果をそれぞれ平均して、物理的手法のモデルに対応させている。
次に、上述した運動学的手法による予測降雨量R1と、物理的手法による予測降雨量R2の合成、及び、合成に用いる重み関数C(t)を説明する。
運動学的手法による予測降雨量R1と物理的手法による予測降雨量R2を合成する際は、まず、物理的手法の地上10kmメッシュの領域を、細分化して運動学的手法による2.5kmメッシュの領域に合わせる必要がある。
この実施形態では、物理的手法の地上10kmメッシュの領域に、2.5kmメッシュで4×4の16分割した領域を当てはめ、物理的手法のメッシュの中心位置(例えば、中心の2×2の4領域)に、物理的手法のデータを存在させ、隣接した空欄部分は、物理的手法の隣接するメッシュとの平均をとってデータを埋めている。
次に、運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)と、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)と、前記物理的手法による予測降雨量R1(t)に対する運動学的手法による予測降雨量R2(t)のt時間後の重み関数C(t)(1≧C(t)≧0)とに基づいて、下記の数1によりt時間後の予測降雨量R(t)を求める。
Figure 0003851641
重み関数C(t)は、過去の観測データと、予測値とのマッチングによる経験的な手法で算出するとよい。具体的には、運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)と、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)とを合成する際に、それぞれの予測降雨量をどのような割合で足し合わせると、実際に観測された降雨量のデータにより近づくかを考慮して決定するとよい。図5に重み関数C(t)の一例を示す。
なお、重み関数C(t)は、時間的に連続した時間関数として得てもよいし、重み係数と時間とを関連付けたデータ列としてもよい。この実施形態では、演算を簡単なものにするため、重み関数C(t)は時間関数として一様なものを用いているが、地形要因や風向や風速などの要因により、運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)と、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の重み付けが異なることを勘案して、異なる重み関数C(t)を用意し、メッシュ(地点)により、又は、雨域の移動ベクトルにより、重み関数C(t)を選択して用いるようにしてもよい。
このようにして算出した言うなれば「Hybrid手法」による降雨量予測方法は、図6に示すように、運動学的手法による降雨量予測や物理的手法による降雨量予測に比べて、3時間先から10時間先の予測精度が向上する。特に、6時間先程度の予測精度を向上させることができ、ダムの運用に用いる降雨量予測方法として好適である。
以上、本発明の一実施形態に係る降雨量予測方法を説明したが、本発明に係る降雨量予測方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。
運動学的手法による降雨量予測方法の概念図。 運動学的手法による降雨量予測方法のフロー図。 降雨発達係数と相当温位差(ept700−ept500)の相関関係図。 降雨発生量の最大値(Rpot)と水蒸気移流量(700hPa)の相関関係図。 重み関数C(t)の一例を示す図。 「Hybrid手法」による降雨量予測方法の予測精度を示す図。
符号の説明
a 降雨発達係数
b 降雨発生量
C(t) 重み関数
R1(t) 運動学的手法による予測降雨量
R2(t) 物理的手法による予測降雨量

Claims (24)

  1. 運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)と、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)と、前記物理的手法による予測降雨量R2(t)に対する運動学的手法による予測降雨量R1(t)のt時間後の重み関数C(t)(1≧C(t)≧0)とに基づいて、下記の数1によりt時間後の予測降雨量R(t)を求めると共に、前記重み関数C(t)として、少なくとも地形要因と風向要因と風速要因とによって、運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)と、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)との重み付けが異なることに対応させて、異なる重み関数C(t)を用意し、これらの用意された重み関数C(t)を選択して用いることを特徴とする降雨量予測方法。
    Figure 0003851641
  2. 前記運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)は、降雨予測領域を所定の水平分解能で格子状に区切った各メッシュ毎に、雨域の移動ベクトルに対して所定時間後にメッシュ内に停滞する地形性降雨と所定時間後に他のメッシュから移動する非地形性降雨の割合を予め設定しておき、
    レーダー観測によるレーダー雨量と、地上に設置された雨量計のデータに基づいて、前記レーダー雨量を補正して解析雨量を算出する解析雨量算出工程と、
    レーダー観測による雨域の時間的な移動に基づいて雨域の移動ベクトルを算出する移動ベクトル算出工程と、
    前記解析雨量算出工程で算出した解析雨量と、移動ベクトル算出工程で算出した移動ベクトルと、予め設定した雨域の移動ベクトルに対する地形性降雨と非地形性降雨の割合とに基づいて、解析雨量を地形性降雨と非地形性降雨とに分離する工程と、
    前記移動ベクトルと、地形性降雨と、非地形性降雨と、移動中の非地形性降雨の発達を反映した降雨発達係数と、前記各メッシュで新たに発生する降雨発生量とに基づいて予測降雨量を算出する降雨量算出工程とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の降雨量予測方法。
  3. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算は、数時間前から始め、数時間前から現在時刻までの予測データを、実際に観測された結果に基づいて補正しながら行なうことを特徴とする請求項1に記載の降雨量予測方法。
  4. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは水蒸気混合比を含んでおり、かつ、数時間前から現在時刻までの予測データの補正において、実測雨量が予め設定した雨量よりも多く、予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比よりも小さい場合に、予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比に置き換える補正を行なうことを特徴とする請求項3に記載の降雨量予測方法。
  5. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは水蒸気混合比を含んでおり、かつ、数時間前から現在時刻までの予測データの補正において、実測雨量が0mm又は予め設定した雨量よりも少なく、予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比の予め定めた比率よりも大きい場合に、予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比の予め定めた比率に置き換える補正を行なうことを特徴とする請求項3に記載の降雨量予測方法。
  6. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは雲水の混合比を含んでおり、かつ、数時間前から現在時刻までの予測データの補正において、実測雨量が雲底高度から雲頂高度までの雲水の鉛直積算量に等しくなると仮定して、モデル内の雲水量を修正したことを特徴とする請求項3に記載の降雨量予測方法。
  7. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算は、現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データを、前記運動学的手法により予測演算された予測結果に基づいて補正しながら予測演算したものであることを特徴とする請求項1に記載の降雨量予測方法。
  8. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは水蒸気混合比を含んでおり、かつ、現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データの補正において、運動学的手法による予測雨量が予め設定した雨量よりも多く、物理的手法により予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比よりも少ない場合に、物理的手法により予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比に置き換える補正を行なうことを特徴とする請求項7に記載の降雨量予測方法。
  9. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは水蒸気混合比を含んでおり、かつ、現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データの補正において、運動学的手法による予測雨量が0mm又は予め設定した雨量よりも少なく、物理的手法により予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比の予め定めた比率よりも大きい場合に、予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比の予め定めた比率に置き換える補正を行なうことを特徴とする請求項7に記載の降雨量予測方法。
  10. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは雲水の混合比を含んでおり、かつ、現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データの補正において、運動学的手法による予測雨量が雲底高度から雲頂高度までの雲水の鉛直積算量に等しくなると仮定して、モデル内の雲水量を修正したことを特徴とする請求項7に記載の降雨量予測方法。
  11. 雲水の混合比を修正する際に、水蒸気から雲水になる時に発生する凝結熱により、モデル内の大気が加熱される効果を考慮して、モデル内の気温分布を修正することを特徴とする請求項6又は10に記載の降雨量予測方法。
  12. 前記重み関数C(t)は、過去に観測された複数の降雨データに基づいて予測降雨量R(t)を前記数1で求めた結果が、当該過去に実際に観測された降雨量に近くなるように最適化されていることを特徴とする請求項1に記載の降雨量予測方法。
  13. 記憶装置に記憶された運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)と、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)と、前記物理的手法による予測降雨量R2(t)に対する運動学的手法による予測降雨量R1(t)のt時間後の重み関数C(t)(1≧C(t)≧0)とに基づいて、演算手段において下記の数1によりt時間後の予測降雨量R(t)を求めると共に、前記重み関数C(t)として、少なくとも地形要因と風向要因と風速要因とによって、運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)と、物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)との重み付けが異なることに対応させて、異なる重み関数C(t)を用意し、これらの用意された重み関数C(t)を選択して用いる処理をコンピュータにさせるための降雨量予測プログラム。
    Figure 0003851641
  14. 記憶装置に予め設定された、降雨予測領域を所定の水平分解能で格子状に区切った各メッシュ毎に、雨域の移動ベクトルに対して所定時間後にメッシュ内に停滞する地形性降雨と所定時間後に他のメッシュから移動する非地形性降雨の割合を用い、
    記憶装置に記録されたレーダー観測によるレーダー雨量と地上に設置された雨量計のデータに基づいて、レーダー雨量を補正して解析雨量を算出する解析雨量算出手順と、
    レーダー観測による雨域の時間的な移動に基づいて雨域の移動ベクトルを算出する移動ベクトル算出手順と、
    前記解析雨量算出手順で算出した解析雨量と、移動ベクトル算出手順で算出した移動ベクトルと、予め設定した雨域の移動ベクトルに対する地形性降雨と非地形性降雨の割合とに基づいて、解析雨量を地形性降雨と非地形性降雨とに分離する手順と、
    前記移動ベクトルと、地形性降雨と、非地形性降雨と、移動中の非地形性降雨の発達を反映した降雨発達係数と、前記各メッシュで新たに発生する降雨発生量とに基づいて予測降雨量を算出する降雨量算出手順と、
    前記算出した予測降雨量を前記運動学的手法によるt時間後の予測降雨量R1(t)として記憶装置に記憶する手順をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項13に記載の降雨量予測プログラム。
  15. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算を、数時間前から始め、数時間前から現在時刻までの予測データを、実際に観測された結果に基づいて補正しながら行なう処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項13に記載の降雨量予測プログラム。
  16. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは水蒸気混合比を含んでおり、かつ、数時間前から現在時刻までの予測データの補正において、実測雨量が予め設定した雨量よりも多く、予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比よりも小さい場合に、予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比に置き換える補正を行なう処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項15に記載の降雨量予測プログラム。
  17. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは水蒸気混合比を含んでおり、かつ、数時間前から現在時刻までの予測データの補正において、実測雨量が0mm又は予め設定した雨量よりも少なく、予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比の予め定めた比率よりも大きい場合に、予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比の予め定めた比率に置き換える補正を行なう処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項15に記載の降雨量予測プログラム。
  18. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは雲水の混合比を含んでおり、かつ、数時間前から現在時刻までの予測データの補正において、実測雨量が雲底高度から雲頂高度までの雲水の鉛直積算量に等しくなると仮定して、モデル内の雲水量を修正する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項15に記載の降雨量予測プログラム。
  19. 記憶装置に記録された現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データを、前記運動学的手法により予測演算された予測結果に基づいて補正しながら、前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算を行なう処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項13に記載の降雨量予測プログラム。
  20. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは水蒸気混合比を含んでおり、かつ、現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データの補正において、運動学的手法による予測雨量が予め設定した雨量よりも多く、物理的手法により予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比よりも少ない場合に、物理的手法により予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比に置き換える補正を行なう処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項19に記載の降雨量予測プログラム。
  21. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは水蒸気混合比を含んでおり、かつ、現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データの補正において、運動学的手法による予測雨量が0mm又は予め設定した雨量よりも少なく、物理的手法により予測された水蒸気混合比が飽和水蒸気混合比の予め定めた比率よりも大きい場合に、予測された水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比の予め定めた比率に置き換える補正を行なう処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項19に記載の降雨量予測プログラム。
  22. 前記物理的手法によるt時間後の予測降雨量R2(t)の予測演算で算出された予測データは雲水の混合比を含んでおり、かつ、現在時刻から予め定めた数時間先までの予測データの補正において、運動学的手法による予測雨量が雲底高度から雲頂高度までの雲水の鉛直積算量に等しくなると仮定して、モデル内の雲水量を修正する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項19に記載の降雨量予測プログラム。
  23. 雲水の混合比を修正する際に、水蒸気から雲水になる時に発生する凝結熱により、モデル内の大気が加熱される効果を考慮して、モデル内の気温分布を修正する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項18又は22に記載の降雨量予測プログラム。
  24. 前記重み関数C(t)は、過去に観測された複数の降雨データに基づいて、前記予測降雨量R(t)を前記数1で求めた結果が、当該過去に実際に観測された降雨量に近くなうように最適化されていることを特徴とする請求項13に記載の降雨量予測プログラム。
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