JP3850075B2 - 食器洗浄機の給湯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食器洗浄機に温水を供給する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食器洗浄機の給湯装置としてはガス式の湯沸器が一般に用いられている。一方近年、地下や高層ビル等ではガス機器の使用規制が増える傾向にあり、そのため、電力で稼働し得、なおかつヒータ等に比べて低電力に抑えられるヒートポンプを給湯装置に使用する技術が開発されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヒートポンプがいかに低電力といえども、単に付設したのでは、食器洗浄機用に設定された電源容量が不足する可能性が大きい。そのため、ヒートポンプを設置する場合には、併せて電源容量の増設工事も行わねばならず、実現化の妨げとなっていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、電源容量を増すことなく給湯装置としてヒートポンプを使用できるようにすることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、本発明は、食器洗浄機に温水を供給するための装置であって、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を配管接続することで冷凍サイクルを構成したヒートポンプを備え、このヒートポンプにおける前記蒸発器を、食器洗浄機からの排湯を貯留するタンク内に熱交換可能な状態に配設する一方、前記凝縮器を原水の給水管と熱交換可能な状態に配設し、原水が給水管に給送された場合に前記ヒートポンプを運転することにより、排湯から熱を回収しつつ原水を昇温することで温水を生成して、その温水を食器洗浄機に供給する構成とするとともに、前記ヒートポンプが運転された場合には食器洗浄機で使用される温水の保温用のヒータを遮断する制御手段を設けた構成としたところに特徴を有する。
【0005】
【発明の作用及び効果】
温水を生成すべくヒートポンプが運転されている間は、食器洗浄機で使用される温水の保温用のヒータが遮断される。このヒータは食器洗浄機側において最も大きな電力のものであるから、既存の電源容量のままでもヒータに代えてヒートポンプを運転することができる。
すなわちこの発明によれば、電源容量を増すことなくヒートポンプを食器洗浄機の給湯装置として付設することができる効果が得られる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図10に基づいて説明する。
図1において、符号1は食器洗浄機であって、その側方に、ヒートポンプ21を装備した温水生成装置20が設置される。まず食器洗浄機1の構造について説明すると、その内部の上方側には、図示しないラックを介して食器が出し入れ可能に収納される洗浄室2が形成されており、この洗浄室2の上面側と下面側に、洗浄ノズル3とすすぎノズル4とが一対ずつ配設されている。洗浄室2の底面の一側には、アルカリ洗剤の混入された洗浄水を貯留する洗浄タンク6が形成され、そこに貯められた洗浄水は、洗浄ポンプ7により汲み上げられて上記した洗浄ノズル3から食器に向けて噴射され、そののち洗浄タンク6内に回収されるといったように循環供給される。
【0007】
洗浄タンク6の下方には、すすぎ用の温水を貯留する貯湯タンク8が装備されている。この貯湯タンク8内には、詳しくは後記するように温水生成装置20で生成された温水が、給湯弁9の介設された給水管10により供給されて貯留される。貯められた温水は、すすぎポンプ11により汲み上げられてすすぎノズル4から食器に向けて噴射され、上記の洗浄タンク6内に回収される。洗浄タンク6にはオーバーフローパイプ13が装備されており、このオーバーフローパイプ13は、洗浄タンク6からオーバーフローした排湯を取り込んで、排湯管14を通して温水生成装置20に設けられた排湯回収タンク30内に排出するようになっている。なお、洗浄タンク6と貯湯タンク8内にはそれぞれヒータ15,16と図示しないサーモスタットが装備されていて、洗浄水は約60℃に、すすぎ用の温水は約80℃に保温されるようになっている。
【0008】
すなわち食器が洗浄室2に収納されると、洗浄ノズル3から洗浄水が噴射されて食器が洗浄され、続いてすすぎノズル4から温水が噴射されてすすぎが行われる。そして、洗浄タンク6に回収し切れずにオーバーフローした排湯が温水生成装置20側に排出されて排熱が回収され、その回収した熱が、給水管10に給送される水道水等の原水と熱交換されることで温水が生成されて、上記した貯湯タンク8に供給されるようになっている。
【0009】
続いて温水生成装置20について詳細に説明する。この温水生成装置20はヒートポンプ21を備えており、箱状をなす本体22内に収納されるようになっている。ヒートポンプ21は、図6にも示すように、圧縮機24、凝縮器25、膨張弁26及び蒸発器27が循環接続され、その中に冷媒であるフロンガス(R−22)が流通可能に封入されることで冷凍サイクルを構成している。
【0010】
圧縮機24は比較的大型のものであって、図2,3に示すように、本体22内の底面上に設置されている。その圧縮機24の側方には蓋板31付きの排湯回収タンク30が設置されている。この排湯回収タンク30には、図4,5に示すように、上記の冷凍サイクルの構成部品であるパイプ状の蒸発器27が、その内周面に沿って螺旋状に巻装されており、その入り口27aと出口27bとが蓋板31の上面に突出されて冷媒配管21aと接続されている。排湯回収タンク30の上部の一側には排湯の導入口32が設けられ、食器洗浄機1における洗浄タンク6のオーバーフローパイプ13から引き出された排湯管14と接続されており、洗浄タンク6からオーバーフローした排湯を導入し得るようになっている。他側には、排湯回収タンク30自身のオーバーフロー水を排出する排出口33が設けられ、排水管34が接続されている。
【0011】
排湯回収タンク30内には、プロペラ状の攪拌具36が備えられており、蓋板31上に設けられた駆動モータ37によりシャフト38を介して回転駆動されるようになっている。また、排湯回収タンク30の底面には排水弁40が設けられている。この排水弁40は常開式のものであって、蓋板31を貫通して上下動自由に装備されたロッド41の先端に、底面に開口された弁口42の上面側に接離して開閉する弁体43が設けられ、常にはロッド41がばね部材44により上動付勢されて、図5の鎖線に示すように弁体43が引き上げられることで弁口42が開いており、蓋板31上にブラケット45を介して取り付けられたソレノイド46の励磁力により、同図の実線に示すようにロッド41並びに弁体43を付勢力に抗して押し下げることで弁口42が閉じられるようになっている。この排水弁40は上記した排水管34に合流して接続されている。また、排湯回収タンク30の蓋板31には、蒸発器27に向けて温水を散水することでそれを洗浄するための2個の散水ノズル48が設けられている。
【0012】
凝縮器25は大径のパイプ状に形成されており、その中に、すすぎ水の原水を給送する給水管10の途中部分が挿通され、熱交換を可能とした二重管部28が形成されている。この二重管部28が、図2,3に示すように、本体22の2つの側面の内側にわたって回曲しつつ張り巡らされている。給水管10の出口側は、上記のように食器洗浄機1の貯湯タンク8に接続されている。また膨張弁26は、感温筒26aが付設された温度式のものである(図6参照)。なお、本体22内には、ヒートポンプ21の冷凍サイクルや給排水等を制御するための装置を収納した制御ボックス49が備えられている。
【0013】
さらに図6によって冷凍サイクルについて言及する。圧縮機24の高圧側と低圧側との間にはバイパス管51が設けられ、そこに容量調整弁52が設けられている。この容量調整弁52は、熱負荷(熱源)が足りないときや、初期給湯時のようにまったく無いときに、圧縮機24の高圧側のガスを低圧側にバイパスして、低圧側の圧力が過剰に低下することを防止するように機能する。
給水管10における二重管部28から出たところには、自動給水弁53が設けられている。この自動給水弁53は、高圧側の圧力を検知してそれに応じて給水量を調節し、高圧側の圧力を一定に保つように機能する。それに伴い、略一定温度の温水を取り出すことができる。
【0014】
給水管10における自動給水弁53の上流側には、分流弁54を介設した散水ホース55が分岐して接続され、この散水ホース55が、前記した排湯回収タンク30の蓋板31に設けられた散水ノズル48に接続されている。この分流弁54は、運転の停止時に開弁することで、二重管部28内に残っている温水を排出し、蒸発器27の洗浄に利用するとともに、運転立上り時の過渡的な凝縮能力不足を防止するように機能する。
【0015】
凝縮器25の出口側の冷媒配管21aと、原水の給水管10における二重管部28に入る手前側の部分とが密着状に並列配管されることにより、第1の補助熱交換部57が構成されている。この第1補助熱交換部57は、凝縮器25から出た液冷媒とすすぎ水の原水との間で熱交換させることによって、原水を予熱するように機能する。
また、上記の第1補助熱交換部57を構成する部分の下流側の冷媒配管21aと、蒸発器27の出口側の冷媒配管21aとが同じく密着状に並列配管されることで、第2の補助熱交換部58が構成されている。この第2補助熱交換部58は、蒸発器27を経た低温冷媒を凝縮器25から出た高温液冷媒で加熱することにより、特に運転後半において圧縮機24側への液戻り現象が起きるのを抑制し、併せて熱利用効率を高めるように機能する。
【0016】
上記の第2補助熱交換部58を構成する部分と、膨張弁26との間における冷媒配管21aにはレシーバ59が介設されている。このレシーバ59は、例えば冷媒を過充填したときや、内部のバランスが崩れて液冷媒が過剰となった場合にそれを溜め、凝縮器25に液冷媒が滞留するのを防止するように機能する。
レシーバ59と膨張弁26との間には冷媒電磁弁60が介設されている。この冷媒電磁弁60は、運転停止時に膨張弁26から高圧ガスが低圧側に漏れることを防いで高圧力を維持するように機能する。
【0017】
この実施形態では、図7,8に示すような制御回路を備えている。同図において、SWは給湯開始用の押しボタンスイッチ、FMは、温水生成装置20の本体22内に装備されたファンの駆動モータ、CMはヒートポンプ21の圧縮機24である。SVは冷媒電磁弁60、Mは攪拌具36の駆動モータ37、Sは排水弁40のソレノイド46である。Th1は、圧縮機24の高圧側吐出口に設けられた保護用のサーモスタット、Th2は、圧縮機24内に設けられた同じく保護用のサーモスタットである。また、OCRは、圧縮機24の運転電流が過電流となったときに開放する過負荷継電器、PdSWは、圧縮機24の高圧側の圧力が異常上昇した際に開放する圧力スイッチである。
また図7,8の制御回路から明かなように、圧縮機24(CM)がオンしたときには併せてリレーX2が励磁され、洗浄タンク6と貯湯タンク8のヒータ15,16の導通回路にそれぞれ介設された常閉接点X2が開放されることで、ヒータ15,16の導通が遮断されるようになっている。
【0018】
本実施形態は上記のような構造であって、続いてその作動を説明する。まず説明の便宜上、食器洗浄機1の洗浄タンク6と貯湯タンク8とが満水であって、洗浄可能な状態にある場合からの作動について図9のタイミングチャートを参照して説明する。
初めに洗浄すべき食器をラックに収めて洗浄室2内に収容する(ラック作業)。ラック作業が完了すると洗浄サイクルが開始され、洗浄タンク6内の洗浄水が洗浄ポンプ7で汲み上げられて洗浄ノズル3から噴出されるといった洗浄作業が数十秒間にわたって行われる。5秒程度の停止時間(水切り時間)があったのち、引き続いてすすぎサイクルが開始され、貯湯タンク8内の温水がすすぎポンプ11で汲み上げられてすすぎノズル4から噴出されるといったすすぎ作業が7秒程度行われる。そののち5秒程度の停止時間(同じく水切り時間)が設定され、それにより1回の洗浄工程が完了する。
【0019】
上記において、すすぎサイクルが開始されると、貯湯タンク8内に備えられたフロートスイッチがオフとなることで給湯弁9が開弁されるとともに、圧縮機24がオンしてヒートポンプ21が稼働し始める。同時に冷媒電磁弁60も開弁される。また、排湯回収タンク30に設けられたソレノイド46が励磁されて常開式の排水弁40が閉弁されるとともに、攪拌具36が回転駆動される。すすぎサイクルの開始後に洗浄タンク6からオーバーフローしてくる排湯は、少し遅れて排湯回収タンク30に流入し、実際に蒸発器27が吸熱を始めるのは数秒後となる。
【0020】
さて排湯回収タンク30では、食器洗浄機1の洗浄タンク6からオーバーフローした排湯が少しずつ(数十秒をかけて)取り込まれる。排湯の取り込みの最中からヒートポンプ21はフル運転して蒸発器27に液冷媒を供給し、攪拌具36により排湯が攪拌されて熱交換が促進されつつ吸熱を始める。実際に吸熱に掛けることのできる時間は数十秒であるため、膨張弁26は比較的大きな流量(冷凍能力)のものが使用され、立上りからすぐに多くの冷媒が供給される。
その吸熱の最中に、まず洗浄タンク6からのオーバーフローが終わり、排湯回収タンク30が満水となる。吸熱はさらに継続されるが、蒸発器27に冷媒が十分に行き届くと、感温筒26aで検知される温度が低下することで膨張弁26が閉じ始める。しかしながら、膨張弁26の流量制御のタイミングがどうしても遅れるので少し液戻りぎみになる。そのため、第2補助熱交換部58で加熱されることで液戻りの抑制が図られ、それと併せて熱利用効率の向上が図られる。
【0021】
この間、給水管10に送給されたすすぎ水の原水は、第1補助熱交換部57で予熱されたのち、二重管部28において冷媒と熱交換されて昇温され、温水となって給湯弁9を介して食器洗浄機1の貯湯タンク8に次第に供給される。貯湯タンク8に所定量温水が溜まってフロートスイッチがオンすると、圧縮機24がオフとなるとともに、冷媒電磁弁60が閉弁してヒートポンプ21の運転が停止される。また排湯回収タンク30の排水弁40が開弁されるとともに、攪拌具36が停止される。これにより、排湯回収タンク30内の排湯が排出されるが、排湯は慣性力により渦流となって排出されるので、例えば排湯中に食材の細片等の異物が混じっていたとしても、渦流とともにすべて排出され、タンク30内が汚れるおそれがない。また上記のフロートスイッチがオンすることに伴って分流弁54が10〜15秒間開弁され、二重管部28内に残った温水が散水ホース55側に分流される。その温水は、排湯回収タンク30の散水ノズル48から蒸発器27に向けて散水され、蒸発器27の表面が洗浄される。そののち、排湯回収タンク30の排湯が完全に排出され、食器洗浄機1がすすぎ可能な状態とされる。
以上のようにして、洗浄作業と温水の生成とが繰り返し行われる。
【0022】
また上記の作業の際、図9のタイミングチャートに示されるように、温水を生成すべくヒートポンプ21(圧縮機24)が稼働している間は、食器洗浄機1の洗浄タンク6及び貯湯タンク8にそれぞれ装備されたヒータ15,16は、電気的な導通不能に遮断される。ヒータ16が遮断されているときは、貯湯タンク8内の温水を加熱することができないが、この間は、温水が貯湯タンク8内に供給されている最中であるので、ヒータ16が遮断されていても何ら支障はない。またヒータ15が遮断されているときは、洗浄タンク6内の洗浄水を加熱できないが、それもヒートポンプ21が稼働している間だけであって、せいぜい数十秒であり、ヒートポンプ21が停止すればヒータ15は即座に導通されるのであるから、洗浄水を保温することについてさしたる不都合は生じない。
【0023】
なお、食器洗浄機1は汚れを扱うものであるため、毎日業務終了時には洗浄タンク6を全部排水するようにしている。したがって毎朝業務を開始する際には、温水を新たに洗浄タンク6に供給する必要がある。この給湯を初期給湯と称しており、以下これについて図10のタイミングチャートを参照して説明する。
この初期給湯では、容量の大きい洗浄タンク6に温水を貯めねばならず、また一度に大容量の温水を供給することが難しいことから、基本的には以下のような手順で給湯が行われる。それは、温水生成装置20で生成された温水が貯湯タンク8に一旦取り込まれ、貯湯タンク8内のフロートスイッチがオンにしたところで、給湯弁9が閉弁されてすすぎサイクルが行われ、すすぎポンプ11が温水を汲み上げてすすぎノズル4から噴射させて洗浄タンク6に貯められる。この給湯のサイクルが、洗浄タンク6内に設けられた図示しない水位センサが検知するまで継続される。その後、上記の給湯サイクルが予め設定された回数だけ実行されて、初期給湯が完了する。
【0024】
この初期給湯時における温水も、同様にヒートポンプ21を運転することで生成されるが、初期給湯時では洗浄タンク6からオーバーフローされる排湯、すなわち熱源が無いため、そのままでは低圧側が極端に低圧となった運転か、異常運転(真空運転あるいは液バック運転)を行ってしまう。したがって初期給湯時には、圧縮機24に付設された容量調整弁52の作用によって、高圧側の冷媒ガスを低圧側にバイパスさせる。これにより低圧側の圧力が一定値に維持される。実際にはこの圧力は、4Kgf/cm2程度となるように設定され、高圧側の比較的温度の高い冷媒ガスは、上記の設定圧力となるように低圧側に供給される。一方膨張弁26からは漏れ冷媒があり、熱源が無いためにそれは圧縮機24側に戻っていく。圧縮機24の吸入直前では、高温のバイパスガスと、戻ってきた液冷媒とが混合されつつ圧縮機24に戻り、このことがより低圧側の圧力を増加させ、高圧側の圧力を自動給水弁53を適度に開くように維持させるのに役立っている。上記した圧力設定値4Kgf/cm2は、フロンガス(R−22)の0℃での蒸発圧力を意識しており、仮に排湯回収タンク30内に温度の低い水が残っていたとしても、凍り付くおそれはない。
【0025】
温水の生成に話を戻すと、すすぎサイクルが行われるごとにヒートポンプ21により温水が生成される。通常そのためには、ヒートポンプ21の運転と停止とに対応して圧縮機24を断続運転させることになるが、短周期での運転と停止とを嫌う圧縮機24に対して、頻繁な断続運転が予測されるにも拘らずそのままにしておくのは、品質、信頼性の上から問題がある。例えば圧縮機24は、起動するたびに圧縮機モータが発熱して、局部的な温度上昇を招くおそれがあるためである。
そこでこの実施形態では、初期給湯の際には圧縮機24を運転し続けるようにしている。ただし、食器洗浄機1の給湯弁9が間欠的に閉弁されるとき、ヒートポンプ21の冷凍サイクル側では凝縮器25への水流が断たれるから、圧縮機24が連続運転されていると、僅かな時間でも高圧側の圧力の異常上昇を招くこととなる。
【0026】
そのため、図10のタイミングチャートに示されるように、給湯弁9の閉弁動作に同期して冷媒電磁弁60を閉弁制御し、その間は、容量調整弁52によるバイパス冷媒だけで運転する。冷媒電磁弁60が閉じられると、圧縮機24の低圧側への冷媒の供給量が減少するため、高圧側の圧力は逆に下がり気味となり、よって高圧側の圧力の異常上昇が防止される。もちろん、冷媒電磁弁60が閉弁し続けると、高圧側が圧力上昇することになるが、閉弁時間はせいぜい数秒から数十秒であるため、上記のように高圧側の圧力を有効に下げるように機能する。このようにして初期給湯が行われ、洗浄可能な状態にセットされることになる。
またこの初期給湯の際にも、同タイミングチャートに示すように、温水を生成すべくヒートポンプ21(圧縮機24)が稼働している間は、食器洗浄機1の洗浄タンク6及び貯湯タンク8にそれぞれ装備されたヒータ15,16は、電気的な導通不能に遮断される。
【0027】
以上説明したように本実施形態によれば、温水を生成すべくヒートポンプ21が稼働されている間は、食器洗浄機1側に備えられた保温用のヒータ15,16が遮断される。これらのヒータ15,16は食器洗浄機1側において最も大きな電力のものであるから、既存の電源容量のままでもヒータ15,16に代えてヒートポンプ21を稼働させることができる。すなわち、電源容量の増設工事を行うことなくヒートポンプ21を食器洗浄機1の給湯装置として付設することができる。
【0028】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、ヒートポンプの稼働時に洗浄タンクと貯湯タンクの両ヒータを遮断するようにしたが、既存の電源容量の大きさや、ヒートポンプの電力によっては、いずれか一方のヒータを遮断するだけとしてもよい。
(2)また、貯湯タンクが食器洗浄機の外部に設置されたものについても、本発明は同様に適用することができる。
(3)上記実施形態では、フロンガスを冷媒として用いたものを例示したが、他の冷媒を用いて冷凍サイクルを構成したヒートポンプを使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の全体構造を示す概略図である。
【図2】 温水生成装置の上面から見た断面図である。
【図3】 その正面から見た断面図である。
【図4】 排湯回収タンクの上面から見た断面図である。
【図5】 その正面から見た断面図である。
【図6】 ヒートポンプの冷凍サイクル図である。
【図7】 温水生成装置の制御回路図である。
【図8】 食器洗浄機の制御回路図である。
【図9】 洗浄運転時のタイミングチャートである。
【図10】 初期給湯時のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…食器洗浄機 6…洗浄タンク 8…貯湯タンク 10…給水管 15…(洗浄タンク6の)ヒータ 16…(貯湯タンク8の)ヒータ 20…温水生成装置 21…ヒートポンプ 21a…冷媒配管 24…圧縮機 25…凝縮器 26…膨張弁 27…蒸発器 28…二重管部
Claims (1)
- 食器洗浄機に温水を供給するための装置であって、
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を配管接続することで冷凍サイクルを構成したヒートポンプを備え、このヒートポンプにおける前記蒸発器を、食器洗浄機からの排湯を貯留するタンク内に熱交換可能な状態に配設する一方、前記凝縮器を原水の給水管と熱交換可能な状態に配設し、
原水が給水管に給送された場合に前記ヒートポンプを運転することにより、排湯から熱を回収しつつ原水を昇温することで温水を生成して、その温水を食器洗浄機に供給する構成とするとともに、
前記ヒートポンプが運転された場合には食器洗浄機で使用される温水の保温用のヒータを遮断する制御手段を設けたことを特徴とする食器洗浄機の給湯装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23929896A JP3850075B2 (ja) | 1996-09-10 | 1996-09-10 | 食器洗浄機の給湯装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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