JP3849002B2 - アロマセラピー用エッセンシャルオイルおよびその使用方法 - Google Patents

アロマセラピー用エッセンシャルオイルおよびその使用方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、居住空間の快適性および保健性を目指した室内散布剤に関し、さらに詳細には、アロマセラピー効果のある天然植物精油と天然抽出抗菌物質との相乗効果により、抗菌効果とアロマセラピー効果とを兼ね備えた空中散布型エッセンシャルオイルおよびその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の木皮、果実などより発散する芳香の根源となる揮発性のテルペン化合物等の混合物でり、抗菌作用、生理作用、心理作用、生体リズムを調整する作用等があることが判明している。近年、この精油等の自然の芳香を利用して、人間が生まれつき持っている自然治癒力を促進しようとする療法(アロマセラピー)が広く行われるようになってきた。すなわち、アロマセラピーにより、生活環境の改善と意識改善をはかり、介護を受ける人や身障者の精神的な自立を目指そうというものである。
【0003】
一方、一般に植物は病原菌と接触すると抵抗性反応(過敏感反応)を示し、反応部位の周囲の組織に病原菌に対し抗菌性を示すファイトアレキシンを生成することが知られている。このファイトアレキシンはフェノール類、アセチレン化合物等からなり、このファイトアレキシンを植物体中に生成・誘導する物質がエリシターと称される物質であり、このエリシターをスクリーニングする方法として特開平9−124411号公報等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
精油には上記のとおり抗菌作用があるが、人の分泌物、たとえば汗や尿に作用して悪臭を発生させる菌類を排除できるほどの力はない。しかし、一般的な合成抗菌剤を併用すると、過敏性体質の人にアレルギーが発生したり、抗菌剤自身の臭いが気になる等、アロマセラピーとは程遠い環境となってしまう。
【0005】
また、エッセンシャルオイルを室内に散布して利用する場合、従来型のデフューザでは発生させた微粒子の滞空時間が短いため、効果の持続性に問題がある。したがって本発明の目的は、精油の香りによる心身の癒し、リラクゼーション効果とともに、抗菌効果も十分に発揮できるアロマセラピー用エッセンシャルオイルを提供し、さらに、エッセンシャルオイルの室内散布に関して持続性を持たせる使用方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のアロマセラピー用エッセンシャルオイルは、天然植物精油に、キトサンをエリシターとしてのきのこに産生させたファイトアレキシンからなる天然抽出抗菌剤を添加して構成される。
【0007】
天然植物精油の例としては、レモングラス精油、ヒバ精油、ユーカリ精油、ラベンダー精油、ローズマリー精油、ヒノキ精油、サンダルウッド精油、カモミール精油、クラリセージ精油、グレープフルーツ精油、クローブ精油、サイプレス精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジュニパー精油、ゼラニウム精油、タイム精油、ティートリー精油、パイン精油、パチュリ精油、フェンネル精油、ペパーミント精油、マジョラム精油、メリッサ精油、ローズウッド精油、バジル精油、バテ精油、パルマローザ精油及びヒソップ精油があり、これらの1種またはそれ以上を使用することができる。
【0008】
一方、本発明のエッセンシャルオイルの使用方法は、上記アロマセラピー用エッセンシャルオイルを、平均粒径1〜5ミクロンの微粒子状に霧化し、室内へ散布する。霧化の手段としては、超音波振動霧化方式のデフューザを用いることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を具体的に説明する。
アロマセラピー用エッセンシャルオイルを室内に噴霧する場合、併用できる抗菌剤は食品添加物として認可された物質に限定されるが、本発明で使用する天然抽出抗菌剤は、植物由来の安全性の高い食品用の抗菌剤であり、次のような方法で採取する。
【0010】
即ち、先ず植物(例えば稲やきのこ類)を培養し、この培地中に植物に対してエリシター効果を有するキトサンを加え、ファイトアレキシンを生成させる。得られたファイトアレキシンは構造解析の結果、糖脂質に分類されるセレブロサイド化合物であると考えられる。
【0011】
一方、本発明で使用する天然植物精油は、レモングラス精油、ヒバ精油、ユーカリ精油、ラベンダー精油、ローズマリー精油、ヒノキ精油、サンダルウッド精油、カモミール精油、クラリセージ精油、グレープフルーツ精油、クローブ精油、サイプレス精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジュニパー精油、ゼラニウム精油、タイム精油、ティートリー精油、パイン精油、パチュリ精油、フェンネル精油、ペパーミント精油、マジョラム精油、メリッサ精油、ローズウッド精油、バジル精油、バテ精油、パルマローザ精油、ヒソップ精油等であり、これらは、抗菌作用、生理作用、心理作用、生体リズムを調整する作用等を有するためアロマセラピー用に利用されている。
【0012】
本発明のアロマセラピー用エッセンシャルオイルの調製の一例を示す。天然抽出抗菌剤については、1〜1000ppm、好ましくは10〜500ppm濃度の水溶液としておく。また、天然植物精油については、水で2〜100倍、好ましくは5〜10倍程度に希釈し、植物性界面活性剤を添加してホモジナイザーで乳化しておく。なお、それぞれに使用する水は、珪酸その他の不純物を含まない純水が、デフューザの汚れや故障を防止できるため好ましいが、目的に応じてミネラルウォータ、フローラルウォータ等も好適に使用できる。
【0013】
次に、天然抽出抗菌剤水溶液と、天然植物精油乳化物とを、適宜混合して本発明のアロマセラピー用エッセンシャルオイルを調製する。このようにして調製したアロマセラピー用エッセンシャルオイルは、安全性、精油の香りによる心身の癒し、およびリラクゼーション効果、精油の抗菌性と天然抽出抗菌剤とによる相乗的な抗菌、防臭効果を併せ持つため、高齢者、身障者、病人、子どもは勿論のこと、ストレスの多い現代社会において心身の癒しを求める万人に歓迎されるものである。
【0014】
本発明のアロマセラピー用エッセンシャルオイルを使用する方法としては、マッサージで精油の成分を体に吸収させる方法もあるが、特に、室内散布により香気を吸入する方法が推奨される。室内散布に使用する機器の例としては、水溶式超音波デフューザを挙げることができる。このデフューザは水冷の超音波振動霧化方式を利用するものであり、従来のデフューザが平均粒径50〜100ミクロンの液滴しか発生できなかったのに対して、平均粒径3ミクロンを中心として、平均粒径1〜5ミクロンの霧(25ミクロン以上の粒子の場合を通常ミストと称する)を作ることができる。
【0015】
平均粒径1〜5ミクロンの霧は、従来のような大粒液滴と異なり、空気中での滞留時間が長いため、本発明のエッセンシャルオイルを、人の背丈あたりまでの空気中に均一拡散することができる。したがって、室内空気中のエッセンシャルオイル濃度をコントロールすることが可能となり、また、無駄に落下してしまうことがないため使用量も減らすことができる。
【0016】
本発明の使用方法によりエッセンシャルオイルを散布すると、天然森林に近い空気湿度環境が得られ、身体や精神の恒常性の維持、健康増進、抗菌・消臭による生活環境の改善をはかることができる。また、散布場所としては、家庭内やホテルの室内、病室のほか、人の集まる催し物会場や、休憩広場、各種リラクゼーション施設に設置するのが効果的である。
【0017】
次に実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明する。
(実施例1)植物から得られた天然抽出抗菌剤を純水中に溶解し、50ppm水溶液を調製した。また、ヒバ精油1mlに純水9mlを加えて乳化液とした。植物自体がグルカンを多量に含有している場合には乳化剤は不要であるが、必要に応じて界面活性剤などを添加してもよい。上記乳化液を10倍、100倍、1000倍に希釈し、これと、上記の抗菌剤50ppm水溶液とを1:1の割合で混合して3種類の濃度の供試液を調製した。これと別に、生理食塩水約5mlで供試菌(大腸菌:Escherichia coli ATCC8739)の浮遊液を作成し、滅菌した9cmシャーレに普通寒天培地(栄研社製)を10ml注ぎ、放冷後滅菌済の直径6mmペーパーディスクをセットした。そして各供試液0.05mlをペーパーディスクに吸収させ、37℃で24時間培養した。24時間培養後の菌の発育阻止円直径を計測し、抗菌力を評価した。供試液の組成および阻止円直径のデータを表1に示す。
【0018】
(実施例2)
ユーカリ精油を使用した以外は実施例1と同様にして供試液を調製した。供試液の組成および抗菌力の評価(阻止円直径)を表1に示す。
【0019】
(比較例1〜5)
比較例1では、精油を使用しない以外は実施例1と同様にして供試液を調製した。また比較例2〜5では抗菌剤を使用しない以外は比較例1と同様にして供試液を調製した。供試液の組成および抗菌力の評価(阻止円直径)を表1に示す。
【0020】
【表1】
Figure 0003849002
【0021】
実施例および比較例の結果から明らかなように、本実施例のエッセンシャルオイルは、阻止円の径が天然抽出抗菌剤単独、あるいは各精油単独の供試液のものよりも大きくなっており、これは、精油の抗菌性と天然抽出抗菌剤の抗菌性の相乗作用と思われる。
【0022】
【発明の効果】
以上に説明した通り、本発明のアロマセラピー用エッセンシャルオイルは、天然植物精油に、キトサンをエリシターとしてきのこに産出させたファイトアレキシンからなる天然抽出抗菌剤を添加して調製したものであるため、安全性、抗菌性・防臭性に優れている。
【0023】
また、本発明のアロマセラピー用エッセンシャルオイルの使用方法は、平均粒径1〜5ミクロンの微粒子状に霧化し、室内へ散布するため、空気中での滞留時間が長く、均一拡散することができる。したがって、室内空気中のエッセンシャルオイル濃度をコントロールすることが可能となり、また、無駄に落下してしまうことがないため使用量も減らすことができる。

Claims (4)

  1. 天然植物精油に、キトサンをエリシターとしてきのこに産出させたファイトアレキシンからなる天然抽出抗菌剤を添加したことを特徴とするアロマセラピー用エッセンシャルオイル。
  2. 請求項1に記載のアロマセラピー用エッセンシャルオイルにおいて、前記天然植物精油が、レモングラス精油、ヒバ精油、ユーカリ精油、ラベンダー精油、ローズマリー精油、ヒノキ精油、サンダルウッド精油、カモミール精油、クラリセージ精油、グレープフルーツ精油、クローブ精油、サイプレス精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジュニパー精油、ゼラニウム精油、タイム精油、ティートリー精油、パイン精油、パチュリ精油、フェンネル精油、ペパーミント精油、マジョラム精油、メリッサ精油、ローズウッド精油、バジル精油、バテ精油、パルマローザ精油及びヒソップ精油から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするアロマセラピー用エッセンシャルオイル。
  3. 請求項1または請求項2に記載したアロマセラピー用エッセンシャルオイルを、平均粒径1〜5ミクロンの微粒子状に霧化し、室内へ散布することを特徴とするエッセンシャルオイルの使用方法。
  4. 請求項3に記載のエッセンシャルオイルの使用方法において、前記霧化の手段として、超音波振動霧化方式のデフューザを用いることを特徴とするエッセンシャルオイルの使用方法。
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