JP3847128B2 - 戸車用レールのエンドガイド - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、戸車用レールのエンドガイドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば三連引き戸の戸車を案内するレールは、アルミなどの異形押出成形品からなるが、レール終端位置での引き戸(扉)のはね返りを防止するための戸車のストッパー機能が要求される場合には、異形押出成形品からなるレールのガイド溝の底部に、所要の構造のストッパー部材を設置していた。したがって、ストッパー部材を配置しても溝深さが確保されるように、ガイド溝深さは比較的深いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、溝内の清掃性やコスト低減の観点からは溝深さは浅い方が好ましいが、浅いガイド溝内にストッパー部材を配置すると戸車がガイド溝から外れやすくなるとともに、ストッパー部材自体もガイド溝から離脱し易くなる。
【0004】
そこで、本発明は、レールのガイド溝を浅くしつつも、ガイド溝終端における戸車のストッパー作用を得ることができて、しかも、取付作業性にも優れた新規な戸車用レールのエンドガイドを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
【0006】
即ち、本発明の戸車用レールのエンドガイドは、戸車が転動する前後方向に延びるガイド溝が上面に設けられた平板状の戸車用レールの前後方向端部に接続される平板状の部材である。このエンドガイドは、レールのガイド溝に接続されるガイド溝を備え、戸車の移動領域の終端における戸車の転動を案内するものである。また、本発明のエンドガイドは、そのガイド溝をレールのガイド溝に位置合わせするようにレールの上面並びに左右側面に係止する係止片を備えることができ、これにより容易かつ迅速に両ガイド溝を位置合わせした上で取付固定することができるようになる。また、前記係止片はレール側の側縁部からレールに向けて突設させることができ、より好ましくは、レール側の側縁部上端から突設させることができ、係止片の上面はエンドガイドの上面と面一であるのが好ましい。さらに、係止片の基部側に、レールの前後方向端部が突き合わされる突き合わせ面を設けるとともに、ガイド溝を突き合わせ面から前後方向における外方に向けて形成することで、レールにエンドガイドを接続した状態での一体的な構造を得ることが可能となる。そして、前記ガイド溝の前後方向における外端部に、戸車が落ち込む落とし孔を設けることにより、戸車がガイド溝の終端まで転動すると該戸車が落とし孔に落ち込んで、戸車が不慮にガイド終端から移動してしまうことが防止され、これにより引き戸のストッパー作用が得られる。
【0007】
このように、本発明のエンドガイドによれば、レールのガイド溝内にストッパーを嵌め込む必要がなく、このレールのガイド溝の溝深さを浅くすることができる一方、エンドガイドの上面高さを若干高くすることで終端位置における戸車の外れを防止し得る。
【0008】
さらに、上記本発明のエンドガイドにおいて、エンドガイドのガイド溝の底面は、前後方向における外方に至るにしたがって徐々に高くなる第1の傾斜面と、該第1の傾斜面の前後方向における外端から前後方向における外方に至るにしたがって第1の傾斜面よりも急勾配で徐々に低くなる第2の傾斜面とを備えており、該第2の傾斜面の前後方向における外端位置から落とし孔が形成されているものとすることができる。これによれば、レール側から落とし孔側への戸車の転動は比較的円滑に行われるようにしつつも、逆方向の転動を行い難くして、より一層引き戸のストッパー作用が確実に得られるようになる。
【0009】
なお、本発明のエンドガイドは、落とし孔を有するガイド溝が少なくとも一つ設けられていればよく、2以上のガイド溝を備えていてもよく、また、落とし孔のないガイド溝が設けられていてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図5は本発明の第1実施形態に係る戸車用レールのエンドガイド1を示しており、該エンドガイド1は、図2にも示すように、三連引き戸装置20を構成する三連一体アルミ製Yレール21の前後方向端部に接続されるものである。三連引き戸装置20は、連動する三枚の引き戸22と、これら三枚の引き戸22の前後方向移動を案内する3つのガイド溝23を上面に有する戸車用下部レール21とを備えている。各引き戸22には前後方向両端の下部に戸車25が装着されており、各引き戸22の戸車25は、3つのガイド溝23のうちのいずれかのガイド溝23に案内されつつ前後方向に転動するように構成されている。三枚の引き戸22は左右方向に並設され、各引き戸22に対応して3つのガイド溝23は左右に並設されているとともに、各ガイド溝23はレール21の前後方向全長に亘って設けられている。このレール21は、全体として平板状の異形押出成形品によって構成でき、その裏面側には適宜補強リブなどが形成されていてもよい。また、図示実施例のレール21の左右側面は、左右外方に至るにしたがって下方に傾斜する傾斜面となされている。また、三枚の引き戸22の連動機構は適宜のものであってよく、各引き戸に、隣り合う他の引き戸の前後端部に係止する係止片を設けることで連動させてもよく、プーリと索体などを用いて連動させても良い。
【0012】
エンドガイド1は、PA6などの硬質樹脂製の射出成形品であって、上記レール21の前後方向端部に接続される平板状の部材である。このエンドガイド1は、レール21の3つのガイド溝23にそれぞれ接続されるガイド溝2を備え、この3つのガイド溝2は、レールのガイド溝23に対応して左右方向に並設されており、各ガイド溝2はエンドガイド1のレール側の側縁から前後方向における外方に延設されており、このエンドガイド1のガイド溝2によって、各戸車25の移動領域の終端における転動が案内される。このガイド溝2の断面形状は、レール21のガイド溝23の断面形状に合致するY形となされており、レール21とエンドガイド1との間で段差が生じないようになされている。
【0013】
上記3つのガイド溝2のうち、最も右側のガイド溝2の前後方向における外端部には、上下に貫通する落とし孔5が設けられている。この落とし孔5は、戸車25が、ガイド溝23,2に案内されている状態よりも下方に落ち込むのに必要かつ十分な大きさと形状とを有している。
【0014】
また、エンドガイド1のレール側の側縁部上端には、ガイド溝2をレールのガイド溝23に位置合わせするようにレール21の上面並びに左右側面に係止する係止片3がレール21に向けて突設されている。なお、ガイド溝23が設けられている部分には係止片3は設けられておらず、左右方向に断続的に係止片3が設けられている。取付状態において係止片3はレール21を抱持するようになるため、係止片3は上記位置合わせ作用のみならず、レール21の押さえ部材としても機能するものである。したがって、レール21を戸枠に直接取り付ける木ねじ等の固定部材は必ずしも必要ではない。係止片3の上面は、エンドガイド1の上面と面一とされており、上面側に突起部分が存在しないように構成している。また、係止片3の左右端部は、レール21の左右側面の傾斜に沿って傾斜されている。
【0015】
さらに、エンドガイド1は、上記係止片の基部側に設けられてレール21の前後方向端面が突き合わされる突き合わせ面6を備えており、上記ガイド溝2は、突き合わせ面6から前後方向外方に向けて形成されている。
【0016】
また、落とし孔5を設けたガイド溝2の底面(即ち、エンドガイド1のレール側の端部から落とし孔5までの間の底面)は、前後方向における外方に至るにしたがって徐々に高くなる第1の傾斜面7と、該第1の傾斜面7の前後方向における外端から前後方向における外方に至るにしたがって第1の傾斜面7よりも急勾配で徐々に低くなる第2の傾斜面8とを備えており、該第2の傾斜面8の前後方向における外端位置から落とし孔5が形成されている。
【0017】
また、エンドガイド1には、隣り合うガイド溝2,2間に、エンドガイド1を戸枠に固定するための木ねじが挿通される取付孔10が設けられている。
【0018】
図6〜図8は本発明の第2実施形態に係るエンドガイド1を示しており、上記第1実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略し、異なる構成、作用効果について説明する。本実施形態のエンドガイド1では、最も左側のガイド溝2にも落とし孔5が設けられている。なお、このガイド溝2の底面には、上記第1及び第2の傾斜面は設けられていない。また、本実施形態では、戸枠の縦枠Fに、最も右側の引き戸22の前後外端部が嵌り込む凹部30が設けられており、エンドガイド1の前後方向における外側縁には、上記凹部30に嵌合する嵌合部11が設けられている。これら凹部30並びに嵌合部11により、引き戸22を戸枠側により近接させた状態で開き保持することが可能となるとともに、戸枠Fに対するエンドガイド1の位置決めも容易かつ迅速に行えるようになる。
【0019】
図9〜図11は本発明の第3実施形態に係るエンドガイド1を示しており、このエンドガイド1は、片開き戸のような1枚引き戸の場合に用いられるものであって、ガイド溝1は一つのみ設けられている。その他の構成は上記実施形態と同様であるので同符号を付して詳細説明を省略する。
【0020】
図12は、本発明の第4実施形態に係るエンドガイド1を示しており、このエンドガイド1は、両開き戸のような2枚引き戸の場合に用いられるものであって、ガイド溝1は2つ設けられており、両ガイド溝1に落とし孔5が設けられている。その他の構成は上記実施形態と同様であるので同符号を付して詳細説明を省略する。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、レールのガイド溝を浅くしつつも、ガイド溝終端における戸車のストッパー作用を得ることができ、しかも、レールに対する位置決めが容易であるので、取付作業性にも優れたものとすることができる。さらに、レールのガイド溝内にストッパー構造を設ける必要性がなく、アルミ製の異形押出成形品のレールを従来と同様に用いることができ、レールからの戸車の外れも生じ難い構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係るエンドガイドとレールを示す分解斜視図である。
【図2】 同エンドガイドとレールの取付状態を示す概略平面図である。
【図3】 同エンドガイドを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図である。
【図4】 図3のA−A線断面図である。
【図5】 図3のB−B線断面図である。
【図6】 本発明の第2実施形態に係るエンドガイドを示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は左側面図、(f)は右側面図である。
【図7】 図6のC−C線断面図である。
【図8】 図6のD−D線断面図である。
【図9】 本発明の第3実施形態に係るエンドガイドを示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は左側面図、(f)は右側面図である。
【図10】 図9のE−E線断面図である。
【図11】 図9のF−F線断面図である。
【図12】 本発明の第4実施形態に係るエンドガイドを示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は左側面図、(f)は右側面図である。
【符号の説明】
1 エンドガイド
2 ガイド溝
3 係止片
5 落とし孔
6 突き合わせ面
7 第1の傾斜面
8 第2の傾斜面
Claims (2)
- 戸車が転動する前後方向に延びるガイド溝が上面に設けられた平板状の戸車用レールの前後方向端部に接続される平板状のエンドガイドであって、レールのガイド溝に接続され且つ前記戸車の移動領域の終端における転動を案内するガイド溝と、該ガイド溝をレールのガイド溝に位置合わせするようにレールの上面並びに左右側面に係止する係止片とを備え、該係止片はレール側の側縁部からレールに向けて突設されており、係止片の基部側には、レールの前後方向端部が突き合わされる突き合わせ面が設けられ、ガイド溝は突き合わせ面から前後方向における外方に向けて形成され、該ガイド溝の前後方向における外端部には、戸車が落ち込む落とし孔が設けられていることを特徴とする戸車用レールのエンドガイド。
- エンドガイドのガイド溝の底面は、前後方向における外方に至るにしたがって徐々に高くなる第1の傾斜面と、該第1の傾斜面の前後方向における外端から前後方向における外方に至るにしたがって第1の傾斜面よりも急勾配で徐々に低くなる第2の傾斜面とを備えており、該第2の傾斜面の前後方向における外端位置から落とし孔が形成されており、この落とし孔は、戸車が戸車用レール並びにエンドガイドのガイド溝に案内されている状態よりも下方に落ち込むのに必要かつ十分な大きさと形状とを有していることを特徴とする戸車用レールのエンドガイド。
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