昨今、産業現場における制御の複雑高度化に伴い、多数の検出対象物を1台の制御装置で制御する必要性が生じている。検出対象物が高密度に多数存在する場合、センサヘッド部の小型並びに取扱い容易性から、ファイバ型光電センサが多用される傾向にある。殊に、DINレールを介して多数密に連装可能な連装方式のファイバ型光電センサは、狭小なスペースに多数のセンサを取り付けることができる点で好適である。
しかしながら、特許文献1〜特許文献3に記載の従来のファイバ型光電センサにあっては、1チャンネル分の検出動作しか賄うことしかできないから、例えば8チャンネル(8箇所)、16チャンネル(16箇所)、32チャンネル(32箇所)といったように検出対象物が複数存在するときには、それらのチャンネル数に合わせて8台、16台、32台といったように多数のファイバ型光電センサを並べねばならない。もちろん、これらセンサの連装方向への幅乃至厚みに関しては、各メーカにおいて薄型化が検討された結果、例えば幅10mm程度までの薄型化が達成されている。しかし、これらの薄型化への努力にも限界があるため、チャンネル数が増大するにつれて、DINレールに沿ったセンサ群の連装長さは無視しがたいものとなる。殊に、工作機械などの制御装置の内部に組み込まざるを得ない場合には、一般の制御盤内に組み込まれる場合に比べて、スペース上の制約が大きい。
また、センサが1チャンネルずつ独立した製品となっているので、多数を使用するとコスト高となる。センサのケースが大きくなってもよいから、単一の製品で多数の検出チャンネルを扱うことによってコストダウンを図ることも考えられるが、ユーザーが必要とするチャンネル数はさまざまであるから、いずれのユーザーのニーズをも満足させようとするとチャンネル数の異なる多くの機種が必要となり、結局十分なコストダウン効果を得ることができない。また、多チャンネル化する場合に、出力応答性のような性能面、連装される他のファイバ型光電センサとの連携機能、および使いやすさの観点から構成上いかなる配慮をすべきかが明らかでない。さらに、特許文献4に記載のファイバ型光電センサのように複数の検出チャンネルの光ファイバ挿入口を横方向に配列したのでは、多チャンネル化による省スペース効果が充分得られない。
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、複数台連装する場合において、1チャンネルあたりの実質占有幅を縮小することが可能なファイバ型光電センサを提供することにある。
また、この発明の他の目的とするところは、1チャンネルあたりの実質占有幅を縮小しつつも、各チャンネル毎の動作や表示機能をできる限り維持するようにしたファイバ型光電センサを提供することにある。
また、この発明の他の目的とするところは、1チャンネルあたりの占有幅を実質的に縮小しつつも、隣接チャンネル間における検出情報を有効に利用して、出力動作や表示動作を行うことができるようにしたファイバ型光電センサを提供することにある。
また、この発明のさらに他の目的とするところは、従前の1チャンネル方式の連装センサシステムにもそのまま適用が可能な適合性の高いファイバ型光電センサを提供することにある。
また、この発明のさらに他の目的とするところは、比較的少数の検出チャンネルを使用する場合および比較的多数の検出チャンネルを必要とする場合のいずれにあっても、コストダウンを図ることができるファイバ型光電センサを提供することにある。
さらに、この発明の他の目的並びに作用効果については、以下の明細書の記載を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
この発明のファイバ型光電センサは、底面にレール装着部、上面に表示部と操作部、前面にファイバ挿入口、後面にコード引出方式またはコネクタ方式の出力部、を有すると共に、レール長手方向の寸法が15mm以下であることを前提とする。
ここで、『レール装着部』とあるのは、主としてDINレールなどを意識したものであるが、『レール』なるものの意味するところは、特定の物理的形状を意味するものではない。そのため、この種のファイバ型光電センサを制御盤や制御装置の内部に取り付ける際に使用される任意の形状のレール乃至取付具を広く含むことは言うまでもない。また、『表示部と操作部』とが設けられる『上面』とは、仮に水平な取付面に取り付けた場合の上面を意味するものであって、任意の取付状態において垂直方向上方に位置する面ではないことは言うまでもない。また、ここで上面とは、その上に透明なカバーなどが存在しても差し支えない。更に、上面は必ずしも平坦な面である必要はなく、視認に便利なように傾斜していたり緩やかな曲面を成していたりしたものも全て上面に含まれる。
ファイバ挿入口が設けられる『前面』についても、水平な面に取り付けた場合における前面を意味するものであって、任意の姿勢における前面を意味するものではない。また、センサの筐体とファイバクランパの筐体とが分離可能な別体となっているような場合には、ファイバの挿入されるクランパの面がここで言う『前面』に相当するものであり、『前面』の意味するところについては、後述する『後面』との対比から理解されるべきである。
出力部が設けられる『後面』については、同様に水平面に取り付けた場合における『前面』に対する『後面』であることは言うまでもない。尚、『コード引出方式』とは、電源線や信号線に相当する電気コードの先端がセンサハウジングの内部で半田やねじなどにより永久的に固定されており、通常の操作では着脱不能な方式を言い、コネクタ方式とは、本出願人が先に特開2001−196127号公報により開示したように、電源線や信号線をコネクタを介してセンサ本体ケースに対して着脱自在としたものである。このとき、隣接コネクタ同士を連結して、電源線を共有化したものも知られている。
更に、レール長手方向の寸法が15mm以下としたのは、現行製品がすでに達成しており、今後も標準的であると予想される寸法と同程度の寸法を有する薄型製品に適用される発明であることを明確にするためである。なお、ファイバ型光電センサのこの寸法はあまり小さいと表示器や操作スイッチも小さくなって使いにくくなるので、どこまでも薄くなるというものではなく、好適な寸法が存在すると考えられる。その好適な寸法は5〜15mm程度であり、より好適には7〜12mmである。
以上の前提の基に、本発明にあっては、第1、第2の検出チャンネルに対応する2組の投光回路及び受光回路を設ける。ここで受光回路にはその後段に設けられるA/Dコンバータは含まれない。そのため、2組の受光回路のそれぞれ毎に別個にA/Dコンバータを有しなくとも良い。即ち、ここで言う『2組の受光回路』とは、受光素子とアナログ増幅回路が2組あれば要件を満たす。殊に、CPUをマイクロプロセッサを用いて構成する場合、マイクロプロセッサ内蔵のA/Dコンバータはビット数があまり多くないため、計測並びに表示の高精度化に制約を与える。このような場合、多少高価ではあるが、外付けのA/Dコンバータを利用し、これをセレクタにて第1チャンネルと第2チャンネルに切り替えるようにすれば、さほどコストアップを来すことなく十分なデータビット数を確保して、検出並びに表示における高精度化を実現することができる。
次に、本発明にあっては、2つの検出チャンネルの検出動作(投光タイミング及び受光量を取得するタイミングを制御し、受光量をしきい値により判別する)を時分割で行う単一のCPUを有する。このようなCPUを実現する手段としては、マイクロプロセッサのみならずプログラマブル・ゲート・アレイなどのハードウェアを利用しても良い。また、ここで言う時分割には、『投受光から判定に至るまでの一連の処理を交互に』に限定するものではなく、多様な時分割の仕方が含まれていても良い。これにより、各検出チャンネル別に2台のCPUを設ける場合に比べ、回路部品の占める占積率を縮小し、コストダウンが可能となる。
また、本発明にあっては、2つの検出チャンネルに対応する2本の出力線を設ける。ここで、『2本の出力線』の意味するところは、1本の出力線を用いて時分割的に2つの検出チャンネルに対応するものを排除することにある。このような構成によって、各チャンネル毎に専用の出力線が存在するから、時分割構成に比べ、出力応答性を損ねることがない。
また、本発明にあっては、前面に上下に並んだ4つのファイバ挿入口を有する。ここで、下2つが第1のチャンネルに対応する投受光対、上2つが第2の検出チャンネルに対応する投受光対となる。このような構成を採用すると、1チャンネルタイプのファイバ型光電センサを製作する場合、検出チャンネルを構成する投受光対は、ハウジングの下2つに相当する位置に存在するようにすると、1チャンネルタイプのハウジング構造と本発明の2チャンネルタイプのハウジング構造において基本的構成が同一となり、部品の共通化が可能となる。また、この種のファイバ型光電センサに使用される投光ファイバと受光ファイバは、平行状態で密着一体化されているものがあるため、1つのチャンネルに対応するファイバ挿入口が上下に隣接して配置されていると、センサ本体に挿入する部分だけが分岐された密着一体型の投光ファイバと受光ファイバのセンサ本体への装着が容易となる。
また、本発明にあっては、第1,第2の数値表示部が上面に設けられる。それら各数値表示部は、ケース長手方向へと数字が並べられる。加えて、それら第1,第2の数値表示部それ自体も、ケースの長手方向へ一定間隔で並べられる。これにより、ケースの長手方向と各数値の上下方向が直交する関係となって、最小スペースを持ってケースの長手方向へと数値を羅列することができるため、配列可能な数値桁数が増大する。
さらに、この発明にあっては第1の数値表示部は第1の検出チャンネルの受光量を表示し、第2の数値表示部は第2の検出チャンネルの受光量を表示することができる。即ち、1個の数値表示部を切り替えて第1の検出チャンネルと第2の検出チャンネルとを択一的に表示するのではなく、同時に両チャンネルの受光量を確認することができる。これにより、1台のハウジングに2チャンネル分の検出機能並びに表示機能を収めてはいるものの、それらの機能は従前の2台の1チャンネルタイプのセンサの場合となんら変わるものではなく、機能性を損ねることなく、連装状態における占積率を向上できる。
以上述べた本発明のファイバ型光電センサによれば、ほぼ1台分の幅に2台分の機能(2チャンネル)の光電センサを設置することができ、かつ、両チャンネルの動作状況を同時に確認できる効果がある。さらに、単一のセンサ製品に2つの検出チャンネルが含まれることにより、チャンネル間でケースやCPUを共用することができるのでコストダウンを図ることができる。しかも、どのようなチャンネル数を必要とするユーザーも2つの検出チャンネルを有する本発明のセンサと従前の1つの検出チャンネルを有するセンサとを組み合わせて要求を満たすことができるから、さまざまなチャンネル数のセンサを用意することによるコストの増加を避けることができる。なお、多数の検出チャンネルを使用する場合には、たとえチャンネル数が1つ余ってもコストの無駄は相対的に小さな比率となるので、本発明のセンサのみを用いるようにしてもよい。
本発明の好ましい実施の形態においては、第1の数値表示部に隣接して第1の動作表示灯が、また第2の数値表示部に隣接し第2の動作表示灯が設けられ、その結果第1,第2の動作表示灯の何れかは第1,第2の数値表示部に挟まれて存在する。
このような構成によれば、動作表示灯が各チャンネルに隣接して設けられるため、各検出チャンネルにおける動作状態と受光量などとの関係を容易に理解することができ、使い勝手が良好なものとなる。
本発明の好ましい実施の形態によれば、選択操作により、第1の数値表示部と第2の数値表示部の表示内容を、第1の検出チャンネルの受光量と第2の検出チャンネルの受光量、第1の検出チャンネルの受光量としきい値、及び第2の検出チャンネルの受光量としきい値、のいずれかに切り替えることが可能とされる。
このような構成によれば、予め設けられた2台の数値表示部に対し、個々の受光量、又は各チャンネル毎の受光量としきい値とを適宜選択的に表示させることができるため、2チャンネル分の機能を1台のセンサで賄いつつも、個々のチャンネルに関する表示機能を何ら損ねることがない。
また、本発明の好ましい実施の一形態においては、第1の検出チャンネルの検出結果と第2の検出チャンネルの検出結果との間で論理演算を行う論理演算手段と、論理演算手段による論理演算結果を出力する出力線が設けられる。『論理演算手段』には、ワイヤードロジックで構成された論理回路及びマイクロプロセッサで実行されるソフトウェアのいずれもが含まれる。また、『論理演算結果を出力する出力線』についても、先に述べた2本の出力線の内の1本を兼用したり、別途専用の出力線を設けたりすることができる。
このような構成によれば、隣接する2つのチャンネルの論理演算結果が出力できることに加え、従前の隣接センサ間で論理演算を行うものに比べ、センサ間通信が不要となることから、応答性の高い論理演算出力を得ることができる。加えて、隣接センサ間での通信が不要であるため、その時間を省略して、より複雑な論理演算を実施させることができる。
また、本発明の好ましい実施の一形態においては、第1の検出チャンネルの受光量と第2の検出チャンネルの受光量との間の差の演算を行う差演算手段と、差演算手段による差演算結果をしきい値により判別する判別手段と、判別手段による判別結果を出力する出力線とが設けられる。ここで、『差演算手段』についても、アナログ差演算回路を使用する場合と、マイクロプロセッサによりソフトウェア的に実行する場合との双方を含むことができる。また、『判別結果を出力する出力線』についても、先に述べた2本の出力線の内の1本を兼用しても良いし、それらとは別に専用の出力線を設けてもよい。
また、本発明の好ましい実施の一形態においては、単一のクランプ操作子の操作により、上下に配列された4個のファイバ挿入口に挿入された4本のファイバを同時にロックするファイバロック機構が設けられる。従来、投受光一対の光ファイバをロックする場合、それら2本の光ファイバは1個の可動ブロックにより一体的にクランプされる。本発明のように2対の投受光光ファイバが存在すれば、各ファイバ対毎に着脱を要する場合も存在するであるだろう。しかし、上下に配置された2系統の光ファイバ対を別々にロック・アンロックするとすれば、その結果クランプ操作子(クランプレバー、ロックボタン等とも称される)についても2個必要となる。すると、たとえばクランプ操作子がクランプレバーの場合にはそれら2個のクランプレバーをセンサハウジングの狭小なスペース内において併存させかつ各々独立して操作可能とするためには、2個のレバーの回動軸を前後にずらすかレバーの幅を狭くしてセンサハウジングの幅方向へ並列に配置するかのいずれかとなり、いずれにしても極めて複雑な構造を採用せねばならない。本発明のように、連装状態における占有スペースの小型化を主として意図した場合、むしろ2系統のファイバ対を別々に着脱可能とすることは犠牲にしても、構造の簡素化によりケースへの収容を容易とすることを優先すべきである。斯かる観点からすれば、単一のクランプ操作子の操作により4本のファイバを同時にロックするファイバロック機構は、上記の省スペース化の目的には最適なものと言える。ここで、ファイバロック機構は、ファイバの先端部を受け入れる4個のファイバ挿入孔が上下方向に適当な間隔(間隔は一定であってもなくてもよい)で配置されたベースブロックと、ベースブロックの4個のファイバ挿入口の入口のそれぞれに対応させてベースブロックに固定された4個の可撓性Cリングと、ベースブロックの前面側にあって上下方向にスライド自在に支持されかつ4個のCリングのそれぞれと係合してその径を拡大又は縮小させる1個の共通なスライドアクチュエータと、ベースブロックに回動自在に支持されかつその回動によりスライドアクチュエータをスライドさせるクランプレバーと、を含むようにしても良い。
さらに、本発明の好適な実施の一形態においては、外部同期信号に基づいて生成される検出動作タイミングが到来する度に、検出動作を行うべき検出チャンネルを、第1の検出チャンネルと第2の検出チャンネルとに交互に切り替える切り替え手段が設けられる。
一般にこの種のセンサシステムにあっては、1台の親機に対し複数台の子機が連接され(親機と子機は同一の構成で自己設定または外部からの設定により親機、子機の役割が定まるものであってもよい)、親機はタイマにより周期的に同期信号を隣接センサに送り出す一方、各連接された子機のそれぞれにおいては、例えば、バケツリレー方式などによって同期信号を順繰りに隣接センサへと受け渡し、それぞれの子機センサにおいては隣接センサからの同期信号受信を待って検出動作を行うと共に、わずかな遅れ時間をもって、同期信号を隣接センサへと伝えるようになっている。これにより、親機が全システムの同期を管理しつつ、子機においては、わずかな時間差をもって投受光を行うことにより、隣接センサ間の干渉が防止される。一方、各親機又は子機においては、投受光に続いて、受光データの処理のためにある程度の時間が必要であり、これらの時間は、システムを構成する全センサの動作が一巡する間に、最後のセンサにおける受信処理動作が完了していなければならない。しかし、従前の1チャンネル内蔵型のセンサと本発明の2チャンネル内蔵型のセンサが混在したり、センサシステムを構成するセンサが全て本発明の2チャンネル内蔵のセンサであるような場合、もしも同一のセンサ内における隣接チャンネル間において相連続してわずかなディレイ時間をもって検出動作を行うと、特に同一回路基板内に2つの受信回路が搭載されていれば、チャンネル間の雑音混入或いは電源ラインの電圧変動の影響で、検出動作に支障を来すことが想定される。
加えて、2チャンネル分の検出動作を1台のセンサ内において連続して行えば、当然にしてその1台のセンサが占める動作完了に至る時間は長大化するため、本来設計値では、8チャンネル、16チャンネル、32チャンネルのように、想定される最大チャンネル数が搭載されても最後のチャンネルにおける動作が予め決められた1周期内で終了するはずが、システム内に2チャンネル搭載のセンサが存在することによって、1周期を超えてしまい(所謂サイクルタイムオーバ)、センサシステム全体の動作に支障を来す虞が想定される。
これに対して、本発明のこの実施形態のように、センサハウジング内に2チャンネルを有するものの1センサ内における隣接2チャンネルについては連続して動作させない構成、つまりセンサシステムの動作が一巡する度に、隣接センサが交互に検出動作を行うようにすれば、1台のセンサ内に2チャンネルの機能が搭載されていても、検出動作の所要時間は1チャンネル内蔵のセンサと同一となるため、従前の同期管理を行ったセンサシステムにおいても、何らセンサシステム全体に支障を与えることなく、検出動作を正常に行わせることができる。
この実施形態は、上述した1台の親機に対し複数台の子機が存在し、同期信号を順次転送するタイプのセンサシステムのみならず、共通の同期ラインが並列にシステムを構成する各センサに接続され、個々のセンサ側において固有なディレイ時間をもって、全体として同期を取るようなセンサにあっても有効に機能する。即ち、そのような共通同期線を利用したセンサシステムであっても、8台、16台、32台といった最多予定接続台数に応じた最大周期時間は決定されているから、特定のセンサにおいて2チャンネル搭載することにより1台あたりの占有時間が増大すれば、システム全体として同様な不都合が生ずるはずである。
従って、この実施形態のように、外部同期信号に基づいて生成される検出動作タイミングが到来する度に、検出動作を行うべき検出チャンネルを、第1の検出チャンネルと第2の検出チャンネルとに交互に切り替える切り替え手段を設けることによって、予め規定の周期(サイクルタイム)を有するセンサシステムであっても、それらを構成するセンサの1つ又は全部に2チャンネル内蔵のセンサを導入しても、システム全体に悪影響を与えないと言う利点があるのである。
他の観点から規定したこの発明のファイバ型光電センサは、底面にレール装着部、上面に表示部と操作部、前面にファイバ挿入口、後面にコード引き出し方式又はコネクタ方式からなる出力部、をそれぞれ有することを前提とし、第1、第2の検出チャンネルに対応する2組の投光回路及び受光回路と、2つの検出チャンネルの検出動作を時分割で行う単一のCPUと、2つの検出チャンネルに対応する2本の出力線と、前面に配列された4個のファイバ挿入口と、ケースの上面に設けられ、複数桁の数字をケース長手方向に並べて表示することができ、第1の検出チャンネルの受光量及び第2の検出チャンネルの受光量を数値で表示し得るように構成した表示器と、を備えるものである。このファイバ型光電センサによれば、先に説明したのと同様に、1チャンネル対応のセンサ2台分よりも低コストに製作することができる。また、各チャンネルの受光量を数値で確認することができるので使い勝手がよい。
このファイバ型光電センサの好適な実施の一形態によれば、表示器は、各々複数桁の数字をケースの長手方向に並べて表示することができ、且つケースの長手方向に並べられた第1、第2の数値表示部を備え、第1の数値表示部には第1の検出チャンネルの受光量を、第2の数値表示部には第2の検出チャンネルの受光量をそれぞれ表示することが可能とされる。これにより、同時に両チャンネルの受光量を確認することができる。表示器の他の実施形態として、各チャンネルの受光量を1つの数値表示部に切り換えて表示してもよい。
このファイバ型光電センサは、4個のファイバ挿入口の種々の配置を採用しうる。例えば、1つのチャンネルの2個のファイバ挿入口を上下に、異なるチャンネルのファイバ挿入口を横方向に並べた配置、1つのチャンネルの2個のファイバ挿入口を横方向に、異なるチャンネルのファイバ挿入口を上下に並べた配置、これらの斜めの位置関係を含む配置などである。このファイバ型光電センサの他の好適な実施の一形態によれば、レール長手方向の寸法が15mm以下であり、4個のファイバ挿入口は、前面に上下に配列される。これにより、4個のファイバ挿入口を幅の狭いセンサ前面に無理なく配列することが可能となり、ほぼ一台分の幅に2台分の機能(2チャンネル)の光電センサを配置することができる。
4個のファイバ挿入口は、下2つが第1の検出チャンネルに対応する投受光対、上2つが第2の検出チャンネルに対応する投受光対となるように配列することができる。
以上の説明で明らかなように、本発明の光電センサによれば、1台で2チャンネル分の検出動作が可能であるとともに、各チャンネルの受光量を数値で確認することができ、しかも1チャンネル対応のセンサ2台分よりも低コストに製作することができる。
以下に、本発明に係るファイバ型光電センサの好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の実施の形態は本発明の一例を示すものに過ぎず、言うまでもなく、本発明の要旨は特許請求の範囲によってのみ規定されるものである。
本発明の一実施形態である光電センサの連装状態を示す斜視図が図1に、また同光電センサの内部構造を示す分解斜視図が図2にそれぞれ示されている。
それらの図に示されるように、この実施形態の光電センサ1は、上面が開口されたケース本体10と、ケース本体10内に挿入されて、ケース本体10の開口106を塞ぐ本体アセンブリ20と、本体アセンブリ20の前部に設けられたクランパホルダ部210に収容保持されるクランパアセンブリ(本発明のロック機構に相当する)30とを含んでいる。ケース本体10は合成樹脂一体成形品であり前面板101と、後面板102と、右側面板103と、左側面板104と、下面板(底板)105とを有する六面体構造を有する。前面板101には、第1チャンネル投光用のファイバ挿入口107と、第1チャンネル受光用のファイバ挿入口108と、第2チャンネル投光用のファイバ挿入口109と、第2チャンネル受光用のファイバ挿入口110とが設けられている。すなわち、前面板101には、上下に並んだ4つのファイバ挿入口が設けられ、下2つであるファイバ挿入口107,108が第1の検出チャンネルに対応する投受光対を挿入するためのものであり、上2つのファイバ挿入口109,110が第2の検出チャンネルに対応する投受光対を挿入するためのものである。
ケース本体10の後面板102からは、図1に示されるように、電気コード5が引き出されている。この電気コード5は、コード固定式のものであって、第1チャンネル出力用の芯線51と、第2チャンネル出力用の芯線52と、Vcc用の芯線53と、GND用の芯線54とが含まれている。尚、先に述べたように、コネクタ接続方式の電気コードを引き出す場合、特開2001−196127号公報に示されるように、隣接コネクタ間で電源のやり取りを行う場合には、連装された最端部のセンサから出力された電気コードを除き、Vcc用芯線53は含まれていない。
ケース本体10の右側面板103及び左側面板104には、隣接センサとの間で光通信を行うための投受光窓112が左右同一箇所に設けられている。したがって、DINレール2を介して複数のセンサを連装すると、隣接センサ間において投受光窓112同士が対向するようになされている。尚、図において、Ltは送信用赤外光、Lrは受信用赤外光である。
ケース本体10の下面板105には、DINレール2に取り付けるためのDINレール嵌合溝111が形成されている。図示しないが、各DINレール嵌合溝111内には、DINレール2との着脱を容易とするための係合機構が設けられている。
ケース本体10の上面は開口106とされており、この開口内には本体アセンブリ20が挿入され、開口106は本体アセンブリ20の上面パネル20Aによって塞がれる。
図2に示されるように、本体アセンブリ20は、ケース本体10の内部に収容される部品搭載基板20Bと、ケース本体10の上部開口106を塞ぐ上面パネル20Aとを一体に組み付けて構成される。上面パネル20Aには、図2において左側略2/3の領域を占める『表示部』と、右側略1/3の領域を占める『操作部』とが設けられている。
表示部には、第1数値表示部201と、第2数値表示部202と、第1動作表示灯203と、第2動作表示灯204とが設けられる。換言すれば、第1の数値表示部201の左側に隣接して第1の動作表示灯203が設けられ、第2数値表示部202の左側に隣接して第2動作表示灯204が設けられる。その結果、第2動作表示灯204は、第1数値表示部201と第2数値表示部202とに挟まれた状態で配置される。また、第1数値表示部201及び第2数値表示部202は、いずれも4桁の7セグメントLED表示器で構成されており、各桁の数字は本体ケース10の長手方向へ沿って配列されている。換言すれば、各桁の数字はその上下方向がケース本体10の長手方向と直交するように向けられている。そのため、上面パネル20A上の限られたスペースに、4桁の数値表示器並びに2個の動作表示灯が効率よく並べられている。本実施の形態では、後述のように、第1数値表示部201に第1チャンネルの受光量を、第2数値表示部202に第2チャンネルの受光量を表示することができるが、201に第2チャンネルの受光量を、202に第1チャンネルの受光量を表示するようにしてもよい。この場合は、201を第2数値表示部、202を第1数値表示部と呼ぶことができる。
一方、上面パネル20Aの右側略1/3を占める操作部には、UPスイッチの操作部として機能する押しボタン205と、DOWNスイッチの操作部として機能する押しボタン206と、MODEスイッチの操作部として機能する押しボタン207と、SET/RUN切換スイッチの操作部として機能するスライド操作子208と、チャンネル切換スイッチの操作部として機能するスライド操作子209とが設けられている。以下、押しボタン205をUPボタン、押しボタン206をDOWNボタン、押しボタン207をMODEボタンと称する。
本体アセンブリ20の前部にはクランパホルダ部210が設けられ、このクランパホルダ部210にはクランパアセンブリ30が収容固定される。
クランパアセンブリの内部構造を示す分解斜視図が図3に、同クランパアセンブリの非クランプ状態を示す分解斜視図が図4に、同クランパアセンブリのクランプ状態を示す分解斜視図が図5に、ファイバグリッパを斜め前方から見た斜視図が図6に、同ファイバグリッパの正面並びに背面が図7に、同ファイバグリッパの左側面並びに右側面図が図8にそれぞれ示されている。
図3に示されるように、クランパアセンブリ30は、ベースブロック310と、下側ファイバグリッパ320と、上側ファイバグリッパ330と、クランプレバー340と、スライドアクチュエータ350とを備えている。
ベースブロック310の前面には、4個のファイバ挿入孔310a,310b,310c,310dが設けられている。挿入孔310aは第1のチャンネルの投光用光ファイバ31の先端部を挿入するためのものであり、挿入孔310bは第1のチャンネルの受光用光ファイバ32の先端部を受け入れるためのものである。同様に、挿入孔310cは第2のチャンネルの投光用光ファイバ41の先端部を受け入れるためのものであり、挿入孔310dは第2のチャンネルの受光用光ファイバ42の先端部を受け入れるためのものである。ベースブロック310の前面には、それら挿入孔の他に、下側ファイバグリッパ320用の位置決め孔310e,310fと載置用ステージ310iが設けられている。同様にして、ベースブロック310の前面には、上側ファイバグリッパ330用の位置決め孔310g,310hと載置用ステージ310jとが設けられている。加えて、ベースブロック310の前面側の左右のエッジ部には、スライドアクチュエータ350と係合するガイド突起310n,310o,310pが設けられている。ベースブロック310の上部には、ブラケット310lが設けられ、このブラケット310lには軸孔310mが設けられている。この軸孔310mには、ピン310kを介してクランパレバー340が回動自在に取り付けられる。
下側ファイバグリッパ320は、図6〜図8に示されるように、上側Cリング部320aと下側Cリング部320bとを連結した形状を有し、プラスチックを用いて一体成形されている。図6に示されるように、上側Cリング部320aの空隙部320fは左側に位置しており、下側Cリング部320bの空隙部320gは右側に位置している。上側Cリング部320aの自由端には耳部320cが設けられ、下側Cリング部320bの自由端には耳部320dが設けられている。これらの耳部320c,320dを下方向へ押し下げることによって、上側Cリング部320a及び下側Cリング部320bの内径は縮小する。逆に、それら耳部320c及び320dに対する下向きの力を解放すれば、それらのCリング部320a,320bは弾性により元の形に復帰し、内径は拡大する。後に詳細に説明するが、スライドアクチュエータ350が上下にスライドすると、それらの耳部320c,320dに対して下向きの力が加えられ、上側Cリング部320a,下側Cリング部320bが撓んで、内径が縮小され、それらのリング部に挿入されたファイバがしっかりとグリップされる。
図7及び図8に示されるように、下側ファイバグリッパ320の背面には、丸棒状の突起320hと平板状の突起320iとが形成されている。突起320hは、先に説明したように、ベースブロック310の位置決め孔310eに挿入され、突起320iは位置決め孔310fに挿入される。また、下側ファイバグリッパ320の底面は、ステージ310iに当接し、これにより下側ファイバグリッパ320の全体は、ステージ310iに乗せられ、かつ位置決め孔310e及び310fを介してしっかりとベースブロック310に固定される。尚、上側ファイバグリッパ330についてもその構造は同様であって、ステージ310jに乗せられ、かつ位置決め孔310g及び310hを介してベースブロック310に固定される。その結果、ベースブロック310に設けられた4個のファイバ挿入孔310a,310b,310c,310dの入口部には、4個のCリング部320a,320b,330a,330bが位置することとなる。
スライドアクチュエータ350は、上面から見た場合、断面コの字状を呈している。その前面側には、下側窓350aと上側窓350bとが開口形成されている。また左右の両側面には、3個のガイドスリット350c,350d,350eが設けられている。これらのガイドスリット350c,350d,350eが、ベースブロック310側のガイド突起310n,310o,310pと係合することによって、スライドアクチュエータ350はベースブロック310側に保持され、かつ上下方向へ僅かのストロークでスライド自在とされる。スライドアクチュエータ350内の左右の側壁には、4個の突起350f,350g,350h,350iが設けられている。スライドアクチュエータ350が下方へスライドすると、スライドアクチュエータ350の内部左側面に形成された突起350fが、下側ファイバグリッパ320の上側Cリング部320aの耳部320cに当接する。同時に、スライドアクチュエータ350内部の右側面に形成された突起350gが、下側ファイバグリッパ320の下側Cリング部320bの耳部320dに当接する。そのため、スライドアクチュエータ350がさらに下方へスライドすると、下側ファイバグリッパ320の耳部320c及び耳部320dが下側へ押されて、Cリング部が撓むことによって、それぞれの内径が縮小する。これにより、それらのリング部320a,320bに挿通されたファイバがしっかりとグリップされる。上側ファイバグリッパ330においても同様な作用が行われ、スライドアクチュエータ350の突起350h及び350iが、上側ファイバグリッパ330の上側Cリング部330a及び下側Cリング部330bの該当する耳部に当接することによって、それらリング部の内径が縮小され、同様にして挿通されたファイバはしっかりとグリップされる。
ベースブロック310のブラケット330lの軸孔310mには、ピン310kを介して、クランプレバー340が回動自在に取り付けられる。すなわち、ブラケット310lの軸孔310mと、クランプレバー340の軸孔340aとを軸芯整合させた状態において、それらの軸孔にピン310kを貫通させることによって、クランプレバー340はブラケット310lに対して回動自在に固定される。また、このような状態において、クランプレバー340の下面に形成されたカム部340bが、スライドアクチュエータ350の上端面350jに当接する。そのため、図4に示されるように、クランプレバー340を持ち上げた状態においては、スライドアクチュエータ350はCリング部の復元力によって上方に持ち上げられた状態となる。一方、図5に示されるように、クランプレバー340を押し下げると、カム部340bがスライドアクチュエータ350の上端面350jを下方へ押圧することによって、スライドアクチュエータ350は下方へスライドし、これに伴い先に説明したように、突起350f〜350iが、上下のファイバグリッパ320,330の該当する耳部に当たって、これを押し下げることにより、各Cリング部320a,320b,330a,330bの該当する耳部が下方へ押し下げられて、ファイバがしっかりとグリップされる。
このように、本実施形態のクランパアセンブリによれば、ファイバの先端部を受け入れる4個のファイバ挿入孔310a〜310dが上下方向に適当な間隔で配置されたベースブロック310と、ベースブロック310の4個のファイバ挿入孔310a〜310dの入口のそれぞれに対応させてベースブロックに固定された4個の可撓性Cリング320a,320b,330a,330bと、ベースブロック310の前面側にあって上下方向にスライド自在に支持されかつ4個のCリング320a,320b,330a,330bのそれぞれと係合してその径を拡大または縮小させる1個の共通なスライドアクチュエータ350と、ベースブロック310に回動自在に支持されかつその回動によりスライドアクチュエータ350をスライドさせるクランプレバー340とを有するものである。そのため、1個のクランプレバー340の操作によって、第1チャンネル及び第2チャンネルの4本のファイバを一括して同時にロックさせることができる。また、クランプレバー340及びスライドアクチュエータ350は共通であるものの、4個のCリング部は、2個ずつ一体化されて、下側ファイバグリッパ320と上側ファイバグリッパ330とに分離され、しかもそれらのファイバグリッパ320,330は互いに協働することなく独立しているため、このセンサを2チャンネルではなく1チャンネル用に構成する場合には、いずれかのファイバグリッパを取り除くだけでよく、殆どの構成部品を共用して1チャンネル用と2チャンネル用とを選択的に生産することもできる。また、スライドアクチュエータ350は上から見た状態において断面コの字状を呈しているため、構造上丈夫であり、薄肉化しても強度を維持することができ、そのため幅の狭いケースに収容して、クランプレバー340からの力を、上下のファイバグリッパ320,330に伝達するには好適なものとなる。また、上下のファイバグリッパ320,330のいずれにおいても、上下のCリング部320a,320bは、その空隙部320f及び320gを左右異ならせて配置していると共に、これと係合するスライドアクチュエータ350側の突起350f,350gについても左右別々に分離しているため、上からの力を上側Cリング部320aと下側Cリング部320bとに均等に加え、バランスよくファイバをグリップさせることができる。
図1及び図2に戻って、上面パネル20Aの後部にはヒンジ211が設けられ、このヒンジ211によって、上面パネル20Aを開閉する透明な上面カバー6が回動自在に取り付けられる。尚、図4において突起322は、クランパアセンブリ30をクランパホルダ部210に装着する際のガイドピンである。
次に、図1〜図8で説明した光電センサの外形寸法の説明図が図9に示されている。同図に示されるように、図1〜図8に示された光電センサ1は、幅W、高さH、奥行きLを有する。ここで幅Wとは、図1に示されるように、DINレールの長手方向の寸法に相当する。また、奥行きLは、DINレールの長手方向と直交する方向の寸法に相当する。更に、高さHは、DINレール2の取り付け面に対する垂直方向の寸法に相当する。特に、この実施の形態における光電センサ1にあっては、幅Wは7mm〜12mm、高さHは25mm〜40mm、奥行きLは60mm〜80mmの範囲に設定されている。より具体的な一例としては、幅Wは10mm、高さHは32mm、奥行きLは70mmとされている。このような幅Wを有する2チャンネル実装型の光電センサによれば、8台連装した場合の連装幅は、80mmで16チャンネル分の容量、16台連装した状態における連装幅は、160mmで32チャンネル分の容量、32台連装した場合における連装幅は、320mmで64チャンネル分の容量をまかなうことができる。そのため、従前の1チャンネル実装型の光電センサに比べ、同一の連装台数で2倍のチャンネル容量をまかなうことができるから、高密度実装には一層好適なものとなる。
次に、同実施形態の光電センサの電気的なハードウェア構成を示すブロック図が図10に示されている。同図において符号700が付されているのは、図2に示される部品搭載基板20Bに含まれる基板搭載回路である。この基板搭載回路700は、制御部(CPU)701を主体として構成される。この制御部(CPU)701は、この実施形態にあっては、ワンチップマイクロコンピュータとして機能するマイクロプロセッサにより実現されている。
基板搭載回路700の全体は、検出系回路と通信系回路とに分かれている。まず検出系回路から詳細な説明を行う。検出系回路は第1チャンネル側と第2チャンネル側とに分けられている。両者の構成はほぼ同一である。
すなわち、第1チャンネル側には、投光系回路と、受光系回路と、APC系回路とが含まれている。投光系回路は、制御部(CPU)701からの信号S11を受けて作動する投光回路701aと、投光回路701aによって駆動されるLED702aとを含んでいる。投光系回路を構成するLED702aから発せられた光は、投光用光ファイバ31に導入され、図示しないファイバヘッドへと送られる。受光系回路は、受光用ファイバ32から到来する光を受光するメイン受光PD703aと、メイン受光PD703aの出力信号を増幅する増幅回路704aとを含んでいる。またAPC系回路は、投光系回路を構成するLED702aからの光を受光するAPC用受光PD705aと、APC用受光PDの出力信号を増幅するAPC受光回路706aとを含んでいる。APC受光回路706aの出力信号S13は図示しないCPU内蔵のA/Dコンバータを介してCPU701に取り込まれる。これにより、CPU701では、投光系回路を構成するLED702aに関するオートパワーコントロールを実行する。
同様にして、第2チャンネル側にも、投光系回路と、受光系回路と、APC系回路とが含まれている。投光系回路は、制御部(CPU)701からの信号S21を受けて作動する投光回路701bと、投光回路701bによって駆動されるLED702bとを含んでいる。LED702bから発せられた光は、投光用のファイバ41に導入され、図示しないファイバヘッドへと送られる。受光系回路は、受光用ファイバ42からの光を受光するメイン受光PD703bと、メイン受光PD703bの出力を増幅する増幅回路704bとを含んでいる。またAPC系回路は、投光系回路を構成するLED702bからの光を受光するAPC用受光PD705bと、APC系回路705bの出力を増幅するAPC受光回路706bとを含んでいる。APC受光回路706bの出力信号S23は図示しないCPU内蔵A/Dコンバータを介して制御部(CPU)701に取り込まれ、投光系回路を構成するLED702bのオートパワーコントロールに供される。
一方、チャンネル切換回路707の入力側には、第1チャンネルの増幅回路704aの出力信号S12と、第2チャンネルの増幅回路704bの出力信号S22とが並列に入力されている。また、チャンネル切換回路707は、CPU701からの制御で切換動作を行う。更に、チャンネル切換回路707の出力側にはCPU701とは別に設けられた外付けのA/Dコンバータ708が設けられている。このコンバータ708の出力ビット数は、制御部(CPU)701に内蔵されたA/Dコンバータのそれに比し十分大きく設定されている。一例としては、CPU内蔵のA/Dコンバータは現状10ビット程度であるのに対し、外付けのA/Dコンバータ708のビット数は12ビットとなっている。そのため、CPU701では、チャンネル切換回路707を適宜制御することによって、第1チャンネルのメイン受光PD703aの受光出力又は第2チャンネルのメイン受光PD703bの出力を外付けのA/Dコンバータ708を介して高精度に検出することができる。
次に、通信系回路について説明する。この通信系回路についても、左側と右側に分かれている。すなわち、先に図1及び図2を参照して説明したように、光電センサ1のケース本体10の左右の側面板には、投受光窓112が設けられており、この投受光窓112を介して光通信を行うことによって、互いに隣接して連装された個々の光電センサは、左右両隣の光電センサと光通信を行うことが可能となっている。光通信系回路は、右側と左側とに分けられている。
左側の通信系回路は、送信系回路と、受信系回路とを含んでいる。送信系回路は、CPU701からの信号S41を受けて動作する通信投光駆動回路709aと、通信投光駆動回路709aにより駆動される通信用LED710aとを含んでいる。ここで、通信用LED710aは赤外光を発する様に設定されている。受信系回路は、隣接センサからの赤外光を受信する通信用PD711aと、通信用PD711aの出力を増幅する通信増幅回路712aとを含んでいる。この通信増幅回路712aの出力信号S42がCPU701に取り込まれる。送信データは信号S41に含まれ、受信データは信号S42に含まれる。
右側の通信系回路は、送信系回路と、受信系回路とを含んでいる。送信系回路は、CPU701からの信号S51を受けて動作する通信投光駆動回路709bと、通信投光駆動回路709bにより駆動される通信用LED710bとを含んでいる。ここで、通信用LED710bは赤外光を発光する様に設定されている。受信系回路は、隣接センサから発せられた赤外光を受光する通信用PD711bと、通信用PD711bの出力を増幅する通信増幅回路712bとを含んでいる。この通信増幅回路712bの出力信号S52がCPU701に取り込まれる。送信データは信号S51に含まれ、受信データは信号S52に含まれる。
出力系回路は、第1チャンネル用の制御出力回路715と、第2チャンネル用の制御出力回路716とを含んでいる。第1チャンネル用の制御出力回路715は、第1チャンネル系の検出出力を生成するもので、こうして得られた検出出力は電気コード5に含まれる第1チャンネル出力用の芯線51に送り出される。また、第2チャンネル用の制御出力回路716は、第2チャンネル系の制御出力を生成するもので、この第2チャンネル用の制御出力回路716からの信号は、電気コード5に含まれる第2チャンネル出力用の芯線52へと送り出される。このように、この光電センサにあっては、第1チャンネルと第2チャンネルとに別々の制御出力回路715,716を有する。そのため、第1チャンネル又は第2チャンネルのいずれかにおいて非同期に検出出力が生成された場合、いつでもこの信号を直ちに電気コード5に含まれる芯線51又は52へと迅速に送り出すことができる。即ち、第1チャンネルと第2チャンネルとに共通な1個の制御出力回路を設け、これを時分割で適宜切り替えて利用しようとすれば、検出出力の応答性を損ねるが、本発明にあっては各チャンネルに専用の制御出力回路715,716を有するため、応答速度を損ねることがない。
電源回路718は、Vcc用芯線53及びGND用芯線54から得られる電源を安定化させて、基板搭載回路700の全体に供給する。さらに、CPUリセット回路717は、ユーザの所定操作に応答して、制御部(CPU)701を構成するマイクロプロセッサをリセットさせる作用を有する。
次に表示系の構成について説明する。表示系要素としては表示駆動回路719が設けられている。この表示駆動回路719は、先に図1及び図2を参照して説明した様に、第1数値表示部201を構成する7セグメント表示器、第2数値表示部202を構成する7セグメント表示器、第1チャンネルの動作表示灯203、第2チャンネルの動作表示灯204を駆動する。尚、駆動すべきデータは、CPU701の演算処理により生成される。
次に、操作系の構成について説明する。操作系としては、操作回路720が含まれている。この操作回路720は、先に図1及び図2を参照して説明したように、UPボタン205に対応するUPスイッチ205a、DOWNボタン206に対応するDOWNスイッチ206a、MODEボタン207に対応するMODEスイッチ207a、SET/RUNスライド操作子208に対応するSET/RUN切り替えスイッチ208a、及びチャンネル切り替え用スライド操作子209に対応するチャンネル切り替えスイッチ209aからの信号を処理することによって、それらのスイッチが操作されたことを制御部(CPU)701に伝え、該当する制御プログラムを起動させる。
尚、図10において、符号714はEEPROMであって、制御部(CPU)701において必要な各種の設定データを格納するものであり、符号713は制御部(CPU)701の動作に必要なクロックを生成するための水晶発振子である。
次に、光電センサのソフトウェア構成の全体を示すゼネラルフローチャートが図11に、また同フローチャートの各処理内容を表形式で示す説明図が図18に示されている。それらの図面を参照しながら、実施形態に示された光電センサの動作について以下に詳細な説明を行う。
図11において処理が開始されると、先ず、初期設定処理(ステップ1101)が実行される。図18に示されるように、この初期設定処理(ステップ1101)においては、各種メモリ、表示灯、制御出力の初期化の実行、並びにEEPROM714から必須項目の呼び出しとデータチェックを行う処理を実行する。その後、図10に示されるSET/RUN切換スイッチ208aの状態が参照される(ステップ1102)。
SET/RUN切換スイッチ208aの状態を参照した結果、それがSET側に設定されていれば(ステップ1102SET)、続いてSETモード初期設定処理(ステップ1103)が実行される。図18に示されるように、このSETモード初期設定処理(ステップ1103)においては、SETモード用設定値の初期化、並びに、機能番号Fの初期化(F=0)が行われる。後に詳細に説明するが、機能番号Fと機能内容との関係、並びに、チャンネル個別設定可否を表形式で示す説明図が図20に示されている。ここでは、ティーチング(F=0)、動作モード設定(F=1)、検出機能設定(F=2)、タイマ機能設定(F=3)、表示内容設定(F=4)、キー機能割り付け設定(F=5)、パワーチューニング目標値設定(F=6)、表示方向設定(F=7)、及び出力内容設定(F=8)と決められている。SETモード初期設定処理(ステップ1103)が終了すると、続いてそのとき指定されたSETモードの内容に応じて、SETモード処理(ステップ1104)が実行される。以後、SET/RUN切換スイッチ208aの内容が『SET』と判定される限り(ステップ1105YES)、SETモード処理(ステップ1104)が継続的に実行され、SET/RUN切換スイッチ208aの内容が『RUN』と判定されると(ステップ1105NO)、ステップ1102に戻ることとなる。
SETモード処理の全体を示すフローチャートが図12に、また図12のSETモード処理の各処理内容を表形式で示す説明図が図19に示されている。それらの図に示されように、SETモード処理が開始されると、機能別表示処理(ステップ1201)が実行されて、表示灯を制御し、設定されている機能番号(F)に応じた表示が行われる。
その後、キー入力検知処理(ステップ1202)が実行されて、一定期間毎に、キー入力の検知が行われ、入力を検知した場合には、該当処理が実行できるように設定を行う。ここで、キー入力は、UPボタン205,DOWNボタン206,MODEボタン207,スライド操作子208,スライド操作子209の操作を介して検知される。以後、キー入力を待機する状態となる(ステップ1203NO)。
この状態において、キー入力ありと判定され(ステップ1203YES)、それが機能切換を指令するものであると判定されれば(ステップ1204YES)、その都度機能番号(F)の値は+1ずつ所定の最大値に達するまで(ステップ1206NO)増加していき(ステップ1205)、最大値に達する毎に(ステップ1206YES)、ゼロリセットされる(ステップ1207)。こうして、オペレータが図2に示されるUPボタン205を操作することにより、機能番号(F)を変更しつつ、所望の機能を選択することができる。
一方、オペレータが機能番号(F)を選択した後、例えばMODEボタン207を操作して、機能の実行を指令すると(ステップ1204NO,1208YES)、機能別実行処理が行われる(ステップ1209)。この機能別実行処理(ステップ1209)では、設定されている機能番号(F)に応じた処理が実行され、チャンネル個別設定が可能な機能の場合は、チャンネル切換スイッチ209aの状態を検知し、対応するチャンネルに対する処理が行われる。
機能番号(F)と機能内容との関係、並びに、チャンネル個別設定可否を表形式で示す説明図が図20に示されている。
即ち、図20に示されるように、機能番号(F)が『0』であれば、ティーチング機能が選択される。このティーチング機能においては、キー入力に応じて各種ティーチングを行い、しきい値を決定する。ティーチング方法としては、既に種々しられているように、ワークなしティーチング、ワークありなしティーチング、最大感度設定などを採用することができる。尚、この例にあっては、ティーチング機能に関してのチャンネル毎の個別設定が可能とされている。そのため、第1チャンネルに関してはワークなしティーチングを行いつつも、第2チャンネルに関してはワークありなしティーチングを採用したり、第1チャンネルと第2チャンネルとでしきい値を異ならせたりするといった操作を自由に行うことができる。このため、1個のセンサで2つのチャンネルを賄いつつも、各チャンネル別に種類の異なるティーチングを採用して、あたかも1チャンネルを内蔵する2台のセンサを使用しているのと同様な機能を実現することができる。
機能番号(F)が『1』の場合には、動作モード設定機能が選択される。この動作モード設定機能においては、入光時ONモードや遮光時ONモードといった動作モードの設定を行うことができる。この動作モード設定機能においても、チャンネル毎に個別設定が可能とされている。そのため、1台のセンサに含まれる2つのチャンネルであっても、第1チャンネルについては入光時ONモードに、第2チャンネルについては遮光時ONモードに設定するなどといったチャンネル別に異なる動作モードの設定を行うことが可能となる。これによっても、1台のセンサによって2つのチャンネルを賄いつつも、あたかも1チャンネル内蔵のセンサを2台使用するのと同様な機能を実現することができる。
機能番号(F)が『2』の場合には、検出機能設定機能が選択される。この検出機能設定機能では、検出機能の選択を行うことができる。本機能の選択内容により、ON/OFF判定時の検出アルゴリズムが異なる。ここで、検出機能としては、標準モード、最速モード、高精度モードなどが用意されている。尚、この実施形態においては、この検出機能設定機能に関しては、チャンネル毎の個別設定は否定されている。
機能番号(F)が『3』である場合には、タイマ機能設定機能が選択される。このタイマ機能設定機能においては、タイマモードとタイマ時間の設定が行われる。本設定により、ON/OFF判定時の出力タイミングの設定が行われる。ここで、タイマモードには、タイマオフ、オフディレイ、オンディレイ、ワンショットなどが用意されている。また、タイマ時間には、タイマオフ時以外は、可能範囲内で設定するといった仕様が用意されている。このタイマ機能設定機能においても、チャンネル毎の個別設定が可能とされている。そのため、第1チャンネルに関してはタイマモードはオフディレイとする一方、第2チャンネルに関してはオンディレイとするなど、様々な設定内容を選択することができる。この点からも、1台のセンサにより2チャンネル分の機能を有するとはいえ、各チャンネル別にタイマ機能の設定が可能となるから、使い勝手が良好なものとなる。
機能番号(F)が『4』の場合には、表示内容設定機能が選択される。この表示内容設定機能では、表示内容の選択が行われる。ここで、表示内容としては、受光量、しきい値、バー表示などが用意されている。また、上記表示内容を組み合わせて表示することも可能であり、各内容のホールド値(ピーク、ボトムなど)を表示することも可能とされている。もっとも、この表示内容設定機能に関しては、チャンネル毎の個別設定は否定されている。
機能番号(F)が『5』の場合には、キー機能割り付け設定機能が選択される。このキー機能割り付け設定機能においては、RUNモード時のキーの役割が選択される。ここで、キー割付としては、パワーチューニング、ゼロリセットなどが用意されている。このキー機能割り付け設定機能に関しては、チャンネル毎の個別設定は否定されている。
機能番号(F)が『6』の場合には、パワーチューニング目標値設定機能が選択される。このパワーチューニング目標値設定機能においては、パワーチューニング実行時の目標値が設定される。このパワーチューニング目標値設定機能に関しては、チャンネル毎の個別設定は否定されている。
機能番号(F)が『7』の場合には、表示方向設定機能が選択される。この表示方向設定機能においては、表示方向の選択が行われる。ここで、『通常』が設定されれば通常方向の表示が行われ、『リバース』が選択されれば、リバース方向の表示が行われる。この表示方向設定機能に関しては、チャンネル毎の個別設定は否定されている。
機能番号(F)が『8』の場合には、出力内容設定機能が選択される。この出力内容設定機能においては、2出力タイプ機種において、2チャンネル目の出力内容の設定が行われる。ここで、出力内容としては、通常独立出力、AND出力、OR出力、差分出力が用意されている。通常独立出力については特に説明は要しないであろうが、AND出力が選択されると第1チャンネルの検出出力と第2チャンネルの検出出力との論理積が演算されて、これが特定の出力ラインに出力される。また、OR出力が設定されると、第1チャンネルの検出出力と第2チャンネルの検出出力との論理和が演算により求められ、この論理和出力が特定の出力ラインに送り出される。さらに差分出力が設定されると、第1チャンネルの受光量と第2チャンネルの受光量との差演算が行われ、得られた差分出力を所定のしきい値と比較して判別した結果が、特定の出力ラインに送り出される。つまり、第1チャンネルの受光量と第2チャンネルの受光量との偏差が予め規定されたしきい値を超えたか否かに応じて、その判定結果が特定の出力ラインに送り出される。この差演算は、後にRUNモード実行時に説明するように、制御部(CPU)701を構成するマイクロプロセッサによって行われる。もっとも、別途OPアンプなどのアナログ演算回路を設けて、その演算を制御部(CPU)701の外部で行い、その演算結果をさらにアナログコンパレータで判別するといった構成を採用しても、同様な機能を実現できることは言うまでもない。殊に、この差分出力に関しては、従前隣接する2台の光電センサで行ったものを、隣接センサ間で通信を介していずれかのセンサに取り込み、その後論理判別を行って、いずれかのセンサで出力するといったものが存在したが、そのような構成のものに比べ、本発明の2チャンネル内蔵型センサによれば、隣接センサ間における通信が不要であるから、出力応答性が向上するし、通信を介在させないことによって、十分に時間的余裕を持って、より高度な判定出力を実現することもできる。図12のフローチャートにもどって、キー入力が検知されても(1203YES)、それがSETモード処理と関連しなければ、SETモード処理はスキップされて(1204NO、1208NO)、他の処理が実行される。
図11に戻って、SET/RUN切換スイッチ208aの状態が『RUN』であると判定されると(ステップ1102RUN)、続いてRUNモード初期設定処理(ステップ1106)が実行される。このRUNモード初期設定処理(ステップ1106)では、図18に示されるように、表示灯及び制御出力の初期化、しきい値及び各種RUNモード用設定値の初期化、更には、投受光チャンネル番号Cの初期化(C=1)が行われる。ここで投受光チャンネル番号Cの値は、後述するRUNモードにおいて、何れの検出チャンネルに関する動作を行うべきかどうかの制御に利用される。すなわち、この実施形態においては、1台のCPUによって、第1チャンネル系と第2チャンネル系とを時分割で交互に実行しているため、それらの何れを実行するかをこの投受光チャンネル番号Cの値に応じて決定するのである。
以後、SET/RUN切換スイッチ208aの内容が『RUN』と判定される限り(ステップ1108YES)、RUNモード処理(ステップ1107)が継続的に実行される。
RUNモード処理の全体を示すフローチャートが図13に、RUNモード処理の各処理内容を表形式で示す説明図が図21にそれぞれ示されている。図13において、処理が開始されると、まず表示灯制御処理が実行される(ステップ1301)。この表示灯制御処理(ステップ1301)においては、指定された表示内容に応じて、7セグメント表示器の点灯制御を行う。ここで『指定された表示内容』とあるのは、先にSETモード処理(ステップ1104)において、機能番号(F)を『4』とすることにより、表示内容設定機能を選択して、決定した受光量、しきい値、バー表示の表示内容のことである。
続いて通信コマンド実行処理(ステップ1302)を実行する。この通信コマンド実行処理(ステップ1302)においては、後述する計測割込処理(ステップ1350)内で通信コマンドを受け付けた場合、該当するコマンドの処理を実行することを意味している。先に特開2001−222788号にて本出願人が開示したように、データ設定コマンド、操作不能化コマンド、隠れ機能実行コマンド等が用意されている。続いて、APC処理(ステップ1303)においては、後に説明する計測割込処理(ステップ1350)内で取得したモニタ受光量を監視し、一定期間毎に、APC(オートパワーコントロール‘投光電流のパワー制御’)補正を実施する。このときAPC補正は、各チャンネル毎に実行されるから、投光素子や受光素子或いは投光回路や受光回路の特性がチャンネル毎に異なる場合であっても、各チャンネル別に常に適正なオートパワーコントロールが行われる。
続いて、キー入力検知処理(ステップ1304)においては、一定期間毎に、キー入力の検知を行い、入力を検知した場合は、該当処理が実行できるように設定を行う。その後、検知されたキー入力の状態に基づき、キー入力により指令された内容が、チャンネル切換指令(ステップ1306)、しきい値調整指令(ステップ1307)、パワーチューニング指令(ステップ1308)、ゼロリセット指令(ステップ1309)、キーロック指令(ステップ1310)の何れであるかの判定が行われる。ここで、それらの判定結果に応じて、チャンネル切換処理(ステップ1311)、しきい値調整処理(ステップ1312)、パワーチューニング処理(ステップ1313)、ゼロリセット処理(ステップ1314)、キーロック処理(ステップ1315)の何れかが実行される。
ここで、チャンネル切換処理(ステップ1311)が実行された場合、キー入力に応じて指定チャンネルの切換が行われる。すなわち、図1及び図2において、スライド操作子209が第1チャンネルと第2チャンネルとの何れかに設定されれば、チャンネル切換スイッチ209aを介してその設定状態が読み込まれ、指定されたチャンネルへの切換が実行される。
また、しきい値調整処理(ステップ1312)が実行された場合には、キー入力に応じて、しきい値の変更が行われ、指定されているチャンネルに対して該当するしきい値調整処理が行われる。すなわち、スライド操作子209がそのとき第1チャンネル又は第2チャンネルの何れに設定しているかによって、指定されたチャンネルに関して、所定のキー操作に応じてしきい値の変更が行われる。
また、パワーチューニング処理(ステップ1313)が実行されると、目標とする検出値が得られるように、投光パワー及び受光ゲインの最適調整が行われる(パワーチューニング実行)。一方、『パワーチューニング解除』が要求された場合には、デフォルトの投光パワー、受光ゲイン状態への復帰が行われる(パワーチューニング解除)。更に、それらのパワーチューニング実行並びにパワーチューニング解除は、チャンネル切換スイッチ209の設定状態に応じて、指定されているチャンネルに対して処理が行われる。これにより、第1チャンネル又は第2チャンネルを個別に別々のパワーチューニングを行うことが可能となるから、第1チャンネルと第2チャンネルとで投受光系の特性が相違する場合にも、各チャンネル別に最適なパワーチューニングが行われ、1チャンネル内蔵型のセンサを2台使用するのと全く同様な使い勝手を獲得することができる。
また、ゼロリセット処理(ステップ1314)が実行された場合には、現在の受光量表示が『0』となるように、起点受光量の決定が行われる。以降は、起点受光量から変化量を受光量表示する。上記の起点受光量に応じて、しきい値も同様にシフト表示される(ゼロリセット実行)。一方、『ゼロリセット解除』が要求された場合には、デフォルトの受光量表示状態への復帰が行われる(ゼロリセット解除)。これらゼロリセット実行又はゼロリセット解除は、先の場合と同様に、指定されているチャンネルに対して個別に行うことができるから、1チャンネル内蔵型のセンサを2台使用するのと全く同様な操作間隔で、各チャンネル別にゼロリセットを実行させることができる。尚、このゼロリセット処理に関しては、先に本出願人により特開2001−124594号公報において詳しく開示されているため、ここでは説明は省略する。
また、キーロック処理(ステップ1315)が実行された場合には、『キーロック』の設定が行われる。この『キーロック』が設定されている場合は、特定キー以外の入力を受け付けないように作用する。一方、『キーロック解除』が要求された場合には、ロック状態は解除される。
続いて、定時割込で実行される計測割込処理(ステップ1350)について詳細な説明を行う。計測割込処理を示すフローチャートが図14に、また計測割込処理の各処理内容を表形式で示す説明図が図22に示されている。
図14において処理が開始されると、先ず同期通信処理(ステップ1401)が実行される。この同期通信処理においては、図22に示されるように、隣接センサに対して投光同期信号の送信が行われる。先に図1及び図2を参照して説明したように、光電センサ1の本体ケース10の左右の側面板103,104には、投受光用窓112が開口形成されており、その内部には、先に図10を参照して説明したように、左側通信用LED710a、左側通信用PD711a又は右側通信用LED710b、右側通信用PD711bが配置されている。そして、これらのLED及びPDを適宜駆動することによって、隣接センサとの間で、光通信を介して、情報の送受を行うことが可能とされている。尚、これら情報の送受の詳細については、本出願人により先に特開2001−222786号公報により詳細に開示されている。すなわち、この同期通信処理(ステップ1401)においては、連装された一連のセンサの最端部に位置する親機から定時タイマ処理によって、一定間隔で隣接子機に対して投光同期信号を送信する。すると、それに連なる各子機は順次投光同期信号を一定の遅れ時間をもって隣接する子機へと転送する。これにより、親機並びにそれに隣接する各子機においては、例えば100μsec周期で、僅かな位相遅れをもって、自己が動作すべき動作タイミングを取得することができる。
こうして、同期通信処理(ステップ1401)の実行の結果、自己の動作タイミング到来と判定されると、そのときの設定チャンネルの内容をチャンネル設定レジスタCの内容に基づいて判定する。ここで『C=1』であれば第1チャンネル、『C=2』であれば第2チャンネルが設定されているものと判定される。
チャンネル指定レジスタCの内容を参照した結果、その内容が『1』と判定されれば、以後第1チャンネル系の処理が行われるのに対し、『2』であると判定されれば、第2チャンネル系の処理が実行される。
いま仮に、チャンネル指定レジスタCの値が『1』であると判定されたと想定すると(ステップ1402 C=1)、続いて第1チャンネルに関する投受光処理(ステップ1403)が実行される。この第1チャンネルに関する投受光処理(ステップ1403)においては、設定された検出モードに応じて第1チャンネルの投光LED702aの点灯制御を行い、その状態でメイン受光PD703aを介して得られた受光量を電気信号に変換・増幅し、その後、A/Dコンバータ708を介してA/D変換を実施することにより、検出値を取得する。ここで検出した検出値は、第1チャンネルに関するON/OFF判定処理やRUNモード処理での表示等に利用される。
続いて、第1のチャンネルに関するON/OFF判定処理(ステップ1404)が実行される。この第1チャンネルに関するON/OFF判定処理(ステップ1404)においては、取得した検出値としきい値レベルを比較することにより、設定された検出機能、タイマモード、動作モード(L.ON/D.ON)に応じて、第1チャンネルのON/OFF判定を行う。
続いて、第1チャンネルに関する出力制御処理(ステップ1405)が実行される。この第1チャンネルに関する出力制御処理(ステップ1405)においては、第1チャンネルのON/OFF状態に応じて、第1チャンネル制御出力の出力制御と動作表示灯の点灯制御を行う。このとき、第1チャンネルの制御出力の外部への送出は図10に示される第1チャンネル制御出力回路715を介して行われ、また動作表示灯203の点灯制御については、表示駆動回路719を介して行われる。
このようにして、第1チャンネルに関する出力制御処理(ステップ1405)が終了した後にあっては、チャンネル指定レジスタの値は『1』から『2』に書き換えられる(ステップ1406)。以後、コマンド通信処理(ステップ1413)が実行されて、通信によりコマンド通信を受信した場合、受信内容を保存すると共に、隣接センサへのコマンド転送を行う。
次いで、次回の割り込み処理が実行されると、同期通信処理(ステップ1401)において、動作タイミングの到来が検出されるのを待って、チャンネル指定レジスタCの内容が判定される(ステップ1402)。このとき、先の割り込み処理において、チャンネル指定レジスタCの値は『1』から『2』へと書き換えられているため(ステップ1406)、今回の判定処理(ステップ1402)においてはC=2との判定が行われ、その結果、今度は第2チャンネルに関する投受光処理(ステップ1407)が実行される。
この第2チャンネルに関する投受光処理(ステップ1407)においては、設定された検出モードに応じて第2チャンネルの投光LED702bの点灯制御を行い、メイン受光PD703bを介して得られた受光量を電気信号に変換・増幅し、その後、A/Dコンバータ708を介してA/D変換を実施することにより、検出値を取得する。ここで取得した検出値は、第2チャンネルに関するON/OFF判定処理やRUNモード処理での表示等に使用する。
このようにして第2チャンネルに関する投受光処理(ステップ1407)が実行完了すると、続いて差分検知出力が設定されているかどうかの判定が行われる(ステップ1408)。この差分検知出力の指定は、先に説明したように、SETモード処理(ステップ1104)において、機能番号(F)として『8』を設定し、出力内容設定機能を選択することで行うことができる。ここで、差分検知出力指定なしと判定されれば(ステップ1408NO)、続いて第2チャンネルに関するON/OFF判定処理(ステップ1409)が実行される。
この第2チャンネルに関するON/OFF判定処理(ステップ1409)においては、取得した検出値としきい値レベルを比較することにより、設定された検出機能、タイマモード、動作モード(L.ON/D.ON)に応じて、第2チャンネルのON/OFF判定を行う。
これに対して、差分検知出力指定ありと判定された場合には(ステップ1408YES)、続いて差分判定処理(ステップ1410)が実行される。この差分判定処理(ステップ1410)においては、第1チャンネルの受光量から第2チャンネルの受光量を減算した値としきい値レベルとを比較することにより、タイマモード、動作モード(L.ON./D.ON)に応じて、第2チャンネルのON/OFF判定を実施する。すなわち、この差分判定処理によって、1台のセンサ内に組み込まれた2つのチャンネル間において、両受光量の差分を求め、この差分が予め決められたしきい値を越えたか否かによって判定出力を生成することが可能となるのである。
続いて、第2チャンネルに関する出力制御処理(ステップ1411)が実行される。この出力制御処理(ステップ1411)においては、SETモードでの出力内容設定に応じて、第2チャンネル制御出力の出力制御と動作表示灯の点灯制御を行う。先に図20を参照して説明したように、出力内容設定としては、通常独立出力、AND出力、OR出力、差分出力がそれぞれ用意されている。『通常独立出力』においては、第2チャンネルに関するON/OFFの判定結果が出力される。『AND出力』においては、第1チャンネルと第2チャンネルのON/OFF判定結果のAND出力が送出される。『OR出力』の場合には、第1チャンネルと第2チャンネルのON/OFF判定結果のOR出力が生成され、外部へと送出される。さらに、『差分出力』においては、差分判定処理(ステップ1410)において得られた判定結果が出力される。
このようにして、第2チャンネルに関する出力制御処理(ステップ1411)が実行を完了すると、その直後に、チャンネル指定レジスタCの値は『2』から『1』へと書き換えられる(ステップ1412)。その後、コマンド通信処理(ステップ1413)が実行されて、通信によりコマンド通信を受信した場合、受信内容を保持すると共に、隣接センサへのコマンド転送を行った後、タイマの起動を待って、次回の計測割り込み処理へと移行する。
その結果、ステップ1402におけるチャンネル指定レジスタCの参照処理、並びに、ステップ1406及びステップ1412において行われるチャンネル指定レジスタ書き換え処理の結果、チャンネル指定レジスタCの値は割り込みのたびに交互に『1』と『2』とに切り替わることとなって、第1チャンネル系の処理(ステップ1403〜1405)と第2チャンネル系の処理(ステップ1407〜1411)が交互に実行される。
すると、図17に示されるように、多数のセンサをDINレールを介して連装したセンサシステムにおいては、個々の2チャンネル内蔵型センサ内において、第1のチャンネルと第2のチャンネルとが親機が決めた投光周期を挟んで、交互に実行されることとなり、従前の1チャンネル内蔵型の光電センサと同様に、何ら同期管理を乱すことなく、個々のセンサは正常に作動することとなる。
すなわち、1台のセンサに2個のチャンネルが組み込まれているとは言え、各センサ内におけるチャンネルは1動作周期毎に1個しか作動しないから、親機が決めた動作周期に従って、8点、16点、32点といったように最大接続台数が制限された機種においても、それらのセンサの1つとして又は全てが本発明に係る2チャンネル組込型のセンサであっても、1動作周期内の終了間近に1台のセンサ内において同時に2台のチャンネルが僅かな遅れ時間をもって作動したことにより、最終センサの動作期間が決められた周期を越えて、システム全体に支障を来すといった虞れを未然に防止することができる。
すなわち、図17の例は、3台のセンサ(センサU1,U2,U3)を例にとり、それぞれが2チャンネル組込型のセンサとした場合において、従前の1チャンネル組込型の動作周期(サイクルタイム)を維持したままで、これが正常に動作することを示すものである。
親機であるセンサU1には1CH、2CHが割り付けられ、子機であるセンサU2には3CH、4CHが割り付けられ、さらに子機であるU3には5CH、6CHが割り付けられている。この状態において、親機であるセンサU1が主導権をもって、一定周期で同期信号を隣接センサであるセンサU2に送信すると、センサU2においては3CHに関する検出動作が行われた後、さらにセンサU2からセンサU3に向けて同期信号の光通信による送出が行われる。すると、続くセンサU3においては、5CHに関する検出動作が行われる。その後、同期周期が経過すると、センサU1においてはタイマ管理によって2CHに関する検出動作が実行され、これより僅かに遅れて続くセンサU2に対して同期信号の送出が行われる。すると、センサU2においては、4CHに関する検出動作が行われ、その後僅かに遅れてセンサU3に関して同期信号の光通信による送出が行われる。すると、今度はセンサU3においては6CHに関する検出動作が行われ、その後、内部タイマ管理による投光周期の経過を待って、親機であるセンサU1においては、今度は1CHに関する検出動作が実行される。その後、僅かに遅れてセンサU2に対し同期信号が光信号により送出される。すると、センサU2においては3CHに関する検出動作が行われ、その後僅かに遅れてセンサU3に対し同期信号が光通信で送出される。すると、センサU3では、5CHに関する検出動作が行われ、以後、各センサU1,U2,U3においては、隣接する2つのチャンネルが交互に実行される。その結果、各センサ内に2つのチャンネルが組み込まれているとは言え、各センサ内において専有する時間は、1チャンネル組込型センサと同様であるから、センサ接続最大台数を維持する限りにおいては、接続センサ台数を最大規定台数まで増加することによって、一定のセンサ専有幅を維持しつつも扱うことが可能なチャンネル数を2倍に増加させることが可能となるのである。
最後に、表示部全体の詳細を拡大して示す説明図が図15に、また第1,第2数値表示部の表示態様を示す説明図が図16にそれぞれ示されている。
すなわち、本発明にあっては、第1数値表示部201及び第2数値表示部202を巧みに利用することによって、第1チャンネル並びに第2チャンネルに関する様々な表示態様を獲得することができる。
図16(a)に示されるように、<受光量+受光量>表示を選択すれば、第1数値表示部201には第1チャンネルの受光量が『1000』として、また第2数値表示部202には第2チャンネルの受光量が『3000』として表示される。
また、図16(b)に示されるように、チャンネル切替スイッチ209aが第1チャンネルに設定された状態において、<受光量+しきい値>表示が選択されれば、第1数値表示部201には第1チャンネルの受光量が『4000』として表示され、同時に第2数値表示部202には第1チャンネルのしきい値が『1800』として表示される。
また、図16(c)に示されるように、チャンネル切替スイッチ209aが第2チャンネル側に設定された状態において、<受光量+しきい値>表示が選択されれば、第1数値表示部201には第2チャンネルの受光量が『3000』として、また第2数値表示部202には第2チャンネルのしきい値が『700』として表示される。
また、図16(d)に示されるように、<バー>表示が選択されれば、第1数値表示部201には各チャンネルの入光側光量が上下に領域を分けてバー表示され、同時に第2数値表示部202には各チャンネルの遮光側光量が上下に領域を分けて同様にバー表示される。
さらに、図16(e)に示されるように、例えばチャンネル切替スイッチ209aが第2チャンネル側に設定されている状態において、<受光量差分値+しきい値>表示が選択されれば、第1数値表示部201には第1チャンネルの受光量と第2チャンネルの受光量との差分が『+300』として表示され、第2数値表示部202には差分しきい値が『−500』として表示される。
このように、図16(a)〜(e)に示されるように、本発明によれば、1台のセンサ内に2つのチャンネルの機能を組み込みつつも、2個の数値表示部201,202を利用して、受光量、しきい値、差分といった様々なデータをオペレータに分かりやすく表示させることができ、しかも数値表示のみならず、同図(d)に示されるように、各チャンネルの入光側または遮光側光量をバー表示させることも可能となる。
以上詳細に説明したように、本実施形態の2チャンネル組込型ファイバ型光電センサによれば、従前の1チャンネル組込型の光電センサに比べ、半分のスペースで同じだけのチャンネル容量を賄うことができ、逆に従前のシステムにおけると同じだけのスペースを確保すれば、2倍のチャンネル容量を獲得することができる。加えて、各センサ内に組み込まれた2つのチャンネルは、同期周期毎に、交互に1個ずつしか動作しないから、従前の1チャンネル組込型のシステムに適用した場合にも、同期周期を乱したり、他のセンサに悪影響を与えることがないと共に、1台のセンサ内においても僅かな時間差をおいて2個のチャンネルがほぼ同時に動作することがないため、一方のチャンネルの動作による基板の電位変動が他方のチャンネルの動作に影響を与えるといった問題を生ずることがなく、信頼性の高い、かつ使い勝手の良好なセンサシステムを提供することができる。
加えて、センサケースの両面に設けられた2つの数値表示部並びに2つの動作表示灯を巧みに利用することによって、両チャンネルの受光量を同時に見たり、各チャンネルに関する受光量としきい値とを比較しながら観察したり、さらには2つのチャンネルの光量データを数値表示器の上下2列に分けてバーコードで表示させるなど、オペレータに対して良好な使い勝手を提供することができる。