上述したように多値変調方式では、1シンボルで複数ビットの情報を伝送する。例えば、16QAMであれば1シンボルで4ビットの情報を伝送する。16QAMでは、16個の信号点をIQ平面上の異なる位置に配置することにより、1シンボルで4ビットの情報を伝送することができる。この信号点配置のようすを表すものとして、信号空間ダイアグラムがある。以下、多値変調方式として16QAMを一例に挙げ、16QAMの信号空間ダイアグラムについて説明する。図1は、16QAMの信号点配置を示す信号区間ダイアグラムである。
図1に示すように16QAMでは、I軸、Q軸それぞれの軸で4値の振幅変調を行うことにより、16個の信号点をIQ平面上の異なる位置に配置する。これにより、多値化を行うことができ1シンボルで4ビットの情報を伝送することができる。このように多値化を行う場合、ビット誤り率特性の向上のため、図1に示すように、隣り合うシンボルとは1ビットのみ異なるように信号点が配置される。これは、グレイ符号化(Gray coding)と呼ばれる。なお、図1において、括弧内の数字はビットの割り当てを示している。
グレイ符号化を行った場合、1シンボル内における各ビットの誤り率は、ビットが割り当てられている個所によって異なる。すなわち、16QAMの場合、3ビット目と4ビット目は、1ビット目と2ビット目に比べ誤って判定される確率が高くなる。以下、この点について説明する。なお、図1に示すように、判定しきい値をIチャネル、Qチャネルとも+2、0、−2とした場合について説明する。
図2は、16QAMにおける判定方法を説明するための図である。図2における黒点は図1に示した各信号点であり、各シンボル内のビット割り当ても図1に示したものと同一である。受信機側では、以下のようにして各シンボルのビットを判定する。
すなわち、図1において、最上位ビット(向かって左端のビット)b1に着目すると、I軸におけるプラス領域(Q軸を挟んで右側の領域)101が0であり、I軸におけるマイナス領域(Q軸を挟んで左側の領域)102が1である。したがって、受信機側では、図2(a)に示すように、受信シンボルがI軸のプラス領域101に位置する場合にはb1を0と判定し、受信シンボルがI軸のマイナス領域102に位置する場合にはb1を1と判定する。すなわち、受信シンボルが2つの領域のいずれの領域にあるかを判定するのみで、b1が0か1かを判定することができる。換言すれば、b1については、I軸上の値の正負判定のみで0か1かを判定することができる。
図1において、2番目に上位のビット(向かって左から2番目のビット)b2に着目すると、Q軸におけるプラス領域(I軸を挟んで上側の領域)103が0であり、Q軸におけるマイナス領域(I軸を挟んで下側の領域)104が1である。したがって、受信機側では、図2(b)に示すように、受信シンボルがQ軸のプラス領域103に位置する場合にはb2を0と判定し、受信シンボルがQ軸のマイナス領域104に位置する場合にはb2を1と判定する。すなわち、受信シンボルが2つの領域のいずれの領域にあるかを判定するのみで、b2が0か1かを判定することができる。換言すれば、b2については、Q軸上の値の正負判定のみで0か1かを判定することができる。
図1において、3番目に上位のビット(向かって左から3番目のビット)b3に着目すると、I軸における0以上+2未満の領域105、および−2以上0未満の領域106が0であり、I軸における+2以上の領域107、および−2未満の領域108が1である。したがって、受信機側では、図2(c)に示すように、受信シンボルがI軸における0以上+2未満の領域105、または−2以上0未満の領域106に位置する場合にはb3を0と判定し、受信シンボルがI軸における+2以上の領域107、または−2未満の領域108に位置する場合にはb3を1と判定する。すなわち、b3が0か1かを判定するには、受信シンボルが4つの領域のいずれの領域にあるかを判定する必要がある。
図1において、最下位ビット(向かって右端のビット)b4に着目すると、Q軸における0以上+2未満の領域109、および−2以上0未満の領域110が0であり、Q軸における+2以上の領域111、および−2未満の領域112が1である。したがって、受信機側では、図2(d)に示すように、受信シンボルがQ軸における0以上+2未満の領域109、または−2以上0未満の領域110に位置する場合にはb4を0と判定し、受信シンボルがQ軸における+2以上の領域111、または−2未満の領域112に位置する場合にはb4を1と判定する。すなわち、b4が0か1かを判定するには、受信シンボルが4つの領域のいずれの領域にあるかを判定する必要がある。
このように、b1およびb2については受信シンボルが2つの領域のいずれの領域にあるかを判定すれば足りるのに対し、b3およびb4については受信シンボルが4つの領域のいずれの領域にあるかを判定する必要がある。また、判定領域101〜104の各々は、判定領域105〜112の各々に比べて広い。よって、b1およびb2が誤って判定される確率は、b3およびb4が誤って判定される確率よりも低くなる。
なお、このことは16QAMには限られない。すなわち、1シンボル内に複数のビットが含まれ、各ビットの誤り率がそれぞれ異なるような多値変調方式であれば同様のことが言え、上位ビットになるほど誤りにくくなる(但し、16QAM等だと、複数ビットおいて誤り率が同じになる)。
本発明者らは、多値変調されたシンボル内において各ビットの誤りにくさがビットの位置によって異なる点に着目し、1シンボルに含まれるデータ(16QAMであれば4ビットのデータ)のそれぞれを、各ビットの誤りにくさに基づいて各ビットに割り当てることにより、データの誤り率(すなわち、データの品質)を調節できることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明の骨子は、多値変調方式でデータを変調する場合に、誤りにくくしたいデータほど(すなわち、高品質としたいデータほど)、変調単位であるシンボル内において上位のビットに割り当てて伝送することにより、スループットを向上させることである。
(実施の形態1)
従来、CDMA方式のディジタル通信システムにおいて基地局が複数の通信端末に対して同時にデータを送信する場合、各通信端末に送信されるデータは、図3に示すように、各通信端末に対応する拡散コードで拡散されて送信される。以下、多値変調方式に16QAMを用いて、通信端末#1〜#4の4つの通信端末に同時にデータを送信する場合について説明する。図3は、従来の多値変調通信システムにおける、通信端末と拡散コードとビットの割り当てとの対応関係を示す図である。なお、b1は最上位ビット、b2は2番目に上位のビット、b3は3番目に上位のビット、b4は最下位ビットを示す。
従来は、図3に示すように、通信端末#1に送信されるデータは拡散コード#1、通信端末#2に送信されるデータは拡散コード#2、通信端末#3に送信されるデータは拡散コード#3、通信端末#4に送信されるデータは拡散コード#4で拡散されて送信される。つまり、従来は、通信端末と拡散コードとが対応する。
ここで、上述したようにb1およびb2が誤って判定される確率は、b3およびb4が誤って判定される確率よりも低くなる。つまり、b1およびb2に割り当てられたデータは、b3およびb4に割り当てられたデータよりも高品質になる。
しかし、従来、各通信端末#1〜#4に送信されるデータは、各通信端末ごとに多値変調される。すなわち、各通信端末に対して1シンボルで送信される4ビットのデータは、各通信端末毎に同様に最上位ビットb1〜最下位ビットb4に割り当てられて送信される。よって、b1〜b4の平均誤り率を各通信端末間において比べた場合、伝搬環境等の条件が同じであれば、それらの平均誤り率は等しくなる。つまり、すべての通信端末における平均誤り率の誤り率特性が、図4上の203で示すような特性で同じになる。図4は、従来の多値変調システムにおける誤り率特性を示す図である。なお、この図において201はb1およびb2の誤り率特性を、202はb3およびb4の誤り率特性を、203はb1〜b4の平均平均誤り率の誤り率特性を示す。
ここで、例えば、適応変調が行われる通信システムでは、通信端末側でこの平均誤り率が所望品質を満たすように、基地局側で伝搬環境に応じた変調方式が選択される。しかし、フェージング等による一時的な伝搬環境の悪化によりデータの受信SIRが劣化した場合には、図4に示すように、すべての通信端末においてb1〜b4の平均誤り率203が所望品質を満たせなくなってしまうことがある。自動再送要求(ARQ;Automatic Repeat reQuest)が行われる通信システムでは、この場合、すべての通信端末に対してデータの再送が発生してしまうこととなり、システム全体のスループットが大きく低下する。
そこで、本実施の形態では、優先度の高い通信端末に対して伝送するデータほどシンボル内において上位のビットに割り当てて送信し、優先度の高い通信端末に対するデータについては確実に所望品質を満たすようにする。これにより、システム全体のスループットの向上を図る。
図5は、本発明の実施の形態1に係る多値変調通信システムにおける、通信端末と拡散コードとビットの割り当てとの対応関係を示す図である。従来は通信端末と拡散コードとが対応していたのに対し、本実施の形態では、図5に示すように、通信端末とデータのビット割り当て位置とが対応する。つまり、最も優先度の高い通信端末(ここでは、通信端末#1とする)に対して送信されるデータはb1に割り当てられ、2番目に優先度の高い通信端末(ここでは、通信端末#2とする)に対して送信されるデータはb2に割り当てられ、3番目に優先度の高い通信端末(ここでは、通信端末#3とする)に対して送信されるデータはb3に割り当てられ、最も優先度の低い通信端末(ここでは、通信端末#4とする)に対して送信されるデータはb4に割り当てられる。
上述したように、b1およびb2に割り当てられたデータは、b3およびb4に割り当てられたデータよりも高品質になる。このため、図5のようなビット割り当てをすることにより、通信端末#1に送信されるデータおよび通信端末#2に送信されるデータは、図3に示したビット割り当てをする場合に比べ品質が向上して常に所望品質を満たせるデータとなる。
これにより、通信端末#1に送信されるデータおよび通信端末#2に送信されるデータについては、フェージング等による一時的な伝搬環境の悪化によりデータの受信SIRが劣化した場合でも、所望品質を確実に満たせるようになる。つまり、優先度の高い通信端末に対するデータは所望品質を確実に満たせるようになる。このため、優先度の高い通信端末ほどデータ受信を早急に完了させることができる。また、システム全体としてデータの再送回数が減少させることができ、システム全体のスループットを向上させることができる。
以下、本実施の形態に係る多値変調通信システムにおいて使用される無線送信装置および無線受信装置について説明する。図6は、本発明の実施の形態1に係る多値変調通信システムの構成を示すブロック図である。なお、無線送信装置は基地局に搭載されて使用され、無線受信装置は通信端末に搭載されて使用されるものとして説明する。また、4つの通信端末に対して同時にデータが送信される場合について説明する。
無線送信装置300において、符号化部301−1〜301−4はそれぞれ、データ系列#1〜#4に対して符号化処理を施し、符号化処理されたデータをP/S(パラレル/シリアル)変換部302に出力する。なお、データ系列#1〜#4はそれぞれ、通信端末#1〜#4に送信されるデータ系列である。
P/S変換部302は、並列に入力されたデータ系列#1〜#4を直列に変換して多値変調部304に出力する。この際、P/S変換部302は、後述する割り当て制御部303からの制御に従って、優先度の高い通信端末に対するデータ系列ほど1シンボル内で上位のビットに割り当てられるようにして並直列変換を行う。ビット割り当ての詳しい説明は後述する。
多値変調部304は、並直列変換されたデータに対して多値変調を行う。ここでは、4つの通信端末に同時にデータを送信する必要があるため、多値変調方式として、1シンボルで4ビットのデータを送信できる16QAMを用いるものとする。よって、多値変調部304は並直列変換されたデータを図1に示すいずれかの信号点に配置する。多値変調後のシンボルはS/P(シリアル/パラレル)変換部305に出力される。
S/P変換部305は、多値変調部304から直列に入力されるシンボルを並列に変換して乗算器306−1〜306−4に出力する。すなわち、S/P変換部305は、多値変調部304から直列に入力されるシンボルを、入力順に乗算器306−1〜306−4に振り分けて出力する。乗算器306−1〜306−4は、S/P変換部305から並列に出力されたシンボルに対して、それぞれ拡散コード#1〜#4を乗算する。拡散処理後のシンボルは、多重部309に出力される。
割り当て制御部303は、通信端末の優先度に基づいて、データ系列#1〜#4が割り当てられるビットをP/S変換部302に指示する。つまり、割り当て制御部303は、優先度の高い通信端末に対するデータほど1シンボル内で上位のビットに割り当てられるようにP/S変換部302を制御する。ビット割り当ての詳しい説明は後述する。
また、割り当て制御部303は、どのデータ系列がどのビットに割り当てられたのかを示す割り当て通知信号を変調部307に出力する。割り当て通知信号は、変調部307で変調され、乗算器308で拡散コード#Aを乗算された後、多重部309に入力される。
多重部309は、乗算器306−1〜306−4および乗算器308から出力された信号をすべて多重して無線送信部310に出力する。無線送信部310は、多重信号に対してアップコンバート等の所定の無線処理を施した後、多重信号をアンテナ311を介して無線受信装置400に送信する。なお、以下の説明では、無線受信装置400は通信端末#1に搭載されているものとする。
無線受信装置400のアンテナ401を介して受信された多重信号は、無線受信部402においてダウンコンバート等の所定の無線処理を施された後、分配部403に入力される。分配部403は、多重信号を乗算器404−1〜404−4および乗算器408に分配して出力する。
乗算器404−1〜404−4は、分配部403から出力された多重信号に対して、それぞれ拡散コード#1〜#4を乗算する。これにより、拡散コード#1〜#4で拡散されていた各シンボルが、多重信号から取り出される。逆拡散処理後のシンボルは、P/S変換部405に入力される。
P/S変換部405は、並列に入力されたシンボルを直列に変換して多値復調部406に出力する。多値復調部406は、並直列変換されたシンボルに対して、無線送信装置300で行われた多値変調に対応する復調処理を施してS/P変換部407に出力する。つまり、ここでは、多値復調部406は16QAMに基づいた多値復調を行う。
S/P変換部407は、多値復調部406から直列に入力されたデータ系列を並列に変換して選択部411に出力する。この際、S/P変換部407は、後述する変換制御部410からの制御に従って、無線送信装置300のP/S変換部302で行われた並直列変換と逆の直列変換を行う。
乗算器408は、多重信号に対して拡散コード#Aを乗算する。これにより、拡散コード#Aで拡散されていた割り当て通知信号が多重信号から取り出される。割り当て通知信号は、復調部409で復調された後、変換制御部410に入力される。
変換制御部410は、割り当て通知信号に基づいて、無線送信装置300のP/S変換部302で行われた並直列変換と逆の直列変換が行われるようにS/P変換部407を制御する。また、変換制御部410は、割り当て通知信号に基づいて、自端末(ここでは、通信端末#1)宛てのデータ系列がS/P変換部407のどの信号線から出力されるのかを選択部411に指示する。
選択部411は、変換制御部410からの指示に従って、自端末宛てのデータ系列を選択して復号化部412に出力する。復号化部412は、選択部411で選択されたデータ系列を復号する。これにより、自端末宛てのデータ系列(つまり、データ系列#1)が得られる。
次いで、データ系列#1〜#4がシンボル内の各ビットに割り当てられて送信される動作について具体的に説明する。図7は、本発明の実施の形態1に係る多値変調通信システムで使用される無線送信装置の動作を模式的に示した図である。図7において、dnmで示すデータは通信端末#nに送信される第m番目のデータを示す。よって、例えばd11、d12、d13、d14が、通信端末#1に送信されるデータ系列#1に相当する。また、データdnmの上に括弧で示した数字は、そのデータの内容(0か1)を示す。また、Slは、無線送信装置300から送信される第l番目のシンボルを示す。
まず、P/S変換部302が、割り当て制御部303からの制御に従って、優先度の高い通信端末に対するデータ系列ほど1シンボル内で上位のビットに割り当てられるようにして並直列変換(P/S変換)を行う。ここでは、優先順位は通信端末#1→通信端末#2→通信端末#3→通信端末#4の順で高いものとする。
ここで、優先順位の決定方法としては例えば以下のものが考えられる。すなわち、伝搬路環境が良い通信端末ほど優先順位を高くする。これにより、伝搬路環境が良いことでそもそも品質が良いデータ系列の品質がさらに高まるので、伝搬路環境が良い通信端末に対するデータ送信をより速やかに確実に完了させることができる。
また、別の方法としては、未送信のデータ量が多い通信端末ほど優先順位を高くする。これにより、未送信のデータ量が多い通信端末に対するデータ系列ほど品質が良くなり、未送信のデータ量が多い通信端末ほどスループットを高めることができる。スループットが高まるほど未送信のデータ量の減少が早く進むので、優先順位が時間とともに変化する。よって、この方法によれば、全通信端末のスループットをほぼ同等に保ちつつ、システム全体としてのスループットを高めることができる。
また、別の方法としては、高い料金を支払っているユーザによって使用される通信端末ほど優先順位を高くする。この方法によれば、高い料金を支払っているユーザによって使用される通信端末に対するデータ系列ほど品質が良くなるので、料金に応じてユーザの利便性に差をつけた通信サービスを提供することができる。
また、別の方法としては、例えば適応変調が行われる通信システムにおいて、伝搬路環境が悪い通信端末ほど優先順位を高くする。これにより、伝搬路環境が悪いことによる品質劣化を補償して、伝搬路環境が悪い通信端末に対するデータ系列の品質を所望品質にまで高めることができる。伝搬路環境が良い通信端末に対するデータ系列の品質はそもそも所望品質を満たしているので、この方法を採用することにより、システム全体としてのスループットを高めることができる。
なお、これらの決定方法のうちどれを採用するかは、本実施の形態に係る多値変調通信システムが提供するサービスや、本実施の形態に係る多値変調通信システムが設置される状況や環境に応じて適宜決めればよい。
優先順位が通信端末#1→通信端末#2→通信端末#3→通信端末#4の順で高いので、P/S変換部302は、図7に示すように、データd11、d12、d13、d14をシンボルS1〜S4の最上位ビットに割り当てるようにして並直列変換する。同様に、P/S変換部302は、データd21、d22、d23、d24を2番目に上位のビットに割り当て、データd31、d32、d33、d34を3番目に上位のビットに割り当て、データd41、d42、d43、d44を最下位ビットに割り当てる。これにより、各データ系列とシンボル内の各ビットの位置とが対応づけられる。
つまり、優先順位が最も高い通信端末#1に対するデータが最上位ビットに割り当てられ、優先順位が2番目に高い通信端末#2に対するデータが2番目に上位のビットに割り当てられ、優先順位が3番目に高い通信端末#3に対するデータが3番目に上位のビットに割り当てられ、優先順位が最も低い通信端末#4に対するデータが最下位ビットに割り当てられる。よって、優先順位の高い通信端末に対して送信されるデータ系列ほど誤り率を低くして品質を高めることができる。なお、16QAMでは、最上位ビットの品質と2番目に上位のビットの品質は同じになり、3番目に上位のビットの品質と最下位ビットの品質は同じになるため、ここでは、通信端末#1に対するデータ系列の品質と通信端末#2に対するデータ系列の品質は同じになり、通信端末#3に対するデータ系列の品質と通信端末#4に対するデータ系列の品質は同じになる。
次いで、並直列変換されたデータは、多値変調部304で16QAMを用いて多値変調される。シンボルS1は0011、S2は1110、S3は1000、S4は0101であるので、各シンボルはそれぞれ図8に黒丸で示す信号点に配置されるように変調される。変調されたシンボルは、S/P変換部305で直並列変換(S/P変換)される。そして、シンボルS1〜S4はそれぞれ、乗算器306−1〜306−4で拡散処理される。
多重部309では、拡散処理後のシンボルS1〜S4と拡散処理後の割り当て通知信号Scとが多重される。そしてこの多重信号が無線受信装置400に送信される。
次いで、無線受信装置400の動作について詳しく説明する。図9は、本発明の実施の形態1に係る多値変調通信システムで使用される無線受信装置の動作を模式的に示した図である。
無線受信装置400で受信された多重信号は、乗算器404−1〜404−4および乗算器408で逆拡散処理される。これにより、シンボルS1〜S4および割り当て通知信号Scが多重信号から取り出される。シンボルS1〜S4は、P/S変換部405で並直列変換(P/S変換)され、多値復調部406で16QAMに基づいて多値復調される。この結果、多値復調部406からは、図9に示すようなデータ系列d11、d21、d31、d41、d12、d22、…が直列に出力される。つまり、各シンボルの最上位ビットに通信端末#1宛てのデータが割り当てられているデータ系列が出力される。
次いで、S/P変換部407では、多値復調部406から直列に出力されたデータ系列が、変換制御部410からの制御に従って並列に変換される。変換制御部410は、割り当て通知信号により、各端末宛てのデータがどのビットに割り当てられているかを知ることができる。ここでは、変換制御部410は、通信端末#1宛てのデータd11、d12、d13、d14が最上位ビットに割り当てられ、通信端末#2宛てのデータd21、d22、d23、d24が2番目に上位のビットに割り当てられ、通信端末#3宛てのデータd31、d32、d33、d34が3番目に上位のビットに割り当てられ、通信端末#4宛てのデータd41、d42、d43、d44が最下位ビットに割り当てられていることを知ることができる。
そこで、変換制御部410は、多値復調部406から直列に出力されたデータ系列がデータ系列#1〜#4毎にS/P変換部407から出力されるように、S/P変換部407での直並列変換(S/P変換)を制御する。この制御に従って直並列変換が行われ、S/P変換部407からは、図9に示すように、各通信端末#1〜#4毎のデータ系列#1〜#4が並列に出力される。
次いで、選択部411で自端末宛てのデータ系列が選択される。選択部411は、自端末宛てのデータ系列がS/P変換部407のどの信号線から出力されるのかを変換制御部410から指示される。この指示に従い、選択部411は、自端末宛てのデータ系列を選択する。ここでは、自端末が通信端末#1なので、選択部411は、S/P変換部407からの信号線のうち一番上の信号線から出力されるデータ系列を選択する。これにより、通信端末#1宛てへのデータ系列#1(d11、d12、d13、d14)が選択されて、復号化部412に出力される。
このデータ系列#1はすべて、シンボルの最上位ビットに割り当てられて送信されたデータである。よって、このデータ系列#1の品質は、フェージング等による一時的な伝搬環境の悪化により受信SIRが劣化した場合でも、所望品質を確実に満たせる。
このように本実施の形態によれば、優先度の高い通信端末に対するデータほど、多値変調されたシンボル内の上位のビットに割り当てて送信するため、優先度の高い通信端末に対するデータの品質が所望品質よりも十分に高くなる。このため、優先度の高い通信端末に対するデータの品質は所望品質を確実に満たせるようになる。これにより、優先度の高い通信端末に対しては、再送が発生する可能性が減少する。また、伝搬環境が悪化した場合でも、すべての通信端末においてデータの品質が所望品質を満たせなくなることを防止することができる。よって、システム全体としてデータの再送回数が減少し、システム全体のスループットを向上させることができる。
また、優先度の高い通信端末に対しては再送が発生する可能性が減少するので、優先度の高い通信端末ほどデータ送信を速やかに完了させることができる。優先度の高い通信端末に対するデータ送信を完了させることにより、その通信端末に割り当てていた高品質のビットを優先度の低い通信端末に送信されるデータに割り当てることが可能となる。これにより、優先度の低い通信端末に対するデータについても再送回数が減少する。よって、システム全体としてのスループットをより高めることができる。
なお、優先度の高い通信端末に対するデータ送信を完了させて高品質のビットを優先度の低い通信端末に送信されるデータに割り当てる場合、同一端末へのデータを1シンボルの2ビット以上に割り当てて送信するようにしてもよい。これにより、さらにスループットを向上させることができる。
また、各通信端末に対して適用される多値変調方式がすべて同じ場合(本実施の形態では、すべての通信端末に対して16QAMを適用)、従来はすべての通信端末においてデータの誤り率特性は同じになる。しかし、本実施の形態では、優先度に応じたビット割り当てを行うため、各通信端末に適用される多値変調方式がすべて同じ場合でも、図10に示すように、優先度に応じて各通信端末毎に誤り率特性をそれぞれ設定することができる。すなわち、本実施の形態のように、通信端末#1→通信端末#2→通信端末#3→通信端末#4の順で優先順位が高く、通信端末#1〜#4にすべて16QAMを適用した場合には、通信端末#1の誤り率特性および通信端末#2の誤り率特性501を、通信端末#3の誤り率特性および通信端末#4の誤り率特性502よりもを良くすることができる。つまり、本実施の形態によれば、一つの多値変調方式で複数の誤り率特性を設定することができる。これにより、複数の通信端末に同一の多値変調方式が適用される場合でも、一つの多値変調方式で通信端末毎の品質制御を行うことが可能となる。
また、一つの多値変調方式で複数の品質を設定することが可能となるため、適応変調が行われる通信システムにおいて変調方式を選択する際に、併せて、送信データを割り当てるビットを選択することにより、従来の適応変調よりも細かい品質制御を行うことが可能となる。
なお、無線送信装置300が移動体通信システムにおいて使用される基地局に搭載されて使用され、無線受信装置400が移動体通信システムにおいて使用される通信端末に搭載されて使用される場合には、基地局の無線ゾーンにいる通信端末は時々刻々変化する。つまり、本実施の形態において、通信端末#1〜#4となる通信端末が時々刻々変化する。よって、本実施形態が移動体通信システムに適用される場合には、上述したように、割り当て通知信号を各通信端末に対して送信する必要がある。
しかし、通信端末#1〜#4となる通信端末が変化しない無線通信システム(例えば、無線LANシステム)では、ビットの割り当ては各通信端末において予め既知なため、割り当て通知信号を送信する必要がない。よって、このような無線通信システムにおいては、無線送信装置300および無線受信装置400から、割り当て通知信号の生成や送受信等を行うための装置構成を省くことができる。よって、装置構成が簡易になる。
また、例えば、16QAMであれば最大4通信端末分のデータを1シンボルで送信可能であり、64QAMであれば最大6通信端末分のデータを1シンボルで送信可能である。よって、本実施の形態においては、使用される多値変調方式は、同時にデータが送信される通信端末数に応じて選択されるものとする。
(実施の形態2)
従来、自動再送要求(ARQ;Automatic Repeat reQuest)が行われる通信システムにおいては、再送時には同一内容のシンボルが再送される。つまり、多値変調を行う場合に、1シンボル内で各データがそれぞれ割り当てられるビットの位置が、初回送信時も再送時も同じになる。
ここで、上述したように、多値変調方式では、1シンボル内において下位のビットほど誤って判定される確率が高くなる。例えば16QAMでは、上述したように、3ビット目b3と4ビット目b4は、1ビット目b1と2ビット目b2に比べ誤って判定される確率が高くなる。よって、下位ビットである3ビット目b3と4ビット目b4は、再送時においても誤りやすい。このため、b1〜b4の平均誤り率が、再送時においても所望品質を満たせなくなってしまい、さらに再送が発生してしまうことがある。
そこで、本実施の形態では、再送時に、1シンボル内で各データがそれぞれ割り当てられるビットの位置を初回送信時と入れ替える。すなわち、再送時には、初回送信時に上位のビットに割り当てられていたデータほど下位のビットに割り当て、初回送信時に下位のビットに割り当てられていたデータほど上位のビットに割り当てて送信する。これにより、再送時には、初回送信時に下位のビットに割り当てられていたデータほど誤って判定される確率が低くなる。
受信機側では、初回送信時に送信されたシンボルの復調結果と、再送時に送信されたシンボルの復調結果とを合成する。これにより、1シンボル内の各データが同程度で誤りにくくなり、すべてのデータの品質が所望品質を確実に満たせるようになる。よって、再送回数を低減することができ、スループットの向上を図ることができる。
以下、本実施の形態に係る多値変調通信システムにおいて使用される無線送信装置および無線受信装置について説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係る多値変調通信システムの構成を示すブロック図である。
無線送信装置600において、誤り検出符号付加部601は、送信データに対して、所定単位ごとにCRC(Cyclic Redundancy Check)ビット等の誤り検出符号を付加して、誤り訂正符号化部602に出力する。
誤り訂正符号化部602は、例えば畳み込み符号化等により、送信データを誤り訂正符号化する。誤り訂正符号化されたデータは、バッファ603を介してスイッチ604に出力される。この際、送信データはバッファ603に格納される。
スイッチ604は、制御部609によって切り替え制御され、初回送信時を含め奇数回目の送信時にはバッファ603と多値変調部605とを接続し、偶数回目の送信時にはバッファ603とビット列変換部606とを接続する。
ビット列変換部606は、1シンボル内でのビットの並び順を、奇数回目の送信時と偶数回目の送信時とで逆転させる。つまり、ビット列変換部606は、データの再送が発生する度に、1シンボル内において各データを割り当てるビット位置を変更する。これにより、奇数回目の送信時に上位のビットに割り当てられていたデータほど偶数回目の送信時には下位のビットに割り当てられ、奇数回目の送信時に下位のビットに割り当てられていたデータほど偶数回目の送信時には上位のビットに割り当てられることとなる。
多値変調部605は、バッファ603から直接入力されたデータ、またはビット列変換部606でビット列が変換されたデータに対して多値変調を行う。ここでは、多値変調方式として、1シンボルで4ビットのデータを送信できる16QAMを用いるものとする。よって、多値変調部605は、入力されたデータを図1に示すいずれかの信号点に配置する。多値変調後のシンボルは乗算器607に出力される。乗算器607は、多値変調後のシンボルに対して、通信相手#1に対応する拡散コード#1を乗算する。拡散処理後のシンボルは、多重器608に出力される。
制御部609は、無線受信装置700から送信された、データの再送を要求するための再送要求信号にしたがって、再送対象となるデータをバッファ603に指示する。バッファ603は、この指示にしたがって再送対象となるデータをスイッチ604に出力する。
また、制御部609は、再送要求信号の受信回数を計数し、初回送信時を含め奇数回目の送信時にはバッファ603と多値変調部605とが接続され、偶数回目の送信時にはバッファ603とビット列変換部606とが接続されるように、スイッチ604を切り替え制御する。
また、制御部609は、同一データの送信が何回目であるかを示す送信回数通知信号を生成し、変調部610に出力する。この送信回数通知信号は、変調部610で変調され、乗算器611で拡散コード#Aを乗算された後、多重器608に入力される。
多重器608は、乗算器607から出力された信号と乗算器611から出力された信号とを多重して無線送信部612に出力する。無線送信部612は、多重信号に対してアップコンバート等の所定の無線処理を施した後、多重信号をアンテナ613を介して無線受信装置700に送信する。
無線受信部614は、アンテナ613を介して受信された再送要求信号に対してダウンコンバート等の所定の無線処理を施して乗算器615に出力する。乗算器615は、無線受信部614から出力された再送要求信号に対して拡散コード#Bを乗算する。逆拡散処理後の再送要求信号は、復調部616で復調されて、制御部609に入力される。
無線受信装置700において、無線受信部702は、アンテナ701を介して受信された多重信号に対してダウンコンバート等の所定の無線処理を施した後、多重信号を乗算器703および乗算器711に出力する。
乗算器703は、多重信号に対して拡散コード#1を乗算する。これにより、拡散コード#1で拡散されていたシンボルが、多重信号から取り出される。逆拡散処理後のシンボルは、多値復調部704に入力される。
多値復調部704は、逆拡散処理後のシンボルに対して、無線送信装置600で行われた多値変調に対応する復調処理を施して、復調結果をスイッチ705に出力する。つまり、ここでは、多値復調部704は16QAMに基づいた多値復調を行う。多値復調部704は、復調結果として1シンボルに含まれる各データの軟判定値を出力する。
スイッチ705は、制御部713によって切り替え制御され、初回送信時を含め奇数回目の送信時には多値復調部704と合成部706とを接続し、偶数回目の送信時には多値復調部704とビット列逆変換部707とを接続する。
ビット列逆変換部707は、無線送信装置600のビット列変換部606で行われたビット列の並び替えと逆の並び替えを行う。つまり、ビット列逆変換部707は、1シンボル内でのビット列の並び順を、ビット列変化部606でビット列が変換される前の状態に戻す。並び替えられた復調結果は合成部706に出力される。
合成部706は、多値復調部704から直接入力された復調結果、またはビット列逆変換部707でビット列が変換された復調結果と、記憶部708に記憶されている復調結果とを合成する。換言すれば、合成部706は、各データについて軟判定値を加算する。これにより、再送が発生する度に、各データについて、高品質の復調結果と低品質の復調結果が交互に合成される。よって、1シンボル内において各データの復調結果の品質が同程度で高くなり、すべてのデータの品質が所望品質を確実に満たせるようになる。合成された復調結果は、誤り訂正復号化部709に入力されるとともに、記憶部708に記憶される。
誤り訂正復号化部709は、合成部706から出力される合成された復調結果を、例えばビタビアルゴリズムに基づいて、誤り訂正復号する。誤り訂正復号されたデータは、誤り検出部710に入力される。誤り検出部710は、CRC等により誤り検出を行う。誤り検出部710において誤りが検出されないデータが受信データとなる。また、誤り検出部710で誤りが検出された場合には、誤り検出部710は、再送要求信号を生成して変調部714に出力する。
この再送要求信号は、変調部714で変調され、乗算器715で拡散コード#Bを乗算された後、無線送信部716に入力される。無線送信部716は、拡散処理後の再送要求信号に対してアップコンバート等の所定の無線処理を施した後、再送要求信号をアンテナ701を介して無線送信装置600に送信する。
乗算器711は、多重信号に対して拡散コード#Aを乗算する。これにより、拡散コード#Aで拡散されていた送信回数通知信号が、多重信号から取り出される。送信回数通知信号は、復調部712で復調された後、制御部713に入力される。
制御部713は、送信回数通知信号で示される同一データの送信回数にしたがって、初回送信時を含め奇数回目の送信時には多値復調部704と合成部706とが接続され、偶数回目の送信時には多値復調部704とビット列逆変換部707とが接続されるように、スイッチ705を切り替え制御する。
次いで、上記構成を有する多値変調通信システムの動作について具体的に説明する。図12は、本発明の実施の形態2に係る多値変調通信システムの動作を模式的に示した図である。図12において、dmで示すデータは第m番目のデータを示す。また、データdmの上に括弧で示した数字は、そのデータの内容(0か1)を示す。また、S1、S1’はそれぞれ、初回送信時に送信されるシンボルと、再送時(2回目送信時)に送信されるシンボルとを示す。
まず、初回送信時には、無線送信装置600では、スイッチ604が、バッファ603と多値変調部605とを接続する。よって、送信データはビット列の変換をされずに多値変調部605に入力される。つまり、1シンボル内において、d1が1ビット目に、d2が2ビット目に、d3が3ビット目に、d4が4ビット目にそれぞれ割り当てられる。よって、初回送信時には、d1およびd2はd3およびd4に比べて高品質となり、d3およびd4はd1およびd2に比べて低品質となる。d1〜d4を含むシンボルは、多値変調部605で16QAMを用いて多値変調される。このシンボルS1は1101であるので、図12の上段のIQ平面に黒丸で示す信号点S1に配置されるように変調される。変調されたシンボルは、多重器608において初回の送信であることを示す送信回数通知信号と多重された後、無線受信装置700に送信される。
初回送信時には、無線受信装置700では、スイッチ705が、多値復調部704と合成部706とを接続する。よって、多値復調部704から出力された各データの復調結果は、ビット列の並び替えが行われずに合成部706に入力される。つまり初回送信時には、無線受信装置700において、d1およびd2の復調結果はd3およびd4の復調結果に比べて高品質となり、d3およびd4の復調結果はd1およびd2の復調結果に比べて低品質となる。この復調結果は、記憶部708に記憶される。
再送時(2回目送信時)には、無線送信装置600では、スイッチ604が、バッファ603とビット列変換部606とを接続する。よって、初回送信時にバッファ603に格納された送信データは、ビット列変換部606でビット列の変換をされた後多値変調部605に入力される。つまり、1シンボル内におけるビット列の並び順が初回送信時と逆転される。よって、d4が1ビット目に、d3が2ビット目に、d2が3ビット目に、d1が4ビット目にそれぞれ割り当てられる。よって、2回目送信時には、d3およびd4はd1およびd2に比べて高品質となり、d1およびd2はd3およびd4に比べて低品質となる。d1〜d4を含むシンボルは、多値変調部605で16QAMを用いて多値変調される。このビット列変換をされたシンボルS1’は1011であるので、図12の下段のIQ平面に黒丸で示す信号点S1’に配置されるように変調される。変調されたシンボルは、多重器608において2回目の送信であることを示す送信回数通知信号と多重された後、無線受信装置700に送信される。
再送時(2回目送信時)には、無線受信装置700では、スイッチ705が、多値復調部704とビット列逆変換部707とを接続する。よって、多値復調部704から出力された各データの復調結果は、ビット列の並び替えが行われた後に合成部706に入力される。すなわち、無線送信装置600のビット列変換部606で行われたビット列の並び替えと逆の並び替えが行われ、1シンボル内でのビット列の並び順が、無線送信装置600でビット列が変換される前の状態に戻される。この並び替えにより、d1が1ビット目に、d2が2ビット目に、d3が3ビット目に、d4が4ビット目にそれぞれ戻される。また、このとき、d1およびd2の復調結果はd3およびd4の復調結果に比べて低品質となり、d3およびd4の復調結果はd1およびd2の復調結果に比べて高品質となる。この復調結果は、合成部706において、記憶部708に記憶されている復調結果と各データ毎に合成される。
このようにして初回送信時の復調結果と再送時(2回目送信時)の復調結果とが合成された結果、図13に示すように、1シンボル内において各データの復調結果の品質が同程度で高くなる。よって、再送によりすべてのデータの品質が所望品質を確実に満たせるようになる。
このように本実施の形態によれば、無線送信装置では、再送時に、1シンボル内で各データがそれぞれ割り当てられるビットの位置を初回送信時と入れ替えてシンボルを送信し、無線受信装置では、初回送信時に送信されたシンボルの復調結果と、再送時に送信されたシンボルの復調結果とを合成する。また、本実施の形態では、奇数回目の送信時に上位のビットに割り当てられていたデータほど偶数回目の送信時には下位のビットに割り当てられ、奇数回目の送信時に下位のビットに割り当てられていたデータほど偶数回目の送信時には上位のビットに割り当てられる。よって、1シンボル内の各データが同程度で誤りにくくなり、すべてのデータの品質が所望品質を確実に満たせるようになる。これにより、再送回数を低減することができ、スループットの向上を図ることができる。
なお、本実施の形態では、無線受信装置において、合成後の復調結果を用いて誤り訂正復号を行う構成としたが、誤り訂正復号を行わずに合成後の復調結果をそのまま硬判定する構成としてもよい。この場合、無線送信装置において、送信データを誤り訂正符号化することが不要となる。
また、本実施の形態では、無線受信装置の合成部において1シンボル内の復調結果をすべて合成する構成としたが、任意のビットに割り当てられたデータの復調結果のみを合成する構成としてもよい。例えば、高品質の復調結果のみを合成する構成としてもよい。
また、本実施の形態では、多値変調方式として16QAMを用いた場合について説明したため、シンボル内で設定できる品質は高低の2段階である。このため、再送が発生する度にシンボル内において再送データを高品質のビットと低品質のビットに交互に割り当てる構成とした。しかし、例えば多値変調方式として64QAMを用いた場合には、シンボル内で設定できる品質は高中低の3段階である。よって、64QAMを用いた場合には、再送が発生する度にシンボル内において再送データを高品質のビットと中品質のビットと低品質のビットとに順次割り当てる構成としてもよい。256QAM等、他の多値変調方式でも同様である。
また、本実施の形態では、無線送信装置から無線受信装置に対して送信回数を通知する構成としたが、送信回数を通知せずに、無線受信装置が受信回数を計数するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、再送方式に特に制限はない。したがって、再送方式としては、SAW(Stop-And-Wait)方式、GBN(Go-Back-N)方式、SR(Selective-Repeat)方式、 ハイブリッドARQ方式等を用いることができる。
また、上記実施の形態1および2において、無線送信装置において伝搬路環境に応じて多値変調方式を時間的に変化させることが望ましい。すなわち、上記実施の形態1および2を、適応変調と組み合わせて用いることが望ましい。
また、本発明は上記実施の形態1および2に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態1および2においては、多値数が16値である場合(すなわち1シンボルが4ビットである場合)を一例に挙げて説明したが、上記実施の形態1および2は、1シンボル内に複数のビットが含まれ、各ビットの誤り率がそれぞれ異なるような多値変調方式であれば同様に実施可能である。
また、本発明の多値変調通信システムは、移動体通信システム等のディジタル無線通信システムに適用することができる。すなわち、無線送信装置を基地局に適用し、無線受信装置を移動局等の通信端末に適用することができる。