JP3839997B2 - 触媒組成物及びこれを使用した合成ガスからの低級イソパラフィンの製造方法 - Google Patents

触媒組成物及びこれを使用した合成ガスからの低級イソパラフィンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素と一酸化炭素との合成ガスから低級イソパラフィンを製造するための触媒組成物及びこの触媒組成物を使用した低級イソパラフィンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、水素と一酸化炭素との合成ガスから低級脂肪族飽和炭化水素(低級パラフィン)を生成する製造方法が知られている。例えば、このような製造方法の一例として、Cu−Zn系、Cr−Zn系、Pd系等のメタノール合成触媒とゼオライト等のメタノール転化触媒とを物理的に混合した触媒を用い、合成ガスからメタノールを経由してワンパスで低級脂肪族飽和炭化水素を生成する方法がある。しかし、このようにメタノールを経由する低級脂肪族飽和炭化水素の製造方法では、反応条件が厳しい等の問題がある。
【0003】
他方、メタノールを経由せず、比較的緩やかな反応条件で低級イソパラフィンを生成させる方法も提案されている。この方法は、フィッシャー・トロプシュ合成触媒(FT合成触媒)により合成ガスから高級パラフィン及び低級オレフィンを合成し、これをゼオライト等の固体酸触媒により水素化分解及び異性化を行って低級イソパラフィンを生成させるものであり、”DIRECT SYNTHESIS OF ISOPARAFFINS FROM SYNTHESIS GAS”,Kaoru FUJIMOTO et al.,CHEMISTRY LETTERS,pp.783−786,1985にも記載されている。
【0004】
この合成方法では、上記FT合成触媒とゼオライト等の固体酸触媒との混合触媒を用い、合成ガスからワンパスで低級イソパラフィンを生成させることができる。このようにして製造された低級イソパラフィンは、オクタン価が高く、高性能輸送用燃料として使用することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の低級イソパラフィンの合成方法では、FT合成触媒及び固体酸触媒の表面にタール等が付着し、使用時間の経過とともに触媒の活性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、触媒の活性を高く維持したまま、合成ガスから低級イソパラフィンを製造できる触媒組成物及びこれを使用した低級イソパラフィンの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、触媒組成物であって、水素と一酸化炭素との合成ガスから直鎖状炭化水素を合成するフィッシャー・トロプシュ合成触媒と、この直鎖状炭化水素を水素化分解及び異性化する固体酸触媒と水素化触媒とを含み、前記水素化触媒がバインダーとして前記フィッシャー・トロプシュ合成触媒と前記固体酸触媒とを結合させていることを特徴とする。
【0010】
また、上記触媒組成物において、水素化触媒は貴金属を担持したシリカまたはアルミナであることを特徴とする。
【0011】
また、合成ガスからの低級イソパラフィンの製造方法であって、水素と一酸化炭素との合成ガスを上記触媒組成物に接触させ、直鎖状炭化水素の合成と、この直鎖状炭化水素の水素化分解及び異性化とを行い、低級イソパラフィンを生成させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0013】
図1には、本発明に係る触媒組成物の例が示される。図1において、水素と一酸化炭素との合成ガスから直鎖状炭化水素を合成するフィッシャー・トロプシュ合成触媒(FT合成触媒)10と、このFT合成触媒により合成された直鎖状炭化水素を水素化分解及び異性化するための固体酸触媒12とには、水素化触媒14が接触するように配置されている。このような触媒組成物は、たとえばFT合成触媒10と固体酸触媒12と水素化触媒14とを物理的に混合することによって得ることができる。
【0014】
上記FT合成触媒10に水素と一酸化炭素との合成ガスを接触させると、下記式のような反応が起こり、直鎖状炭化水素が合成される。
【0015】
【化1】
Figure 0003839997
このようにしてFT合成触媒10上で生成された直鎖状炭化水素は、隣接している固体酸触媒12上へ移動し、ここで水素化分解及び異性化を受け、下記のようにイソパラフィンへ転換される。
【0016】
【化2】
Figure 0003839997
以上のようにして、FT合成触媒10で生成された直鎖状炭化水素を固体酸触媒12で低級イソパラフィンに転換することにより、オクタン価が高く高性能の輸送用燃料を得ることができる。なお上述したFT合成触媒10における合成ガスからの直鎖状炭化水素の合成条件は、反応温度200−300℃、圧力10−20気圧である。また、固体酸触媒12で水素化分解及び異性化を受けた後に生じるイソパラフィンは、C4〜C10の炭素数のものが中心となる。
【0017】
水素化触媒14では、合成ガス中の水素を受け取り、これを水素原子あるいは水素イオンに転じる。これらの水素原子あるいは水素イオンは、水素化触媒14の表面をFT合成触媒10及び固体酸触媒12に向かって移動する。このように、水素化触媒14から原子状あるいはイオン状の水素を受け取ると、FT合成触媒10の触媒活性を向上させることができる。また、固体酸触媒12においても、水素を受け取ることにより、水素化分解及び異性化の活性及び安定性を大幅に向上させることができる。また、固体酸触媒12の表面には、タール等が付着し、触媒活性が低下する問題があったが、水素化触媒14から水素が供給されることにより、このタール等の付着を防止でき、固体酸触媒12の失活を防止することができる。
【0018】
さらに、FT合成触媒10上で生成した炭化水素には、不飽和結合を含むオレフィン類も含まれているが、上述のとおり水素化触媒14から供給される原子状あるいはイオン状の水素により水素化され、飽和パラフィンとなる。上記固体酸触媒12の表面へのタールの付着が抑制できるのは、これらオレフィン類が水素化されて、その重合が抑制され、高分子の炭化水素の発生が抑制されるからであると考えられる。
【0019】
上述したFT合成触媒10としては、例えばコバルト(Co)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)等をシリカ(SiO2)に担持させたものが使用できる。また、固体酸触媒12としては、MFI(商品名H−ZSM−5)、H−M、H−Y、H−β等のゼオライトあるいはアモルファスSiO2−Al23等を使用できる。また、水素化触媒14としては、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)等の貴金属をSiO2に担持させたものを使用できる。
【0020】
図2には、本発明に係る触媒組成物の変形例が示される。図2においては、水素化触媒14をバインダーとして使用し、FT合成触媒10と固体酸触媒12とを結合させている。このような構成によっても、上記図1に示された例と同様に、水素化触媒14によりFT合成触媒10及び固体酸触媒12の触媒活性が向上され、また触媒の失活を抑制することができる。また、本例のような構成によれば、FT合成触媒10と固体酸触媒12との結合を強めることができ、触媒組成物の物理的強度を大きく増大することができる。
【0021】
以下、本発明に係る触媒組成物及びこれを使用した合成ガスからの低級イソパラフィンの製造方法の具体例について、実施例として説明する。
【0022】
実施例
本実施例においては、FT合成触媒10としてコバルトをシリカ(SiO2)に担持させたものを使用した。このFT合成触媒10は、シリカゲル担体の細孔を硝酸コバルト水溶液で満たした後、その水分のみを蒸発、除去することによりシリカにコバルトを担持させて調製した。すなわち、シリカゲル担体に硝酸コバルト水溶液を含浸させた後、120℃で12時間乾燥し、その後400℃で2時間空気焼成処理をして、担持されたコバルト金属塩を酸化物へ変換した。この場合、シリカへのコバルトの担持量は20重量%とした。
【0023】
また、固体酸触媒12としては、ゼオライトを使用した。
【0024】
さらに水素化触媒14としては、シリカにパラジウムを2.5重量%担持させたものを使用した。これは、シリカとPd(NH34Cl2を用いて調製した。このとき、塩素を追い出すために、水素気流中で400℃1時間脱塩素処理を行った。
【0025】
以上のようにして、本発明に係る触媒組成物に使用する3種類の触媒を調整したが、このうちの水素化触媒14であるPd/SiO2(以下担持パラジウム触媒という)の効果を調べるために、ゼオライト単独及びゼオライトと担持パラジウム触媒との混合触媒とを使用してノルマルヘプタン(n−ヘプタン)の水素化分解反応を行わせた。その結果が図3に示される。図3において、横軸には反応時間が、縦軸にはn−ヘプタンの転化率がそれぞれ示される。図3からわかるように、ゼオライト単独で水素化分解反応を行わせた場合には、水素雰囲気下においてもその活性が低く、また活性は速やかに低下している。この活性の低下は、主としてゼオライト上への炭素質物質(タール等)の蓄積によるものと考えられる。
【0026】
これに対して、ゼオライトと担持パラジウム触媒との混合触媒を水素雰囲気下で使用した場合には、n−ヘプタンの転化率が高くなり、触媒の活性が高くなっていることがわかった。しかもこの高活性の状態が維持され、活性の劣化すなわち失活が少ないこともわかった。この場合、ゼオライト上への炭素質物質の蓄積もほとんど認められなかった。これは、担持パラジウム触媒からゼオライトに水素が移動し、ゼオライト上への炭素質物質の付着を抑制したからと考えられる。また、同じ混合触媒を窒素雰囲気下で使用した場合には、水素雰囲気下の場合と異なり、その触媒活性及び失活の状態がゼオライト単独で水素雰囲気下で使用した場合とほぼ同じであった。これは、窒素雰囲気下では、担持パラジウム触媒が存在してもゼオライトへの水素の供給がないため、ゼオライト上への炭素質物質の蓄積を抑制できないためと思われる。
【0027】
図4には、図3に示された各種触媒を用いたn−ヘプタンの分解反応における生成物の炭素数の分布が示される。また、図5には、図4に示された分解生成物のうちC4炭化水素のイソパラフィン、n−パラフィン、オレフィンの割合が示される。図4及び図5からわかるように、水素雰囲気中でゼオライトと担持パラジウム触媒との混合触媒を使用した場合には、分解生成物がC4及びC7に集中しているのに対し、ゼオライト単独あるいは混合触媒を窒素雰囲気下で使用した場合には、分解生成物がC3〜C11の多種類の炭化水素に分布している。また、分解生成物中のイソパラフィンの割合も、水素雰囲気下における混合触媒の場合には98%以上であり、n−パラフィンが2%、オレフィンは生成していなかったのに対して、他の2者の触媒では、イソパラフィンとn−パラフィンがほぼ同率で生成し、オレフィンも含まれていた。このような効果の違いは、ゼオライトと担持パラジウム触媒との混合触媒を水素雰囲気下で使用した場合には、スピルオーバー効果によりゼオライトの酸点上に水素が供給され、その固体酸触媒機能を著しく促進するためと考えられる。したがって、このような効果により、合成ガスからイソパラフィンを高い選択率で合成することが可能となる。
【0028】
次に、担持パラジウム触媒とFT合成触媒10としてのCo/SiO2との組み合わせの効果を調べるため、これらの混合触媒を使用して、水素と一酸化炭素との合成ガスから炭化水素を合成した場合の一酸化炭素の転化率と二酸化炭素の収率の時間変化を測定した。この結果が図6に示される。図6からわかるように、担持パラジウム触媒を導入することにより、Co/SiO2の安定性が改善され、一酸化炭素の転化率が反応時間の経過によってもほとんど低下していない。
【0029】
また、この場合に生成した炭化水素の炭素数の分布が図7(a)、(b)、(c)に示される。図7(a)には反応時間30分の時点の値が、図7(b)には127分の時点の値が、図7(c)には405分の時点の値がそれぞれ示される。いずれの時間においても、炭化水素はC1〜C13まで分布しており、すべての炭化水素は直鎖パラフィンと直鎖オレフィンであって、イソパラフィンは含まれていない。そして、これらの炭化水素を上述したゼオライトにより水素化分解及び異性化すれば所望の低級イソパラフィンを得ることができる。
【0030】
そこで、上記Co/SiO2と担持パラジウム触媒(Pd/SiO2)とゼオライトにより本発明に係る触媒組成物を構成し、これに水素と一酸化炭素との合成ガスを接触させて低級イソパラフィンの合成を行った。
【0031】
まず、上記3種類の触媒を、重量比としてCo/SiO2:ゼオライト:担持パラジウム触媒=4:4:1の割合で粉砕混合してから、20−40mesh(メッシュ)まで再成型した。このように、3種類の触媒を混合したハイブリッド触媒を、使用前に反応器において400℃、12時間水素を流通させ、還元して、本発明に係る触媒組成物とした。なお、この場合のゼオライトとしては、MFIゼオライトを使用した。
【0032】
このように調整した本発明に係る触媒組成物に合成ガスを接触させ、触媒組成物の反応活性の経時変化と反応生成物の炭素数分布とを測定した。これらの結果が図8及び図9(a)、(b)、(c)にそれぞれ示される。また、比較例として、担持パラジウム触媒の代わりに、SiO2のみを単なるバインダーとして使用した触媒組成物も調製し、上記と同様に反応活性の経時変化と炭素数分布を測定した。これらの結果が図10及び図11(a)、(b)、(c)にそれぞれ示される。
【0033】
図8に示されるように、本発明に係る触媒組成物を使用した場合には、合成ガス中の一酸化炭素の転化率が高い状態で維持されており、Co/SiO2の触媒活性が長時間安定していることがわかる。また、図9(a)、(b),(c)に示された各反応時間において、反応生成物中のイソパラフィンの選択率と収率が安定していることがわかる。この場合、水素化触媒14としての担持パラジウム触媒から供給される水素により、オレフィンが水素化されるので、反応生成物中のオレフィンの割合は極めて低くなっている。
【0034】
これに対し、図10に示された比較例においては、水素化触媒14としての担持パラジウム触媒がなく、単なるバインダーとしてのSiO2のみ使用しているので、反応初期から一酸化炭素の転化率が図8の場合よりも低くなっており、時間の経過とともに更に転化率が低下している。また、図11(a)、(b)、(c)に示されるように、反応時間の経過とともに目的となるイソパラフィンの選択率が低下している。これらは、前述したように、担持パラジウム触媒が存在しないので、Co/SiO2やゼオライトに水素が供給されず、触媒活性が時間とともに低下するためと考えられる。
【0035】
本発明に係る触媒組成物中の担持パラジウム触媒は、以上の例ではPd/SiO2の形で触媒組成物中に入れていたが、パラジウムを直接固体酸触媒12としてのゼオライト上へ担持させる方法も考えられる。図12は、ゼオライトにパラジウムを担持させたものをFT合成触媒(Co/SiO2)とともに使用して本発明に係る触媒組成物を調製し、この反応活性の経時変化を測定した結果である。また図13(a)、(b)、(c)には、この触媒組成物を使用した場合の反応生成物の炭素数分布が示される。
【0036】
図12に示されるように、本触媒組成物を使用した場合には、一酸化炭素の転化率が図8の例に比べ若干低いが、触媒の活性は、反応時間が経過しても高い状態に維持された。また、図13(a)、(b)、(c)に示されるように、反応時間が経過しても目的とするイソパラフィンの選択率と収率は高い状態に維持されている。またオレフィンの割合は極めて低く維持されている。
【0037】
図14には、FT合成触媒10としてCo/SiO2を使用し、固体酸触媒12としてゼオライトを使用し、水素化触媒14として担持パラジウム触媒を使用した本発明に係る触媒組成物に合成ガスを接触させる場合の反応圧力の影響の調査結果が示される。図14においては、横軸に反応圧力が示され、縦軸にCOの転化率及びCO2、CH4の選択率がそれぞれ示されている。図14からわかるように、反応圧力が5気圧から20気圧まで上昇すると、COの転化率が90%からほぼ100%まで増加した。また、このときCO2及びCH4の選択率はあまり変化していない。よって反応圧力としては10気圧以上であればハイブリッド触媒の活性を十分高くすることができると考えられる。
【0038】
図15には図14と同じ触媒組成物を使用した場合の、合成ガスの接触時間の影響が示される。図15において横軸には接触時間が、縦軸にはCOの転化率、CH4、CO2の選択率がそれぞれ示される。図15からわかるように、接触時間が3g・h/molから9.3g・h/molまで増加すると、COの転化率が約50%から80%に上昇している。この場合CO2、CH4の選択率はほぼ一定であった。図15からわかるように、接触時間は長い方が有利であった。
【0039】
図16には、上記と同じ触媒組成物を使用した場合の反応温度の影響が示される。図16において、横軸には反応温度が、縦軸にはCOの転化率及びCO2、CH4の選択率がそれぞれ示される。図16に示されるように、COの転化率としては260℃で最大となっている。ただしこの場合には、CO2及びCH4の選択率も上昇している。図17には、反応温度を230℃及び270℃とした場合の反応生成物である炭化水素の分布が示される。図17(a)には230℃の結果が、(b)には270℃の結果がそれぞれ示されている。図17(b)からわかるように、反応温度が270℃まで上昇するとCH4等の軽質炭化水素が増加している。これに対して230℃の場合にはこれら軽質炭化水素の選択率は高くなっていない。図16及び図17から総合的に考えると、反応温度としては260℃が最適であると考えられる。
【0040】
図18には、上記と同じ触媒組成物を使用した場合のH2とCOの組成比の影響が示される。図18において、横軸には組成比(H2/CO)が示され、縦軸にはCOの転化率及びCO2とCH4の選択率がそれぞれ示される。また、図19(a)、(b)には、上記組成比が2.5の場合と3.0の場合について、反応生成物の炭化水素の分布が示される。図18及び図19に示されるように、組成比が2から3まで上がると、COの転化率はほぼ一定であったが、CO2の選択率が若干増加した。これに対してオレフィンの生成がなくなった。一般に、水素化分解反応においては、オレフィンの生成を防止するために、量論より余分な水素が必要であり、したがってFT合成反応においてオレフィンの生成を抑制するためには、量論値すなわちH2/CO=2よりも水素リッチの条件とすることが必要である。
【0041】
以上に述べた触媒組成物を構成するFT合成触媒にはコバルトが使用されていたが、これ以外にも鉄あるいはルテニウムが有効であると考えられる。例えば鉄の場合には、安価であり、しかも最適反応温度がコバルトと比較して約50℃高い。反応温度が高くなれば、炭化水素の水素化分解及び異性化を行うゼオライトの活性を高めることができて有利である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、フィッシャー・トロプシュ合成触媒により合成ガスから直鎖状のオレフィンあるいはパラフィンを生成し、この直鎖状炭化水素を隣接するゼオライト上へ移動して水素化分解及び異性化を行う。これにより、C4〜C10程度の低級イソパラフィンへ効率よく転換できる。この場合、上記触媒とともにPd/SiO2を混合するので、フィッシャー・トロプシュ合成触媒及びゼオライトの活性を高くでき、かつこれらの失活を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る触媒組成物の例を示す図である。
【図2】 本発明に係る触媒組成物の他の例を示す図である。
【図3】 ゼオライトにPd/SiO2を混合した混合触媒によりヘプタンを分解した場合の結果を示す図である。
【図4】 図3に示されたヘプタンの分解生成物の炭素数の分布を示す図である。
【図5】 図4に示された分解生成物のうちC4炭化水素中のイソパラフィン、n−パラフィン、オレフィンの割合を示す図である。
【図6】 FT合成触媒とPd/SiO2とを混合した混合触媒の反応活性の経時変化を示す図である。
【図7】 図6に示された反応時間のうち30分、127分、405分における炭素数分布を示す図である。
【図8】 本発明に係る触媒組成物であるFT合成触媒とゼオライトとPd/SiO2とを混合したハイブリッド触媒の反応活性の経時変化を示す図である。
【図9】 図8に示された反応時間のうち33分、99分、414分における炭素数分布を示す図である。
【図10】 図8の比較例として、Pd/SiO2の代わりにSiO2のみを用いた触媒組成物の反応活性の経時変化を示す図である。
【図11】 図10に示された反応時間のうち、30分、99分、377分における炭素数分布を示す図である。
【図12】 本発明に係る触媒組成物の変形例としてFT合成触媒とパラジュームをゼオライトに担持したものとを混合したハイブリッド触媒の反応活性の経時変化を示す図である。
【図13】 図12に示された反応時間のうち30分、88分、348分における炭素数分布を示す図である。
【図14】 本発明に係る触媒組成物を使用した合成ガスからの低級イソパラフィンの製造方法における反応圧力の影響を示す図である。
【図15】 本発明に係る触媒組成物を使用した合成ガスからの低級イソパラフィンの製造方法における接触時間の影響を示す図である。
【図16】 本発明に係る触媒組成物を使用した合成ガスからの低級イソパラフィンの製造方法における反応温度の影響を示す図である。
【図17】 本発明に係る触媒組成物を使用した合成ガスからの低級イソパラフィンの製造方法において、230℃と270℃の反応温度とした場合の炭素数分布を示す図である。
【図18】 本発明に係る触媒組成物を使用した合成ガスからの低級イソパラフィンの製造方法におけるH2とCOとの組成比の影響を示す図である。
【図19】 図18において、水素とCOとの組成比を2.5及び3.0とした場合の炭素数分布を示す図である。
【符号の説明】
10 FT合成触媒、12 固体酸触媒、14 水素化触媒。

Claims (3)

  1. 水素と一酸化炭素との合成ガスから直鎖状炭化水素を合成するフィッシャー・トロプシュ合成触媒と、この直鎖状炭化水素を水素化分解及び異性化する固体酸触媒と水素化触媒とを含み、前記水素化触媒がバインダーとして前記フィッシャー・トロプシュ合成触媒と前記固体酸触媒とを結合させていることを特徴とする触媒組成物。
  2. 請求項1記載の触媒組成物において、前記水素化触媒は貴金属を担持したシリカまたはアルミナであることを特徴とする触媒組成物。
  3. 水素と一酸化炭素との合成ガスを請求項1または請求項のいずれか一項記載の触媒組成物に接触させ、直鎖状炭化水素の合成と、この直鎖状炭化水素の水素化分解及び異性化とを行い、低級イソパラフィンを生成させることを特徴とする合成ガスからの低級イソパラフィンの製造方法。
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