JP3839456B2 - ペダル接続装置、バスドラム - Google Patents

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Description

本発明は、バスドラムにペダル装置を接続するペダル接続装置及びバスドラムに関する。
一般に、バスドラムは、円筒状をなす胴体部と、その胴体部の両端を塞ぐように胴体部に取り付けられる円盤形状のヘッドと、そのヘッドの外周部位に胴体部の外周に嵌合するように設けられる円環状のフープとを備え、使用(演奏)時には胴体部が床面等の設置面上に設置される。そして、演奏者は、例えば特許文献1に記載されるようなペダル装置のビータの操作によりヘッドを打撃することでバスドラムを演奏するようになっている。
前記ペダル装置は、演奏時においてビータを操作するために演奏者により踏み込まれるフットペダルと、バスドラムのフープを挟持可能なクランプ部とを備えている。そして、このペダル装置は、設置面上に配置されたバスドラムにおける前側(演奏者側)のヘッドよりも手前側に張り出したフープの一部(通常は、設置面に近接した下部)をクランプ部で挟むようにしてバスドラムに取り付けられる。
しかし、この従来構造では、バスドラムの演奏の際のビータの打撃による振動がバスドラムの設置面に伝達されてしまう。そして、振動が設置面に伝達されると、演奏時の胴体部の振動エネルギーが設置面に吸収されて減少し、バスドラムの本来の音の響きを得ることができないという問題があった。
また、フープをクランプ部で直接挟み付けるため、フープを傷付けてしまうという問題があった。さらに、ビータでヘッドを打撃することにより、フープのクランプ部によって挟まれた部分に、局所的な変形を生じたり、緩みを生じたりすることがあった。そのため、このフープの変形や緩みによって、ヘッドの締め付け具合が変わり音質が変化したり、チューニングのずれを引き起こしたりするという問題が生じていた。
さらに、ペダル装置は、バスドラムにおける円環状のフープの一部をクランプ部により挟持するものであるため、そのクランプ部によるフープの挟持位置によってはフットペダルが設置面に対して傾いて設置されて不安定となることがあった。また、バスドラムを、バスドラムの後側を持ち上げた状態(前側に傾いた状態)にセッティングした場合には、フットペダルが踏み込まれたときに、フープのクランプ部により挟持された部分に下方向への力が集中的に働くことになる。こうした状態は、上記したフープの変形やバスドラムの本来の音の響きを損なうといった問題をさらに顕著なものとしていた。
そこで、こうした問題を解決するために、フープをクランプ部で直接挟み付けないタイプのバスドラムが、例えば特許文献2に提案されている。図7に示すように、特許文献2のバスドラム100は、その胴体部101をペダル接続装置102に支持された状態で床面102a上に設置されており、ペダル接続装置102にはペダル装置103が接続されている。ペダル接続装置102は、胴体部101の後部両側に開脚状に設けられる後脚部104と、胴体部101の前部の下部中央に設けられる前脚部105と、これらの各脚部104,105を一体化する支持部材106とによって構成されている。そして、胴体部101を支持する前脚部105及び後脚部104の各先端には、ゴムでなる振動吸収体107,108が設けられている。このように、バスドラム100は一対の後脚部104と前脚部105との3点にて床面102a上に支持されている。この構成によれば、バスドラム100が直接床面102aと接することなく床面102aから所定距離離間した状態で支持される。また、各脚部104,105の先端に振動吸収体107,108を設けたことにより各脚部104,105を伝って床面102aに振動が伝達することが抑制されるため、ドラムの本来の音の響きを得ることができる。
米国特許第5185489号明細書(請求項1、図1) 米国特許第4829874号明細書(請求項1、図1)
しかしながら、特許文献2においても次のような問題があった。即ち、特許文献2では、前脚部105と後脚部104とが支持部材106で連結されて一体に形成されているため、構成が複雑かつ大掛かりなものとなっていた。また、ペダル装置103をペダル接続装置102から外した場合でも、この大掛かりなペダル接続装置102が残ることになるためこの状態でバスドラム100を収納するには、ペダル接続装置102を構成する各部材が邪魔となって非常に不便であった。さらに、バスドラム100本体自体にかなりの重量があるため、上記した大掛かりなペダル接続装置102が胴体部101の周囲(下部、側部)に出っ張るような態様にて付加されている状態では持ち運びしにくいという問題もあった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、バスドラムの本来の音の響きを損なうことなく、かつ、構造が簡単で持ち運びに適したペダル接続装置、バスドラムを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係るペダル接続装置は、胴体部及び胴体部の端部を塞ぐヘッドを有し胴体部が設置面上に設置されるバスドラムと、フットペダルの踏み込み動作によりビータを回動させてバスドラムのヘッドを打撃するペダル装置とを接続するペダル接続装置であって、前記バスドラムの胴体部を保持する胴体保持部と、前記バスドラムの設置面上に設置されて前記ペダル装置に連結されるベース部と、当該ベース部及び前記胴体保持部を相対回動可能に連結する軸部とを有することを特徴とする。
請求項2に係るペダル接続装置は、請求項1に記載のペダル接続装置において、前記ベース部は、前記軸部を中心に回動することで、前記ペダル装置と接続される使用位置と、前記バスドラムの胴体部に近接して配置される収納位置との間で変位可能に構成されたことを特徴とする。
請求項3に係るペダル接続装置は、請求項2に記載のペダル接続装置において、前記ベース部の下面には、当該ベース部が前記収納位置に向けて回動した際に前記胴体部と当接する緩衝部が設けられることを特徴とする。
請求項4に係るペダル接続装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のペダル接続装置において、前記胴体保持部は、前記バスドラムの胴体部を載置して支持する載置部と、当該載置部を前記軸部より予め設定された距離離間した位置に保持するように形成された接続部とを有することを特徴とする。
請求項5に係るペダル接続装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のペダル接続装置において、前記ベース部には、当該ベース部の下面から突出して設置面に当接する弾性部材からなる前脚部が設けられることを特徴とする。
請求項6に係るペダル接続装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のペダル接続装置において、前記ベース部の前端には、前記ペダル装置が備えるクランプ部により挟持されて当該ペダル装置に連結される連結部が設けられ、当該連結部は、その厚みが前方側に向かうに従い厚くなるように形成されていることを特徴とする。
請求項7に係るバスドラムは、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のペダル接続装置によりペダル装置が接続されたことを特徴とする。
本発明によれば、バスドラムの本来の音の響きを損なうことなく、かつ、構造が簡単で持ち運びに適したペダル接続装置、バスドラムとすることができる。
以下、本発明のペダル接続装置及びバスドラムを具体化した一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1は、本実施形態のバスドラムの一実施態様を示す全体側面図であって、特にバスドラムの使用時(演奏時)の使用位置における態様を示している。なお、バスドラムの演奏時に演奏者手前側となる方を「前」(図1において左側)として以下説明する。図1に示すように、バスドラム1は、前後両端が開放された円筒状の胴体部2を備え、その胴体部2の軸線が設置面となる床面1aに沿って延びるようにして床面1a上に設置されている。胴体部2の両端には、円盤形状の前側ヘッド3、後側ヘッド4が胴体部2の両端の開口を塞ぐようにそれぞれ設けられている。前側ヘッド3の外周部位には、環状の前側フープ5が胴体部2の外周に嵌合するように設けられている。同じく、後側ヘッド4の外周部位には、環状の後側フープ6が胴体部2の外周に嵌合するように設けられている。
このバスドラム1は、胴体部2の後部下側に設けられる1対の後脚部11と、胴体部2の前部下側に設けられる1つのペダル接続装置12とによって、床面1aから離間した状態で3点支持されている。後脚部11は、その上端がバスドラム1の胴体部2に予め取り付けられた取付具13に貫入され、取付具13の締付ボルト14を締めることで胴体部2に固定されるようになっている。また、この締付ボルト14を緩めて後脚部11の長さを所望に設定することで、バスドラム1の設置姿勢を調整できるようになっている。また、後脚部11の下端には緩衝部材としてのゴムクッション15が取り付けられている。
バスドラム1の前方には周知のペダル装置16が接続されている。ペダル装置16は、ペダル接続装置12の前端を挟むようにして固定するクランプ部17を有している。クランプ部17は、ペダル接続装置12の前端を上下から挟み込むための押え部18及び支柱ベース19、押え部18に螺合する締付ボルト21にて構成されている。なお、詳細は本発明の要部ではないため省略するが、支柱ベース19の上側に配置される押え部18は支柱ベース19に対して床面1aとほぼ平行な軸線O(図1参照)を中心として上下方向に回動可能となっており、締付ボルト21がねじ込まれることで押え部18の先端(後端)が下がり、支柱ベース19と押え部18とでペダル接続装置12の後述する連結部44を挟持(クランプ)するようになっている。また、締付ボルト21をねじ込む際の螺合量を調整することで、ペダル接続装置12との接続における締め付け具合を調整できるようになっている。
また、クランプ部17の前方にはベース板22が延設され、ベース板22のさらに前方にはヒール部23が取り付けられている。ヒール部23にはフットペダル24の下端が回動可能に取り付けられている。また、クランプ部17の支柱ベース19には一対の支柱25が上方へ向けて立設されており、両支柱25の上部間には回動軸26が両端を支持されて水平に配設されている。この回動軸26にはビータ27が接続され、ビータ27の下端にはチェーン部材28が取り付けられている。このチェーン部材28の下端は前記フットペダル24の上端に接続されている。そして、フットペダル24の踏み込みによって回動軸26を回動中心としてビータ27が回動することで、図1に二点鎖線で示すように、ビータ27が前側ヘッド3を打撃することでバスドラム1が演奏されるようになっている。
次に、本発明の要部であるペダル接続装置12の構造について詳述する。図2は、ペダル接続装置12の斜視図であって、図3は、その分解斜視図である。
図2に示すように、ペダル接続装置12は、バスドラム1の胴体部2を保持する胴体保持部31と、バスドラム1の設置面である床面1a上に配置されてペダル装置16に連結されるベース部32と、ベース部32及び胴体保持部31を相対回動可能に軸支する軸部33とで構成されている。胴体保持部31とベース部32とは、ともに薄板鋼材によって形成されている。軸部33は、その先端側部分がねじ部40として形成されている(図3参照)。
胴体保持部31は、その全体が略逆U字形状をなし、上部にはバスドラム1における胴体部2の外周面に対応した湾曲形状の載置部34が形成され、側部には略半楕円形状の接続部35,36が載置部34の両側端から垂下するように形成されている。さらに、載置部34の両側端からは取付片38が外方へ向けてそれぞれ突出形成され、各取付片38には孔37が貫通形成されている。これらの取付片38に形成された孔37は、バスドラム1の胴体部2にペダル接続装置12をねじ締めにより取り付ける際に、ねじ41(図3参照)を下方から挿入可能とするためのものである。また、接続部35,36の下部には、軸部33が挿入される軸孔42,43(図3参照)が貫通形成されている。なお、この接続部35,36によって上記載置部34は、軸部33から接続部35,36の高さに相当する距離離間した位置に保持される。
一方、ベース部32は、前後方向に延びる長四角板状の底面部45と、底面部45の両側部から上方へ向けて形成される一対の側面部46,47とを備え、底面部45の前端には、ペダル装置16のクランプ部17によって挟持される連結部44が設けられている。連結部44は、底面部45の両側部に底面部45と同一面状に形成される一対の平面部44aと、底面部45の中央を僅かに上方へ突出させることにより両平面部44a間に形成される斜状部44bとからなる。また、連結部44の斜状部44bは、後方側から前方側へ向かうに従い、斜状部44bの上面と平面部44aの下面との垂直方向の距離t1,t2(すなわち、連結部44の厚さ)が徐々に大きくなるようにプレス成形により斜状に形成されている(図5参照)。
さらに、図3に示すように、両側面部46,47の後端部には、軸部33が挿入される軸孔48,49が貫通形成されている。また、底面部45には以下に詳述する前脚部51及び上下の各ゴムクッション52,53を底面部45にねじ54,55で固定するための孔56,57がそれぞれ貫通形成されている。
さらに、底面部45の下面後端寄りには、バスドラム1の前部を支持するための前脚部51が設けられている。前脚部51はゴム等の弾性部材であって、図5に示すようにその中心部には断面円形状の固定孔61が垂直方向に貫通形成されている。固定孔61の上部の内径は、同固定孔61の下部の内径に比べて小さく設定されている。この固定孔61には下方から平ワッシャー62、スプリングワッシャー63、六角ナット64が挿入されており、これらの各ワッシャー62,63を介して、六角ナット64と底面部45の上方から挿入されるねじ54とが螺合することで、前脚部51は底面部45に固定されている。
また、底面部45において連結部44の僅かに後方位置(前記孔57の形成位置)には、ゴムクッション52,53が底面部45の上面及び下面にそれぞれ取り付けられている。図5に示すように、各ゴムクッション52,53は上記前脚部51と同様にその中心部には固定孔66,67が垂直方向に貫通形成されている。固定孔66の上部の内径は、同固定孔66の下部の内径に比べて大きく設定され、固定孔67の上部の内径は、同固定孔67の下部の内径に比べて小さく設定されている。上面側のゴムクッション52の固定孔66には上方から平ワッシャー68、スプリングワッシャー69、六角ナット71が挿入されている。一方、下面側のゴムクッション53の固定孔67には下方から平ワッシャー72が挿入されている。そして、この平ワッシャー72と上面側の各ワッシャー68,69を介して、六角ナット71と底面部45の下方から挿入されるねじ55とが螺合することで、各ゴムクッション52,53は底面部45に固定されている。
また、胴体保持部31とベース部32とは軸部33を介して一体化されている。図4は、図1におけるA−A線矢視断面図である。図4に示すように、胴体保持部31の両接続部35,36は、ベース部32の両側面部46,47を外方から覆うように位置しており、各接続部35,36と各側面部46,47との間にはそれぞれスリーブ81,82が設けられている。そして、一側方(図4において右側方)の接続部35の外方にはワッシャー83が設けられ、そのワッシャー83を介してボルト形状の軸部33が、接続部35及び側面部46の各軸孔42,48(図3参照)に貫挿されている。
各軸孔42,48に貫挿された軸部33は、先端側のねじ部40が他側方(図4において左側方)の接続部36及び側面部47の各軸孔43,49(図3参照)に同様に貫挿される。他側方(図4において左側方)の接続部36の外方には、平ワッシャー84、スプリングワッシャー85、丸頭六角ナット86が設けられ、軸部33は先端側のねじ部40が丸頭六角ナット86まで挿入される。そして、軸部33のねじ部40と丸頭六角ナット86とが螺合することで、胴体保持部31とベース部32とが連結されている。
なお、図4に示すように、胴体保持部31の内幅W1はベース部32の外幅W2よりもスリーブ81,82の厚み(具体的には、スリーブのフランジ部の厚み)程度広くなっており、胴体保持部31とベース部32とは適度な締め具合によって連結されている。そして、各スリーブ81,82及び各ワッシャー83,84,85を介して軸部33に軸支されることで、胴体保持部31及びベース部32は相対回動可能な構成とされている。そして、バスドラム1の胴体部2に固定された胴体保持部31に対して、ベース部32は、上述の締め具合により適度な抵抗を伴って回動するため、あらゆる角度位置でもその位置が維持可能となっている。すなわち、ベース部32は、図6に実線で示す略水平な使用位置を含め、同図に二点鎖線で示すゴムクッション53が胴体部2に当接する収納位置と同図に一点鎖線で示すゴムクッション52がフープ5に当接する位置との間で回動可能となっている。
以上のように構成されるペダル接続装置12は、図4に示すようにバスドラム1の胴体部2にねじ41によって固定される。バスドラム1の胴体部2には上記載置部34の取付片38に形成された孔37と対応する位置に孔2aが貫通形成されると共に、それらの孔2aが形成された部分の内側には、バスドラム1の胴体部2の内周面に対応した湾曲形状の固定用プレート87が設けられる。図3に示すように、この固定用プレート87は四隅を丸くアール付けされた平面視略長方形状であって、両端には上記載置部34の取付片38に形成された孔37と対応する位置にこれらの孔37と同一形状の孔88がそれぞれ貫通形成されている。そして、図4に示すように、この固定用プレート87と胴体保持部31の載置部34とは、胴体部2の孔2aに載置部34の孔37と固定用プレート87の孔88を位置合わせした状態で、胴体部2を上下から挟むように配置され、対応する載置部34の孔37と胴体部2の孔2a及び固定用プレート87の孔88に下方からねじ41が挿入されている。一方、固定用プレート87の2箇所の孔88の上方には、それぞれワッシャー89、スプリングワッシャー91、六角ナット92が設けられ、下方から挿入されたねじ41と六角ナット92とが螺合することで、ペダル接続装置12はバスドラム1の胴体部2に固定されている。
以上のようにペダル接続装置12を用いてバスドラム1にペダル装置16を接続する構成では、ベース部32の底面部45(図2参照)の下面に設けられる前脚部51はゴム等の弾性部材であり、一対の後脚部11の下端にはそれぞれゴムクッション15が取り付けられている。このため、バスドラム1の演奏による振動が設置面に伝達されず、バスドラム1の演奏による胴体部2の振動エネルギーがそのまま維持されドラム本来の音の響きを得ることができる。
また、前側フープ5をクランプ部17で挟持する構成ではないため、前側フープ5を傷付けたり、ビータ27による打撃を繰り返すことで前側フープ5が歪み、前側ヘッド3の締付け具合を変化させたりしてチューニングが狂うといった問題も当然生じ得ない。
さらに、ペダル接続装置12のクランプ部17に挟持される連結部44は、クランプ部17が連結部44を挟持した状態から抜ける方向側へ向けて(すなわち、後方側から前方側へ向けて)徐々に連結部44の厚みt1,t2が大きくなるように斜状部44bが前上がりの斜状に形成されている(図5参照)。この形態において、図1に示すようにクランプ部17で連結部44のなるべく薄い部分(図5における厚みt1の右側部分)を挟持する。こうすれば、ビータ27で前側ヘッド3を打撃した際にその反力が打撃方向と反対方向、すなわちペダル装置16のクランプ部17が連結部44から抜ける方向(図1において左方向)に作用しても、斜状に形成された斜状部44bがクランプ部17の押え部18に当接して引っ掛かるようにして抜ける方向の力に抗する力が作用することとなる。このため、斜状部44bを有して連結部44の厚みt1,t2が後方側から前方側へ向けて徐々に大きくなっている場合には、連結部44に斜状部44bがない場合と比較して、ペダル装置16がペダル接続装置12から簡単には外れにくい構成とすることができる。また、本構成により、ペダル接続装置12からペダル装置16が不用意に外れないように連結部44に滑り止め用の凹凸を設ける等のその他の構成を設ける必要もない。
また、バスドラム1に固定されたペダル接続装置12において、胴体保持部31及びベース部32は上記に詳述したように軸部33を中心に相対回動可能な構成とされている。このため、胴体保持部31を固定側とした場合はベース部32を回動させることができる一方、ベース部32を固定側とした場合は胴体保持部31を回動させることができる。ところで、上記したように、バスドラム1には、ビータ27で前側ヘッド3を打撃した際に打撃力が作用する。このため、打撃時にバスドラム1が後に移動しないように、通常、バスドラム1は胴体部2の後側を少し持ち上げた状態でセットする。この場合、例えば、図1に示した態様において、ベース部32を固定側として胴体保持部31を図1における反時計回り方向へ回動させれば、バスドラム1を前に傾斜した状態でセットすることができる。また、このように胴体保持部31を回動させてバスドラム1の傾斜状態を調整できるため、ビータ27のストローク調整も容易である。
また、図6は、ペダル装置16をペダル接続装置12から取り外した場合に、胴体保持部31を固定側としてベース部32を回動させた態様を示す図である。図6において、実線で示したものが使用位置の態様(図1と同様)であって、二点鎖線で示したものベース部32を図6における反時計回り方向へ回動させた収納位置の態様である。ペダル装置16は、クランプ部17の締付ボルト21を操作してクランプ部17による連結部44の挟持を解除することで簡単にペダル接続装置12と分離することができる(図1参照)。例えば、バスドラム1の収納時や持ち運び時には、以下のような態様にて実施できる。まず、ペダル装置16を上記の手順でペダル接続装置12と分離し、また、1対の後脚部11も締付ボルト14を操作して胴体部2から取り外しておく。そして、ペダル接続装置12のみがバスドラム1に取り付けられている状態とする。
このとき、胴体保持部31は載置部34がねじ41にて胴体部2と固定されているため、軸部33を中心にベース部32を使用位置から図6における反時計回り方向へ回動させて、図6に二点鎖線で示す収納位置まで変位させれば、ベース部32はその位置に維持されることとなる。この状態では、ペダル接続装置12が胴体部2に近接した下方に位置することとなるため、胴体部2の側方に出っ張ることもなく非常にコンパクトである。従って、バスドラム1をケースに収納したり、持ち運んだりする際に好適な態様とすることができる。なお、このとき、ベース部32の底面部45の下面に取り付けられたゴムクッション53が胴体部2に当接するため、胴体部2に硬いベース部32が接触して胴体部2を傷付けてしまうことを防止できる。
また、図6に一点鎖線で示したものは、ベース部32を使用位置から図6における時計回り方向へ回動させた場合の態様である。このように、例えば、ペダル装置16を取り外した際に不慮にベース部32が使用位置から図6における時計回り方向へ回動した場合でも、ベース部32の底面部45の上面に取り付けられたゴムクッション52が前側フープ5に当接する。このため、前側フープ5がベース部32によって不用意に傷付けられることがない。なお、上記したように、バスドラム1を胴体部2の後側を少し持ち上げた状態でセットする際に、バスドラム1を図1における反時計回り方向に最大限度まで回動させた場合にも、同様の効果を奏すことができる。
なお、上記の胴体保持部31における接続部35,36の高さは、ベース部32が回動した場合にベース部32の底面部45や前脚部51を両接続部35,36間の空間内に収納して、ベース部32を図6に一点鎖線及び二点鎖線で示す各位置まで回動可能とする程度に十分な高さを有している。本発明のペダル接続装置12における接続部35,36において、「載置部34を軸部33より予め設定された距離離間した位置に保持する」の「予め設定された距離」を、例えば上記のようにベース部32を回動させて収納可能な距離として設定することができる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)胴体保持部31及びベース部32は、軸部33に軸支されて相対回動可能に構成されているため、一般的に使用されている後脚部11の長さを調整するだけでバスドラム1を任意の角度に設置することができる。このため、バスドラム1の設置状態を調整し、ビータ27が前側ヘッド3に当たる上下位置を所望に調整することができる。
(2)さらに、接続部35,36が載置部34を軸部33より所定距離離間した位置に保持することで、ベース部32を胴体部2に干渉させずに回動させることができ、略180度回動させることで、ベース部32を胴体部2に沿った収納位置に収納させることができる。このため、ベース部32を使用位置からバスドラム1の下方へ回動させて胴体部2の下部へ位置する収納位置に変位させれば、ペダル接続装置12を取付けたままで、バスドラム1を例えばケースに収納可能にコンパクトにすることができ、収納や持ち運びに有用である。
(3)前脚部51及び後脚部11の下端に取り付けられるゴムクッション15はそれぞれ弾性部材であるため、演奏時の胴体部2の振動が設置面に伝達されてその振動エネルギーが減衰してしまうという問題を好適に回避して、バスドラム1の本来の音の響きを確保することができる。
(4)上記実施形態は従来のように前側フープ5をクランプ部17で直接挟持する構成ではないため、前側フープ5を傷付けたり、ビータ27による打撃を繰り返すことで前側フープ5が歪み、前側ヘッド3の締付け具合が変化してチューニングが狂うといった問題を回避できる。
(5)また、フープ5をクランプ部17で挟持する構成の場合、円環状のフープ5のどこにでもクランプ部17を挟持させることができるため、クランプ部17で挟持する位置が定まらずにフットペダル24が水平方向に対して傾いて設置されて不安定となることがあったが、上記実施形態によればこうした問題も起こり得ない。確実に所定の態様位置にてペダル装置16を安定して設置することができると共に、フープ5の変形がバスドラム1の音色に与える悪影響を回避することができる。
(6)ベース部32の連結部44は、底面部45の中央部に形成された斜状部44bがクランプ部17側に近づく後方側から前方側へ向かうに従い、徐々に連結部44の厚みt1,t2が大きくなるように斜状に形成されている。このため、ビータ27の打撃の際にその反力がペダル装置16のクランプ部17が連結部44を挟持した状態から抜ける方向(図1において左方向)に作用しても、連結部44が斜状部44bを有していない場合と比較して、ペダル装置16がペダル接続装置12から外れにくくすることができる。特に、上記実施形態では、1枚の薄板鋼材をプレスにより斜状部44bを形成して、連結部44の厚みt1,t2を変化させているため、別途追加の部材なしで容易に製作できる。
(7)ベース部32の底面部45の上下面にはゴムクッション52,53がそれぞれ取り付けられている。このため、持ち運びの際等にベース部32を回動させた場合、このゴムクッション52,53がバスドラム1の前側フープ5や胴体部2に当接するため、前側フープ5や胴体部2が不用意に傷付けられることがない。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、軸部33を棒状の軸部材で構成したが、本発明でいう胴体保持部31及びベース部32を相対回動可能とする「軸部」は、この形態に限定されるものではない。例えば、胴体保持部31側には両接続部35,36の内側に円盤状の突起を設け、ベース部32側には両側面部46,47の外側に上記突起が係合可能な円形状の凹部を設けてもよい。この場合、円盤状の突起が軸部に相当し、必要に応じてワッシャー等を組み込むことによって胴体保持部31及びベース部32を適度に相対回動可能に連結することができる。
・また、軸部33は、一方の軸孔42,48から他方の軸孔43,49へ一つの軸部33が共通して挿入されるものとしたが、一方の軸孔42,48に挿入される軸部と、他方の軸孔43,49へ挿入される軸部とを別個に構成してもよい。
・載置部34は、種々の形状が適用でき、また、胴体部2と載置部34との間にゴムシートなどの弾性体を配置してもよい。これらは、胴体部2の固定強度と共鳴等を考慮して決定する。
・上記実施形態の載置部34は一つとして構成したが、二分割されたタイプとして構成してもよい。
・また、胴体部2を何らかのかたちで支持できれば、載置部34による載置に限定されるものではない。例えば、上記実施形態において、各接続部35,36から取付片38を突設し、これらの取付片38が載置部として機能するように構成してもよい。
・ペダル接続装置12を胴体部2に固定する方法は、後脚部11の固定方法と同様にしてもよい。すなわち、胴体部2に予め取付具(図1に示す取付具13と同様のもの)を取り付けておき、その取付具に胴体保持部31から突設させた取付脚部(図示略)を貫入するようにして固定する。この場合、取付具の締付ボルト(図1、取付具13における締付ボルト14参照)を緩めて取付脚部の長さを所望に設定することで、容易にバスドラム1に対するビータ27の位置を可変調整できる。
・上記実施形態の接続部35,36の正面視形状は略半楕円形状としたが、形状や載置部34までの高さ等は適宜変更可能である。
・上記実施形態では、胴体保持部31は、バスドラム1を持ち上げ支持するリフト量が固定のリフト量(バスドラム1の下端と設置面の距離)となっているが、接続部35,36の長さの異なる胴体保持部31と交換することで、バスドラム1の径に応じたリフト量とすることもできる。さらに、接続部35,36の長さ自体を可変とすれば、リフト量を任意に変更することもできる。具体的には、種々の態様が考えられるが、例えば、接続部を2枚の板状部材とし、少なくとも一方の部材にスリット状の長穴を設け、他方の部材との重なり量を調節するようなものが例示できる。
・上記実施形態の底面部45の下面に取り付けられるゴムクッション53はなくてもよい。この場合、例えば前脚部51の取り付け位置を調整して、ベース部32を回動させた際に弾性部材からなる前脚部51がゴムクッションの機能を兼用するように構成してもよい。
・上記実施形態では、ゴムクッション53、前脚部51は、突起状のゴム部材であるが、これに限定されず、例えば、スポンジ等他の弾性を備えた材料のものであってもよい。また、形状もこれに限定されず、例えばシート状のものであってもよい。
・上記実施形態の胴体保持部31とベース部32との相互回動において、所定回動位置にて胴体保持部31とベース部32とが係合して静止するための回動ロック機構を付加してもよい。この場合、例えば軸部33と胴体保持部31との接続部分において、所定回動位置にて噛み合う凹凸部をそれぞれに設けることにより構成できる。これにより、より安定して所望の位置に胴体保持部31を固定することができる。ベース部32についても、軸部33とベース部32との接続部分において同様の構成を採用することができる。
・上記実施形態の連結部44の表面に、滑り止め用の凹凸部を形成してもよい。この場合、ビータ27による打撃の際、ペダル装置16がペダル接続装置12から外れることをさらに確実に抑制することができる。
・また、上記実施形態のペダル装置16は、クランプ部17によってペダル接続装置12の連結部44を挟持(クランプ)することによってペダル接続装置12と接続されるものとしたが、この接続形態は種々の変更が可能である。例えば、挟持するタイプのクランプ部17ではなく、嵌め込み式等の専用の接続機構により接続するようなものでもよい。この場合、連結部44は、それらの接続機構に対応するものとする。
本実施形態のバスドラムの一実施態様を示す全体側面図であって、特にバスドラムの使用時の使用位置における態様を示す図。 ペダル接続装置の斜視図。 ペダル接続装置の分解斜視図。 図1におけるA−A線矢視断面図。 図4におけるB−B線矢視断面図。 ペダル接続装置の側面図であって、ベース部の回動を説明するための図。 従来の使用時におけるバスドラムの態様を示す全体側面図。
符号の説明
t1,t2…厚み、1…バスドラム、2…胴体部、3…前側ヘッド、5…前側フープ、12…ペダル接続装置、16…ペダル装置、17…クランプ部、18…押え部、19…支柱ベース、21…締付けボルト、24…フットペダル、27…ビータ、31…胴体保持部、32…ベース部、33…軸部、34…載置部、35,36…接続部、38…取付片、44…連結部、44a…平面部、44b…斜状部、45…底面部、46,47…側面部、51…前脚部、52,53…ゴムクッション(緩衝部)。

Claims (7)

  1. 胴体部及び胴体部の端部を塞ぐヘッドを有し胴体部が設置面上に設置されるバスドラムと、フットペダルの踏み込み動作によりビータを回動させて前記バスドラムのヘッドを打撃するペダル装置とを接続するペダル接続装置であって、
    前記バスドラムの胴体部を保持する胴体保持部と、
    前記バスドラムの設置面上に設置されて前記ペダル装置に連結されるベース部と、
    当該ベース部及び前記胴体保持部を相対回動可能に連結する軸部と
    を有することを特徴とするペダル接続装置。
  2. 前記ベース部は、前記軸部を中心に回動することで、前記ペダル装置と接続される使用位置と、前記バスドラムの胴体部に近接して配置される収納位置との間で変位可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載のペダル接続装置。
  3. 前記ベース部の下面には、当該ベース部が前記収納位置に向けて回動した際に前記胴体部と当接する緩衝部が設けられることを特徴とする請求項2に記載のペダル接続装置。
  4. 前記胴体保持部は、前記バスドラムの胴体部を載置して支持する載置部と、当該載置部を前記軸部より予め設定された距離離間した位置に保持するように形成された接続部とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のペダル接続装置。
  5. 前記ベース部には、当該ベース部の下面から突出して設置面に当接する弾性部材からなる前脚部が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のペダル接続装置。
  6. 前記ベース部の前端には、前記ペダル装置が備えるクランプ部により挟持されて当該ペダル装置に連結される連結部が設けられ、当該連結部は、その厚みが前方側に向かうに従い厚くなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のペダル接続装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のペダル接続装置によりペダル装置が接続されたバスドラム。
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