JP3838392B2 - 防皺性に優れた獣毛繊維含有繊維製品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は羊毛など獣毛繊維含有繊維製品に関し、具体的には、紳士服、婦人服等の衣料用製品、布団綿等寝具類、帽子、ぬいぐるみ等繊維雑貨品として好適な分野で防皺性に優れた衣料用素材あるいは製品である。更に詳しくは使用時の防皺性、使用後の皺回復性、布団綿等の形態安定性を向上させた羊毛など獣毛含有繊維製品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
羊毛、モヘア、カシミアなどの獣毛繊維製品は、本来他の天然繊維に較べ防皺性に優れており、殊に低湿度の環境下ではポリエステルなみの防皺性を有するものであるが、高湿度(例えば、RH80%以上)の環境下では該防皺性は著しく損なわれる。そのため従来から羊毛の防皺性の改善の研究が数多く行われてきた。例えば、J.Text.Inst.,65,374(1974)では、羊毛を酢酸水銀で処理することにより著しい防皺性の改善が見られており、Text.Res.J.,37,183(1967)では、疎水性の防虫剤であるミチンFFで処理することにより防皺性の改善がなされている。しかし、いずれも処理剤の毒性や重量増加が大きいなどの問題により実用化に到っていない。一方、一定の含水率の羊毛を熱処理(アニ−リング)することにより、防皺性が著しく改善されることが、見出された(H.J.Katz,Text.Res.J.,36,874(1966))。アニ−リングにより改善された防皺性も水に浸漬したり、スチ−ムセットによりその効果が失われてしまう。そのため、アニ−リング状態を固定化することの検討が行われているが、羊毛の他の力学特性(引裂強度、耐磨耗性)や風合いなどが著しく損なわれ、実用化には到っていない。また最近、北野らにより羊毛繊維を動物性蛋白質で処理することにより防皺性を改善する技術が報告されているが、実用的な防皺性の改善は十分とは言えない(テキスタイル&ファッション,9,254(1992))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術がなしえなかった羊毛、モヘア、カシミアなど獣毛繊維の特性を喪失させることなく安全で且つ防皺性を改善し、着用時などの実用面での形状記憶性に優れた獣毛繊維製品及びその製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは羊毛など獣毛繊維の水分率と獣毛繊維分子のガラス転移点(Tg)と獣毛繊維のアニーリング状態と獣毛繊維の防皺性との関係に注目し、鋭意検討した結果、本発明に到達したものであり、デアニーリングした後の獣毛繊維を20℃、相対湿度(RH)65%の雰囲気中で獣毛繊維の平衡水分率に到達させた後、該獣毛繊維を20℃、RH65%の雰囲気中で密閉して示差走査熱量計でDSC曲線を測定した際に、55℃から70℃の範囲に極大値を有する吸熱ピークが出現しないか、または出現しても該吸熱量が300mcal/g以下であり、かつ獣毛繊維の繊維構造を構成する繊維分子と架橋結合が形成可能な化合物の少なくも1種によって獣毛繊維内部にフォルマリン共存下に架橋構造が形成せしめられており、獣毛繊維の繊維構造を構成する分子と架橋結合が形成可能な化合物が下記の一般式1〜3で表される群から選ばれた化合物である獣毛繊維を繊維製品中に含有する事を特徴とする防皺性に優れた獣毛繊維含有繊維製品であり、さらには、獣毛繊維含有繊維製品を平衡水分率に至るまで調湿した後、獣毛繊維の平衡水分率におけるガラス転移点よりも+5℃以下の温度で、平衡水分率に至るまで調湿した後、70℃以上で熱処理し、かつ獣毛繊維の繊維構造を構成する分子と架橋結合が形成可能な化合物とを反応せしめることを特徴とする前記の獣毛繊維含有繊維製品の製造方法である。
【0005】
【化4】
【0006】
【化5】
【0007】
【化6】
【0008】
(式中、Xはスルフォン酸、硫酸エステル、フォスフォン酸、リン酸エステル、及びそれらの塩や、または次式で表される置換基を表す:X=−CONH−R−SO3 -、−CONH−R−PO3 -、−SO2 NH−R−SO3 -、−SO2NH−R−PO3 - 。式中Rは、エチレン、プロピレン基などのアルキレン基あるいはアリレン基を表す。また、式中Yは−NH−R−SO3 -、NH−Ar−SO2CH2 CH2 OSO3 -を表す。式中Arは、アリレン基を表す。式中Z、Z′は水素、ヒドロキシフェニル基、またはアミノフェニル基を表す。)
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における獸毛繊維とは、羊毛、モヘア、アルパカ、カシミアなどの獸毛繊維であり、獣毛繊維含有繊維製品とは、獣毛繊維のみの繊維製品及びこれら獸毛繊維以外に綿、麻などの植物天然繊維、レ−ヨンなどの化学繊維、ポリエステル、アクリル、ナイロンなど合成繊維などを混紡あるいは複合させて混用したワタ、糸、織物、編物、不織布などを言う。
【0010】
本発明における羊毛など獣毛繊維は、デアニーリング(30℃の水に1時間浸漬後、2時間風乾し、次いでホフマンプレス機で130℃で30秒間のスチームプレスを行う)した後、20℃・65%RHの雰囲気下に24時間程度置いて平衡水分率に到達せしめた後、その雰囲気下で該獣毛繊維試料をDSC測定用のサンプル容器に密閉し、DSC曲線を測定した際に、55℃〜70℃の温度領域にピークの極大値を有する吸熱ピークの吸熱量が300mcal/g以下であることが必要であるが、好ましくは150mcal/g以下、更に好ましくは50mcal/g以下である。
この吸熱ピークは獣毛の繊維分子の構造転移に伴うものであると考えられ、この吸熱ピークが小さい程、力学的特性に優れた構造が形成されているものと推定される。
【0011】
本発明における獣毛繊維の繊維構造を構成する分子と架橋結合が可能な化合物とは、獣毛繊維のアニ−リング状態を架橋構造形成により固定化が可能な架橋剤(以下、単に架橋剤と表記することがある。)である。この架橋剤のうち多塩基酸化合物としては、分子内に2箇以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えばアジピン酸、1,2,3−プロパン−トリ−カルボン酸、クエン酸、1,2,3,4−ブタン−テトラ−カルボン酸、エチレンジアミン−テトラ−カルボン酸、キシリレンジアミン−テトラ−カルボン酸などが挙げられる。これら多塩基酸のカルボキシル基の一部はエステル化されていたり、塩を形成していても良い。
【0012】
メラミン誘導体としてはモノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミンなどが挙げられる。
【0013】
一般式1で表される化合物としては、具体的には2,5−ジヒドロキシベンゼンスルフォン酸及びその塩、3,5−ジヒドロキシベンゼンスルフォン酸及びその塩、2,5−ジヒドロキシベンゼンフォスフォン酸及びその塩、3,5−ジヒドロキシベンゼンフォスフォン酸、(N−エチル−β−スルフォン酸)−3,4−ジヒドロキシ安息香酸アミド及びその塩、(N−フェニル−3´−スルフォン酸)−3,4−ジヒドロキシ安息香酸アミド及びその塩、N−(エチル−β−スルフォン酸)−3,5−ジヒドロキシ安息香酸アミド及びその塩、(N−フェニル−3´−スルフォン酸)−3,5−ジヒドロキシ安息香酸アミド及びその塩、ベンゼンスルフォン酸及びその塩及びその塩が挙げられる。
【0014】
一般式2で表される化合物としては、具体的には1,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルフォン酸及びその塩、1,4−ジヒドロキシナフタレン−6−スルフォン酸及びその塩、1,4−ジヒドロキシナフタレン−6−スルフォン酸及びその塩、1,7−ジヒドロキシナフタレン−3−スルフォン酸及びその塩、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルフォン酸及びその塩、2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルフォン酸及びその塩、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−フォスフォン酸及びその塩、(N−エチル−β−スルフォン酸)−3,5−ジヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸アミド及びその塩、(N−フェニル−3´−スルフォン酸)−3,5−ジヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸アミド及びその塩などが挙げられる。
【0015】
また、一般式3で表される化合物としては、例えば2,4−ジアミノ−6−(N−エチル−β−スルフォン酸)アミノ−1,3,5−トリアジン及びその塩、2,4−ジアミノ−6−(N−フェニル−3´−スルフォン酸)アミノ−1,3,5−トリアジン及びその塩、2,4−ジアミノ−6−(アミノベンゼン−4−サルフェートエチルスルフォン)−1,3,5−トリアジン、または2,4−ジ(3′−ヒドロキシフェニル)アミノ−6−(N−エチル−β−スルフォン酸)アミノ−1,3,5−トリアジン及びその塩、2,4−ジ(3′−ヒドロキシフェニル)アミノ−6−(N−フェニル−3″−スルフォン酸)アミノ−1,3,5−トリアジン及びその塩、2,4−ジ(3′−ヒドロキシフェニル)アミノ−6−(アミノベンゼン−4−サルフェートエチルスルフォン)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。勿論本発明に於ける一般式1、2及び3で表される化合物は、これらに限定されるものではない。
【0016】
ハロゲン含有化合物としては、例えばオクタクロロジプロピルエーテルやミチンFF(チバガイギー社製)などが挙げられる。
架橋剤としてモノメチロールメラミンや一般式1〜3で表される化合物を用いる場合には、フォルマリン共存下に架橋反応を行うことが必要である。
【0017】
また、本発明では、架橋反応を速やかに進めるために次亜リン酸塩、リン酸塩、四フッ化硼素亜鉛などのルイス酸、及びトリエタノールアミンなどの触媒を用いることも可能である。
【0018】
本発明で言う架橋剤の少なくとも1種を含有させた羊毛など獣毛を構成する繊維分子に架橋構造を形成させることにより、羊毛など獣毛繊維製品の引張強度、引裂強度など他の実用特性を著しく損なうことなく、防皺性を改善できる理由は定かではないが、調湿と熱処理を行うことで羊毛の非晶部分の構造がガラス転移点付近においても変化しないような力学特性の優れた構造が形成され、かつ内部の分子鎖の歪みが少ない状態で架橋する事で、防皺性の改善を可能にしたものと推定される。
【0019】
本発明においては羊毛など獣毛繊維の構造内部に含有させる架橋剤量は、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは2〜15重量%である。含有量が1重量%未満では獣毛繊維構造内部でアニ−リング構造を固定化するための架橋密度が不十分な傾向がある。架橋剤含有量が20重量%を越えるとそれ以上の防皺性改善効果が得られず、却って風合など獣毛繊維の特性を損なうことになる。
【0020】
本発明における示差走査熱量計によるDSC曲線の測定は、容量75μlの密閉型サンプル容器に約20mgの試料を詰め、20℃毎分の速度で昇温し、−20℃〜150℃の間のDSC曲線を得た後、曲線上の40℃と90℃の2点間を直線で結び、この直線とDSC曲線に囲まれた部分の面積から吸熱量を計算する方法である。
【0021】
本発明における防皺性の改善効果とは、着じわなどの実用的防皺性の改善を意図するものであり、例えば加工処理した羊毛の織物をズボン等に縫製し、着用した場合の皺の状況をIWS法のレプリカによって皺の程度を判定した場合の防皺性の改善を示すものである。
【0022】
本発明における獣毛繊維にアニーリング構造を形成させる方法としては、所定の調湿後、70℃以上の温度で1分以上熱処理することが必要であり、好ましくは70℃以上の温度で30分以上であり、さらに熱処理は、密閉状態で行なうことが好ましい。
【0023】
本発明における獣毛繊維のアニーリング構造の固定化方法としては、例えば獣毛繊維分子と架橋結合が形成可能な架橋剤である多塩基酸、メラミン誘導体、或いは一般式1、2、または3で表される化合物などの中から、少なくも1種を獣毛繊維にパディングやスプレー等で付与せしめ、獣毛繊維分子のガラス転移点を+5℃は越えない温度・湿度の雰囲気下に獣毛繊維を12時間以上置いた後、該雰囲気のまま密閉容器に封入し、70℃以上30分以上熱処理し、つづいて130℃から170℃温度で1分から5時間熱処理を行い、前記架橋剤を反応せしめて羊毛など獣毛の繊維分子内で架橋構造を形成させてアニーリング状態を固定化する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0024】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0025】
(加工用試料)
羊毛織物:平織(メリノウ−ル:100%)
糸番手:2/60
目付 :146g/m2
織密度:233×214
試料量:タテ21cm、ヨコ29cm
【0026】
(加工処理−イ法)
固形分濃度で1〜5重量%の架橋剤の水溶液に対し、0.05重量%タージトールを加え加工処理液とする。該処理液に浴比1:20で羊毛織物を1hr浸漬し、マングルで絞り、80℃で熱風乾燥後、スチームセットを行う。3l容積のミニカラー染色器に入れ、20℃、65%RHの雰囲気に24hr放置し、該雰囲気のまま密閉シールした後、80℃で30分間熱処理を行い、続いて130℃〜160℃で1分から4時間の間で加熱処理を行う。
【0027】
(加工処理−ロ法)
加工処理−イ法と同様に処理液に羊毛織物を浸漬し、乾燥後、スチームセットを行う。その後3l容積のミニカラー染色器に入れ、20℃、65%RHの雰囲気に24hr放置し、該雰囲気のまま密閉シールした後、130℃〜160℃で1分から4時間の間で加熱処理を行う。
【0028】
(加工処理−ハ法)
加工処理−イ法と同様に処理液に羊毛織物を浸漬し、乾燥後、スチームセットを行う。その後3l容積のミニカラー染色器に入れ、20℃、65%RHの雰囲気に24hr放置し、該雰囲気のままパラフォルマリン1.5gとともに密閉シールした後、80℃で30分間熱処理を行い、続いて130℃〜160℃で1分から4時間の間で加熱処理を行う。
【0029】
(加工処理−ニ法)
加工処理−イ法と同様に処理液に羊毛織物を浸漬し、乾燥後、スチームセットを行う。その後20℃・90%RHの高湿度の雰囲気に24hr放置し、該雰囲気のまま密閉シールした後、80℃で30分間熱処理を行い、続いて130℃〜160℃で1分から4時間の間で加熱処理を行う。
【0030】
(加工処理−ホ法)
固形分濃度で1重量%の架橋剤の水溶液をに対し、0.05重量%タージトールを加え加工処理液とする。該処理液に浴比1:20で羊毛織物を1hr浸漬する。浸漬中は処理液のpHを酢酸を加えながら、3.5に調整し、乾燥後、スチームセットを行う。その後20℃、65%RHの雰囲気に24hr放置し、該雰囲気のままパラフォルマリン1.5gとともに密閉シールした後、80℃で30分間熱処理を行い、続いて130℃〜160℃で1分から4時間の間で加熱処理をう。
【0031】
(防皺性評価法)
奈良女子大の丹羽教授法に準じて実施した:
ズボンの膝裏の左右に加工処理した試料と未処理の試料をそれぞれ縫い付ける。スチームアイロンした後、ズボン試料を20℃・65%RHの恒温槽に1晩放置した後、同環境の部屋にて試着する。15分正座後、15分椅子に腰掛ける。この操作を1サイクルとして、6サイクル行う。その後試料をズボンから切り離し、皺の程度をIWSの皺レプリカ(1級〜8級)と参照して級判定する。
【0032】
(吸熱量の測定法)
示差走査熱量計によるDSC曲線の測定は、(株)マックサイエンス社製DSC3100を使用し、試料を30℃の水に1時間浸漬し風乾した後、スチームセットを行い、容量75μlの密閉型サンプル容器に約20mgの試料を詰め、20℃/分の速度で昇温し、−20℃〜150℃の間のDSC曲線を得た後、曲線上の40℃と90℃の2点間を直線で結び、この直線とDSC曲線に囲まれた部分の面積から吸熱量を計算する。
【0033】
参考例1
羊毛織物試料を加工処理−イ法により架橋剤として1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸を用いて加工処理した。加熱処理条件は160℃で3分であった。処理後、該羊毛織物試料の重量増加は6.2重量%であった。
【0034】
参考例2
羊毛織物試料を加工処理−イ法により架橋剤としてクエン酸を用い加工処理した。加熱処理条件は、150℃で5分であった。処理後、該羊毛織物試料の重量増加は6.8重量%であった。
【0035】
参考例3
羊毛織物試料を加工処理−ロ法により、架橋剤として1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸を用いて加工処理した。加熱処理条件は150℃で5分であった。該羊毛織物試料の重量増加は5.5重量%であった。
【0036】
参考例4
羊毛織物試料を加工処理−ハ法により、架橋剤としてモノメチロールメラミンを用いて加工処理した。加熱処理条件は130℃で30分であった。該羊毛織物試料の重量増加は6.1重量%であった。
【0037】
実施例1
羊毛織物試料を加工処理−ハ法により、架橋剤としてN−フェニル−3´−スルフォン酸ナトリウム)−3,5−ジヒドロキシ安息香酸アミドを用いて加工処理した。加熱処理条件は150℃で5分であった。該羊毛織物試料の重量増加は6.6重量%であった。
【0038】
実施例2
羊毛織物試料を加工処理−ハ法により、架橋剤として2,3−ジヒドロキシナフタレン−6ースルフォン酸ナトリウムを用いて加工処理した。加熱処理条件は130℃で30分であった。該羊毛織物試料の重量増加は5.8重量%であった。
【0039】
実施例3
羊毛織物試料を加工処理−ハ法により架橋剤として2,4−ジ(3′−ヒドロキシフェニル)アミノ−6−(N−フェニル−3″−スルフォン酸ナトリウム)アミノ−1,3,5−トリアジンを用いて加工処理した。加熱処理条件は140℃で30分であった。該羊毛織物試料の重量増加は6.2重量%であった。
【0040】
参考例5
オクタクロロジプロピルエーテル0.4重量%、パラ−フェノキシベンジル−2−[(パラ−エトキシフェニル−ジメチル]エチル−エーテル3.0重量%の水溶液を作成し、該処理液に浴比1:20で羊毛織物を5分間浸漬した。マングルで絞り(絞り圧3kg)、100℃で5分間乾燥した。20℃・65%RHの雰囲気で、24時間置いた後、150℃で5分間キュアリングを行った。
【0041】
比較例1
架橋剤を含まない羊毛織物試料を20℃、65%RHの雰囲気に24hr放置した。該羊毛織物をパラフォルムアルデヒドを羊毛織物に対して6重量%含む容器に入れた。
更に100℃で羊毛織物の水分率が14〜18重量%になるように羊毛織物に対して20重量%の水を含むキャピラリ−ガラス管を該容器に入れ、密閉後、該容器を100℃に4hr加熱した。
【0042】
比較例2
羊毛織物試料を加工処理−ニ法により架橋剤として1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸を用いて加工処理した。加熱処理条件は160℃で3分であった。処理後、該羊毛織物試料の重量増加は6.2重量%であった。
【0043】
【表1】
表1からも明らかである様に、実施例で得た羊毛織物は、DSC曲線における吸熱ピーク熱量が少なく、実用の防皺性が効果的に改善されていることが判る。
【0044】
【発明の効果】
本発明における獣毛繊維は、DSC測定における吸熱量が小さくなるようにアニーリング構造が効果的に固定されているため、実用的な防皺性に優れた獣毛繊維製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各相対湿度(RH)で平衡水分率に到達した時の羊毛のガラス転移点(Tg)と相対湿度との関係を示すグラフである。
Claims (2)
- デアニーリングした後の獣毛繊維を20℃、相対湿度(RH)65%の雰囲気中で獣毛繊維の平衡水分率に到達させた後、該獣毛繊維を20℃、RH65%の雰囲気中で密閉して示差走査熱量計でDSC曲線を測定した際に、55℃から70℃の範囲に極大値を有する吸熱ピークが出現しないか、または出現しても該吸熱量が300mcal/g以下であり、かつ獣毛繊維の繊維構造を構成する繊維分子と架橋結合が形成可能な化合物の少なくも1種によって獣毛繊維内部にフォルマリン共存下に架橋構造が形成せしめられており、獣毛繊維の繊維構造を構成する分子と架橋結合が形成可能な化合物が一般式1〜3で表される群から選ばれた化合物である獣毛繊維を繊維製品中に含有する事を特徴とする防皺性に優れた獣毛繊維含有繊維製品。
- 獣毛繊維含有繊維製品を獣毛繊維の平衡水分率におけるガラス転移点よりも+5℃以下の温度で、平衡水分率に至るまで調湿した後、70℃以上で熱処理し、かつ獣毛繊維の繊維構造を構成する分子と架橋結合が形成可能な化合物とを反応せしめることを特徴とする請求項1に記載の獣毛繊維含有繊維製品の製造方法。
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