本発明は移送装置に関するもので、より詳しくは光学機器のレンズをレンズ自体の独立した駆動により移送するためのレンズ移送装置に関するものである。
カメラ、カムコーダー、コンパクトズームカメラ、監視カメラ、マイクロ飛行体など諸光学機器にはズーム(zoom)機能のためにレンズを前後進させる構造を設ける。こうしたズーム機能のためにレンズを移送させる色々な構造が開発されてきた。
焦点距離可変のためのズーム機能を行うべく従来は主にカム構造駆動方式が利用されていた。カム構造駆動方式は電磁気モータにより駆動される鏡胴とその側面に位置するカム形状の溝に沿って各レンズが相対的な距離を変化させながらズーム駆動する方式である。かかるカム構造のズーム駆動方式はズーム作動時にカムの形状に応じて各レンズの相対的位置が決まる。このため特定倍率に焦点を合わせるための焦点レンズ及び駆動部が追加的に要求され、縦減速ギア及びカムに連動するレンズホールディング構造など駆動機構が複雑になるという欠点があった。
最近はこうした欠点を克服し、より小型の光学機器にズーム機能を取り入れようと超小型光学ズーム機構の開発が行われており、こうした超小型光学機構は従来の電磁気モータによる駆動方式から脱皮して圧電素子のような知能型素子を使ってきている。このように従来のモーター駆動方式を代替すると、駆動構造を単純化でき、直接駆動による高効率化が実現できる利点がある。
こうした圧電素子を用いたズームレンズ装置を図24に表す。図24は米国特許6、215、605号の「駆動装置」に関するものである。図24のレンズ駆動装置は圧電素子(111、112)をベースブロック(121、122)に固定させて駆動丸棒(116、117)に変位を伝達し、スライド部(131a、132a)において発生する予圧とレンズホルダー(131、132)の慣性力、加速度効果によりレンズ(L2、L4)を移送するようになる。圧電素子(112)は加振入力の波形に応じてレンズホルダーが丸棒と共に移送されたりまたは滑ってそのまま留まる運動により移送され、また両方向に移送可能である。
図24のようなレンズ駆動装置は、図25のような形態で実際に配列して用いるが、この際、隣り合って配列される圧電素子(211a、211b)のうち、一方の変位がベースブロック(213)を通して伝達される場合、他方のレンズに変位が伝わる恐れがある。従って、ベースブロック(213)に溝(groove、213g)を形成して圧電素子間の変位伝達を防止することになる。かかる溝の加工は構造を複雑にし、加工の困難を招き、さらに圧電素子同士の変位干渉問題を完全に解消することができなくなる。
さらに、圧電素子を通して前後移動しながらレンズを移送させる駆動丸棒(116、117)の長さは圧電素子の大きさによって制限される。こうした駆動丸棒の長さの制約はレンズ移送距離の制約として働き、製品の性能に影響を及ぼすことになる。
しかも、こうした場合、駆動丸棒が基本的に固定されているので、レンズが内蔵される鏡胴の長さ変化が不可能という問題があり、レンズ移送距離のための空間の他にも駆動のための要素を配列すべく別途の空間が必要となり全体的な装置の大きさを小型化し難い問題もある。さらに駆動丸棒にレンズ部の一端のみが支持され、駆動時にレンズに非対称性変位が発生することになり不安定な駆動を生じかねない問題がある。
米国特許6、215、605号
本発明は前記のような問題点を解決するためのもので、レンズと作動器の一体型構造を提供し、レンズ駆動部の構造を単純化し、駆動部の単純化に伴いズームレンズ部の寸法を小型化させられる移送装置の提供に目的がある。
また、本発明は駆動手段がレンズを直接線形駆動させて高駆動効率を得、レンズの位置を直接制御できる移送装置の提供に目的がある。さらに、本発明はレンズの移送距離が他の構成要素によって制約されないようにしたレンズ移送構造を提供し、別途のエネルギー供給無しで、レンズの位置をそのまま保持できる移送装置の提供に目的がある。
また、本発明はレンズの位置を超精密制御して焦点微調節及び倍率微調整、高解像度が得られる移送装置の提供に目的がある。さらに、本発明は前記のような移送装置の使用時の諸移送モードが選択できる移送方法の提供に目的がある。
前記のような目的を成し遂げるための構成手段として、本発明は、移送物を移送するための移送装置において、前記移送物に連結され移送を案内するガイド手段;及び、前記移送物に付着され、前記移送物が前記ガイド手段と相互作用する力より大きい力を前記移送物に与える駆動手段を含む移送装置を提供する。好ましくは、前記駆動手段は一側終端が前記移送物に固定され、電源の供給により作動する圧電素子で、また前記圧電素子の他側終端には所定質量の質量体が付着されることができる。また、好ましくは、前記移送装置は前記移送物と前記ガイド手段とが相互弾性的に接触するようにさせ、前記移送物と前記ガイド手段とに弾性力に比例する相互作用力を与える弾性手段をさらに含む。より好ましくは、前記圧電素子に供給される時間当たり電圧の絶対値はピーク値前後で相異することができる。
さらに、前記のような目的を成し遂げるための構成手段として、本発明は、光学機器のレンズを移送するための移送装置において、前記レンズと直交するよう連結され、レンズの前後進を案内するガイド手段;及び、前記レンズと同平面上に位置するよう一側終端がレンズ周縁に固定され、前記レンズと前記ガイド手段とが相互作用する力より大きい移送力を前記レンズに与える駆動手段を含む移送装置を提供する。好ましくは、前記駆動手段は電源の供給により作動する圧電素子で、さらに前記圧電素子の他側終端には所定質量の質量体が付着されることができ、前記圧電素子は前記レンズの周縁に等間隔で離隔するよう配列されることができ、または前記レンズの周縁全体を囲繞する環状を成すことができる。また、好ましくは、前記移送装置は前記レンズの周囲を囲繞するレンズフレームをさらに含み、前記圧電素子の一側終端は前記レンズフレームに固定されることが可能である。前記ガイド手段は前記レンズの周縁に隣接した位置で前記レンズを貫通して連結されることができ、前記ガイド手段は少なくとも1個以上の多角形バー(bar)か、少なくとも2個以上の円筒形バー(bar)であることができる。さらに、前記移送装置は、前記レンズと前記ガイド手段とが相互弾性的に接触するようにし、前記レンズと前記ガイド手段とに弾性力に比例する相互作用力を与える弾性手段をさらに含むことができる。また、好ましくは、前記圧電素子に供給される時間当たり電圧の絶対値はピーク値前後で相異することができる。
さらに、前記のような目的を成し遂げるための構成手段として、本発明は、光学機器のレンズを移送するための移送装置において、前記レンズと直交するよう連結され、レンズの前後進を案内するガイド手段;及び、一側終端が前記レンズの一側面にレンズと直交するよう固定され、前記レンズと前記ガイド手段とが相互作用する力より大きい移送力を前記レンズに与える駆動手段を含む移送装置を提供する。好ましくは、前記駆動手段は電源の供給により作動する圧電素子であることができ、また前記圧電素子の他側終端には所定質量の質量体が付着されることが可能である。好ましくは、前記圧電素子は、前記レンズの一側面に周縁と隣接して等間隔で離隔するよう配列されることができ、または前記レンズの一側面に周縁と隣接するよう円形の環状に配列されることも可能である。さらに好ましくは、前記移送装置は前記レンズの周囲を囲繞するレンズフレームをさらに含み、前記圧電素子の一側終端は前記レンズフレームに固定されることが可能である。前記移送装置は、前記レンズと前記ガイド手段とが相互弾性的に接触するようにし、前記レンズと前記ガイド手段とに弾性力に比例する相互作用力を与える弾性手段をさらに含むことができる。好ましくは、前記ガイド手段は前記レンズの周縁に隣接した位置で前記レンズを貫通して連結され、前記ガイド手段は少なくとも1個以上の多角形バー(bar)か、少なくとも2個以上の円筒形バー(bar)であることができる。さらに、前記ガイド手段は前記レンズとレンズ周縁面で接触しながら前記レンズの前後移動を案内する外部フレームになるのが好ましく、より好ましくは、前記レンズはレンズの周縁から半径方向に突出する少なくとも1つの凸部を有し、前記外部フレームには前記凸部を収容する凹部がレンズの移動経路に沿って形成されることができ、さらに前記圧電素子は前記凸部の一側に固定されることが可能である。好ましくは、前記圧電素子に供給される時間当たり電圧の絶対値はピーク値前後で相異することが可能である。
さらに、前記のような目的を成し遂げるための構成手段として、本発明は、本発明の移送装置によりレンズを移送する方法において、a.駆動手段の他側終端の位置をレンズ移送方向に移動させる段階;及び、b.前記駆動手段が前記a段階における他側終端の移動速度より速く駆動して元の状態に復帰し、前記駆動手段の一側に固定されたレンズを移動させる段階;を含むレンズ移送方法を提供する。好ましくは前記駆動手段は電圧により作動する圧電素子であり、前記a段階において前記圧電素子に供給される時間当たり電圧の絶対値は前記b段階において前記圧電素子に供給される時間当たり電圧の絶対値より小さいことを特徴とする。さらに、本発明は本発明の移送装置によりレンズを移送する方法において、a.駆動手段の他側終端の位置をレンズ移送方向に移動させる段階;b.前記駆動手段が前記a段階における他側終端の移動速度より速く作動し、前記駆動手段の一側に固定されたレンズを前記駆動手段が元の状態に復帰する際のレンズ位置より前方に移動させる段階;及び、c.前記駆動手段の他側を元の状態に復帰させる段階;を含むレンズ移送方法を提供する。好ましくは、前記駆動手段は電圧により作動する圧電素子であり、前記a段階及びc段階において前記圧電素子に供給される時間当たり電圧の絶対値は前記b段階において前記圧電素子に供給される時間当たり電圧の絶対値より小さいことを特徴とする。
さらに、前記のような目的を成し遂げるための構成手段として、本発明は、光学機器のレンズを移送するための移送装置において、前記レンズと直交するよう連結され、レンズの前後進を案内するガイド手段;前記レンズと前記ガイド手段とが相互弾性的に接触するようにし、前記レンズと前記ガイド手段とに弾性力に比例する相互作用力を与える弾性手段;前記レンズと同平面上に位置するよう一側終端がレンズ周縁に固定され、前記レンズと前記ガイド手段とが相互作用する力より大きい移送力を前記レンズに与え、電源の供給により作動する圧電駆動手段;及び、前記圧電駆動手段の他側終端に付着される所定質量の質量体;を含むことを特徴とする移送装置を提供する。好ましくは、前記圧電駆動手段は前記レンズの周縁に等間隔で離隔するよう配列されることができ、または前記レンズの周縁全体を囲繞する環状になることができる。さらに、前記移送装置は前記レンズの周囲を囲繞するレンズフレームをさらに含み、前記圧電駆動手段の一側終端は前記レンズフレームに固定されるよう構成することができる。好ましくは、前記ガイド手段は前記レンズの周縁に隣接した位置で前記レンズを貫通して連結され、前記ガイド手段は少なくとも1個以上の多角形バー(bar)か、または少なくとも2個以上の円筒形バー(bar)であることができる。好ましくは、前記圧電素子に供給される時間当たり電圧の絶対値はピーク値前後で相異することができる。
さらに、前記のような目的を成し遂げるための構成手段として、本発明は、光学機器のレンズを移送するための移送装置において、前記レンズの周縁に隣接した位置において前記レンズを貫通して連結され、レンズの前後進を案内するガイド手段;前記レンズと前記ガイド手段とが相互弾性的に接触するようにし、前記レンズと前記ガイド手段とに弾性力に比例する相互作用力を与える弾性手段;一側終端が前記レンズの一側面にレンズと直交するよう固定され、前記レンズと前記ガイド手段とが相互作用する力より大きい移送力を前記レンズに与え、電源の供給により作動する圧電駆動手段;及び、前記圧電駆動手段の他側終端に付着される所定質量の質量体;を含む移送装置を提供する。好ましくは、前記圧電素子は前記レンズの一側面に周縁と隣接して等間隔で離隔するよう配列されるか、前記レンズの一側面に周縁と隣接するよう円形の環状に配列されることができる。また、好ましくは、前記移送装置は前記レンズの周囲を囲繞するレンズフレームをさらに含み、前記圧電素子の一側終端は前記レンズフレームに固定されることができる。好ましくは、前記ガイド手段は少なくとも1個以上の多角形バー(bar)か、少なくとも2個以上の円筒形バー(bar)であることができる。好ましくは、前記圧電素子に供給される時間当たり電圧の絶対値はピーク値前後で相異するようにする。
さらに、前記のような目的を成し遂げるための構成手段として、本発明は、光学機器のレンズを移送するための移送装置において、前記レンズとレンズ周縁面において接触し前記レンズの前後移動を案内する外部フレーム;前記レンズと前記外部フレームとが相互弾性的に接触するようにし、前記レンズと前記外部フレームとに弾性力に比例する相互作用力を与える弾性手段;一側終端が前記レンズの一側面にレンズと直交するよう固定され、前記レンズと前記外部フレームとが相互作用する力より大きい移送力を前記レンズに与え、電源の供給により作動する圧電駆動手段;及び、前記圧電駆動手段の他側終端に付着される所定質量の質量体;を含む移送装置を提供する。好ましくは、前記圧電素子は前記レンズの一側面に周縁と隣接して等間隔で離隔するよう配列されるか、前記レンズの一側面に周縁と隣接するよう円形の環状に配列されることができる。また、好ましくは、前記移送装置は前記レンズの周囲を囲繞するレンズフレームをさらに含み、前記圧電素子の一側終端は前記レンズフレームに固定されることができる。さらに、前記レンズはレンズの周縁から半径方向に突出する少なくとも1つの凸部を有し、前記外部フレームには前記凸部を収容する凹部がレンズの移動経路に沿って形成されるのが好ましく、この際、前記圧電素子は前記凸部の一側に固定されることを特徴とする。好ましくは、前記圧電素子に供給される時間当たり電圧の絶対値はピーク値前後で相異することができる。
以上のように本発明によるとレンズと作動器の一体型構造を提供し、レンズ駆動部の構造を単純化し、駆動部の単純化によりズームレンズ部の大きさを小型化する効果を奏する。さらに、本発明は駆動手段がレンズを直接線形駆動させ高い駆動効率が得られ、レンズの位置を直接制御でき、レンズの移送距離が他の構成要素によって制約されないようにしたレンズ移送構造を提供する効果を奏する。
さらに、本発明の移送装置は別途のエネルギー供給無しでもレンズの位置がそのまま保持されるようにし、レンズの位置を超精密制御し焦点微調節及び倍率微調整、高解像度を可能にした移送装置を提供する。さらに、本発明による移送装置の使用方法によると、前記のような移送装置の使用にあたって様々な移送モードが選択できるようにする効果も奏する。
以下、本発明について添付の図面を参照しながら詳しく説明する。本発明は移送物、とりわけ光学機器においてズーム機能を行うレンズに付着されレンズをバーで駆動させ所望の移送を行うことを特徴とする。以下、本発明の実施例について説明する。
図1は本発明による移送装置の第1実施例を表す全体斜視図である。本発明の第1実施例による移送装置(10)はレンズ(11)を移送するためにガイド手段(12)と駆動手段(13)とを含む。前記ガイド手段(12)はレンズ(11)の移送を案内するためのもので、レンズ(11)と直交するよう連結される。ガイド手段(12)はレンズ(11)の周縁に隣接した位置からレンズを貫通して連結されることが好ましい。前記駆動手段(13)は前記レンズ(11)の周縁に一側終端が付着され、レンズ(11)と同平面上に位置するようになる。駆動手段(13)は自己的にレンズに移送力を伝達できるものとして、本実施例においては圧電材料(piezo−electric Material)から成る圧電素子を用いる。
図2(A)及び2(B)において、レンズ(11)にはガイド手段(12)が貫通して連結されており、レンズ(11)の周縁に駆動手段(13)が配列される。さらに、駆動手段(13)の周縁には質量体(14)が付着される。質量体(14)は駆動手段の移送力をレンズに伝達し易くする役目を果たし、より詳細な説明は後述する。また、図2(B)には弾性手段(15)がガイド手段(12)とレンズ(11)との間に設けられている。
本発明の移送装置は前記のような圧電素子から成る駆動手段(13)によりレンズ(11)をガイド手段(12)に沿って直接駆動させることを特徴とする。圧電素子は例えば、PZTという複合酸化物材料を用いることができる。前記PZTは鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)のアルファベット頭文字を取って標記したもので、圧電体ともいう。こうした圧電体は力を与えると瞬間電気が発生し、逆に電気をかけると外部形状が変化する。
本発明においては圧電素子のこうした性質を利用するのである。即ち、圧電素子に電圧を与えると、圧電素子が変形し、この変形時の加速力を用いてレンズを直接移送させるのである。圧電素子のこうした動作を図3に表す。図3において駆動手段(13)である圧電素子は電圧が0の状態で平坦な形状を保ち(B)、プラス電圧がかかると(A)の形状となる。逆に、マイナス電圧がかかると(C)のような形状となる。圧電素子に加えられる電圧の特性に応じてこうした形状変化を起こし、本発明は圧電素子のこのような形状変化による加速力を利用する。
本実施例において、ガイド手段(12)はレンズを移送可能に支持しており、レンズ(11)とガイド手段(12)間には一定の相互作用力、即ち摩擦力が作用するよう調節されている。図9は本発明の移送手段の第1実施例における作動順序を表し、a段階においてガイド手段(12)にレンズ(11)が支持され、レンズの周縁には駆動手段(13)、即ち圧電素子が付着されている。そして駆動手段(13)の周縁には一定質量を有する質量体(14)が付着された移送装置が設けられている。b段階においては、前記駆動手段(13)に電圧を与えて質量体(14)を移送方向に移動させる。これは駆動手段である圧電素子の特性を利用したもので、圧電素子に緩やかな勾配を有する電圧波形を与えて移送方向に圧電素子を歪ませるのである。この際、レンズ(11)はガイド手段(12)との摩擦力により元の位置を保持する。c段階においては、駆動手段(13)である圧電素子に与えられた電圧がb段階での電圧の勾配より急激に大きい勾配で除去される。この際、圧電素子は元の状態に復帰し、復帰時速度が大変速くなりレンズ(11)とガイド手段(12)間に作用する摩擦力より強くなる。圧電素子の外側に付着される質量体(14)は電圧が速く除去される際に基準点の役目を働く。即ち、質量中心がレンズ移送方向に偏るようにする役目を果たし、圧電素子が質量体を基準に平坦として元の形状に復帰し、レンズが圧電素子に応じて質量体の位置する移送位置に移ることになる。
圧電素子は自己的に質量を有し、またこれを調節することもできる為、前記質量体を使わずとも前記のような移送動作が行え、質量体を使用すればより効果的な移送が可能である。こうした動作を行うべく本発明の第1実施例においては、レンズ(11)の周縁に圧電素子のような駆動手段(13)を付着し、レンズ(11)はガイド手段(12)を通して案内されるよう構成している。さらに、レンズ(11)とガイド手段(12)間には相互作用力、即ち摩擦力が作用するよう連結しなければならない。即ち、きちっと嵌合するようガイド手段をレンズに挿入するか、ガイド手段とレンズの接触面の表面粗度を適宜に調節する方法によって摩擦力を調整できるようになる(図6参照)。
前記のような方法の他にも一定の摩擦力を与えるべく、本発明においては図2(B)及び図7のように弾性手段(15)を用いることができる。弾性手段(15)はレンズ(11)とガイド手段(12)との間に設けられ、レンズとガイド手段とに相互作用力を与えるようになる。即ち、一側がレンズ(11)に固定され、他側がガイド手段(12)に接触された板スプリングのようなものを使用するのである。
前記レンズ(11)とガイド手段(12)間の摩擦力は摩擦係数と垂直荷重に比例し、弾性手段(15)はレンズとガイド手段間に垂直荷重を加え、こうした弾性手段によって外部からの衝撃やレンズ鏡胴の位置に関係無く一定の停止位置を保持できる効果を得ることもできる。
図5はレンズフレーム(16)を表す。本実施例において好ましくは、レンズ(11)はレンズフレーム(16)に固定され、レンズフレーム(16)の周縁に圧電素子が挿入されて固定あるいは接着されるようにした。この際、圧電素子の一側終端は前記レンズフレームに固定され、他側終端は自由端として残される。レンズフレームは弾性的でない材質から成るのが好ましい。もし、レンズフレームが弾性的であると、駆動手段から伝達する移送力が弾性的なフレームに吸収されてレンズに移送力を完全に伝達できなくなる問題がある為である。従って、前記レンズフレームはスチール(steel)のような非弾性的な材質で形成するようにする。
前記駆動手段(13)である圧電素子は図1ないし図2(B)のようにレンズ(11)の周縁全体を囲繞する環状に形成することができる。圧電素子が環状に形成されるとレンズ全体に均等な移送力を与えることができる。また、圧電素子はレンズの周縁に等間隔で離隔するよう配列されることもできる。これは図8に表してある。図8において圧電素子(23)はレンズ(11)の周縁にレンズと同平面上に等間隔で離隔するよう配列されている。圧電素子(23)は全て同じ大きさ同じ変形量を有するもので配列され、レンズ(11)に均一な移送力を伝達し、さらにレンズに与えられる力に偏りの無いようレンズ周縁に同じ角度で離隔するよう配列される。こうした配列は圧電素子の使用量を減少させる効果があり、必要な移送力に応じて圧電素子を適宜に調整するのも可能なことを示す。
本実施例において、ガイド手段(12)はレンズ(11)の周縁側に隣接した位置でレンズを貫通して配列される。前記ガイド手段(12)は図1に表したように円形バー(bar)に形成され、円形バーを使うとガイド手段(12)は少なくとも2個がレンズを貫通して配列されなければならない。これはレンズが重力の変化によって揺れるのを防止するためで、上下または如何なる角度であろうと最小2個が配列されなければならない。
さらに、前記ガイド手段(12)は図4に表すように少なくとも1個の多角形バー(bar)になることもできる。多角形バーを使うとレンズ(11)がバーを中心に回転できなくなりレンズ移送に伴って位置変更することがなくなる。前記多角形バーは三角、四角、五角など様々な形状が可能であり、こうした多角形バーは少なくとも1個以上配列されるとレンズの移送を可能にし、レンズの揺れも防止できる。
本発明の第1実施例による移送装置(10)は、駆動手段(13)に与えられる電圧の波形によって駆動手段がレンズを動かす加速力を発生させることを特徴とする。本実施例において駆動手段(13)には圧電素子を用い、圧電素子に与えられる電圧波形は図9に表す。図9の下段に表すように、b区間では電圧(V)は緩やかな勾配で上昇し、この際、圧電素子はレンズとガイド手段間の摩擦力を克服することはできず、圧電素子の他側終端が移送方向に歪む。電圧がピーク点まで上昇した後、c区間で電圧は急激な勾配で下がり、この際、圧電素子は歪み移送方向に偏っていた圧電素子の他側終端を基準にして元の状態に復帰することになり、こうしてレンズはガイド手段との摩擦力を克服して前進するのである。
図10には図9と逆の作動状態を表す。図10において、b区間は急激な勾配で上昇する電圧波形を有し、移送装置の駆動手段にb区間のような電圧(V)が与えられると圧電素子は急激な加速力をレンズに与えることになり、これはレンズがガイド手段との摩擦力を克服して移送方向に前進できるようにする。その後、c区間において再び電圧の位相は緩やかな勾配で下降し、この際、レンズはガイド手段との摩擦力により停止し、歪んでいた圧電素子の他側終端が移送方向に元の状態に復帰し平坦に伸びる。
前記図9及び図10のように、本発明の実施例による移送手段の作動のために電圧(V)はその時間当たり電圧の絶対値がピーク値前後で相異しなければならず、とりわけ急激な勾配を有する区間においては電圧位相の下降または上昇による加速力がレンズとガイド手段間の相互作用力、即ち摩擦力より大きくなければならない。
図11及び12は本発明の第1実施例による移送装置における他の作動モードを表す。前記図9及び図10の作動モードを基本モード(basic mode)とすると、図11及び図12の作動モードはスピードモード(speed mode)といえる。
図11において、移送装置は3つの段階を経て一つの動作を完了することになる。先ず、b区間において移送装置の駆動手段(13)に入力される電圧(V)は緩やかな勾配で上昇する。この場合、レンズとガイド手段間の摩擦力によりレンズ(11)は停止状態を保つようになり、駆動手段である圧電素子の他側のみレンズ移送方向に歪むことになる。c段階においては圧電素子に与えられる電圧(V)は急激な勾配でマイナス電圧まで位相が低くなる。こうした電圧により圧電素子は元の状態に伸びては再び逆方向に歪むようになる。c段階は急激に進行するため前方に偏って位置する質量体はそこに留まろうとする慣性力が作用し、圧電素子は前記質量体を基準にしてレンズをガイド手段に沿って前方に移送させるようになる。d段階においては再び歪んた圧電素子を元の状態どおり平坦に復帰させ、この際、電圧は前記b段階のような緩やかな勾配を有する電圧になる。
図12は前記図11と異なって、レンズ移送のための加速力を与える段階がb及びd段階から成り、c段階においては緩やかな勾配を有する電圧を提供して圧電素子の質量体を前後方向に歪ませる動作を行う。
図11及び図12の作動モードを図9及び図10の作動モードと比較すると、1サイクル(cycle)に2変位を進行するスピードモード(speed mode)といえる。従って、図9及び図10の基本モード(basic mode)より速い移送が可能な利点がある。
前記図11及び図12のように、本発明の実施例による移送手段の作動のために電圧はその時間当たり電圧の絶対値がピーク値前後で相異しなければならず、とりわけ急激な勾配を有する区間では電圧位相の下降または上昇による加速力がレンズとガイド手段間の相互作用力、即ち摩擦力より大きくなければならないのは前記図9及び図10の場合と同様である。
図13は本発明による移送装置の第2実施例を表す全体斜視図である。本発明の第2実施例による移送装置(30)はレンズ(31)を移送するためのガイド手段(32)と駆動手段(33)を含むのは第1実施例と同一である。第2実施例においては前記第1実施例と異なって駆動手段(33)の配列位置が異なる。
前記ガイド手段(32)はレンズ(31)の移送を案内するためのもので、レンズ(31)と直交するよう連結される。駆動手段(33)は前記第1実施例と同様に自己的にレンズに移送力を伝達できるもので、圧電材料(piezo−electric Material)から成る圧電素子を用いる。
第2実施例による移送装置は、ガイド手段(32)がレンズを移送可能に支持しており、レンズ(31)とガイド手段(32)間には一定の相互作用力、即ち摩擦力が作用するよう調節されている。駆動手段とされる圧電素子(33)は一側がレンズ(31)の後方面にレンズと直交するよう、即ちガイド手段と平行するよう付着される。
こうした構造は図14(A)及び14(B)により詳しく表してある。図14(A)において、レンズ(31)はレンズフレーム(36)に結合され、レンズフレーム(36)の後方面には圧電素子(33)が付着されている。圧電素子の終端には質量体(34)が付着されており、さらにレンズフレーム(36)にはガイド手段(32)が貫通して連結されている。さらに弾性手段(35)がガイド手段とレンズフレームとの間に設けられている。
前記レンズフレーム(36)はレンズの周縁を囲繞するよう形成され、また圧電素子の一側終端がレンズフレームの一側面に固定される。図14(A)及び14(B)にはレンズフレーム(36)を表すが、こうしたレンズフレームを用いずレンズ(31)自体を使って圧電素子と連結させるのも可能で、またこうした場合、ガイド手段(32)はレンズ(31)の周縁に隣接してレンズを貫通して連結される。
第2実施例の駆動手段はPZTから成る圧電素子を用い、変形時の加速力を利用してレンズを直接移送させ、これは先に第1実施例において説明したのと同様である。第2実施例における圧電素子の動作を図15に表す。
図15において、駆動手段(33)である圧電素子は電圧が0の状態において一定厚さを有する形状を保ち(b)、プラス電圧がかかると(a)のように厚い形状となる。即ち、積層された圧電素子同士の間隔が広がり全体の長さが長くなる。逆に、マイナス電圧がかかると(c)のように厚さが薄くなる。本実施例においては、このような形状変化をする圧電素子を使用し、圧電素子のこうした形状変化による加速力を利用するのである。
図19は本発明の第2実施例による移送装置の作動段階を説明した図面である。図19において、a段階では他側に質量体(34)が付着され、一側はレンズ(31)に付着されている圧電素子を設けるようになる。b段階においては前記駆動手段(33)である圧電素子に電圧(V)を与えて質量体(34)を移送方向に移動させる。これは駆動手段である圧電素子の特性を利用したもので、圧電素子に緩やかな勾配の電圧波形を与えて移送方向に圧電素子の長さを伸ばすのである。この際、レンズ(31)はガイド手段(32)との摩擦力によりその位置を保持している。c段階においては、駆動手段(33)である圧電素子に与えられた電圧(V)がb段階での電圧の勾配より急激に大きい勾配で除去される。この際、圧電素子は元の状態に復帰し、復帰時の速度が大変速くなりレンズ(31)とガイド手段(32)間に作用する摩擦力より大きくなる。圧電素子の外側に付着される質量体(34)は電圧が速く除去される際に基準点の役目を果たす。即ち、質量中心をレンズ移送方向に偏らせる役目を果たし、圧電素子が質量体を基準として元の形状に復帰し、レンズが圧電素子に伴い質量体の位置する移送位置に移るようになる。
圧電素子は自己的に質量を有し、またこれを調節することもできる為、前記質量体を使用せずとも前記のような移送動作を行うことができ、質量体を使用すると、より効果的な移送が可能になる。
前記のような第2実施例において、レンズ(31)とガイド手段(32)間には相互作用力、即ち摩擦力が作用するよう連結しなければならない。即ち、前記第1実施例と同様、きっちり嵌合するようガイド手段をレンズに挿入したり、ガイド手段とレンズの接触面の表面粗度を適宜に調節する方法によって摩擦力を調整することができる(図6参照)。
前記のような方法の他にも一定の摩擦力を与えるべく本発明においては図14(A)及び図7のように弾性手段(35)を使用できる。弾性手段(35)はレンズ(31)とガイド手段(32)との間に設けられ、レンズとガイド手段とに相互作用力を与える。即ち、一側がレンズ(31)に固定され、他側がガイド手段(32)に接触された板スプリングのようなものを用いるのである。
前記レンズ(31)とガイド手段(32)間の摩擦力は摩擦係数と垂直荷重とに比例し、弾性手段(35)はレンズとガイド手段との間に垂直荷重を与えることになり、こうした弾性手段によって外部からの衝撃やレンズ鏡胴の位置に関係無く一定の停止位置を保持する効果が得られることは先の第1実施例と同様である。
本実施例において好ましくは、レンズ(31)はレンズフレーム(36)に固定され、レンズフレーム(36)の一側面に圧電素子が挿入され固定あるいは接着されるようにした。この際、圧電素子の一側終端は前記レンズフレームに固定され、他側終端は自由端として残る。レンズフレームは弾性的でない材質から成るのが好ましい。もし、レンズフレームが弾性的であると駆動手段から伝達される移送力が弾性的なフレームに吸収されレンズに移送力を完全に伝達できなくなる問題がある為である。従って、前記レンズフレームはスチール(steel)のように非弾性的な材質で形成することになる。
前記駆動手段(33)である圧電素子は第1実施例のようにレンズ(31)の一側面周縁に隣接して付着される環状に形成することができる。圧電素子が環状に形成されるとレンズ全体に均等な移送力を与えることができる。さらに、圧電素子はレンズの一側面周縁に隣接して等間隔で離隔するよう配列されることも可能である。これは図23に表す。
図23において、圧電素子(43)はレンズ(31)の一側面、即ち図面において後方面にレンズと直交するよう等間隔で離隔しながら配列されている。圧電素子(43)は全て同じ大きさ同じ変形量を有するもので配列され、レンズ(31)に均一な移送力を伝達し、またレンズに与えられる力が偏りの無いようレンズ周囲に等しい角度で離隔するよう配列される。このような配列は圧電素子の使用量を減少させる効果があり、必要な移送力に応じて圧電素子を適宜に調整できることがわかる。
本実施例において、ガイド手段(32)はレンズ(31)の周縁側に隣接した位置でレンズを貫通して配列される。前記ガイド手段(32)は図13に表すように円形バー(bar)に形成され、円形バーを使用するとガイド手段(32)は少なくとも2個がレンズを貫通して配列されなければならない。これはレンズが重力の変化によって揺れるのを防止するためで、上下または如何なる角度でも最小2個が配列されなければならない。
さらに、前記ガイド手段(32)は先に第1実施例の図4に表したように少なくとも1個の多角形バー(bar)になることもできる。多角形バーを使用すると、レンズ(31)がバーを中心に回転できずレンズ移送に伴って位置が変更されなくなる。前記多角形バーは三角、四角、五角など様々な形状が可能で、こうした多角形バーが少なくとも1個以上配列されるとレンズの移送を可能にし、レンズの揺れも防止できる。
本発明の第1実施例による移送装置(30)は駆動手段(33)に与えられる電圧の波形によって駆動手段がレンズを動かすことのできる加速力を発生させることを特徴とする。本実施例において、駆動手段(33)には圧電素子を使用し、圧電素子に与えられる電圧波形は図21に表す。
図19の下段に表すバーのように、b区間では電圧は緩やかな勾配で上昇し、この際、圧電素子はレンズとガイド手段間の摩擦力を克服できなくなり、圧電素子の他側終端が移送方向に前進する。電圧がピーク点まで上昇した後、c区間で電圧は急激な勾配で下がり、この際、圧電素子は元の状態に復帰し移送方向に偏っていた圧電素子の他側終端を基準としてレンズを移動させる。これによってレンズはガイド手段との摩擦力を克服し前進することになる。
図20には図19と逆の作動状態をあらわす。図20において、b区間は急激な勾配で上昇する電圧波形を有し、移送装置の駆動手段にb区間におけるような電圧(V)が与えられると、圧電素子(33)は急激な加速力をレンズ(31)に与えるようになり、これはレンズがガイド手段との摩擦力を克服し移送方向に前進できるようにする。その後、c区間において再び電圧の位相は緩やかな勾配で下降し、この際レンズはガイド手段との摩擦力により停止するようになり、伸ばされていた圧電素子の他側終端が移送方向に元通り復帰して元の長さに戻る。
前記図19及び図20のバーのように、本発明による実施例による移送手段の作動のためには電圧はその時間当たり電圧の絶対値がピーク値前後で相異しなければならず、とりわけ急激な勾配を有する区間においては電圧位相の下降または上昇による加速力がレンズとガイド手段間の相互作用力、即ち摩擦力より強くなければならない。
図21及び22は本発明による第2実施例の移送装置における他の作動モードを表す。前記図19及び図20の作動モードを基本モード(basic mode)とすれば、図21及び図22の作動モードはスピードモード(speed mode)といえる。
図21において、移送装置は3つの段階を経て一つの動作を完了するようになる。先ず、b区間において移送装置の駆動手段(33)に入力される電圧(V)は緩やかな勾配で上昇する。この場合、レンズとガイド手段間の摩擦力によりレンズ(31)は停止状態を保ち、駆動手段である圧電素子の他側のみレンズ移送方向に前進する。c段階においては、圧電素子に与えられる電圧は急激な勾配でマイナス電圧まで位相が下がる。こうした電圧により圧電素子は元の状態に復帰し元の長さになっては再び一定長さほど縮小する。C段階は急激に進行する為に前方に偏って位置する質量体はそこに留まろうとする慣性力が作用し、圧電素子は前記質量体を基準としてレンズをガイド手段に沿って前方に移送させるようになる。d段階においては、再び縮小した圧電素子を元の平坦な状態に復帰させ、この際、電圧は前記b段階のように緩やかな勾配を有する電圧である。
この際、c段階においてマイナス電圧のピーク値はプラス電圧でのピーク値とその絶対値が異なるが、これは圧電素子の膨張及び収縮の場合、その収縮量が膨張量と等しくならない問題がある為である。通常、第2実施例のような収縮膨張型圧電素子の場合収縮量が膨張量より少なく、こうした特性によりその供給される電圧のピーク値の絶対値もやはり異なってくる。
図22は前記図21と異なってレンズ移送のための加速力を与える段階がb及びd段階から成り、c段階においては緩やかな勾配の電圧を提供して圧電素子の質量体を前後方向に前後進させる動作を行う。
図21及び図22の作動モードを図19及び図20の作動モードと比較すると、1サイクル(cycle)に2変位を進行するスピードモード(speed mode)とすることができる。従って、図19及び図20の基本モード(basic mode)より速い移送が可能な利点がある。
前記図21及び図22のように、本発明の実施例による移送手段の作動のために電圧はその時間当たり電圧の絶対値がピーク値前後で相異しなければならず、とりわけ急激な勾配の区間においては電圧位相の下降または上昇による加速力がレンズとガイド手段間の相互作用力、即ち摩擦力より大きくなければならないことは前記図19及び図20の場合と同様である。
本発明による移送装置は図16のように、ガイド手段として外部フレーム(52)を用いることができる。外部フレームをガイド手段に用いる第3実施例について説明する。第3実施例においては、第2実施例のようにレンズ(51)及びレンズ(51)の一側面にレンズ移送方向に平行に付着される駆動手段(53)(図18参照)を含む。前記駆動手段(53)には圧電素子を使用することができる。第3実施例はガイド手段に外部フレーム(52)を用いるのが特徴であるが、外部フレーム(52)はカメラのような光学機器のレンズ部を成す鏡胴となる。外部フレーム(52)はレンズ(51)とレンズ周縁面で接触しレンズの前後移動を案内するようになる。即ち、レンズの周縁面と外部フレームとが相互接触しながらその間に摩擦力が発生しレンズが外部フレーム内で遊動するのを防止し、駆動手段の駆動力によってのみ移動できるよう調整することができる。
外部フレーム(52)は、好ましくは図16のような凹部(61)を含み、凹部(61)は多角形状または円形弧状になることができる。前記外部フレームの凹部(61)にはレンズ(51)から突出形成される凸部(62)が挿入される。凸部(62)はレンズ(51)を加工して一体形成することもでき、先の第1及び第2実施例のようにレンズフレームを使用する場合にレンズフレームに形成することもできる。こうしたレンズフレーム(56)は図17にあらわす。外部フレーム(52)の凹部(61)はレンズ移動方向に長く形成され、レンズが外部フレームに形成された凹部に沿って移動することになる。
こうした形状の外部フレームを使うと、レンズの移送装置においてレンズを貫通するガイドバーのようなガイド手段を用いる必要が無くなり、レンズ移送構造がより簡単になり、レンズにガイド手段を貫通させるよう加工する工程を省くことができる。さらに、前記凹部(61)及び凸部(62)を多角形断面を有するよう形成することもでき、少なくとも1対の凹部(61)及び凸部(62)が存在すればレンズが揺れること無くその停止位置を保持できるようにもなる。
前記レンズと外部フレーム間の摩擦力を増大すべく、またその間の滑らかな接触を保持すべく、レンズの凸部(62)には図17のような弾性手段(55)を形成することができる。弾性手段(55)は中央部一側が外部フレームに常に接触し、両終端は凸部(62)に固定される構造の板スプリングを用いることができる。
前記のような第3実施例の移送装置(50)は、第2実施例のように圧電素子がレンズ一側面にレンズ周縁と隣接して等間隔で離隔するよう配列されることができる。さらに、レンズ一側面にレンズ周縁と隣接した部位を囲繞するよう環状に配列されるのも可能である。さらに、駆動手段である圧電素子には所定の質量を有する質量体を付着できることは、先に述べた第1及び第2実施例と同様である。
図18は本発明による第3実施例において、レンズ(51)及びレンズに形成される凸部(62)、圧電素子(53)を表す。図18において、レンズに形成される凸部(62)の後方面は段差が付くよう形成されレンズの平均厚さより薄く形成することができ、圧電素子(53)はこうした凸部(62)の後方に付着される。このように凸部の後方面を段差が付くよう形成し、その凸部の後方面に圧電素子を付着すると、圧電素子が付着されたレンズ移送装置の移送方向への全長を短縮する効果がある。これは全体としての光学機器の大きさを縮小するのに寄与する。
第3実施例による移送装置における作動モードも同じく第2実施例のような基本モード及びスピードモードを全て用いることができる。さらに、こうした移送装置に供給される電圧の波形も同様その時間当たり電圧の絶対値がピーク値前後で相異する特徴を有する。
本発明の移送装置は超小型レンズモジュールばかりでなく、コンパクトフィルムズームカメラ及びディジタルズームカメラ、各種監視用カメラ、カムコーダーのズーム駆動装置などに使用できる。また、これは圧電素子による駆動なので磁界の影響などを受けなくなり、磁界の接近が困難な場所の探知(例えば、MRI撮影)、監視用カメラのズーム機構などに用いることが可能になる。さらに、適切なガイドさえ提供されれば、従来の駆動構造より長い移送距離でも移送可能になり長い焦点距離の変化を要求する高拡大率のズームレンズ機構が具現できるようになり、こうした特性により従来の電磁気モータを代替できるようになる。
本発明は特定な実施例に係り図示し説明したが、本願の特許請求の範囲により具備される本発明の精神や分野を外れない限度内において本発明が多様に改造及び変化できることを当業界において通常の知識を有する者であれば容易に想到できることは明らかである。
本発明による移送装置の第1実施例における全体斜視図である。
(A)は図1の移送装置の斜視図である。(B)は(A)の移送装置の断面図である。
図1の移送装置における駆動手段の作動状態を表す図面である。
図1の移送装置におけるガイド手段の一例を表す図面である。
図1の移送装置におけるレンズフレームを表す斜視図である。
図1の移送装置におけるガイド手段の連結状態を表す断面図である。
図1の移送装置における弾性手段の断面図である。
図1の移送装置における駆動手段の他の配列を表す図面である。
図1の移送装置における作動モードを表す作動状態図である。
図1の移送装置における他の作動モードを表す作動状態図である。
図1の移送装置におけるさらに異なる作動モードを表す作動状態図である。
図1の移送装置におけるさらに異なる作動モードを表す作動状態図である。
本発明による移送装置の第2実施例における全体斜視図である。
(A)は図13の移送装置の斜視図である。(B)は図9の移送装置の組立図である。
図13の移送装置における駆動手段の作動状態を表す図面である。
本発明による移送装置の第3実施例の全体斜視図である。
図16の移送装置における弾性手段を表す斜視図である。
図16の移送装置における駆動手段とレンズとの結合状態を表す断面図である。
図13の移送装置における作動モードを表す作動状態図である。
図13の移送装置における他の作動モードを表す作動状態図である。
図13の移送装置におけるさらに異なる作動モードを表す作動状態図である。
図13の移送装置におけるさらに異なる作動モードを表す作動状態図である。
図13の移送装置における駆動手段の他の配列を表す図面である。
従来のレンズ駆動装置の断面図である。
図24のレンズ駆動装置の組立図である。
符号の説明
11、31、51 レンズ
12、32、52 ガイド手段
13、23、33、43、53 駆動手段
14、34 質量体
15、35 弾性手段
16、36 レンズフレーム
61 凹部
62 凸部