JP3833994B2 - 進相コンデンサ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンデンサ、直列リアクトル、及び放電コイルを絶縁油入りタンクに収納した進相コンデンサ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電力系統における無効電力を補償するコンデンサ設備は、コンデンサと、このコンデンサに直列に接続されて、コンデンサを電力系統に接続する際に流れる過大な投入過度電流を抑制するための直列リアクトルと、コンデンサを電力系統から切り離した後の残留電荷を放電させるための放電コイルとによって構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−26283号公報(第2、3頁、第1、4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の進相コンデンサ装置では、負荷の変動に応じてコンデンサ容量を増減する場合、増加する負荷に見合ったコンデンサ容量を有する独立した別個の進相コンデンサ装置を設け、負荷減となる場合はそれに見合った独立したコンデンサ容量を有する独立した進相コンデンサ装置を切り離していた。このため、外部接続ケーブルの取り外し、取付などの作業が必要である。また、コンデンサ容量を増加する場合には、複数の独立した進相コンデンサ装置を設けるため、直列リアクトル、放電コイル、ブッシング等の機器の部品がその分多くなり、据え付けスペースが大きくなると共に、装置全体が高価となる等の問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解消するために成されたものであって、簡略で安価な装置構成で、コンデンサ容量を容易に増減できる進相コンデンサ装置の構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る進相コンデンサ装置は、コンデンサ、該コンデンサと直列接続された直列リアクトル、及び該コンデンサの電荷を放電させる放電コイルを絶縁油入りタンクに収納し、上記コンデンサの容量を調節するコンデンサ切換器と、上記直列リアクトルのリアクタンスをタップを用いて調節するリアクトル切換器とを備える。そして、上記コンデンサの容量に応じて上記直列リアクトルのリアクタンスを調節するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
一般に、電動機や変圧器などの電磁誘導機器の使用が伴う電力回路においては、機器の運転時に多くの遅相無効電力が発生し、これらの遅相無効電力を極力低減し電力の有効利用を図るために電力回路内に進相コンデンサ装置を設置する。
図1は、この発明の実施の形態1による進相コンデンサ装置の構成図である。
図に示すように、進相コンデンサ装置は、第1のコンデンサ群38と第2のコンデンサ群39、40と、これらのコンデンサ群38、39、40に蓄積された電荷を放電させる放電コイル41、42と、コンデンサ群38〜40の電源側に直列接続された1つの直列リアクトル31とを備え、これらを絶縁油45が密封されたタンク44に収納し、ブッシング端子43(端子U、V)を介して線路や負荷に並列接続する。
【0008】
複数のコンデンサ群38〜40は、電荷を蓄積し、流れる電流は印加された電圧に対し90度位相が進み、コンデンサ切換器34、35を備えて、並列接続されるコンデンサ群38〜40を切換選択してコンデンサ容量(設備容量)を調節する。直列リアクトル31は、巻線の途中にタップ32を設け、このタップ32を用いてリアクタンスを切り替えるリアクトル切換器33を備え、コンデンサ容量に応じてリアクタンスを調節する。なお、コンデンサ切換器34、35およびリアクトル切換器33は、同軸(共通軸36)で回転するように構成され、ハンドル37にて共通軸36を駆動することにより、それぞれの可動コンタクト34a、35a、33aを同時に切り換える。
【0009】
ところで、直列リアクトルは、コンデンサを電力回路に接続するときに発生する突入電流を抑制するものであるが、その他に以下のような働きがある。送配電系統には種々の原因による高調波源が存在しているので、コンデンサのみを使用すると高調波源に対して電源系統のリアクタンスと共振回路を形成し、高調波電流を増大させて回路電圧波形を悪くする。これを避けるために直列リアクトルをコンデンサと直列に接続することで、高調波に対しコンデンサ設備の合成リアクタンスを誘導性とする。一般に、直列リアクトルのリアクタンスは、系統に存在する最低次数の高調波に対してコンデンサと直列リアクトルとの合成リアクタンスが誘導性となるように選定する。
このため、負荷の変動に応じてコンデンサ容量を増減する場合、コンデンサ容量に応じて直列リアクトルのリアクタンスも調節する必要がある。
【0010】
図1の状態では、コンデンサ切換器34、35およびリアクトル切換器33の可動コンタクト34a、35a、33aは、切り換え番号1に設定されている。これにより、直列リアクトル31はタップ32の接続点がリアクトル切換器33を介してコンデンサ群38〜40に接続され、直列リアクトル31のタップ32から図中の左側部分が用いられる。また、コンデンサ群39とコンデンサ群40とはコンデンサ切換器34、35を介して直列に接続されて第2のコンデンサ群39、40を構成し、第1のコンデンサ群38と第2のコンデンサ群39、40とが並列接続されて用いられる。
【0011】
次に、コンデンサ容量を切り換える際の動作について説明する。
まず、例えば、線路に接続されているブッシング端子43(端子U、V)を、一旦線路から切り離す。次に、コンデンサ切換器34、35およびリアクトル切換器33を同時に切り換え操作するハンドル37を回し、可動コンタクト34a、35a、33aを所定の切り換え番号に設定する。切り換え番号2になるようにハンドル37を回すと、コンデンサ切換器34、35によりコンデンサ群39とコンデンサ群40とが切り離されて第2のコンデンサ群39、40は回路から切り離され、直列リアクトル31は図中の右端がリアクトル切換器33を介して第1のコンデンサ群38に接続され、第1のコンデンサ群38のみが用いられる。この後、ブッシング端子43(端子U、V)を線路に接続して復帰させる。
このように、各切換器33〜35を切り換え番号2に切り換えることにより、コンデンサ容量は、切り換え番号1の場合の容量6000kvarから容量3000kvarとなる。
【0012】
このように、この実施の形態では、直列リアクトル31のリアクタンスをタップ32を用いて調節するリアクトル切換器33を備えて、コンデンサ容量に応じて直列リアクトル31のリアクタンスを調節するようにしたので、複数種のコンデンサ容量に見合うリアクタンスを有する直列リアクトルをそれぞれ備える必要が無く、装置が簡略化でき設置スペースも低減できる。
また、複数のコンデンサ群38〜40の中から並列接続される組み合わせをコンデンサ切換器34、35により切換選択して容量を調節し、直列リアクトル側でも1つの直列リアクトル31内でリアクタンスを調節するため、独立した進相コンデンサ装置を増設したり、切り離したりしてコンデンサ容量を調節していた従来のものに比して、外部接続ケーブルの取り外し、取付などの作業も不要であり、装置構成を格段と簡略化でき、小型で安価な進相コンデンサ装置が得られる。
さらに、コンデンサ切換器34、35およびリアクトル切換器33を、同軸(共通軸36)で回転するように構成したため、ハンドル37にて共通軸36を駆動して切り換え操作することにより、容易に同時切り換えできる。これにより、直列リアクトル31がコンデンサ容量の切り換えと同時に、容量に見合ったリアクタンスに容易で確実に切り換えられる。
【0013】
なお、上記実施の形態1では、直列リアクトル31、コンデンサ群38〜40及び放電コイル41、42等を1つの絶縁油入りタンク44に収納したが、図2に示すように、直列リアクトル31のみを絶縁油50入りの第1のタンク48に収納し、コンデンサ群38〜40、放電コイル41、42、及び各切換器33〜35等、直列リアクトル31以外の部分を第1のタンク48とは別の絶縁油51入りの第2のタンク49に収納しても良い。なお、46、47は第1、第2のタンク48、49間に配されたブッシングであって、46は直列リアクトル31のタップ32をリアクトル切換器33に接続するブッシング、47は直列リアクトル31の端部をリアクトル切換器33に接続するブッシングである。このように、直列リアクトル31のみを別のタンク48に収納することで、直列リアクトル31の発熱がコンデンサ群38〜40を含む他の部品へ伝達されるのが防止でき、進相コンデンサ装置の信頼性が向上する。また、冷却装置(図示せず)は発熱源となる直列リアクトル31のみを考慮して設置することができるため、冷却装置が縮小され、タンク内の絶縁油の膨張縮小のコンサベータ(図示せず)を小型化できる。
【0014】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る進相コンデンサ装置は、コンデンサの容量を調節するコンデンサ切換器と、直列リアクトルのリアクタンスをタップを用いて調節するリアクトル切換器とを備え、上記コンデンサの容量に応じて上記直列リアクトルのリアクタンスを調節するため、複数種のコンデンサ容量に見合うリアクタンスを有する直列リアクトルをそれぞれ備える必要が無く、装置が簡略化でき、小型で安価な進相コンデンサ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による進相コンデンサ装置の構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の別例による進相コンデンサ装置の構成図である。
【符号の説明】
31 直列リアクトル、32 タップ、33 リアクトル切換器、
34,35 コンデンサ切換器、36 共通軸、38 第1のコンデンサ群、
39,40 第2のコンデンサ群、41,42 放電コイル、44 タンク、
45 絶縁油、48 第1のタンク、49 第2のタンク、
50,51 絶縁油。
Claims (4)
- コンデンサ、該コンデンサと直列接続された直列リアクトル、及び該コンデンサの電荷を放電させる放電コイルを絶縁油入りタンクに収納した進相コンデンサ装置において、上記コンデンサの容量を調節するコンデンサ切換器と、上記直列リアクトルのリアクタンスをタップを用いて調節するリアクトル切換器とを備え、上記コンデンサの容量に応じて上記直列リアクトルのリアクタンスを調節することを特徴とする進相コンデンサ装置。
- 上記コンデンサは、複数のコンデンサを備えて該複数のコンデンサの中から並列接続される組み合わせを上記コンデンサ切換器により切換選択することにより、容量を調節することを特徴とする請求項1記載の進相コンデンサ装置。
- 上記コンデンサ切換器および上記リアクトル切換器は、同軸で回転する切換器にて構成されることを特徴とする請求項1または2記載の進相コンデンサ装置。
- 上記絶縁油入りタンクとして、互いに分離された第1、第2の2個のタンクを備え、上記第1のタンクに上記直列リアクトルを収納し、上記第2のタンクに、上記コンデンサ、上記放電コイル、上記コンデンサ切換器、及び上記リアクトル切換器を収納したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の進相コンデンサ装置。
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